JP6271856B2 - 布帛の製造方法および繊維製品の製造方法 - Google Patents

布帛の製造方法および繊維製品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、超極細のポリエステルフィラメントを含む糸条であって、取扱性に優れ、かつ高品位の布帛や繊維製品を得ることが可能な糸条、および前記糸条を用いてなる布帛、および前記糸条を用いてなる繊維製品に関する。
従来、優れた滑り止め性能、ワイピング性能、ソフトな風合いを得るため、超極細のポリエステルフィラメントを用いた布帛が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、かかる布帛において、海島型複合繊維を用いて布帛を得た後、海島型複合繊維の海成分をアルカリで溶解除去するため設備上の制約があり、また、工程が複雑になるという問題があった。さらには、ウールなどの耐アルカリ性に弱点がある他繊維との交織や交編ができないという問題があった。
また、特許文献2では、超極細のポリエステルフィラメントが提案されているが、かかる超極細のポリエステルフィラメントを用いて布帛や繊維製品を製造すると、製造設備によりフィラメント表面が擦過されることにより糸切れなどが発生し、工程安定性に劣り、高品位の布帛や繊維製品を得ることができないという問題があった。
国際公開第05/095686号パンフレット 特開2012−193476号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、超極細のポリエステルフィラメントを含む糸条であって、取扱性に優れ、かつ高品位の布帛や繊維製品を得ることが可能な糸条を提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、超極細のポリエステルフィラメントを含む糸条に集束剤を付与することにより、超極細のポリエステルフィラメントを含む糸条であって、取扱性に優れ、かつ高品位の布帛や繊維製品を得ることが可能な糸条
が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「単繊維径が510〜800nmの長繊維からなるポリエステルフィラメントAを含む糸条であって、前記ポリエステルフィラメントAのフィラメント数が500本以上であり、かつ前記ポリエステルフィラメントAが海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られたフィラメントであり、糸条に、単繊維径が1500nmより大のフィラメントBが含まれており、かつ糸条の総繊度が15〜800dtexの範囲内であり、かつ糸条に染色加工が施されている糸条に、糊剤および/または油剤を含む集束剤、糸条の重量に対して0.1〜15重量%付与し、該糸条を用いて布帛を製造することを特徴とする布帛の製造方法。」が提供される。その際、布帛を製造した後、ソーピング加工することが好ましい。
また、「単繊維径が510〜800nmの長繊維からなるポリエステルフィラメントAを含む糸条であって、前記ポリエステルフィラメントAのフィラメント数が500本以上であり、かつ前記ポリエステルフィラメントAが海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られたフィラメントであり、糸条に、単繊維径が1500nmより大のフィラメントBが含まれており、かつ糸条の総繊度が15〜800dtexの範囲内であり、かつ糸条に染色加工が施されている糸条に、糊剤および/または油剤を含む集束剤を、糸条の重量に対して0.1〜15重量%付与し、
該糸条を用いて、靴下、手袋、サポーター、衣料、織編テープ、紐からなる群より選択されるいずれかの繊維製品を製造することを特徴とする繊維製品の製造方法。」が提供される。
本発明によれば、超極細のポリエステルフィラメントを含む糸条であって、取扱性に優れ、かつ高品位の布帛や繊維製品を得ることが可能な糸条、および前記糸条を用いてなる布帛、および前記糸条を用いてなる繊維製品が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の糸条には、単繊維径が10〜1500nmのポリエステルフィラメントAが含まれる。
ここで、前記ポリエステルフィラメントA(以下、「ナノファイバー」と称することもある。)において、その単繊維径(単繊維の直径)が10〜1500nm(好ましくは250〜800nm、特に好ましくは510〜800nm)の範囲内であることが肝要である。該単繊維径が10nmよりも小さい場合は繊維強度が低下するため実用上好ましくない。逆に、該単繊維径が1500nmよりも大きい場合は、滑り止め性能、ワイピング性能、ソフトな風合いなどが得られないおそれがあり好ましくない。ここで、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。
