JP4663427B2 - 複合糸及びその複合糸を含む織編物並びに織物 - Google Patents

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Description

本発明は、膨らみ感とストレッチ性を有し、鮮明性と深色性に優れた織編物を得るための複合糸及びその複合糸を含む織編物並びに織物に関する。
従来より、セルロースアセテート繊維は、基質の屈折率が公知の衣料用繊維の中で最も低いことから、色の深みや発色性、鮮明性に優れ、かつ、いわゆる菊型断面といわれている特徴ある単繊維断面を有し、吸湿性が適度に有ることから、ドライでさわやかな風合いを備えており、特に婦人ファッション衣料素材としてその優れた特性を発揮してきた。近年、さらに、従来のセルロースアセテート繊維の染色特性やドライでさわやかな風合いに加え、更なる風合いの向上、適度なストレッチ性の付与するために、いくつかの提案がなされている。
例えば、特許文献1には捲縮率が低く、かつボイル処理時に撚戻り解撚トルクの大きなポリエステルフィラメント繊維とアセテート繊維との複合糸を用いた膨らみ感とストレッチ性に優れた繊維布帛が開示されている。しかしながら、この提案では、布帛に膨らみ感とストレッチ性は得られるが、アセテート繊維をポリエステルフィラメント繊維と共に染色した場合に、アセテート繊維の鮮明性、深色性が十分発現しにくかった。
特開2003−138448号公報
本発明は、これらの問題を解決するものであり、本発明の目的は、ふくらみ感とストレッチ性を有すると共に、更なる鮮明性と深色性に優れた織編物を得るための複合糸を提供すること、そして、その複合糸にて構成された織編物、特に織物を提供することにある。
本発明の第1の発明の要旨は、セルローストリアセテートとセルロースジアセテートとからなり、単繊維断面において、セルローストリアセテートとセルローストリアセテートの間にセルロースジアセテートが挟まれた三層接合構造をなし、セルロースジアセテートの一部が繊維表面に露出し、かつ繊維表面に繊維軸に対しほぼ直角方向に微小なヒダを有するセルロースアセテート複合マルチフィラメント糸と、下記(1)〜(4)の条件を満足するポリエステルマルチフィラメント糸とを、セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸の混率40〜80質量%、撚り係数10000〜20000で合撚してなる複合糸にある。
(1)沸水処理前捲縮率が10%以下で、沸水処理後捲縮率が25%以下
(2)沸水収縮率が2〜3.5%
(3)沸水処理後旋回数が120〜190
(4)(沸水処理後旋回数−沸水処理前旋回数)が50以上
第2の発明の要旨は、前記の複合糸を40質量%以上含む織編物にある。
第3の発明の要旨は、前記の複合糸を40質量%以上含む織物であって、該複合糸を経糸及び緯糸の少なくとも一方に用い、該複合糸を配した方向の伸長率が10〜40%、伸長回復率が70〜100%である織物にある。
本発明によれば、複合糸は、織成、編成における工程通過性には何ら問題がなく、本発明の複合糸による織編物は、ふくらみ感とストレッチ性を有すると共に、更なる鮮明性と深色性に優れ、また織物においても、ふくらみ感とストレッチ性を有するものである。
本発明の複合糸は、セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸とポリエステルマルチフィラメント糸からなる。本発明の複合糸を構成する一方のセルロースアセテート複合マルチフィラメント糸は、セルローストリアセテートとセルロースジアセテートとのセルロースアセテート複合繊維のマルチフィラメント糸であって、その単繊維断面においてセルローストリアセテートとセルローストリアセテートとの間にセルロースジアセテートが挟まれた三層接合構造をなし、セルロースジアセテートの少なくとも一部が繊維表面に露出し、かつ繊維表面に繊維軸に対しほぼ直角方向に微小なヒダを有するものである。
セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸の単繊維断面が、単なるセルローストリアセテートとセルロースジアセテートとの二層接合構造では、セルロースジアセテートが繊維表面に大きい比率で露出するため、ポリエステルマルチフィラメント糸との複合糸として高圧高温条件下で染色したときに、セルロースジアセテート成分が吐き出した染料がセルローストリアセテート成分に染着し、セルロースジアセテート成分が脱色、すなわち淡色化してしまうことから、糸全体として濃色に見えないという問題がある。
しかしながら、本発明では、三層接合構造のうちセルロースジアセテートの少なくとも一部が接合した端部でそれぞれ繊維表面に露出しているだけであるため、セルロースジアセテート成分からの染料の吐き出しを抑制し、濃染化が可能となる。なお、セルロースジアセテート成分の繊維表面に露出している割合は、繊維断面での周長の5〜30%であることが好ましい。
また、本発明では、セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸の繊維表面に繊維軸対してほぼ直角方向に微小なヒダを有することが必要である。この微小なヒダを繊維表面に有することにより、ドライ感に優れた風合いが得られると共に、スキン層の配向度が低下することにより染着性向上の効果が得られる。
さらに、本発明では、繊維断面における複合構造をセルローストリアセテートとセルローストリアセテートとの間にセルロースジアセテートが挟まれた三層接合構造とすることにより、繊維断面がセルロースアセテート繊維特有の菊型断面とはならず、繊維表面に不均一な畝状の隆起部が発生しないことから、通常のセルロースアセテート繊維に比べ、セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸によれば優れた光沢感、鮮明性が得られる。
このようなセルロースアセテート複合マルチフィラメント糸の製造方法としては、公知の接合型複合紡糸装置を用いればよく、セルローストリアセテートとセルロースジアセテートとの紡糸原液を三層の積層状態の接合型構造に複合吐出し、下式(a)〜(b)を満たす条件で乾式紡糸することが好ましい。
(a)0.15<Vf/Vj<0.60
(b)1000<Vj<2000
(式中、Vfは紡出糸の引き取り速度(m/分)、Vjは紡糸原液の紡糸ノズルからの吐出線速度(m/分)で、(紡糸原液の吐出量/紡糸口金の総孔面積)で定義する。)
すなわち、セルロースアセテートの乾式紡糸法において、乾燥固化過程における収縮挙動が繊維軸方向により大きく発生するような条件を採用することが重要であり、紡糸ノズルの吐出直下で形成されるスキン層は配向が小さく、更なる乾燥収縮過程においては繊維軸方向への収縮が進むにつれてスキン層が皺寄せされながら固化することにより、繊維表面に繊維軸に対してほぼ直角方向に微小なヒダを発生させることが可能となる。
紡糸条件として上記(a)式でVf/Vj≧0.60及び(b)式でVj≦1000であるときは、得られる複合繊維の軸方向への収縮挙動が得られず、繊維表面に繊維軸に対してほぼ直角方向に微小なヒダが発生せず、また、(a)式でVf/Vj≦0.15、(b)式でVj≧2000であるときは、安定した乾燥固化挙動が得られずに糸切れが発生する。
なお、セルローストリアセテートとは、平均酢化度56.2以上62.5%未満のものをいい、セルロースジアセテートとは、平均酢化度48.8以上56.2%未満のものをいう。また、どちらか一方に酸化チタン等の無機粒子が添加されていてもよいが、マルチフィラメント糸としてより鮮明性を向上させるためには添加しないことが望ましい。
また、本発明の複合糸を構成する他方のポリエステルマルチフィラメント糸は、セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸の風合いを生かすため、沸水処理前の捲縮率が10%以下、沸水処理後の捲縮率が25%以下であることが必要であり、これらを超えた捲縮特性のものとなるとポリエステルマルチフィラメント糸の捲縮性が強いためにポリエステルマルチフィラメント糸の風合い、特徴が強く現れ、セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸の有するドライでシルキーな清涼感ある特徴が発揮されなくなる。本発明の複合糸にて織編物としたとき、膨らみ感とストレッチ性を得るためには、沸水処理後の捲縮率は好ましくは10%以上必要である。なお捲縮率は、ポリエステルマルチフィラメント糸をカセに取り、JIS L1090伸縮性C法(簡便法)を準用して、沸水処理前捲縮率及び沸水処理後の一般的捲縮率を測定して求められる。
