JP2017066564A - 複合繊維及びそれを用いた布帛の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 蓄熱性、透け防止性及び透撮防止性を備える布帛を得るために好適な合成繊維を得る。【解決手段】 繊維横断面において、樹脂Aからなる複数のA層と、樹脂BからなるB層とを有する複合繊維であって、樹脂Aは、白色導電性粒子を2質量%以上、15質量%以下含む繊維形成性ポリマーであり、樹脂Bは、樹脂Aより溶解速度が大きい繊維形成性ポリマーであり、A層の層1個当たりの面積は0.8〜60μm2であり、A層とB層との面積比率は35:65〜85:15である複合繊維である。【選択図】図1

Description

本発明は、布帛に用いるのに好適な複合繊維に関する。さらに詳しくは衣料用、寝装具用、インテリア用に好適な複合繊維に関する。
近年、水着・インナーなどの衣料品、遮光カーテンや布団等の寝装品・インテリア用品の分野では、蓄熱性に優れるとともに、透け防止性や透撮防止性に優れた布帛が求められている。
従来より蓄熱性や透け防止性を有する布帛は、それぞれ数多く提案されている。例えば、繊維へ特定の添加剤を練り込む、繊維の断面形状を工夫する、繊維の繊度を工夫する、繊維の加工方法を工夫する、織編物の組織・加工を工夫する等により、布帛に蓄熱性を持たせることにより保温効果に優れた布帛を得たり、防透け性の優れた布帛を得たりする方法等がある。
具体的には、特許文献1には、平均粒径が0.5μm以下の金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤がポリエステル繊維中に、繊維重量に対して0.1〜2.0重量%練り込まれてなることを特徴とする保温性ポリエステル繊維とすることにより、鮮明性に優れた保温性ポリエステルが得られることが記載されている。
また、特許文献2には、芯成分を形成する合成重合体に艶消剤を1.0〜5.0重量%含有し、鞘成分を形成する合成重合体に蛍光増白剤を0.01〜1.0重量%含有し、芯成分部の横断面が回転対称形である芯鞘複合糸を用いることで透け防止性に優れた白色布帛が得られることが記載されている。
また、近年、カメラの性能の向上に伴い、透撮防止機能を備えたものが求められている。
透撮防止布帛としては、特許文献3では、赤外線吸収能又は赤外線反射能を有する部分を表面積に対して40〜80%偏在させてなる赤外線による透視を防ぐ肌面当接用繊維材料が提案されている。
また、特許文献4では、酸化アンチモンをドーピングした酸化第二スズからなる白色系微粒子、又は、酸化アンチモンをドーピングした酸化第二スズを他の無機微粒子にコーティングしたものからなる白色系微粒子を3.0〜12.0質量%含有する合成繊維を70質量%以上使用した布帛であって、該布帛の1000nmにおける赤外線透過率が40%以下であることを特徴とする赤外線透過撮影防止用布帛が提案されている。
特開2006−307383号公報 特開平8−60485号公報 特許第4080106号公報 特開2010−77575号公報
しかしながら、特許文献1に記載の保温性ポリエステル繊維は、蓄熱性が十分でなく、また透撮防止性については記載されていない。
そして、特許文献2記載の芯鞘複合糸は、透け防止性が十分なものではない。
また特許文献3に記載の繊維材料は、赤外線吸収剤又は赤外線反射剤を、後加工により固着して得ることが記載されているが、後加工による固着では、使用時に剥がれてしまう可能性があり、透撮防止性は優れているものの、その耐久性に問題がある。
そして、特許文献4記載の布帛は、透撮防止性は優れているものの、防透け性や蓄熱性が十分なものとはならない。
したがって、本発明は、上記の課題を解決し、蓄熱性、透け防止性、透撮防止性とも優れた布帛を得るのに好適な合成繊維を得ることを、その目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、特定の粒子を含み、特定の径を有する樹脂層と、易溶解樹脂の樹脂層とからなる繊維横断面形状の複合繊維とすることにより、後工程で、溶解することによって、保温性、防透け性、透撮防止性ともに良好な繊維構造物を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、上記目的を達成するため、本発明は、繊維横断面において、樹脂Aからなる複数のA層と、樹脂BからなるB層とを有する複合繊維であって、樹脂Aは、白色導電性粒子を2質量%以上、15質量%以下含む繊維形成性ポリマーであり、樹脂Bは、樹脂Aより溶解速度が大きい繊維形成性ポリマーであり、A層の層1個当たりの面積は0.8〜60μmであり、A層とB層との面積比率は35:65〜85:15である複合繊維を要旨とする。
上記複合繊維は、白色導電性粒子が、アンチモンをドーピングしたスズ又はアンチモンをドーピングしたインジウムのいずれか一つ以上を被覆した無機粒子であることが好ましく、特に、白色導電性粒子が、アンチモンをドーピングしたスズを被覆した酸化チタンであることが好ましい。
上記複合繊維は、白色導電性粒子の平均粒子径が、1.5μm以下であることが好ましい。
