JP2004068210A - ポリエステル繊維含有布帛及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フルダル繊維や紫外線吸収剤を使用することなく、薄地の白生地でも透け感が少なく、かつ紫外線遮蔽率が高く、吸水速乾性や発色性にも優れ、かつ変性ポリエステル繊維を用いることなく、抗ピル性に富むソフトな風合の布帛を安価に得る。
【解決手段】酸化チタン含有率が1.0質量%未満のポリエステル繊維を含むエア交絡紡績糸で構成され、かつJIS L 1076 A法におけるピリングが3級以上、紫外線遮蔽率が84%以上、可視光線透過率が40%以下であることを特徴とするポリエステル繊維含有布帛及び、3個以上の突起部を繊維長さ方向に連続して有し、断面の異型度が1.8以上であるポリエステル繊維又は中空率が8%以上のポリエステル繊維を含むエア交絡紡績糸を布帛の構成糸として用いるポリエステル繊維含有布帛の製造方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、これまでと異なるメカニズムで紫外線遮蔽効果と透け防止性及び抗ピル性の発現が可能なポリエステル短繊維含有布帛に関する。更には変性ポリエステルを使用することなく抗ピル性発現が可能で、吸水速乾性に優れるポリエステル短繊維含有布帛に関する。その用途としては、シャツ、ブラウス、カジュアルニット、ゴルフニット、セーター、ジャケット、パンツ、スカート、水着、アンダーウエア、ユニフォーム等の衣服や帽子、傘、スカーフ、タオル、手袋、カーテン、枕カバー、クッション側地、シーツ、布団側地、おむつ等に好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来より透け防止や紫外線遮蔽効果を発現するポリエステル繊維布帛を得る方法としては、酸化チタン等を繊維内部に練り込んだポリエステル繊維を用いる方法、生地表面に紫外線吸収剤を含ませる方法、高密度に織り編み上げる方法等がある。特に酸化チタンを繊維内部に多く含むいわゆるフルダル繊維は、特許第2888504号のように透け防止や紫外線遮蔽効果は高く、衣料用等に広く利用されている。しかし、一般的に酸化チタン含有率が3.0質量%以上を有するフルダル糸は、ガイド、糸道や筬等を激しく摩耗させ、毛羽立ちや糸切れを誘発させ、工程通過性がよくなく、また、発色性に限界があり、通常のポリエステル繊維で得られる鮮明色表現に著しい制約を受ける。これらの欠点を防止するために、酸化チタンを多く含む繊維を芯にし、通常繊維を鞘にした複合繊維にする方法も提案されているが、高価になり、また品質が不安定である。後加工による紫外線吸収剤付与法は、風合を硬化させたり、コストアップになる欠点がある。
【0003】
一方、吸水速乾性を謳ったポリエステル繊維として、従来の極細繊維による丸断面形状や、L型、W型、Y型などの異型断面の長繊維が提案されている。これらは繊維表面積を増し、繊維間の隙間を少なくし、毛細管現象効果を高めて吸水速乾性に優れるので、用途的に軽量で、光沢感を生かしたスポーツ用途に多用されている。ポリエステル短繊維においては軽量保温素材として中空繊維が一般的に用いられるが、繊維表面の乱反射効果が弱く、本発明品に見られる程度の紫外線吸収効果や可視光線透過率は期待できないのが実状である。
【0004】
抗ピリング(抗ピル)性ポリエステル繊維として、有機スルホン酸系共重合ポリエステル繊維やリン等を含む変性ポリエステル繊維が主に用いられる。これらは繊維強度をレジンや紡糸、延伸工程で低下させ、更に染色仕上げ工程条件で繊維強度(結節強度)の低下を促進させ、生地表面の毛羽を脱落しやすくしたもので、編物以外にもウールやレーヨン混紡糸織物等に多く使用されている。しかし、このような変性ポリエステル繊維、特に有機スルホン酸系共重合ポリエステル繊維においては、一般的な丸断面形状の繊維形態でさえも紡糸中に金属塩が析出し易く、紡糸性能が不良である。異型断面繊維の紡出は尚更に困難さを増す。かつ繊維強度が弱いため紡績性が劣る欠点を有する。 可紡性を向上させるようとすると繊維強度を上げる必要があり、抗ピル性を得るためには染色加工工程で繊維強度を低下させる工夫が必要になる。更に染色加工時に一定の品質を保つために加工管理が煩雑である等の困難さを有する。
