JP3564861B2 - ポリエステル繊維および異収縮混繊糸 - Google Patents

ポリエステル繊維および異収縮混繊糸 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル繊維および異収縮混繊糸に関し、詳しくは少なくとも2種以上のポリエステルが海島状に混合された繊維表層部を有するポリエステル繊維および該ポリエステル繊維を少なくとも低収縮成分として用いた異収縮混繊糸であり、該繊維は減量加工することによって繊維表面に筋状溝を形成させることができるものであり、繊維表面に筋状溝を形成させることによって耐フィブリル性に優れ、ドライ感、きしみ感を有し、更には落ち着いた光沢感が得られ、また吸水性が良好な織編物を得るためのポリエステル繊維および異収縮混繊糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維は機能性に優れているために、衣料用途で広く使用されている。特に婦人用衣料分野では、近年の高級志向に伴ない、更なる風合い改善の要望が強い。このため従来からポリエステル繊維に微細な表面凹凸を形成させることによってドライタッチな風合いを付与したり、或いは発色性を高める技術が多数提案されている。例えば特開昭54−120728号公報、特開昭55−107512号公報、特開昭55−51819号公報、特開平3−124852号公報等で、種々の粒子を配合し、繊維表面に微細な凹凸を形成させることによって、ドライタッチな風合いの付与、或いは発色性の向上する方法が提案されているが、いずれも高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を付与することはできなかった。
【0003】
一方、粒子を配合することによって微細凹凸を形成させる以外の方法としては、例えば特開昭58−98474号公報、特開平6−41836号公報等では、ポリエステルとは非相溶性の添加剤を配合する方法が提案されている。しかしながら、該公報で提案されているポリエステルとは非相溶性の添加剤を配合する方法では、繊維がフィブリル化してしまい、毛羽感を有する布帛は得られるものの、高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を付与することはできなかった。
【0004】
また、特公平2−50230号公報には変性ポリエステルと未変性ポリエステルを混合紡糸し、減量加工することによって発色性を向上する方法が提案されている。しかしながら該公報によって得られる繊維は、繊維内部に多数の微細孔を有し、かつその一部が連通しているため耐フィブリル性が十分でなく、フィブリル化することによって発色性も著しく低下することがわかった。
【0005】
また同様に、特開平7−189027号公報では、変性ポリエステルと未変性ポリエステルを混合紡糸し、減量加工することによって発色性を向上する方法が提案されている。しかしながら該公報によって得られる繊維は偏平度2〜4の繊維であるため、織物とした場合には偏平面が優先的に織物表面に配列されるため耐フィブリル性が十分でなく、フィブリル化することによって発色性も著しく低下することがわかった。
【0006】
また、特公平2−32366号公報では、染色性の異なる2種のポリマを層状に積層させた繊維の製造方法が提案されている。しかしながら該公報によって得られる繊維は層状に積層されているため減量加工しても繊維表面に筋状凹凸を形成させることはできないものであり、従って織物とした場合にも高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を付与することはできなかった。また、減量加工条件によっては繊維がフィブリル化し、発色性も著しく低下することがわかった。
【0007】
また、特公昭57−13647号公報では、0.0001d〜0.8dに極細化可能な海島型繊維が提案されている。しかしながら該公報は超極細繊維を製造することを目的としているものであり、高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を付与することはできなかった。
【0008】
