JPH10212629A - 異繊度異収縮混繊糸 - Google Patents

異繊度異収縮混繊糸

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JPH10212629A
JPH10212629A JP1172097A JP1172097A JPH10212629A JP H10212629 A JPH10212629 A JP H10212629A JP 1172097 A JP1172097 A JP 1172097A JP 1172097 A JP1172097 A JP 1172097A JP H10212629 A JPH10212629 A JP H10212629A
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yarn
shrinkage
fineness
different
group
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JP1172097A
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Seiji Morita
精次 森田
Kazutomi Suda
一臣 須田
Yoshiaki Sato
慶明 佐藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は従来にないドライタッチ、微毛タッ
チそして自然なムラ感と不透明感を張り・腰、反発性、
ドレープ性に加えて新たに付加することができる。 【解決手段】 少なくとも3種以上のフィラメント糸条
群からなる異繊度異収縮混繊糸において、低収縮性成分
として単糸繊度が0.05〜0.5dの細繊度糸条群
(A)と単糸繊度が0.7〜2.5dの中繊度糸条群
(B)であり、高収縮成分成分として単糸繊度が3〜8
dの太繊度糸条群(C)からなり、細繊度糸条群(A)
のフィラメント数が太繊度糸条群(C)のフィラメント
数の20倍以上、かつ中繊度糸条群(B)のフィラメン
ト数の5倍以上であり、高収縮性成分の沸騰水収縮率は
15%以上、低収縮性成分の沸騰水収縮率は7%未満で
あり、細繊度糸条群(A)は無機微粒子を5wt%以上
含有し、中繊度糸条群(B)は無機微粒子を1wt%以
上含有する異繊度異収縮混繊糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は異繊度異収縮混繊糸
に関するものである。さらに詳しくは低収縮性の極細糸
を混繊糸表面に配し、高収縮性の太繊度糸を内層、およ
び低収縮性の中繊度糸を中間層および表層に配する少な
くとも3種以上のフィラメント糸条群からなる異繊度異
収縮混繊糸であって、織編物にした際にドライタッチ
な、微毛タッチを有し、かつ膨らみ、張り・腰、反発性
およびドレープ性、加えて自然なムラ感と不透明感を兼
ね備えた異繊度異収縮混繊糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリエステルやポリアミドなど
の合成繊維は、その優れた特徴を備えているため、衣類
用から産業用と広範囲に用いられている。中でもポリエ
ステル繊維は、強度、寸法安定性、イージケアー性等多
くの優れた特徴を備えているため、衣類用をはじめ様々
の用途に利用されている。
【0003】高収縮糸と低収縮糸を混繊した異収縮混繊
糸を用いた織編物は、膨らみとドレープ性、およびソフ
ト感を付与することができることから各種技術が良く知
られている。特公昭55−22586号公報、特開昭5
8−120816号公報、特開平2−19539号公報
などに開示されている。しかしながらこれらの異収縮混
繊糸はいずれも2者混繊糸であり自然なムラ感に乏し
く、また極細糸が使用されておらず、微毛タッチは無
く、かつシルキー織編物を目的としておりシルキーな光
沢が不可欠のため不透明性を発揮する無機微粒子は殆ど
含有されておらず、透けを防止する不透明感およびドラ
イタッチについては全く配慮されていない。
【0004】一方、極細繊維については、織編物の表面
品位やドレープ性、風合いに優れ、開発は活発に行われ
ている。この極細繊維を得る方法として、直接紡糸延伸
