JP3888155B2 - ポリアミド織物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド織物に関する。さらに詳しくは、ドレープ性が良好でソフト感、ドライ感に優れ、従来の仮撚加工糸使用の織物とは異なる新感覚な風合いを有するポリアミド織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリアミド糸条の延伸仮撚連続加工または同時延伸仮撚加工、すなわち、従来の仮撚り方法は、加撚された糸条を加熱し、延伸と加撚熱固定を施した後、解撚する方法が主に採用されている。かつ、従来の仮撚加工は、加工速度を増加させた場合、安定加工のための加工張力増加や加熱ヒータ板上での加撚により、単繊維の伸長切断や糸条の熱劣化による毛羽や断糸が発生しやすいという問題を有する。また、熱セット時間の減少を補うため、加熱ヒーター長が長大化するという問題が生じる。
【0003】
さらに、従来の仮撚加工法により得られる仮撚加工糸は高い捲縮性を有しておるものであり、布帛とした場合、リラックスやプレセットおよび染色等の工程で捲縮が発現するので、布帛にフカツキと呼ばれるフワフワとした風合いでドレープ性が低下する問題がある。一方、仮撚りしない従来の延伸糸ではフカツキはないものの膨らみ感がなく、扁平な風合いになるなどの問題がある。
【0004】
一方、乾いた感じのドライ感のある風合いを持つ素材としてはポリエステルに代表されるシック・アンド・シンと呼ばれる太細糸があり、また、酸化チタンを比較的多量に含有させたフルダル糸とよばれるものがある。しかしながら、前者は太い部分の構造がルーズとなっているので、染料の染着が高く、細いところとの染着差が生じるために、杢染めとなって、均一な染色ができない問題がある。また、後者は艶消し剤の酸化チタンの白さが原因となって濃色が得られないとの問題があり、何れの場合も均一で、濃色が出せるドライ感のある素材はできなかったのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、ポリアミド繊維の仮撚加工糸を毛羽や断糸を発生させることなく安定して製造ができ、布帛とした場合、ドレープ性が良好でドライ感、ソフト感に優れ、均一な濃色性を有する新感覚な風合いを有するポリアミド織物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、以下の構成を採用する。すなわち、
(1)ポリアミド繊維の未延伸糸または半延伸糸を加撚前に60℃〜140℃の加熱体により加熱した後、仮撚具により仮撚を施すに際し、該加熱体から糸条が離れる点とは異なる、加熱体と仮撚具との間の位置に撚り止め装置を設け、該撚り止め装置を加撚開始点として、延伸仮撚加工を連続して行うことによって得られるポリアミドマチフィラメント仮撚加工糸を用いて織物にし、該織物を染色加工工程で加工収縮率6%〜50%に収縮させて仕上げられた織物であることを特徴とするポリアミド織物。
【0007】
(2)仕上げられた織物のカバーファクター(CF)が1500〜3000であることを特徴とする前記(1に記載のポリアミド織物。
【0008】
(3)染色加工工程における加工収縮が、湿熱80℃以上の湿熱処理および/または乾熱140℃以上の乾熱処理を施したものであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のポリアミド織物である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
まず、本発明におけるポリアミド繊維としては、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維のマルチフィラメントが採用できる。また、未延伸糸としては、紡糸速度が800〜2000m/分で紡糸されたものが好ましく採用でき、半延伸糸としては、紡糸速度が2000〜7000m/分で紡糸されたものが好ましく採用できる。なかでも、本加工においては、半延伸糸を用いることが本発明の特徴が出せるので、適用することが好ましい。
【0011】
本発明で用いる仮撚加工糸の製造方法は、合成繊維の未延伸糸または半延伸糸の延伸仮撚連続加工において、未延伸糸または半延伸糸を加撚前に60℃〜140℃の加熱体により加熱した後、該加熱体と仮撚具との間で、該加熱体から糸条が離れる点とは異なる位置に撚り止め装置を設け、該撚り止め装置を加撚開始点として、延伸仮撚加工を連続して行うものである。
【0012】
また、本発明で用いる仮撚加工糸の製造装置は、ポリアミド繊維の未延伸糸または半延伸糸を延伸仮撚する仮撚加工装置において、該未延伸糸を加撚前に60℃〜140℃の温度に加熱する加熱体を仮撚具の上流側に設けるとともに、該加熱体から糸条が離れる点とは異なる、加熱体と仮撚具との間の位置に撚り止め装置を設け、該撚り止め装置を加撚開始点として、延伸仮撚を行うようにするものである。
【0013】