さらに、本発明ではポリエステルマルチフィラメント糸は、その沸水収縮率が2〜3.5%であることが必要である。沸水収縮率が2%未満では、本発明の複合糸にて織編物とした際、染色時の巾入りが少ないことから織編物の膨らみが乏しいものとなり、3.5%を超えると、織編物がふかついた風合いになり易く清涼感に欠け易いものとなる。
また、本発明では、ポリエステルマルチフィラメント糸は、その沸水処理後の旋回数が120〜190であることが必要である。沸水処理後の旋回数120未満では、複合糸の撚り戻り解撚トルクが少ないため、ふくらみ感が不足し、ストレッチ性の少ない肉薄の織編物になり易い。また沸水処理後の旋回数が190を超えると、複合糸の撚り戻り解撚トルクが強すぎ、染色工程における糸の飛び出しが生じ易い。
ここで、沸水処理前の旋回数は、糸の解撚トルクの強さを現す数値であり、JIS L1095スナール指数A法に基づき、ポリエステルマルチフィラメント糸長50cmの試料の中央部に8.82mN×繊度(dtex)の荷重を掛け、糸両端を1cm/秒の速度で糸端間を10cmにまで接近させる。通常法の場合、初めて旋回し始めた間隔を読み取るが、糸端の移動速度の差によりばらつきが生じやすい。このため糸端を10cmの間隔で固定し、糸の持つ解撚トルクを充分開放した状態である、旋回し捩れたスナル状態部分の撚り数Tを検撚機で測定して求める。また、沸水処理後の旋回数とは、糸が旋回し捩れたスナル状態部分をクリップで固定し、沸水中で1分間湿熱処理した後のスナル状態部分の撚り数Tを検撚機で測定して求める。
さらに、本発明では、撚糸工程の安定化のため、沸水処理後の旋回数と沸水処理前の旋回数の差が50以上であることが必要であり、沸水処理後と沸水処理前の旋回数の差が大きいほど染色加工時に複合糸の解撚トルクが発生することに伴い、ふくらみ感やストレッチ性の優れた織編物を得ることができる。沸水処理後と沸水処理前の旋回数の差が50以上の場合は、撚糸工程等準備工程でのビリつきが抑えられ、染色工程での湿熱下の処理でトルク発現が充分に発揮でき、十分なふくらみ感とストレッチ性が得られる。なお、沸水処理後と沸水処理前の旋回数差は、染色時に発現する潜在的に有する解撚トルクを示し、沸水処理後と沸水処理前の旋回数の差が50未満では、撚糸工程等準備工程で糸のビリつき等工程通過性の問題が生じ易い。
また、本発明に用いられるポリエステルマルチフィラメント糸は、共重合ポリエステルからなるものであってもよいが、特にエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルから構成されるマルチフィラメント糸が好ましく、その単繊維の断面形状が円型、三角やY字形の多葉型、扁平等特に断面形状には限定されないが、濃染性をさらに高める目的で、ポリエステルマルチフィラメント糸の単繊維表面での反射を抑える目的で、三角やY字形等の多葉型の断面形状であることが好ましい。
さらに、本発明に用いられるポリエステルマルチフィラメント糸は、その糸繊度が10〜84デシテックス(dtex)、好ましくは20〜56dtexであることが望ましい。糸繊度が10dtex未満では、織編物のふくらみ感が不足し、84dtexを超えると、セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸によるドライでシルキーな清涼感を得るには、糸繊度が大きくなりすぎ、衣料用としては実用的に不向きとなる。
ポリエステルマルチフィラメント糸の単繊維繊度は、複合糸としてのソフトな風合いを得るためには、3dtex以下であることが好ましく、さらには1.5dtex以下であることが好ましい。単繊維繊度が3dtexを超えると、織編物とした場合、粗硬な風合いとなりやすく衣料用としては好ましくない。