従って、従来技術では耐フィブリル性に優れ、更にドライ感、きしみ感を付与することはできなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術では達成できなかった、織編物とした際に耐フィブリル性に優れ、更にドライ感、きしみ感を同時に付与することのできるポリエステル繊維および異収縮混繊糸を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、熱アルカリ水溶液に対する溶解速度差を有する少なくとも2種以上のポリエステルが混合された繊維表層部を有するポリエステル繊維であって、該混合部が海島状を形成しており、海部を形成するポリエステルに対する島部を形成するポリエステルの溶解速度の比が5以上であることを特徴とするポリエステル繊維によって達成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル繊維は、少なくとも2種以上のポリエステルが混合された繊維表層部を有するポリエステル繊維であって、該混合部が海島状を形成していることが必要である。
【0012】
維を海島状に混合したポリマ層とすることによって、減量加工した際に繊維表面に繊維軸方向に伸びた筋状溝を形成させることができるのである。この結果、高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を付与することができるものであり、繊維軸方向に伸びた筋状溝が形成されない方法、あるいは粒子を配合することによって微細凹凸を形成させる方法では、本発明の目的とする高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を付与することはできないのである。
【0013】
本発明のポリエステル繊維は、上記した通り減量加工した際に繊維表面に繊維軸方向に伸びた筋状溝を形成させるものであり、該筋状溝を形成させることによって、高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を付与するものである。従って該筋状溝を形成させるためには、海島状の混合部を形成する少なくとも2種以上のポリエステルが熱アルカリ水溶液に対する溶解速度差を有していることが必要であり、海部を形成するポリエステルに対する島部を形成するポリエステルの溶解速度の比を5以上とすることが必要である。該筋状溝を効率良く形成させるためには該溶解速度の比を8以上とすることが好ましく、より好ましくは15以上である。
【0014】
尚、熱アルカリ水溶液に対する溶解速度は、以下の方法で測定する。
本発明のポリエステル繊維の混合部に用いる2種以上のポリエステルをそれぞれ同一デニールの円形断面繊維とし、各繊維を3%苛性ソーダ水溶液に浴1:125、温度98〜100℃で30分間処理し、各々の減量率を次式より求め、該減量率の比を熱アルカリ水溶液に対する溶解速度の比として求める。
減量率(%)=[(W0−W1)/W0]×100
但し、W0:アルカリ処理前の重量、W1:アルカリ処理後の重量である。
【0015】
また本発明の目的とする高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を付与するためには、2種以上のポリエステルが海島状に混合された混合部の繊維横断面において、島部の外接円径Dが0.01μm以上0.1μm以下であることが必要である
【0016】
本発明のポリエステル繊維は減量加工した際に繊維表面に繊維軸方向に伸びた筋状溝を形成させるものであり、該筋状溝は海島状を形成した混合部の島部のポリエステルが溶解除去されることによって形成されるものである。即ち、該島部の大きさは減量加工によって形成される筋状凹凸と相関関係があり、高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を付与し、且つ耐フィブリル性を同時に満足させるためには島部の外接円径Dが0.01μm以上0.1μm以下であることが必要であり、好ましくは0.01μm以上0.08μm以下である。 更に本発明の目的とする高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を付与するためには、2種以上のポリエステルが海島状に混合された混合部において、島部が繊維軸方向に伸びており、その長さLが2μm以上20μm以下であることが必要である
【0017】
即ち本発明のポリエステル繊維は、減量加工した際に形成される筋状溝を形成させることができるものであるが、上記した島部の大きさと同様に島部の長さも筋状溝の形成に大きく相関し、高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を付与するためには島部が繊維軸方向に伸びており、その長さLが2μm以上20μm以下であることが必要であり、好ましくは4μm以上15μm以下である。