前記ポリエステルフィラメントAにおいて、フィラメント数は特に限定されないが、滑り止め性能、ワイピング性能、ソフトな風合いなどを得る上で500本以上(より好ましくは2000〜60000本)であることが好ましい。
前記ポリエステルフィラメント糸Aの繊維形態は特に限定されないが、長繊維(マルチフィラメント糸)であることが好ましい。単繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状でよい。また、通常の空気加工、仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
前記ポリエステルフィラメントAを形成するポリマーの種類としてはポリエステル系ポリマーであれば特に限定されず、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどが好ましく例示される。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルや、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸でもよい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
本発明の糸条は、前記ポリエステルフィラメントAだけで構成されていてもよいが、前記ポリエステルフィラメント糸Aと、他の繊維として単繊維径が1500nmより大(好ましくは2〜33μm)のフィラメントBとで構成されると、糸条の保形性が向上し好ましい。
前記フィラメントBの単繊維径が1500nm以下であると、糸条の保形性が損われるおそれがある。ここで、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、前記と同様、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。
前記フィラメントBにおいて、フィラメント数は特に限定されないが、1〜300本の範囲内であることが好ましい。また、かかるフィラメント糸Bの繊維形態は特に限定されず紡績糸でもよいが、長繊維(マルチフィラメント糸)やポリウレタン繊維等、あるいは両者を使用することが好ましい。単繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状でよい。また、通常の空気加工、仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえなく、またフィラメントB以外にフィラメントC,D,E・・・と複数の組合せでもよい。
前記フィラメントBを形成するポリマーの種類としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステル、ポリエーテルエステル、ウレタンなどが好ましく例示される。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルやポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸でもよいが、滑り止め効果をより追及する場合はポリエーテルエステルやポリウレタンなどの弾性樹脂が好ましい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
本発明の糸条において、例えば、ポリウレタン繊維やポリエーテルエステル系繊維などからなる弾性繊維糸条と、ポリエステルフィラメントAとをインターレース空気ノズルなどにより空気混繊させた複合糸や、弾性繊維糸条とポリエステルフィラメントAとを複合仮撚捲縮加工した複合糸や、弾性繊維糸条のまわりにポリエステルフィラメントAをカバリングした複合糸などや、紡績糸との複合糸でもよい。例えば、ポリエステルフィラメントAを鞘部に配し、フィラメントBなどの他の繊維を芯部に配した複合糸とすることも好ましい。
本発明の糸条の総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との積)は、15〜800dtex(好ましくは35〜500dtex、特に好ましくは35〜300dtex)の範囲内であることが好ましい。総繊度が15dtexより小さい場合は糸条強度が低下するため実用上好ましくない。逆に、総繊度が800dtexよりも大きい場合は、繊維製品にする際にその製造設備に仕掛らないおそれがある。
本発明の糸条は、染色加工(例えば明度が10〜90の範囲内。)が施されていると、該糸条を用いて繊維製品にした後で染色する必要がなく好ましい。
本発明の糸条には、集束剤が付与されている。かかる集束剤としては、表面に何も付着していない総繊度56dtex/10filのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸条に、糸条重量に対して5重量%付与し、糸条がフリー(無張力の状態)の状態で単糸が凝集していることを目視で判定できる集束性を有するものであればよい。集束剤が付与されていない場合は、糸条の取扱性が低下し、高品位の布帛や繊維製品を得ることができないおそれがあり好ましくない。
