JP6454295B2 - 高密度織物 - Google Patents

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本発明は、ダウンプルーフ性を有する軽量薄地の高密度織物に関する。
再生セルロース繊維は、汎用繊維の中でも吸放湿性に優れかつ柔らかいため、衣料品や寝装品等に多用されているが、再生セルロースは、吸湿したり水に濡れて膨潤したときに繊維長手方向に大きく伸びてしまう特性がある。羽毛布団用側地やダウンジャケット等の高密度に織ってダウンプルーフ性を施した織物では、雨に濡れたり洗濯することで繊維が伸びて通気度が高くなってしまい、羽毛が噴き出しやすくなる問題があった。
再生セルロースの膨潤を抑えて寸法安定性を高める一つの手段としては、セルロース繊維を架橋する方法がある。しかし、この架橋する方法だけでは、水に濡れたときの繊維の膨潤を十分に抑制できるのものではない。更に、架橋されたセルロースは、物性が大きく低下して繊維の柔軟性が低下するため、風合いが硬くなり、薄地高密度織物に適用するのは難しかった。
特許文献1には、熱収縮率が15〜40%のポリエステルフィラメントと溶剤紡糸セルロース繊維からなる紡績糸を含む織物でダウンプルーフ性を有する高密度織物が提案されている。しかし、この文献に開示されている織物は朱子織であり,高密度にしやすい朱子織はダウンプルーフ性を得やすいが、目付が重く厚みが出てしまい、軽量で薄い織物にすることはできなかった。また、朱子織は、織物組織点が少ないため、糸が動きやすくてミシン穴が大きくなったり、縫い目滑脱が起こりやすい問題があり、ダウンジャケットなどの縫い目に大きな力が掛かる用途には使い難かった。
特許文献2には、ポリエステルフィラメントのギラツキ感や滑り、綿のカサツキ感がないダウンプルーフ織物として、ポリエスステルフィラメントと再生セルロース繊維の紡績糸とを交織した高密度織物が提案されている。しかし、この文献の織物は、平織で高密度に織っている織物の欠点として、生地の擦れ音が強いことがあった。また、ダウンジャケットや羽毛布団、寝袋では、更に薄くて軽い織物が要望されていた。
特開2013−209756号公報 特開2003−138446号公報
本発明は、上記のような従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、薄くて軽量な洗濯耐久性のあるダウンプルーフ性に優れた高密度織物でありながら、柔軟性に富んで、擦れ音が抑制された織物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、以下の(1)〜(4)の構成を有するものである。
(1)疎水性フィラメントが経糸及び/又は緯糸に配されており、かつ単糸繊度が0.3〜0.8dtexのポリエステル短繊維と再生セルロース繊維を90:10〜40:60の重量比で混用した英式番手60〜200番手の紡績糸が緯糸及び/又は経糸に配された織物であり、織物のカバーファクターが1800〜2500であり、洗濯3回後の通気度が3.0cc/cm/秒以下であることを特徴とする高密度織物。
(2)目付が40〜95g/m、厚みが0.05〜0.12mm、117.7N荷重時の滑脱抵抗力が0.1〜3mmであることを特徴とする(1)に記載の高密度織物。
(3)織物の剪断剛性の経緯の平均値が2.70gf/cm・deg以下であり、織物を擦ったときに発生する音圧が70dB以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の高密度織物。
(4)経糸が単糸繊度0.2〜0.8dtexでかつ総繊度5〜45dtexであるポリエステルマルチフィラメントからなり、かつ緯糸がポリエステル短繊維と再生セルロース繊維の混紡糸からなる平織であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の高密度織物。