【0018】
尚、本発明でいう島部が繊維軸方向に伸びているとは、島部が繊維軸方向に対して30度以下の角度で配向していることを意味するものであり、島部の70%以上が繊維軸方向に伸びていれば良い。
【0019】
なお、島部の外接円径Dの測定は以下の方法で行なう。
繊維を厚さ5μmにカットした切片に3%苛性ソーダ水溶液を滴下し、98℃で15分間乾熱処理を行なった後、走査型電子顕微鏡にて断面写真(10000倍)を撮影し、該写真より凹部の外接円径を10か所以上測定し、その平均値を島部の外接円径Dとして算出する。
【0020】
また、島部の長さLの測定は以下の方法で行なう。
繊維を3%苛性ソーダ水溶液に浴1:125、温度98〜100℃で減量率が、5%±2%となるように減量加工を行なった後、走査型電子顕微鏡にて繊維表面写真(3000倍)を撮影し、該写真より繊維表面に形成された筋状溝の長さを10か所以上測定し、その平均値を島部の長さLとして算出する。
本発明のポリエステル繊維の断面形状は、円形であっても異形、中空であってもよいが、3葉以上8葉以下の多葉断面ポリエステル繊維であることが好ましい。3葉以上8葉以下の多葉断面形状とすることにより、よりシルキーなタッチやドライタッチを表現することができ、高級感を増大させることができるからである。また、本発明のポリエステル繊維は、織物とした際に高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を付与すると共にふくらみ感を付与するために異収縮混繊糸として用いることも好ましい使用形態である。異収縮混繊糸として用いる場合には、少なくとも該異収縮混繊糸を構成する低収縮成分として、本発明のポリエステル繊維を用いることが好ましく、より好ましくは該異収縮混繊糸を構成する低収縮成分及び高収縮成分として本発明のポリエステル繊維を用いることである。本発明のポリエステル繊維を少なくとも低収縮成分のみに用いることによって、ふくらみ感が得られ、繊維軸方向に伸びた筋状溝を形成させる効果、即ち、高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を十分に付与することができる。
【0021】
また、織編物とした際に粗硬感が感じられず、かつ十分なふくらみ感を付与するためには、高収縮成分と低収縮成分の沸騰水収縮率の差が7%以上30%以下であることが好ましい。より好ましくは沸騰水収縮率の差は10%以上25%以下の範囲である。
【0022】
尚、沸騰水収縮率の測定は以下の方法で行う。
異収縮混繊糸を高収縮成分と低収縮成分に分けた後、それぞれに0.1g/dの荷重下で試料長(Lh0、Ll0)を測定した後、無荷重の状態で20分間、沸水処理を行う。処理後、0.1g/dの荷重下で試料長(Lh1、Ll1)を測定する。
BWSh=[(Lh0−Lh1)/Lh0]×100(%)
BWSl=[(Ll0−Ll1)/Ll0]×100(%)
沸騰水収縮率の差(△BWS)=BWSh−BWSl
【0023】
本発明のポリエステル繊維は、溶剤に対する溶解性の異なる2種以上のポリマを混合し、該混合ポリマを少なくとも繊維表層部に配することによって製造することができる。しかしながら、互いにほとんど相溶性を有しないポリマの組み合わせでは、安定した製糸を行なうことが困難になる場合があったり、また筋状溝を形成させる際に、特殊な溶剤を用いる場合は環境汚染の問題も発生することがあり得るので、好ましくはポリエステル繊維の減量加工で一般的に用いられている熱アルカリ水溶液を用いて筋状溝を形成させることができるポリマの組み合わせが好ましい。
【0024】
熱アルカリ水溶液を用いて筋状溝を形成させるためには、2種以上のポリマの組み合わせとしては、相溶性が良好で熱アルカリ水溶液に対する溶解速度の比が5以上である2種以上のポリエステルを混合して溶融紡糸する方法が好ましい。 2種以上のポリエステルを混合する方法としては、2種以上のポリマを別々に溶融し、ミキサーで混練し紡糸工程に供する方法が好ましい。但し、2種以上のポリマを別々に溶融し、ミキサーで混練して一旦マスターチップとした後で紡糸する方法では、2種以上のポリエステルを混合した効果が喪失する、即ち繊維軸方向に伸びた筋状凹凸を形成させることができない。
【0025】
