JPH05295634A - ポリエステル系織編物の製造方法 - Google Patents
ポリエステル系織編物の製造方法Info
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Abstract
な織編物を提供する。 【構成】 低収縮性ポリエステル成分と高収縮性ポリエ
ステル成分とよりなるサイドバイサイド型潜在捲縮性複
合繊維を準備する。この複合繊維は、沸水30分処理後の
捲縮率が50%以上である。この複合繊維で構成された糸
条を用いて、織編物を得る。この織編物に熱処理を施し
て、複合繊維に捲縮を発現させる。また、この織編物に
染色加工を施して染色する。好ましい低収縮性ポリエス
テル成分は、エチレングリコールとテレフタル酸とを、
両者の合計モル数が、総モル数に対して95モル%以上と
なるようにして共重合して得る。また、好ましい高収縮
性ポリエステル成分は、2-2-ビス[4-(2-ヒドロキシエ
トキシ)フェニル]プロパンとイソフタル酸とを、両者
の合計モル数が、総モル数に対して5〜15モル%の範囲
で、エチレングリコールとテレフタル酸と共に共重合し
て得る。
Description
りなる織編物の製造方法に関し、特に深みのある色彩を
有すると共に、風合の良好な織編物の製造方法に関する
ものである。
た織編物は、優れた物理的特性及び化学的特性を有して
おり、衣料用や工業用等に広く用いられている。しか
し、ウールや絹等の天然繊維を用いて製編織された織編
物、あるいはレーヨンやアセテート等の半合成繊維を用
いて製編織された織編物に比べて、色彩(特に黒色)の
深みや色彩の鮮明性に劣るという欠点を有している。こ
れは、ポリエステル系繊維の表面状態が、天然繊維や半
合成繊維に比べて、平滑で且つ均一なため、入射光が織
編物の内部で屈折しにくく、外部への乱反射光が多いか
らであると考えられている。
凸にして、入射光が織編物の内部で屈折しやすいように
して、外部への乱反射光を少なくし、色彩の深みや色彩
の鮮明性を向上させることが試みられている。例えば、
織編物の表面、即ちポリエステル系繊維の表面を、酸化
珪素粒子等の低屈折率の物質で被覆する方法が提案され
ている(特公平2-35069号公報)。また、特定化合物を
含有したアルカリ水溶液に織編物を浸漬し、ポリエステ
ル系繊維の表面を加水分解して、繊維表面を粗にする方
法も提案されている(特公平2-35068号公報)。しかし
ながら、前者の方法は、低屈折率の物質をポリエステル
系繊維表面に付与するために、織編物の風合の低下を招
くという欠点があった。更に、洗濯を繰り返すと、低屈
折率の物質が繊維表面から脱落し、色彩が褪せてくると
いう欠点があった。また、後者の方法は、ポリエステル
系繊維の表面を溶解除去するものであるため、繊維強度
が低下し、織編物の機械的強度(例えば引張強度)が低
下するという欠点があった。更に、これらの方法は、低
屈折率の物質を付与する工程や、アルカリ減量処理工程
を必要とし、編織物の生産工程が煩雑となって、合理的
な方法とは言えなかった。
用するポリエステル系繊維として、ある特定のサイドバ
イサイド型潜在捲縮性複合繊維を使用することにより、
特別な工程を必要とすることなく、従来の一般的な方法
で織編物を生産すれば、それだけで深みのある色彩を有
し、且つ良好な風合を有する織編物が得られるようにし
たものである。
性ポリエステル成分と高収縮性ポリエステル成分とより
なり、沸水30分処理後の捲縮率が50%以上であるサイド
バイサイド型潜在捲縮性複合繊維で構成された糸条を用
いて織編物を得、該織編物に熱処理を施して、該サイド
バイサイド型潜在捲縮性複合繊維に捲縮を発現させると
共に、該織編物に染色加工を施すことを特徴とするポリ
エステル系織編物の製造方法に関するものである。
テル成分と高収縮性ポリエステル成分とよりなるサイド
バイサイド型潜在捲縮性複合繊維を準備する。そして、