本発明によれば、洗濯耐久性のあるダウンプルーフ性に優れ、柔軟性に富み、生地の擦れ音が抑制された薄地軽量高密度織物が提供されることができる。
以下、本発明の高密度織物を詳細に説明する。
本発明の高密度織物は、特に単糸繊度が0.3〜0.8dtexのポリエステル短繊維とセルロース再生繊維を90:10〜40:60の重量比で混用した細繊度の紡績糸を経糸及び/又は緯糸に用いること、そしてそれとは反対側の緯糸及び/又は経糸に疎水性フィラメントを用いることに大きな特徴がある。ポリエステル短繊維を紡績する場合、一般には0.8dtex以下の細繊度になると紡績性が極端に悪化することが知られている。本発明では、そのようなポリエステル短繊維に再生セルロース繊維をうまく混用することで、紡績が難しい0.8dtex以下のポリエステル繊維を英式番手60番手以上の細番手にして安定的に紡出することができる。
一方、再生セルロース繊維を使った織物は、風合いが柔らかいことに特徴があるが、前述のように、水を含むと繊維が伸びて寸法安定性がなくなる。本発明では、疎水性のポリエステル短繊維と再生セルロース繊維を90:10〜40:60の重量比で混用することで、この寸法安定性を改善することができる。すなわち、本発明の高密度織物に配される紡績糸は、0.8dtex以下(0.3dtex以上)のポリエステル短繊維と再生セルロース繊維を混紡して英式番手60番手以上の細番手糸としているので、その糸は非常に柔らかくて、例えば高密度の平織等にして糸が非常に拘束される織物にしたときでも柔軟性が保持され柔らかな風合いにすることができる。更に、この紡績糸を使った本発明の高密度織物は、織物を擦ったり折り曲げたときの糸同士がずれたときに発生する擦れ音を大きく抑制することができる。
このような構成の本発明の高密度織物の風合特性を評価したところ、特に剪断伸度(織物に平行して斜めに引っ張ったときの伸度)が高くて、剪断柔らかさが大きく向上していることが判明した。剪断力は、隣接する糸同士や、交差する経糸と緯糸がずれるように働くため、高密度にすると糸同士がずれたときの擦れ音が強くなるが、本発明の織物では、剪断伸度が向上した上述の紡績糸を経緯の少なくとも一方に用いることにより、この擦れ音を大きく低減することができる。
本発明の高密度織物に使用される紡績糸に含まれるポリエステル短繊維と再生セルロース繊維の重量比は、90:10〜40:60、好ましくは85:15〜50:50、更に好ましくは85:15〜60:40である。再生セルロースの比率が上記範囲を超えると、洗濯後の寸法安定性が低下して、通気度が高まりやすい。また、上記範囲未満になると、可紡性が低下して安定な生産が難しくなる。
また、本発明の高密度織物に使用される紡績糸に含まれる再生セルロース繊維の混率(重量%)は10〜60%であることが好ましく、より好ましくは15%〜55%、更に好ましくは20〜50%である。再生セルロース繊維がこの混率の範囲にあれば、織物がより柔らかくなり、織物の擦れ音も低減することができる。また、再生セルロースは、合成繊維に比べて水分率が高く吸湿性があるので、着用中のムレ感を低減できて着用快適性を高める効果がある。混率が上記範囲を超えると、紡績糸の水膨潤性が高まり、ダウンプルーフ性の洗濯耐久性が低下しやすくなり、上記範囲未満であると、紡績性が低下しやすくなったり、着用快適性が低下しやすくなる。
再生セルロース繊維としては、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、ハイウエットモジュラス等のパルプを原料とするセルロース繊維や、コットンリンターを原料とするキュプラ等が挙げられる。なお、セルロースをN−メチルモルホリンN−オキシドの水溶液に溶解して紡糸したリヨセルなどの溶剤紡糸セルロース繊維を使っても本発明と同様の効果があるので本発明の再生セルロース繊維に含まれるものとする。本発明の再生セルロース繊維は、紡績糸に用いるために25〜100mmの長さにカットして用いることが好ましい。より好ましい繊維長は30〜55mmである。