本発明でいうポリエステルとは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールより選ばれた少なくとも1種を主たるグリコール成分とするポリエステルであり、40モル%以下の第3成分を共重合してあってもよい。好ましい共重合成分としては、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタリンジカルボン酸等の2塩基酸類、オキシ安息香酸の如きオキシ酸類、およびジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,2ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパンなどのうちから1種または2種以上のものを共重合したポリエステルが挙げられる。但し、ポリエチレングリコールの場合、数平均分子量が10000を越えるとポリマ合成における反応性が著しく低下し、未反応物がポリエステルとは非相溶となり製糸性を著しく阻害することがあるので数平均分子量が10000以下のものを用いることが好適である。
【0026】
更に好ましくは、熱アルカリ水溶液に対する溶解速度が速いポリエステルに対する遅いポリエステルの混合比が90/10〜50/50であることが、減量加工した際に繊維軸方向に伸びた筋状溝を形成させ、高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を十分に付与するためには好ましい。
【0027】
尚、減量加工処理はいずれの工程で行なっても構わないが生産の安定性から考えて製織編後とすることが好ましい。
【0028】
また、本発明のポリエステル繊維は巻取操作によって発明の効果が損なわれるものではないから、巻取操作としては未延伸糸として一旦巻き取った後、延伸する方法、または高速紡糸法等のいずれのプロセスも適用することができる。更に、必要に応じて仮撚や空気交絡等の糸加工を施しても良い。
【0029】
更に、本発明のポリエステル繊維を少なくとも低収縮成分として用いた異収縮混繊糸を製造する方法としては、従来より知られている後混繊方式、紡糸混繊方式のいずれの方法によって製造しても良い。
【0030】
本発明のポリエステル繊維および/または異収縮混繊糸を少なくとも一部に用いて織編物を製造し、減量加工することによって繊維表面に筋状溝を形成させることによって、本発明の目的とする、高級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感の良好な織編物を製造することができる。
【0031】
【実施例】
以下実施例により本発明をより詳細に説明する。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。
A.風合特性(ドライ感、きしみ感、ふくらみ感)
各項目とも、試料を基準試料との一対比較による官能試験を実施し、4段階評価した。そしてそれらを総合評価して「極めてすぐれている」は◎、「すぐれている」は○、「普通」は△、「劣っている」は×で表わした。なお、基準試料には通常定番品種として用いられている試料原糸と同一繊度、同一フィラメント数のポリエステルフィラメント糸を試料と同様の製織、加工を施したも
のを用い、これを「劣っている」とした。
【0032】
B.耐フィブリル性
摩擦堅牢度試験用の学振型平面摩耗機を用いて、摩擦布として、ポリエチレンテレフタレート100%からなるジョーゼットを用いて、試験布を500gの加重下で500回平面摩耗して、フィブリル化の発生状態を3段階評価した。 「すぐれている」は○、「普通」は△、「劣っている」は×で表わした。
【0033】
C.固有粘度
オルトクロロフェノール10mlに対して試料0.1gを溶解して温度25℃でオストワルド粘度計を使用して測定した。
【0034】
実施例1〜3および比較例1
固有粘度[η]が0.65のポリエチレンテレフタレートと、固有粘度[η]が0.64で、5−ソジュームスルホイソフタル酸2.5モル%および数平均分子量1000のポリエチレングリコールを1.3重量%共重合した変性ポリエステルを各々溶融後、表1に示した重量比率で東レ(株)製ハイミキサー5段を備えた混合装置により溶融混合し、通常の紡糸機により紡糸温度293℃で吐出し、1500m/minの速度で未延伸糸を巻取った。続いて、該未延伸糸を通常のホットロール―熱板延伸機により2.5倍で延伸して、50デニール24フィラメントの3葉断面繊維を得た。
【0035】