また、本発明は、上記複合繊維を製編織した後、B層を溶解して除去することにより、単糸断面積が、0.8〜60μmのマイクロファイバーからなる布帛を製造する方法でもある。
本発明の複合繊維によれば、蓄熱性、透け防止性、透撮防止性とも優れた布帛を得ることができる。
図1は本発明の複合繊維の横断面形状の例を示す図である。 図2は本発明の複合繊維のA層の扁平率を説明する図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明は、繊維横断面において、樹脂AからなるA層と樹脂Aより溶解速度の大きい樹脂BからなるB層から構成される複合繊維である。
A層を形成する繊維形成性ポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン等の繊維形成可能な熱可塑性樹脂を選択できる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアルキレンテレフタレートを主体とした芳香族ポリエステルや、ポリ乳酸のなどの脂肪族ポリエステルポリ乳酸等が挙げられる。ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T,ポリメタキシレンアジパミド等が挙げられる。
本発明の複合繊維は、本発明の効果を損なわない範囲であれば一般的に使用される添加剤、滑剤、艶消し剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、制電剤、耐光剤などが含まれていてもよい。
本発明において、樹脂Aは、白色導電性粒子を含む。白色導電性粒子としては、例えば、アンチモンをドーピングした酸化スズ(以下、ATOと呼ぶことがある)、スズをドーピングした酸化インジウム(以下、ITOと呼ぶことがある)等を、酸化チタンや酸化亜鉛等の無機粒子に被覆した赤外線吸収粒子が好適に挙げられる。これらの粒子は単独で用いても、混用してもよい。
衣料品、寝装品、インテリア用品等に用いる場合、染色性の点、白度が優れている点から、ATOの一種である酸化アンチモンをドーピングした第二酸化スズを被覆した酸化チタンが特に好適に用いられる。
上記白色導電性粒子の平均粒子径は、0.5μm以上が好ましく、1.5μm以下が好ましい。より好ましくは、1μm以下である。
尚、一般的に、合成繊維において、艶消し剤として用いる酸化チタン等の無機粒子は、通常、平均粒子径が0.3μm程度である。しかし、本発明におけるATOやITO等を被覆した酸化チタン等の白色導電性粒子は、平均粒子径を0.5以上、1.5μm以下と通常の平均粒子径より大きい特定の範囲とすることによって、赤外線を熱エネルギーに変換し、熱として蓄積し、蓄熱効果を発揮し易いため、上記の範囲が好ましい。
本発明において、白色導電性粒子の樹脂Aに対する含有量は、2質量%以上、15質量%以下である。好ましくは、4質量%以上である。この範囲であると、保温性、透け防止性、透撮防止性とも良好であり、紡糸操業性及び繊維品質も十分なものとなる。
本発明における白色導電性粒子は、一次粒子径が1.5μm以下のものであることが好ましい。
本発明おいて、樹脂Bは、樹脂Aより溶解速度が大きい繊維形成性ポリマーである。すなわち、樹脂Bは、樹脂Aと同一の特定の溶剤に浸漬した場合に、樹脂Aより溶解速度が大きいものである。通常、樹脂Bの溶解速度は、樹脂Aの10倍以上が好ましく、より好ましくは20倍以上であり、更に好ましくは30倍以上である。
例えば、樹脂Aがホモのポリエステルの場合、樹脂Bとしては、ポリエステルの変性物が好ましく用いられる。ポリエステルの変性物の例としては、スルホン酸の金属塩を有するフタル酸、アジピン酸やポリエチレングリコール等を共重合した変性ポリエステル等が挙げられる。これらのポリエステル変性物は、溶剤をアルカリ水溶液等とした場合に、樹脂Bの溶解速度は、樹脂Aの溶解速度の10倍以上となり、好適に用いることができる。
尚、ホモのポリエステルと、上記のような変性ポリエステルの組み合わせは、ポリマー物性の性質が大きく変わらないため、紡糸条件、延伸条件、仮撚条件、及び製織編や染色等の後加工も安定した条件とすることが容易であり、好ましいものである。
また、性質の大きく異なるポリマー同士において、好適な樹脂Aと樹脂Bの組合せとしては、樹脂Aがポリエステルの場合、樹脂Bが、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレンの群から選ばれるポリマーが挙げられる。これらの組合せであれば、樹脂Aと樹脂Bの溶解速度が大きく異なり、好ましい。
また、樹脂Aがポリアミドの場合、好適な組合せの樹脂Bとしては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポレテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
尚、樹脂Bがポリエステルの場合の溶剤としては、1〜5質量%のNaOH水溶液が好適に挙げられる。