本発明で使用する紡績糸には、本発明の効果を達成する限り、0.3〜0.8dtex以下のポリエステル短繊維と再生セルロース繊維以外の他の繊維を混紡することができる。混紡できる繊維としては、綿、麻、絹、ウールなどの天然繊維や、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル、ポリウレタンなどの合成繊維などが挙げられる。
本発明で使用する紡績糸の英式番手は、60〜200番手が好ましい。65〜150番手がより好ましく、70〜120番手が更に好ましい。紡績糸の繊度を下げることで、織物をより軽く、柔軟にすることができる。英式番手が上記範囲より太いと、高密度織物にしたときに風合いが硬く、生地が重たく感じ、上記範囲より細いと、糸強力が低くなりすぎて高密度織物にするのが困難になる。
本発明の高密度織物において、上述の紡績糸を経糸及び/又は緯糸に用いることが必要であるが、紡績糸の混用率(含有率)は、織物全体に対して、25重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。混用率が上記範囲未満であると、本発明の目的とする柔らかな織物になりにくく、擦れ音が大きくなりやすい。本発明の織物における再生繊維混用紡績糸と疎水性フィラメントを合算した混用率は50〜100重量%にするのが好ましく、より好ましくは60〜100重量%である。この混用率が上記範囲未満になると、柔らかで擦れ音が少ないダウンプルーフ織物とすることが難しくなる。
また、本発明の疎水性フィラメントは、本発明の高密度織物において、経糸及び/又は緯糸に用いられるが、前記紡績糸と経緯反対側に用いることが好ましい。上述の紡績糸を経糸及び緯糸の両方に用いる場合は、疎水性フィラメントを経糸及び緯糸の両方に用いることが好ましい。疎水性フィラメントを前記紡績糸と交わる方向に用いることで寸法変化を効果的に抑制することができる。疎水性フィラメントは、洗濯時の水分の影響による寸法変化が極めて少ないので、疎水性フィラメントを交織することで水を含んだときの織目の緩みが低減され、洗濯後のダウンプルーフ性にも優れた織物とすることができる。
また、疎水性フィラメントは、単糸繊度が0.2〜0.8dtexのマルチフィラメントからなることが好ましい。この疎水性フィラメントとしてかかるマルチフィラメントを使用することで、本発明の柔らかな風合いとダウンプルーフ性を効果的に高めることができる。また、疎水性フィラメントの総繊度は5〜45dtexとするのが好ましい。より好ましくは10〜40dtexであり、更に好ましくは15〜35dtexである。疎水性フィラメントの総繊度を細くすることで、薄くて軽い高密度織物とすることができる。総繊度が上記範囲未満では、経糸密度が高くなりすぎて織物の生産性が低下しやすく、上記範囲を超えると、分厚く重たい生地になりやすくなる。
本発明の疎水性フィラメントとしては、例えばポリエステルマルチフィラメント、ナイロンマルチフィラメント等の水分率が4%以下の疎水性の高いフィラメントが挙げられる。ポリエステルは、ナイロンに比べて単糸繊度を細く紡糸することが容易であるため、ポリエステルマルチフィラメントが好適に用いられる。
疎水性フィラメントには、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、艶消し剤、難燃剤、抗酸化剤などの各種の添加剤が含有されていてもよい。フィラメントの断面形状については、特に限定されず、丸断面であってもよいし、偏平、三角、四角、十字、多葉、中空などの異型断面であってもよい。
本発明の高密度織物において、疎水性フィラメントの混率(重量%)は、織物全体の30〜70%であることが好ましく、より好ましくは35〜65%、さらにより好ましくは40〜60%である。疎水性フィラメントの混率が上記範囲未満になると、洗濯後に通気度が低下しやすくなり、上記範囲を超えると、紡績糸の混率が低下して、再生セルロースの吸湿性が得られず、着用快適性が低下しやすくなる。
