JP4669546B2 - 杢調ポリエステル織編物 - Google Patents

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本発明は、衣料用、特にスポーツ用途に使用される杢調ポリエステル織編物に関するものであり、更に詳しくは、スポーツに要求される吸汗速乾性を有しつつ、洗濯耐久性に要求される抗ピリング性や、形態安定性に優れて、且つスパンライクな風合いと明瞭な杢調を有し、特にシャツ・スウェットに好適に用いられる杢調ポリエステル織編物に関するものである。
ポリエステル織編物によるスポーツシャツにおいて、吸汗速乾性を有しつつ、洗濯耐久性に要求される抗ピリング性や、形態安定性に優れて、且つ天然繊維のような膨らみのあるスパンライクな風合いと明瞭な杢調を有する生地が要望されている。
前記杢調を付与する手段としては、例えば、特許文献1には、カチオン染料難染性潜在捲縮性ポリエステル長繊維とカチオン染料易染性潜在捲縮性ポリエステル長繊維とが質量比で30:70〜70:30の混率で混繊されており、沸水処理後の捲縮率が50%以上、弾性率が65%以上の捲縮性能を有するポリエステル混繊糸を用いることが開示されている。
前記ポリエステル混繊糸を用いることにより、染色工程でカチオン染料のみ、或いはカチオン染料と分散染料により染め分けることで杢調を付与することが可能である。また、前記ポリエステル混繊糸を用いて得られた織編物は、優れた吸汗速乾性を有しつつ、洗濯耐久性に要求される抗ピリング性や、形態安定性に優れるという利点もある。しかしながら、2種共に長繊維を用いるため、膨らみのあるスパンライクな風合いを得ることが困難であった。
一方、2種のポリエステル短繊維のスライバー束を染め分け、練篠工程で合せて紡績した杢糸も一般的に市販されているが、表面層に該紡績糸を配置するように交編織した織編物は、JIS L 1076のA法に準拠したピリング試験において判定した等級が1.0〜2.0級であり、抗ピリング性に劣るものであった。
抗ピリング性を向上させるために、抗ピルタイプのポリエステル単繊維を用いる手段があるが、抗ピルタイプのポリエステル単繊維を用いた紡績糸や、その紡績糸を使った生地では、その強力が弱くなるという問題があった。
また、織編物の表面を樹脂で被覆する手法も提案されているが、この方法では、織編物の風合いが粗硬になり、且つ抗ピリング性も0.5〜1.0級程度しか向上することができないため、一般スポーツシャツに要求されるアパレル基準に合格することが同様に困難であった。
抗ピリング性を向上させるほかの手段としては、例えば、特許文献2には、紡績糸が多層構造となっており、外側部分に結節強度2.7cN/dtex以下の短繊維が偏在し、内側部分に結節強度3.1cN/dtex以上の短繊維が偏在した紡績糸が開示されている。しかしながら、この方法においては、結節強度の低い短繊維を外側に均一に配置するため、紡績糸自体の糸強度が低下したり、生産中の工程管理を厳しく行う必要があった。
また、染色工程の熱処理によって結節強力を低下させ、繊維に適度の「もろさ」を付与する方法が提案されている。例えば、特許文献3には、ポリエステルの製造工程でリン化合物を添加することによってポリエステル中に易加水分解性のリン酸エチレングリコールエステル単位を導入し、溶融紡糸して延伸した後、190℃以上でポリエステルの融点より10℃低い温度以下の温度で0.4秒以上熱処理することにより、潜在抗ピリング性ポリエステル繊維を製造し、得られた潜在抗ピリング性ポリエステル繊維を後の染色工程で熱処理することによって、抗ピリング性のポリエステル繊維を製造することが開示されている。
前記抗ピリング性のポリエステル繊維からなる紡績糸を表面層に配置するように交編織した織編物は、JIS L 1076のA法に準拠したピリング試験において判定した等級が3.0〜4.0級であり、抗ピリング性に優れるものであった。しかしながら、原糸の強力が低下し、織編物を構成する糸や組織の構成によっては一般スポーツシャツに要求される破裂強力を満足することができない場合もある。また、染色工程中の加水分解の制御が困難になるため、突発的な破裂強力低下の発生、または色直し回数の制約により、生産ロスが増加しやすくなる。なお、前記繊維にカチオン染料易染性を付与する場合、更に原糸の強力が低下し、一般スポーツシャツに要求されるアパレル基準に合格することが極めて困難になった。
特開2003−336136号公報 特開2001−192943号公報 特開昭63−135517号公報
