JPH062234A - 発色性の良好なポリエステル糸長差混繊糸 - Google Patents

発色性の良好なポリエステル糸長差混繊糸

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JPH062234A
JPH062234A JP4158017A JP15801792A JPH062234A JP H062234 A JPH062234 A JP H062234A JP 4158017 A JP4158017 A JP 4158017A JP 15801792 A JP15801792 A JP 15801792A JP H062234 A JPH062234 A JP H062234A
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yarn
fiber
groove
grooves
color developing
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JP4158017A
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Sueo Ito
末男 伊藤
Yoshihiro Konno
吉宏 近野
Hiroshi Takahashi
洋 高橋
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高発色性および優れた風合いを同時に満足する
ポリエステル糸条を提供する。 【構成】長さが異なる少なくとも2種の繊維からなる糸
条であって、糸長差が3%以上、25%以下からなる混
繊糸であり、前記繊維群の少なくとも1種は繊維軸方向
に連続した3個以上の楔形の溝を有ししており、該溝形
状を特定化したことを特徴とする発色性の良好なポリエ
ステル糸長差混繊糸。 【効果】糸長差のある2種類以上の繊維群からなる糸長
差混繊糸であって、該繊維群の少なくとも1種が特異な
断面形状を有しているため、編織物にしたときの豊かな
膨らみ、ソフト感、ドレ―プ性を有し、かつ染色品に色
の深みがあり、有彩色でも鮮明性に優れた発色性を示
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発色性の良好な糸長差混
繊糸に関し、詳しくは糸長差のある2種類以上の繊維群
からなる糸長差混繊糸であって、該繊維群の少なくとも
1種が特異な断面形状を有している、優れた発色性と豊
かな膨らみ、ソフト感、ドレ―プ性を有する発色性の良
好なポリエステル長差混繊糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、天然繊維や他の化
学繊維に比べて染色物の色の深みや鮮明性に欠けるた
め、従来から種々検討がなされている。例えば、特開昭
52−9940号公報は繊維の表面に微細な凹凸を付与
することによって光の吸収を増大させ発色性を向上させ
たものであるが、この方法では黒発色の向上効果は認め
られるものの、その効果は十分ではなく、かつ有彩色の
発色性の向上はほとんど認められなかった。一方、糸表
面にスリット状の溝を形成した繊維は数多く提案されて
いる。例えば、特開昭56−165015号公報、特開
昭57−5912号公報記載の発明は発色性向上を目的
としたものではないために溝の形状には致っていない。
さらに、特開昭60−151313号公報記載の発明は
発色性向上を目的として、繊維長手方向に多数の溝を設
け、該溝の幅を溝の深さの1/3以下とすることが提案
されているが、単に溝の深さの比を特定化するだけで
は、安定した発色性の良好な繊維を得ることができなか
った。
【0003】また、他方糸長差を発現させた収縮差混繊
糸は膨らみ、ソフト感、ドレ―プ性などに富んだシルキ
―織編物を提供することは公知である。これらは例え
ば、特公昭51−30620号公報、特開昭49−72
449号公報、特開平2−19528号公報に記載され
ている。しかしながら、これらは収縮差混繊糸により得
