JP5850783B2 - ポリエステル潜在捲縮マルチフィラメント糸の製造方法 - Google Patents
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(1)3〜8dtex、伸度が100%以上であり、かつ熱収縮性の異なる2種のポリエステル樹脂をサイドバイサイド型に接合した高配向未延伸糸を供給糸条として用い、該供給糸条に、延伸仮撚加工温度よりも20℃以上高い温度であり、かつ170〜230℃の温度下、荷重0〜5gfの低張力で熱処理を施した後、次いで、下記(I)および(II)の条件で延伸仮撚加工をほどこすものであって、これらの工程を150m/分以下の加工速度で連続しておこなうことを特徴とするポリエステル潜在捲縮マルチフィラメント糸の製造方法。
(I)仮撚数が、25000/(0.9×D) 1/2 〜35000/(0.9×D) 1/2 である。なお、Dは延伸仮撚加工後のポリエステル潜在捲縮マルチフィラメント糸の総繊度(dtex)である。
(II)延伸仮撚加工温度が140〜180℃である。
(2)熱処理をほどこした後、延伸仮撚加工をほどこす前に、該供給糸条を荷重0〜35gfの低張力にて冷却することを特徴とする(1)のポリエステル潜在捲縮マルチフィラメント糸の製造方法。
まず、本発明の製造方法により得られるポリエステル潜在捲縮マルチフィラメント糸(以下、単に「本発明のフィラメント糸」などと略称する場合がある)は、熱収縮性の異なる2種のポリエステル樹脂を、サイドバイサイド型に接合した複合繊維からなるものである。熱収縮性の異なる2種のポリエステル樹脂を用いることで、潜在捲縮性を有するフィラメント糸とすることができる。
まず、本発明の製造方法においては、熱収縮性の異なる2種のポリエステルポリマーをサイドバイサイド型に接合した複合繊維からなる高配向未延伸糸(以下、単に「未延伸糸」と称する場合がある)を、供給糸条として用いることが必要である。
(II)延伸仮撚加工温度が140〜180℃である。
図1は、本発明のポリエステル潜在捲縮マルチフィラメント糸の製造方法の一実施態様を示す工程の概略図である。供給糸条(ポリエステルサイドバイサイド型の高配向未延伸糸Y)には、供給ローラ1と第1引取りローラ3との間に設置された熱処理ヒーター2によって、低張力下で高温熱処理がほどこされ、次いで、第1引取りローラ3と第2引取りローラ4との間において、室温下で、低張力状態で冷却させる。引き続き連続して、第2引取りローラ4と第3引取りローラ7との間で、仮撚ヒーター5及びピンタイプ仮撚装置6を用いて、特定の延伸仮撚条件下で捲縮加工がほどこされることにより、本発明のポリエステル潜在捲縮マルチフィラメント糸が得られる。このマルチフィラメント糸は、第3引取りローラ7を経て、巻き取りローラ8によりパッケージ9に捲き取られる。
(1)繊度
JIS L1013 8.3.1の方法に従って測定した。
実施例および比較例で得られたフィラメント糸から、枠周1.125mの検尺機を用いて、巻き数5回のカセを作製し、スタンドに吊り下げた状態で一昼夜放置した。次に、このカセに0.000147cN/dtexの荷重(荷重1)を掛けて、沸水中に入れて30分間の湿熱処理をおこなった後、ろ紙にて水分を軽く取って30分風乾放置した。次いで、荷重1を掛けたまま、さらに0.00177cN/dtexの軽荷重(荷重2)を掛け、カセの長さAを測定した。次に荷重2のみを外して重荷重0.044cN/dtexの荷重を掛け、カセの長さBを測定した。下記式を用いて、潜在捲縮率を算出した。
潜在捲縮率(%)=[(B−A)/B]×100
JIS L1013 8.5.5の方法に従って測定した。
以下の条件にて、精練およびブラック染色を行った後、下記反射率を測定しL*値を求めた。すなわち、実施例および比較例にて得られた布帛を、精練剤(日華化学社製、「サンモールFL」)を2g/Lの濃度で水に溶解させた水溶液を用いて、80℃×20分の条件で精練をおこない、次いで、分散染料(ダイスター社製、「ダイアニックスブラックHG−FS」(200%)、7.5%omf)、染色助剤(日華化学社製、「ニッカサンソルトSN−130」、0.5cc/L)および酢酸(0.2cc/L)を用いて、135℃で30分間染色をおこなった。その際の浴比は1:50であった。
得られたフィラメントを各錘別で筒編地を作成し、錘間での染色品位を以下の基準で目視にて評価した。
◎:染色品位のバラツキがほとんどなく、大変良好であった。
○:染色品位のバラツキが少なく、良好であった。
△:染色品位のバラツキがあり、やや悪かった。
×:染色品位のバラツキがあり、悪かった。
得られた布帛の表面を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:目標とする濃染性(深みのある色合い)を特に満足し、大変良好であった。
○:目標とする濃染性を満足し、良好であった。
△:目標とする濃染性を十分には満足せず、やや悪かった。
×:目標とする濃染性を満足せず、悪かった。
得られた布帛の触感を確認し、以下の基準で評価した。
○:目標とするストレッチ性を満足し、風合いは良好であった。
△:目標とするストレッチ性を十分には満足せず、風合いはやや悪かった。
×:目標とするストレッチ性を満足せず、風合いは悪かった。