本発明は、かかる従来技術の問題を背景になされたものであり、より詳しくは、衣料用、特にスポーツ用途に使用され、吸汗速乾性を有しつつ、洗濯耐久性に要求される抗ピリング性、形態安定性に優れて、且つ天然繊維のような膨らみのあるスパンライクな風合いと明瞭な杢調を有するポリエステル織編物を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の課題を鋭意検討した結果、遂に本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の杢調ポリエステル織物は、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bからなる複合紡績糸が少なくとも表面層に配置されてなる単層または二層以上の杢調織編物であって、前記複合紡績糸は、(1)カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとが質量比で10:90〜70:30の混率で構成され、(2)外層部を構成する繊維束の撚角度が内層部を構成する繊維束の撚角度よりも大きい多層構造であり、且つ(3)該複合紡績糸を構成するカチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとの少なくとも一方が異型断面を有することを特徴とするものである。
本発明のポリエステル織編物は、ポリエステル短繊維を用いるためスパンライクな風合いを持っている。また、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとが質量比で10:90〜70:30の混率で構成する複合紡績糸が少なくとも表面層に配置されるため、染色により明瞭な杢調を付与することもでき、同時に抗ピリング性が向上する。
本発明では、複合紡績糸の外層部を構成する繊維束が内層部を構成する繊維束より大きな撚角度となっていることで、各ポリエステル短繊維がしっかりと結束され、家庭洗濯等で摩擦を受けても糸表面から短繊維が解け難いと考えている。また、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとの少なくとも一方が異型断面を有するため、各ポリエステル短繊維が引っかかり合って、更に強く結束されていると考えている。従って、その強い結束により毛羽の発生が抑えられるため、本発明のポリエステル織編物は抗ピリング性に極めて優れている。さらに、前記構造の複合紡績糸は、外層部の短繊維の交絡が高められたため、内部に保持される水分の表面への移行性も高まり乾燥性が促進され、しかも異型断面自体も水分拡散を促進する効果がある。従って、本発明のポリエステル織編物は吸汗速乾性にも優れている。
前記異型断面はY字型断面であることが好ましく、前記異型断面の異型度が1.5〜4.0であることがより好ましい。
また、本発明のポリエステル織編物は、少なくとも片面の表面層が天竺組織であることが好ましく、アルカリ処理を経て製造されるものであることがより好ましい。
本発明のポリエステル織編物は、吸汗速乾性を有しつつ、洗濯耐久性に要求される抗ピリング性や、形態安定性に優れており、且つ天然繊維のような膨らみのあるスパンライクな風合いと明瞭な杢調を有するものであり、衣料用、特にスポーツ用途に好適に用いられる。
本発明の杢調ポリエステル織物は、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bからなる複合紡績糸が少なくとも表面層に配置されてなる単層または二層以上の杢調織編物であって、前記複合紡績糸は、(1)カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとが質量比で10:90〜70:30の混率で構成され、(2)外層部を構成する繊維束の撚角度が内層部を構成する繊維束の撚角度よりも大きい多層構造であり、且つ(3)該複合紡績糸を構成するカチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとの少なくとも一方が異型断面を有することを特徴とする。
まず、本発明で用いられる複合紡績糸について具体的に説明する。
本発明で用いられる複合紡績糸とは、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとからものである。ポリエステル短繊維からなる複合紡績糸を用いることにより、天然繊維のような膨らみのあるスパンライクな織編物が得られる。
前記ポリエステル短繊維を構成するポリエステル原料としては、特に限定されず、例えば、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエチレンテレフタレートが汎用されるが、これ以外にポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、前記ポリエステル短繊維の原料に、必要に応じて艶消し剤、難燃剤、抗酸化剤等の無機微粒子や有機化合物を添加することもできる。
