JP2015067927A - 吸水速乾性編地 - Google Patents

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孝典 尾崎
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Abstract

【課題】 優れた風合いを有し、吸水性及び速乾性を兼ね備えた吸水速乾性編地を提供する。
【解決手段】 綿からなる芯部繊維と、綿からなる鞘部繊維を有する複重層紡績糸で構成された吸水速乾性編地であり、前記複重層紡績糸は、撚係数が3.0〜5.5である前記芯部繊維を前記鞘部繊維により撚係数2.5〜4.0で同方向へ加撚したものであり、編地全体に対する綿の混率が85重量%以上である吸水速乾性編地。
【選択図】 図1

Description

本発明は、優れた風合いを有し、吸水性及び速乾性を兼ね備えた吸水速乾性編地に関する。
従来より、布帛に吸水性と速乾性を付与する技術として、種々の方法が行われている。
例えば、糸の段階で、綿やレーヨン等の吸水性に優れるセルロース系繊維と、速乾性に優れるポリエステル系繊維等の合成繊維とを混紡、交撚、二層構造等の手段で複合する方法や、編織の段階でセルロース系繊維とポリエステル系繊維とを交編織して複合させるという手段が広く用いられている。
具体的には、特許文献1に、芯部にポリエステルフィラメント、鞘部にセルロース系繊維とポリエステルフィラメントとの混繊繊維束を有する複合糸が開示されている。
また、特許文献2には、セルロース系繊維からなる紡績糸の表面にマルチフィラメント糸を紡績糸の撚り方向と同方向にカバーリングして撚り、さらに同方向に追撚した複合撚糸が開示されている。
一方で、セルロース系繊維は、優れた吸水性を有するために、汗等の水分を保持し易く、水分を蒸散させ難いという特性を有している。このため、特にスポーツを行う際や高温環境下で多量に発汗した場合に、ベトツキが増大して不快となり、ポリエステル系繊維等の合成繊維を混用した場合でも、ベトツキを充分に解消することはできなかった。
また、セルロース系繊維は水分の蒸散が遅いため、汗が冷えた場合に更に不快感が増大するという問題もあった。
更に、セルロース系繊維と複合化して用いる繊維として、一般的に使用されるポリエステル系繊維は、風合いが悪いという課題があり、複合化によって着用感が低下するという問題点があった。
特開平11−172539号公報 特開2006−291427号公報
本発明は、上記現状に鑑み、優れた風合いを有し、吸水性及び速乾性を兼ね備えた吸水速乾性編地を提供することを目的とする。
本発明は、綿からなる芯部繊維と、綿からなる鞘部繊維を有する複重層紡績糸で構成された吸水速乾性編地であり、前記複重層紡績糸は、撚係数が3.0〜5.5である前記芯部繊維を前記鞘部繊維により撚係数2.5〜4.0で同方向へ加撚したものであり、編地全体に対する綿の混率が85重量%以上である吸水速乾性編地である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、芯部繊維及び鞘部繊維が何れも綿からなる複重層紡績糸で構成された吸水速乾性編地において、芯部繊維及び複重層紡績糸の撚係数及び綿の混率を所定の範囲とすることで、綿を使用する場合の課題である速乾性の問題を改善し、かつ、綿が有する優れた風合いと吸水性を更に高めることが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の吸水速乾性編地は、綿からなる芯部繊維と、綿からなる鞘部繊維を有する複重層紡績糸で構成されるものである。
上記複重層紡績糸は、ポリエステル等の合成繊維を使用しないことから、優れた風合いを実現することができ、このような複重層紡績糸を用いた吸水速乾性編地は、着用感が極めて高いものとなる。
本発明では、上記芯部繊維の材質として綿を用いる。
また、上記芯部繊維としては紡績糸を用いることが好ましい。このように加撚された紡績糸を用いることで、速乾性を高めることができるという利点がある。
上記芯部繊維が紡績糸である場合、上記芯部繊維は、撚係数が3.0〜5.5である芯部繊維を用いることが必要であり、該撚係数は3.2〜5.0であることが好ましく、3.4〜5.0であることがより好ましい。また、上記芯部繊維の撚りの方向は、精紡時の撚りの方向と同方向であることが必要であり、Z方向であることが好ましい。