図1は本発明に適用する仮撚装置の一実施態様を示す正面概略図である。上記ポリアミド繊維糸条の未延伸糸または半延伸糸1はフィードロール2を経て加熱ロール3とセパレートロール4からなる加熱体に数回巻き付けられて予備加熱され、撚り止め装置6、仮撚具7、引き取りロール8の間で延伸仮撚りが連続的に施されるのであるが(延伸は撚り止め装置6と仮撚具7との間で行われる)、加熱ロール3上の糸条が離れる点5とは異なる加熱ロール3から離れた加熱ローラ3と仮撚具7との間の位置に設けられた撚り止め装置6を加撚開始点として、延伸仮撚りが連続的に施される。次いで加熱していないストレッチロール9を経て、パーン10として巻き取られる。
【0014】
本発明の延伸仮撚連続加工とは、上記のようなインドロー方式でもよく、また、アウトドロー方式でもよい。
【0015】
本発明では、ポリアミド繊維糸条は非加撚状態で加熱されるので、糸条中の全単糸に均一かつ充分な熱量を付与することができる。また、加熱体上の糸条が離れる点と異なる位置に設けた撚り止め装置の糸条が接する点を加撚開始点としたため、加撚体への撚りの遡及を防止でき、毛羽や断糸が発生しない。さらに、撚り固定が糸条の加熱体から受ける熱により行われるので、撚り固定力は軽微である。そのため、本発明はかかる仮撚り加工性は極めて良好であり、かつ、得られる布帛は、従来の仮撚加工糸使いのようなドレープ性やソフト感の低下に起因する高い捲縮性を有さず、ドレープ性が良好で、ドライ感、ソフト感に優れ、均一な濃色性を有する新感覚な風合いを呈することができる。
【0016】
本発明の加撚前の加熱温度は60℃〜140℃とするものである。60℃未満では沸騰水収縮率が高くなりすぎ織物の風合いが硬くなり、好ましくない。また、140℃を超える場合は染色加工の加工収縮率が低くなりすぎ従来の延伸糸と同様のドライ感のない平凡な風合いになり、好ましくない。好ましくは60℃〜140℃であり、より好ましくは80℃〜110℃である。
【0017】
かかる方法で得られた加工糸は加工糸の特性として 伸縮復元率および捲縮伸長率で評価することができる。すなわち、伸縮復元率は織物にした後、染色加工での湿熱を受けた場合の捲縮の復元度合いを評価することができる。また、捲縮伸長率は同様に染色加工における乾熱での捲縮の収縮と伸長の度合いを評価することができる。従来の仮撚り加工糸は伸縮復元率は40〜60%と高く、捲縮伸長率では15〜30%といずれも高い。そのため、捲縮の発現が高くなり過ぎ、フカツキがありフワフワした風合いとなる。本発明で適用する仮撚り加工糸の伸縮復元率は10〜35%と中程度で、捲縮伸長率は3〜10%といずれも適度な値を示す特性である。そのため、捲縮の発現がそう大きくないため、布帛にドレープ性があり、ソフトでドライ感溢れる新規な風合いを創出できるのである。
【0018】
かかる仮撚り加工糸を用いて本発明においては、織物とする。織機としては、フライシャットル式、エアージェット式、ウォータージェット式、レピア式、スルザー式の何れの方式の織機を使用しても良いが効率的な製織を行えることから、エアージェット式、ウォータージェット式、レピア式、スルザー式が特に好ましい。
【0019】
仮撚加工糸は織物の経糸または緯糸、あるいは経糸、緯糸の双方に用いることができる。
【0020】
織物の組織としては、限定されるものではないが、平織、ツイル、リップストップ組織が本発明の特徴が発揮できるので好ましい。
【0021】
織物の密度は後述する織物の仕上げにおけるカバーファクターの範囲に生機の密度を設計するものであるが、加工糸の収縮を見込んで、比較的粗い密度で製織することが本発明の特徴が発揮できることから、好ましい。
【0022】
次いで、本発明の加工糸を織物に製織した後、染色加工をするものであるが、該織物を染色加工工程で加工収縮率が6%〜50%になるように収縮させ、仕上げられた織物とするものである。加工収縮率が6%未満では膨らみのない風合いになり好ましくない。また、50%を超える場合は織物が硬くなり好ましくない。より好ましくは10%〜30%が本発明の特徴がでるので好ましい。なお、織物の加工収縮とは織り上がりの織物(生機)に対する染色加工工程における収縮率であり、織物の幅方向および/または長さ方向の収縮率をいう。
【0023】
かかる加工収縮率を得る加工方法としては、湿熱80℃以上の湿熱処理(精練、染色)および/または乾熱140℃以上の乾熱処理(中間セット、仕上げセット)を施し、仕上ることができる。
【0024】
80℃以上の湿熱処理としては、精練、染色が該当するが、これ以外にスチーム処理であっても適用できる。80℃未満の処理温度では織物の収縮が低く、風合いが扁平になり、好ましくない。また、湿熱130℃を超える温度ではポリアミド繊維が加水分解して強度低下、風合い硬化を惹起することから、80℃〜130℃が好ましく、90℃〜110℃がより好ましい。
【0025】
精練方法としては加工シワを発生させないことから、連続式、拡布処理方法がよい。オープンソーパやソフサー(ニツセン(株)製)が好ましく適用できる。また、140℃以上の乾熱処理としては、精練後の中間セットや染色後の仕上げセットが該当する。乾熱140℃未満の処理温度では織物の収縮が低く、風合いが扁平になり、好ましくない。一方、200℃を超える処理温度では風合い硬化、黄変の問題があることから、140℃〜200℃が好ましく、160℃〜190℃がより好ましい。
【0026】