ここで、集束剤としては優れた集束性を得る上で、糊剤(サイジング剤と称されることもある。)および/または油剤(オイリング剤と称されることもある。)が含まれていることが好ましい。もちろん、糊剤および/または油剤のみからなるものでもよい。
かかる糊剤としては、PVA(ポリビニルアルコール)や、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸ソーダなどのアクリル系糊剤などが例示される。
また、前記集束剤にはワックスや界面活性剤などが含まれていてもよい。かかるワックスには、カルナバワックス、カンデリラワックス、モンタンワックスなどの天然ワックスやポリエチレンワックスなどの合成ワックスなどが例示される。
一方、油剤としては、例えば、特開平10−158939号公報に記載されているような油剤や、潤滑油(鉱物油)でもよい。市販のものでは、日華化学(株)製「LAN−401」(製品名)、松本油脂製薬(株)製「ブリアンC−1840−1」(製品名)などコーニングオイルと称されるものが好適に例示される。
本発明の糸条において、集束剤の付着量としては、糸条重量に対して固形分重量で0.1〜15重量%(好ましくは0.1〜10重量%)の範囲内であることが好ましい。糸条表面に糊剤が付着していない場合および付着量が0.1重量%より小さい場合は、糸条に極めて単繊維径が小さい繊維が含まれるため、該糸条を用いて布帛や繊維製品を製造する際に毛羽等が発生し品質に問題が出るおそれがある。逆に、該付着量が15重量%よりも大きい場合は、糸条が剛直となり、布帛や繊維製品を製造することが困難になるおそれがある。
本発明の糸条は、例えば以下の製造方法により製造することができる。まず、海成分と、ポリエステルからなりその径が10〜1500nmである島成分とで形成される海島型複合繊維(ポリエステルフィラメントA用繊維)を用意する。かかる海島型複合繊維としては、特開2007−2364号公報に開示された海島型複合繊維マルチフィラメント(島数100〜1500)が好ましく用いられる。
すなわち、海成分ポリマーとしては、繊維形成性の良好なポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンなどが好ましい。例えば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングルコール系化合物共重合ポリエステル、ポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホン酸イソフタル酸の共重合ポリエステルが好適である。なかでも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングルコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。
一方、島成分ポリマーは、繊維形成性のポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどのポリエステルが好ましい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
上記の海成分ポリマーと島成分ポリマーからなる海島型複合繊維は、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。また、島成分の径は、10〜1500nmの範囲とする必要がある。その際、島成分の形状が真円でない場合は外接円の直径を求める。前記の海島型複合繊維において、その海島複合重量比率(海:島)は、40:60〜5:95の範囲が好ましく、特に30:70〜10:90の範囲が好ましい。
かかる海島型複合繊維は、例えば以下の方法により容易に製造することができる。すなわち、前記の海成分ポリマーと島成分ポリマーとを用い溶融紡糸する。溶融紡糸に用いられる紡糸口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。吐出された海島型断面複合繊維は、冷却風によって固化され、好ましくは400〜6000m/分で溶融紡糸された後に巻き取られる。得られた未延伸糸は、別途延伸工程をとおして所望の強度・伸度・熱収縮特性を有する複合繊維(延伸糸)とするか、あるいは、一旦巻き取ることなく一定速度でローラーに引き取り、引き続いて延伸工程をとおした後に巻き取る方法のいずれでも構わない。かかる海島型複合繊維において、単繊維繊度、フィラメント数、総繊度としてはそれぞれ単繊維繊度0.5〜10.0dtex、フィラメント数5〜75本、総繊度30〜170dtexの範囲内であることが好ましい。