本発明の高密度織物においては、前記紡績糸および疎水性フィラメントは、前述したようにそれぞれ織物の経糸または緯糸のいずれかに用いられる。例えば、紡績糸を経糸又は緯糸に用いて、疎水性フィラメントをその逆の緯糸又は経糸に用いてもよいし、両者を並列にして経糸および緯糸に交織して用いてもよい。但し、紡績糸と疎水性フィラメントは、糸の伸度や染色加工中の収縮挙動が違うため、それぞれ経緯別々に用いることがより好ましい。
本発明の高密度織物は、薄くて軽くするために綾織、平織、リップストップタフタ組織を好ましく用いることができる。綾織の場合は2/1にするのが好ましい。3/1以上の浮き組織になると通気度の洗濯耐久性を高めるために更に高密度にする必要があり、分厚く重たいものになりやすくなる。より好ましくは、平織又はリップストップタフタ組織である。
本発明の高密度織物は、カバーファクター(CF)が1800〜2500であることが好ましい。より好ましくは1950〜2300であり、更に好ましくは2000〜2250である。カバーファクターが上記範囲未満になると、目的とするダウンプルーフ性が得られにくくなり、上記範囲を超えると、目付が重くなるとともに、擦れ音が大きくなりやすい。また、風合いも硬くなりやすくなる。
ここで本発明におけるカバーファクターとは、経緯糸の繊度と織密度を測定した後、下記式によって算出した値である。
CF=W×(Dw)1/2×W+(Df)1/2×F
なお、上記式中、略語は以下のものを示す。
Dw:経糸の繊度(dtex)
Df:緯糸の繊度(dtex)
W :織物幅方向2.54cmあたりの経糸本数
F :織物長さ方向2.54cmあたりの緯糸本数
なお、上記式において、繊度単位がデシテックス以外の場合は、デシテックスに換算して代入する。単位が英式番手(綿番手)の場合は、デシテックス繊度=5846.4/綿番手として計算する。
本発明の高密度織物の目付は、40〜95g/mが好ましく、より好ましくは45〜90g/m、更に好ましくは45〜80g/mである。目付は、使用する経緯糸の総繊度と経緯密度で調整することができる。目付を上記範囲未満にすると、軽い織物にできるがダウンプルーフ性が低下しやすい。また、上記範囲を超えると、重たくなって本発明の目的に合わなくなる。
本発明の高密度織物の厚みは、0.05〜0.12mmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.11である。厚みが上記範囲より薄くなると、摩耗耐久性が低下して、使用中にダウンプルーフ性が低下しやすく商品寿命が短くなりやすい。また、上記範囲を超えると、分厚い織物になり本発明の目的にそぐわない。
本発明では、織物のダウンプルーフ性を示す指標として通気度を用いている。本発明の高密度織物においては、家庭洗濯を3回した後において、JIS L1096.8.27.1A法(フラジール法)にて測定された通気度が、3cc/cm/秒以下であることが必要であり、2.5cc/cm/秒以下であることが好ましい。本発明においては、この通気度が上記範囲を超えると、ダウンプルーフ性に劣るものと判断され、ダウンプルーフ性を必要とする羽毛布団用側地やダウンジャケットなどの用途に使用した場合、洗濯した後に羽毛が噴出しやすくなる。
本発明の高密度織物は、カレンダー処理して目潰しすることが好ましい。カレンダー処理とは、織物をローラーで挟んで高い圧力と熱をかけることで織物の厚み方向に押しつぶす加工である。これにより高密度織物の糸と糸の隙間が更に狭まって通気度を低下させて、ダウンが噴き出すことを防ぐことができる。カレンダー処理の圧力は、50〜300kg/cmが好ましい。カレンダーロールの温度は特に限定されないが、50〜200℃でポリエステルが溶融しない温度で加工するのが好ましい。