また、樹脂Aと樹脂Bの性質が大きく異なる場合は、適宜、一方の樹脂が溶解する溶剤を選択することが好ましい。例えば、樹脂Aがポリエステル、樹脂Bがポリアミドの場合、ポリアミドを溶解させる蟻酸等が好適に挙げられる。
本発明の複合繊維は、繊維横断面(繊維長軸方向に垂直な面)において、樹脂Aからなる複数のA層と、樹脂Aより溶解速度が大きい樹脂BからなるB層を組み合わせた複合繊維である。
A層とB層とを組合せて複合繊維を得る方法としては、例えば、樹脂Aと樹脂Bを別々の口金から押し出して複合紡糸して複合繊維を得る方法がある。
本発明の複合繊維は、B層を溶解することにより、適宜、特定の径を有するA層からなるマイクロファイバーを得ることができる。得られたマイクロファイバーからなる布帛は、蓄熱性、透け防止性及び透撮防止性に優れたものとなる。
A層とB層とを複合する形態としては、A層を海部とし、B層を島部とした海島構造を好適に挙げることができる。
樹脂Aに粒子径の大きい白色導電性粒子を含有させる場合、A層の繊維表面の露出率は、20%以下であることが好ましく、特に好ましくはA層を繊維表面へ露出させない形態とすることが好ましい。A層が島部、B層が海部の海島型複合繊維として、A層の繊維表面への露出を少なくしたり、A層が繊維表面へ露出しないようにすることにより、樹脂Aに粒子径の大きい白色導電性粒子を含有させた場合でも、複合繊維の紡糸操業性、工程通過性が良好となる。
以下、本発明の複合繊維の好適な繊維横断面の形状について、図1を参照して、詳細に例示する。尚、図1において、斜線部は樹脂AからなるA層、白抜き部は樹脂BからなるB層である。
例えば、図1(a)の繊維横断面は、9個のA層と1個のB層からなり、A層が丸断面の島部、B層がA層を取り囲む海部である海島構造である。図1(a)の島部は、丸断面であるが、三角や四角等の多角形等の異型でもよい。A層の数(島部の数)は、2個以上が好ましく、4個以上がより好ましく、さらに好ましくは、8個以上である。尚、白色導電性粒子等を高濃度に含有させ易い点、繊維物性を保持し易い点から、上限は、100個程度が好ましい。
図1(b)及び(d)の繊維横断面は、8個のA層と1個のB層からなり、A層が三角断面の島部、B層がA層を補完する放射状の海部である海島構造である。この図では、島部の断面形状は三角形であるが、四角形等の多角形やその他の異型断面であってもよい。図1(b)のB層は、繊維中心部から放射状に伸びた形状であり、繊維表面に露出している。図1(d)のB層は、繊維中心部から放射状に伸びた形状であり、B層がA層を覆い、A層は繊維表面に露出していないものである。尚、A層が繊維表面に露出する場合、ゴデッドロールなどの金属の摩耗防止の点から、A層の繊維表面への露出率は80%以下が好ましい。この形状の場合、A層の数(島部の数)は、3以上が好ましく、上限としては、30程度が好ましい。
図1(c)及び(e)の繊維横断面は、9個のA層と1個のB層からなり、A層が繊維中心部の丸断面の島部と、外周に近い四角形の断面の島部であり、B層はA層を補完する形状の海部であり、B層は中空形状でかつ放射状に伸びた形状の海島構造である。尚、A層の形状は丸、四角形であるが、三角形、五角形等の多角形や、その他異型断面でもよい。
図1(c)はA層が繊維表面に露出しており、図1(d)はA層が露出していない形状である。尚、A層が繊維表面に露出する場合、ゴデッドロールなどの金属の摩耗防止の点から、A層の繊維表面への露出率は80%以下が好ましい。この形状の場合、A層の数(島部の数)は、3以上が好ましく、上限としては、30程度が好ましい。
これらの中で、蓄熱性、透け防止性及び透撮防止性の点からは、図1(b、c、d、e)が好ましい。特に図1(b、c、d、e)のA層の個数が8以上で、A層の扁平率が高いものが好ましい。
本発明の複合繊維におけるA層の扁平率は、糸品位を良好にする点からは、0〜90%が好ましい。また、蓄熱性、透け防止性及び透撮防止性の点からは、20〜80%であることが好ましい。
A層の扁平率は、図2の記載を参照して、A層の長辺の長さをa、A層の短辺の長さをbとした場合、扁平率(%)=〔(a−b)×100/a〕として、算出される値である。
本発明の複合繊維におけるA層の繊維表面露出は80%以下が好ましく、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは露出しないことである。A層の繊維表面への露出が非常に大きい場合には、蓄熱性、透け防止性、透撮防止性、紡糸操業性、後工程通過性のバランスが損なわれる傾向がある。
本発明の複合繊維は、A層とB層において、それぞれの比率(面積比)が35:65〜85:15が好ましく、より好ましくは、60:40〜80:20である。A層が35%未満の場合には、マイクロファイバーとする際に溶解する樹脂B成分が多くなり、コスト高となり、A層が85%を超える場合には、繊維内部に浸透しにくいため溶解斑を起こし、きれいに分割せず、安定的にマイクロファイバーが得られない傾向がある。
