JPH11222725A - ポリエステル繊維 - Google Patents

ポリエステル繊維

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JPH11222725A
JPH11222725A JP2893898A JP2893898A JPH11222725A JP H11222725 A JPH11222725 A JP H11222725A JP 2893898 A JP2893898 A JP 2893898A JP 2893898 A JP2893898 A JP 2893898A JP H11222725 A JPH11222725 A JP H11222725A
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JP
Japan
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polyester
fiber
value
aqueous solution
dissolution rate
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JP2893898A
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English (en)
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Seiji Morita
精次 森田
Kazutomi Suda
一臣 須田
Yoshiaki Sato
慶明 佐藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消
し、特に十分高級感のある織編物用として、不透明感に
優れ、ドライ感、キシミ感、シャリ感等の独特の風合い
と、マイルドな光沢感を兼ね備えた新規な質感を有する
織編物を提供することにある。 【解決手段】無機微粒子を1重量%以上含有したポリエ
ステルに、該ポリエステルよりも熱アルカリ水溶液に対
する溶解速度が大きいポリエステルが混合されたポリエ
ステル繊維において、前記混合された溶解速度の大きい
ポリエステルは繊維軸方向に筋状に伸びており、熱アル
カリ水溶液による減量で繊維表面にミクロボイド、およ
び繊維軸方向に筋状溝を形成し、ΔLA値は25%以
下、ΔLB値は20%以下で、断面は3〜8葉の異形断
面であることを特徴とするポリエステル繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル繊維
に関し、詳しくは無機微粒子を含有したポリエステル
に、該ポリエステルよりも熱アルカリ水溶液に対する溶
解速度が大きいポリエステルが混合されたポリエステル
繊維であり、不透明感に優れ、アルカリ減量加工するこ
とによって繊維表面に微細な凹凸、いわゆるミクロボイ
ドと、筋状溝を形成させることができるものであり、織
編物にした際に不透明感に加え、ドライ感、キシミ感、
シャリ感、温もり感等独特な風合い、パステルな光沢感
を兼ね備えたポリエステル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリエステルやポリアミドなど
の合成繊維はその優れた特徴を備えているため衣料用か
ら産業用と広範囲に用いられている。中でもポリエステ
ル繊維は強度、寸法安定性、イージケアー性等の機能性
に優れているため衣料用から産業用まで広範囲に用いら
れている。
【0003】取り分けポリエステル繊維は用途の多様化
に伴い制電性、防汚性、清涼感、蓄熱性、防透性、保温
性、軽量性、抗菌性、発色性、極細化、起毛性、ソフト
感、ドレープ性等機能性から感性に富んだ織編物の開発
が活発に行われている。例えば特公平2−50230号
公報には変性ポリエステルと未変性ポリエステルを混合
紡糸し、減量加工することによって発色性を向上する方
法が提案されている。しかしながら該公報によって得ら
れる繊維は、色の深みは得られるものの、フィブリルが
発生しやすくフィブリル化すると発色性も低下すること