なお、上記芯部繊維の撚係数については、後述する上記複重層紡績糸の撚係数と同様の方法で算出することができる。
上記芯部繊維は、単糸繊度は特に限定されないが、0.3〜3.0dtexが好ましく、0.7〜2.0dtexがより好ましく、0.9〜1.5dtexがいっそう好ましい。上記単糸繊度を上述の範囲とすることにより、本発明の吸水速乾性編地を吸水性、速乾性、風合いにいっそう優れたものとすることができる。また、上記芯部繊維の繊維長は、衣料用として快適に着用できるとの観点から、15〜80mmが好ましく、20〜55mmがより好ましい。
上記鞘部繊維の材質は芯部繊維と同様に綿であるが、繊維の形態については、上記芯部繊維と同様のものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
特に、上記鞘部繊維としては、綿の粗糸をドラフトして得られる短繊維束を用いることが好ましい。上記鞘部繊維は、単糸繊度は特に限定されないが、0.3〜3.0dtexが好ましく、0.7〜2.0dtexがより好ましく、0.9〜1.5dtexがいっそう好ましい。
上記複重層紡績糸は、上記芯部繊維と上記鞘部繊維を撚り合わせて複重層紡績糸とする際に前述の撚係数が3.0〜5.5である芯部繊維を、前述の鞘部繊維により撚係数2.5〜4.0で同方向に加撚したものを用いることが必要である。なお、本発明の吸水速乾性編地においては、上記複重層紡績糸とした後の芯部繊維の撚係数が特定のものであることが重要であるが、該撚係数が実質的に測定できないものであるから、プロダクトバイプロセス形式での表現としている。よって、上記複重層紡績糸が上記プロセスを経たものと同等であれば、上記プロセスを経ないものであっても含まれるものである。
上記複重層紡績糸において、芯部繊維に鞘部繊維を撚り合わせる際に、芯部繊維に加える撚り方向は、芯部繊維の撚り方向と同方向とすることが必要であり、芯部繊維の撚り方向がS方向である場合、S方向に撚りを加え、芯部繊維の撚り方向がZ方向である場合、Z方向に撚りを加えることが好ましく、特に、共にZ方向とすることが好ましい。
これにより、芯部繊維にさらに同方向に撚りが加えられ、最終的に強撚の撚りが加えられた複重層紡績糸が得られる。その結果、綿からなる芯部繊維を用いた場合でも、高い速乾性を付与することができる。
さらには、より良好な速乾性の観点から、芯部繊維の撚係数と後述する加撚時の撚係数の和が5.7〜9.0であることが好ましく、6.2〜8.7がより好ましく、6.7〜8.3がいっそう好ましい。
本発明の吸水速乾性編地を構成する複重層紡績糸は、加撚時の撚係数の下限が2.5、上限が4.0である。上記複重層紡績糸の撚係数がこの範囲内である場合、柔らかな風合いが得られる。上記複重層紡績糸の撚係数が2.5未満であると、該複重層紡績糸を構成する繊維間に滑脱現象が起こり易く、吸水速乾性編地とした場合にピリングが発生する。上記複重層紡績糸の撚係数が4.0を超えると、風合いが硬くなり、トルクも大きくなるので製編性に支障を来たす。上記複重層紡績糸の撚係数の好ましい下限は2.8、好ましい上限は3.9である。
なお、上記複重層紡績糸の撚係数は、下記式(1)を用いて算出することができる。
Figure 2015067927
上記複重層紡績糸において、上記芯部繊維と鞘部繊維との質量比は、20/80〜50/50であることが好ましい。上記質量比が20/80より芯部繊維が少ないものであると、速乾性が充分に得られないことがあり、50/50よりも芯部繊維が多いと、芯部繊維の被覆率の低下を招くことがある。また、芯部繊維が強撚糸である場合、鞘部繊維にも風合いが影響し、風合いが硬くなることがある。
上記複重層紡績糸を作製する方法としては、例えば、綿からなる芯部繊維に、綿からなる鞘部繊維を重ね合わせて加撚する方法が挙げられる。具体的には、まず、鞘部繊維となる粗糸を精紡機に導入して短繊維束とした後、セカンドローラーとフロントローラーとの間のドラフト比を特定範囲としながら当該短繊維束をフロントローラーへ供給し、それと同時に、芯部繊維となる紡績糸を同じフロントローラーへ供給し、両者を重ね合わせる。そして、上記紡績糸と同方向に加撚することで上記複重層紡績糸を得ることができる。
図1に、上記複重層紡績糸を作製する方法の一例を示す。