【0005】
このような変性ポリエステル繊維の染色加工において、処理液をpH3〜4等の強酸性サイドで行なう場合は、処理中の液pHの変化、バッチ間差を最小に制御することは困難であり、制御が不十分であれば生地の脆化や変色を容易に招き、実用生地強力低下や品位低下につながり、著しく製品価値を損なってしまう。また、抗ピル性を得るために高温で長時間染色時間を必要とする繊維構造の生地においてはコスト的に不利となる。また、このような変性ポリエステル繊維で構成された生地は、染色加工揚がりで糸または生地の強力低下が大きいため、再染色加工が不可能で、極めて不経済である。
【0006】
近年、紡績方法による抗ピル性の改善が検討されており、結束紡績を利用する方法がある。この方法では、高速エア流体による繊維間絡合が基本構造であり、繊維端が繊維内部に拘束されるため毛羽が少なく、抗ピル性が向上するが、この方式はリング紡績糸に比べ、その構造上、風合が硬くなるという欠点を有している。
ポリエステル短繊維布帛において、フルダル繊維を用いることなく、抗ピル性と紫外線遮蔽性、透け防止性、発色性、吸水速乾性、清涼感を併せ持ち、風合がソフトな布帛が要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フルダル繊維(一般的に酸化チタン含有量が3.0質量%以上)や紫外線吸収剤を使用することなく、薄地の白生地でも透け感が少なく、かつ紫外線遮蔽率が高く、吸水速乾性や発色性にも優れ、かつ変性ポリエステル繊維を用いることなく、抗ピル性に富むソフトな風合の布帛を安価に得ることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は下記の構成からなる。
(1) 酸化チタン含有率が1.0質量%未満のポリエステル繊維を含むポリエステルエア交絡紡績糸で構成され、かつJIS L 1076 A法におけるピリングが3級以上、紫外線遮蔽率が84%以上、可視光線透過率が40%以下であることを特徴とするポリエステル繊維含有布帛。
【0009】
(2) 酸化チタン含有率が1.0質量%未満で、繊維円周上に存在する3個以上の突起部を繊維長さ方向に連続して有し、繊維断面の異型度(内接円に対する外接円の比)が1.8以上の高異型度ポリエステル繊維または中空率8%以上の中空ポリエステル繊維を含むエア交絡紡績糸であり、かつ該紡績糸の糸長10m当りの毛羽数が長さ1mm以上が30個以上350個未満、長さ3mm以上が15個未満であるエア交絡紡績糸を布帛の構成糸として用いることを特徴とする前記(1)記載のポリエステル繊維含有布帛の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明におけるポリエステル繊維含有布帛について詳細に述べる。
本発明におけるポリエステル繊維含有布帛とは、少なくともエア交絡紡績糸を構成糸として用いた編物、織物である。
本発明において使用されるポリエステル繊維に含有する酸化チタン含有率は、
1.0質量%未満である。繊維円周上に存在する3個以上の突起部が繊維長さ方向に連続して存在し、その異型度が1.8以上である高異型度断面繊維の場合は、好ましくは0.6質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下である。1.0質量%を超えると、紡糸性が悪化するとともに、艶消し効果が強く作用するため、白度に劣り、発色性を失う傾向がある。本発明では、少量の酸化チタン含有率でフルダル繊維に近似の紫外線遮蔽性や透け防止性が得られることから必要以上に含有させる必要がないのが特徴である。
【0011】
中空繊維の場合は、光の表面反射率が前述の高異型度繊維より劣る傾向にあり、酸化チタン含有率はやや多めの方が効果的であり、0.4質量%以上、0.8質量%程度が好ましい。酸化チタン含有率は、繊維内の中空形状個数が複数である場合、光の反射率が向上するため1個の場合より減らすことが可能であり、また発色性を向上させることが可能である。
【0012】
本発明においては酸化チタンが主体的に使用されるが、従来より使用されているカオリナイト、炭化ジルコニウム、各種顔料、トルマリン、稀少鉱石や深層海洋水等から得られる微量の放射性微粉末、抗菌防臭剤、制菌剤等は、必要によって混合してもよい。
