JPH1150335A - ポリエステル繊維とその製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維とその製造方法

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JPH1150335A
JPH1150335A JP9208119A JP20811997A JPH1150335A JP H1150335 A JPH1150335 A JP H1150335A JP 9208119 A JP9208119 A JP 9208119A JP 20811997 A JP20811997 A JP 20811997A JP H1150335 A JPH1150335 A JP H1150335A
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JP
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core
sheath
fiber
fine particles
polyester fiber
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JP9208119A
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Seiji Morita
精次 森田
Norimichi Nagaoka
徳恭 長岡
Yoshiaki Sato
慶明 佐藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は従来にない不透明感、ドライ感、シャ
リ感、ハイタッチ感、温もり感等の独特の風合とマイル
ドな光沢、軽量感を張り・腰・反発・ドレープ性に加え
て新たに付加することができる。 【解決手段】ポリエステル繊維糸条の表面には無数のミ
クロボイドが存在し、断面形状は実質的に3〜8葉形状
で、ΔLA値は25%以下、ΔLB値は20%以下であ
ることを特徴とするポリエステル繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル繊維に
関するものである。さらに詳しくは芯鞘複合繊維の鞘成
分をアルカリ減量することにより無数のミクロボイドを
発現せしめ、織編物にした際に不透明感に優れ、ドライ
感、シャリ感、ハイタッチ感、温もり感等独特な風合
い、軽量感を兼ね備えたポリエステル繊維とその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリエステルやポリアミドなど
の合成繊維はその優れた特徴を備えているため衣料用か
ら産業用と広範囲に用いられている。中でもポリエステ
ル繊維は強度、寸法安定性、イージケアー性等多くの優
れた特長を備えているため衣料用をはじめ様々の用途に
利用でき好ましく用いられている。
【0003】取り分けポリエステル繊維は用途の多様化
にともない制電性、防汚性、清涼感、畜熱性、防透性、
保温性、軽量性、抗菌性、発色性、極細化、起毛性、ソ
フト感、ドレープ性等機能性から感性に富んだ織編物ま
で広い分野での開発が活発に行われている。これらの特
性を達成する方法として複合繊維の開発もまた活発に行
われている。例えば特開昭55−122020号公報で
は芯部に制電性ポリマ、鞘部にポリエステルポリマを配
した制電性繊維が、特開昭61−296119号公報で
は発色性の良好な塩基性可染のポリエステル複合繊維
が、特開平6−322612号公報では鞘部を繊維形成
重合体、芯部に香料、防虫、防ダニ、抗菌剤の成分を配
合する芯鞘複合繊維が開示されており芯鞘複合繊維につ
いては公知の技術である。
【0004】次に透け感を防止する技術としてはセラミ
ックス、中でも酸化チタンを練り込む方法が周知で一般
に良く行われている。しかしながら該方法では酸化チタ
ンの含有量を増加すると、糸表面に存在する酸化チタン
の量が増え紡糸工程、延伸工程、仮撚工程、撚糸工程、
製織工程、製編工程などにおける糸道ガイド、ローラ、
筬、編針等が著しく摩耗され、毛羽、糸切れが多発して
頻繁に部品を交換する必要が生じる。従がって酸化チタ
ンの含有量は高々2〜3wt%が限界であった。かかる
欠点を改善するするため特開昭55−158331号公
報において芯鞘型複合繊維が提案されている。また特開
平5−209317号公報には海島複合繊維で同様の摩