れるシルキ―織物の外観と風合の向上を目的としたもの
であり、発色性に優れ、かつ膨らみ感、ソフト性、ドレ
―プ性などを同時に満足するものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は発色性
向上効果と同時に十分な膨らみ感、ソフト性、ドレ―プ
性などを満足する繊維の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は長さの異
なる少なくも2種以上の繊維群からなる糸条であって糸
長差が3%以上、25%以下である混繊糸であり、前記
繊維群の少なくとも1種は繊維軸方向に連続した楔形の
溝を3個以上有しており、該溝形状が次式を満足するこ
とを特徴とする発色性の良好なポリエステル糸長差混繊
糸によって達成される。 溝幅 (W) :1.0μm以上 溝深さ(L) :1.0μm以上 L/W比 :0.8以上 全周長に対する溝幅の合計の比率 :0.15以上
【0006】本発明について詳細に説明する前に、発色
性の高い繊維を得るときに繊維の横断面形状の特定化が
いかに重要であるかについて、本発明者の検討した経緯
を説明する。
【0007】図5〜図7はポリエステル繊維における溝
の形状と発色性の関係を説明するための図である。図5
は繊維の溝幅Wに対して後述する測定法で黒色で染色し
たときの発色性の目安とするL値の関係を表した図であ
る。図7は溝の深さLに対して黒色に染色したときのL
値の関係を表した図である。また図8は繊維全周長に対
する溝幅の合計に対して黒色に染色したときのL値の関
係を表したものである。ここで繊維全周長とは繊維断面
の仮想周長である。すなわち、図4において、溝を挟む
両側の突起に接する接線を引いて、その接点A、B間の
長さと突起部の最外周長とを合計した長さをいう。
【0008】図5、図6から明らかなように繊維にただ
単に溝を付与するだけでは高度な発色性能を得ることが
できず、溝幅W、溝の深さL、そして溝幅に対する溝の
深さL/W、つまり溝の形状を適性範囲に特定化するこ
とが重要な要素であることがわかる。この理由は明確で
はないが、おそらく単一の溝については単位周長に対し
て入射した光をより多く取り込むことと、入射した光が
多数回の屈折を繰り返させて効率よく繊維内部に光を取
り込み染料分子を吸収できるために、特定化した溝の形
状が必要であると考える。
【0009】更に、図7は特定化した溝幅Wを有するポ
リエステル繊維について繊維全周長に対する溝幅の合計
の比率に対するL値を表した図である。この図からも明
らかなように特定化した溝形状を有する繊維のL値は繊
維全周長に対する溝幅の合計の比が高いほど発色性が良
好であることが明かである。このように発色性を改善す
るためには、単に溝を設けるだけでは達成できず、特定
化した範囲の溝形状とすることが重要である。
【0010】本発明の繊維を図1によって説明する。図
1は本発明の好ましい実施態様である繊維の横断面形状
を示した図である。繊維1は突起2を7個有しており、
突起2と突起2´の間には略三角形の溝3が突起の数と
同数存在する。図1は略円形の横断面図であるが、糸断
面形状は略三角形、略五角形、略偏平などで特に限定す
るものではない。
【0011】溝の数は繊維の断面において3個以上存在
することが必要である。3個以上の溝が存在することに
よって仮に繊維が捻れても常に有効な溝が存在するた
め、溝による光の吸収効果が発揮できるので、発色性の
向上が図れるのである。溝の数が3個未満の場合には溝
の効果が発揮されないことと、光の吸収が不十分である
ことから本発明の目的を達成することはできない。また
光の吸収は溝の数が多いほど増大することから発色性向
上のためには溝の数は多い方が好ましい。溝の数は4個
以上が好ましく、特に好ましくは5個以上である。更に
好ましくは7個以上である。ただし、細い繊維の場合は
溝の数を多くすると突起の幅が薄くなってしまい染料分
子が吸収されずに透過する光の量が増大することと、溝
に対する発色性向上効果が飽和に達するため、溝の数は
20個以下が好ましい。