【0013】
本発明に使用される繊維断面が高異型度の繊維は、繊維円周上に存在する突起部が3個以上あり、その異型度(外接円と内接円の比)が1.8以上で該突起部が繊維長さ方向に連続して存在する形態であることが必要である。 繊維表面反射率の低い丸断面、偏平断面や異型度1.8未満の三角断面形状等は対象外であり、異型度1.8以上である繊維表面の突起部と溝部の高低差が大で表面乱反射率の高いY型、十字型、星型断面繊維等である必要がある。その異型度は2.0以上、3.5未満が好ましく、更には3.0以下が好ましい。3.5以上では繊維強度が低下する傾向がある。このような高異型度繊維は一般に嵩高性であり、押しても柔らかさを感じさせるクッション効果を生地に与える効果がある。そのため本発明のエア交絡紡績糸のソフト風合化には有効に作用する。
【0014】
本発明に使用される中空繊維は、中空率は8%以上、45%以下が好ましい。7%以下では光反射率が劣り、また46%以上では形態保持性が困難で好ましくない。好ましくは15%から30%の範囲である。繊維の中空断面形状は丸、三角、偏平、四角等であってもよい。また単繊維中の中空個数は1個、または複数個でもよく、紡糸時に中空であってもよく、綿、糸、または布帛で特定成分が溶解除去された中空繊維であってもよい。
【0015】
エア交絡紡績糸中の高異型度繊維や中空繊維の含有率は、好ましくは30%、より好ましくは50%以上である。これらは単体で、または混用することも可能である。また性能を阻害しない範囲で他の繊維、例えば綿やレーヨン、キュプラ、ポリノジック、精製セルロース(テンセル等)等のセルロース系繊維(吸湿発熱性繊維を含む)、消臭性、制菌・抗菌防臭性能等を有するポリエステルやアクリル、アクリレート、モダクリル繊維等と混用してもよい。
【0016】
尚、本発明は、ポリエチレンテレフタレートなどのホモポリマーポリエステルで抗ピル性を得ることができるのが特徴であるが、このポリエステル繊維と有機スルホン酸金属塩基含有成分の共重合体であるカチオン可染ポリエステルタイプのポリエステル繊維などとを、鮮明色や異色染め効果などを得る目的で、交織、交編、混紡などで混用してもよい。本発明における高異型度繊維や中空繊維の布帛中の含有率は、好ましくは20%、より好ましくは40%以上である。
【0017】
本発明におけるポリエステル繊維の繊度は、絡合性、風合、番手面から3.5dtex以下が好ましく、更に好ましくは2.5dtex以下である。3.6dtex以上では紡績糸の構成本数が減り、剛性が強い為、絡合性が不良となり、硬風合や低強力化をもたらし、細番手が得られにくくなる。短繊維は長繊維に比較し、捲縮による嵩性による光透過阻止性が期待され、更に1.8以上の高異型度や中空断面形状とすることで繊維の剛性が強くなり、紡績糸として嵩性に富む特性がある。その結果、後工程における熱や物理的な力による繊維のへたりが少なく、丸断面や偏平断面、異型度1.8未満の繊維に比較し、嵩高な繊維形態保持性に優れ、紫外線や可視光線通過性防止にも有利に作用する。
【0018】
本発明におけるポリエステル繊維の断面形状に起因する剛性の強さから、繊度は1.1から1.5dtexでも丸断面繊維2.0dtex並みの十分な剛性(ハリ、腰)が得られるため、従来糸に比較し、同一番手において紡績糸の構成本数を増すことができ、その結果、糸強度、繊維の紫外線反射や可視光線透過阻止効果を高めることが可能である。また、その剛性の強さから毛羽同士の絡合性を弱め、抗ピル性を向上させる効果もある。
【0019】
本発明のポリエステル短繊維においては、適性なクリンプ数は8〜20ヶ/25mmであり、クリンプ数が多い程嵩性や生地表面の乱反射が多くなり、好ましくは10ケ/25mm以上である。繊維カット長は32mmからバリカットまで可能であり、目的によって適宜選定される。一般的には、好ましい範囲は紡績糸の毛羽数や毛羽絡み度合、風合、糸質面から長くない方が好ましく、32mmから51mmである。
【0020】
以上のポリエステル短繊維を紡績する際は、リング紡績法によらず、オープンエンド、結束紡績等の高速エア流体交絡糸とする。これらの方式はリング紡績糸と異なり、糸構造的に糸毛羽を抑制する効果があるが、風合硬化は避けられない構造であるので、本発明においては、紡績条件は紡績糸の風合、嵩性、抗ピル性を損なわない条件とし、交絡度合が増し、風合が硬化する高エア圧下での低速紡出速度等は避けるのが望ましい。