して得る方法、複合繊維を布帛にした後、1成分を溶解
除去、または剥離分解処理して極細化する方法等が従来
から良く知られている。例えば特開昭52−91962
号公報には極細繊度の島成分をもつ海島複合糸に収縮差
を付与して混繊し、織物としてから海成分を除去し、起
毛して立毛織物とする技術が開示されているが、該織物
はソフト感が強すぎて、起毛しない場合でも特殊な用途
にしか展開できない等の欠点がある。
【0005】一方、透けを防止する技術として、特開昭
61−275434号公報には収縮差混繊糸の高収縮率
の繊維群にのみ艶消し剤を含有させ、低収縮繊維群には
艶消し剤を含有させず、金属リン化合物とアルカリ土類
金属化合物を含有させることにより微細孔を生じさせ、
深色性、鮮明性を有し、ソフトで膨らみのある透けない
繊維が開示されている。しかしながら、このような繊維
による織編物では織編物表面において浮き上がった状態
にある低収縮繊維群に艶消し剤が含有されていないため
に、ドライタッチに劣り、極細糸が使用されておらず微
毛タッチは無く、2者混繊糸のため、自然なムラ感にも
乏しいものであった。
【0006】他方、3種混繊糸については、例えば特開
昭60−88107号公報、特開昭60−88147号
公報に3種混繊糸の製造技術が開示されているが、いず
れも単糸繊度が2d以上で、微毛タッチは不十分であ
り、加えて不透明感、ドライタッチ、膨らみ、ドレープ
性等は配慮されていない。また特開平6−330425
号公報には分割型複合繊維に自己伸長性をもたせて、こ
れと高収縮糸を混繊交絡させ熱処理等で大きな嵩高性を
付与し、減量加工等で極細繊維の風合いが表面に現れる
技術が開示されている。該方法によって大きな嵩高性は
得られるものの無機微粒子の含有率が少なすぎて、不透
明感とドライタッチ、ミルキーな光沢に関しては何等得
ることはできない。
【0007】このように、従来技術では異収縮混繊糸、
異繊度混繊糸、極細繊維混繊糸は知られているものの、
織編物にした際にドライタッチ、微毛タッチを有しなが
ら不透明感に優れ、自然なムラ感、膨らみ、張り、腰、
反発、ドレープ性を兼ね備えた高級感のある織編物はい
まだ得られていなかったのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の欠点を解消し、織編物にした際、ドライタッ
チ、微毛タッチを有し、かつ膨らみ、張り・腰、反発性
およびドレープ性、加えて自然なムラ感と不透明感を兼
ね備えた従来技術では達成できなかった特徴のある異繊
度異収縮混繊糸を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、少
なくとも3種以上のフィラメント糸条群からなる異繊度
異収縮混繊糸において、低収縮性成分として単糸繊度が
0.05〜0.5dの細繊度糸条群(A)と単糸繊度が
0.7〜2.5dの中繊度糸条群(B)であり、高収縮
成分成分として単糸繊度が3〜8dの太繊度糸条群
(C)からなり、細繊度糸条群(A)のフィラメント数
が太繊度糸条群(C)のフィラメント数の20倍以上、
かつ中繊度糸条群(B)のフィラメント数の5倍以上で
あり、高収縮性成分の沸騰水収縮率は15%以上、低収
縮性成分の沸騰水収縮率は7%未満であり、細繊度糸条
群(A)は無機微粒子を5wt%以上含有し、中繊度糸
条群(B)は無機微粒子を1wt%以上含有する異繊度
異収縮混繊糸によって達成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を詳細に説明
する。先ず、本発明の異繊度異収縮混繊糸は低収縮成分
である極細繊維と太繊度の高収縮糸および中繊度の低収
縮糸の少なくとも3種以上のマルチフィラメント糸条群
から構成される。
【0011】この細繊度糸条群(A)の繊度は0.05
〜0.5dであることが必要である。この細繊度糸条群
(A)は低収縮性であり、織編物の表面に配し、風合、
外観を形成するものである。細繊度糸条群(A)の単糸
繊度は微毛タッチ、ソフト感、ドレープ性を発揮させる
観点から0.5d以下、好ましくは0.4d以下であ
る。単糸繊度が小さくなり過ぎると、ソフト感が強調さ
れ過ぎてぬめった風合となるため、0.05d以上、好
ましくは0.06d以上である。