【0012】光の吸収を増加させるためには、溝の数と
共に溝の形状を特定することが重要である。ここで、溝
により多くの光を効率よく取り込むために、溝幅Wは
1.0μm以上、溝の深さLは1.0μm以上とする必
要がある。溝の幅Wと深さLの特定化は、一旦取り込ん
だ光を屈折回数を増やし、より多く溝壁に衝突させて光
の吸収を増加させるために必要である。発色性をより向
上させるためには溝幅Wは1.5μm以上が好ましく、
2.2μm以上が更に好ましい。また、溝の深さLは
2.2μm以上が好ましくより好ましくは3.2μm以
上である。溝幅Wが1.0μm未満では光の吸収量が少
なく発色性が不十分となり、一方溝幅Wが広すぎると突
起の幅が薄くなるので、溝幅wは10μm以下が好まし
い。溝の深さLが浅い場合には、実質的に溝の効果が発
揮されず、表面反射が増大して発色性の向上効果が小さ
く、逆に溝の深さLが深すぎると図1に示す溝の頂点部
をG1 、G2 ………Gn としたとき、各頂点と繊維断面
の重心(P)を結ぶ線分の長さMが小さくなって、突起
部分が分割され易くなるので、Mは3μm以上であるこ
とが好ましい。
【0013】取り込んだ光をさらに効率よく繊維に吸収
するためには、繊維に衝突する回数を増加させることが
重要であり、そのためには溝幅Wと溝の深さLの関係
を、溝幅に対する溝深さの比L/Wを0.8以上とする
必要がある。好ましくは1.2以上であり、さらに好ま
しくは1.4以上である。溝幅に対する溝の深さL/W
は0.8以上とする必要があるが、溝幅Wが狭すぎると
取り込む光の量が減少してしまうので、溝幅に対する深
さの比L/Wは2.5以下が好ましい。また、より一層
多くの光を取り込むためには、繊維横断面の溝形状は繊
維の中心から外周へ向かって徐々に広くなる形状(楔
形)であることが必要である。
【0014】突起の厚みが十分な場合は、一旦吸収した
光をほぼ繊維内部に吸収できるが、突起の厚みが不十分
な場合には繊維層を通過して光の一部は再び空気層に出
てしまうことになる。この減少を防止し、吸収効率を増
加するためには突起の厚みを1.0μm以上にすること
が好ましい。さらに好ましくは3.0μm以上、特に好
ましくは4.5μm以上である。
【0015】溝の形状は幅が広く深い方が発色性は向上
するので好ましい。しかしながら、繊度が小さいときに
は溝幅W、溝深さLは自ずと制限される。要は吸光部分
を多くすることが重要なのであり、そのためには糸ある
いは布帛全体として光を多く取り込むための溝部分を多
く有していることが重要なのである。発色性を十分に発
揮させるためには、繊維の全周長に対する溝幅Wの合計
の比を0.15以上とする必要がある。好ましくは0.
22以上、特に好ましくは0.3以上であり、更に好ま
しくは0.4以上である。ただし、全周長に対する溝幅
Wの合計の比が大きくなりすぎると繊維の強度、摩擦に
対する耐久性が劣るなどのマイナス面が顕在化するの
で、全周長に対する溝幅比は0.6以下が好ましく、特
に0.5以下が好ましい。本発明の繊維は中心部分と突
起部分が同一成分からなっていることが好ましく、特に
突起部分と中心部分の境界が溶出成分で構成されている
場合、および繊維の中心部分まで延長している繊維の場
合には製品のフィブリル化が発生し易くなり、フィブリ
ルが発生すると発色性が著しく低下してしまうことと、
フロスティングが起こり好ましくない。
【0016】発明においては、繊維中の粒子含有量は少
ないことが有効で、その含有量は粒子量0.1重量%以
下が好ましく、特に好ましくは0.05重量%以下であ
る。本発明の繊維は繊維軸に平行な特定化された楔状の
溝を多数有しており、その結果発色性が大幅に向上する
が、糸条の構造を膨らみのあるものにすることによって
発色性を更に向上することができることを見い出したの
である。この理由については明確ではないが、本発明の
繊維の表面で反射された少ない光が、他の繊維に衝突
し、ここで効率よく繊維に吸収され全体の反射光量が更
に減少するためと考える。つまりこれは繊維軸に平行な
特定化された楔状の溝を多数有する繊維の糸長差混繊糸