がわかった。
【0004】また、特開平7ー189027号公報で
は、変性ポリエステルと未変性ポリエステルを混合紡糸
し、減量加工することによって発色性を向上する方法が
提案されている。しかしながら該公報によって得られる
繊維は扁平度2〜4の繊維であるため、織物とした場合
には扁平面が優先的に織物表面に配列されるためフィブ
リルが発生しやすくフィブリル化すると発色性も低下す
ることがわかった。
【0005】一方、ポリエステル繊維に微細な表面凹凸
を形成させることによってドライタッチな風合いを付与
したり、或いは発色性を高める高める技術としては特開
昭54−120728号公報、特開昭55−10751
2号公報、特開昭55−51819号公報、特開平3−
124852号公報等で、種々の粒子を配合し、ドライ
タッチな風合いの付与、或いは発色性の向上方法が提案
されているがいずれも不透明感に優れ、高級感のあるド
ライタッチな風合い、絹のようなキシミ感、そして自然
なシャリ感を付与することはできなかった。
【0006】また、粒子を配合することによって微細凹
凸を形成させる以外の方法としては、例えば特開昭58
−98474号公報、特開平6−41836号公報等で
は、ポリエステルとは非相溶性の添加剤を配合する方法
が提案されている。しかしながら、該公報で提案されて
いるポリエステルとは非相溶性の添加剤を配合する方法
では、繊維がフィブリル化してしまい、毛羽感を有する
布帛はえられるものの、不透明感に優れ、高級感のある
ドライタッチな風合い、絹のようなキシミ感、そして自
然なシャリ感を付与することはできなかった。このよう
に、ポリマ混合技術、粒子配合技術については公知技術
であるが、従来技術では不透明感に優れ、高級感のある
ドライタッチな風合い、絹のようなキシミ感、そして自
然なシャリ感と温もり感、マイルドな光沢感を付与する
ことはできなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の欠点を解消し、特に高級感のある織編物用に
した際に不透明感に優れ、高級感のあるドライタッチな
風合い、絹のようなキシミ感、そして自然なシャリ感と
温もり感、マイルドな光沢感を兼ね備えた従来技術では
達成できなかった特徴のあるポリエステル繊維を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、無
機微粒子を1重量%以上含有したポリエステルに、該ポ
リエステルよりも熱アルカリ水溶液に対する溶解速度が
大きいポリエステルが混合されたポリエステル繊維にお
いて、前記混合された溶解速度の大きいポリエステルは
繊維軸方向に筋状に伸びており、熱アルカリ水溶液によ
る減量で繊維表面にミクロボイド、および繊維軸方向に
筋状溝を形成し、ΔLA値は25%以下、ΔLB値は2
0%以下で、断面は3〜8葉の異形断面であることを特
徴とするポリエステル繊維によって達成することができ
る。
【0009】(ただし、ΔLA値とはカラーコンピュー
ターの透過法により測定した透過値、ΔLB値とはカラ
ーコンピューターの反射法により測定した反射値。)
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を詳細に説明
する。以下の事象は独立して起こるわけではないが説明
を判りやすくするために別々に説明する。
【0011】先ず本発明のアルカリ溶解速度の小さいポ
リエステル繊維は無機微粒子を1重量%以上含有してい
る必要がある。無機微粒子としては酸化チタン(TiO
2 )、およびSiO2 、ZnOが太陽光線の中の可視光
線〜赤外線を、特に波長0.4〜2μmの光線を効率よ
く反射する点で好ましく挙げられる。特に TiO2は不
透明性に優れ、かつ取扱性のし易さ、価格面、太陽光線
に対する諸機能等の点でより好ましい。例えばTiO2
には皮膚に有害な紫外線を吸収・遮蔽、かつ暑さと感じ
る太陽光の可視および近赤外線領域を効率的に反射する
ため、日射エネルギーの吸収を抑え、衣服にしたときの
衣服内の温度を抑える効果がある。
【0012】この無機微粒子を1重量%以上含有するポ