耗改善効果を狙い、かつ海成分に減量加工可能な成分を
含有させる技術が開示されている。これらの公報におい
ては、芯部および島部に高濃度の酸化チタンを含有させ
鞘部および海部には酸化チタンを少なくするもので、糸
道ガイド類の摩耗は改善され、透け感を防止する効果は
得られている。また、特開平8−144151号公報に
は芯部に高濃度の酸化チタン、鞘部には蛍光増白剤を含
有させ不透明性に白度を有する技術が開示されている。
【0005】しかしながら該公報では単純な円形断面の
芯鞘構造糸および島成分にナイロンを用いた海島複合繊
維であり、風合いを重視する異形断面形状やアルカリ減
量加工によるミクロボイドの生成や不透明感に優れ、ド
ライ感、シャリ感、ハイタッチ感、温もり感等独特な風
合とパステルな光沢、軽量感を達成する方法等何等開示
も示唆も成されてはいない。
【0006】このように、従来技術では糸道ガイド類の
摩耗改善、透け感を防止する技術は知られているもの
の、織編物にした際に不透明感に優れ、ドライ感、シャ
リ感、ハイタッチ感、温もり感等独特の風合と、軽量感
を兼ね備えた高級感のある織編物はいまだ得られていな
かったのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の欠点を解消し、特に高級感のある、織編物に
した際に不透明感に優れ、ドライ感、シャリ感、ハイタ
ッチ感、温もり感等独特の風合と、軽量感を兼ね備えた
ポリエステル繊維とその製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、ポ
リエステル繊維糸条の表面には無数のミクロボイドが存
在し、断面形状は実質的に3〜8葉形状で、かつ△LA
値は25%以下、△LB値は20%以下であることを特
徴とするポリエステル繊維と、繊維糸条の表面に無数の
ミクロボイドを発現させるポリエステル繊維を製造する
に際し、芯鞘複合繊維の芯成分に無機微粒子を5.0〜
20重量%含有し、鞘成分に無機微粒子が1.0重量%
未満含有して、鞘成分ポリマはアルカリ減量速度が芯成
分ポリマのそれ以上速いポリマを用い、該複合繊維の芯
部と鞘部の断面は相似形で3〜8葉の異形断面形状と
し、芯部と鞘部の複合比率は90:10〜50:50重
量%で、芯部は鞘部で覆われ表面に露出しない芯鞘複合
繊維を紡出させ、延伸後、鞘成分をアルカリ減量で除去
し、無機微粒子を脱落させてミクロボイドを生成させる
ことを特徴とするポリエステル繊維の製造方法により達
成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を詳細に説明
する。先ず、本発明のポリエステル繊維は、その糸条の
表面には無数のミクロボイドが存在している必要があ
る。ここで言うミクロボイドとは糸条表面にできた微細
な孔のことで、大きさは直径が数ミクロンから数百ミク
ロンまでのものを指す。このミクロボイドが風合に大き
く影響を与え、ドライ感、シャリ感、ハイタッチ感、温
もり感、即ちサラッとした触感と、暖かく温もりが有り
かつ、ツルツルと滑るような心地好い感触で独特の風合
を得ることができ、これらを総称して独特の風合と呼ん
でいる。この良感触は無数のミクロボイドの存在により
初めて可能となる。表面にミクロボイドが無いかその数
が少ないと糸条表面は平坦となり、触った感じはヌメッ
タ触感で冷たく金属的で人工的な好ましくない風合とな
る。このミクロボイドの数は無機微粒子の含有率により
調整でき、その含有率は5.0〜20重量%が好まし
い。
【0010】次に、本発明のポリエステル繊維の断面は
異形断面形状で有ることが必要である。審美性の付与、
風合の向上、ドライ感の創出、独特の光沢、表面タッチ
等高級感および特定の機能性向上は丸断面形状では得ら
れ難く異形断面形状が必要で、なかでも形状の効果が良
好に得られる3〜8葉断面が必要である。偏平断面は用
途が特定化され、また、9葉以上の断面形状では丸断面
との有為差が少なくなる。従って3〜8葉断面が必要で
あるが、中でも光沢とドライ感、シャリ感を重視する場
合は、シャープな形状が得られる3〜5葉断面が特に好
ましい。
【0011】また断面異形度M値は図2に示されたよう
に異形断面の外接円R1と内接円R2の半径比R1/R
2を言い、この値が大きいほどシャープな形状を表して
いる。この異形度M値は1.3〜5.0の範囲が好まし
い。1.3未満では異形度が少なすぎて丸断面との優位