本発明で用いられるカチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aは、カチオン染料に対して染着性を付与させるために、例えば、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を前記のポリエステルに共重合させた共重合ポリエステルを用いることが好ましい。5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合比率は、ジカルボン酸成分に対して、0.5〜5.0mol%であることが好ましく、0.5〜4.0mol%であることがより好ましく、1.5〜3.0mol%であることがさらに好ましい。5−ナトリウムスルホイソフタル酸を前記範囲に共重合することにより、カチオン染料を含む染料で織編物を染色した際に明瞭な杢調を付与することができる。一方、共重合した5−ナトリウムスルホイソフタル酸が0.5mol%未満である場合は、カチオン染料で染色時の染色性が不十分となり、複合紡績糸及び該複合紡績糸を用いた織編物で明瞭な杢調を付与することが困難となる。また、5.0mol%より大きい場合は、糸質均一なものを製造することが難しくなり、均染性や製糸性が悪くなる。なお、カチオン染料に対する易染性を向上させるための共重合成分としては、前記5−ナトリウムスルホイソフタル酸のほかに、例えば、SBA(m−ナトリウムスルホ安息香酸)やGDM(ネオペンチルグリコールエステルオキサイド付加物成分)などが挙げられる。
前記カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aの単糸繊度は、1.0dtex〜3.0dtexであることが好ましく、より好ましくは1.0dtex〜2.0dtexである。カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aの単糸繊度を前記範囲にすることにより、生産効率や品質が向上すると共に、スパンライクな風合いを有する織編物が得られる。一方、単糸繊度が1.0dtexよりも小さいと、原糸の可紡性が困難になるため、生産効率や品質が著しく悪化する。また、単糸繊度が3.0dtexよりも大きいと、得られる織編物が硬くなり、スパンライクな風合いが得られにくくなる。
本発明で用いられるカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bは、カチオン染料に対して難染性を維持することが必要であり、従って、前記5−ナトリウムスルホイソフタル酸のような染着性付与成分を共重合しないものを用いることが好ましいが、カチオン染料での異色染めに影響が出ない範囲で第3成分を共重合したものを用いてもかまわない。
前記カチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bの単糸繊度は、0.5dtex〜3.0dtexであることが好ましく、0.5dtex〜2.0dtexであることがより好ましい。カチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bの単糸繊度を前記範囲にすることにより、生産効率や品質が向上すると共に、スパンライクな風合いを有する織編物が得られる。一方、単糸繊度が0.5dtexよりも小さいと、原糸の可紡性が困難になるため、生産効率や品質が著しく悪化する。また、単糸繊度が3.0dtexよりも大きいと、得られる織編物が硬くなり、スパンライクな風合いが得られにくくなる。
また、前記カチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bは、異繊度、フルダル/セミダル(艶消し剤の含有量による糸の光沢度の違い)等であっても良く、更にそれらの2〜3種を混紡させても良い。
前記カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとの少なくとも一方は異型断面を有することが好ましい。異型断面を有するポリエステル短繊維を用いることにより、抗ピリング性および吸汗速乾性に極めて優れる織編物を製造することが可能である。
前記異型断面の異型度は1.5以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましい。他方、上限については、4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましい。前記範囲の異型度を有するカチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aまたは/およびカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bを用いることにより、抗ピリング性に優れた織編物が得られる。これは、各ポリエステル短繊維が引っ掛かり合って強く結束され、その強い結束により毛羽の発生が抑えられるからであると考えられる。一方、異型度が1.5未満であると、複合紡績糸から繊維が引き出されやすいため、ピリングが発生しやすくなる。これは繊維同士の引っ掛かりが少ないためと推定される。また、異型度が4.0より大きいと、同じくピリングが発生しやすくなる。これについては、繊維断面の突部が細くなって柔らかくなることで繊維同士の引っ掛かりが悪くなるためと推定される。
また、前記異型断面の断面形状は、特に限定されず、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形、Y字型、W字型、十字型等が用いられる。その中、Y字型、W字型、十字型等引っ掛かりが強い凹溝を有する断面形状が好適に用いられる。これらの中では、吸汗拡散効果に極めて優れているY字型断面が特に好適に用いられる。