リエステルはアルカリ減量処理により、アルカリ減量の
影響がおよぶ繊維表面および表面近傍から無機微粒子が
脱落してミクロボイドを生成することができる。このミ
クロボイドとは繊維表面にできた微細な孔のことで、大
きさは直径が数ミクロンから数百ミクロンまでのものを
指す。ミクロボイドの発生した繊維表面を顕微鏡で拡大
観察すると、粒径数ミクロンから数百ミクロンまでの酸
化チタンを核として周辺が減量された無数のミクロボイ
ドが確認される。このミクロボイドが風合いに大きく影
響を与え、ドライ感、シャリ感、温もり感、ハイタッチ
感、即ちサラッとした感触と、暖かく温もりが有り、か
つツルツルと滑るような心地よい感触で独特の風合いを
得ることができ、これらを総称して独特の風合いと呼ん
でいる。
【0013】表面にミクロボイドが無いか、その数が少
ないと繊維表面は平坦となり、触った感じはヌメッタ感
触で冷たく金属的で人工的な好ましくない風合いとな
る。このミクロボイドの数は無機微粒子の含有率により
調整でき、その含有率は1〜10重量%が好ましい。
【0014】次にアルカリ溶解速度の大きいポリエステ
ルは、無機微粒子含有ポリエステルに混合されている必
要があり、混合された溶解速度の大きいポリエステルは
繊維軸方向に筋状に伸びている必要がある。この混合部
の横断面形状は海島形状が好ましい。ここで言う海島形
状とは海ポリマ中に島ポリマが繊維軸方向に筋状に伸び
ている状態を言い、このように海島状に混合したポリマ
状態にすることによって、減量処理した際に繊維表面に
繊維軸方向に伸びた島部が溶解除去され筋状溝を形成さ
せることができる。島部の大きさは減量処理によって形
成される筋状溝と相関関係があり、高級感のある絹のよ
うなキシミ感を付与し、フィブリル化起こさせないため
には島部の外接円径Dが0.01μm以上1.0μm以
下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm
以上0.1μm以下である。次に島部の長さであるが高
級感のある絹のようなキシミ感を付与し、フィブリル化
を起こさせないためには島部が繊維軸方向に伸びてお
り、その長さLが2μm以上20μm以下であることも
好ましく、より好ましくは 4μm以上15μm以下で
ある。
【0015】なお、本発明でいう島部が繊維軸方向に伸
びているとは、島部が繊維軸方向に対して30度以下の
角度で伸びていることを意味するものであり、島部の7
0%以上が繊維軸方向に伸びていれば良い。
【0016】また、島部の外接円径Dの測定は以下の方
法で行う。繊維を厚さ5μmにカットした切片に3%苛
性ソーダ水溶液を滴下し、98℃で15分間乾熱処理を
行った後、走査型電子顕微鏡にて断面写真(10000
倍)を撮影し、該写真より凹部の外接円を10カ所以上
測定し、その平均値を島部の外接円径Dとして算出す
る。
【0017】また、島部の長さLの測定は以下の方法で
行う。繊維を3%苛性ソーダ水溶液に浴1:125、温
度98〜100℃で、減量率が5±2%となるように減
量処理を行った後、走査型電子顕微鏡にて繊維表面写真
(3000倍)を撮影し、該写真より繊維表面に形成さ
れた筋状溝の長さを10カ所以上測定し、その平均値を
島部の長さLとして算出する。
【0018】本発明のポリエステル繊維は、筋状溝を形
成させることによって、絹のようなキシミ感を付与する
ものである。該筋状溝を形成するためには、海島状の混
合部を形成する少なくとも2種以上のポリエステルが熱
アルカリ水溶液に対する溶解速度差を有していることが
必要であり、海部を形成するポリエステルに対する島部
を形成するポリエステルの溶解速度の比を5倍以上とす
ることが必要である。筋状溝を効率よく形成するために
は該溶解速度の比を8倍以上とすることが好ましく、よ
り好ましくは15倍以上である。
【0019】熱アルカリ水溶液に対する溶解速度は、以
下の方法で測定する。本発明のポリエステル繊維の混合
部に用いる2種以上のポリエステルをそれぞれ同一デニ
ールの円形断面繊維とし、各繊維を3%苛性ソーダ水溶
液に浴1:125、温度98〜100℃で30分間処理