性が薄れ、逆に5.0よりも大きい異形度を得ようとす
ると特殊ポリマ、特殊口金となり製糸性が著しく悪化し
糸切れが多発する。より好ましいM値は1.5〜4.0
で、特に好ましくは1.7〜3.0の範囲である。
【0012】更に詳しく図によって説明する。図1の
(1)は3葉断面糸で、高濃度の酸化チタン含有ポリマ
からなっており糸条表面は無数のミクロボイドが存在
し、同様に(2)は4葉の断面糸、(3)は5葉断面
糸、(4)は6葉断面糸、(5)は8葉断面糸を示し
た。(6)は3葉断面糸の芯部に中空部を有する断面形
状を示した。
【0013】次に本発明のポリエステル繊維のΔLA値
は25%以下、ΔLB値は20%以下である。ΔLA値
とΔLB値は両者とも不透明性を示す尺度であり、この
値が小さいほど透けにくいことを示している。両者の測
定方法の詳細は後述した。ΔLA値は透過法により測定
した光の透け度合(光遮蔽性)の値であり、25%以下
が必要である。ΔLA値が25%より大きい場合は透け
防止効果が少なく本発明の目的から外れてしまう。従っ
てΔLA値は好ましくは20%以下、更に好ましくは1
7%以下である。
【0014】ΔLB値は反射法により測定した光の反射
値であり、実着用を想定した場合での防透け効果は、実
験結果より肉眼判定と高い精度で一致する。このΔLB
値は20%以下が必要で、ΔLB値が20%より大きい
場合は透け防止効果が少なく本発明の目的から外れてし
まう。従ってΔLB値は好ましくは17%以下、更に好
ましくは15%以下である。
【0015】本発明のポリエステル繊維の芯部には中空
部を有することが好ましい。この中空部は織編物を軽量
化し、更に不透明性を向上させるのに好適であり、その
中空率は5〜30%が好ましい。中空率とは、繊維の断
面積に占める中空部の割合である。中空率が5%未満で
は中空の効果が殆ど無く、逆に中空率が30%より大き
いとと、仮撚時に中空部の変形、潰れが起こり、アルカ
リ減量等の仕上げ加工時に中空部がパンクし中空の効果
が殆ど無くなる。特に好ましい中空率は10〜20%で
ある。
【0016】本発明のポリエステル繊維はミクロボイド
と不透明性に特徴を有するが、このミクロボイドと不透
明性は無機微粒子の存在により調整できる。無機微粒子
としてはTiO2 、およびSiO2 、ZnOが太陽光線
の中の可視光線〜赤外線を、特に波長0.4〜2μmの
光線を効率良く反射する点で好ましく挙げられる。特に
TiO2 が不透明性に優れ、かつ取扱いのし易さ、価格
面、太陽光線に対する諸機能等の点でより好ましい。例
えばTiO2 には皮膚に有害な紫外線を吸収・遮蔽し、
かつ、暑さと感じる太陽光の可視および近赤外線領域を
効率的に反射するため、日射エネルギーの吸収を抑え、
衣服にしたときの衣服内の温度を抑える効果がある。ま
た無機微粒子で好ましいとするTiO2 の中でも、最大
粒径が5ミクロン以下で、粒径1.0ミクロン以下の粒
子の割合が50wt%以上であるアナターゼ型が製糸性
安定の点で好ましい。
【0017】次に、本発明の製造方法について説明す
る。先ず、本発明の繊維糸条の表面に無数のミクロボイ
ドを発現させるポリエステル繊維を製造するのに芯鞘複
合繊維が必要である。
【0018】芯鞘複合繊維の芯部は無機微粒子を5.0
〜20重量%含有する。無機微粒子としてはTiO2
およびSiO2 、ZnOが太陽光線の中の可視光線〜赤
外線を、特に波長0.4〜2μmの光線を効率良く反射
する点で好ましく挙げられる。特にTiO2 が不透明性
に優れ、かつ取扱いのし易さ、価格面、太陽光線に対す
る諸機能等の点でより好ましい。例えばTiO2 には皮
膚に有害な紫外線を吸収・遮蔽し、かつ、暑さと感じる
太陽光の可視および近赤外線領域を効率的に反射するた
め、日射エネルギーの吸収を抑え、衣服にしたときの衣
服内の温度を抑える効果がある。
【0019】また無機微粒子含有量が5.0wt%未満
では防透け効果は十分でなく、また20wt%を越える
と、防透け性向上効果が飽和すると同時に無機微粒子の
分散性の低下に起因する紡糸時の濾過剤の目詰まりが著
しくなり、長時間安定して紡糸することが困難となる。
特に6.0〜15.0wt%であることが安定製造する
上で好ましい。
【0020】また無機微粒子で好ましいとするTiO2
の中でも、最大粒径が5ミクロン以下で、粒径1.0ミ
クロン以下の粒子の割合が50wt%以上であるアナタ
ーゼ型が製糸性安定の点で好ましい。
【0021】一方、鞘部の無機微粒子含有量は紡糸工