このサイドバイサイド型潜在捲縮性複合繊維は、熱処理
することによって、両ポリエステル成分に収縮差が生
じ、捲縮を発現するものである。本発明において、この
捲縮の発現の程度は、沸水30分処理後の捲縮率が50%以
上となるようにする。ここで、沸水30分処理後の捲縮率
とは、以下に示す方法で測定されるものである。即ち、
検尺機にて5回かせ取りしたサイドバイサイド型潜在捲
縮性複合繊維を、二重にして1/6000(g/D)の荷重をかけ
スタンドに吊り30分間放置し、次いでこの状態を維持し
たまま沸水中に入れ30分間処理する。その後、30分間風
乾し、1/500(g/D)の荷重をかけ、長さ(a)を測定す
る。次に、1/500(g/D)の荷重をはずした後、1/20(g/D)の
荷重をかけて、その長さ(b)を測定する。そして、次
の式によって捲縮率を求めるのである。即ち、捲縮率
(%)=[(b−a)/b]×100である。この捲縮率
が50%未満であると、複合繊維に熱処理を施しても、微
細なスパイラル状の捲縮が発現しにくく、したがって複
合繊維表面に微細な凹凸が生じにくく、深みのある色彩
が得にくくなるので、好ましくない。
捲縮性複合繊維は、前記したとおり、低収縮性ポリエス
テル成分と高収縮性ポリエステル成分で構成されてい
る。この二種のポリエステル成分は、収縮性に差があれ
ばどのようなものでも使用しうる。一般的には、低収縮
性ポリエステル成分として、エチレングリコールとテレ
フタル酸との重合体が使用される。特に、エチレングリ
コールとテレフタル酸の合計モル数が、ポリエステル高
分子を構成する単量体の総モル数に対して、95モル%以
上となるように重合された、実質的にポリエレチンテレ
フタレート単独からなるポリエステルを使用するのが、
好ましい。このような低収縮性ポリエステル成分は、一
般的に、その極限粘度[η]が0.55以下である。なお、
ここで言う極限粘度[η]は、20℃のフェノールとテト
ラクロロエタンとの等重量混合溶媒中で測定したもので
ある。
は、一般的には、エチレングリコールとテレフタル酸と
を用いると共に、他のジカルボン酸成分及びジオール成
分を用いて、共重合したポリエステルを使用するのが、
好ましい。例えば、他のジカルボン酸成分としてイソフ
タル酸を用い、他のジオール成分として2-2-ビス[4-(2
-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンを用い、両者
の合計モル数が、ポリエステル高分子を構成する単量体
の総モル数に対して、5〜15モル%の範囲で、エチレン
グリコール及びテレフタル酸と共に共重合して得られた
ポリエステルを使用するのが、好ましい。他のジオール
成分を使用せずに、他のジカルボン酸成分のみ、例えば
イソフタル酸のみを使用して、エチレングリコール及び
テレフタル酸と共に共重合させたポリエステルを高収縮
性ポリエステル成分として使用しても、前記した低収縮
性ポリエステル成分に比べて、収縮性があまり高くなら
ず、良好な捲縮を発現しない傾向が生じる。また、他の
ジカルボン酸成分を使用せずに、他のジオール成分の
み、例えば2-2-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル]プロパンのみを使用して、エチレングリコール及び
テレフタル酸と共に共重合させたポリエステルを高収縮
性ポリエステル成分として使用した複合繊維は、耐光堅
牢度が低下する傾向が生じる。なお、この高収縮性ポリ
エステル成分は、微細構造がルーズなためか、染着性が
高く、捲縮の発現との相乗効果により深みのある色彩が
得られるものである。
性複合繊維を用いて糸条を得る。この糸条としては、サ
イドバイサイド型潜在捲縮性複合繊維よりなるモノフィ
ラメントが複数本集束されてなるマルチフィラメント糸
条や、サイドバイサイド型潜在捲縮性複合繊維よりなる
ステープルファイバーが紡績されてなる紡績糸条等を用