図1に示すリング精紡機に供給された粗糸1は、バックローラー2、2′、エプロン3、3′及びセカンドローラー4、4′を介してドラフトされ、短繊維束8となる。そして、短繊維束8を、弛緩した状態でフロントローラー5、5′に供給する。
なお、上記ドラフトを行う際のドラフト比は、0.95〜1.05とすることが好ましい。
一方、紡績糸6は、プレスローラー7、7′を介してフロントローラー5、5′へ供給される。その後、フロントローラー5、5′において、内側に紡績糸6が、外側に短繊維束8が配されるように両者を重ね合わせる。紡績糸6と短繊維束8とを重ね合わせるにあたり、特別なものは必要なく、短繊維束8が弛緩した状態であるのに対し、紡績糸6が突っ張った状態であるため、必然的に芯部繊維として紡績糸6が、鞘部繊維として短繊維束8が配される。
紡績糸6と短繊維束8とを重ね合わせた後は、スネルワイヤーガイド9を通過させ、スピンドル11とリングトラベラー10とにより加撚して複重層紡績糸12を得る。得られた複重層紡績糸は、通常精紡管糸として巻き取られる。
本発明の吸水速乾性編地は、上記複重層紡績糸から構成されるものである。
本発明の吸水速乾性編地においては、編地全体に対する綿の混率が85重量%以上である。上記綿の混率が85重量%未満であると、吸水性が低下するという問題が起こる。上記綿の混率の好ましい下限は90重量%である。また、上記綿の混率の好ましい上限は100重量%である。
本発明の吸水速乾性編地の密度は、編組織により変わるが、コース数が20〜100本/inchであることが好ましく、ウェール数が10〜80/inchであることが好ましい。
本発明の吸水速乾性編地の厚みは、特に限定されないが、0.3〜6.0mmであることが好ましい。
また、本発明の吸水速乾性編地の目付は、50〜500g/mであることが好ましい。
本発明の吸水速乾性編地は、上記複重層紡績糸を所定の編組織に編成することで製造することができる。
本発明の吸水速乾性編地が綿以外の繊維を含有する場合に、吸水速乾性編地を製造する方法としては、例えば、複重層紡績糸と他の繊維とを混用して編成する方法、上記複重層紡績糸と、上記複重層紡績糸以外の他の繊維とを混繊した混繊糸条を用いる方法等が挙げられる。
本発明の吸水速乾性編地の組織としては、特に限定されず、例えば、天竺、カノコ、フライス、スムース、インターロック等の編地組織を幅広く採用できるが、天竺編地が好ましく、特に、複重層紡績糸と他の繊維とを用いて編成する場合は、プレーティング編でベア天竺編地を編成することが好ましい。
また、上記複重層紡績糸と、上記複重層紡績糸以外の他の繊維とを混繊して混繊糸条を得る方法については、特に限定されず、エアー混繊、合撚、カバーリング等の任意の方法を用いることができる。
上記複重層紡績糸と混用される他の繊維としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリウレタン等の合成繊維や、ビスコースレーヨン、キュプラ、ハイウェットモジュラスレーヨン、ポリノジック等の再生セルロース繊維、絹、羊毛、兎毛、駱駝毛等の天然ポリペプチド繊維、亜麻、苧麻等の天然セルロース繊維等が挙げられる。
なかでも、ポリウレタンからなる弾性繊維が好ましい。
本発明の吸水速乾性編地は、JIS L 1907に準拠した方法で測定される吸水性(滴下法)が12秒未満、かつ、吸水性(バイレック法)によるタテ、ヨコの平均吸い上げ高さが80mm/10分以上であることが好ましい。吸水性が上記範囲である場合、充分な吸水性を有しているといえる。上記吸水性(滴下法)の好ましい下限は特に限定されないが0.01秒である。また、吸水性(バイレック法)によるタテ、ヨコの平均吸い上げ高さの好ましい上限は特に限定されないが、500mm/10分である。
なお、上記吸水性(滴下法)は、JIS L 1907:2004(滴下法)に記載された方法で、試料に水滴を滴下した後,消失するまでの時間(秒)を測定したものである。
また、上記吸水性(バイレック法)は、JIS L 1907:2004(バイレック法)に記載された方法で、タテ、ヨコの平均吸い上げ高さを測定したものである。
本発明の吸水速乾性編地は、残留水分率が10重量%に至るまでの時間(拡散乾燥速度)が75分以下であることが好ましい。上記拡散乾燥速度が上記範囲である場合、充分な速乾性を有しているといえる。上記拡散乾燥速度の好ましい下限は特に限定されないが5分である。
