JP5959165B2 - 長短複合結束紡績糸および該長短複合結束紡績糸を含む布帛 - Google Patents

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Description

本発明は、長短複合紡績糸、該長短複合紡績糸を含む布帛および該長短複合紡績糸の製造方法に関するものである。
従来から、高い保温性を必要とするインナーやスポーツ衣料などの用途に用いられるために、種々の保温素材が検討されている。このような保温素材として、例えば、表面層と裏面層とを結接糸でタックしてなる三層構造編地であって、該結接糸として中空糸が使用された保温編地が提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1の保温編地は、中空糸で空気層を作ることによる保温力を利用しているにすぎず、自発的な蓄熱機能を有しないため、蓄熱保温性が不十分であった。また、3層構造に起因して、得られる布帛が厚肉になるという欠点があった。
また、太陽光選択吸収蓄熱繊維と中空繊維が混用されてなる蓄熱保温性を有する布帛が提案されている(特許文献2)。しかしながら、特許文献2の布帛においては、合成繊維が用いられているため、風合い、吸水性および吸水拡散性に劣るものであった。加えて、太陽光選択吸収蓄熱繊維と中空繊維との混用に際し、特別な装置が必要となるため、織機あるいは編機において設備上および組織上の制約を受けるという欠点があった。
また、長繊維糸条からなる芯糸の周囲に、短繊維糸条からなる複数の鞘糸が配置されて、芯糸を筒状に並行に取り囲み、さらにその外層に短繊維糸条が巻き付いて結束部が構成された3層構造の長短結束複合糸が提案されている(特許文献3)。しかしながら、特許文献3の複合糸から得られた布帛は、蓄熱保温性に劣るものであり、秋冬用の衣料など、より高い保温性が求められる用途には不適であった。加えて、この長短結束複合糸は、実質的に撚りが発現しているため、この複合糸を構成繊維とする布帛を実使用に供すると、毛玉が発生しやすい(つまり、抗ピリング性に劣る)という問題を有していた。
特許第3880320号公報 特許第3831076号公報 特開2009−242975号公報
本発明の目的は、上記の従来技術の有する問題点を解消し、厚さが薄いにもかかわらず、高い蓄熱保温性を有し、かつ抗ピリング性、ソフトな風合い、吸水性および吸水拡散性に優れる布帛を得ることのできる長短複合紡績糸を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)中空繊維ではない長繊維である太陽光選択吸収型熱可塑性繊維が芯部を構成し、該芯部の周囲に、短繊維である溶剤紡糸系セルロース繊維が巻きついて鞘部を形成することで、芯部と鞘部が空気精紡機により結束された長短複合結束紡績糸であって、芯部と鞘部との質量比が(芯部)/(鞘部)=10/90〜60/40であり、かつ実質的に無撚りであることを特徴とする長短複合結束紡績糸。
(2)前記長短複合結束紡績糸が、綿番手換算で40〜80番手であることを特徴とする(1)の長短複合結束紡績糸。
(3)(1)または(2)の長短複合結束紡績糸を構成繊維として含むことを特徴とする布帛。
(4)丸編、緯編、経編、織物のいずれかの形態であることを特徴とする(3)の布帛。
本発明によれば、光吸収熱変換機能を有する微粒子を含有する長繊維を芯部とし、その周囲に短繊維が巻きついて鞘部を形成する際に実質的に無撚りとすることにより、得られる長短複合紡績糸を布帛の構成繊維とした場合に、厚さが薄いにもかかわらず高い蓄熱保温性を発現しうる長短複合紡績糸を提供することができる。そして、本発明の紡績糸は、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維を芯部に用いているため、軽量であるという効果が奏される。加えて、布帛の構成繊維とされた場合に、実質的に無撚りであるため、抗ピリング性に優れ、かつセルロース系繊維に起因してソフトな風合い、吸水性および吸水拡散性を発現しうる長短複合紡績糸を提供することができる。このような長短複合紡績糸から得られた布帛は、厚肉とならずに高い保温性が必要とされ、かつ吸水性および吸水拡散性が必要とされるインナーやスポーツ衣料などの用途に、好適に用いられる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の長短複合紡績糸は、長繊維である太陽光選択吸収型熱可塑性繊維(以下、繊維Aと称する)を芯部とし、該芯部の周囲に、短繊維である溶剤紡糸系セルロース繊維(以下、繊維Bと称する)が巻きついて鞘部を形成することで、芯部と鞘部が結束してなるものである。加えて、この長短複合紡績糸は、実質的に無撚りであることが必要である。
