JP5087841B2 - 布帛の製造方法 - Google Patents
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また、特開2003−55848号公報(特許文献5)には抗ピル性をもった長短複合糸を得ようと鞘成分に改質ポリマを使用した短繊維を用いたものが提案されているが、改質ポリマを有することや、中空繊維であるため、工程通過においてデリケートな面があり、生産性に欠けるものであった。
を有し軽量性に優れ、従来にないハリコシのすぐれた風合いを有する布帛を得ることがで
きる中空型長短複合糸を用いた布帛の製造方法提供することを目的とする。
式(1) 中空型フィラメントからなる芯部に、空気流の作用により短繊維成分を結束させて長短複合糸を形成する
式(2) 低融点繊維を混ぜた短繊維を鞘部、中空型フィラメントを芯部とした実撚り構造の長短複合糸を得て、次にホットローラー、または非接触式の熱板を有するリング撚糸機にこの長短複合糸を仕掛けて、精紡機とは逆方向の同じ撚り数の撚りを与えて、撚りを完全に戻しながら、ホットローラー、または熱板によって低融点繊維を周りの短繊維やフィラメントに融着させて長短複合糸を得る
式(a)(紡績後の中空型フィラメントの中空率/紡績前の中空型フィラメントの中空率)×100=中空保持率(%)
式(b)(織製または編成後の中空型フィラメントの中空率/織製または編成前の中空型フィラメントの中空率)×100=中空保持率(%)
維が紡績糸全体の40〜85重量%を占める長短複合糸を用いることを特徴とする前記(
1)に記載の布帛の製造方法。
さらに、実撚り構造糸の場合には、芯部のフィラメントを鞘部の短繊維により十分に被覆し、また、しごきなどによる短繊維成分の脱落を防ぐために、撚り数を通常対比高めに設定する必要がある。しかし、この場合には芯部のフィラメントを拘束する力が高くなり過ぎて、中空繊維の中空部が失われてしまい、また、芯部のフィラメントにも実撚りが付与されるために捲縮発現性が低下し、十分な膨らみ感が得られなくなるので、本発明が目的とする優れた風合いを得る手段としてはふさわしくない。
これら中空型フィラメントは直接紡糸によっても製造できるが、芯鞘型複合繊維として製造した後に芯部を溶出させることにより、中空部の断面形状がシャープな中空型フィラメントを得ることができる。
従来の、中空繊維を芯糸にして撚りをかける長短複合糸の製造方法では、80%という中空保持率は達成し得ないものである。
(b)織製または編成後の中空型フィラメントの中空率/織製または編成前の中空型フィラメントの中空率×100=中空保持率(%)
ここで、織製または編成前の中空型フィラメントの中空率とは、紡績糸の中空型フィラメントの中空率と同義である。
次に、本発明の長短複合糸を製造する方法について説明する。
・ 紡績糸の中空保持率
紡績前のフィラメント(n=5)の断面写真をSEM(倍率×500)で撮影し、繊維の断面積(中空部を含む全断面積)Aおよびその繊維の中空部の断面積Bを求め、次式よりフィラメント中空率Cをその平均で示した。
B/A×100=フィラメント中空率C(%)
同じく、紡績後の糸断面のSEM(倍率×500)で撮影し、紡績糸を構成している中空フィラメントの断面積Dおよびそのフィラメント中空部の断面積Eを5点分求め、次式より紡績後の中空率Fをその平均で示した。
E/D×100=紡績後のフィラメント中空率F(%)
紡績後の中空保持率を下記式で求めた。
F/C×100=紡績後の中空保持率(%)
(2)被覆性評価
評価は得られた紡績糸の側面を25倍の顕微鏡で観察し、糸長1m当たりに芯部のフィラメントが表層部から確認できる箇所の数により判断した。
判定基準は、×:10カ所以上またはヌードヤーンの発生、△:5〜9カ所、○:1〜5カ所、◎:0カ所の4段階評価で行った。
・ 織製・編成後の中空保持率
織製または編成前の糸(n=5)の断面写真をSEM(倍率×500)で撮影し、構成している中空フィラメントの断面積(中空部を含む全断面積)イおよびその繊維の中空部の断面積ロを求め、次式よりフィラメント中空率ハをその平均で示した。
ロ/イ×100=フィラメント中空率ハ(%)
同じく、織製または編成前後の糸断面のSEM(倍率×500)で撮影し、紡績糸を構成しているフィラメント1本の断面積ニおよびそのフィラメント中空部の断面積ホを5点分求め、次式より紡績後の中空率ヘをその平均で示した。
ホ/ニ×100=紡績後のフィラメント中空率ヘ(%)
紡績後の中空保持率を下記式で求めた。
ヘ/ハ×100=織製・編成後の中空保持率(%)
・ 防シワ性
試料:直径9.6cm円形を準備し、50mlのプラスチック製ビーカーを準備し、ビーカーの上部にサンプルを載せ、荷重500gのおもり(押圧面積43g/cm2)、にてビーカー内に押し込むように投入し、時間10分間荷重をかけ除重し、直後、1時間後、24時間後の状態を「外観判定横光線」を用いてシワの状態で判別した。
JIS L−1076(1992) ICI法を用い、処理時間 織物10時間 編物5時間で処理し級判別した。
KES法により曲げ強さ・ヒステリシス幅をKES FB−2試験機で測定した。
JIS L−1096(1999)に準じて測定した。