実施例1〜3では変性ポリエステルが島部を形成した海島状に混合されており、海部を形成するポリエステルに対する島部を形成するポリエステルの3重量%水酸化ナトリウム98℃熱水溶液に対する溶解速度の比は約18倍であり、島部の外接円径Dおよび長さLは表1に示す通りであった。一方比較例1では、未変性ポリエステルが島部を形成しており、3重量%水酸化ナトリウム98℃熱水溶液に対する溶解速度の比は約1/18倍であった。
【0036】
この繊維を2本合糸した後、甘撚し、経糸および緯糸にして使用して製織し、水酸化ナトリウム3重量%水溶液を使用して98℃の条件で減量加工し、得られた織物特性について評価した結果を表1に示す。
【0037】
実施例2では、繊維表面に筋状溝が形成されており、得られた織物もドライ感、きしみ感に富み、また耐フィブリル性にも優れた織物であった。
【0038】
実施例1では、繊維表面に筋状溝が形成されていたが、その頻度がやや少なく、長さもやや短いためドライ感、きしみ感が若干劣っていたが、耐フィブリル性に優れた織物であった。
【0039】
実施例3では、繊維表面に筋状溝が形成されており、得られた織物もドライ感、きしみ感に富んだものであったが、筋状溝がやや長いため耐フィブリル性が若干劣る織物であった。
【0040】
比較例1では、減量加工によって島部を形成していた未変性ポリエステル部分がフィブリル化するため耐フィブリル性が劣り、またドライ感、きしみ感も劣る織物であった。
【0041】
【表1】
Figure 0003564861
実施例4、5および比較例2
固有粘度[η]が0.65のポリエチレンテレフタレートと、固有粘度[η]が0.74で、5−ソジュームスルホイソフタル酸7.0モル%およびイソフタル酸10モル%共重合した変性ポリエステルを各々溶融後、東レ(株)製ハイミキサー7段を備えた混合装置により75/25の重量比率で溶融混合したポリマ流を鞘成分とし、固有粘度[η]が0.65のポリエチレンテレフタレートを芯成分として、表2に示した芯鞘複合比で複合紡糸機により紡糸温度290℃で吐出し、1500m/minの速度で巻取った。続いて、該未延伸糸を通常のホットロール―熱板延伸機により2.45倍で延伸して、75デニール36フィラメントの丸断面繊維を得た。
【0042】
いずれの水準においても鞘成分は海島状に混合されており、この時の海部を形成するポリエステルに対する島部を形成するポリエステルの3重量%水酸化ナトリウム98℃熱水溶液に対する溶解速度の比は約100倍であった。また、鞘成分の厚みは実施例4および5では1μm以上であったが、比較例2では鞘成分の厚みが0.70μmであった。
【0043】
この繊維を、甘撚し、経糸および緯糸にして使用して製織し、水酸化ナトリウム3重量%水溶液を使用して98℃の条件で減量加工し、得られた織物特性について評価した結果を表2に示す。
【0044】
実施例4および5では、繊維表面に筋状溝が形成されており、得られた織物もドライ感、きしみ感に富み、また耐フィブリル性にも優れた織物であった。
【0045】
比較例2では、鞘成分の厚みが薄いため、減量加工によって鞘成分が完全に溶解除去されてしまい、繊維表面にはほとんど筋状溝が形成されておらず、ドライ感、きしみ感に劣る織物であった。
【0046】
【表2】
Figure 0003564861
【0053】
実施例
実施例2の50デニール24フィラメントの3葉断面繊維と、熱処理温度を変更して得た、表5に示す沸水収縮率を有する50デニール24フィラメントの3葉断面高収縮繊維を合糸した以外は実施例2と同様の方法で製織、減量加工を行なった。得られた織物特性について評価した結果を表5に示す。
【0054】
実施例およびで得られた織物は、ドライ感、きしみ感、ふくらみ感に優れ、また耐フィブリル性にも優れた織物であった。
【0055】
実施例では、高収縮繊維と低収縮繊維の収縮率差が小さいため、ふくらみ感が若干不足していたが、ドライ感、きしみ感に優れ、また耐フィブリル性にも優れた織物であった。
【0056】
実施例では、高収縮繊維と低収縮繊維の収縮率差が大きいため、得られた織物はややふかつき気味であり、また、耐フィブリル性についても、単糸切れが若干発生していたが、ドライ感、きしみ感に優れた織物であった。
【0057】
【表3】
Figure 0003564861
比較例3
実施例2において変性ポリエステルとして固有粘度[η]が0.68で、5−ソジュームスルホイソフタル酸1.0モル%共重合した変性ポリエステルを用いた以外は実施例2と同様に紡糸、延伸操作を行ない、50デニール24フィラメントの3葉断面繊維を得た。この時の海部を形成するポリエステルに対する島部を形成するポリエステルの3重量%水酸化ナトリウム98℃熱水溶液に対する溶解速度の比は約3倍であった。