繊維Aについて、以下に説明する。
繊維Aは、熱可塑性樹脂を主成分とし、光吸収熱変換機能を有する微粒子を含有する繊維である。
熱可塑性樹脂としては、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。なかでも、糸強力、染色性、堅牢度等の観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。これらは、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されてもよい。熱可塑性樹脂は、軽量で、かつ繊維形成性に優れるという利点がある。
光吸収熱変換機能を有する微粒子しては、可視光線、近赤外線の光エネルギーを吸収し、吸収したエネルギーを熱エネルギーに転換しうる、または吸収したエネルギーを放射しうる物質である。つまり、太陽光が照射されることにより発熱するという特性を有する微粒子である。このような微粒子としては、例えば、遷移金属の炭化物微粒子、カーボン微粒子、白色系セラミック微粒子などが挙げられる。
遷移金属の炭化物微粒子としては、炭化ジルコニウム、炭化鉄、炭化銅などから形成される微粒子が挙げられる。白色系セラミック微粒子しては、酸化アンチモンがドーピングされた酸化第二錫の微粒子、またはその酸化第二錫を他の無機物質でコーティングした白色系微粒子等が挙げられる。
光吸収熱変換機能を有する微粒子としては、上記のなかでも、良好な光吸収熱変換効率の観点から、炭化ジルコニウムが好ましい。
光吸収熱変換機能を有する微粒子のサイズは、特に限定されないが、0.01〜20μmであることが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。0.01μm未満であると取扱いが困難となる場合があり、一方、20μmを超えると繊維Aの生産が困難となる場合がある。
繊維Aにおける光吸収熱変換機能を有する微粒子の含有量は、特に限定されないが、繊維A全体に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましい。0.1質量%未満であると太陽光吸収性能を十分に発現することができず、得られた長短複合紡績糸の蓄熱保温性に劣る場合がある。一方、20質量%を超えると該微粒子を含む熱可塑性樹脂の流動性が低下し、繊維Aの紡糸性が悪化すると同時に強度低下をもたらす場合がある。
上述の光吸収熱変換機能を有する微粒子を、繊維Aに含有させる方法としては、特に限定されないが、例えば、繊維Aの原料ポリマーである熱可塑性樹脂に直接混合して紡糸する方法などが挙げられる。その紡糸方法も特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
繊維Aは原糸であってもよいし、仮撚加工糸であってもよい。また、繊維Aはモノフィラメントであってもよいし、マルチフィラメントであってもよい。
繊維Aの太さは、用途によって適宜選択することができ、特に限定されないが、33dtex〜167dtexであることが好ましく、56dtex〜110dtexであることがより好ましい。33dtex未満であると、太陽光吸収性能を十分に発揮しえない場合があり、167dtexを超えると、後述の繊維Bが芯部としての繊維Aに巻きついて鞘部を形成する際に、芯鞘構造の形成が困難となる場合がある。
繊維Bについて以下に述べる。
溶剤紡糸系セルロース繊維である繊維Bは、ソフトな風合い、吸水性および吸水拡散性を有する繊維であり、以下のようにして得られる繊維であれば、特に限定されない。
すなわち、適宜の溶剤にパルプを溶解させ、次いで、該溶剤を濾過して不純物を除去する。その後、濾過後の溶剤を乾式紡糸方法または湿式紡糸方法により紡糸することによりフィラメントを得、該フィラメントを適度な長さにカッティングすることにより、短繊維糸条である繊維Bが得られる。上記の溶剤としては、パルプを溶解しうるものであれば特に限定されないが、例えば、N−メチルモルフォリン−N−オキサイド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピペリジン−N−オキサイド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
繊維Bの太さは、安定した紡績が可能であり、加えて、後に布帛とした場合に衣料用として快適に着用できることから、1〜4dtexであることが好ましく、1〜3dtexであることがより好ましい。