かかる加工により仕上げられた織物のカバーファクター(CF)としては、1500〜3000が好ましい。カバーファクター(CF)が1500未満では収縮が低く、風合いが扁平となり、好ましくない。また、3000を超える場合は染色加工の加工収縮率が高くなりすぎ、風合いが硬くなり、好ましくない。好ましくは1500〜3000であり、より好ましくは1800〜2800である。かかるカバーファクターは加工糸の収縮率、生機の密度、加工条件によって設定することができる。
【0027】
具体的には、例えば84デシテックスの加工糸の収縮率が15%であるならば、経糸密度:140本/吋、緯糸密度:90本/吋で製織し(生機のカバーファクター:2108)、これを前記加工条件で織物をタテ方向およびヨコ方向にそれぞれ15%収縮させれば、仕上げ織物のカバーファクターは2424となり、好ましい特性のものが得られる。
【0028】
なお、仕上げ織物のカバーファクター(CF)とは次に定義したものである。
【0029】
仕上げ織物のカバーファクター(CF)=W・D1/2+C・D1/2
(ただし、W:仕上げ織物の経糸密度(本/吋)、C:仕上げ織物の緯糸密度(本/吋)、D:仕上げ織物の構成糸繊度:デシテツクス)
かかる仕上げた織物の用途としては、外衣,中衣が好ましく適用できる。外衣としてはブルゾン、ジャンパー、コートなどであり、撥水加工やカレンダー加工あるいはウレタン膜加工したスポーツ用高密度織物が特に好ましい。中衣としてはシャツ、ブラウスなどが好ましい用途である。
【0030】
このようにして得られた織物は、ポリアミド繊維の仮撚加工糸を毛羽や断糸を発生させることなく安定して製造ができ、布帛とした場合、ドレープ性が良好でドライ感、ソフト感に優れ、均一な濃色性を有する新感覚な風合いを持つポリアミド織物である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例で説明する。なお、以下の実施例、比較例で示した評価は、次の方法で実施したものである。
(1)仮撚加工性
未延伸糸または半延伸糸を500個用いて、3.0kg巻きの仮撚加工糸を得る際に糸切れや毛羽が発生しなかった仮撚加工糸の割合を仮撚加工性(%)とし、99.5%以上を合格とした。
(2)伸縮復元率(CR(%)と称す)
検尺機を用いて初張力:(0.088×繊度dtex)cNで、カセ長50cm、巻き数10回のカセを作り、これを90℃の熱水中に20分間浸漬後、吸取紙または布で水を切り、水平状態で自然乾燥させる。このカセ巻きを室温の水中に入れ、規定の初荷重と定荷重を掛けた状態での試料長:aを測定する。次に、定荷重を取り除き、試料に初荷重のみが負荷した状態で3分間水中で放置し、3分後の資料長:bを測定し、下式により伸縮復元率CR(%)を計算する。
なお、初荷重と定荷重は下式により求めたものを使用する。
【0032】
(3)捲縮伸長率(TR(%)と称す)
検尺機を用いて初張力:(0.088x繊度dtex)cNで、カセ長50cm、巻き数20回のカセを作り、初荷重をかけ、150±2℃で5分間乾熱処理する。乾熱処理後、初荷重を掛けた状態での試料長:aを測定する。次に、初荷重を外し、定荷重を掛けた状態での試料長:bを測定し、下式により捲縮伸長率TR(%)を計算する。なお、初荷重は下式により求めたものを使用する。
【0033】
(4)ソフト感、膨らみ感
風合いを10人の風合い判定者で官能判定し、
◎ :ソフトで膨らみがあり、極めて良好
○ : 良好
△ :ソフトで膨らみがなく、 やや不良
× : 不良
(5)ドライ感
風合いを10人の風合い判定者で官能判定し、
◎ :ドライ感があり、極めて良好
○ : 良好
△ :ドライ感がなく、やや不良
× : 不良
(6)ドレ−プ性は、1〜5級で官能評価した。
【0034】
5級 : フカサツキがなく、ドレープ性が大で極めて良好
4級 : フカツキがなく、ドレープ性が大で良好
3級 : フカツキ、ドレープ性普通
2級 : フカツキがあり、ドレープ性が少なく不良
1級 : フカツキが大きく、ドレープ性が少なく極めて不良
[実施例1]
<製糸・仮撚>
酸化チタン0.4wt%添加した極限粘度0.65のナイロン−6の重合体を紡糸速度3000m/minで溶融紡糸を行い得た143dtex、24フィラメント半延伸糸を延伸仮撚連続加工装置を用い、加熱ロ−ルの温度を110℃、引き取りロールの温度を常温、延伸倍率を1.69倍、延伸速度を820m/分として、撚り止め装置に回転ローラガイド、仮撚具に三軸摩擦型ディスク式仮撚装置を使用し、ディスク回転数を7000rpmとして、スピンドル式巻き取り装置にて3.0kg巻きのパーンを巻き取り、84.5dtex、24フィラメントの仮撚加工糸を得た。また、仮撚加工性も99.8%と非常に良好で、得られたパーンに毛羽は認められなかった。
なお、得られた仮撚加工糸の沸騰水収縮率は15%でCRは33%,TRは4.8%であった。
<織り・染め>
得られた仮撚加工糸を経糸及び緯糸に用い、ウォータージェット織機で製織した。この時の織物組織は平組織で織物密度は、経糸密度105本/吋、緯糸密度74本/吋に設定した。得られた生機を精練(95℃×2分、拡布連続精練機:ソフサー(ニッセン(株)製))し、次いでピンテンターで180℃×45秒で乾熱中間セツトした。次いで液流染色機で100℃×45、ブルーの酸性染料(5%染色)で染色し、ピンテンターで160℃×45秒で乾熱仕上げセツトした。織物の加工収縮率はタテ:15.3%、ヨコ:14.6%であり、構成糸繊度:96.6dtex、仕上げ経糸密度123本/吋、緯糸密度90本/吋であり、織物のカバーファクターは2093の織物であった。
