JP3296859B2 - 蓄熱保温性繊維 - Google Patents
蓄熱保温性繊維Info
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Description
防寒衣料、スポ−ツ衣料、レジャ−用衣料、あるいはカ
−テン等のインテリア用品、テント等のレジャ−用品な
どとして有用な蓄熱保温繊維に関する。
山、釣り等のスポ−ツ・レジャ−用衣料、テント等の屋
外レジャ−用品、カ−テン等のインテリア用品などは、
表地、中綿、裏地の三層構造を有しており、中綿により
空気保温層を作り保温性を高めている。しかしながら、
このような構造の布帛は重く、自由な動きができず、ス
ポ−ティ性に欠けるという欠点があった。また、アルミ
ニウム、クロム等の金属を蒸着技術により布帛上にコ−
ティングしたものを利用した保温性布帛を裏地として用
いることも知られている。例えば、実公昭58−109
16号公報には、表面に金属蒸着したシ−トを薄いウエ
ッブ層に重ねてニ−ドルパンチし、両者を一体化した金
属蒸着不織布を、金属蒸着面が外側になるように綿層と
重ね、両側を側地で覆ってなるこたつふとんが開示され
ており、特開昭61−252364号公報には、繊維本
体の表面の一部または全部にクロム、コバルト、銅、ア
ルミニウムまたはそれらの酸化物を任意の厚さに塗布、
スプレ−、ディップ、貼合等の手段で被覆あるいは積層
することが記載されている。しかしながら、これらの金
属蒸着技術では蒸着処理工程が不連続かつ長時間である
ため生産性が低いこと、摩耗、洗濯の繰り返しによる蒸
着金属の剥離が生じ、仮に、蒸着金属の表面を樹脂で被
覆して耐久性を高めた場合でも保温材に粗剛感を与え柔
軟性を損ねるという欠点があった。さらに、繊維に遷移
金属の炭化物を含有させ、熱吸収能力を高めたものが特
開平4−163330号公報に記載されているが、この
繊維では熱吸収能力が高められていると共に熱を放出す
る能力も高められており、保温性能は満足できるもので
はない。
うな従来の三層構造よりなる保温衣料におけるきぶくれ
感を改良し、またアルミニウム、クロム等の金属の蒸着
加工に伴うコストアップや、蒸着斑の発生、工程の複雑
化、蒸着金属の剥離などの問題点を解決し、さらには吸
収した熱を放出しにくい、すなわち保温性能に優れた防
寒衣料等として有用な蓄熱保温性繊維を提供することを
目的としている。
律表第8族に属する遷移金属の酸化物と酸化チタンとが
1:0.3〜2.0(重量比)の割合で混合されている
混合粉末を0.5〜40重量%含有する繊維形成性ポリ
マ−を芯成分とし、該混合粉末を含有しない繊維形成性
ポリマーを鞘成分とする蓄熱保温性複合繊維である。本
発明においては、繊維形成性ポリマ−中に上記のような
周期律表第8族に属する遷移金属の酸化物と酸化チタン
との混合粉末が含有されていることが重要であり、これ
以外の金属酸化物を使用しても蓄熱性の点から効果は期
待できない。
し、それを効率的に熱に変換し、その熱の放射率が低
く、熱を蓄える能力をもつ物質(蓄熱物質)と、蓄えた
熱を外部に逃がさないようし、熱を効率的に反射する物
質(保温物質)との組み合わせで可能となる。周期律表
第8族に属する遷移金属の酸化物としては、鉄の酸化物
である磁鉄鉱(Fe↓3O↓4)、コバルト、ニッケ
ル、パラジウム等の酸化物などがあるが、なかでも磁鉄
鉱が効率的な太陽光の吸収性および太陽光の熱変換能力
を有し、蓄熱物質として好ましい。酸化チタンは遠赤外
線を反射する作用を有する保温物質であり、共存する蓄
熱物質が繊維組織外部に放射しようとする熱を繊維組織
内部および保温しようとする層に保つ効果がある。ま
た、人体等から発する熱なども外部に逃がさず保温効果
もあるため、上記の蓄熱物質と混合して用いることによ
り蓄熱保温性が非常に高められるのである。
の酸化物(以下、蓄熱物質と称する)および酸化チタン
の粒径は平均粒径5μm以下、好ましくは2μm以下、
さらに好ましくは0.4〜1μmの範囲である。平均粒
径が5μmを越えると紡糸フィルタ−の目詰まり、断糸