本発明の複合繊維におけるA層の層1個あたりの面積としては、蓄熱性、透け防止性及び透撮防止性の点から、0.8〜60μmである。好ましくは、5〜30μmであり、より好ましくは、8〜25μmである。A層の1個当たりの面積が0.8μm未満では、白色導電性粒子の粒子径が大きい場合、正常な繊維横断面を形成しないものとなる。上記の範囲であると、B層を溶解した後に、糸の品位を保ちつつ、蓄熱性、透け防止性及び透撮防止性に優れたものとなる。尚、本発明において、複合繊維におけるA層の層1個当たりの面積は、A層の各層の平均面積である。また、それぞれのA層の面積は、A層1個当たりの平均面積の±25%以内が好ましい。
本発明の複合繊維の強度は、2.8cN/dtex以上あることが好ましく、さらに好ましくは、3cN/dtex以上である。2.8cN/dtex未満である場合、アルカリ減量し得られたマイクロファイバーの強度も低くなり、毛羽立ちや微粒子の放出などが生じ易い傾向がある。
本発明の複合繊維の伸度は、18〜150%が好ましく、より好ましくは20〜120%である。伸度が18%である場合、アルカリ減量し得られたマイクロファイバーの伸度も低くなり、毛羽立ちや微粒子の放出などが生じ易い傾向がある。伸度が150%を超える場合には、アルカリ減量後の強度が劣る傾向がある。
本発明の複合繊維は、以下に示す蓄熱性が基準布と比較し1.5℃以上であることが好ましい。
尚、蓄熱性は、白色導電性粒子が入っていない繊維からなる目付50g/mの布帛(基準サンプル)と測定対象の繊維からなる布帛(比較サンプル)を用いて、レフランプによる照射により、基準サンプルに対して、基準サンプルの温度が何℃上昇するかを、後述のように測定して、「比較サンプル−基準サンプル」の値を蓄熱性の値(℃)とする。
本発明の複合繊維の蓄熱性(基準サンプルからの上昇温度)は1.5℃以上が好ましく、より好ましくは3℃以上であり、蓄熱性の値が高ければ高いほど、蓄熱効果に優れている。
本発明の複合繊維は、後述する透過率が、波長領域400〜600nmで20%以下、波長領域600〜800nmで20%以下、波長領域800〜1200nmで20%以下であることが好ましい。波長領域400〜800nmの可視光領域では、透過率が20%を超える条件では、衣服を着用した時、可視光が通り易く、生地が透けてしまう傾向がある。また、水に濡れた場合でも容易に透けてしまう。透過率が20%以下であれば、肉眼では、透けを判別しにくくなり、プライバシーを守ることができる傾向がある。さらに、800〜1200nmの近赤外領域では、透過率が20%を超える条件では、赤外線カメラにより容易に透撮されてしまい、プライバシーを守ることができない傾向があり、透過率を20%以下とすることにより、それを容易に防ぐことができる。
本発明の複合繊維は、製編織等した後、B層を溶解して一部又は全部を除去することにより、マイクロファイバーからなる布帛を得ることができる。
溶解後のマイクロファイバーの単糸断面積は、0.8〜60μmであることが好ましい。単糸断面積が0.8μm未満では、蓄熱性の良好な粒径の白色導電性粒子を用いた場合、溶解後に繊維の毛羽立ちの発生、断糸、微粒子の放出による弱糸になるなどのおそれがある。また単糸繊維径が60μmを超える場合には、布帛としたときの目開きが大きくなるため、良好な透過率が得られず、透けが生じ易く、良好な蓄熱性、透け防止性及び透撮防止性が得られない傾向がある。したがって、溶解後のマイクロファイバーの単糸断面積としては0.8〜60μmが好ましく、さらに好ましくは、5〜30μmである。
本発明の複合繊維のB層を溶解除去した後のマイクロファイバーの強度は、2.8cN/dtex以上あることが好ましく、さらに好ましくは、3.0cN/dtexである。
本発明の複合繊維のB層を溶解除去した後のマイクロファイバーの伸度は、18〜150%が好ましく、より好ましくは20〜120%である。
次に、本発明の複合繊維の好適な製造方法についてさらに具体的に説明する。
以下は、樹脂Aとして、白色導電性粒子を添加したポリエステル樹脂、樹脂Bとして、樹脂Aより溶解速度の大きい共重合ポリエステルを用いた複合繊維の製法の例である。
まず、白色導電性粒子を2〜15質量%含有したポリエステル樹脂(樹脂A)、アルカリ易溶性の共重合ポリエステル(樹脂B)を準備する。
これらの樹脂をそれぞれ溶融して、紡糸口金から吐出する。引き続き糸条を冷却して、油剤を付与した後、第1ゴデッドロール(以下、GR1と呼ぶことがある)及び第2ゴデッドロール(以下、GR2と呼ぶことがある)間で延伸、熱処理し、ワインダーで捲き取り、本発明の複合繊維を得ることができる。
紡糸温度(紡糸口金から吐出する温度)としては、例えば、270〜295℃が好ましく、より好ましくは280〜295℃である。
紡糸速度(上記では未延伸糸を巻き取る速度)としては、例えば、800〜1800m/minが好ましく、より好ましくは800〜1500m/minである。
延伸工程での熱処理温度としては、例えば、100〜180℃が好ましく、より好ましくは120〜160℃である。
捲取速度としては3000〜4500m/minが好ましく、より好ましくは、3000〜4000m/minである。
上記は、未延伸糸を一旦巻き取ることなく、延伸し、熱処理した後に巻き取る方法(直接延伸方法)にて、本発明の合成繊維の製造法を例示したが、未延伸糸を一旦巻き取った後に、延伸する方法(コンベンショナル法)を用いて、製造してもよい。