【0012】次に低収縮性を示す中繊度糸条群(B)で
あるが、この繊度は0.7〜2.5dであることが必要
である。細繊度糸条群(A)、中繊度糸条群(B)、太
繊度糸条群(C)を3者混繊糸にした場合、この中繊度
糸条群も主として織編物の表面を形成するが、細繊度糸
条群(A)と混繊され自然なムラ感を発揮させるため、
0.7d以上が必要である。好ましくは1.0〜2.0
dである。3者混繊糸として自然なムラ感、ソフト感を
発揮させるため2.5d以下が必要である。
【0013】高収縮成分である太繊度糸条群(C)の単
糸繊度は3〜8dとすることが必要である。混繊糸から
なる織編物に十分な張り・腰、反発性を付与するため、
単糸繊度は3d以上、好ましくは4d以上である。単糸
繊度があまり大きくなり過ぎると、織編物が粗硬な風合
となるため8d以下、好ましくは7d以下である。
【0014】このように張り・腰、反発性とソフト感を
両立させ、かつ自然なムラ感を付与するには太繊度、中
繊度、細繊度の各糸条群が各々前記した如くの繊度を有
することが必要である。このような繊度分布持った混繊
糸によって初めて張り・腰、反発性とソフト感、加えて
自然なムラ感を兼ね備えることが可能となる。
【0015】次に細繊度糸条群のフィラメント数(A
f)は、太繊度糸条群のフィラメント数(Cf)の20
倍以上、中繊度糸条群のフィラメント数(Bf)の5倍
以上が必要である。異繊度異収縮混繊糸からなる織編物
において、織編物表面を形成する低収縮性の極細糸のフ
ィラメント数が少ないと微毛感、ソフト感が低下する。
このため織編物の微毛感、ソフト感を向上させるために
(Af)は(Cf)の20倍以上、好ましくは30倍以
上、同時に(Af)は(Bf)の5倍以上、好ましくは
10倍以上である。
【0016】異繊度異収縮糸としての膨らみを発現させ
るために高収縮性成分と低収縮性成分の沸水収縮率差は
大きいほど良好な膨らみを付与でき、高収縮性成分の沸
水収縮率は低収縮成分の沸水収縮率の2倍以上が必要で
ある。更に具体的に示せば高収縮成分の沸水収縮率は1
5%以上が必要で、この時の低収縮性成分の沸水収縮率
は7.0%未満が必要である。
【0017】本発明における不透明感とドライ感を有す
る織編物を得るため、混繊糸には無機微粒子を含有して
いることが必要である。高収縮性成分の太繊度糸条群
(C)は織編物にしたとき、主として混繊糸の内層を形
成し、直接織編物表面に表われない。一方織編物の中層
および表面を形成するため、中繊度糸条群(B)は無機
微粒子を1wt%以上含有している必要があり、好まし
くは2〜4wt%である。無機微粒子の含有量が1wt
%に満たないと不透明性、ドライ感、ミルキー光沢が得
られない。他方、無機微粒子の含有量が5wt%以上に
なると工程上のトラブル、即ち製糸工程での糸道の擦
過、ガイド類の摩耗キズの発生、および毛羽、糸切れの
発生等の懸念が生じる。高次加工工程においても、同様
に各糸道部の擦過、ガイド類の摩耗キズの発生、製編織
時の毛羽、糸切れ発生の懸念が生じ、無機微粒子の含有
量は工程通過性の面より2〜4wt%が好ましい。
【0018】なお、中繊度糸条群(B)の断面形状は、
ドライタッチの高度化、マイルドな光沢感より異形断面
形状が好ましく、3〜5葉断面が特に好ましい。
【0019】さらに本発明の細繊度糸条群の形態は海島
型複合糸であることが極細化しやすさの点で好ましい。
海島型複合糸とは、海成分ポリマによって島成分ポリマ
が複数の島成分に分割された断面形状を持つ複合糸であ
る。この海成分ポリマは、島成分ポリマよりアルカリ水
溶液での溶解性が早ければ早いほど好ましく、更に好ま
しくは熱水溶性のポリマが好ましい。また、この島成分
の単糸繊度については、島成分の数を変更することによ
り任意に設定可能で、超極細糸を望む場合は島数を可能
な限り多くすることで得ることができる。
【0020】この細繊度糸条群は製糸工程から混繊加
工、製編織までは海島複合糸であり海成分を除去するま
で島成分に無機微粒子を高濃度に含有していても海成分
に覆われているため製糸工程、高次工程の工程通過性に
関しては何ら悪影響はない。
【0021】細繊度糸条群は無機微粒子を5wt%以上
含有すると微細なドライタッチ、不透明性、ミルキー光
沢が発揮され好ましい。より好ましい無機微粒子の含有