本発明の高密度織物は、滑脱抵抗力が117.7N荷重時に3mm以下、特に0.1〜3.0mmと縫い目が開きにくく、縫い目から羽毛が噴き出し難くすることができる。より好ましい織物では、この滑脱抵抗力を0.1〜2.0mmとすることができる。
本発明の高密度織物は、柔軟性があり、高密度でありながら剪断剛性を低くすることができることが特徴である。従来の高密度織物は、柔軟性がなく、剪断方向の伸度が低いので、KES風合測定器による剪断剛性が計測できないレベルであったが、本発明の織物は、剪断方向に柔軟性があり、剪断剛性Gを2.7gf/cm・deg.以下、より好ましくは0.8〜2.5gf/cm・deg.とすることができる。
本発明の高密度織物は、上述のような特性を有するので、内側に羽毛を封入して使用する羽毛布団用側地やダウンジャケットなど、ダウンプルーフ性やウールプルーフ性が必要とされる用途に好適に用いることができる。
本発明の効果を以下の実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例にて得られた織物の各評価方法は、以下の通りである。
(1)総繊度
フィラメントの総繊度は、JIS L1013 8.3.1 正量繊度に従って測定した。紡績糸の総繊度は、JIS L1095 9.4.4 正量番手に従って測定した。
(2)単糸繊度
フィラメントの単糸繊度は、総繊度から糸を構成するフィラメント本数を数えて、総繊度から一本当りの繊維の単糸繊度を算出した。紡績糸を構成する繊維の単糸繊度は、JIS L1015 8.5.1 A法 正量繊度に従って測定した。
(3)密度
JIS L1096 8.6.1 A法 密度に従って測定した。
(4)目付
JIS L1096 8.3 A法 単位面積当りの質量に従って測定した。
(5)厚み
JIS L1096 8.8.4 A法 厚さに従って測定した。
(6)滑脱抵抗力
JIS L1096 8.23 B法 滑脱抵抗力に従って測定した。荷重は117.7Nとした。
(7)カバーファクター(CF)
仕上がった織物について下記式に従ってカバーファクター(CF)を算出した。
カバーファクター(CF)=(経糸繊度)1/2×経密度+緯糸繊度1/2)×緯密度
(8)通気度(ダウンプルーフ性)
JIS L1096.8.27.1A法(フラジール法)に従って測定した。
(9)洗濯方法
JIS−L0217 103法に従って洗濯を3回行った。乾燥は吊り干しで行った。
(10)柔らかさ
織物の柔らかさについて、熟練者5人により官能評価を行い、測定した織物のうち最も柔らかいものをA、最も硬く感じたものをEとして、A(最も良い)>B>C>D>E(最も劣る)の5段階で順位付けした。
(11)剪断剛性G
KES(Kawabata Evaluation System)の剪断試験法(繊維機械学会誌,26,P721(1973))に従い、カトーテック社製剪断試験機 KES−FB1を用いて剪断剛性G(gf/cm・deg)を求めた。測定条件は、サンプル幅20cm、チャック間隔5cm、最大剪断ずり量±8deg.、引張張力200gfとした。なお、織物の経緯方向の値の平均値で表示した。
(12)擦れ音
騒音計としてサンワサプライ製小型サウンドレベルメーター400−TST901Aを使用した。測定試料は音圧が30dB以下の静かな室内で評価した。測定試料は30cm×30cmの大きさにカットして測定に供した。騒音計を机の上に置き、測定者の手の平を上に向けて測定マイクから15cm真上に手の平がくるようにして、手の平に測定試料を乗せて、5本の指で織物を包むようにして、織物を介して指と指を擦らせるようにシゴいた。1分間シゴく間に測定した音圧の最大値を記録した。最大音圧が低いほど擦れ音が少ない生地と言える。
1.紡績糸Aの製造