この場合、紡糸速度は、例えば、800〜1800m/minが好ましく、より好ましくは800〜1500m/minである。
延伸工程での熱処理温度は、例えば、100〜180℃が好ましく、より好ましくは120〜160℃である。
延伸速度としては、例えば、500〜1200m/minが好ましく、より好ましくは600〜1000m/minである。
本発明の複合繊維は、未延伸糸、半延伸糸(高配向き未延伸糸)、延伸糸等のいずれの形態のものでもよい。
上述した製造方法においては、延伸糸を得る方法を例示したが、高配向の未延伸糸を得る場合は、上述したコンベンショナル法と同様に、樹脂を溶融して吐出した後、冷却し、油剤を付与した後、第1ゴデッドロールに導き、その後、第1ゴデッドロールと等速の第2ゴデッドロールを経由して巻糸体に高配向の半延伸糸巻き取ることにより得ることができる。それぞれのゴデッドロールの等速は3000〜4500m/min程度が好ましく、より好ましくは、3000〜4000m/minである。
本発明の複合繊維は、製編織等する際に、そのまま生糸で用いてもよいが、仮撚加工、押し込み加工、ニットデニット加工など繊維が嵩高となるような加工を施して用いてもよい。またこのような加工を施すことにより、より保温性、蓄熱性及び防透け性が優れたものが得られ、また製編織した場合、編み目や織り目を、密とすることができるため、より一層、蓄熱性、透け防止性、透撮防止性を得られ易いものとなる。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。尚、実施例及び比較例中の測定方法は以下の通りである。
A.破断強度、破断伸度
JIS−L−1013に準じ、島津製作所製のAGS−1KNGオートグラフ引張試験機を用い、試料糸長20cm、定速引張速度20cm/minの条件で測定する。荷重−伸び曲線での荷重の最高値を繊度で除した値を破断強度(cN/dtex)とし、そのときの伸び率を破断伸度(%)とする。
B.平均粒子径
透過電子顕微鏡(日本電子社製 透過電子顕微鏡 JEM−1230)を用いて写真撮影し、自動画像処理装置(LUZEX AP(ニレコ(株)製)にて体積基準の水平方向等分径を測定し、比重を計算して、重量平均の平均粒子径を求めた。
C.紡糸操業性
工程の通過性が良好であれば○、工程通過性が若干悪いものを△、製糸不可であれば×とした。
D.蓄熱性評価
実施例及び比較例から得られた繊維を、糸試料とし、後述の方法Eにより、マイクロファイバー布帛を作製し、このマイクロファイバー布帛を比較サンプルとした。次いで、白色導電性粒子を含まない以外は比較サンプルと同じものを準備し、基準サンプルとした。 その後、温度22℃、湿度60%の室内にて、発砲スチロールの平坦面に温度計を配置し、その上方に基準サンプルを配置し、基準サンプルの上方50cmにレフランプを配置する。レフランプから500Wの光を照射し、10分経過したときの基準サンプルの温度を測定しA1とする。同様に、比較サンプルのレフランプ10分照射後の温度を測定し、S1とする。
以下の式にて蓄熱性を算出する。
蓄熱性(℃)=(S1)−(A1)
E.マイクロファイバー布帛の作製
糸試料を2本双糸として、筒編地を作製した後、アルカリ処理により得られた布帛の目付が50g/mになるよう、ウェール数が30本/2.54cm、コース数が60本/2.54cmの筒編地を作製した筒編地を準備する。次いで、2質量%NaOH水溶液を温度98℃にし、浴比1:50の下で15分間処理し、アルカリ減量することにより、樹脂Bを溶解除去し、脱水、風乾し、マイクロファイバー布帛を作製する。
F.透過率評価
島津自記分光光度計(UV−3101PC/MPC−3100)で、波長領域400〜1200nmの透過率を測定した。以下の3領域について、平均値を算出した。
(1)波長領域 400〜600nm
(2)波長領域 600〜800nm
(3)波長領域 800〜1200nm
尚、(1)(2)は可視光領域であり、いずれも、20%以下であれば、透け防止性が良好と判断した。(3)は、近赤外線領域であり、20%以下であれば、透撮防止性が良好であると判断した。
〔実施例1〕
樹脂Aとして、ポリエチレンテレフタレートに、白色導電性粒子として、平均粒子径0.6μmの酸化アンチモンをドーピングした酸化スズを被覆した酸化チタン(ATO被覆酸化チタン)を30質量%含有させたマスターバッチとホモのポリエチレンテレフタレート(極限粘度IV:0.670dl/g)を準備し、ATO被覆酸化チタンが濃度として5質量%となるようにチップブレンドしたものを準備した。また樹脂Bとして、樹脂Aより、2質量%NaOH水溶液による溶解速度が20倍大きいスルホイソフタル酸とポリエチレングリコールを共重合させたポリエチレンテレフタレート(アルカリ易溶PET)を準備した。これらの樹脂を用いて、紡糸温度295℃にて丸型の吐出孔を有する図1(a)に示す海島型の紡糸口金から海部に樹脂B、9個の島部に樹脂Aを、樹脂A:Bが、75:25(面積比)になるように吐出した。引き続き、糸条を冷却、給油し、GR1速度1000m/min、90℃で熱処理し、GR2速度3800m/min、135℃で熱処理し、延伸糸として巻き取り、繊度70dtex/25fの9個のA層とB層からなる複合繊維(A層の各セグメント径:4.8μm)を得た。