によって糸条の配列を乱し、反射された光を効率よく吸
収することによって、達成されるものである。
【0017】本発明の糸条は糸長差の異なる少なくとも
2種の繊維群からなり、糸長差が3%以上、25%以下
からなる混繊糸であり、前記繊維群の少なくとも1種は
前記した繊維軸方向に特定の形状の溝を有しており、良
好な発色性と豊かな風合いを同時に満足するものであ
る。発色性の点から楔状の溝を3個以上有する繊維は繊
維全体の30重量%以上含有していることが好ましい。
【0018】本発明の目的とする豊かな膨らみと光の吸
収をより効果的に発現させるには、糸長差(以下DFL
と称する)は5%以上、25%以下である必要がある。
DFLが5%未満の場合は、得られた織編物は膨らみが
なくペ―パ―ライクなものとなってしまい、また25%
を越えると、織編物の表面で低収縮糸が座屈してしまい
表面外観を均斉し難しくなることと、粗硬感のある編織
物となってしまうため好ましくない。DFLは、好まし
くは9%以上、20%以下の範囲にすることにより、発
色性および膨らみをより豊かなものにすることができ
る。
【0019】本発明の楔形の溝を有する繊維は、例えば
次のように製造することができる。図2は本発明の繊維
を得るためのアルカリ減量加工前の繊維の横断面形状の
例を示す図であり、7個の楔形状を有している易溶成分
Xと難溶解成分Sからなる複合繊維を得、その繊維をア
ルカリなどの溶剤で処理することによって易溶成分Xを
溶出し、7個の溝を有している図1の繊維を得ることが
できる。ここで、易溶成分Xはアルカリ水溶液に対する
溶解速度が、難溶解成分Sよりも2倍以上速いものが好
ましい。そのために、易溶成分Xのポリマ―組成はスル
ホン酸金属塩を有する化合物を1モル%以上共重合して
いることが好ましく特に、スルホン酸金属塩を有する化
合物を2.3モル%以上共重合していることが好まし
い。なお、本発明において略三角形、略五角形、略偏平
糸を得るためには、例えば図3(a)〜(c)の複合糸
が採用される。
【0020】また、本発明における短い繊維と長い繊維
からなる混繊糸は例えば次のように製造することができ
る。即ち、異なる重合度のポリマ―からなる溶融紡糸な
らびに延伸時の熱履歴、延伸倍率など製糸条件を異なら
しめる方法、紡糸速度の異なる繊維を混繊延伸する方
法、実質的に延伸倍率の異なる繊維を混繊延伸する方
法、および第3成分を添加した変性ポリエステルを用い
る方法である。糸長差を有する混繊糸をポリマ―組成の
異なる繊維群により得る方法について更に詳細に述べ
る。
【0021】糸長の長い繊維を構成する難溶解成分とし
てはポリエチレンテレフタレ―トまたは3モル%以下の
第3成分を共重合したポリエチレンテレフタレ―トが好
ましく用いられ、また糸長の短い繊維を構成する難溶解
成分としては第3成分を共重合したポリエチレンテレフ
タレ―トが用いられる。共重合成分としては、シュウ
酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族、ジカルボン
酸、イソフタル酸、フタル酸、等の芳香族のジカルボン
酸、1、2−シクロブタンジカルボン酸等の脂環を持つ
ジカルボン酸、その他炭素、水素、および酸素以外の元
素を含むジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸、5−メチルスルホイソフタル酸、あるいはプロピ
レングリコ―ル、ポリエチレングリコ―ル、ブタンジオ
―ル、チオグリコ―ル、p−キシリレングリコ―ル、
1、4−シクロヘキサンジメタノ―ル、2,2−ビス
(p−2オキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p
−2オキシエトキシフェニル)プロパン、その他グリセ
リン、ペンタエリスリト―ル等のポリオキシ化合物、p
−オキシメチル安息香酸、グリコ―ル酸等が挙げられ
る。
【0022】本発明においては短い繊維群の難溶解成分
としてイソフタル酸と2,2ビス4−(2−ヒドロキシ