量は6wt%以上であり、更に好ましくは7wt%以上
である。他方、無機微粒子の含有量が20wt%を越え
ると不透明性、ドライ感は飽和状態となり糸強度が低下
してくる。また紡糸のパック濾過層での目詰まりが著し
くなるためパック内圧の急上昇等、長時間安定紡糸が困
難となる場合がある。このため無機微粒子の含有量は2
0wt%以下が好ましく、更に好ましくは15wt%以
下である。
【0022】本発明の無機微粒子としては、TiO2
よびSiO2 、ZnOが好ましく挙げられる。特にTi
2 が防透け性能が優れ取扱いのしやすさ、コスト、太
陽光線に対する諸機能等の点でより好ましい。例えば、
TiO2 には皮膚に有害な紫外線を吸収・遮蔽し、かつ
暑さと感じる太陽光の可視および近赤外線領域を効率的
に反射するため日射エネルギーの吸収を抑え、衣服にし
た時の衣服内の温度を抑える効果がある。また、無機微
粒子で好ましいとするTiO2 の中でも、最大粒径が5
ミクロン以下で、粒径1.0ミクロン以下の粒子の割合
が50重量以上であるアナターゼ型が、製糸安定性の点
で好ましい。
【0023】本発明の異繊度異収縮混繊糸を構成するポ
リマは、熱処理による収縮率差を糸や織編物の膨みへ容
易に変換できる点、アルカリ溶解処理等によって織編物
に対してドレープ性を付与させ易い点、寸法安定性の点
等からポリエステルポリマが好ましく、そのポリエステ
ルの中でもエチレンテレフタレートが80モル%以上の
実質的にポリエチレンテレフタレートであるポリエステ
ルが最も好ましい。
【0024】高収縮性成分である太繊度糸条群(C)を
構成するポリエステルポリマには、第3成分を共重合さ
せたポリエステルが好ましい。この第3成分には、例え
ばシュウ酸、セバシン酸、フタル酸およびイソフタル酸
などジカルボン酸類、ジエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、およびネオペンチルグリコールなどの
グリコール類の他、ビスフェノールAおよびビスフェノ
ールスルフォンなどが挙げられるが、製糸性や高収縮特
性の発現性の観点からイソフタル酸やビスフェノールA
が特に好ましい。また第3成分の共重合量は高収縮特性
を十分付与するために2モル%以上が好ましく、また共
重合量があまり過大になると収縮差付与処理で織編物が
粗硬になり易く、このため20モル%以下が好ましい。
【0025】また、細繊度糸条群(A)は、海島型複合
糸である場合、その海成分を構成するポリマはアルカリ
溶解性ポリエステルが好ましい。
【0026】このアルカリ易溶解性ポリエステルには、
例えばポリエステルとポリアルキレングリコール類の共
重合体あるいはブレンド体、アニオン系界面活性剤を添
加したポリエステル、金属スルフォネート基を共重合し
たポリエステル、あるいはポリエステルと金属スルフォ
ネート基を共重合したポリエステルとのブレンド体など
が挙げられる。これらのうち金属スルフォネート基共重
合ポリエステル、具体的には5−ソジウムスルフォイソ
フタレート(1〜10モル%)/エチレンテレフタレー
ト(99〜90モル%)からなる共重合ポリエステルが
特に好ましい。
【0027】またアルカリ溶解性ポリマとして、特に熱
水可溶性ポリエステル、例えば5−ソジウムスルフォイ
ソフタレート(8〜14モル%)/イソフタル酸(10
〜33モル%)/エチレンテレフタレート(82〜45
モル%)からなる共重合ポリエステルを用いると、溶解
処理時の制約が著しく減少し、かつ混繊糸の溶解処理に
よる強度低下が抑制される点などから特に好ましい。
【0028】次に本発明の異繊度異収縮混繊糸の好まし
い製造方法について説明する。まず、細繊度糸条群
(A)として、海島型複合糸であって、その海成分とし
て、熱水溶解性ポリマである主たる酸成分がテレフタル
酸で構成され、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を8
〜14モル%、およびイソフタル酸を10〜33モル%
を共重合した共重合ポリエステルを、また島成分とし
て、熱水不溶解性ポリマであるテレフタル酸とエチレン
グリコールを重合して得られたポリエチレンテレフタレ
ートを70モル%以上含むポリエステルに、無機微粒子