単糸繊度0.6dtexのポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維(カット長38mm,横断面:丸断面、酸化チタン含有量0.5重量%)と再生セルロース繊維(単糸繊度1.0dtexのハイウェットモジュラスレーヨン(レンチング社製 モダール(登録商標)、カット長38mm))を80:20の重量割合でOHARA製混綿機を用いて混綿混紡した後、石川製作所製カード機を用いてカードスライバーを作った。コーマ機にかけて繊維長の長いものだけを残し、原織機製練条機に2回通して210ゲレン/6ydのスライバーとした。更に豊田自動織機製粗紡機に通して61ゲレン/15ydの粗糸を作成した。次いで精紡機でこの粗糸に約41.7倍のドラフトをかけ、英式番手80番手の単糸(撚り係数3.7Twist/inch)を作製した。
2.紡績糸Bの製造
紡績糸Aに対して使用する再生セルロース繊維を単糸繊度0.6dtexのレーヨン短繊維(ダイワボウレーヨン製 BHタイプ、繊維長32mm)に変更し、PET短繊維と再生セルロース繊維の混率を50:50の重量割合に変更した以外は紡績糸Aと同様に、カード、コーマ、練条、粗紡、精紡を行い、英式番手100番手(撚係数3.7Twist/inch)の単糸を作製した。
3.紡績糸Cの製造
紡績糸Aに対して使用するPET短繊維の単糸繊度を1.2dtex(繊維長38mm、丸断面、酸化チタン含有量0.15重量%)に変更し、PET短繊維と再生セルロース繊維の混率を65:35の重量割合に変更した以外は紡績糸Aと同様に、カード、コーマ、練条、粗紡、精紡を行い、英式番手60番手(撚係数3.7Twist/inch)の単糸を作製した。
4.紡績糸Dの製造
PET短繊維を用いず、再生セルロース繊維(単糸繊度1.0dtexのハイウェットモジュラスレーヨン)を100%用いた以外は紡績糸Aと同様に紡績して、英式番手80番手(撚係数3.6Twist/inch)の単糸を作製した。
(実施例1)
経糸としてセミダル丸断面のポリエステルフィラメント[33デシテックス/72フィラメント]を使用し、常法にて整経、糊付け後、筬密度65本/鯨寸(1鯨寸=3.788cm)、筬入れ本数4本として、緯糸に前述の紡績糸Aを用いてエアージェットルーム織機で高密度な平織物を製織した。この生機の経糸密度は177本/2.54cm、緯糸密度は123本/2.54cmであった。この生機を常法の連続法にて糊抜き,精練を行い、180℃でプレセット後、分散染料で高圧染色にてサックスに染色した。これに帯電防止剤、柔軟剤を付与、乾燥後、160℃でファイナルセットした。更にカレンダー加工(160℃×圧力300N/cm)して実施例1の織物を得た。得られた織物の経糸密度は189本/2.54cm、緯糸密度は132本/2.54cmであった。この織物の詳細と評価結果を表1に示す。
(実施例2)
経糸としてセミダル丸断面のポリエステルフィラメント[22デシテックス/48フィラメント]を使用し、常法にて整経、糊付け後、筬密度68本/鯨寸、筬入れ本数4本として、緯糸に前述の紡績糸Bを用いてエアージェットルーム織機で高密度な平織物を製織した。この生機の経糸密度は185本/2.54cm、緯糸密度は135本/2.54cmであった。この生機を常法の連続法にて糊抜き,精練を行い、180℃でプレセット後、分散染料で高圧染色にてサックスに染色した。これに帯電防止剤、柔軟剤を付与、乾燥後、160℃でファイナルセットした。更にカレンダー加工(160℃×圧力300N/cm)して実施例2の織物を得た。得られた織物の経糸密度は201本/2.54cm、緯糸密度は142本/2.54cmであった。この織物の詳細と評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の経糸・緯糸を逆使いにした織物を作製した。経糸の紡績糸Aを筬密度50本/鯨寸、筬入れ本数4本として整経・糊付けし、緯糸に実施例1と同じポリエステルフィラメント[33dtex72フィラメント]を用いて、エアージェットルーム織機で高密度な平織物を作製した。この生機の経糸密度は135本/2.54cm、緯糸密度は140本/2.54cmであった。その後、実施例1と同じ工程を通して仕上げることで、経糸密度は140本/2.54cm、緯糸密度は145本/2.54cmの実施例3の織物を得た。この織物の詳細と評価結果を表1に示す。