し、各々の減量率を次式より求め、該減量率の比を熱ア
ルカリ水溶液に対する溶解速度の比として求める。
【0020】 減量率(%)=[(W0−W1)/W0]×100 但し、WO:アルカリ減量前の重量、W1:アルカリ減
量後の重量である。
【0021】この熱アルカリ水溶液に対する溶解速度の
5倍以上大きいポリエステルは取扱の容易さ、紡糸性の
容易さより5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合
した共重合ポリエステルが好ましい。また、好ましい共
重合率は筋状溝の形成性、糸物性面の安定化、製糸性の
観点より1.5〜10モル%が好ましい。
【0022】本発明のポリエステル繊維は上記した如く
ミクロボイドと筋状溝がアルカリ減量処理時において同
時進行的に生成するが、ここでは説明を判りやすくする
ために、別々に事象を説明した。
【0023】次に、本発明のポリエステル繊維のΔLA
値、ΔLB値とは熱水アルカリ水溶液(3%、98℃)
で処理して減量を20%した際の測定値でΔLA値は2
5%以下、ΔLB値は20%以下である。ΔLA値とΔ
LB値は両者とも不透明性を示す尺度であり、この値が
小さいほど透けにくいことを示している。両者の測定方
法の詳細は後述した。ΔLA値は透過法により測定した
光の透け度合(光遮蔽性)の値であり、25%以下が必
要である。ΔLA値が25%より大きい場合は透け防止
効果が少なく本発明の目的から外れてしまう。従って
ΔLA値は好ましくは20%以下、更に好ましくは17
%以下である。
【0024】ΔLB値は反射法により測定した光の反射
値であり、実着用を想定した場合での防透け効果は、実
験結果より肉眼判定と高い精度で一致する。このΔLB
値は20%以下が必要で、ΔLB値が20%より大きい
場合は透け防止効果が少なく本発明の目的から外れてし
まう。従ってΔLB値は好ましくは17%以下、更に好
ましくは15%以下である。
【0025】次に、本発明のポリエステル繊維の断面は
異形断面形状であることが必要である。審美性の付与、
風合いの向上、ドライ感の創出、絹様なキシミ感、独特
の光沢・表面タッチ、高級感と特定の機能性向上は丸断
面形状では得られ難く異形断面形状が必要で、中でも形
状の効果が良好に得られる3〜8葉断面が必要である。
扁平断面は用途が限定され、また、9葉以上の断面形状
では丸断面との有意差が少なくなる。従って3〜8葉断
面が必要であるが、中でも光沢とドライ感、キシミ感、
シャリ感を重視する場合は、シャープな形状が得られる
3〜5葉断面が特に好ましい。
【0026】また、断面形状M値は異形断面の外接円R
1と内接円R2の半径比R1/R2をいい、この値が多
きほどシャープな形状を表している。この異形度M値は
1.3〜5.0の範囲が好ましい。1.3未満では異形
度が少なすぎて丸断面との優位性が薄れ、逆に5.0よ
りも大きい異形度を得ようとすると特殊ポリマ、特殊口
金となり製糸性が著しく悪化し糸切れが多発する。より
好ましくは1.7〜3.0の範囲である。
【0027】次に無機微粒子を含有したポリエステル
と、熱アルカリ水溶液に対する溶解速度が5倍以上大き
いポリエステルとの混合重量比率が55:45〜95:
5であることが不透明感、ミクロボイドの発生、繊維軸
方向に伸びた筋状溝の形成性、良好な製糸性、糸物性面
の安定化より好ましい。
【0028】本発明でいうポリエステルとは、テレフタ
ル酸を主たる酸性分とし、エチレングリコール、テトラ
エチレングリコール、テトラメチレングリコール、シク
ロヘキサン1,4−ジメタノール、ペンタメチレングリ
コール、ヘキサメチレングリコールより選ばれた少なく
とも1種を主たるグリコール成分とするポリエステルで
あり、40モル%以下の第3成分を共重合してもよい。
好ましい共重合成分としては、アジピン酸、セバシン
酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタリ
ンジカルボン酸等の2塩基酸類、オキシ安息香酸の如き
オキシ酸類、およびジエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール
類、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,2ビス
{4ー(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン
等のうちから1種または2種以上のものを共重合したポ
リエステルが挙げられる。
【0029】但し、ポリエチレングリコールの場合、数
平均分子量が10000を越えるとポリマ合成における
反応性が著しく低下し、未反応物がポリエステルとは非
相溶となり製糸性を著しく阻害することがあるので数平
均分子量が10000以下のものを用いるのが好適であ
る。
【0030】次に本発明のポリエステル繊維の好ましい
製造方法について一例を挙げながら更に具体的に説明す
る。アルカリ溶解速度の小さいポリマとして、テレフタ
ル酸とエチレングリコールを重合して得られるポリエチ
レンテレフタレートを70モル%以上含むポリエステル
に、無機微粒子である酸化チタンを1〜10重量%含有
したものを、アルカリ溶解速度の5倍以上大きいポリマ
としては、ポリエステルに5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸1.5〜10モル%共重合したポリマを別々に溶
融した。両ポリマを混合する方法としてはミキサーで混
合する方法、2種以上のポリマをチップの状態で混合す
る方法などが挙げられる。ここで、2種以上のポリマを
別々に溶融し、ミキサーで混合して一旦マスターチップ
とした後で紡糸する方法では、2種以上のポリエステル
を混合した効果が喪失する。即ち、繊維軸方向に伸びた
筋状凹凸を形成させることができない。また、パック、
口金を複雑にしないためにはポリマ配管中、またはパッ
ク内ミキサーで混合し口金に導くのが好適に利用でき
る。異形断面形状とするためには、この混合流を3〜8
葉形状を有する吐出孔から吐出させ、3〜8葉断面のポ
リエステル繊維とする。
【0031】このとき、熱アルカリ水溶液に対する溶解
速度が大きいポリエステルに対する小さいポリエステル
の混合重量比率を95/5〜55/45とするには、両
ポリマの吐出量比を調整することで混合重量比を変える
ことができる。
【0032】また、本発明のポリエステル繊維は巻取操
作によって本発明の効果が損なわれるものではないか
ら、巻取操作としては未延伸糸として一旦巻き取った
後、延伸する方法、または高速紡糸法等のいずれのプロ
セスも適用することができる。更に、必要に応じて仮撚
や空気交絡等の糸加工を施すことができる。
【0033】また、本発明のポリエステル繊維を異収縮
混繊糸とし、高、低収縮糸としても好ましく使用でき
る。また、混繊糸の一方として用いる場合は、織編物に
した際に表面を形成する低収縮糸として好ましく使用で
きる。異収縮混繊糸を製造する方法としては、従来より
知られている後混繊方式、紡糸混繊方式のいずれの方法
で製造しても良い。
【0034】そして、このポリエステル繊維は通常のア
ルカリ減量処理を行うがその減量処理は製編織後におい
て行うのが最も効果的である。このアルカリ減量処理に
より繊維表面にミクロボイドと筋状溝が形成される。
【0035】本発明のポリエステル繊維を織編物を製造
し、減量処理することによって繊維表面にミクロボイド
の形成、筋状溝を形成させることができる。これによっ
て、本発明の目的とする不透明感に加え、ドライ感、キ
シミ感、シャリ感、温もり感等独特な風合い、パステル
な光沢感を兼ね備えた従来技術では得ることのできなか
った高級感のある新規な織編物を製造することができ
る。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。◎ なお、実施例において不透明性、製品風合いの評価は以
下の通り行うものとし、表中◎・〇・△を合格、×を不
合格とする。
【0037】1.不透明性 20%アルカリ減量後のサンプルを、以下に示す透過法
(△LA)、反射法(△LB)によって得られた値、お