この仕上げ織物の色は極めて均一な色相であり、かつ濃色の素晴らしい染色性であった。風合いは表1に示す。
【0035】
[比較例1]
<製糸・仮撚>
実施例1と同じナイロン−6半延伸糸を図2に示す従来の仮撚装置を使用し、仮撚ヒーター温度210℃、延伸倍率1.80倍、加工速度600m/min、仮撚具のディスク回転数7000rpmで延伸同時仮撚加工を行い、85dtex−24フィラメントの仮撚加工糸を得た。
なお、得られた仮撚加工糸のCRは45%、TRは21%であった。
<織り・染め>
上記従来の仮撚加工糸(84dtex−24f)を用いて、実施例1と同様な方法で製織した。この時の織物組織、織物密度も実施例と同様に設定した。また、得られた生機を実施例1と同様の処理、方法により染色加工し仕上げた。
【0036】
[比較例2]
従来の実繊糸(生糸84dtex−24f)を用いて、実施例1と同様な方法で製織した。この時の織物組織、織物密度も実施例と同様に設定した。また、得られた生機を実施例1と同様の処理、方法により染色加工し仕上げた。
【0037】
以上の結果をまとめ表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
[評価結果]
このように本発明の延伸仮撚加工連続工程から得られるポリアミド仮撚加工糸織物は、ドレ−プ性が良好でドライ感、膨らみ感、ソフト感に優れ従来の延伸糸や仮撚加工糸とは異なる新感覚な風合いを有する素晴らしいブルー色の織物が得られた。また、色は極めて均一な色相であり、かつ濃色の素晴らしい染色性であった。また、製織性および染色加工性は全く問題なく平滑に加工できた。
なお、比較例1では、従来の仮撚糸使い織物で高度な捲縮性を有しているため、布帛評価において、ドレープ性に乏しく比較例2では、膨らみ感、ソフト感に欠け、平凡な織物であった。
【0040】
[実施例2]
<製糸・仮撚>84.3dtex、52フィラメントの仮撚加工糸を得た以外は実施例1に従って、製糸、仮撚りした。仮撚加工性も99.7%と非常に良好で、得られたパ−ンに毛羽は認められなかった。
なお、得られた仮撚加工糸の沸騰水収縮率は14%でCRは31%,TRは3.7%であった。
<織り・染め>
得られた仮撚加工糸を経糸及び緯糸に用い、エアージェット織機で製織した。この時の織物組織はリップストップ組織で織物密度は、経糸密度141本/吋、緯糸密度88本/吋に設定した。得られた生機を精練(95℃×2分、拡布連続精練機:ソフサー(ニッセン(株)製))し、次いでピンテンターで180℃×45秒で乾熱中間セツトした。次いで液流染色機で100℃×45分、ネービーブルーの含金酸性染料(8%染色)で染色し、ピンテンターで160℃×45秒で乾熱仕上げセツトした。織物の加工収縮率はタテ:14.1%、ヨコ:14.6%であり、構成糸繊度:96.1dtex、仕上げ経糸密度161本/吋、緯糸密度101本/吋であり、織物のカバーファクターは2567の織物であった。
[評価結果]
本発明の延伸仮撚加工連続工程から得られるポリアミド加工糸織物は、ドレープ性が良好でドライ感、膨らみ感、ソフト感に優れ従来の延伸糸や仮撚加工糸とは異なる新感覚な風合いを有する素晴らしいネービーブルー色の織物が得られた。また、色は極めて均一な色相であり、かつ濃色の素晴らしい染色性であった。また、製織性および染色加工性は全く問題なく平滑に加工できた。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、延伸仮撚加工連続工程から得られるポリアミド繊維の仮撚加工糸を毛羽や断糸を発生させることなく安定して製造ができ、布帛とした場合、ドレープ性が良好でドライ感、ソフト感に優れ、均一な濃色性を有する新感覚な風合いを持つポリアミド織物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様を示す延伸仮撚連続加工工程の一例を示す概略図である。
【図2】従来の仮撚工程の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1:未延伸糸または半延伸糸
2:フィードロール
3:加熱ロール
4:セパレートロール
5:加熱ロールと糸条が離れる点
6:撚り止め装置
7:仮撚具
8:引き取りロール
9:ストレッチロール
10:パーン
20:未延伸糸
21:糸条解舒ガイド
22:供給ロール
23:仮撚ヒーター
24:仮撚具
25:引取ローラー
26:第2引取ローラー
27:仮撚糸チーズ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド織物に関する。さらに詳しくは、ドレープ性が良好でソフト感、ドライ感に優れ、従来の仮撚加工糸使用の織物とは異なる新感覚な風合いを有するポリアミド織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリアミド糸条の延伸仮撚連続加工または同時延伸仮撚加工、すなわち、従来の仮撚り方法は、加撚された糸条を加熱し、延伸と加撚熱固定を施した後、解撚する方法が主に採用されている。かつ、従来の仮撚加工は、加工速度を増加させた場合、安定加工のための加工張力増加や加熱ヒータ板上での加撚により、単繊維の伸長切断や糸条の熱劣化による毛羽や断糸が発生しやすいという問題を有する。また、熱セット時間の減少を補うため、加熱ヒーター長が長大化するという問題が生じる。