なお、上記拡散乾燥速度は、試料に所定量の水を滴下した後、水を含ませた試料を吊干しし、経時的重量変化を計測することで測定することができる。
本発明の吸水速乾性編地は、吸水性及び速乾性を兼ね備えて機能的に優れるだけでなく、柔らかな風合いを有し着用感が良いことから、多岐に渡る用途に応用することができる。具体例としては、例えば、肌着、下着、ベビー服、婦人服、スポーツウエア、カジュアルウエア、作業服、事務服、学生服、業務用エプロン、寝装具、タオル、バスマット等が挙げられる。
本発明によれば、高い吸水性と速乾性を兼ね備えた吸水速乾性編地を提供できる。また、優れた風合いを有し、着用感が良いことから、多岐に渡る用途に応用することが可能な吸水速乾性編地を提供することができる。
本発明の吸水速乾性編地を構成する複重層紡績糸の製造方法の一例を示す模式図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
粗糸1として、単糸繊度1.15dtexの綿短繊維からなる綿粗糸160gr/30ydを図1に示すリング精紡機に供給し、粗糸1をバックローラー2、2’エプロン3、3’及びセカンドローラー4、4’を介して、50.4倍にドラフトして短繊維束8とした。
次いで、該短繊維束8を弛緩した状態でフロントローラー5、5’に供給した。セカンドローラー4、4’の表面速度は15.95m/分であり、フロントローラー5、5’の表面速度は、セカンドローラー4、4’とフロントローラー5、5’との間のドラフト比が0.980となるように、15.63m/分に設定した。
一方、紡績糸6として、単糸繊度1.15dtexの綿短繊維からなり、撚方向がZ方向で撚係数が3.80の木綿100%リング紡績糸110S(英式綿番手)を、プレスローラー7、7’を介してフロントローラー5、5’に供給した。そして、該フロントローラーにおいて紡績糸6と短繊維束8とを重ね合わせた後、スピンドル回転数8000rpmにて、撚方向Z方向、撚数21.05回/2.54cm(撚係数3.33)で加撚し、40S(英式綿番手)の複重層紡績糸12を得た。
なお、この複重層紡績糸における芯部繊維、鞘部繊維の質量比率は、芯部繊維/鞘部繊維=27/73であった。
得られた複重層紡績糸40Sと、ポリウレタン弾性繊維22Tを用いて、釜径34インチ、28ゲージ、総針本数2976本、口数102口のベア天竺丸編機で、プレーティングによるベア天竺組織の編地を編成した。染色加工仕上は、プレセット―精練・漂白―仕上セットの工程で行なった。得られた編地は、巾165cm、目付け165g/m、密度61コース、41ウェールであった。なお、得られた編地の総合混用率は、綿/ポリウレタン=95重量%/5重量%であった。
(実施例2)
紡績糸6(芯部繊維)として、表1に示す撚係数、撚方向の綿紡績糸を使用し、表1に示す撚係数、撚方向で加撚することで、複重層紡績糸12(質量比:芯部繊維/鞘部繊維=27/73)を得た以外は実施例1と同様にして、ベア天竺組織の編地を得た。得られた編地は、巾165cm、目付け165g/m、密度61コース、41ウェールであった。
(実施例3)
紡績糸6(芯部繊維)として、表1に示す撚係数、撚方向の綿紡績糸を使用し、表1に示す撚係数、撚方向で加撚することで、複重層紡績糸12(質量比:芯部繊維/鞘部繊維=27/73)を得た以外は実施例1と同様にして、ベア天竺組織の編地を得た。得られた編地は、巾165cm、目付け165g/m、密度61コース、41ウェールであった。
(比較例1)
単糸繊度1.15dtexの綿短繊維からなり、撚方向がZ方向で撚係数が2.90の木綿100%リング紡績糸40S(英式綿番手)と、ポリウレタン弾性繊維22Tを用いて、実施例1と同様の丸編機で、ベア天竺組織の編地を編成した。染色加工仕上は、実施例1と同様とした。得られた編地は、巾165cm、目付け165g/m、密度61コース、41ウェールであった。なお、編地の総合混用率は、綿/ポリウレタン=95重量%/5重量%であった。
(比較例2)
単糸繊度1.15dtexの綿短繊維からなり、撚方向がZ方向で撚係数が6.80の木綿100%リング紡績糸80/2S(英式綿番手)と、ポリウレタン弾性繊維22Tを用いて、実施例1と同様の丸編機で、ベア天竺組織の編地を編成した。染色加工仕上は、実施例1と同様とした。得られた編地は、巾165cm、目付け165g/m、密度61コース、41ウェールであった。なお、編地の総合混用率は、綿/ポリウレタン=95重量%/5重量%であった。