である酸化チタンを5〜20重合%含有させたものを、
海島型口金を用いて、290℃で溶解吐出する。この
時、総吐出量と島成分の吐出量及び島数を調節すること
によって島成分の平均単糸繊度を0.05〜0.5dと
する。その後、90℃の加熱ロールで予備延伸し、14
5℃で延伸・熱処理し巻き取ることにより海島型複合糸
を得ることができる。
【0029】次に本発明の異収縮混繊糸は、例えば、特
公昭51−30620号公報や特開昭49−72449
号公報などに示されるような通常の混繊紡糸と延伸によ
り得られる。この製糸工程において、製編織における工
程通過性を向上させるために流体軽交絡処理を付与して
も構わない。ただし、交絡点が織編物表面において低収
縮性成分の浮き上がりをおさえるための過度の交絡は風
合の低下をもたらす。好ましい交絡度は5〜60コ/m
である。なお、交絡度の測定法は特開昭48−2870
8号公報に示された方法に従う。
【0030】この様にして得られた海島型複合糸と異収
縮混繊糸とを引き揃えて混繊、エアーによる交絡混繊、
又は仮燃加工による複合仮燃混繊として異繊度異収縮混
繊糸とすることができる。勿論同一紡糸口金から一発紡
糸混繊とする方法でもよい。
【0031】本発明の異繊度異収縮混繊糸は、製織編、
染色仕上して織編物とするが、その混繊糸は織編物の経
糸または緯糸の少なくとも一方に用いることが好まし
く、本発明の効果を十分発揮させるためには経糸緯糸の
全てに使用するのが好ましい。また織編物はその表面の
50%以上を該混繊糸で構成させるものが好ましく、表
面の全てを構成させるものがより好ましい。さらに該混
繊糸は本発明の効果を防げない範囲で撚糸、交絡などの
糸加工を施することができるのは勿論である。
【0032】そして、該混繊糸において海島型複合糸を
用いた場合、通常の溶解処理を行うが、その処理は製編
織後において行うのが最も効率的であり、また収縮差を
発現させる上でも効率的である。むろん、混繊糸のまま
海成分の溶解処理を行うこともできる。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。なお、実施例において製糸性、製織性、不透明性、
製品品位、風合いの評価は以下の通り行うものとし、表
中◎・○・△を合格とする。
【0034】1.製糸・製織性 ◎:糸切れ率が1%未満 ○:糸切れ率が3%未満 △:糸切れ率が10%未満 ×:糸切れ率が10%以上 2.製品の品位・風合い ドライな微毛タッチ、膨らみ、張り、腰、自然なムラ
感、過度な空隙、ソフト、ドレープ性を主体に熟練技術
者5名による官能評価を行い4段階判定評価した。 ◎:優 ○:良 △:可 ×:不可 3.難透性 以下に示す透過法、反射法によって得られた値に基づき
評価した。 ◎:L値が14.0以下、△L値が11.0以下 ○:L値が14.1〜16.0、△L値が11.1〜1
3.0 △:L値が16.1〜18.9、△L値が13.1〜1
5.9 ×:L値が19.0以上、△L値が16.0以上 測定機器 SM−3 カラーコンピュータ(スガ試験機(株)製) 測定方法 A.透過法 (1)サンプルサイズ:5×5cm (2)測定項目「透過」を選択し、台紙(もしくはスラ
イドマウント)に接着剤で固定したサンプルのL(透
過)値を測定する。サンプルなしの場合のL値は100
%であり、L(透過)値が大きいほど透けやすく、小さ
いほど透けにくいことを意味する。 B.反射法 (1)サンプルサイズ:10×10cm (2)測定項目「反射」を選択し、測定するサンプル1
枚を試料押えでに取りつけ測定する。(LB)◎ (3)さらに標準白板をうしろにあてた測定サンプル1
枚を試料押えでに取りつけ測定する。(LW)◎ (4)△L(反射)値=LW−LBを計算する。△L
(反射)値が大きいほど透けやすく、小さいほど透けに
くいことを意味する。
【0035】実施例1 島成分用ポリマとして最大粒径5.0ミクロンで粒径
1.0ミクロン以下が64.5重量%のアナターゼ型T
iO2 の含有量が10重量%(固有粘度0.65)のポ
リエチレンテレフタレートを、160℃で5時間減圧乾
燥したものを、海成分ポリマとして5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸12モル%およびイソフタルイ酸25