本発明における前記条件を満足するポリエステルマルチフィラメント糸は、例えばポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を、三菱重工業社製LS−2型の仮撚加工機を用い、仮撚りの撚り係数が14000〜23000、好ましくは17000〜21000、仮撚り温度が(融点−40℃)〜(融点−20℃)、好ましくは(融点−30℃)〜(融点−20℃)、仮撚りオーバーフィード率が0〜5%の条件下で1ヒーターでの仮撚り加工することによって得られる。
本発明の複合糸においては、セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸の混率が40〜80質量%であることが必要である。セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸の混率が40質量%未満では、セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸による鮮明性や深色性の向上及びドライでシルキーな清涼感ある風合いが不足し、80質量%を超えると、複合糸としての解撚トルクが相対的に不足する為、ふくらみ感に乏しいものになり易い。
さらに、本発明の複合糸は、その撚係数が10000〜20000で合撚されていることが必要であり、10000未満では、シャリ感、ドライ感が不足し、ふくらみ感やストレッチも得られ難く、20000を超えると、ガリ感が強くなり、ふくらみ感が得られ難いものとなる。なお、撚り係数は撚数Tと繊度D(dtex)から、撚り係数=T√(D/1.11)で算出される。
本発明の複合糸における合撚は、単純に合撚する方法によってもよいし、或いは合撚前に流体にて交絡処理後合撚する方法によってもよい。合撚前に流体にて交絡処理する方法を用いれば、撚糸工程通過性の向上や織編物としてのふくらみ感をより向上させることができるる。また、セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸とポリエステルマルチフィラメント糸を合撚する際、ポリエステルマルチフィラメント糸のトルクを生かすため、ポリエステルマルチフィラメント糸の有する旋回方向と逆方向で合撚してもよい。合撚後は、好ましくは85℃以下の温度で撚糸セットすることが望ましい。
本発明の複合糸は、織編物の構成糸として用いられ、本発明の織編物は、本発明の複合糸を40質量%以上含んで構成される。本発明の複合糸が40質量%未満では、織編物としての鮮明性や深色性の向上及びドライでシルキーな清涼感ある風合いが不足する。
さらに、本発明の複合糸を40質量%以上含む織編物のうち、特に織物においては、本発明の複合糸を経糸及び緯糸のいずれか一方或いは両方に用いることが必要であり、複合糸を配した方向の伸長率が10〜40%、好ましくは20〜40%、伸長回復率が70〜100%、好ましくは80〜100%の伸縮特性を有する。
伸長率が10%未満では、織物のストレッチ性が十分ではなく、40%を超えると、衣料とした場合、寸法安定性に問題が生じ易い。また伸長回復率が70%未満若しくは100%を超えると、寸法安定性に問題が生じ易く、製品とした際の形態安定性が劣るものとなる。
さらに、本発明の織編物は、特に組織を限定するものではなく、平織、綾織、サテン織、及びこれらの変化組織等による織物、十分なふくらみ感、ストレッチ性を得るためにの組織が二重組織構造の編物等が好ましいものとして挙げられ、目的の風合いや意匠性を考慮して組織を選択すればよい。また、織編密度も目的の伸縮特性、風合いを考慮して適宜設定すればよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中の各評価は、下記の方法にて行った。
(繊維表面及び繊維断面の観察)
セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸の繊維表面は、走査型電子顕微鏡で3000倍に拡大し観察を行った。三層複合形態の観察には以下に示す条件でアルカリ処理し、セルロースジアセテート成分のみを脱アセチル化してセルロース化させることで、セルローストリアセテート成分との光透過性に差を持たせ、繊維断面を光学顕微鏡にてセルロース化した成分、すなわち元のセルロースジアセテート成分が占める断面形状及び繊維表面への露出状態の観察を行った。
アルカリ処理条件;
アルカリ処理液:水酸化ナトリウム1質量%水溶液
処理液浴比:1:100
温度×時間:60℃×15分
(深色性、L値)
実施例に記載される通常の条件で染色仕上げを行った織編物を、測色式差計ND−300A(日本電色工業社製)を用い、明度L値を測定した。数値が小さいほど明度が低く深色性が良好であり、一般にL値差が0.5以上あれば、視覚での優位さを認識できる。
(鮮明性、Pe値)
実施例に記載される通常の条件で染色仕上げを行った織編物を、測色計(島津製作所社製UV−3000PC)を用い、D65光源、視野角2度の条件で380〜780nmの波長領域について3刺激値X、Y、Zの測色を行い、色の鮮やかさを示す尺度である刺激純度値Pe値を測定した。
Pe値が大きい値であるほど色の濃さが強い、つまり鮮やかであることを示す尺度として用いられている。
(織編物伸張率、伸張回復率)
JIS L1096A法によって測定する。
(清涼感、ふくらみ感、風合い)
得られた複合繊維織編物をハンドリングで評価した。
(実施例1)
外側層成分として水酸基の97%が酢酸化されているセルローストリアセテートを塩化メチレン/メタノールの質量混合比91/9の混合溶剤に溶解し、固形分濃度が22.0質量%の紡糸原液aを調製した。また、中間層成分として水酸基の80.3%が酢酸化されているセルロースジアセテートを塩化メチレン/メタノールの質量混合比88/12の混合溶剤に溶解し、固形分濃度が22.1質量%の紡糸原液bを調製した。
前記2種の紡糸原液a、bを用いて、ノズル孔形状が円形、ノズル孔径が0.026mm、ノズル孔数20の複合紡糸ノズルにて、中間層の占める割合を20容量%とし、かつ、中間層がセルロースジアセテート、外側層がそれぞれセルローストリアセテートになるように配して、紡糸速度600m/分で乾式複合紡糸し、紡出条件をVf/Vj=0.30、Vj=1700m/分とし、84dtex/20フィラメント(f)の中間層がセルロースジアセテート、両外側層がセルローストリアセテートの三層接合構造のセルロースアセテート複合マルチフィラメント糸を得た。
得られたセルロースアセテート複合マルチフィラメント糸の単繊維の繊維表面には、セルロースアセテート繊維特有のいわゆる菊型断面形状の花弁にあたる繊維軸方向への凹凸状のヒダが少なく、さらに、繊維表面に繊維軸に対してほぼ直角方向に微小なヒダがあり、アルカリ処理して観察された繊維断面にはセルロースジアセテートの一部が繊維表面に露出していた。
ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸33dtex/24f(三菱レイヨン社製)を、三菱重工業社製LS−2型仮撚機を用い、下記に示した条件で1ヒーターで仮撚加工を行った。
(仮撚り条件)
仮撚り撚係数:19000(仮撚り数:3500t/m Z(S))
仮撚り温度:235℃
仮撚りオーバーフィード率:2%
得られたポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント加工糸は、沸水処理前の捲縮率が6%、沸水処理後の捲縮率が11%、沸水収縮率が2.5%、沸水処理後旋回数が185、(沸水処理後旋回数−沸水処理前旋回数)が120の特性を有するものであった。
次いで、上記のセルロースアセテート複合マルチフィラメント糸とポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント加工糸を、パーンワインダーで合糸し、ダブルツイスターを用い、仮撚方向と逆方向に撚係数14500(撚数1400T/mS方向(及びZ方向))の条件で合撚を行い、スチーム温度80℃で40分の条件で撚糸セットを施し、複合糸を得た。なお、複合糸におけるセルロースアセテート複合マルチフィラメント糸の混率は70質量%とした。