程、延伸工程、仮撚工程、撚糸工程、製織工程、製編工
程での糸道ガイド、ローラー、筬、編針等の摩耗軽減た
めに1wt%未満、更に好ましくは0.5wt%未満で
ある。しかし、全く無機微粒子を含まないポリマでは、
摩擦係数が高くなり過ぎ、製糸工程、高次工程の糸道ガ
イド、ローラー等で糸条が擦過され毛羽、糸切れを誘発
させ好ましくない。
【0022】次に、鞘成分ポリマはアルカリ減量速度が
芯成分ポリマのそれ以上速いポリマが好ましい。これは
鞘成分ポリマの除去に多くの時間を費さないことによる
生産効率のアップと、それによるコストダウンを図るこ
と、そして芯成分ポリマが必要以上にアルカリ溶液に晒
され強伸度劣化等ダメージを受けないことを考慮するた
めである。この具体的なポリマとしてはアルカリ減量速
度の速いポリマ、例えば5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸を10モル%程度共重合した共重合ポリエステルを
用いることが好ましい。また、熱水溶解性のポリマを用
いても良い。
【0023】次に、光沢とドライ感、シャリ感を創出さ
せる断面形状の製造方法の一例を説明する。このような
断面面形状を得るには、先ず複合紡糸により芯鞘複合さ
せる。芯鞘異形断面相似形の複合方法とその口金の一例
は、芯成分ポリマを3〜8葉形状となるように設計され
た口金の形状孔に、図3に示したごとく芯成分ポリマを
導入させ、同時に、鞘成分ポリマは芯成分ポリマを包む
ように導入させ、芯鞘複合流を形成させる。この複合流
を3〜8葉形状を有する吐出孔から複合吐出させ、3〜
8葉断面の複合繊維とすることができる。次に、芯部と
鞘部の複合比率は90:10〜50:50重量%である
ことが好ましい。芯比率が50重量%未満では不透明性
が不十分となり、90重量%を越えると鞘部の僅かの厚
さ斑が芯部の表面露出に繋がり、酸化チタンが剥き出し
となり紡糸工程、延伸工程、仮撚工程、撚糸工程、製織
工程、製編工程での糸道ガイド、ローラー、筬、編針等
の摩耗を引き起こすことになる。従って好ましい芯部と
鞘部の複合比率は85:15で、更に好ましくは80:
20である。
【0024】また、本発明の芯鞘複合繊維を形成する芯
成分、鞘成分ポリマはアルカリ減量等取り扱いの容易
性、ドライな風合いの創出、熱処理による収縮差を糸や
織物の膨らみへ容易に変換できる点、織物に対しドレー
プ性を付与させ易い点および寸法安定性等の点からポリ
エステルが好ましく挙げられる。特に、テレフタル酸ま
たはその低級アルキル誘導体(炭素数1〜3のアルカー
ノジエステル)とエチレングリコール、テレフタル酸ま
たはその低級アルキル誘導体とエチレングリコールおよ
び少なくとも1種の他成分のいずれかから得られるポリ
エステル単位の少なくとも70モル%がポリエチレンテ
レフタレートであるポリエステルが取扱いの容易性、ド
ライな風合い創出、寸法安定性等の点で好ましい。
【0025】また前記芯鞘複合繊維形成ポリマには、風
合いを向上させるために、本発明の効果を阻害しない範
囲で、シュウ酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸等の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、
2−6ナフタリンジカルボン酸、ジフエン酸等の芳香族
ジカルボン酸、1−2−シクロブタンジカルボン酸等の
脂環をもつジカルボン酸等が共重合されていても良い。
【0026】次に本発明の芯鞘複合繊維の好ましい製造
方法について一例を挙げながら更に具体的に説明する。
芯成分として、テレフタル酸とエチレングリコールを重
合して得られるポリエチレンテレフタレートを70モル
%以上含むポリエステルに、無機微粒子である酸化チタ
ンを5〜20重量%含有させたものを、また鞘成分とし
てテレフタル酸とエチレングリコールを重合して得られ
るポリエチレンテレフタレートを70モル%以上含むポ
リエステルに、無機微粒子である酸化チタンを1.0重
量%未満含有させたものを、285℃で溶解、芯鞘複合
させる。芯鞘異形断面相似形の複合方法とその口金は、
芯成分ポリマが3〜8葉形状となる形状孔に導入させ、
同時に、鞘成分ポリマは芯成分ポリマを包むように導入
させ、芯鞘複合流を形成させる。この複合流を3〜8葉
形状を有する吐出孔から複合吐出させ、3〜8葉断面の
複合繊維とする。この時、芯成分と鞘成分の吐出量を調