本発明者らは、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bの少なくともどちらか一方を異型断面として、さらにカチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aが10〜70質量%の範囲にあるときに、優れた抗ピリング性が得られることを見出した。
さらに、本発明で用いられる複合紡績糸を、前記カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとが質量比で10:90〜70:30の混率で構成することにより、優れた抗ピリング性が得られるだけでなく、明瞭な杢調も表現することができる。
特に、オートミールグレー杢のような淡色系の杢糸表現をする場合は、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとの質量比を10:90〜40:60とすることが好ましい。カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとの質量比を前記範囲にすることにより、抗ピリング性が向上し、尚かつ明瞭な淡色系の杢調を付与することができる。一方、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aが10質量%未満である場合、或いは40質量%より大きい場合、染色工程でカチオン染料のみ、或いはカチオン染料と分散染料により染め分けても、カチオン染料での染色杢が弱すぎたり強すぎたりして明瞭な淡色系の杢調を付与することが困難である。
また、チャコールグレー杢のような濃色系の杢糸表現をする場合は、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとの質量比を40:60〜70:30とすることが好ましい。カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとの質量比を前記範囲にすることにより、明瞭な濃色系の杢調を付与することができる。一方、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aが40質量%未満である場合、或いは70質量%より大きい場合、染色工程でカチオン染料のみ、或いはカチオン染料と分散染料により染め分けても、カチオン染料での染色杢が弱すぎたり強すぎたりして明瞭な濃色系の杢調を付与することが困難である。
さらに、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aの混率が70質量%より大きい場合、複合紡績糸を織編物の表面層に配置すると、該カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aが織編物の表面に多く存在することになるので、次の様な問題が生じる。即ち、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aは、カチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bに比べて結節強度が低いため、後記する旋回気流を用いた紡績装置により糸の表面を強く結束しても、製編・加工工程で揉まれることで、表面の低結節強度の短繊維が切断されて毛羽立ちやすくなる。その結果、切断された短繊維が高い結節強度を有する繊維に絡み合って、ピルになりやすくなる。従来のリング紡績装置により作製した紡績糸の場合、カチオン染料易染性ポリエステルのような結節強度が低い繊維を用いて、抗ピリング性を向上させた商品が提案されている。しかしながら、本発明者らは前述のように、旋回気流を用いた紡績装置により作製した紡績糸の場合には、結節強度が低い短繊維を用いると逆に抗ピリング性が悪くなることを知見したのである。
前記複合紡績糸は、外層部を構成する繊維束の撚角度が内層部を構成する繊維束の撚角度より大きい多層構造であることが好ましい。糸断面方向において撚角度が変化しない従来の紡績糸は、毛羽が発生しやすい。この理由は、摩擦等の外力によって撚りの緩みが起りやすく、緩んだところに毛羽が発生し易いためと考えている。さらに、毛羽が多く発生すると、毛羽同士が絡みあってピリングに成長する。
本発明では、外層部を構成する繊維束の撚角度を内層部より大きくすることで、複合紡績糸の表面で強く結束されているため、家庭洗濯等で摩擦を受けても糸表面から短繊維が解け難く、毛羽が発生し難い。その結果、抗ピリング性に優れる織編物を製造することができる。また、前記構造の複合紡績糸は、外層部の短繊維の交絡が高められるため、内部に保持される水分の表面への移行性も高まり乾燥性が促進され、従来の裏毛やダブルフェイスのような肉厚な生地であっても吸汗速乾性を実現することが可能となる。さらに、内層側が小さな撚角度となっているため、糸の長さ方向に対する強度が向上し、紡績糸の風合いも良好になる。