【0021】
本発明において紡出された紡績糸の毛羽数は、糸長10m当りの長さ1mm以上の毛羽数は30個以上、350個未満、かつ長さ3mm以上の毛羽数は15個未満であり、夫々の毛羽数が300個未満、10個以下を同時に満たすことが好ましい。本発明のように繊維断面形状と繊度を特定し、高速エア流体による紡績糸とすることで、毛羽数の少ない紡績糸が可能であり、夫々の毛羽数が350個以上、15個以上では特にスムースやパイル組織等の嵩高でルーズな組織等においては十分な抗ピル性が得られなくなるため好ましくない。また、1mm以上の毛羽数が30個未満では高交絡度で糸径の細い紡績糸となり、抗ピル性は増すが、バルキー性に劣る硬風合の生地となり好ましくない。その結果、本発明の目的とする紫外線遮蔽率が低下し、可視光線透過率が増し、好ましくない。
【0022】
本発明の布帛においては、少なくも上記ポリエステル紡績糸を用いることで、380〜780nmの可視光線透過率が40%以下、280〜400nm波長紫外線遮蔽率が84%以上、JIS L1076 A法におけるピリングが3級以上となるポリエステル繊維含有布帛を得ることができる。その際、他の繊維と混紡、混繊、交撚、交織、交編し、生地表層部にこれらポリエステル繊維を多く使用する構造にしてもよく、単独でこれら繊維を用いてもよい。
【0023】
本発明の布帛の染色加工は、他のポリエステル繊維と同様、精練後、通常の染色加工が施される。通常のポリエステル繊維では120〜130℃の高圧染色が、カチオン可染変性ポリエステルであれば98〜120℃の常圧から高圧染色が採用される。本発明においては、紫外線吸収剤を併用することなく仕上げることができるが、通常より少ない量の紫外線吸収剤を併用してもよい。織物においては通常通り、染色以前の工程で、または染色後に毛焼きやシャリング処理してもよく、また、毛焼き後軽アルカリ処理し、染色することで生地品位、抗ピル性、風合を改善してもよい。
【0024】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明する。
実施例、比較例とも固有粘度0.63のポリエステルレジンを用い、Y型異型用、中空用及び中実用の各紡糸口金を用い、それぞれポリマー温度290℃、紡糸速度1600m/分で紡糸した後、延伸を速度140m/分、温度112℃で、延伸倍率は、Y型異型繊維は2.34、中空繊維(丸、三角、田型とも)は2.84、中実繊維は2.60で行ない、それぞれ38mmカット長、クリンプ数14ヶ/25mm前後のポリエステル短繊維を得た。
【0025】
結束紡績は、村田機械(株)製ムラタボルテックススピナーMVSを用い、ノズル圧0.45MPa、紡出速度350m/分で紡績した。但し、実施例5は紡出速度のみを400m/分とし、比較例6は紡出速度のみを200m/分とした。比較例1のリング紡績糸は撚係数3.2とし、全点とも英式綿番手30番手を得た。編物のスムース組織は、22ゲージ、ループ長325mm、ウェル数100で、天竺は、28ゲージ、ループ長275mm、ウェル数100で編み立てた。更に、生地は開反し、ウェット処理後、乾燥し、180℃、40秒間の中間セットを施した。その後、スムース、天竺ともそれぞれ別バッチにて高圧液流染色機で染色(130℃、20分間、蛍光分散染料0.8%omf)し、還元洗浄、脱水乾燥後、160℃、60秒間の仕上げセットを行なった。
【0026】
尚、編地の測定条件は以下に示す通りである。
(1)紫外線遮蔽率と可視光線透過率
・島津製作所製UV−3100PC 積分球付属装置 ISR−3100 積分球 内径60mmΦ(紫外線ハ゛ント゛ハ゜スフィルター使用)を使用し、以下の条件で測定した。
・標準白板:硫酸バリウム
・紫外線遮蔽率測定波長:280nm〜400nm
・可視光線透過率測定波長:380nm〜780nm
(2)生地厚み:ダイアル式厚み計で、生地を2枚重ね、生地中央部を長さ方向に5回測定した1枚当りの平均値を求めた。
(3)ピリング:JIS L 1076 A法 (ICI形試験機 5時間 で判定)に準拠して測定した。
(4)原綿、生地の評価 : 以下の3段階で評価した。
○:良 、    ○△:やや良 、   ×:不良。