等が発生し、また、延伸工程での糸切れ、あるいはガイ
ド類の摩耗等種々の問題が発生する。蓄熱物質および酸
化チタンの混合粉末の繊維中の含有量は0.5〜40重
量%、好ましくは1.0〜35重量%、とくに好ましく
は1.5〜30重量%の範囲である。含有量が0.5重
量%未満では十分な蓄熱保温性を得ることができず、3
0重量%を越えると紡糸時の曵糸性が極端に悪化する。
たとえ紡糸ができたとしても、延伸工程での糸切れが発
生し、さらには延伸後の糸の品質も満足なものを得るこ
とができない場合がある。
の配合重量比率は1:0.3〜2.0、好ましくは1:
0.4〜1.8、さらに好ましくは1:0.5〜1.5
の範囲である。蓄熱物質に対する酸化チタンの比率が
0.3未満では、酸化チタンによる保温性能が十分では
なく、比率が2.0を越えると酸化チタンによる熱反射
能力が高くなりすぎ、蓄熱作用が十分に機能しない。な
お、本発明でいう「混合粉末」とは、蓄熱物質の粉末と
酸化チタン粉末との混合物のことをいう。
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナ
イロン11、ナイロン4、ナイロン46等のポリアミ
ド;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン;ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフ
タレ−ト等のポリエステルまたはこれらのポリエステル
を主体骨格とし、イソフタル酸、ナフタリン−2,5−
ジカルボン酸、金属スルホネ−ト基を有するイソフタル
酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ジエチレング
リコ−ル、ブタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタ
ンジオ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル、α,β−
(4−カルボキシフェノキシ)エタン、4,4−ジカル
ボキシフェニル、ビスフェノ−ルAのアルキレンオキサ
イド付加物、ポリアルキレングリコ−ル、ペンタエリス
リト−ル等の多価アルコ−ル等の第3成分を共重合した
変性ポリエステル;ポリスチレン−ポリブタジエン−ポ
リスチレンのブロック共重合体(SBS)、ポリスチレ
ン−ポリイソプレン−ポリスチレンのブロック共重合体
(SIS)、ポリスチレン−ポリイソプレンのブロック
共重合体(SI)、ポリα−メチルスチレン−ポリイソ
プレン−ポリα−メチルスチレンのブロック共重合体ま
たはこれらのブロック共重合体の水素添加物などの芳香
族ビニルブロックと共役ジエンブロックからなるブロッ
ク共重合体または該ブロック共重合体の水素添加物が挙
げられる。本発明においては、とくに、紡糸時の曵糸性
や延伸工程性、蓄熱保温性能の点からポリアミド、芳香
族ビニルブロックと共役ジエンブロックからなるブロッ
ク共重合体または該ブロック共重合体の水素添加物が好
ましく用いられる。
断面等の多角断面、三〜十葉断面等の多葉断面、T字型
断面、U字型断面、C字型断面、W字型断面、V字型断
面、中空断面など種々の断面形状を採用することが可能
であり、これらの断面形状に対して、サイドバイサイド
型、芯鞘型、多積層型、ランダム複合型等の複合構造が
組み合わされていてもよい。複合構造を採用する場合、
蓄熱物質および酸化チタンの混合粉末を含有しない繊維
形成性ポリマ−としては上記のポリアミド、ポリエステ
ル、ポリオレフィンなどが挙げられ、繊維としての実用
性能上、構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタ
レ−ト単位またはブチレンテレフタレ−ト単位であるポ
リエステルが好ましい。
維表面長の60%以上を蓄熱物質および酸化チタンの混
合粉末を含有しない繊維形成性ポリマ−が占めることが
好ましい。具体的な複合形状として図1〜図10を挙げ
ることができる。図1は一芯、図2は三芯、図3は四