サンプルサイズ40cm×40cmを準備し、水中へ5分沈めた後、家庭用洗濯機で30秒脱水をかけ、温度20℃ 湿度65%RH下の条件で5分ごとの重量を求め、下記式にてその含水率(%)を求め、含水率が2%以下になった時間を乾燥時間(分)を速乾性とした。
長短複合糸を経糸と緯糸の両方に使用して平織り組織の織物を製織し、得られた生機をオープンソーパーで95℃でリラックス熱処理し、乾燥後、乾熱180℃で中間セットし、120℃で染色した。その後160℃の乾熱でピンテンター方式により仕上セットを行った。
長短複合糸の短繊維としてポリエチレンテレフタレート短繊維(T403、1.45dtex×38mm、東レ製)を使用し、通常の紡績方式を経て1.0g/mの太さのスライバーを作成した。また、中空フィラメントとして“ボデイジョイ”(素材:ポリエチレンテレフタレート44dtex−12F、東レ製)を用いた。
得られた長短複合糸をヨコ糸として、タテ糸をポリエチレンテレフタレートFYとし、通常の織機を用いて、織組織を3/1ツイルとし、織密度283g/mの織物を得た。得られた布帛について、各評価を行った結果、表1に示すように、加工後の中空部破損もなく、図6に示す通り、防しわ性に優れ、風合いも軽量感に優れたものであった。得られた布帛断面のSEM写真を、図4および糸の断面を図5に示す。
長短複合糸の短繊維として実施例1と同じスライバーを作成した。また、中空フィラメントとして“ファリーロ”(素材:ナイロン6、28dtex−12F、東レ製)を用いた。
得られた長短複合糸をについて、実施例と同じ方法を用いて、織密度279g/mの織物を得た。各評価を行った結果、図6に示す通り、防しわ性に優れ、表1に示すように、風合いも軽量感に優れ良好なものであった。
実施例1と同じポリエステル短繊維を用い、通常の紡績方式を経て0.35g/mの太さの粗糸を作成しリング精紡機に仕掛けた。一方、実施例1と同じ中空型フィラメントをフロントトップローラー〜セカンドトップローラー間から短繊維束の中心位置に、フィラメント用のフィードローラー装置と糸道ガイドを介して供給し、リング精紡機のドラフト率を40倍、撚り数を27.8T/2.54cmに設定して、綿方式の番手で30’sの長短複合糸を得た。
得られた長短複合糸は紡績性に優れたものであったが、被覆性が実施例1と対比すると劣り、実撚りによる中空型フィラメントへの拘束力が強いために、中空部が破損していた。実施例1と同様に、緯糸として、織密度296g/mの織物を得たが、充分な中空率を保持できないために、吸水性に劣り、官能評価でも良好な風合いを得ることができなかった。
実施例1と同じポリエステル短繊維を用い、通常の紡績方式を経て0.35g/mの太さの粗糸を作成しリング精紡機に仕掛けた。一方、実施例2と同じ中空型フィラメントをフロントトップローラー〜セカンドトップローラー間から短繊維束の中心位置に、フィラメント用のフィードローラー装置と糸道ガイドを介して供給し、リング精紡機のドラフト率を40倍、撚り数を27.8T/2.54cmに設定して、綿方式の番手で30’sの長短複合糸を得た。
得られた長短複合糸は紡績性に優れたものであったが、被覆性が実施例2と対比すると劣り、実撚りによる中空型フィラメントへの拘束力が強いために、中空部が破損していた。実施例1と同様に、緯糸として、織密度296g/mの織物を得たが、充分な中空率を保持できないために、吸水性に劣り、官能評価でも良好な風合いを得ることができなかった。
実施例1と同じスライバーを用い、フィラメントを供給せずにMVSに掛け30sの紡績糸を得た。実施例1と同じように、織密度287g/mの織物を得て、各評価を行ったが、中心部に中空フィラメントを用いてないために、充分な軽量性が得れず、図6のように防シワ性に欠け、風合いもハリコシには欠けるものであった。
Claims (2)
- 次式(1)または次式(2)の工程により、芯部に中空型フィラメントを有し、鞘部に短繊維を有するとともに、実質的に無撚である長短複合糸を紡績し、次いで該長短複合糸を用いて布帛とする布帛の製造方法であって、次式(a)と次式(b)による中空保持率がいずれも80%以上であることを特徴とする布帛の製造方法。
式(1) 中空型フィラメントからなる芯部に、空気流の作用により短繊維成分を結束させて長短複合糸を形成する
式(2) 低融点繊維を混ぜた短繊維を鞘部、中空型フィラメントを芯部とした実撚り構造の長短複合糸を得て、次にホットローラー、または非接触式の熱板を有するリング撚糸機にこの長短複合糸を仕掛けて、精紡機とは逆方向の同じ撚り数の撚りを与えて、撚りを完全に戻しながら、ホットローラー、または熱板によって低融点繊維を周りの短繊維やフィラメントに融着させて長短複合糸を得る
式(a)(紡績後の中空型フィラメントの中空率/紡績前の中空型フィラメントの中空率)×100=中空保持率(%)
式(b)(織製または編成後の中空型フィラメントの中空率/織製または編成前の中空型フィラメントの中空率)×100=中空保持率(%) - 芯部の該中空型フィラメントが全体の15〜60重量%を占め、鞘部の該短繊維が全体の40〜85重量%を占めることを特徴とする請求項1に記載の布帛の製造方法。
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