エトキン)フェニル プロパン(以下BHPPと称す
る)を共重合成分として含んだ共重合ポリエステルを用
い、長い繊維群の難溶解成分として実質的にポリエチレ
ンテレフタリ―トまたは3モル%以下の第3成分を共重
合したポリエチレンテレフタレ―トを用いこれらを同時
に溶融紡糸して混繊糸を得る方法が本発明の目的の達成
および生産性の点で好ましい。
【0023】BHPPの共重合率は豊かな膨らみ、ソフ
ト感のある編織物とし、かつ1.0〜5.0モル%であ
ることが好ましい。また、イソフタル酸の共重合率は3
〜12モル%の範囲が好ましい。またイソフタル酸とB
HPPの全共重合率は長い繊維との融点差(紡糸延伸
性)の点から18モル%以下とすることが好ましい。ま
た、全共重合率を16モル%以下にすると、糸長差25
%以下である糸長差混繊糸が容易に得られるのでより好
ましい。本発明において、混繊糸を構成する短い繊維と
長い繊維の混繊比率は発色性と豊かな膨らみとを同時に
満足させるためには70:30〜30:70の範囲で混
繊するのが好ましい。
【0024】本発明の繊維は前記のように発色性向上効
果、豊かな膨らみを有しているが、更に、その効果を更
に発現させるべく例えば、繊維表面に低屈折率の樹脂を
コ―ティングするなどの後加工を施すこともできる。
【0025】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例に記載する測定方法は次の条件によるもので
ある。
【0026】A、粒子量:ポリエステル100gをオル
ソクロロフェノ―ル900ccに溶解し、溶液を分速1
4000回転で60分間遠心分離した後、上澄み液を分
離し、オルソクロロフェノ―ルを追加して遠心分離を繰
り返してポリエステル成分を除去した後に乾燥して求め
た重量を、溶解に使用したポリエステルの重量で除した
値で表した。
【0027】B、L値(明度):24ゲ―ジ天竺筒編み
機で2本引き揃えて筒編地を作成して精練を行った。
引き続き180℃で乾熱処理後、NaOH水溶液によ
ってアルカリ減量加工を行い、次いで染料Dianix
Black BG−FS200%を7%owfとした。
このとき助剤としてサンソルト1200を0.5g/リ
ットル、フイクサ―PH500を0.5g/リットルを
使用した。浴比1:100として染色温度130℃、6
0分間染色を行う。更にハイドロサルファイト2g/リ
ットル、サンディット0.5g/リットル、カセイソ―
ダ0.5g/リットルで80℃、20分間還元洗浄を行
った。得られた染色筒編地を乾燥した後、スガ試験機
(株)製SM−3を使用してL値(明度)を測定した。
【0028】C、断面形状 繊維断面の形状は厚さ8μmの切片を作り、走査型電子
顕微鏡で観察した。 図4は図1の一部拡大図であ
り、図4によって、断面形状の種々の長さの測 定を
説明する。
【0029】(a)溝幅(W) 該当する溝を挟む両側の突起に接する共通の接線を引い
て、その接点A、Bとし線分の中点をC点とする。また
溝の最も深い点を点Gとし、点Cから点Gを結ぶ線分を
線分CGとしてこの長さをhとする。線分CG上で点C
からhの5%の点を点Dとし、線分CDの長さをaとす
る。点Dを通り線分CGに垂直な線を引いて両側の突起
との交点をそれぞれE、Fとするとき線分EFの長さを
溝の幅とする。 (b)溝の深さ(L) 図4において溝の両端部A、Bを結ぶ線とGの間hを溝
の深さ(L)とする。 (C)突起の厚さ:(a)溝幅(W)の方法に従って、
隣りの溝について同様に作図してA´B´、C´、D
´、G´、E´、F´とするとき、線部FE´の長さを
突起の厚さとする。
【0030】(d)全周長に対する溝幅の長さ比:繊維
断面全体の突起はの厚さの合計と溝幅の合計の和に対す
る溝幅の合計の比で表す。
【0031】D、糸長差(DFL):混繊糸の約10c
mの長さに朱肉等で印を付ける。次に2mg/dの荷重
を加え構成単繊維の1本1本の印間の長さを測定する。
単繊維の長さの差が2%以内のものを同属の繊維群とし 最も短い繊維群の平均長 L1 最も長い繊維群の平均長 L2 として次式により算出する。 DFL(%)={(L2 −L1 )/L1 }×100