モル%を共重合し、アナターゼ型TiO2 0.05重量
%、酢酸リチウム0.7重量%を含有した共重合ポリエ
ステルチップ(固有粘度0.63)を100℃で10時
間減圧乾燥したものを、それぞれ290℃で溶融し、通
常の複合紡糸機において、島数を変えた。海島型紡糸口
金を使用し、290℃で吐出した。海島の複合比率は2
0:80(重量比)とし、紡速1500m/mimで複
合末延伸糸を得た。この末延伸糸を延伸速度800m/
mimでホットロール(温度90℃)−熱板(温度14
5℃)の方式により延伸し75D−36fの延伸糸を得
た。海成分溶解除去後の島成分繊度は島数によって異な
り0.04〜0.55dの範囲であった。図1に海島複
合糸の断面形状例を示した。
【0036】次に中繊度用ポリマとして前記と同様の
TiO2 を2.5wt%添加したポリエチレンテレフタ
レート(固有粘度0.65)、太繊度用ポリマとして
イソフタル酸を10モル%、ビスフェノールAを4モル
%共重合し、TiO2 を0.1wt%添加した共重合ポ
リエチレンテレフタレート(固有粘度0.67)を用意
した。これを吐出比径の異なる紡糸口金を用いてポリマ
を内周にポリマを外周に配し、通常の複合紡糸機で
紡糸温度290℃、紡糸速度1500m/mimと
の混繊比率が50:50(重量比)の混繊末延伸糸を得
た。この末延伸糸を延伸速度800m/mimでホット
ロール(温度88℃)−熱板(温度130℃)の方式に
より延伸し75D−36f(太繊度高収縮糸37.5D
−8f三角断面、中繊度低収縮糸37.5D−28f三
角断面)の混繊糸を得た。
【0037】延伸糸の伸度が30〜50%になるように
延伸倍率を調整した。
【0038】この様にして得られた海島複合糸と収縮差
混繊糸とを高収縮糸の高収縮性が損なわれない低温(ヒ
ーター温度常温〜100℃以下)で複合混繊仮燃を行な
い、続いて軽交絡を行なった後、200t/mの追燃を
行ない異繊度異収縮混繊糸を得た。これを経緯使いで平
織物に製織した。その織物を98℃の精練溶槽(NaO
H:0.1%、トリポリリン酸:0.2g/l、界面活
性剤:2g/l)に通し、海成分ポリマを溶出除去する
と共に、収縮差を発現させ、次いで180℃で乾熱処理
してさらに収縮率差を発現させ、通常通りのポリエステ
ル織物の染色仕上げを施した。精練前後の製糸性、製織
性、製品品位を表1に示した。
【0039】水準No.2においては製品品位風合い面
においてややソフト感が強調される一面もあるが微毛タ
ッチ、ドライ感、不透明性、製糸性、製織性も十分なも
のであった。No.3はすべての面で十分満足できるも
のであった。No.4はNo.2とは逆にややソフト感
が少ない面もあるが製糸性、製織性、不透明性、張り、
腰、反発は十分であった。
【0040】
【表1】 実施例2 実施例1の水準No.3の海島複合糸に異収縮混繊糸の
中繊度・低収縮糸の単糸繊度をフィラメント数を表2と
なるように口金吐出孔数を変更し製糸、製織、精練処理
した。結果を表2に示した。
【0041】本発明の水準7は紡糸時やや糸切れが発
生、製品風合はやや自然なムラ感に欠けたものの許容で
きるものであった。
【0042】一方比較例であるNo.6は紡糸、延伸時
糸切れが発生、製織時毛羽、糸切れが発生し、製品風合
いもソフト感が強調され過ぎ、また自然なムラ感も不十
分であった。No.10は製品風合い面において粗硬感
が強くなりソフトなムラ感に欠けていた。
【0043】
【表2】 実施例3 実施例1のNo.3に準じ、異収縮混繊糸の太繊度高収
縮糸の単糸繊度、フィラメント数を表3となるように口
金吐出孔数を変更し、製糸、製織、精練処理した結果を
表3に示した。
【0044】本発明のNo.12〜14は製糸性〜製織
性、不透明性、製品品位、風合いとも良好であった。
【0045】一方比較例であるNo.11は製品風合い
面において張り、腰、反発感が不足しタラーとしたぬめ
り感の強い風合いであった。No.15は製品風合いに
おいて逆に芯のある硬い感じの風合いであった。又、紡
糸時糸切れが多く発生した。
【表3】 実施例4 実施例1のNo.3に準じて異収縮混繊糸の延伸時の熱
板温度を変更し、混繊糸の収縮率が表4となるように調
整し、製糸、製織、精練処理した。結果を表−4に示し