よび肉眼法により評価判定した。 △LA値(%) △LB値(%) 肉眼判定 ◎: 17以下 15以下 防透け性が極めて高い 〇: 18〜20 16〜17 防透け性大 △: 21〜25 18〜20 防透け性有り ×: 26以上 21以上 防透け性の効果が少ない
【0038】(1)測定機器 SMー3カラーコンピュター(スガ試験器(株)製) (2)測定方法 A.透過法(△LA) (1)サンプルサイズ:5×5cm (2)測定項目「透過」を選択し、台紙(もしくはスラ
イドマウント)に接着剤で固定したサンプルの 透過値
(△LA)を測定する。サンプルナシの場合の△LAは
100%であり、△LA(透過)値が大きいほど透けや
すく、小さいほど透けにくいことを意味する。
【0039】B.反射法(△LB) (1)サンプルサイズ:10×10cm (2)測定項目「反射」を選択し、測定するサンプル1
枚を試料押さえで取り付け測定する。(LB) (3)さらに標準白板を後ろに当てた測定サンプル1枚
を試料押さえで取り付ける。(LW) (4)△LB(反射)値=LW−LBを計算する。△L
B(反射)値が大きいほど透けやすく、小さいほど透け
にくいことを意味する。
【0040】C.肉眼法 太メッシュの柄台紙にサンプル(サンプルサイズ:10
×10cm)を貼り付け、肉眼で判定。
【0041】2.製品風合い ドライ感、キシミ感、シャリ感、を主体にハイタッチ
感、温もり感、適度な張り・腰 反発感、光沢、ドレー
プ性も加味し熟練者5名による官能評価を行い、4段階
判定法で 評価した。 ◎ ◎: 優 〇: 良 △: 可 ×: 不可
【0042】3.ミクロボイド アルカリ減量後のサンプルを顕微鏡写真により1000
0倍に拡大観察し、直径数ミ クロンから数百ミクロン
の大きさのミクロボイドの数を次の方法で判定した。 ◎:100平方ミクロン当たり50個以上 〇: 10〜49個 △: 1〜9個 ×: なし
【0043】4.固有粘度 オルトクロロフェノール10mlに対して試料0.1g
を溶解して温度25℃でオストワルド粘度計を使用して
測定した。
【0044】実施例1〜3、比較例1 平均粒径が0.6ミクロンのアナターゼ型TiO2 を表
1に示した重量%含有した固有粘度[η]0.67のポ
リエステル(A)と、固有粘度[η]0.65で5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸5モル%共重合した変性ポ
リエステル(B)を各々溶融後、A/Bの混合重量比率
を80:20で東レ(株)製ハイミキサー10段を備え
た混合装置により溶融混合し、通常の紡糸機で紡糸温度
290℃で吐出し、1800m/minの速度で未延伸糸
を巻き取った。続いて該未延伸糸を通常のホットロール
・熱板延伸機により2.4倍で延伸して、30デニール
24フィラメントの3葉断面繊維を得た。
【0045】両ポリマの混合状態は、変性ポリエステル
が筋状に伸びて島部を形成した海島状に混合されてお
り、海部を形成するポリエステルに対する島部を形成す
るポリエステルの3重量%水酸化ナトリウム98℃熱水
溶液に対する溶解速度の比は50倍であった。
【0046】この繊維を2本合糸した後、甘撚し、経糸
および緯糸に使用して製織し水酸化ナトリウム3重量%
水溶液を使用して、98℃の条件で各水準ともアルカリ
減量率が20%になるように減量処理し、得られた織物
特性について評価した結果を表1に示す。
【0047】実施例1〜3とも繊維表面に繊維軸方向に
伸びた筋状溝が形成されており、かつ、ミクロボイドも
十分な数が発現していた。不透明性、製品風合い、製品
品位とも満足できるものであった。
【0048】比較例1はキシミ感は認められたがドライ
感、シャリ感、が不足しており不透明性も不十分であっ
た。
【0049】
【表1】 実施例4〜5、比較例2〜3 (B)ポリマの 5−ナトリウムスルホイソフタル酸の
共重合率を変更し、[η]0.65〜0.70に調整し
た以外は実施例2に準じて製糸〜製織、精錬、アルカリ
減量処理、染色仕上げした。結果を表2に示した。
【0050】実施例4は、溶解速度比が約6倍で繊維表
面に形成される溝が実施例5に比べ少なくキシミ感がや
や少なかったが許容レベルであった。
【0051】比較例2は、溶解速度比が5倍に達してお