【0003】
さらに、従来の仮撚加工法により得られる仮撚加工糸は高い捲縮性を有しておるものであり、布帛とした場合、リラックスやプレセットおよび染色等の工程で捲縮が発現するので、布帛にフカツキと呼ばれるフワフワとした風合いでドレープ性が低下する問題がある。一方、仮撚りしない従来の延伸糸ではフカツキはないものの膨らみ感がなく、扁平な風合いになるなどの問題がある。
【0004】
一方、乾いた感じのドライ感のある風合いを持つ素材としてはポリエステルに代表されるシック・アンド・シンと呼ばれる太細糸があり、また、酸化チタンを比較的多量に含有させたフルダル糸とよばれるものがある。しかしながら、前者は太い部分の構造がルーズとなっているので、染料の染着が高く、細いところとの染着差が生じるために、杢染めとなって、均一な染色ができない問題がある。また、後者は艶消し剤の酸化チタンの白さが原因となって濃色が得られないとの問題があり、何れの場合も均一で、濃色が出せるドライ感のある素材はできなかったのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、ポリアミド繊維の仮撚加工糸を毛羽や断糸を発生させることなく安定して製造ができ、布帛とした場合、ドレープ性が良好でドライ感、ソフト感に優れ、均一な濃色性を有する新感覚な風合いを有するポリアミド織物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、以下の構成を採用する。すなわち、
(1)ポリアミド繊維の未延伸糸または半延伸糸を加撚前に60℃〜140℃の加熱体により加熱した後、仮撚具により仮撚を施すに際し、該加熱体から糸条が離れる点とは異なる、加熱体と仮撚具との間の位置に撚り止め装置を設け、該撚り止め装置を加撚開始点として、延伸仮撚加工を連続して行うことによって得られるポリアミドマチフィラメント仮撚加工糸を用いて織物にし、該織物を染色加工工程で加工収縮率6%〜50%に収縮させて仕上げられた織物であることを特徴とするポリアミド織物。
【0007】
(2)仕上げられた織物のカバーファクター(CF)が1500〜3000であることを特徴とする前記(1に記載のポリアミド織物。
【0008】
(3)染色加工工程における加工収縮が、湿熱80℃以上の湿熱処理および/または乾熱140℃以上の乾熱処理を施したものであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のポリアミド織物である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
まず、本発明におけるポリアミド繊維としては、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維のマルチフィラメントが採用できる。また、未延伸糸としては、紡糸速度が800〜2000m/分で紡糸されたものが好ましく採用でき、半延伸糸としては、紡糸速度が2000〜7000m/分で紡糸されたものが好ましく採用できる。なかでも、本加工においては、半延伸糸を用いることが本発明の特徴が出せるので、適用することが好ましい。
【0011】
本発明で用いる仮撚加工糸の製造方法は、合成繊維の未延伸糸または半延伸糸の延伸仮撚連続加工において、未延伸糸または半延伸糸を加撚前に60℃〜140℃の加熱体により加熱した後、該加熱体と仮撚具との間で、該加熱体から糸条が離れる点とは異なる位置に撚り止め装置を設け、該撚り止め装置を加撚開始点として、延伸仮撚加工を連続して行うものである。
【0012】
また、本発明で用いる仮撚加工糸の製造装置は、ポリアミド繊維の未延伸糸または半延伸糸を延伸仮撚する仮撚加工装置において、該未延伸糸を加撚前に60℃〜140℃の温度に加熱する加熱体を仮撚具の上流側に設けるとともに、該加熱体から糸条が離れる点とは異なる、加熱体と仮撚具との間の位置に撚り止め装置を設け、該撚り止め装置を加撚開始点として、延伸仮撚を行うようにするものである。
【0013】
図1は本発明に適用する仮撚装置の一実施態様を示す正面概略図である。上記ポリアミド繊維糸条の未延伸糸または半延伸糸1はフィードロール2を経て加熱ロール3とセパレートロール4からなる加熱体に数回巻き付けられて予備加熱され、撚り止め装置6、仮撚具7、引き取りロール8の間で延伸仮撚りが連続的に施されるのであるが(延伸は撚り止め装置6と仮撚具7との間で行われる)、加熱ロール3上の糸条が離れる点5とは異なる加熱ロール3から離れた加熱ローラ3と仮撚具7との間の位置に設けられた撚り止め装置6を加撚開始点として、延伸仮撚りが連続的に施される。次いで加熱していないストレッチロール9を経て、パーン10として巻き取られる。
【0014】
本発明の延伸仮撚連続加工とは、上記のようなインドロー方式でもよく、また、アウトドロー方式でもよい。
【0015】