撚角度としては、内層部で25度以下であることが好ましく、外層部で30度以上であることが好ましい。ここでいう撚角度(α)とは、糸の長さ方向に平行な直線と糸を構成する単繊維との傾きを測定したものであり(図1を参照)、糸の長さ方向に対して直角のときを最大値(90度)とし、糸の長さ方向と同一のときを最小値(0度)とする。本発明で用いられる複合紡績糸は、結束が強く、施撚と逆方向に解撚しても短繊維に分離しにくい。そのため、内層部の撚角度を実測するに当たって、顕微鏡で観察しながら、外層部の繊維を切り出し除去した後、内層部を露出させて測定した。
前記複合紡績糸の多層構造としては、外層部を構成する繊維束の撚角度が内層部を構成する繊維束の撚角度より大きければ、特に限定されず、例えば、二層であっても良く、三層以上であっても良い。さらに、層状とならずに繊維の分布が徐々に異なっていく構造であっても良い。
前記構造の複合紡績糸は、例えば、特開平9−105028号公報の旋回気流を利用した紡績装置(旋回気流式紡績装置)によって製造することができる。このような旋回気流を用いた紡績とは、ドラフト装置のニップ点を通過した繊維に旋回気流を吹き付け、これにより繊維の端部をスライバーから分離して気流によって旋回させ、実撚を加えていくという手法である。
前記製造工程において、前記カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bを混紡して形成したスライバーの平均繊維長γが、旋回気流式紡績装置における繊維のニップ点から中空スピンドルの先端までの距離Hに対して、γ>Hの関係を有することが好ましい。γ>Hの関係を満たしている場合は、外層部の短繊維の交絡が強化され、糸切れが低減し、糸質と単糸強力が向上する。また、外層部の短繊維の交絡が強化されるため、得られる複合紡績糸が耐摩耗性に優れて、抗ピリング性も向上する。一方、γ≦Hの場合、旋回気流式紡績装置での紡績中に外層部の短繊維の脱落が多くなり、糸切れによりニューマ屑が増えたり、糸質が悪くなり、さらに単糸強力も低下する場合がある。
次に、本発明のポリエステル織編物について具体的に説明する。
本発明のポリエステル織編物は、前記複合紡績糸が少なくとも表面層に配置されてなるものである。
前記ポリエステル織編物は、単層または二層以上の構造を有することが好ましい。
前記織編物の組織は、特に限定されず、例えば、編地なら天竺、スムース、フライス、裏毛組織、カノコ、ピケ、メッシュ、ブリスターなどが挙げられる。織物の場合は、平織、綾織、朱子織や、これを組合せた柄織物でもよく、二重織としてもよい。なお、少なくとも肌と接する側の表面層を天竺組織や平織等のフラットな表面構造にすると、肌との接触面積が大きいため汗を吸いやすく、さらに吸った水分を拡散しやすくなるため好ましい。
前記ポリエステル織編物は、アルカリ処理を経て製造することも好ましく行える。織編物にアルカリ処理を行うことにより抗ピリング性を効果的に発現させることができる。これは、アルカリ処理によりポリエステル短繊維の結節強力を好適レベルの低さに制御できるため、いったん形成したピルが脱落しやすくなるためと考えられる。
アルカリ処理による織編物の減量率は、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aの混率にもよるが、5〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。織編物の減量率を前記範囲とすることにより、優れた抗ピリング効果が得られる。一方、減量率が3質量%未満であると、アルカリ処理による抗ピリング性の効果が得られにくい。また、減量率が30質量%を超えると、織編物が柔らかくなりすぎて所望の風合いが得られなく、さらに繊維の断面積が減少しすぎて、複合紡績糸の繊維同士間での結束力が低下して逆にピルが発生しやすくなる。
前記ポリエステル織編物に杢調を付与する手段としては、前記複合紡績糸を表面層に配置するように交編織した後、染色工程でカチオン染料のみ、或いはカチオン染料と分散染料により染め分けて杢調を付与することができる。また、糸染工程でカチオン染料のみ、或いはカチオン染料と分散染料により染め分けて複合紡績糸に杢調を付与した後、この杢調を付与した前記複合紡績糸を表面層に配置するように交編織して織編物を作製することもできる。
本発明のポリエステル織編物は、JIS L 1076のA法に準拠したピリング試験において判定した抗ピリング性が4.0級以上であることが好ましい。抗ピリング性を4.0級以上とすることにより、一般スポーツシャツに要求されるアパレル基準に合格することができる。一方、4.0級未満の場合、一般スポーツシャツに要求されるアパレル基準に合格することが困難となり、適切な商品を提供することができない。
本発明のポリエステル織編物は、温度20℃、湿度65%RHの環境下での乾燥試験において、残留水分率が10%質量以下となる時間が40分以下であることが好ましく、30分以下であることがより好ましい。残留水分率が10質量%以下となる時間を40分以下とすることにより、一般スポーツシャツに要求される吸汗速乾性を満足することができる。