整することで複合比率を90:10〜50:50とす
る。芯部に中空部を望む時は、吐出孔中央部からポリマ
を吐出させず、断面形状に見合ったスリットを設けるこ
とで中空部は得られる。その後、90℃の加熱ロールで
予備延伸し、145℃で延伸・熱処理し巻き取ることに
より芯鞘複合繊維を得ることができる。この製糸工程に
おいて、次工程における工程通過性を向上させるために
流体交絡処理を付与しても構わない。ただし、次工程の
仮撚工程、また生糸使いの製編織工程で、交絡点がネッ
プ発生等仮撚に悪影響を与えたり、織編物表面にイラツ
キを発生させる等過度の交絡は風合の低下をもたらす。
好ましい交絡数は5〜50個/mである。
【0027】この様にして得られた芯鞘複合繊維は用途
により生糸使い、または仮撚加工してから製編織に供し
ても良い。またこの仮撚加工は、延伸巻きとりせず半未
延伸糸から延伸に直結させた仮撚加工も実施できる。ま
た延伸も均一延伸を行っても良く、シック&シンの特殊
延伸を行っても良く、仮撚時にシック&シンを付与して
も良い。仮撚加工は断面の形状を保持、および中空部の
変形を極力少なくするため低温でかつ軽仮撚が好まし
い。
【0028】本発明の芯鞘複合繊維は、製編織、染色仕
上げして織編物とするが、その複合糸は織編物の経糸ま
たは緯糸の少なくとも一方に用いることが好ましく、本
発明の効果を十分発揮させるためには経糸緯糸の全てに
使用するのが好ましい。
【0029】そして、この芯鞘複合糸は通常のアルカリ
減量処理を行うが、その処理は製編織後において行うの
が最も効率的である。このアルカリ減量処理は鞘成分の
み除去、更に減量を大きく、または少なく等自由に選択
できる。この様にして得られた布帛は糸条表面に無数の
ミクロボイドが生成する。このミクロボイドはアルカリ
減量処理で芯成分に高濃度に含有された酸化チタンがア
ルカリ減量の影響が及ぶ繊維表面、及び表面近傍から脱
落することで生成するもので、表面タッチ、触感にドラ
イで好ましい影響を与える。この糸条表面を顕微鏡で拡
大観察すると、粒径数ミクロンから数百ミクロンまでの
酸化チタンを核として周辺が減量された無数のミクロボ
イド(クレーター)の存在が確認される。このミクロボ
イドは手に触れた時サラッとしたドライ感、暖かさ、滑
るような表面タッチが得られ、好ましい風合として感じ
られる。鞘成分の除去を短時間に済ませるには、アルカ
リ減量速度の速いポリマ、例えば5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸を10モル%程度共重合した共重合ポリエ
ステルを用いても良い。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。なお、実施例において製糸性、製織性、不透明性、
製品風合の評価は以下の通り行うものとし、表中◎・○
・△を合格とする。 1.製糸性 ◎:糸切れ率が1%未満 ○:糸切れ率が3%未満 △:糸切れ率が10%未満 ×:糸切れ率が10%以上
【0031】2.不透明性 以下に示す透過法(△LA)、反射法(△LB)、によ
って得られた値、および肉眼法により評価、判定した。 △LA値(%) △LB値(%) 肉眼判定 ◎:17以下 15以下 防透け性が極めて高い ○:18〜20 16〜17 防透け性大 △:21〜25 18〜20 防透け性有り ×:26以上 21以上 防透け性の効果が少ない (1) 測定機器 SM−3 カラーコンピュータ(スガ試験機(株)製) (2) 測定方法 A.透過法(△LA) (1)サンプルサイズ:5×5cm (2)測定項目「透過」を選択し、台紙(もしくはスラ
イドマウント)に接着剤で固定したサンプルの透過値
(△LA)を測定する。サンプルなしの場合の△LAは
100%であり、△LA(透過)値が大きいほど透けや
すく、小さいほど透けにくいことを意味する。
【0032】B.反射法(△LB) (1)サンプルサイズ:10×10cm (2)測定項目「反射」を選択し、測定するサンプル1
枚を資料押さえで取り付け測定する。(LB) (3)さらに標準白板を後ろに当てた測定サンプル1枚
を資料押さえで取り付け測定する。(LW) (4)△LB(反射)値=LW−LBを計算する。△L
B(反射)値が大きいほど透けやすく、小さいほど透け
にくいことを意味する。
【0033】C.肉眼法 太メッシュの柄台紙にサンプル(サンプルサイズ:10
×10cm)を貼り付け、肉眼で判定。
