JPH07216658A - ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維およびその製造方法

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JPH07216658A
JPH07216658A JP1111194A JP1111194A JPH07216658A JP H07216658 A JPH07216658 A JP H07216658A JP 1111194 A JP1111194 A JP 1111194A JP 1111194 A JP1111194 A JP 1111194A JP H07216658 A JPH07216658 A JP H07216658A
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JP
Japan
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layer component
inner layer
fiber
outer layer
hollow
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JP1111194A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Konno
吉宏 近野
Akihiko Nagahama
昭彦 長濱
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 中空部を有する内外層複合ポリエステル繊維
であって、ポリマの繰り返し単位の1.0モル%以上
3.0モル%以下がスルホン酸塩化合物からなるポリエ
ステルを内層成分とし、繰り返し単位の2.5モル%以
上でかつ内層成分の共重合率よりも1.5モル%以上高
いスルホン酸塩化合物からなるポリエステルを外層成分
とし、内層成分の複合率が30〜80重量%、中空率5
〜30%の複合中空断面繊維である内層成分の断面形状
が三角以上六角以下の多角形であるポリエステル繊維。 【効果】 本発明の中空複合繊維は、溶剤で処理するこ
とによってきらきらとした独特な光沢感、不透明感、鮮
明発色性、さらにはドライタッチ、しゃり感、張り・
腰、軽量感に優れた特性を有しており、衣料用の清涼感
素材として最適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、きらきらとした独特な
光沢感、さらにはドライタッチ、しゃり感、張り・腰、
軽量感に優れ、かつ染色後の鮮明性に優れた高級衣料用
織編物に好適な多角形中空断面形状のポリエステル繊維
を得ることのできる中空複合ポリエステル繊維およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からポリエステル衣料用織編物に光
沢感やドライなタッチ、軽量感など高級感を付与せんと
して、異形断面繊維や中空断面繊維を用いることが数多
く提案されている。代表的な異形断面繊維としては、T
断面、Y断面、偏平断面などであり、中空断面繊維とし
ては中空丸断面などが挙げられる。これら異形断面繊維
および中空断面繊維使い織編物は、中実丸断面繊維に比
べ各々に特徴ある光沢感や風合い、軽量感を有してお
り、衣料用途に好んで使われている。さらに異形断面繊
維の優れた風合い特性と、中空断面繊維の軽量性の2つ
の特性を組み合わせた繊維がいくつか提案されている。
たとえば特公昭44−18923号公報や特公昭58−
4092号公報には中空部を有する多角形断面繊維が提
案されており、特公昭57−49650号公報には、田
型中空断面繊維が提案されている。しかしながらこれら
異形断面繊維はいずれも単成分紡糸によって製造するた
め、口金から吐出後の冷却過程で表面張力の作用により
繊維横断面の頂点部が丸味を帯び、鋭利な部分を有する
断面形状が得られない。そのため光沢感やしゃり感など
を必要とする衣料分野においてはそれらの特徴が満足さ
れるものではなかった。
【0003】また、最近では多様な要求の中で複合紡糸
技術を応用した頂点部が鋭利な異形断面繊維がいくつか
提案されている。たとえば特開昭56−159316号
公報には多層貼り合わせ状の複合糸の一方成分を加水分
解させて鋭いエッジをもたせた異形断面繊維を得る方法
が提案されているが、該公報に記載されている技術では
ドライタッチ等の風合いは優れているものの、繊維横断
面において凹凸を有しているので、高級感のあるきらき
らとした光沢は得られず、さらに加水分解性の大きい成
分を部分的に残しているために織編物を染色した後、染
め斑がでやすいなどの欠点をも有している。