た。
【0046】No.17は製品風合い面において膨らみ
感がやや少なかったが許容レベルであった。No.18
はすべての面で良好であった。
【0047】一方比較例であるNo.16は収縮率レベ
ルが全体に低く、更に収縮差も少ないため膨らみ感に乏
しい薄い感じの風合いであった。
【0048】
【表4】 実施例5 実施例1のNo.3に準じてチタン含有率を変更しチタ
ン含有率が表5となるように調整し、製糸、製織、精練
処理した。結果を表5に示した。
【0049】No.19、20製糸性、製織性、不透明
性、製品品位、風合いとも良好であった。
【0050】一方比較例であるNo.21は不透明性が
不良で表面タッチもドライ感がなく自然なムラ感も不十
分であった。
【0051】
【表5】 実施例6 海島型複合糸の島成分ポリマ、および中繊度糸ポリマに
ナイロン6を用い、太繊度ポリマにナイロン6にナイロ
ン66を共重合して高収縮性を持たせたポリマを用い実
施例1の水準No.3に準じ表6の沸収率となるように
製糸条件を調整し製糸、製織、精練処理した。結果を表
6に示した。
【0052】No.22は水準No.3と同じで製糸
性、製織性、不透明性、製品品位、風合いとも良好であ
った。
【0053】一方、ナイロンポリマを用いた比較例であ
るNo.23は製糸性、製織時糸切れが多く発生した。
製品風合いにおいても全体に膨らみ乏しく、張り、腰、
反発感も不足していた。
【0054】
【表6】
【0055】
【発明の効果】織編物にした際、ドライタッチ、微毛タ
ッチを有し、膨み、張り・腰、反発性およびドレープ
性、加えて自然なムラ感と不透明感を兼ね備えた新規な
質感を有する織編物を得ることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の海島型複合糸の断面形状を示す繊維
の横断面図である。
【符号の説明】
1;島成分ポリマ 2;海成分ポリマ a;3島 b;5島 c;10島 d;30島

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも3種以上のフィラメント糸条
    群からなる異繊度異収縮混繊糸において、低収縮性成分
    として単糸繊度が0.05〜0.5dの細繊度糸条群
    (A)と単糸繊度が0.7〜2.5dの中繊度糸条群
    (B)であり、高収縮成分成分として単糸繊度が3〜8
    dの太繊度糸条群(C)からなり、細繊度糸条群(A)
    のフィラメント数が太繊度糸条群(C)のフィラメント
    数の20倍以上、かつ中繊度糸条群(B)のフィラメン
    ト数の5倍以上であり、高収縮性成分の沸騰水収縮率は
    15%以上、低収縮性成分の沸騰水収縮率は7%未満で
    あり、細繊度糸条群(A)は無機微粒子を5wt%以上
    含有し、中繊度糸条群(B)は無機微粒子を1wt%以
    上含有する異繊度異収縮混繊糸。
  2. 【請求項2】 異繊度異収縮混繊糸を構成する糸条群が
    ポリエステルである請求項1記載の異繊度異収縮混繊
    糸。
  3. 【請求項3】 異繊度異収縮混繊糸を構成する糸条群に
    おいて含有する無機微粒子は酸化チタンであり、細繊度
    糸条群(A)は酸化チタンを6〜20wt%含有し、中
    繊度糸条群(B)が異形断面形状で酸化チタンを2〜4
    wt%含有することを特徴とする請求項1または2項記
    載の異繊度異収縮混繊糸。
  4. 【請求項4】 太繊度糸条群(C)が2〜20モル%共
    重合したポリエステルであることを特徴とする請求項2
    または3項記載の異繊度異収縮混繊糸。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007100243A (ja) * 2005-10-04 2007-04-19 Teijin Fibers Ltd 高タフネス極細繊維用海島型複合繊維
JP2016180189A (ja) * 2015-03-24 2016-10-13 東レ株式会社 混繊糸、スエード調織編物およびスエード調織編物の製造方法

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