【0034】3.製品風合 ドライ感、シャリ感、ハイタッチ感、温もり感、オチ
感、適度な張り・腰・反発感・および、光沢、軽量感、
ドレープ性を主体に熟練技術者5名による官能評価を行
い、4段階判定法で評価した。 ◎:優 ○:良 △:可 ×:不可
【0035】4.ミクロボイド有無 N減後のサンプルを顕微鏡写真により1万倍に拡大観察
し、直径数ミクロンから数百ミクロンの大きさのミクロ
ボイドの数を次の方法で判定した。 ◎:100平方ミクロン当り51個以上 ○: 11〜50個 △: 1〜10個 ×: なし
【0036】実施例1 芯成分用ポリマとして(1) 最大粒径5.0ミクロンで粒
径1.0ミクロン以下が64.5重量%のアナターゼ型
TiO2 の含有量が10重量%のポリエチレンテレフタ
レート(固有粘度0.65)を、160℃で5時間減圧
乾燥したものを、鞘成分用ポリマ(2) として5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸6.0モル%を共重合し、アナ
ターゼ型TiO2 の含有量が0.05重量%のポリエチ
レンテレフタレート(固有粘度0.60)を、160℃
で5時間減圧乾燥したものを、それぞれ290℃で溶融
し、通常の複合紡糸機において、断面形状の異なる芯鞘
型紡糸口金を各種使用して288℃で吐出した。芯鞘の
複合比率は85:15(重量比)とし、紡速1800m
/分で複合未延伸糸を得た。この未延伸糸を延伸速度9
00m/分でホットロール(温度88℃)−熱板(温度
110℃)の方式により延伸し、延伸糸の伸度が30〜
50%になるように延伸倍率を調整し、20ケ/mの軽
交絡を付与し75D−36fの延伸糸を得た。次いで8
0℃の低温で甘仮撚を行い行った。この様にして得られ
た芯鞘複合繊維を経糸および緯糸として用い1:1の平
織物を製織した。次いで通常の精練、アルカリ減量・染
色工程を経て製品とした。得られた結果を表1に示し
た。なお減量率は17%〜20%以内である。図1に断
面形状を示した。
【0037】NO.2、4、5は、製糸性〜製織性、耐
摩耗性、不透明性、製品品位ともすべての面で十分満足
出来るものであった。N0.3においては、紡糸時に僅
かに糸切れが発生したものの操業レベルに達しており、
中空率は15%で、不透明性、製品品位の面で優れたも
のが得られ、軽量感に富んだ織物が得られた。NO.6
は8葉断面で風合、光沢の面でNO.2、3、4、5に
比べやや見劣りするが一応許容レベルに入っていた。
【0038】水準NO.1は丸断面で風合、光沢の面で
本発明の範囲外であった。NO.7は10葉断面で変形
度が小さく水準NO.1と近似した風合で本発明の範囲
外であった。NO.8は芯鞘を相似形とせず芯を偏芯さ
せ芯成分の一部を表面に露出させたもので、製糸時の糸
切れが多発した。耐摩耗性も非常に悪く製糸の糸道ガイ
ド類に著しい擦過傷が認められた。高次評価のサンプル
採取は断念した。
【0039】
【表1】 実施例2 芯成分ポリマのチタン含有量を0〜30重量%変更した
以外は実施例1のNO.2に準じて製糸〜製織、精練、
N減、染色仕上げした。結果を表2に示した。
【0040】NO.10は製糸性〜製織性が良好で不透
明性、製品風合とも許容レベルであった。NO.11は
すべての面で十分満足出来るものであった。NO.12
は紡糸時僅かに糸切れが発生したが操業レベルに達して
おり、不透明性、製品風合とも優れた織物が得られた。
一方比較例であるNO.9は不透明性、製品風合とも不
十分であり、ミクロボイドの発生も認められなかった。
NO.13においては曳糸性がが不足し、紡糸での糸切
れが多発しサンプル採取が出来なかった。
【0041】
【表2】 実施例3 NO.13〜17は芯鞘複合比を変更し、アルカリ減量
は鞘成分が除去するまで実施した以外は実施例1のN
O.2に準じて製糸〜製織、染色仕上げした。結果を表
3に示した。NO.14は紡糸時僅かに糸切れが発生し
たが操業レベルに達しており、不透明性、製品風合とも
優れた織物が得られた。NO.16は不透明性、製品風
合でNO.15に比べやや見劣りし、布帛の強力も若干
低下したが許容範囲内であった。NO.15は全ての面
で十分満足の出来るものであった。
【0042】一方比較例であるNO.13は鞘成分の吐
出量が少なすぎ複合異常が発生した。芯成分が表面に露
出しており高次工程への評価は中止した。NO.17は
不透明性が不十分であり、布帛の強力が不足した。
【0043】