本発明では、ポリアミド繊維糸条は非加撚状態で加熱されるので、糸条中の全単糸に均一かつ充分な熱量を付与することができる。また、加熱体上の糸条が離れる点と異なる位置に設けた撚り止め装置の糸条が接する点を加撚開始点としたため、加撚体への撚りの遡及を防止でき、毛羽や断糸が発生しない。さらに、撚り固定が糸条の加熱体から受ける熱により行われるので、撚り固定力は軽微である。そのため、本発明はかかる仮撚り加工性は極めて良好であり、かつ、得られる布帛は、従来の仮撚加工糸使いのようなドレープ性やソフト感の低下に起因する高い捲縮性を有さず、ドレープ性が良好で、ドライ感、ソフト感に優れ、均一な濃色性を有する新感覚な風合いを呈することができる。
【0016】
本発明の加撚前の加熱温度は60℃〜140℃とするものである。60℃未満では沸騰水収縮率が高くなりすぎ織物の風合いが硬くなり、好ましくない。また、140℃を超える場合は染色加工の加工収縮率が低くなりすぎ従来の延伸糸と同様のドライ感のない平凡な風合いになり、好ましくない。好ましくは60℃〜140℃であり、より好ましくは80℃〜110℃である。
【0017】
かかる方法で得られた加工糸は加工糸の特性として 伸縮復元率および捲縮伸長率で評価することができる。すなわち、伸縮復元率は織物にした後、染色加工での湿熱を受けた場合の捲縮の復元度合いを評価することができる。また、捲縮伸長率は同様に染色加工における乾熱での捲縮の収縮と伸長の度合いを評価することができる。従来の仮撚り加工糸は伸縮復元率は40〜60%と高く、捲縮伸長率では15〜30%といずれも高い。そのため、捲縮の発現が高くなり過ぎ、フカツキがありフワフワした風合いとなる。本発明で適用する仮撚り加工糸の伸縮復元率は10〜35%と中程度で、捲縮伸長率は3〜10%といずれも適度な値を示す特性である。そのため、捲縮の発現がそう大きくないため、布帛にドレープ性があり、ソフトでドライ感溢れる新規な風合いを創出できるのである。
【0018】
かかる仮撚り加工糸を用いて本発明においては、織物とする。織機としては、フライシャットル式、エアージェット式、ウォータージェット式、レピア式、スルザー式の何れの方式の織機を使用しても良いが効率的な製織を行えることから、エアージェット式、ウォータージェット式、レピア式、スルザー式が特に好ましい。
【0019】
仮撚加工糸は織物の経糸または緯糸、あるいは経糸、緯糸の双方に用いることができる。
【0020】
織物の組織としては、限定されるものではないが、平織、ツイル、リップストップ組織が本発明の特徴が発揮できるので好ましい。
【0021】
織物の密度は後述する織物の仕上げにおけるカバーファクターの範囲に生機の密度を設計するものであるが、加工糸の収縮を見込んで、比較的粗い密度で製織することが本発明の特徴が発揮できることから、好ましい。
【0022】
次いで、本発明の加工糸を織物に製織した後、染色加工をするものであるが、該織物を染色加工工程で加工収縮率が6%〜50%になるように収縮させ、仕上げられた織物とするものである。加工収縮率が6%未満では膨らみのない風合いになり好ましくない。また、50%を超える場合は織物が硬くなり好ましくない。より好ましくは10%〜30%が本発明の特徴がでるので好ましい。なお、織物の加工収縮とは織り上がりの織物(生機)に対する染色加工工程における収縮率であり、織物の幅方向および/または長さ方向の収縮率をいう。
【0023】
かかる加工収縮率を得る加工方法としては、湿熱80℃以上の湿熱処理(精練、染色)および/または乾熱140℃以上の乾熱処理(中間セット、仕上げセット)を施し、仕上ることができる。
【0024】
80℃以上の湿熱処理としては、精練、染色が該当するが、これ以外にスチーム処理であっても適用できる。80℃未満の処理温度では織物の収縮が低く、風合いが扁平になり、好ましくない。また、湿熱130℃を超える温度ではポリアミド繊維が加水分解して強度低下、風合い硬化を惹起することから、80℃〜130℃が好ましく、90℃〜110℃がより好ましい。
【0025】
精練方法としては加工シワを発生させないことから、連続式、拡布処理方法がよい。オープンソーパやソフサー(ニツセン(株)製)が好ましく適用できる。また、140℃以上の乾熱処理としては、精練後の中間セットや染色後の仕上げセットが該当する。乾熱140℃未満の処理温度では織物の収縮が低く、風合いが扁平になり、好ましくない。一方、200℃を超える処理温度では風合い硬化、黄変の問題があることから、140℃〜200℃が好ましく、160℃〜190℃がより好ましい。
【0026】
かかる加工により仕上げられた織物のカバーファクター(CF)としては、1500〜3000が好ましい。カバーファクター(CF)が1500未満では収縮が低く、風合いが扁平となり、好ましくない。また、3000を超える場合は染色加工の加工収縮率が高くなりすぎ、風合いが硬くなり、好ましくない。好ましくは1500〜3000であり、より好ましくは1800〜2800である。かかるカバーファクターは加工糸の収縮率、生機の密度、加工条件によって設定することができる。
【0027】
具体的には、例えば84デシテックスの加工糸の収縮率が15%であるならば、経糸密度:140本/吋、緯糸密度:90本/吋で製織し(生機のカバーファクター:2108)、これを前記加工条件で織物をタテ方向およびヨコ方向にそれぞれ15%収縮させれば、仕上げ織物のカバーファクターは2424となり、好ましい特性のものが得られる。