【0058】
繊維断面を観察したところ混合部は海島状に混合されており、島部の外接円径Dは0.09μm、島部の長さLは10μmであった。
【0059】
この繊維を実施例2と同様の方法で製織、減量加工し、得られた織物特性について評価した結果を表6に示す。
【0060】
比較例3では、混合ポリマの溶解速度比が小さすぎるため繊維表面に筋状溝が十分に形成されておらず、ドライ感、きしみ感に劣る織物であった。
【0061】
【表4】
Figure 0003564861
実施例1011
実施例2において変性ポリエステルとして固有粘度[η]が0.64で、5−ソジュームスルホイソフタル酸2.0モル%および数平均分子量1000のポリエチレングリコールを1.3重量%共重合した変性ポリエステル、および固有粘度[η]が0.60で、5−ソジュームスルホイソフタル酸1.7モル%および数平均分子量1000のポリエチレングリコールを1.0重量%共重合した変性を用いて、実施例2と同様に紡糸、延伸操作を行ない、50デニール24フィラメントの3葉断面繊維を得た。この時の海部を形成するポリエステルに対する島部を形成するポリエステルの3重量%水酸化ナトリウム98℃熱水溶液に対する溶解速度の比はそれぞれ約10倍、約6倍であった。
【0062】
繊維断面を観察したところ混合部は海島状に混合されており、島部の外接円径Dおよび島部の長さLは表7に示す通りであった。
【0063】
この繊維を実施例2と同様の方法で製織、減量加工し、得られた織物特性について評価した結果を表7に示す。
【0064】
実施例10では、繊維表面に非常に細かい筋状溝が形成されており、ドライ感は有していたが、きしみ感が若干劣る織物であった。
【0065】
実施例11では、繊維表面に形成される筋状溝が少ないため、ドライ感、きしみ感が若干劣る織物であった。
【0066】
【表5】
Figure 0003564861
比較例4
固有粘度[η]が0.65のポリエチレンテレフタレートと固有粘度[η]が0.74で、5−ソジュームスルホイソフタル酸7.0モル%およびイソフタル酸10モル%共重合した変性ポリエステルを各々溶融後、ケニックス(株)製スタティックミキサー4段を備えた混合装置により70/30の重量比率で溶融混合したポリマ流を通常の紡糸機により紡糸温度292℃で吐出し、1500m/minの速度で巻取った。続いて、該未延伸糸を通常のホットロール―熱板延伸機により2.40倍で延伸して、75デニール36フィラメントの丸断面繊維を得た。この時のポリマの3重量%水酸化ナトリウム98℃熱水溶液に対する溶解速度の比は約100倍であった。尚、複合状態は層状に積層された複合状態であった。
【0067】
この繊維を実施例4と同様の方法で製織、減量加工し、得られた織物特性について評価した結果を表8に示す。
【0068】
比較例4では、層状に積層された複合状態であるため減量加工により大きな筋状溝が形成されており、得られた織物はドライ感は良好であったが、きしみ感に劣り、また耐フィブリル性も劣る織物であった。
【0069】
【表6】
Figure 0003564861
【0070】
【発明の効果】
本発明は、熱アルカリ水溶液に対する溶解速度差を有する少なくとも2種以上のポリエステルが混合されたポリエステル繊維であって、該混合部が海島状を形成しており、海部を形成するポリエステルに対する島部を形成するポリエステルの該溶解速度の比が5以上であるポリエステル繊維および該ポリエステル繊維を少なくとも低収縮成分として用いた異収縮混繊糸であり、該繊維は減量加工することによって繊維表面に筋状溝を形成させることができるものであり、繊維表面に筋状溝を形成させることによって耐フィブリル性に優れ、ドライ感、きしみ感を有し、更には落ち着いた光沢感が得られ、また吸水性が良好な織編物を得ることができる。

Claims (2)

  1. 熱アルカリ水溶液に対する溶解速度差を有する少なくとも2種以上のポリエステルが混合されたポリエステル繊維であって、該混合部が海島状を形成しており、島部の外接円径が0.01〜0.1μmであり、かつ島部が繊維軸方向に伸びており、その長さが2〜20μmであり、かつ海部を形成するポリエステルに対する島部を形成するポリエステルの溶解速度の比が5以上であることを特徴とするポリエステル繊維。
  2. 異収縮混繊糸において、請求項1に記載したポリエステル繊維を低収縮成分とする異収縮混繊糸。
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