らず、得られた製品はキシミ感が殆ど感じられなかっ
た。比較例3は筋状溝が形成されなかった。
【0052】
【表2】 実施例6〜8、比較例4 実施例2において、ポリエチレンテレフタレートと変性
ポリエステルの混合重量比率を表3に示すように変更し
た以外は実施例2に準じて実施した。
【0053】実施例6では、繊維表面にミクロボイドは
形成されていたが筋状溝の発生頻度がやや少なく、長さ
も短いためキシミ感が若干弱かったが許容範囲内であっ
た。実施例8では繊維表面にミクロボイドが形成されて
おり、筋状溝も形成されていたが表面にやや微毛毛羽の
発生が見られたものの許容範囲内であった。
【0054】比較例4では、島部を形成していた未変性
ポリエステル部分がアルカリ減量処理により毛羽立ち
し、ドライ感もキシミ感も本発明のものと異質の織物で
あった。
【0055】
【表3】 実施例9〜11、比較例5〜6 実施例2において、断面形状を表4に示すように変更し
た以外は実施例2に準じて実施した。
【0056】実施例9〜10はすべての面で優れてい
た。実施例11は断面形状が実施例9〜10に比べシャ
ープさがやや劣っており、そのため風合い面においてキ
シミ感、シャリ感、光沢感がやや不足していたが許容範
囲内であった。
【0057】比較例5、6においては、風合い面におい
てドライ感が不足しており、キシミ感、シャリ感、光沢
感が本発明とは異質の織物であった。
【0058】
【表4】
【0059】
【発明の効果】織編物にした際に不透明感に優れ、ドラ
イ感、キシミ感、シャリ感等の独特の風合いと、マイル
ドな光沢感を兼ね備えた新規な質感を有する織編物を得
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D06M 11/38 D01F 8/14 B // D01F 8/14 D06M 5/02 Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機微粒子を1重量%以上含有したポリエ
    ステルに、該ポリエステルよりも熱アルカリ水溶液に対
    する溶解速度が大きいポリエステルが混合されたポリエ
    ステル繊維において、前記混合された溶解速度の大きい
    ポリエステルは繊維軸方向に筋状に伸びており、熱アル
    カリ水溶液による減量で繊維表面にミクロボイド、およ
    び繊維軸方向に筋状溝を形成し、ΔLA値は25%以
    下、ΔLB値は20%以下で、断面は3〜8葉の異形断
    面であることを特徴とするポリエステル繊維。(ただ
    し、ΔLA値とはカラーコンピューターの透過法により
    測定した透過値、ΔLB値とはカラーコンピューターの
    反射法により測定した反射値。)
  2. 【請求項2】無機微粒子は繊維断面に均一に分散してお
    り、酸化チタンであることを特徴とする請求項1記載の
    ポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】ポリエステルが混合された混合部の繊維横
    断面形状は海島形状になっており、島部は繊維軸方向に
    伸びていることを特徴とする請求項1または2記載のポ
    リエステル繊維。
  4. 【請求項4】混合された熱アルカリ水溶液に対する溶解
    速度の大きいポリエステルが、5−ナトリウムスルホイ
    ソフタル酸を1.5〜10モル%共重合した共重合ポリ
    エステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    か1項記載のポリエステル繊維。
  5. 【請求項5】無機微粒子を含有したポリエステルと、熱
    アルカリ水溶液に対する溶解速度の大きいポリエステル
    との混合重量比率が55:45〜95:5であることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエス
    テル繊維。
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