【0032】E、膨らみ、ソフト感:官能評価により行
い、結果は9段階で判定した。膨らみまたはソフト感が
最も良い場合を9級とし、最も悪い場合を1級として評
価した。本発明の目標とする膨らみ、ソフト感はそれぞ
れ5級以上を合格とした。
【0033】実施例1 低収縮繊維の難溶成分として粒子量0.05重量%以下
で、固有粘度が0.67のポリエチレンテレフテレ―
ト、高収縮繊維の難溶成分として2,2ビス{4−(2
−ヒドロキシエトキン)フェニル}プロパンを4,4モ
ル%、イソフタル酸7、1モル%共重合した、固有粘度
が0.65の変性ポリエチレンテレフテレ―ト、低収縮
糸と高収縮糸に共通の易溶出成分として5−ソウジウム
スルホイソフレ―トを2.5モル%共重合した、固有粘
度が0.56ポリエチレンテレフテレ―トを使用した。
これらのポリエステルの難溶成分に対する易溶出成分の
溶解速度は8.5倍であった。難溶成分に対する易溶出
成分を7分割するようにしてかつ難溶成分/易溶出成分
が重量比率で80/20の複合比率で、また短い繊維と
長い繊維の混繊比率を50/50として同時紡糸法にて
紡糸温度285℃、紡糸速度1500m/minとして
溶融紡糸を行ない、引続き延伸速度600m/minで
ホットロ―ル(温度90℃)−熱板(温度130℃)方
式で延伸を行なった。得られたポリエステル繊維は単糸
デニ―ルが3.2デニ―ルであった。
【0034】得られた延伸糸を使用して24ゲ―ジの天
竺編地とし、次いでこの編地を精練加工した後NaOH
の98℃で熱水溶液で32重量%減量加工した。減量加
工した後この編地を分解して、分解した繊維を走査型電
子顕微鏡を使用して観察したところ溝幅は2.5μm、
溝の深さは3.3μm、突起の幅は5μmであった。一
方、編地を黒色に染色した後L値を測定した結果、L値
は11.9であり、非常に優れた発色性を示した。ま
た、この編地はさらさらとした風合いを有していると共
に良好な吸水性をも有していた。
【0035】実施例2 難溶成分/易溶出成分の複合比率を90/10に変更し
た以外は実施例1と同様にテストを行なった結果、延伸
糸、および減量加工後の断面形状は表1に記載した通り
であった。また、L値は13.4であり、良好な発色性
を示し、膨らみ、ソフト感共に豊かな風合を示した。
【0036】実施例3 減量加工率を25%にした以外は実施例1と同様に実施
した。繊維断面形状は表1に記載した通りであり、黒色
で染色した後のL値は12.9であり、良好な発色性を
示し、膨らみ、ソフト感共に良好な風合いを示した。
【0037】実施例4 易溶出成分として5−ソウジウムスルホイソフタル酸を
4.0モル%共重合したポリマを使用して、難溶成分に
対する溶解速度比を30にしたこと、および複合比率を
難溶成分/易溶出成分=80/20とした以外は実施例
1と同様の条件で実施した。結果は表1のとおり優れた
発色性を示し、膨らみ、ソフト感共に豊かな風合を示し
た。
【0038】実施例5 難溶成分/易溶出成分の複合比率を88/12に変更
し、難溶成分が易溶出成分を5分割に減少した以外、実
施例1と同様に実施した。結果は表1に記載した。良好
な発色性であり、膨らみ、ソフト感共に豊かな風合いを
示した。
【0039】実施例6 難溶成分/易溶出成分の複合比率を74/26に変更
し、難溶成分が易溶出成分を10分割に増加した以外、
実施例1と同様に実施した。結果は表1に記載した。良
好な発色性であり、膨らみ、ソフト感共に豊かな風合い
を示した。
【0040】実施例7 実施例1で得た混繊未延伸糸を延伸する際の熱固定温度
(熱板温度)を145℃として熱処理した。その時のD
FLは表1に記載した通りであった。この時の編地は膨
らみ、ソフト感共に豊かな風合いを示しており、またL
値は12.0と非常に優れた発色性を示した。
【0041】実施例8 実施例1で得た混繊未延伸糸を延伸する際の熱固定温度
(熱板温度)を120℃として熱処理した。その時のD
FLは表1に記載した通りであった。この時の編地は膨