得られた複合糸を用い、S(Z)2本交互で経165本/2.54cm、緯100本/2.54cmの平二重織物を織成し、常法に従い、以下の条件で精練、110℃でのリラックス処理、120℃での染色仕上げ加工を行い、経230本/2.54cm、緯130本/2.54cmの織物を得た。
(精練)
精錬剤:スコアロール900(花王社製)0.2質量%水溶液
浴比:1:100
温度×時間:80℃×30分
(染色)
染料:Dianix Black TA・N200%(三菱化成ヘキスト社製分散染料)12質量%対繊維質量又はDianix Red N-TAN(三菱化成ヘキスト社製分散染料)2質量%対繊維質量
染色助剤:DISPER TL(明成化学社製)0.5g/リットル及びURTRA MT−N2(大和化学社製)0.5g/リットル
温度×時間:120℃×60分
(還元洗浄)
ハイドロサルファイト1g/リットル
無水炭酸ナトリウム1g/リットル
メイサノールBHS NEW(明成化学社製)2g/リットル
温度×時間:60℃×15分
得られた黒色の染色織物は、L値が10.2、赤色の染色織物はPe値が57.0であり、深色性と鮮明性に優れており、さらにハンドリングにより風合いを評価した結果、反発感、ふくらみ感、張腰感を有し、セルロースアセテート繊維特有のドライな清涼感を有しており、上品な光沢感を有するものであった。また得られた織物の伸縮特性は、経方向に伸長率が14%、伸長回復率が90%、緯方向に伸長率が22.5%、伸長回復率が87%のストレッチ性を有するものであった。
(比較例1)
実施例1において、ノズル孔形状が円形、ノズル孔径が0.038mm、ノズル孔数20の通常の紡糸ノズルにて製造した84dtex/20fのセルローストリアセテートマルチフィラメント糸を用いる以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸と合撚した複合糸を用い、織成し、さらに同様に染色仕上げ加工を行い、織物を得た。得られた織物は、反発感、ふくらみ感、張腰感を有し、セルローストリアセテート繊維特有のドライな清涼感を有していたが、黒色染色織物のL値が10.9、赤色染色織物のPe値が56.5であり,深色性及び鮮明性にやや劣るものであった。
(比較例2)
実施例1において、ノズル孔形状が円形、ノズル孔径が0.038mm、ノズル孔数20の通常の紡糸ノズルにて製造した84dtex/20fのセルロースジアセテートマルチフィラメント糸を用いる以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸と合撚した複合糸を用い、織成し、さらに同様に染色仕上げ加工を行い、織物を得た。得られた織物は,反発感、ふくらみ感、張腰感がやや劣り、セルロースジアセテート繊維特有のドライな清涼感を有しているものの、黒色染色織物のL値が12.0、赤色染色織物のPe値が55.6であり、深色性及び鮮明性にやや劣るものであった。
(比較例3)
実施例1において、用いたポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント加工糸を以下の仮撚り条件にて得たポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント加工糸に代える以外は、実施例1と同様にして、複合糸とし、織成し、さらに同様に染色仕上げ加工を行い、織物を得た。
(仮撚り条件)
撚り撚り係数:26000(仮撚り数:4800t/m Z(S))
仮撚り温度:220℃
仮撚りオーバーフィード率:3%
なを、得られたポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント加工糸は、沸水処理前の捲縮率が10%、沸水処理後の捲縮率が45%、沸水収縮率が3.9%、沸水処理後旋回数が100、(沸水処理後旋回数−沸水処理前旋回数)が45の特性を有するものであった。