芯、図4は三層同心円、図5は最内層中空三層同心円、
図6および図7は一部露出タイプの芯鞘構造、図8、図
9および図10は分割型であり、図中Aは繊維形成性ポ
リマ−層、Bは蓄熱物質および酸化チタンの混合粉末を
含有する繊維形成性ポリマ−層、Cは中空層である。と
くに、蓄熱物質および酸化チタンの混合粉末が繊維表面
に多量に存在していると紡糸工程中、延伸工程中でのガ
イドやロ−ラ−の摩耗等が発生するため、本発明におい
ては蓄熱物質と酸化チタンの混合粉末を芯成分を形成す
るポリマ−に配合し、その周りを鞘成分ポリマ−、すな
わち蓄熱物質および酸化チタンの混合粉末を含有しない
繊維形成性ポリマ−で覆う芯鞘型複合繊維とすることが
好ましい。蓄熱物質および酸化チタンの混合粉末を含有
する繊維形成性ポリマ−と該混合粉末を含有しない繊維
形成性ポリマ−の複合比は、前者:後者が20:80〜
80:20、好ましくは30:70〜70:30の範囲
である。前者が該範囲より少ないと蓄熱保温性能が十分
発現しない場合があり、また前者が該範囲より多いと十
分な繊維強度が得られないことがあり好ましくない。
の製法に従って製造することができ、蓄熱物質と酸化チ
タンの混合粉末の添加時期については、繊維形成性ポリ
マ−の重合初期に反応系に添加し、直接紡糸してもよい
し、溶融状態にあるポリマ−にあらかじめ分散剤と混合
粉末を混練したスラリ−を紡糸直前に添加する所謂後添
加方式でもよく、さらに、この混合粉末を高濃度に含有
させたマスタ−チップを用いる所謂マスタ−バッチ方式
であってもよい。紡糸後は、通常のフィラメント糸製造
工程、あるいは短繊維の製造工程をそのまま採用するこ
とが可能であり、捲縮、仮撚との後加工を施すことも可
能である。複合形状を有する繊維、所謂複合繊維も、従
来の複合繊維の製法に従って製造することができる。た
とえば複数のポリマ−を各々別の溶融系で加熱溶融して
おき、それぞれ押し出し紡糸装置により紡糸口金に送入
して紡糸口前で任意の複合形状にあわせて合流させ押し
出し巻き取る方法である。
繊維は単独または他の繊維と混用して織物、編物、不織
布等の布帛として広汎な用途に用いられる。他の繊維と
の混用は、混繊、合糸、合撚、交織、交編、その他のあ
らゆる手段を用いることができる。得られた布帛は必要
に応じて染色、樹脂加工等の加工処理を施して各種の用
途に供することができる。
するものであり、手袋、靴下、ストッキング、帽子、マ
フラ−、肌着、下着、ワイシャツ、セ−タ−、作業衣等
の衣料;スキ−、スケ−ト、釣り、登山、トレ−ニング
ウエア−等のスポ−ツ衣料;詰綿、カ−テン等のインテ
リア用品などに好適に用いることができる。
するが、本発明はこれら実施例に何等限定されない。な
お、実施例中の平均粒径は、粒度分布測定装置(CAP
A−5000、堀場製作所製)を使用し、ポリマ−に添
加する前の蓄熱物質および酸化チタンを水、エチレング
リコ−ル等の溶媒に分散させた試料を遠心重力沈降法に
より測定した。また、固有粘度はフェノ−ル/テトラク
ロロエタン(重量比=1:1)の混合溶媒を用い、温度
30℃で測定した溶液粘度から換算して求めた。繊維の
強度はJIS L 1013に準拠して測定して求め
た。
製)に、平均粒径0.3〜0.4μmの磁鉄鉱(MG−
WM、三井金属社製)および平均粒径0.4μmの酸化
チタン(チタン工業社製)を所定の濃度となるように、
温度230℃で二軸混練機を用いて混練押し出しし、押
し出されたストランドを切断してペレットとした(B成
分)。ついで、該ペレットと固有粘度[η]=0.70
のポリエチレンテレフタレ−ト(A成分)とを別々の押
出し機に供給して溶融押し出しし、B成分が芯、A成分
が鞘となるように[実施例1−図1に示される断面形
状、複合比率A/B=3/1;実施例2−図3に示され
る断面形状、複合比率A/B=3/1、中空率20%、
実施例3〜9−図1に示される断面形状、複合比率A/
B=3/1]複合し、温度300℃で紡糸して1000
m/分の速度で巻き取った。
ラ−で予熱した後、延伸倍率3.14倍で延伸し、つい