〔比較例1〕
ATO被覆酸化チタンを含有していないポリエチレンテレフタレート(極限粘度IV=0.670dl/g)を、紡糸温度295℃にて丸型の吐出孔を有す紡糸口金から吐出した。引き続き糸条を冷却、油剤を付与し、GR1速度1000m/min、90℃で熱処理し、GR2速度3800m/min、135℃で熱処理し、延伸糸を巻き取り、繊度56dtex/24fの単独繊維を得た。
〔実施例2〜4、比較例2、3〕
ATO被覆酸化チタン粒子の含有量を、5質量%、10質量%、15質量%、1.5質量%、20質量%と変更した以外は実施例1と同様に複合繊維を得た。樹脂Aに20質量%含有した比較例3は、複合繊維が得られなかった。
〔実施例5、6〕
白色導電性粒子を、ATO被覆酸化チタンから、ITO被覆酸化チタンへ変更し、含有量を表1のように変更した以外は実施例1と同様に複合繊維を得た。
〔実施例7〜9〕
ATO被覆酸化チタン粒子の平均粒子径を表1のように変更した以外は実施例2と同様に複合繊維を得た。
実施例1〜9を、上記Eの方法により、マイクロファイバー布帛を作製した。
上記実施例1〜9及び比較例1、2から得られた繊維の原料・物性、アルカリ処理後の繊維・布帛の物性、蓄熱性評価、透過率評価の結果を表1に示す。
Figure 2017066564
実施例1〜6から得られた、導電性白色系粒子の濃度が2質量%以上で平均粒径0.6μmのPETをA層、樹脂Bのアルカリ易溶PETをB層とし、樹脂A:樹脂B=75:25、A層の個数(島数)が9個の海島型複合繊維は、紡糸操業性が良好で、強度3cN/dtex以上、伸度30%前後と繊維物性も良好であり、製編織に好適に適用できるものであった。また実施例1〜6から得られた複合繊維を用いたマイクロファイバー布帛の蓄熱性の値は3.8℃以上であり、蓄熱性に優れていた。可視光領域(400〜600nm及び600〜800nm)において、透過率は20%以下であり、透け防止効果が得られた。また近赤外領域(800〜1200nm)の透過率は20%以下であり、透撮防止効果に優れていた。
比較例1から得られたポリエチレンテレフタレート単独の合成繊維は、良好な蓄熱性、透け防止性及び透撮防止性が得られなかった。
比較例2から得られた白色導電性粒子の濃度が1.5質量%と低い複合繊維は、実施例品に比べ、蓄熱性、透け防止性、透撮防止性に劣っていた。
実施例7〜9から得られた白色導電性粒子2μm未満の粒子を5質量%含有したA層の個数(島数)が9個の海島型複合繊維は、紡糸操業性及び繊維物性が良好で、蓄熱性、透け防止性、透撮防止性ともに優れていた。
〔比較例4〕
芯部の樹脂として、ポリエチレンテレフタレートに、平均粒子径0.6μmのATOを30質量%含有させたマスターバッチと、ポリエチレンテレフタレート(極限粘度IV:0.670dl/g)を白色導電性粒子の含有量が5質量%となるようにチップブレンドしたものを準備した。また鞘部の樹脂として、平均粒子径0.3μmの酸化チタンが0.4質量%含有ポリエステルを準備した。これらの樹脂を用いて、紡糸温度295℃にて丸型の吐出孔を有する紡糸口金から芯:鞘(樹脂A:樹脂B)が3:1(面積比)となるようにて吐出した。引き続き糸条を冷却、給油し、GR1速度1000m/min、90℃で熱処理し、GR2速度3800m/min、135℃で熱処理し、延伸糸を巻き取り、繊度84dtex/24fの芯鞘型複合繊維を得た。
〔比較例5〕
繊度及びフィラメント数を変更した以外は、比較例4と同様に芯鞘型複合繊維を得た。
〔実施例2、10〜15、比較例6〕
繊維横断面を表2記載のように変更した以外は実施例2と同様に複合繊維を得た。
実施例2、10〜15、比較例1、4〜6より得られた繊維の原料・繊維物性、アルカリ処理後の繊維物性・布帛の物性、評価結果を表2に示す。
Figure 2017066564
実施例2、10〜15から得られた複合繊維は、紡糸操業性は問題なく、強度3cN/dtex以上、伸度30.0%前後と繊維物性も良好であり、製編織に好適に適用できるものであった。またこれらの繊維を用いて得たマイクロファイバー布帛は、蓄熱性の値が2.4℃以上と、蓄熱性が良好であり、また透け防止性及び透撮防止性も優れたものであった。
また、実施例2、11、12の透過率を参照すると、A層(島部)の断面は、丸断面より、多角形断面の方が、さらには、扁平率が高い方が、透け防止性及び透撮防止性に優れていた。
尚、扁平率は、実施例1(丸断面):0%(長辺a=短辺b=4.8μm)、実施例11(三角断面):35%(長辺a=7.4μm、短辺=4.8μm)、実施例12(四角断面):20%(長辺a=5μm、短辺=4μm)であった。扁平率が高いほど、蓄熱性が高くなり、波長400〜1200nmの全波長において透過率が低くなる傾向が見られ、透け防止性や透撮防止性が向上する結果となった。これは、扁平率が高くなることで、太陽光線などの光を効率的に吸収し、熱変換されて蓄熱性が上がり、かつ、扁平率が高くなることで肌との接触面積が向上することにより透け防止性や透撮防止性が向上すると推測できる。