いることができる。この糸条を、経糸若しくは緯糸のい
ずれか一方に使用して、又は経糸及び緯糸の両方に使用
して、織物を製織する。織組織としては、従来公知の任
意の織組織を採用することができる。または、この糸条
を用いて編物を製編する。編組織も、インターロックや
モックロディー等の従来公知の任意の編組織を採用する
ことができる。このような織編物を得る際に、糸条とし
てマルチフィラメント糸条を使用する際には、無撚糸条
でも有撚糸条であってもよい。しかし、深みのある色彩
を織編物に付与したい場合には、有撚糸条を用いるのが
好ましく、特に1000T/M以上の撚をかけるのが好まし
い。
処理を施す。熱処理と染色加工処理は、別工程で施して
もよいし、同時に一工程で施してもよい。特に、同時に
一工程で熱処理と染色加工処理を施すのが、合理的であ
る。同時に施す方法としては、染色する際に、湿熱80℃
以上の温度が30分以上織編物に与えるられる条件を採用
すればよい。この条件で染色仕上加工を行なうと、サイ
ドバイサイド型潜在捲縮性複合繊維に微細な捲縮が発現
すると共に、複合繊維が染色されるのである。また、こ
の条件で染色仕上加工を行なう際には、織編物に高張力
が負荷されないように、液流染色機等を使用するのが好
ましい。この染色仕上加工時に、高張力が負荷される
と、サイドバイサイド型潜在捲縮性複合繊維の捲縮発現
が阻害されたり、或いは一旦発現した捲縮が消失する傾
向が生じる。
得られるわけであるが、織編物の風合を更に向上させる
ために、アルカリ減量処理を施してもよい。アルカリ減
量処理は、一般的に、織編物に熱処理及び染色加工処理
を施す前に行なわれる。また、アルカリ減量処理の方法
は、従来公知の任意の方法を採用することができる。ま
た、織編物に熱処理及び染色加工処理を施した後、色彩
の深みを更に向上させるために、濃染処理を施してもよ
い。濃染処理剤としては、ポリウレタン系樹脂やフッ素
系樹脂等を使用するのが好ましい。
キシ)フェニル]プロパン5モル%と、合計87モル%のエ
チレングリコール及びテレフタル酸とを共重合させて高
収縮性ポリエステル成分を得た。一方、合計95モル%以
上のエチレングリコール及びテレフタル酸を共重合させ
て、極限粘度[η]0.53の低収縮性ポリエステル成分を
得た。この二成分を使用して、従来公知の複合紡糸法
で、サイドバイサイド型の未延伸糸を得た。この未延伸
糸を延伸して、サイドバイサイド型潜在捲縮性複合繊維
とし、これを集束して50デニール/12フィラメントのマ
ルチフィラメント糸条を得た。なお、このサイドバイサ
イド型潜在捲縮性複合繊維は、沸水30分処理後の捲縮率
が69.5%であった。
び緯糸に使用して、経密度110本/吋,緯密度80本/吋
のタフタを製織した。このタフタを、苛性ソーダ1g/l
及び界面活性剤1g/lを併用した溶液を用いて、株式会
社日阪製作所製のサーキュラー液流染色機で、湿熱80
℃,時間20分間の条件でリラックス精練を行ない、乾燥
した。次いで、市金工業株式会社製のテンターにて、経
及び緯共に張力をかけずに、乾熱180℃,時間20秒の条
件でプレセットを行なった。
株式会社日阪製作所製のサーキュラー液流染色機を用い
て、湿熱130℃,時間30分間の条件で染色加工を施し
た。 記 Dianix Black RB-UP(三菱化成株式会社製分散染料) 15%o.w.f. Dianix Black F(三菱化成株式会社製分散染料) 3.0%o.w.f. サンソルトRZ-8(日華化学株式会社製均染剤) 0.5g/l 酢酸(48%) 0.2cc/l その後、ビスノールP-70(一方社油脂工業株式会社製の
一浴還元洗浄剤)5g/lを使用して、湿熱80℃,時間20
分の条件で還元洗浄を行なった後、乾燥した。引き続
き、ファミトンスーパー30(日華化学株式会社製、フッ
素系濃染剤)を使用して、PH7で温度60℃の溶液を調整