で140℃に加熱した熱板を用いて熱セットを行ない、
75デニ−ル24フィラメントのマルチフィラメントを
得た。つぎに、該延伸糸を用いて経密度90本/イン
チ、緯密度60本/インチの織密度で平織物を作成し、
精練仕上げを行なった後、黒染加工を施した。そして図
11に示される装置の所定の位置に平織物を載置し、こ
れにレフランプまたは人工太陽照明灯を照射した。そし
て、照射中の照射面の試料表面温度、試料と断熱材の間
の中間空気層(以下、内層温度と称する)の温度、なら
びに照射中止後の試料の表面温度、内層温度の測定を行
なった。温度は堀場製作所製の非接触型放射温度計を用
い測定した。各評価結果を表1および表2に示す。本発
明の繊維は良好な繊維物性を示し、紡糸時に糸切れも全
く認められず、優れた蓄熱保温性を示すものであった。
外は実施例1と全く同様にして、複合繊維を紡糸し、つ
いで平織物を作成して黒染加工を施した。これらの黒染
加工平織物を用いて蓄熱性能を評価した。結果を表2に
示す。
鉱を含有することにより蓄熱効果が発現し、さらに酸化
チタンを併用することにより蓄熱保温性能が高くなって
いる。また、繊維内部に中空部を設けることにより、ラ
ンプまたは人工太陽灯の照射中の温度上昇は遅くはなる
が、照射中止後の温度降下速度は遅く、保温性能が高く
なっていることがわかる。
で、得られた繊維の物性もほとんど損なわれず、しかも
優れた蓄熱保温性能を有する繊維を得ることができる。
る。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
である。
示した図である。
リマ−層 C 中空層 a レフランプまたは人工太陽照明灯 b 試料 c 断熱材 d 非接触型放射温度計 e 熱電対 f 熱電対測定点 g 空気層
Claims (1)
- 【請求項1】 周期律表第8族に属する遷移金属の酸化
物と酸化チタンとが1:0.3〜2.0(重量比)の割
合で混合されている混合粉末を0.5〜40重量%含有
する繊維形成性ポリマ−を芯成分とし、該混合粉末を含
有しない繊維形成性ポリマーを鞘成分とする蓄熱保温性
複合繊維。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP30687792A JP3296859B2 (ja) | 1992-11-17 | 1992-11-17 | 蓄熱保温性繊維 |
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ID=17962326
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---|---|---|---|
JP30687792A Expired - Fee Related JP3296859B2 (ja) | 1992-11-17 | 1992-11-17 | 蓄熱保温性繊維 |
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JP (1) | JP3296859B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3147394A1 (en) * | 2015-09-25 | 2017-03-29 | Welspun India Limited | Shawl textile article and method of making same |
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---|---|---|---|---|
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-
1992
- 1992-11-17 JP JP30687792A patent/JP3296859B2/ja not_active Expired - Fee Related
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