次に、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に含まれる。本発明で用いた測定法は以下の通りである。
<異型度>
走査型電子顕微鏡を用いて、繊維を任意に5本選んで、繊維の断面を1000〜2000倍に撮影し、得られた断面写真に対して、繊維一本の断面における外接円の半径を内接円の半径で除した値を算出して、5本の平均値を異型度とした。
<抗ピリング性>
JIS L 1076のA法に準拠して判定した。試験機の回転箱で試料を処理する時間が、織物の場合は10時間、編物の場合は5時間であった。
<抗スナッグ性>
JIS L 1058のA法に準拠して判定した。
<破裂強力>
JIS L 1018のA法(ミューレン法)に準拠して測定した。
<寸法安定性>
JIS L 1018のG法(タンブル・ドライ法)に準拠して測定した。
<吸汗速乾性>
吸汗速乾性の評価は下記の手順で行った。
(a)織編物をタテ/ヨコに10cm/10cmの大きさに裁断して試料を準備し、
(b)温度20℃、湿度65%RHの環境下で、試料を12時間以上調湿した後、試料の質量(W)を測定し、
(c)試料を天秤に乗せ、10cmの高さから0.1mlの水を滴下した後、試料の質量(W)を測定し、
(d)試料を天秤に乗せた状態で、5分毎に質量(W)を測定し、下記式により、残留水分率を算出し、
残留水分率(質量%)=(W−W)/(W−W)×100%
(e)残留水分率が10質量%以下となる時間を求めた。
<杢調>
市販の綿100%の杢糸(新内外綿株式会社製、モクティ)において、淡色用の標準糸としてGR4、濃色用の標準糸としてGR9(共にNe(英式番手):20/1、撚係数K:3.2)を用い、実施例1と同様の方法で天竺生地を作成し、その後カチオン染料で染色して濃色部を付与し、分散染料で染色して淡色部を付与した。作製した生地を標準試料(ブランク)として、10人のモニターで比較し総合判定して杢調の評価を行った。試料の杢調が、標準試料とほぼ同等の場合は○、やや劣っている場合は△、劣っている場合は×とした。
<風合い>
前記杢調の評価に用いられた生地を標準試料として、10人のモニターで比較し総合判定して風合いの評価を行った。試料の風合いが、標準試料とほぼ同等の場合は◎、少し硬い場合は○、硬い場合は△、非常に硬い場合は×とした。
実施例1
ポリエチレンテレフタレートに5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を2.5mol%を共重合した共重合ポリエステルレジンを溶融紡糸して、常法にてカチオン染料易染性ポリエステル短繊維A(丸断面、繊度:1.7dtex、繊維長:38mm)のスライバーを作製した。また、ポリエチレンテレフタレートホモポリマーに酸化チタンを0.5質量%練込んだセミダルレジンを溶融紡糸して、常法にてカチオン染料難染性ポリエステル短繊維B(Y字型断面、異型度:2.5、繊度:1.3dtex、繊維長:38mm)のスライバーを作製した。次いで、前記短繊維Aのスライバーと前記短繊維Bのスライバーを、A:B=20:80の質量比で練條工程にて合せたスライバーを用いて、旋回気流式紡績装置(村田機械株式会社製、ムラタ・ボルテックス・スピナー MVS)により、紡積速度300m/分、ノズル圧0.45MPの条件で、20Ne(英式綿番手)の複合紡績糸を作製した。得られた複合紡績糸は、外側層の方が内側層より撚角度が大きかった。
前記複合紡績糸を用いて、丸編機(福原精機製、口径34インチ、ゲージ22本/インチ)により、編成糸長340mmの天竺編地を作製した。得られた編地の密度は、27コース/インチ、32ウェール/インチであった。前記編地を、液流染色機(日阪製作所製、サーキュラーNS)を用いて通常の条件で精練を行った後、テンター(ヒラノテクシード製)を用い、180℃、テンター滞留時間30秒、オーバーフィード10%でプレセットを行った。その後、下記処方の染色剤で、60℃〜130℃まで1℃/分で昇温し、130℃で30分間染色した。染色後、下記処方の仕上げ剤で還元洗浄・湯洗いを3回行った後、編地を染色機から取り出し、遠心脱水してスカッチャーで拡布した。次いで、下記処方の仕上げ剤をパディングし、絞り率100%でマングルを用いて絞って、密度が31コース/インチ、36ウェール/インチである編物を得た。得られた編物について、抗ピリング性、抗スナッグ性、破裂強力、寸法安定性、吸汗速乾性、杢調および風合いなどを前記方法で評価した。結果を表1に示す。
染色剤の処方:
(1)分散染料(Dysterジャパン製、Dianix Blue UNSE):編地の全質量に対して1%owf(on the weight of fiber)、
(2)分散型カチオン染料(日本化薬製、Kayacryl Blue GSL−ED):カチオン染料易染性ポリエステルAの質量に対して5%owf、
(3)分散剤(明成化学工業製、ディスパーTL):1g/L、
(4)50%酢酸:0.5g/L
(5)浴比:1/15
仕上げ剤の処方:
(a)親水加工剤(高松油脂製、1800):2%soln.