次いで、前記海島型複合繊維と、必要に応じて他の繊維とを用いて糸条を製造する。ここで、他の繊維を用いる場合は、他の繊維が複合糸の表面に露出しにくいように、糸条を三層構造として中間層に他の繊維を配す方法や、海島型複合繊維が鞘部に位置し、他の繊維が芯部に位置する複合糸条として製造することが好ましい。その際、用いる機械は限定されず、従来公知の混繊加工機、仮撚捲縮加工機またはカバリング機でよい。また、得られた複合糸条を織編物などの繊維製品にする際、さらに500回/m以下の撚りを施してもよい。
次いで、該糸条にアルカリ水溶液処理を施し、前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、海島型複合繊維を単繊維径が10〜1500nmのポリエステルフィラメントAとすることにより、本発明の糸条が得られる。その際、アルカリ水溶液処理の条件としては、濃度1〜4%のNaOH水溶液を使用し55〜98℃の温度で処理するとよい。
また、該アルカリ水溶液による溶解除去の前および/または後に糸条に染色加工を施してもよい。さらに、常法の起毛加工、撥水加工、さらには、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去し、単繊維径が10〜1500nmのポリエステルフィラメントAを含む糸条を得た後、該糸条に集束剤を付与し、必要に応じて乾燥することにより、本発明の糸条を得ることができる。その際、用いる加工機としては、何ら制約することはなく従来公知のサイジング機でよい。
かくして得られた糸条は超極細のポリエステルフィラメントを含む糸条であって、取扱性に優れ、かつ高品位の布帛や繊維製品を得ることが可能な糸条である。
次に、本発明の布帛は前記の糸条を用いて製織または製編または製紐された布帛である。かかる布帛は、ソーピング加工(精練)することで前記糸条に付着した集束剤が除去され、優れた滑り止め性能、ワイピング性能、ソフトな風合いなどを呈する。さらには、前記の糸条を用いて製造されているので、工程性に優れ高品位である。
次に、本発明の繊維製品は、前記の糸条を用いて得られた、靴下、手袋、サポーター、衣料、織編テープ、紐からなる群より選択されるいずれかの繊維製品である。かかる繊維製品は、ソーピング加工(精練)することで前記糸条に付着した集束剤が除去され、優れた滑り止め性能、ワイピング性能、ソフトな風合いなどを呈する。さらには、前記の糸条を用いて製造されているので、工程性に優れ高品位である。なお、かかる繊維製品には、前記の布帛を用いたものも含まれる。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<溶融粘度>
乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見る。
<溶解速度>
海・島成分の各々0.3φ−0.6L×24Hの口金にて1000〜2000m/分の紡糸速度で糸を巻き取り、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、84dtex/24filのマルチフィラメントを作製する。これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から、減量速度を算出した。
<単繊維径>
生地を電子顕微鏡で写真撮影した後、n数5で単繊維径を測定しその平均値を求めた。
<集束剤の付着量>
糸条を綛繰り機で約2g取り、105℃で2時間絶乾しシリカゲル入りデシケータ中で2時間放冷した後の重量(W1)を測定する。その後、糸条をソーダ灰4g/Lおよび界面活性剤2g/Lおよびトリポリリン酸ソーダ2g/Lを添加した98℃の水溶液中で1時間処理する。処理後の糸条を、105℃で2時間絶乾しシリカゲル入りデシケータ中で2時間放冷した後の重量(W2)を測定する。下記式から糊剤の付着量として算出した。
(W1−W2)/W1×100
<糸条の取扱性>
糸条を用いて丸編物を製編する際の工程性を、「優れている。」「普通」「毛羽が発生し劣っている。」の3段階に評価した。
[実施例1]
島成分としてポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1200ポイズ、艶消し剤の含有量:0重量%)、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール6重量%を共重合したポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1750ポイズ)を用い(溶解速度比(海/島)=230)、海:島=30:70、島数=836の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。
得られた未延伸糸を、延伸温度80℃、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットして巻き取った。得られた海島型複合繊維(ポリエステルフィラメントA用繊維、延伸糸)は56dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は700nmであった。