イソフタル酸8モル%及び2,2−ビス〔4−(B−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン5モル%を共重合成分として含む共重合ポリエチレンテレフタレート(PET)(極限粘度:0.63)を高熱収縮性ポリエステル樹脂として用い、ポリエチレンテレフタレート(PET)(極限粘度:0.53)を低熱収縮性ポリエステル樹脂として用いた。そして、両ポリエステル樹脂をサイドバイサイド型に接合しながら複合紡糸し、90dtex12フィラメントの高配向未延伸糸(質量比率として高粘度側/低粘度側:60/40、紡糸速度:3250m/min、伸度:110%)を得た。
熱処理後の糸条に対し、室温下での冷却ゾーンを設けない以外は、実施例1と同様の加工法、延伸仮撚条件でマルチフィラメント糸を得、さらに布帛を得た。得られたマルチフィラメント糸および布帛の評価を表1に示す。
第1引取りローラを使用せずに、さらに供給ローラ速度及び第2引取りローラ速度を表1に示したように変更し、供給ローラ及び第2引取りローラ間で弛緩状態にて熱処理及び室温冷却を行った以外は、実施例1と同様の加工法、延伸仮撚条件でマルチフィラメント糸を得、さらに布帛を得た。得られたマルチフィラメント糸および布帛の評価を表1に示す。
延伸仮撚加工前の熱処理時のヒーター温度を165℃とした以外は、実施例1と同様の加工法、延伸仮撚条件でマルチフィラメント糸および布帛を得た。得られたマルチフィラメント糸および布帛の評価を表1に示す。
延伸仮撚加工温度を185℃とした以外は、実施例1と同様の加工法、延伸仮撚条件でマルチフィラメント糸および布帛を得た。得られたマルチフィラメント糸および布帛の評価を表1に示す。
延伸仮撚加工時の仮撚数を3050T/M(Z撚)と低くした以外は、実施例1と同様の加工法、延伸仮撚条件でマルチフィラメント糸および布帛を得た。得られたマルチフィラメント糸および布帛の評価を表1に示す。
延伸仮撚加工時の仮撚数を4550T/M(Z撚)と高くした以外は、実施例1と同様の加工法、延伸仮撚条件でマルチフィラメント糸および布帛を得た。得られたマルチフィラメント糸および布帛の評価を表1に示す。なお、比較例4においては糸切れが発生し、安定した供給ができなかった。
供給糸条を90dtex12フィラメントから200dtex24フィラメントに変更した以外は、比較例3と同様の加工法、延伸仮撚条件でマルチフィラメント糸を得た。得られたマルチフィラメント糸を無撚状態で経緯糸に用い、平二重織物を製織した(経糸密度:118本/2.54cm、緯糸密度:89本/2.54cm)。得られた生機に対して上述の(4)の方法により、精練、ブラック染色及び洗浄処理をおこなった。得られたマルチフィラメント糸および布帛の評価を表1に示す。
供給糸条の伸度を86%とした以外は、実施例1と同様の加工法、延伸仮撚条件でマルチフィラメント糸および布帛を得た。得られたマルチフィラメント糸および布帛の評価を表1に示す。
供給糸条の伸度を110%とし、さらに熱処理ゾーンでの加工張力が25gfとなるように供給ローラ及び第1引取りローラ速度を表1のように調整した以外は、実施例1と同様の加工法、延伸仮撚条件でマルチフィラメント糸を得た。得られたマルチフィラメント糸を無撚状態で経緯糸に用い、平二重織物を製織した(経糸密度:181本/2.54cm、緯糸密度:135本/2.54cm)。得られた生機に対して上述の(4)の方法により、精練、ブラック染色及び洗浄処理をおこなった。得られたマルチフィラメント糸および布帛の評価を表1に示す。
供給糸条を90dtex12フィラメントから90dtex48フィラメントに変更し単糸繊度を1.87dtexとした以外は、実施例1と同様の加工法、延伸仮撚条件でマルチフィラメント糸および布帛を得た。得られたマルチフィラメント糸および布帛の評価を表1に示す。
1 供給ローラ
2 熱処理ヒーター
3 第1引取りローラ
4 第2引取りローラ
5 仮撚ヒーター
6 ピンタイプ仮撚装置
7 第3引取りローラ
8 巻き取りローラ
9 パッケージ
Claims (2)
- 単糸繊度が3〜8dtex、伸度が100%以上であり、かつ熱収縮性の異なる2種のポリエステル樹脂をサイドバイサイド型に接合した高配向未延伸糸を供給糸条として用い、該供給糸条に、延伸仮撚加工温度よりも20℃以上高い温度であり、かつ170〜230℃の温度下、荷重0〜5gfの低張力で熱処理を施した後、次いで、下記(I)および(II)の条件で延伸仮撚加工をほどこすものであって、これらの工程を150m/分以下の加工速度で連続しておこなうことを特徴とするポリエステル潜在捲縮マルチフィラメント糸の製造方法。
(I)仮撚数が、25000/(0.9×D) 1/2 〜35000/(0.9×D) 1/2 である。なお、Dは延伸仮撚加工後のポリエステル潜在捲縮マルチフィラメント糸の総繊度(dtex)である。
(II)延伸仮撚加工温度が140〜180℃である。 - 熱処理をほどこした後、延伸仮撚加工をほどこす前に、該供給糸条を荷重0〜35gfの低張力にて冷却することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル潜在捲縮マルチフィラメント糸の製造方法。
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JP2012075277A JP5850783B2 (ja) | 2012-03-29 | 2012-03-29 | ポリエステル潜在捲縮マルチフィラメント糸の製造方法 |
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