繊維Bの繊維長は、安定した紡績が可能であり、加えて、後に布帛とした場合に衣料用として快適に着用できることから、30〜60mmであることが好ましく、30〜50mmであることがより好ましい。なお、繊維Bが長繊維である場合は、得られる長短複合紡績糸が実質的に無撚りの状態とならず、実撚りが発現してしまう。なお、実質的に無撚りであることの効果については、後述する。
本発明の長短複合紡績糸において、芯部と鞘部との質量比は、(芯部)/(鞘部)=10/90〜60/40であることが必要であり、20/80〜50/50であることが好ましく、30/70〜40/60であることがより好ましい。繊維Aの割合が10質量%未満であると、十分な蓄熱保温性能を得ることができず、加えて、軽量性に劣るものとなる。一方、繊維Aの割合が60質量%を超えると、繊維Bが有するソフトな風合い、吸水性および吸水拡散性を、布帛に発現させることができないという問題がある。加えて、空気を効果的に含む鞘部の割合が少なくなるため、蓄熱保温性にも劣るものとなる。
本発明の長短複合紡績糸は、上述のように、繊維Aを芯部とし、該芯部の周囲に、繊維Bが巻き付いて鞘部を形成することで芯部と鞘部が結束するため、実質的に無撚りとなる。本発明の長短複合紡績糸は実質的に無撚りであるため、鞘部を形成する繊維Bがランダムに繊維Aに巻き付く状態となる。その結果、鞘部に効果的に空気を含ませることができるため、蓄熱保温性が向上するという効果を奏する。さらに、実質的に無撚りであるため、実撚りが発現した場合と比較すると、鞘部に余分な負荷がかからず、短繊維が紡績糸の表面に飛び出すことを防止することができる。その結果、毛羽の発現を抑制することができ、抗ピリング性に優れるという効果が奏される。さらに、鞘部を形成する繊維Bがランダムに繊維Aに巻き付いているため、軽量性にも優れるものとなる。さらにまた、空気層を別途設ける必要がないため、布帛を形成した場合に厚肉となることがないという効果も奏される。
なお、本発明において「無撚り」とは、長短複合紡績糸の鞘糸が繊維束として実質的に撚りが発現していない状態をいう。
本発明の長短複合紡績糸の製造方法について、以下に説明する。
なお、本発明の長短複合紡績糸を製造する方法は、実質的に無撚りの紡績糸を得ることを第一義とするものである。
まず、繊維A(長繊維糸条)と繊維B(短繊維糸条)を準備する。それぞれの繊維は、公知の製造方法により得ることができる。そして、両者を紡績し、つまり、芯部とされる繊維Aの周りに、鞘部とされる繊維Bを巻き付かせることにより両者を結束させ、本発明の長短複合紡績糸を得るのである。
繊維Aと繊維Bとを紡績する方法としては、得られる長短複合紡績糸を実質的に無撚りとすることを目的として、空気精紡機を用いることが必要である。
空気精紡機を用いることによる利点を以下に述べる。
空気精紡機は、通常、構造上の特性により、太物の繊維(例えば、主として綿20番手程度、つまり総繊度266dtex程度の繊維)を紡績するために用いられるものである。空気精紡機を用いると、空気流の旋回作用によって、芯部となる繊維A(長繊維)に、鞘部となる繊維B(短繊維)を結束させて、紡績糸を得ることができる。そして、適当なフィードローラーと糸道ガイドなどを有する通常の長繊維用の設備を使用し、紡績糸形成部手前において、芯部となる繊維Aを鞘部となる繊維Bの中心部に供給することにより、特別な装置を用いることなく、容易に、無撚りの紡績糸を得ることができる。一方、リング精紡機などの空気精紡機以外の精紡機を用いた場合は、得られる紡績糸に実撚りが発現してしまう。そのため、このような紡績糸を用いて得られた布帛は、蓄熱保温性が低下し、加えてピリングが多発するという問題がある。
空気流の旋回作用を利用する紡績方法は、各種のものが提案されているが、本発明の長短複合紡績糸を得るためには、紡績ノズルから噴出する高速空気流により生じる旋回力を用いる装置を用いることが好ましい。このような装置としては、Murata−Vortex−Spinner(村田機械社製)(MVS)などが挙げられる。本発明においては、得られる長短複合紡績糸の風合い、吸水性等の観点から、芯部を鞘部によってカバーする時のカバー率が良いことが好ましい。例えば、芯部の表面全体に対して、鞘部の短繊維の占有面積が50〜90%であることが好ましい。上述のMVSなどを用いた紡績方法によれば、上記のカバー率を容易に達成することができる。
本発明の長短複合紡績糸を紡績する際の加工速度は、上記カバー率の向上の観点から、150〜400m/分であることが好ましく、200〜350m/分であることがより好ましい。