【0027】
布帛の紫外線遮蔽率や可視光線透過率は、一般に繊維のポリマー特性、繊維形態(異型度、断面形状、捲縮の有無、及び多寡)、無機粒子の種類と含有率、単糸繊度、糸繊度や撚り構造、構造体の密度、組織、厚み、色相等によって左右される。
以下の表1に、得られた繊維とそれを用いた布帛の評価結果を示した。
【0028】
【表1】
Figure 2004068210
【0029】
実施例1〜5は、毛羽数が少なく、ピリングは天竺はもとよりスムース組織においても4−5級以上あり、満足するレベルである。また比較例に比べ、生地厚み(嵩性)があり、紫外線遮蔽率も高く、可視光線透過率も少ない。一方、実施例3及び4は、酸化チタン量は若干多いが、白度、従って発色性を損なうものではなく、比較例5より十分な白度が得られている。比較例1は、紫外線遮蔽率、可視光線透過率とも優れるが、毛羽が多く、特にスムース組織においてはピリングが1−2級と不良である。比較例2〜5は、毛羽は少なめで、ピリングは3級以上であるが、いずれも紫外線遮蔽率、可視光線透過率が劣る。これは繊維間や金属との摩擦が大きく、繊維同士が交絡し易く、また見掛けの繊維径が太く、嵩高になり易い実施例1〜5に比べ、生地厚みが劣り、更に繊維形態に起因する表面反射率の少なさが影響しているものと考えられる。
【0030】
また繊維断面が丸や低異型度である比較例2〜5は、実施例1、4及び5のY型繊維がクッション性のあるソフト風合を呈したのに対し、生地の厚みが劣り、粗硬感の強い硬風合の生地であった。実施例5は実施例1に比べ、毛羽数が増えたが、リング糸に近いソフト風合を有し、ピリングはスムースでも4級を維持しており、十分な性能を備えた水準であった。
【0031】
比較例6は、紡績時の糸速を低速にした水準であるが、他の水準に比べ、長さ1mm以上の毛羽数が25個と激減し、抗ピリング性が向上した。しかし、交絡度合が強いため風合はジャリ味のある硬風合となり、実施例1及び4に見られるようなバルキー、ソフト風合とは全く赴きを異にするものであり、紫外線遮蔽率も低下し、可視光線透過率も大きい編地になった。
【0032】
実施例はいずれも実用性のある抗ピル性と発色性を有し、フルダル糸に近似の紫外線遮蔽率や透け防止効果を有することがわかった。結束紡績はリング紡績に比較し、毛羽数が少なく抗ピル性に優れる反面、リング糸とは異なる硬い風合が欠点であり、その改善が困難であったが、ソフト風合を有し、抗ピル性と紫外線遮蔽性、透け防止性、及び発色性等を兼ね備えるのは本発明の構成要件を満たすもののみである。
【0033】
表2には、表1の実施例及び比較例に記載の紡績糸を使用し、組織をスムース組織にした場合の抗ピリング性の評価結果について示した。
【0034】
【表2】
Figure 2004068210
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、フルダル繊維を使用することなく、薄地の白生地でも透け感が少なく、かつ紫外線遮蔽率が高く、吸水速乾性や発色性に優れ、かつ変性ポリエステル繊維を用いることなく、優れた抗ピル性を同時に併せ持つソフトな風合のポリエステル短繊維含有布帛を安価に得ることが可能である。

Claims (2)

  1. 酸化チタン含有率が1.0質量%未満のポリエステル繊維を含むエア交絡紡績糸で構成され、かつJIS L 1076 A法におけるピリングが3級以上、紫外線遮蔽率が84%以上、可視光線透過率が40%以下であることを特徴とするポリエステル繊維含有布帛。
  2. 酸化チタン含有率が1.0質量%未満で、繊維円周上に存在する3個以上の突起部を繊維長さ方向に連続して有し、繊維断面の異型度(内接円に対する外接円の比)が1.8以上の高異型度ポリエステル繊維または中空率8%以上の中空ポリエステル繊維を含むエア交絡紡績糸であり、かつ該紡績糸の糸長10m当りの毛羽数が長さ1mm以上が30個以上350個未満、長さ3mm以上が15個未満であるエア交絡紡績糸を布帛の構成糸として用いることを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維含有布帛の製造方法。
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