得られた織物は、ふくらみ感はあるものの、ポリエチレンテレフタレート繊維の風合いが強く感じられ、セルロースアセテート繊維特有のドライな清涼感が乏しい風合いであり、また黒色染色織物のL値が10.8、赤色染色織物のPe値が56.0であり、深色性及び鮮明性に劣るものであった。
(比較例4)
実施例1において、複合紡糸ノズルをノズル孔形状が円形、ノズル孔径が0.038mm、ノズル孔数20の複合紡糸ノズルに代え、また紡出条件をVf/Vj=0.75、Vj=800m/分とした以外は、実施例1と同様にして84dtex/20fの中間層がセルロースジアセテート、両外側層がセルローストリアセテートの三層接合構造のセルロースアセテート複合マルチフィラメント糸を得た。このセルロースアセテート複合マルチフィラメント糸の単繊維表面には、繊維軸に対してほぼ直角方向に微小なヒダが発現せず、滑らかな繊維表面を有していた。
このセルロースアセテート複合マルチフィラメント糸を用いる以外は、実施例1と同様にして複合糸とし、織成し、さらに同様に染色仕上げ加工を行い、織物を得た。得られた織物をハンドリングにより、風合いを評価した結果、反発感、ふくらみ感、張腰感を有するもの、やや強い光沢感を有することから、黒色染色織物のL値が11.1、赤色染色織物のPe値が56.7であり、深色性にやや劣るものであり、セルロースアセテート繊維特有のドライな風合いが少ないものであった。
(実施例2)
実施例1にて使用した84dtex/20fの三層接合構造のセルロースアセテート複合マルチフィラメント糸を、500T/m(S方向)の合撚で双糸として経糸に用い、緯糸に実施例1で得た複合糸をS(Z)2本交互で用い、経130本/2.54cm、緯110本/2.54cmの綾二重織物を織成し、実施例1におけると同様に精練、リラックス、染色仕上げ加工を行い、経170本/2.54cm、緯120本/2.54cmの織物を得た。得られた織物は、黒色染色織物のL値が10.1、赤色織物のPe値が64.0であり、深色性と鮮明性に優れており、さらにハンドリングにより風合いを評価した結果、反発感、ふくらみ感、張腰感を有し、セルロースアセテート繊維特有のドライな清涼感を有しており、マイルドで上品な光沢感が優れているものであった。また織物の伸縮特性は、緯方向に伸長率が29%、伸長回復率が82%でありストレッチ性を有していた。
本発明の複合糸は、織編物にふくらみ感とストレッチ性、さらには鮮明性と深色性を与えるものであり、また一般にポリエステル繊維に適用されるアルカリ減量加工による損傷もないので使用制限がなく、複合素材としての利用範囲を拡大するものであり、本発明の複合糸にて構成される織編物は、かかるふくらみ感、ストレッチ性、さらなる鮮明性、深色性を有するものであり、衣料用素材、特に婦人ファッション衣料素材として極めて好適に使用可能なるものである。

Claims (3)

  1. セルローストリアセテートとセルロースジアセテートとからなり、単繊維断面において、セルローストリアセテートとセルローストリアセテートの間にセルロースジアセテートが挟まれた三層接合構造をなし、セルロースジアセテートの一部が繊維表面に露出し、かつ繊維表面に繊維軸に対しほぼ直角方向に微小なヒダを有するセルロースアセテート複合マルチフィラメント糸と、下記(1)〜(4)の条件を満足するポリエステルマルチフィラメント糸とを、セルロースアセテート複合マルチフィラメント糸の混率40〜80重量%、撚り係数10000〜20000で合撚してなる複合糸。
    (1)沸水処理前捲縮率が10%以下で、沸水処理後捲縮率が25%以下
    (2)沸水収縮率が2〜3.5%
    (3)沸水処理後旋回数が120〜190
    (4)(沸水処理後旋回数−沸水処理前旋回数)が50以上
  2. 請求項1記載の複合糸を40質量%以上含む織編物。
  3. 請求項1記載の複合糸を40質量%以上含む織物であって、該複合糸を経糸及び緯糸の少なくとも一方に用い、該複合糸を配した方向の伸長率が10〜40%、伸長回復率が70〜100%である織物。
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