比較例4、5から得られた複合繊維は、透け防止性及び透撮防止性が実施例品と比べて劣っていた。これは、マイクロファイバー化されていないため、布帛の目の空隙が大きくなり、可視光や近赤外線領域の光が透過し易くなり、可視光や近赤外線の透過率がともに20%を超え、透け防止性や透撮防止性の小さいものとなったと考えられる。
比較例6から得られた複合繊維は、毛羽や断糸が発生し、紡糸操業性が悪く、蓄熱性も劣っていた。また得られたマイクロファイバー布帛は、単糸の断糸や毛羽立ち、強度不足などが頻発した。
〔実施例16〜18、比較例7〕
A層とB層の比率を変更した以外は実施例2と同様に複合繊維を製造した。
実施例2、16〜18、比較例1、7より得られた繊維の原料、繊維物性、評価結果を表3に示す。
Figure 2017066564
実施例2、16〜18から得られた、複合繊維は、強度3.4cN/dtex以上、伸度30%前後と繊維物性は良好であり、製編織に好適に適用できるものであった。蓄熱性の値は、4.8℃以上と優れ、可視光領域(400〜600nm及び600〜800nm)において、透過率が20%以下であり、透け防止効果が得られた。また近赤外領域(800〜1200nm)において、透過率が14.5%以下であり、赤外線カメラによる透撮に対して効果を見出すことができた。よって、上記実施例で得られたマイクロファイバー布帛は、蓄熱性及び透け防止性に優れたものであった。
A層:B層が90:10の比較例7は、紡糸操業性が不良であり、また実施例品と比べて、透け防止性に劣っていた。
本発明の複合繊維によれば、後工程でB層を溶解することによって、蓄熱性と透け防止、透撮防止性を有した布帛を得ることができるため、水着やブラウス、インナー、体操着などに利用が期待できる上に、光を遮蔽する効果もあることからブラインドカーテン、ボイルカーテン、レースカーテンなどのカーテン素材や網戸のインテリア用途や布団、寝具などの寝装用途等にも利用が期待できる。
A:樹脂A(A層)
B:樹脂B(B層)
しかしながら、特許文献1に記載の保温性ポリエステル繊維は、蓄熱性が十分でなく、また透撮防止性については記載されていない。
そして、特許文献2記載の芯鞘複合糸は、透け防止性が十分なものではない。
また特許文献3に記載の繊維材料は、赤外線吸収剤又は赤外線反射剤を、後加工により固着して得ることが記載されているが、後加工による固着では、使用時に剥がれてしまう可能性があり、透撮防止性は優れているものの、その耐久性に問題がある。
そして、特許文献4記載の布帛は、透撮防止性は優れているものの、透け防止性や蓄熱性が十分なものとはならない。
したがって、本発明は、上記の課題を解決し、蓄熱性、透け防止性、透撮防止性とも優れた布帛を得るのに好適な合成繊維を得ることを、その目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、特定の粒子を含み、特定の径を有する樹脂層と、易溶解樹脂の樹脂層とからなる繊維横断面形状の複合繊維とすることにより、後工程で、溶解することによって、保温性、透け防止性、透撮防止性ともに良好な繊維構造物を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、上記目的を達成するため、本発明は、繊維横断面において、樹脂Aからなる複数のA層と、樹脂BからなるB層とを有する複合繊維であって、樹脂Aは、白色導電性粒子を2質量%以上、15質量%以下含む繊維形成性ポリマーであり、樹脂Bは、樹脂Aより溶解速度が大きい繊維形成性ポリマーであり、A層の層1個当たりの面積は0.8〜60μmであり、A層とB層との面積比率は35:65〜85:15である複合繊維を要旨とする。
上記複合繊維は、白色導電性粒子が、アンチモンをドーピングしたスズ又はアンチモンをドーピングしたインジウムのいずれか一つ以上を被覆した無機粒子であることが好ましく、特に、白色導電性粒子が、アンチモンをドーピングしたスズを被覆した酸化チタンであることが好ましい。
上記複合繊維は、白色導電性粒子の平均粒子径が、1.5μm以下であることが好ましい。
また、本発明は、上記複合繊維を製編織した後、B層を溶解して除去することにより、単糸断面積が、0.8〜60μmのマイクロファイバーからなる布帛を製造する方法でもある。
以下、本発明の複合繊維の好適な繊維横断面の形状について、図1を参照して、詳細に例示する。尚、図1において、斜線部は樹脂AからなるA層、白抜き部は樹脂BからなるB層である。
例えば、図1(a)の繊維横断面は、個のA層と1個のB層からなり、A層が丸断面の島部、B層がA層を取り囲む海部である海島構造である。図1(a)の島部は、丸断面であるが、三角や四角等の多角形等の異型でもよい。A層の数(島部の数)は、2個以上が好ましく、4個以上がより好ましく、さらに好ましくは、8個以上である。尚、白色導電性粒子等を高濃度に含有させ易い点、繊維物性を保持し易い点から、上限は、100個程度が好ましい。