(b)ポリエチレン系柔軟加工材(日華化学製、PE713):1%soln.
実施例2
カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bの質量比をA:B=60:40に変更した以外は、実施例1と同様の方法で複合紡績糸および編物を製造した。得られた編物の密度が32コース/インチ、35ウェール/インチであった。得られた編物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bの質量比をA:B=60:40に変更した以外は、実施例1と同様の方法で複合紡績糸を作製した。また、プレセットを行った後且つ染色する前に、染色機(日阪製作所製、サーキュラーNS)を用いて、アルカリ処理液(NaOH濃度:編地質量に対して10%owf、浴比:1/15)で、60℃から1℃/分で昇温して130℃で30分間のアルカリ処理を行った以外は、実施例1と同様の方法で編物を製造した。アルカリ処理後の編物の減量率が10質量%であった。得られた編物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
参考例1
カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aの断面を異型度2.1のY字型断面に変更した以外は、実施例1と同様の条件で紡績糸を作製した。また、プレセットを行った後且つ染色する前に、実施例3と同様にアルカリ処理を行った以外は、実施例1と同様の方法で編物を製造した。アルカリ処理後の編物の減量率が13.5質量%であり、得られた編物の密度は31コース/インチ、36ウェール/インチであった。得られた編物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
実施例
天竺編地を3飛び裏毛編地に変更した以外は、実施例1と同様の方法で複合紡績糸および編物を製造した。得られた編物の密度は、32コース/インチ、26ウェール/インチであった。得られた編物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aのみを用いた以外は、実施例1と同様の方法で複合紡績糸および編物を製造した。得られた編物の密度は、31コース/インチ、35ウェール/インチであった。得られた編物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
比較例2
カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bの質量比をA:B=5:95に変更した以外は、実施例1と同様の方法で複合紡績糸および編物を製造した。得られた編物の密度は、32コース/インチ、36ウェール/インチであった。得られた編物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
比較例3
カチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bの断面形状を丸型に変更して、紡績方法をリング紡績法に変更した以外は、実施例1と同様の方法で複合紡績糸を作製した。
比較例3において、下記のリング紡績法を用いて複合紡績糸を作製した。すなわち、短繊維Aのスライバーと短繊維Bのスライバーを練條工程にて合わせて400g/6ydのスライバーにして、粗紡工程で180g/15ydのロービングを作成し、リング紡績装置(豊田紡織株式会社製、RX−240)により、撚係数k3.4、トータルドラフト28.8、ブレーキドラフト1.65、スピンドル回転数9,000rpmで、20Ne(英式綿番手)の複合紡績糸を作製した。
また、前記複合紡績糸を用いて、実施例1と同様の方法で編物を製造した。得られた編物の密度は、33コース/インチ、36ウェール/インチであった。得られた編物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
比較例4
カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bの質量比をA:B=80:20に変更し、比較例3と同様の条件でリング紡績法を用いて紡績した以外は、実施例1と同様の方法で複合紡績糸を作製した。
また、前記複合紡績糸を用いて、編組織をスムース組織に変更した以外は、実施例1と同様の方法で編物を製造した。得られた染色加工上がりの編物の密度は、45コース/インチ、34ウェール/インチであった。得られた編物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
比較例5