【表3】 実施例4 次に、芯鞘ポリマにナイロン6を用い、紡糸条件、延伸
条件をナイロン6用に調整した以外は、実施例1のN
O.2に準じて製糸〜製織、アルカリ減量、染色仕上げ
した。結果を表4に示した。NO.18は水準NO.2
と同じで製糸性〜製織性、不透明性製品品位とも優れた
物が得られ、全ての面で十分満足のできるものであっ
た。
【0044】NO.19は製糸性〜製織性、不透明性は
クリアしたが製品風合がミクロボイドが発現せず本発明
の目的と異なるヌメリ感ある風合であった。また耐光性
にも劣り染色品が黄変した。
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】織編物にした際、不透明感に優れ、ドラ
イ感、シャリ感、ハイタッチ感、温もり感等の独特の風
合に加え適度な反発感とマイルドな光沢、軽量感、ドレ
ープ性を兼ね備えた新規な質感を有する織編物を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の芯鞘複合繊維の断面形状を示す繊維
の横断面図
【図2】 本発明の繊維の異形度を説明するための繊維
の横断面図
【図3】 本発明で好ましく用いられる複合口金装置の
要部断面図
【符号の説明】
1;芯成分導入部 2;鞘成分導入部 3;口金Iプレート 4;口金IIプレート 5;口金III プレート 6;吐出孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D03D 15/00 D03D 15/00 H D06M 11/38 D06M 5/02 D

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル繊維糸条の表面に無数のミク
    ロボイドが存在し、断面形状は実質的に3〜8葉形状
    で、かつ△LA値は25%以下、△LB値は20%以下
    であることを特徴とするポリエステル繊維。
  2. 【請求項2】ポリエステル繊維の異形度M値は1.3〜
    5.0であることを特徴とする請求項1記載のポリエス
    テル繊維。(M値は外接円R1と内接円R2の半径比R
    1/R2である。)
  3. 【請求項3】ポリエステル繊維が中空部を有することを
    特徴とする請求項1または2記載のポリエステル繊維。
  4. 【請求項4】繊維糸条の表面に無数のミクロボイドを発
    現させるポリエステル繊維を製造するに際し、芯鞘複合
    からなる複合繊維の芯成分に無機微粒子を5.0〜20
    重量%含有し、鞘成分に無機微粒子を1.0重量%未満
    含有して、鞘成分ポリマはアルカリ減量速度が芯成分ポ
    リマのそれより速いポリマを用い、該複合繊維の芯部と
    鞘部の断面は相似形で3〜8葉の異形断面形状とし、芯
    部と鞘部の複合比率は90:10〜50:50重量%
    で、芯部は鞘部で覆われ表面に露出しない芯鞘複合繊維
    を紡出させ、延伸後、鞘成分をアルカリ減量で除去し、
    無機微粒子を脱落させてミクロボイドを生成させること
    を特徴とするポリエステル繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】無機微粒子が酸化チタンであることを特徴
    とする請求項4記載のポリエステル繊維の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006200061A (ja) * 2005-01-19 2006-08-03 Nippon Ester Co Ltd 異形断面糸及び芯鞘型異形断面糸
JP2010121265A (ja) * 2010-02-02 2010-06-03 Japan Vilene Co Ltd 表面多孔化繊維及び繊維シート
US8940054B2 (en) 2006-01-20 2015-01-27 Zimmer Technology, Inc. Shoulder arthroplasty system
CN108048945A (zh) * 2018-01-24 2018-05-18 广州联汇技术服务有限公司 一种新型涤纶纤维
JP2020070508A (ja) * 2018-10-30 2020-05-07 東レ株式会社 ポリエステル異形断面部分融着仮撚加工糸

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