図1(b)及び(d)の繊維横断面は、8個のA層と1個のB層からなり、A層が三角断面の島部、B層がA層を補完する放射状の海部である海島構造である。この図では、島部の断面形状は三角形であるが、四角形等の多角形やその他の異型断面であってもよい。図1(b)のB層は、繊維中心部から放射状に伸びた形状であり、繊維表面に露出している。図1(d)のB層は、繊維中心部から放射状に伸びた形状であり、B層がA層を覆い、A層は繊維表面に露出していないものである。尚、A層が繊維表面に露出する場合、ゴデッドロールなどの金属の摩耗防止の点から、A層の繊維表面への露出率は80%以下が好ましい。この形状の場合、A層の数(島部の数)は、3以上が好ましく、上限としては、30程度が好ましい。
図1(c)及び(e)の繊維横断面は、9個のA層と1個のB層からなり、A層が繊維中心部の丸断面の島部と、外周に近い四角形の断面の島部であり、B層はA層を補完する形状の海部であり、B層は中空形状でかつ放射状に伸びた形状の海島構造である。尚、A層の形状は丸、四角形であるが、三角形、五角形等の多角形や、その他異型断面でもよい。
図1(c)はA層が繊維表面に露出しており、図1()はA層が露出していない形状である。尚、A層が繊維表面に露出する場合、ゴデッドロールなどの金属の摩耗防止の点から、A層の繊維表面への露出率は80%以下が好ましい。この形状の場合、A層の数(島部の数)は、3以上が好ましく、上限としては、30程度が好ましい。
これらの中で、蓄熱性、透け防止性及び透撮防止性の点からは、図1(b、c、d、e)が好ましい。特に図1(b、c、d、e)のA層の個数が8以上で、A層の扁平率が高いものが好ましい。
本発明の複合繊維の伸度は、18〜150%が好ましく、より好ましくは20〜120%である。伸度が18%未満である場合、アルカリ減量し得られたマイクロファイバーの伸度も低くなり、毛羽立ちや微粒子の放出などが生じ易い傾向がある。伸度が150%を超える場合には、アルカリ減量後の強度が劣る傾向がある。
上述した製造方法においては、延伸糸を得る方法を例示したが、高配向の未延伸糸を得る場合は、上述したコンベンショナル法と同様に、樹脂を溶融して吐出した後、冷却し、油剤を付与した後、第1ゴデッドロールに導き、その後、第1ゴデッドロールと等速の第2ゴデッドロールを経由してボビンに高配向として半延伸糸巻き取ることにより得ることができる。それぞれのゴデッドロールの等速は3000〜4500m/min程度が好ましく、より好ましくは、3000〜4000m/minである。
本発明の複合繊維は、製編織等する際に、そのまま生糸で用いてもよいが、仮撚加工、押し込み加工、ニットデニット加工など繊維が嵩高となるような加工を施して用いてもよい。またこのような加工を施すことにより、より保温性、蓄熱性及び透け防止性が優れたものが得られ、また製編織した場合、編み目や織り目を、密とすることができるため、より一層、蓄熱性、透け防止性、透撮防止性を得られ易いものとなる。
〔実施例1〕
樹脂Aとして、ポリエチレンテレフタレートに、白色導電性粒子として、平均粒子径0.6μmの酸化アンチモンをドーピングした酸化スズを被覆した酸化チタン(ATO被覆酸化チタン)を30質量%含有させたマスターバッチとホモのポリエチレンテレフタレート(極限粘度IV:0.670dl/g)を準備し、ATO被覆酸化チタンが濃度として質量%となるようにチップブレンドしたものを準備した。また樹脂Bとして、樹脂Aより、2質量%NaOH水溶液による溶解速度が20倍大きいスルホイソフタル酸とポリエチレングリコールを共重合させたポリエチレンテレフタレート(アルカリ易溶PET)を準備した。これらの樹脂を用いて、紡糸温度295℃にて丸型の吐出孔を有する図1(a)に示す海島型の紡糸口金から海部に樹脂B、9個の島部に樹脂Aを、樹脂A:Bが、75:25(面積比)になるように吐出した。引き続き、糸条を冷却、給油し、GR1速度1000m/min、90℃で熱処理し、GR2速度3800m/min、135℃で熱処理し、延伸糸として巻き取り、繊度70dtex/25fの9個のA層とB層からなる複合繊維(A層の各セグメント径:4.8μm)を得た。

Claims (5)

  1. 繊維横断面において、樹脂Aからなる複数のA層と、樹脂BからなるB層とを有する複合繊維であって、樹脂Aは、白色導電性粒子を2質量%以上、15質量%以下含む繊維形成性ポリマーであり、樹脂Bは、樹脂Aより溶解速度が大きい繊維形成性ポリマーであり、A層の層1個当たりの面積は0.8〜60μmであり、A層とB層との面積比率は35:65〜85:15である複合繊維。
  2. 白色導電性粒子が、アンチモンをドーピングしたスズ又はアンチモンをドーピングしたインジウムのいずれか一つ以上を被覆した無機粒子である請求項1記載の複合繊維。
  3. 白色導電性粒子が、アンチモンをドーピングしたスズを被覆した酸化チタンである請求項1又は2記載の複合繊維。
  4. 白色導電性粒子の平均粒子径が、1.5μm以下である請求項1〜3いずれか1項記載の複合繊維。
  5. 請求項1〜4記載の複合繊維を製編織した後、B層を溶解して除去することにより、単糸断面積が、0.8〜60μmのマイクロファイバーからなる布帛を製造する方法。
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