実施例1のカチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aスライバーの代わりに、カチオン染料易染性ポリエステルのマルチフィラメント(丸断面、単糸繊度:3.5dtex、総繊度:84dtex、フィラメント数:24本)からなる高圧カチオン可染ポリエステル仮撚加工糸A(東レ製)を用いた。また、実施例1のカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bスライバーの代わりに、カチオン染料難染性ポリエステルのマルチフィラメント(丸断面、単糸繊度:3.5dtex、総繊度:167dtex、フィラメント数:48本)からなる非カチオン仮撚り加工糸B(東レ製)を用いた。前記仮撚り加工糸Aと仮撚り加工糸Bとを、A:B=33:67の質量比で仮撚エアー混繊装置(村田機械株式会社製、ATF−M型)に供給し、糸速500m/分、オーバーフィード量5.0%で複合仮撚加工糸を作製した。
また、前記複合仮撚加工糸を用いて、実施例1と同様の方法で編物を製造した。得られた編物の密度は、35コース/インチ、40ウェール/インチであった。得られた編物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004669546
Figure 0004669546
実施例1〜4および参考例1で得られたポリエステル織編物は、吸汗速乾性を有しながら、抗ピリング性、形態安定性に優れて、破裂強力も良く、明瞭な杢調およびスパンライクな風合いを有していた。特に、実施例3、参考例1で得られたポリエステル織編物は、アルカリ減量処理が行われたため、実施例1、2に比べて、抗ピリング性及び吸汗速乾性も向上した。また、実施例で得られたポリエステル織編物は裏毛組織のため、天竺組織に比べて肉厚であるにもかかわらず、従来の裏毛生地に比べ吸汗速乾性が優れていた。
一方、比較例1で得られた編物は、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aのみを使用したため、抗ピリング性が低下して、染め分けができず杢調を付与することができなかった。比較例2で得られた編物は、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aの混率が低いため、発色性が不十分であり、杢調を付与することができなかった。比較例3で得られた編物は、使用したカチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aおよびカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bの両方が丸断面であり、且つ複合紡績糸が外層部を構成する繊維束の撚角度が内層部より大きい多層構造を有さないため、抗ピリング性が極めて低下した。比較例4で得られた編物は、カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aの比率が多く、リング紡績法で作られているため、抗ピリング性が悪かった。また、比較例5で得られた編物は、長繊維を使用したため膨らみのあるスパンライクな風合いを有さなかった。
本発明の杢調ポリエステル織編物は、吸汗速乾性を有しつつ、洗濯耐久性に要求される抗ピリング性、形態安定性に優れて、且つスパンライクな風合いと明瞭な杢調を有しているため、スポーツシャツ等の厳しい性能が要求される用途に好適に用いられる。
撚角度を説明する模式図である。
符号の説明
α:撚角度

Claims (4)

  1. カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bからなる複合紡績糸が少なくとも表面層に配置されてなる単層または二層以上の杢調織編物であって、
    前記複合紡績糸は、
    (1)カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aとカチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bとが質量比で10:90〜70:30の混率で構成され、
    (2)外層部を構成する繊維束の撚角度が内層部を構成する繊維束の撚角度よりも大きい多層構造であり、且つ
    (3)該複合紡績糸を構成するカチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aが丸断面を有し、カチオン染料難染性ポリエステル短繊維BがY字型断面を有することを特徴とする杢調ポリエステル織編物。
  2. 前記Y字型断面の異型度が1.5〜4.0である請求項1に記載の杢調ポリエステル織編物。
  3. 前記織編物は、少なくとも片面の表面層が天竺組織である請求項1又は2に記載の杢調ポリエステル織編物。
  4. 前記カチオン染料易染性ポリエステル短繊維Aの単糸繊度が1.0dtex〜3.0dtexであり、前記カチオン染料難染性ポリエステル短繊維Bの単糸繊度が0.5dtex〜3.0dtexである請求項1〜3のいずれかに記載の杢調ポリエステル織編物。
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