【0028】
なお、仕上げ織物のカバーファクター(CF)とは次に定義したものである。
【0029】
仕上げ織物のカバーファクター(CF)=W・D1/2+C・D1/2
(ただし、W:仕上げ織物の経糸密度(本/吋)、C:仕上げ織物の緯糸密度(本/吋)、D:仕上げ織物の構成糸繊度:デシテツクス)
かかる仕上げた織物の用途としては、外衣,中衣が好ましく適用できる。外衣としてはブルゾン、ジャンパー、コートなどであり、撥水加工やカレンダー加工あるいはウレタン膜加工したスポーツ用高密度織物が特に好ましい。中衣としてはシャツ、ブラウスなどが好ましい用途である。
【0030】
このようにして得られた織物は、ポリアミド繊維の仮撚加工糸を毛羽や断糸を発生させることなく安定して製造ができ、布帛とした場合、ドレープ性が良好でドライ感、ソフト感に優れ、均一な濃色性を有する新感覚な風合いを持つポリアミド織物である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例で説明する。なお、以下の実施例、比較例で示した評価は、次の方法で実施したものである。
(1)仮撚加工性
未延伸糸または半延伸糸を500個用いて、3.0kg巻きの仮撚加工糸を得る際に糸切れや毛羽が発生しなかった仮撚加工糸の割合を仮撚加工性(%)とし、99.5%以上を合格とした。
(2)伸縮復元率(CR(%)と称す)
検尺機を用いて初張力:(0.088×繊度dtex)cNで、カセ長50cm、巻き数10回のカセを作り、これを90℃の熱水中に20分間浸漬後、吸取紙または布で水を切り、水平状態で自然乾燥させる。このカセ巻きを室温の水中に入れ、規定の初荷重と定荷重を掛けた状態での試料長:aを測定する。次に、定荷重を取り除き、試料に初荷重のみが負荷した状態で3分間水中で放置し、3分後の資料長:bを測定し、下式により伸縮復元率CR(%)を計算する。
なお、初荷重と定荷重は下式により求めたものを使用する。
【0032】
(3)捲縮伸長率(TR(%)と称す)
検尺機を用いて初張力:(0.088x繊度dtex)cNで、カセ長50cm、巻き数20回のカセを作り、初荷重をかけ、150±2℃で5分間乾熱処理する。乾熱処理後、初荷重を掛けた状態での試料長:aを測定する。次に、初荷重を外し、定荷重を掛けた状態での試料長:bを測定し、下式により捲縮伸長率TR(%)を計算する。なお、初荷重は下式により求めたものを使用する。
【0033】
(4)ソフト感、膨らみ感
風合いを10人の風合い判定者で官能判定し、
◎ :ソフトで膨らみがあり、極めて良好
○ : 良好
△ :ソフトで膨らみがなく、 やや不良
× : 不良
(5)ドライ感
風合いを10人の風合い判定者で官能判定し、
◎ :ドライ感があり、極めて良好
○ : 良好
△ :ドライ感がなく、やや不良
× : 不良
(6)ドレ−プ性は、1〜5級で官能評価した。
【0034】
5級 : フカサツキがなく、ドレープ性が大で極めて良好
4級 : フカツキがなく、ドレープ性が大で良好
3級 : フカツキ、ドレープ性普通
2級 : フカツキがあり、ドレープ性が少なく不良
1級 : フカツキが大きく、ドレープ性が少なく極めて不良
[実施例1]
<製糸・仮撚>
酸化チタン0.4wt%添加した極限粘度0.65のナイロン−6の重合体を紡糸速度3000m/minで溶融紡糸を行い得た143dtex、24フィラメント半延伸糸を延伸仮撚連続加工装置を用い、加熱ロ−ルの温度を110℃、引き取りロールの温度を常温、延伸倍率を1.69倍、延伸速度を820m/分として、撚り止め装置に回転ローラガイド、仮撚具に三軸摩擦型ディスク式仮撚装置を使用し、ディスク回転数を7000rpmとして、スピンドル式巻き取り装置にて3.0kg巻きのパーンを巻き取り、84.5dtex、24フィラメントの仮撚加工糸を得た。また、仮撚加工性も99.8%と非常に良好で、得られたパーンに毛羽は認められなかった。
なお、得られた仮撚加工糸の沸騰水収縮率は15%でCRは33%,TRは4.8%であった。
<織り・染め>
得られた仮撚加工糸を経糸及び緯糸に用い、ウォータージェット織機で製織した。この時の織物組織は平組織で織物密度は、経糸密度105本/吋、緯糸密度74本/吋に設定した。得られた生機を精練(95℃×2分、拡布連続精練機:ソフサー(ニッセン(株)製))し、次いでピンテンターで180℃×45秒で乾熱中間セツトした。次いで液流染色機で100℃×45、ブルーの酸性染料(5%染色)で染色し、ピンテンターで160℃×45秒で乾熱仕上げセツトした。織物の加工収縮率はタテ:15.3%、ヨコ:14.6%であり、構成糸繊度:96.6dtex、仕上げ経糸密度123本/吋、緯糸密度90本/吋であり、織物のカバーファクターは2093の織物であった。
この仕上げ織物の色は極めて均一な色相であり、かつ濃色の素晴らしい染色性であった。風合いは表1に示す。
【0035】
[比較例1]
<製糸・仮撚>
実施例1と同じナイロン−6半延伸糸を図2に示す従来の仮撚装置を使用し、仮撚ヒーター温度210℃、延伸倍率1.80倍、加工速度600m/min、仮撚具のディスク回転数7000rpmで延伸同時仮撚加工を行い、85dtex−24フィラメントの仮撚加工糸を得た。