上述のようにして得られる本発明の長短複合紡績糸の太さは、用途に適したものを適宜使用することができるが、得られる布帛の風合い、生地肉厚の観点から、綿番手換算で20〜80番手の紡績糸であることが好ましく、40〜60番手がより好ましい。また、デニール数で、66〜265デニールであることが好ましく、88〜133デニールがより好ましい。
上記のような長短複合紡績糸を構成繊維として用いることにより、本発明の布帛を得ることができる。本発明の布帛には、本発明の長短複合紡績糸以外の繊維が含まれていても良いが、風合い、物性の観点から、該長短複合紡績糸が50質量%以上含有されていることが好ましく、80質量%以上含有されていることがより好ましく、100質量%含有されていることがいっそう好ましい。50質量%未満であると、厚さが薄いにもかかわらず、高い蓄熱保温性を有し、かつ抗ピリング性、ソフトな風合い、吸水性および吸水拡散性に優れるという本発明の効果を達成できない場合がある。
また、本発明の布帛の目付は、風合い、着用感の観点から、50〜300g/mであることが好ましく、150〜250g/mであることがより好ましい。
このような布帛は、丸編、横編、経編、織物のいずれの形態であってもよい。また、該布帛には、必要に応じて、通常の精練、染色、樹脂加工などが施されていてもよい。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
本発明で用いられる評価方法を以下に示す。
(1)蓄熱保温性
実施例および比較例にて得られた布帛を20cm×20cmのサイズに裁断して試料とした。次いで、温度20℃、湿度65%の恒温恒湿の室内において、試料を断熱板に貼り、1.5mの距離から100Wの白色電球の光を照射し、赤外線センサー(日本電子株式会社製、「サーモビュアJTG−4200」)を用いて試料の表面温度を測定した。試料の表面温度が上昇しなくなった時点を熱的に平衡に達したと判断した。以下の基準で評価した。
◎:熱的平衡に達したときの試料の表面温度が、26℃以上である。
○:熱的平衡に達したときの試料の表面温度が、22℃以上26℃未満である。
×:熱的平衡に達したときの試料の表面温度が、22℃未満である。
(2)抗ピリング性
JIS L−1076 ICI形法(A法)に従って、5時間の摩擦操作後に測定した。以下の基準で評価した。
◎:等級判定が4級以上であった。
○:等級判定が3級であった。
×:等級判定が2級以下であった。
(3)風合い
ハンドリングテスト(官能評価)により、以下の3段階の基準にて評価した。
◎:ソフト感が優れている。
○:ソフト感が普通である。
×:ソフト感に劣っている。
(4)吸水性
JIS L−1907滴下法に従い、以下の基準で評価した。
◎:滴下法の試験結果が3秒以下である。
○:滴下法の試験結果が4〜10秒である。
×:滴下法の試験結果が11秒以上である。
(5)吸水拡散性
試料を平らな面に置き、ピペットで水0.1mlを0.5cmの高さから滴下した。適下から60秒後の拡散面積を測定し、以下の基準で評価した。
◎:拡散面積が300cm以上である。
○:拡散面積が200〜299cmである。
×:拡散面積が199cm以下である。
(6)軽量性
実施例および比較例にて得られた布帛を20cm×20cmのサイズに裁断した試料の標準状態(つまり、20℃、湿度65%の状態)での質量(g/m)を、n=10の平均値で算出し、以下の基準で評価した。
◎:質量が200g/m未満である。
○:質量が200〜300g/mである。
×:質量が300g/mを超える。
(7)紡績糸における毛羽の個数
実施例および比較例にて得られた長短複合紡績糸の毛羽の個数は、毛羽測定器F−INDEXTESUTA(敷島テクノス社製)を用い、ローラー速度30m/分、ゲージ3mmの条件下にて測定し、10m当たりの毛羽個数で表示した。なお、後述の比較例1においては、長短複合紡績糸ではなく通常のセミダルポリエステル系フィラメントを用いているため、毛羽の個数を評価していない。
(実施例1)
芯部に太陽光選択吸収型ポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(ユニチカ社製、商品名「ソーラーアルファ」)(33dtx/12f)(ポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とし、平均粒子径0.7μmの炭化ジルコニウムの微粒子を3質量%含有)を使用し、鞘部に溶剤紡糸系セルロース繊維のスライバー(レンチング社製、商品名「リヨセル」)(繊度:1.3dtx、繊維長:38mm)を使用した。
