JP5298553B2 - 混繊糸及びそれを用いた織編物 - Google Patents
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Description
[1]少なくとも2種類のポリエステルマルチフィラメントAおよびBが混繊された、強度1.7cN/dtex以下の混繊糸であり、芯部を構成する該ポリエステルマルチフィラメントAは単繊維繊度が1dtex以下、総繊度が10dtex以上35dtex以下、混繊糸総繊度に占める芯部総繊度の比率が10%以上40%以下で、かつ沸騰水収縮率が15%以上であり、鞘部を構成する該ポリエステルマルチフィラメントBは沸騰水収縮率が3%以下、かつ平均一次粒子径0.02〜0.1μmである微粒子を繊維表面付近に含有することを特徴とする混繊糸。
本発明の混繊糸は、強度1.7cN/dtex以下を満たす混繊糸であることが摩擦堅牢度を向上させる点で非常に重要である。従来の混繊糸の開発では、強度が3.0cN/dtex以上となるように原糸・糸加工条件を設計することが普通であった。撚糸や製織等の後工程における作業性、さらには布帛とした際の引き裂き強力等の品質を考慮してのことである。しかし、前述したようにバルキー性が高い異収縮混繊糸では摩擦堅牢度の低下が大きな問題となっていた。本発明では摩擦により変形しにくい糸構造について鋭意検討した結果、摩擦によって糸構造内に単繊維毛羽を発生させ、単繊維同士のからまりを強くすることが、摩擦堅牢度を大幅に向上させることを見出した。すなわち、混繊糸の糸強度を1.7cN/dtex以下に設計することで、摩擦を受けた際に単繊維毛羽を発生させることができ、すなわち、芯糸が露出することがなくなり、摩擦堅牢度に問題が発生しなくなる。
T:1mあたりの撚り数(ターン/m)
なお、本発明の混繊糸においては、ポリエステルマルチフィラメントA及びBに加えて、ポリエステルマルチフィラメントA及びB以外のフィラメントを混繊していてもよい。
糸加工速度については早ければ生産性が高くなり好ましいが、安定加工性を考慮すると、200〜1000(m/min)が好ましい。
なお、アルカリ減量としては公知の方法、装置を採用することができる。
混繊糸からポリエステルマルチフィラメントA、Bを6cmづつ取り出し、サンプルとする。0.1g/dtexの荷重下で5cmの間隔でマークしたサンプルをガーゼにくるんで、無緊張下で98℃・30分で熱処理する。その後、サンプルを取り出し、24時間風乾し、再び、0.1g/dtexの荷重下において、発現した捲縮を完全に伸ばした後、熱処理前にマークした間隔(L)を読みとり、次の式でポリエステルマルチフィラメントA、Bの沸騰水収縮率を表す。
沸騰水収縮率(%)={(5−L)/5}×100
(2)繊度
JIS L1013 8.3(2004)の繊度測定に準ずる。
JIS−L−1013(2004)に基づいて測定した。
JIS L 0849(1996)に規定される方法で、乾燥時(乾摩擦堅牢度)と湿潤時(湿摩擦堅牢度)の試験を行い、汚染用グレースケールを用いて級判定した。
160℃のスチームアイロンで生地に20cm間隔で10秒間2往復の割合でアイロン処理を行い、そのあたり具合の程度をグレースケールを用いて級判定した。
SMカラーコンピューター(スガ試験機(株)製)を用いて、L値を測定した。数値の低いものほど、発色性に優れていることを示す。
ふくらみ感、ソフト感のそれぞれの評価について、熟練者10名にて4段階判定法で評価した。
○○:優
○:良
△:可
×:不可。
イソフタル酸8モル%共重合させたポリエチレンテレフタレートを紡速1700(m/min)で紡糸、その後130℃で延伸熱処理を実施し、総繊度22dtex、24フィラメント(断面円形)のポリエステルマルチフィラメントAを得た。一方、平均一次粒子径が0.05μmであるコロイダルシリカを1.0重量%含有したポリエチレンテレフタレートからなるポリマーを紡速3000(m/min)で紡糸して、総繊度90dtex、48フィラメント(断面円形)、伸度150%の高配向未延伸フィラメントであるポリエステルマルチフィラメントBを得た。
・“マックスガード”(登録商標)EC470(京絹化成社製、フッ素系化合物、屈折率1.38)・・・4%
・“トーレシリコーン”(登録商標)SM8702(東レシリコーン社製、アミノ変性シリコーン、屈折率1.48)・・・1%
・“ナイスポール”(登録商標)NF20(日華化学社製、耐電防止剤)・・・1%
得られた織物は、表面にコロイダルシリカ脱落によるミクロボイドを有し、発色性、ふくらみ、ソフト感に優れていた。また、課題であった摩擦堅牢度、アイロンあたりにおいても良好な結果であった。結果を表1に示す。