(比較例3)
紡績糸6(芯部繊維)として、実施例1と同様の綿紡績糸を使用し、表1に示す撚係数、撚方向で加撚することで、複重層紡績糸12(質量比:芯部繊維/鞘部繊維=27/73)を得た以外は実施例1と同様にして、ベア天竺組織の編地を得た。得られた編地は、巾165cm、目付け165g/m、密度61コース、41ウェールであった。
(比較例4)
実施例1と同様の方法で得られた複重層紡績糸40Sと、ポリエステル繊維とを編地の総合混用率(綿/ポリエステル)が60重量%/40重量%となるように、ベア天竺丸編機で、プレーティングによるベア天竺組織の編地を編成した。染色加工仕上は、実施例1と同様とした。得られた編地は、巾165cm、目付け165g/m、密度61コース、41ウェールであった。
(比較例5)
紡績糸6(芯部繊維)として、単糸繊度1.15dtexのポリエステル繊維からなり、撚方向がZ方向で撚係数が3.80のリング紡績糸を用いた以外は実施例1と同様にして、複重層紡績糸12(質量比:芯部繊維/鞘部繊維=27/73)及びベア天竺組織の編地を得た。得られた編地は、巾165cm、目付け165g/m、密度61コース、41ウェールであった。
<評価>
実施例及び比較例で得られた編地について以下の評価を行った。
(1)吸水性(滴下法)
JIS L 1907:2004(滴下法)に準拠した方法で、編地に水滴を滴下してから、消失するまでの時間(秒)を測定した。
(2)吸水性(バイレック法)
JIS L 1907:2004(バイレック法)に準拠した方法で、タテ、ヨコの平均吸い上げ高さを測定した。
(3)拡散乾燥速度
得られた編地からなる試料に水を0.6mL滴下した。その後、水を含ませた試料を吊干して、経時的重量変化を測定することで、残留水分率が10重量%に至るまでの時間を測定した。
(4)風合い
得られた編地について、ハンドリングテストにより、ソフト感、肌触りを総合的に評価し、以下の3段階にて評価した。
○:ソフトで肌触りが良い。
△:ソフト感、肌触りがやや悪い。
×:硬く肌触りが悪い。
Figure 2015067927
表1より明らかなように、実施例1〜3で得られた編地は、吸水性(滴下法及びバイレック法)、拡散乾燥速度において優れ、かつ、風合いも良いものであった。
これに対して、比較例1、3で得られた編地は、速乾性に劣るものとなっていた。また、比較例2、4、5で得られた編地は、吸水性(滴下法及びバイレック法)や拡散乾燥速度が優れているものの、風合いが悪いものとなっていた。
本発明によれば、優れた風合いを有し、吸水性及び速乾性を兼ね備えた吸水速乾性編地を提供できる。
1 粗糸
2、2′ バックローラー
3、3′ エプロン
4、4′ セカンドローラー
5、5′ フロントローラー
6 紡績糸
7、7′ プレスローラー
8 短繊維束
9 スネルワイヤーガイド
10 リングトラベラー
11 スピンドル
12 複重層紡績糸

Claims (4)

  1. 綿からなる芯部繊維と、綿からなる鞘部繊維を有する複重層紡績糸で構成された吸水速乾性編地であり、
    前記複重層紡績糸は、撚係数が3.0〜5.5である前記芯部繊維を前記鞘部繊維により撚係数2.5〜4.0で同方向へ加撚したものであり、
    編地全体に対する綿の混率が85重量%以上である
    ことを特徴とする吸水速乾性編地。
  2. 芯部繊維と鞘部繊維との質量比が、20/80〜50/50であることを特徴とする請求項1記載の吸水速乾性編地。
  3. JIS L 1907に準拠した方法で測定される吸水性(滴下法)が12秒未満、かつ、吸水性(バイレック法)によるタテ、ヨコの平均吸い上げ高さが80mm/10min.以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の吸水速乾性編地。
  4. 残留水分率が10重量%に至るまでの時間が75分以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の吸水速乾性編地。
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