上記の太陽光選択吸収型ポリエチレンテレフタレートフィラメント糸および溶剤紡糸系セルロース繊維のスライバーを、ローラー方式のドラフト機構を有する空気精紡機(村田機械社製、「Murata−Vortex−Spinner」)に仕掛け、300m/分の紡績速度で、綿式番手で50番手、デニール数で106デニールの長短複合紡績糸を得た。この長短複合紡績糸における芯部と鞘部の質量比は、(芯部)/(鞘部)=30/70であった。また、実質的に無撚りであった。
この長短複合紡績糸を使用し、ダブルニット機(福原精機社製、「LPJ−H型」)を用い、38“28Gで、スムース編地(丸編地)を編成した。その後、得られた編地を常法により精錬した後、染色して仕上げ加工を行い、目付200g/mの布帛を得た。得られた布帛を評価に付した。その評価結果を表1に示す。
Figure 0005959165
(実施例2)
芯部と鞘部の比率を、(芯部)/(鞘部)=50/50(質量比)とすること以外は、実施例1と同様の方法で、長短複合紡績糸および布帛を作製し、評価に付した。その評価結果を表1に示す。
(実施例3)
芯部と鞘部の比率を、(芯部)/(鞘部)=10/90(質量比)とすること以外は、実施例1と同様の方法で、長短複合紡績糸および布帛を作製し、評価に付した。その評価結果を表1に示す。
(実施例4)
芯部と鞘部の比率を、(芯部)/(鞘部)=60/40(質量比)とすること以外は、実施例1と同様の方法で、長短複合紡績糸および布帛を作製し、評価に付した。その評価結果を表1に示す。
(比較例1)
長短複合紡績糸の代わりに、通常のセミダルポリエステル系フィラメント(ユニチカ社製、酸化チタンを0.4質量%含有)(84dtx/36f)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で布帛を作製し、評価に付した。その評価結果を表1に示す。
(比較例2)
長短複合紡績糸の代わりに、溶剤紡糸系セルロース繊維のみで構成された紡績糸(レンチング社製、商品名「リヨセル」)(英国式綿番手:50/1、デニール数:106デニール、撚り数:25T/inch)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で布帛を作製し、評価に付した。その評価結果を表1に示す。
(比較例3)
溶剤紡糸系セルロース繊維のスライバーに代えて、溶剤紡糸系セルロース繊維(レンチング社製、商品名「リヨセル」)のみで構成された紡績糸(英国式綿番手:50/1、撚係数K:3.8)とし、空気精紡機に代えて、リング紡績機(豊田自動織機社製、「RX230型」)を用いて、精紡段階で長繊維と短繊維との複合糸を得ること以外は、実施例1と同様の方法で布帛を作成し、評価に付した。その評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜4の長短複合紡績糸から得られた布帛は、厚さが薄いにもかかわらず、高い蓄熱保温性を有し、かつ抗ピリング性、ソフトな風合い、吸水性、吸水拡散性に優れるものであった。
比較例1で得られた布帛は、鞘部が溶剤紡糸系セルロース繊維を含まないフィラメントで構成されていたため、蓄熱保温性、風合い、吸水性および吸水拡散性において劣っていた。
比較例2で得られた布帛は、太陽光選択吸収型熱可塑性繊維を含まない紡績糸が用いられていたため、蓄熱保温性および抗ピリング性に劣っていた。
比較例3で得られた布帛は、実撚りを有する紡績糸を含む複合糸から得られたものであるため、抗ピリング性、毛羽感、毛羽数において劣っていた。また、軽量性に顕著に劣っていた。

Claims (4)

  1. 中空繊維ではない長繊維である太陽光選択吸収型熱可塑性繊維が芯部を構成し、該芯部の周囲に、短繊維である溶剤紡糸系セルロース繊維が巻きついて鞘部を形成することで、芯部と鞘部が空気精紡機により結束された長短複合結束紡績糸であって、芯部と鞘部との質量比が(芯部)/(鞘部)=10/90〜60/40であり、かつ実質的に無撚りであることを特徴とする長短複合結束紡績糸。
  2. 前記長短複合結束紡績糸が、綿番手換算で40〜80番手であることを特徴とする請求項1記載の長短複合結束紡績糸。
  3. 請求項1または請求項2記載の長短複合結束紡績糸を構成繊維として含むことを特徴とする布帛。
  4. 丸編、緯編、経編、織物のいずれかの形態であることを特徴とする請求項記載の布帛。
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