らみ、ソフト感共に豊かな風合いを示しており、またL
値は12.2と優れた発色性を示した。
【0042】比較例1 難溶成分/易溶出成分の複合比率を96/4に変更し、
易溶出成分の数を2に減少した以外実施例1と同様に実
施した。結果は表1に記載した編地の表面に溝が表れる
確率が少なくなり、L値が14.9であり、良好な発色
性は得ることができなかった。尚、膨らみ、ソフト感共
に豊かな風合いを示した。
【0043】比較例2 難溶成分/易溶出成分の複合比率を90/10に変更
し、減量加工率を18%にした以外は実施例1と同様に
実施した。溝幅Wが狭くなり、また全周長に対する溝幅
の比が小さくなり、溝内部に光を十分に取り組り込むこ
とができずL値が14.4であり、良好な発色性は得る
ことができなかった。しかしながら、膨らみ、ソフト感
共に豊かな風合いを示していた。
【0044】比較例3 難溶成分/易溶出成分の複合比率を70/30に変更
し、減量加工率を18%にした以外は、実施例1と同様
に実施した。溝深さLが浅くなりL/Wが0.8未満と
なってしまい一度取り込んだ光の屈折回数が少なくな
り、効率よく繊維内部に吸収できずにL値が14.2で
あり、良好な発色性は得ることができなかった。しかし
ながら、風合い面での膨らみ、ソフト感共に豊かな風合
いを示した。
【0045】比較例4 実施例1で得た混繊未延伸糸を延伸する際の熱固定温度
(熱板温度)を100℃として熱処理した。その時のD
FLは表1に記載した通りであった。この時の編地はゴ
ワゴワとした粗硬感の強いものであった。
【0046】比較例5 実施例1で得た混繊未延伸糸を延伸する際の熱固定温度
(熱板温度)を160℃として熱処理した。その時のD
FLは表1に記載した通りであった。この時の編地は十
分なソフト感はあるものの、膨らみがなくペ―パ―ライ
クなものであった。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明は糸長差のある2種類以上の繊維
群からなる糸長差混繊糸であって、該繊維群の少なくと
も1種が特異な断面形状を有しているため、編織物にし
たとき豊かな膨らみ、ソフト感、ドレ―プ性を有し、か
つ染色品に色の深みがあり、有彩色でも鮮明性に優れた
発色性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の楔形の溝を有するポリエステル繊維の
糸断面。
【図2】本発明の図1の楔形の溝を有するポリエステル
繊維を得るための複合糸の断面図。
【図3】(a)〜(c)は本発明の楔形の溝を有するポ
リエステル繊維を得るための複合糸の断面図。
【図4】糸断面形状の一部であって、本発明における溝
幅、溝の深さおよび突起の厚さを説明するための概略
図。
【図5】L値と溝幅との関係図。
【図6】L値と溝の深さとの関係図。
【図7】L値と全溝幅/全周長の関係図。
【符号の説明】
1:繊維 2、2´:突起 3:溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D03D 15/00 B 7199−3B D06M 11/38 // D06M 101:32

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長さが異なる少なくとも2種の繊維群から
    なる糸条であって、糸長差が3%以上、25%以下から
    なる混繊糸であり、前記繊維群の少なくとも1種は繊維
    軸方向に連続した楔形の溝を3個以上有しており、該溝
    形状が次式を満足することを特徴とする発色性の良好な
    ポリエステル糸長差混繊糸。 溝幅 W :1.0μm以上 溝深さ L :1.0μm以上 L/W比 :0.8以上 全周長に対する溝幅の合計の比率 :0.15以上
JP4158017A 1992-06-17 1992-06-17 発色性の良好なポリエステル糸長差混繊糸 Pending JPH062234A (ja)

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