し、7.0%o.w.f.,浴比1:20,時間30分間の条件で湿熱
処理を行なった後、乾燥した。次いで、市金工業株式会
社製のテンターを用いて、乾熱170℃,時間20秒の条件
で仕上セットを行ない、黒色無地織物を得た。以上のよ
うにして得られた織物の色彩の深みを評価した。なお、
この評価は、マクベスカラーアイで測定したL*値で評
価した。L*値は、色の視感濃度を表わすものであり、
L*値の小さいものほど色彩に深みがあることを示して
いる。この結果、ファミトンスーパー30を使用して濃染
処理する前の織物のL*値は、15.1であり、濃染処理し
た後の織物のL*値は、13.0であった。
%と、合計88モル%のエチレングリコール及びテレフタ
ル酸とを共重合させてポリエステルを使用する以外は、
実施例と同様にしてサイドバイサイド型潜在捲縮性複合
繊維を得た。この複合繊維は、沸水30分処理後の捲縮率
は45.0%であり、捲縮性に劣るものであった。そして、
このサイドバイサイド型潜在捲縮性複合繊維を使用し
て、実施例と同様にして、黒色無地織物を得た。この結
果、ファミトンスーパー30を使用して濃染処理する前の
織物のL*値は、16.9であり、濃染処理した後の織物の
L*値は、15.7であった。
編物の製造方法は、低収縮性ポリエステル成分と高収縮
性ポリエステル成分とよりなり、所定の捲縮率を持つサ
イドバイサイド型潜在捲縮性複合繊維で構成された糸条
を用い、製織編した後、捲縮発現と染色とを行なうもの
である。従って、この捲縮発現によって、複合繊維の表
面には微細な凹凸が多数生じ、複合繊維が染色された場
合、入射光の乱反射が抑制され、その色彩に深みがでる
という効果を奏する。また、複合繊維の表面に微細な凹
凸が多数生じるため、繊維間隙が生じて糸条にふくらみ
がでて、風合が良好になるという格別顕著な効果も奏す
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 低収縮性ポリエステル成分と高収縮性ポ
リエステル成分とよりなり、沸水30分処理後の捲縮率が
50%以上であるサイドバイサイド型潜在捲縮性複合繊維
で構成された糸条を用いて織編物を得、該織編物に熱処
理を施して、該サイドバイサイド型潜在捲縮性複合繊維
に捲縮を発現させると共に、該織編物に染色加工を施す
ことを特徴とするポリエステル系織編物の製造方法。 - 【請求項2】 低収縮性ポリエステル成分として、エチ
レングリコールとテレフタル酸とを、両者の合計モル数
が、総モル数に対して95モル%以上となるようにして重
合させた、実質的にポリエチレンテレフタレート単独か
らなる重合体を使用し、高収縮性ポリエステル成分とし
て、2-2-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プ
ロパンとイソフタル酸とを、両者の合計モル数が、総モ
ル数に対して5〜15モル%の範囲で、エチレングリコー
ルとテレフタル酸と共に共重合させた共重合体を使用す
る請求項1記載のポリエステル系織編物の製造方法。
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JP11792592A JP3648635B2 (ja) | 1992-04-10 | 1992-04-10 | ポリエステル系織編物の製造方法 |
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JP2016191171A (ja) * | 2015-03-31 | 2016-11-10 | Kbセーレン株式会社 | 難燃性車両資材用布帛 |
-
1992
- 1992-04-10 JP JP11792592A patent/JP3648635B2/ja not_active Expired - Fee Related
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