イソフタル酸6モル%共重合させたポリエチレンテレフタレートを紡速1700(m/min)で紡糸、その後130℃で延伸熱処理を実施し、総繊度30dtex、36フィラメント(断面円形)のポリエステルマルチフィラメントAを得た。一方、平均一次粒子径が0.05μmであるコロイダルシリカを1.0重量%含有したポリエチレンテレフタレートからなるポリマーを紡速3000(m/min)で紡糸して、総繊度90dtex、48フィラメント(断面円形)、伸度150%高配向未延伸フィラメントであるのポリエステルマルチフィラメントBを得た。
平均一次粒子径が0.05μmであるコロイダルシリカを1.0重量%含有したポリエチレンテレフタレートからなるポリマーを紡速3000(m/min)で紡糸して、総繊度90dtex、48フィラメント(断面円形)、伸度150%高配向未延伸フィラメントであるポリエステルマルチフィラメントBを得た。このポリエステルマルチフィラメントBを用いた以外は、実施例1と同様の方法を用い、表1に示す混繊糸特性を示す混繊糸を得た。次に、このようにして得られた混繊糸に、実施例1と同様の方法で織物を作成、染色加工を実施し、評価した。
イソフタル酸8モル%共重合させたポリエチレンテレフタレートを紡速1700(m/min)で紡糸、その後130℃で延伸熱処理を実施し、総繊度60dtex、68フィラメント(断面円形)のポリエステルマルチフィラメントAを得た。このポリエステルマルチフィラメントAを用いた以外は実施例1と同様の方法で混繊を実施し、表1に示す混繊糸特性を示す混繊糸を得た。次に、このようにして得られた混繊糸に、実施例1と同様の方法で織物を作成、染色加工を実施し、評価した。
ポリエチレンテレフタレート100%成分で紡速1700(m/min)で紡糸、その後130℃で延伸熱処理を実施し、総繊度22dtex、24フィラメント(断面円形)のポリエステルマルチフィラメントAを得た。このポリエステルマルチフィラメントAを用いた以外は実施例1と同様の方法で混繊を実施し、表1に示す混繊糸特性を示す混繊糸を得た。次に、このようにして得られた混繊糸に、実施例1と同様の方法で織物を作成、染色加工を実施し、評価した。
イソフタル酸8モル%共重合させたポリエチレンテレフタレートを紡速1700(m/min)で紡糸、その後130℃で延伸熱処理を実施し、総繊度22dtex、16フィラメント(断面円形)のポリエステルマルチフィラメントAを得た。このポリエステルマルチフィラメントAを用いた以外は実施例1と同様の方法を用い、表1に示す混繊糸特性を示す混繊糸を得た。次に、このようにして得られた混繊糸に、実施例1と同様の方法で織物を作成、染色加工を実施し、評価した。
混繊方法として、延伸温度を150℃にして延伸熱処理を実施し、弛緩熱処理を実施しなかった以外は実施例1と同様の方法を用い、表1に示す混繊糸特性を示す混繊糸を得た。次に、このようにして得られた混繊糸に、実施例1と同様の方法で織物を作成、染色加工を実施し、評価した。
平均一次粒子径が0.7μmである酸化チタンを2.3重量%含有したポリエチレンテレフタレートからなるポリマーを紡速3000(m/min)で紡糸して、総繊度90dtex、48フィラメント(断面円形)、伸度150%の高配向未延伸フィラメントであるポリエステルマルチフィラメントBを得た。このポリエステルマルチフィラメントBを用いた以外は、実施例1と同様の方法を用い、表1に示す混繊糸特性を示す混繊糸を得た。次に、このようにして得られた混繊糸に、実施例1と同様の方法で織物を作成、染色加工を実施し、評価した。
B:ポリエステルマルチフィラメントBの高配向未延伸フィラメント
1:フィードローラ
2:ホットピン
3:フィードローラ
4:中空ヒータ
5:フィードローラ
6:タスランノズル
7:デリベリーローラ
8:フィードローラ
9:混繊糸
Claims (6)
- 少なくとも2種類のポリエステルマルチフィラメントAおよびBが混繊された、強度1.7cN/dtex以下の混繊糸であり、芯部を構成する該ポリエステルマルチフィラメントAは単繊維繊度が1dtex以下、総繊度が10dtex以上35dtex以下、混繊糸総繊度に占める芯部総繊度の比率が10%以上40%以下で、かつ沸騰水収縮率が15%以上であり、鞘部を構成する該ポリエステルマルチフィラメントBは沸騰水収縮率が3%以下、かつ平均一次粒子径0.02〜0.1μmである微粒子を繊維表面付近に含有することを特徴とする混繊糸。
- 前記ポリエステルマルチフィラメントBに含有される微粒子がコロイダルシリカであることを特徴とする請求項1に記載の混繊糸。
- 請求項1または2に記載の混繊糸に、撚係数18000以上の撚を付与したことを特徴とする混繊糸。
- 請求項3に記載の混繊糸を用いた織編物。
- 請求項3に記載の混繊糸を表側に配し、捲縮発現機能を有するコンジュゲートマルチフィラメントを裏側に配したことを特徴とする二重織物。
- 混繊糸の鞘部のポリエステルマルチフィラメントが繊維表面にミクロボイドを有することを特徴とする請求項5に記載の二重織物。
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