得られた海島型複合繊維を2本と、ポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント(33dtex/12fil;単繊維径16μm、フィラメントB)1本を引き揃えてインターレース加工にて混繊糸を得た。
次いで、該混繊糸条に含まれる海島型複合繊維の海成分を除去するために、2.0%NaOH水溶液で、70℃にて25%減量(アルカリ減量)した。その後、常法の染色加工でグレー色に染色を行った。
その後、糊剤(集束剤)としてPVA(分子量500)5%sol.およびポリアクリル酸エステル1%sol.を含む水溶液を準備し、上記糸条を解舒しながら連続的に集束剤水溶液に浸漬後、80℃乾燥しながら巻き取った。
得られた糸条は、単繊維径が700nmのポリエステルフィラメントAと単繊維径が16μmのフィラメントBから構成されており、総繊度は135.8dtex、糊剤(集束剤)の付着量は9.2重量%であり、集束性に優れていた。
得られた糸条を用いて通常の丸編み機を使用してスムース組織で丸編物からなる布帛を製編した際、毛羽等による断糸は発生せず安定して製編でき、糸条の取扱性に優れていた。得られた丸編物をソーダ灰4%sol.および界面活性剤2%sol.を含む60℃の水溶液でソーピング加工した結果、糊剤(集束剤)は完全に除去され、単繊維径700nmのポリエステルフィラメントAが露出し、非常に滑り難いものであった。また、毛羽等による糸切れなどの編み欠点は認められず高品位であった。次いで、該丸編物を用いて手袋を得たところ高品位であった。
[実施例2]
実施例1において、集束剤として糊剤にかえて油剤(松本油脂製薬(株)製「ブリアンC−1840−1」(製品名))を用い、油剤(集束剤)の付着量を6.0重量%にかえること以外は実施例1と同様にした。ソーピング加工した結果、油剤(集束剤)は完全に除去され、単繊維径700nmのポリエステルフィラメントAが露出し、非常に滑り難いものであった。また、毛羽等による糸切れなどの編み欠点は認められず高品位であった。次いで、該丸編物を用いて手袋を得たところ高品位であった。
[比較例1]
実施例1において、海島型複合繊維の替わりに56dtex/10filのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントを用いた以外は、実施例1と同様に糊剤(集束剤)付き糸条を得た。
得られた糸条において、前記ポリエステルフィラメントの単繊維径は23μmであり、ポリエステルフィラメントBの単繊維径が16μmであった。また、糸条の表面に露出する繊維はすべてポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントであった。この糸条を用いて製編しソーピング加工により糊剤を除去した丸編物は、滑り止め性能があるとはいえないものだった。
[比較例2]
実施例1と同様に混繊糸条を得て、アルカリ減量した糸条を得た後、糊剤(集束剤)を付けずにそのまま丸編み機で製編したが、ガイド等に糸条が擦れて毛羽が発生したことにより断糸が多発し糸条の取扱性に劣るものであった。また、得られた丸編物は品位の良くないものであった。

Claims (3)

  1. 単繊維径が510〜800nmの長繊維からなるポリエステルフィラメントAを含む糸条であって、前記ポリエステルフィラメントAのフィラメント数が500本以上であり、かつ前記ポリエステルフィラメントAが海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られたフィラメントであり、糸条に、単繊維径が1500nmより大のフィラメントBが含まれており、かつ糸条の総繊度が15〜800dtexの範囲内であり、かつ糸条に染色加工が施されている糸条に、糊剤および/または油剤を含む集束剤、糸条の重量に対して0.1〜15重量%付与し、
    該糸条を用いて布帛を製造することを特徴とする布帛の製造方法。
  2. 布帛を製造した後、ソーピング加工する、請求項1に記載の布帛の製造方法。
  3. 単繊維径が510〜800nmの長繊維からなるポリエステルフィラメントAを含む糸条であって、前記ポリエステルフィラメントAのフィラメント数が500本以上であり、かつ前記ポリエステルフィラメントAが海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られたフィラメントであり、糸条に、単繊維径が1500nmより大のフィラメントBが含まれており、かつ糸条の総繊度が15〜800dtexの範囲内であり、かつ糸条に染色加工が施されている糸条に、糊剤および/または油剤を含む集束剤を、糸条の重量に対して0.1〜15重量%付与し、
    糸条を用いて、靴下、手袋、サポーター、衣料、織編テープ、紐からなる群より選択されるいずれかの繊維製品を製造することを特徴とする繊維製品の製造方法。
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