(比較例1)
経糸として実施例1と同じポリエステルフィラメント[33デシテックス/72フィラメント]を使用し、筬密度75本/鯨寸、筬入れ本数5本として、緯糸に前述の紡績糸Aを用いてエアージェットルーム織機で五枚朱子織物を製織した。この生機の経糸密度は250本/2.54cm、緯糸密度は203本/2.54cmであった。その後、実施例1と同じ工程を通して仕上げることで、経糸密度は278本/2.54cm、緯糸密度は210本/2.54cmの比較例1の織物を得た。この織物の詳細と評価結果を表1に示す。
(比較例2)
経糸としてセミダル丸断面のポリエステルフィラメント[56デシテックス/144フィラメント]を使用し、筬密度50本/鯨寸、筬入れ本数5本として整経・糊付けし、緯糸に前述の紡績糸Cを用いて、エアージェットルーム織機で高密度な平織物を作製した。この生機の経糸密度は本164本/2.54cm、緯糸密度は118本/2.54cmであった。その後、実施例1と同じ工程を通して仕上げることで、経糸密度は172本/2.54cm、緯糸密度は124本/2.54cmの比較例2の織物を得た。この織物の詳細と評価結果を表1に示す。
(比較例3)
緯糸に前述の紡績糸Dを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例3の織物を得た。得られた織物の経糸密度は180本/2.54cm、緯糸密度は132本/2.54cmであった。この織物の詳細と評価結果を表1に示す。
Figure 0006454295
表1からわかるように、本発明の条件を満たす実施例1〜3の織物は、薄地軽量であり、全ての評価項目において良好な結果を得ている。これに対して朱子織を採用して本発明のカバーファクターの条件を満たさない比較例1の織物は、厚地重量物となり、また滑脱抵抗力も大きかった。また、太い繊度の紡績糸を採用して本発明の繊度条件を満たさない比較例2の織物もまた、厚地重量物となり、柔軟性に乏しいために剪断剛性の測定すらできず、擦れ音も大きかった。さらに、紡績糸を100%再生セルロースにして本発明の紡績糸の条件を満たさない比較例3は、洗濯3回後の通気度が過大になり、ダウンループ織物として不適切であった。
本発明によれば、洗濯耐久性のあるダウンプルーフ性に優れ、柔軟性に富み、生地の擦れ音が抑制された薄地軽量織物が提供されることができ、この織物は、ダウンジャケットや羽毛布団、寝袋の側地として極めて好適である。

Claims (4)

  1. 疎水性フィラメントが経糸及び/又は緯糸に配されており、かつ単糸繊度が0.3〜0.8dtexのポリエステル短繊維と再生セルロース繊維を90:10〜40:60の重量比で混用した英式番手60〜200番手の紡績糸が緯糸及び/又は経糸に配された織物であり、織物のカバーファクターが1800〜2500であり、洗濯3回後の通気度が3.0cc/cm/秒以下であることを特徴とする高密度織物。
  2. 目付が40〜95g/m、厚みが0.05〜0.12mm、117.7N荷重時の滑脱抵抗力が0.1〜3mmであることを特徴とする請求項1に記載の高密度織物。
  3. 織物の剪断剛性の経緯の平均値が2.70gf/cm・deg以下であり、織物を擦ったときに発生する音圧が70dB以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高密度織物。
  4. 経糸が単糸繊度0.2〜0.8dtexでかつ総繊度5〜45dtexであるポリエステルマルチフィラメントからなり、かつ緯糸がポリエステル短繊維と再生セルロース繊維の混紡糸からなる平織であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高密度織物。
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