なお、得られた仮撚加工糸のCRは45%、TRは21%であった。
<織り・染め>
上記従来の仮撚加工糸(84dtex−24f)を用いて、実施例1と同様な方法で製織した。この時の織物組織、織物密度も実施例と同様に設定した。また、得られた生機を実施例1と同様の処理、方法により染色加工し仕上げた。
【0036】
[比較例2]
従来の実繊糸(生糸84dtex−24f)を用いて、実施例1と同様な方法で製織した。この時の織物組織、織物密度も実施例と同様に設定した。また、得られた生機を実施例1と同様の処理、方法により染色加工し仕上げた。
【0037】
以上の結果をまとめ表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
[評価結果]
このように本発明の延伸仮撚加工連続工程から得られるポリアミド仮撚加工糸織物は、ドレ−プ性が良好でドライ感、膨らみ感、ソフト感に優れ従来の延伸糸や仮撚加工糸とは異なる新感覚な風合いを有する素晴らしいブルー色の織物が得られた。また、色は極めて均一な色相であり、かつ濃色の素晴らしい染色性であった。また、製織性および染色加工性は全く問題なく平滑に加工できた。
なお、比較例1では、従来の仮撚糸使い織物で高度な捲縮性を有しているため、布帛評価において、ドレープ性に乏しく比較例2では、膨らみ感、ソフト感に欠け、平凡な織物であった。
【0040】
[実施例2]
<製糸・仮撚>84.3dtex、52フィラメントの仮撚加工糸を得た以外は実施例1に従って、製糸、仮撚りした。仮撚加工性も99.7%と非常に良好で、得られたパ−ンに毛羽は認められなかった。
なお、得られた仮撚加工糸の沸騰水収縮率は14%でCRは31%,TRは3.7%であった。
<織り・染め>
得られた仮撚加工糸を経糸及び緯糸に用い、エアージェット織機で製織した。この時の織物組織はリップストップ組織で織物密度は、経糸密度141本/吋、緯糸密度88本/吋に設定した。得られた生機を精練(95℃×2分、拡布連続精練機:ソフサー(ニッセン(株)製))し、次いでピンテンターで180℃×45秒で乾熱中間セツトした。次いで液流染色機で100℃×45分、ネービーブルーの含金酸性染料(8%染色)で染色し、ピンテンターで160℃×45秒で乾熱仕上げセツトした。織物の加工収縮率はタテ:14.1%、ヨコ:14.6%であり、構成糸繊度:96.1dtex、仕上げ経糸密度161本/吋、緯糸密度101本/吋であり、織物のカバーファクターは2567の織物であった。
[評価結果]
本発明の延伸仮撚加工連続工程から得られるポリアミド加工糸織物は、ドレープ性が良好でドライ感、膨らみ感、ソフト感に優れ従来の延伸糸や仮撚加工糸とは異なる新感覚な風合いを有する素晴らしいネービーブルー色の織物が得られた。また、色は極めて均一な色相であり、かつ濃色の素晴らしい染色性であった。また、製織性および染色加工性は全く問題なく平滑に加工できた。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、延伸仮撚加工連続工程から得られるポリアミド繊維の仮撚加工糸を毛羽や断糸を発生させることなく安定して製造ができ、布帛とした場合、ドレープ性が良好でドライ感、ソフト感に優れ、均一な濃色性を有する新感覚な風合いを持つポリアミド織物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様を示す延伸仮撚連続加工工程の一例を示す概略図である。
【図2】従来の仮撚工程の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1:未延伸糸または半延伸糸
2:フィードロール
3:加熱ロール
4:セパレートロール
5:加熱ロールと糸条が離れる点
6:撚り止め装置
7:仮撚具
8:引き取りロール
9:ストレッチロール
10:パーン
20:未延伸糸
21:糸条解舒ガイド
22:供給ロール
23:仮撚ヒーター
24:仮撚具
25:引取ローラー
26:第2引取ローラー
27:仮撚糸チーズ
Claims (3)
- ポリアミド繊維の未延伸糸または半延伸糸を加撚前に60℃〜140℃の加熱体により加熱した後、仮撚具により仮撚を施すに際し、該加熱体から糸条が離れる点とは異なる、加熱体と仮撚具との間の位置に撚り止め装置を設け、該撚り止め装置を加撚開始点として、延伸仮撚加工を連続して行うことによって得られるポリアミドマチフィラメント仮撚加工糸を用いて織物にし、該織物を染色加工工程で加工収縮率6%〜50%に収縮させて仕上げられた織物であることを特徴とするポリアミド織物。
- 仕上げられた織物のカバーファクター(CF)が1500〜3000であることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド織物。
- 染色加工工程における加工収縮が、湿熱80℃以上の湿熱処理および/または乾熱140℃以上の乾熱処理を施したものであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド織物。
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