【0004】更にこれらの欠点を改善するためにシャー
プな頂点を有する多角中空断面繊維が提案されている。
例えば特開平3−124807号公報、特開平4−25
7314号公報がある。これらの提案によって軽量感、
清涼感は明らかに向上したものの、染色後の鮮明性、お
よび織編物のドライ感が不十分であることがわかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の欠点を
解消しきらきらとした独特な光沢感、ワキシー感のない
ドライタッチ、しゃり感、張り・腰、軽量感に加えて欠
点であった染色後の鮮明発色性、更にはドライ感を大幅
に向上した優れた高級衣料用織編物に適した繊維を得る
ことのできる複合繊維およびその製造方法を提供するも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は中空部を
有する内外層複合ポリエステル繊維であって、ポリマの
繰り返し単位の1.0モル%以上3.0モル%以下がス
ルホン酸塩化合物であるポリエステルを内層成分とし、
ポリマの繰り返し単位の2.5モル%以上で、かつ内層
成分の共重合率よりも1.5モル%以上高いスルホン酸
塩化合物を共重合したポリエステルを外層成分とし、内
層成分の複合率が30〜80重量%、中空率5〜30%
の複合中空断面繊維である内層成分の断面形状が三角以
上六角以下の多角形であることを特徴とするポリエステ
ル繊維によって達成できる。
【0007】以下本発明を詳細に説明する。 繊維横断面 本発明の中空内外層複合ポリエステル繊維の1例を図1
に示す。1は外層成分、2は内層成分、3は中空部であ
る。図1は内層成分の形状が四角断面を示したが図2に
示すように内層成分の断面形状が三角から六角の範囲で
あることが必要である。また、複合ポリエステル繊維の
横断面形状は特に限定されないが、複合ポリエステル繊
維の段階で布帛にした場合、内層成分の辺があらゆる方
向にさせることによって繊維間空隙を大きくする点から
円形であることが好ましい。
【0008】また中空部、内層成分および外層成分が実
質的に同心円であることが好ましい。これは外層成分を
溶剤で溶解除去する場合に非同心円では外層成分のみを
溶出することが難しいこと、内層成分の一部の頂点が溶
解されて頂点がシャープにならないこと、更には外層成
分を溶解除去した後、繊維の厚みにばらつきが生じて繊
維がつぶれ易くなってしまう。
【0009】中空 本発明の中空内外層複合ポリエステル繊維は中空断面繊
維である。中空部の位置はほぼ繊維の中心部に存在し、
その中空率は5%以上、30%以下が必要である。中空
率が5%未満では外層成分を溶出した後でも実質的な中
空による軽量感が発現しない。一方、30%を越えると
本発明の内外層複合ポリエステル繊維の外層成分を溶出
した後の中空率が大きく、製糸工程および高次加工工程
で中空部が潰れやすくなり、実質的な軽量感も不足して
しまう。好ましい中空率は8〜20%である。中空部の
形状は内層成分の断面形状とほぼ相似形であることが内
層成分の厚みが等しくなるため、および工程通過性、発
色性の点で好ましい。
【0010】内層成分のポリマ 本発明の中空内外層複合ポリエステル繊維の内層成分は
ポリエステルであることが必要である。ポリマの繰り返
し単位の90モル%以上がポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられるが、
特に限定されないが好ましくはポリエチレンテレフタレ
ートである。内層成分はポリマの繰り返し単位の1.0
モル%以上3.0モル%以下がスルホン酸塩化合物であ
ることが必要である。このことは中空繊維の欠点である
鮮明発色性不良を改善することができ、同時に外層成分
を溶解除去した後、得られる内層成分より構成されるポ
リエステル繊維のドライ感を向上する。スルホン酸塩化
合物の共重合率が1.0モル%未満の場合には染色後の
鮮明性を付与するために使用する塩基性染料の染着率が
低く、鮮明発色性不良を改善することができない。逆に
3.0モル%を越えると鮮明発色性向上効果が頭打ちに
なると同時に、外層成分との溶剤に対する溶解速度比が
小さくなってしまい、頂点のシャープさが失われ、清涼
感が不十分となる。好ましい共重合率は1.5モル%以
上2.2モル%以下である。更により鮮明発色性を向上
するため、あるいは溶融粘度を制御する意味から他の成
分を共重合あるいは配合することが好ましい。例えばポ
リエチレングリコール、ネオペンチルグリコールのエチ
レンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物、片末端あるいは両末端が封鎖されたポ
リエチレングリコール等のポリアルキレングリコール系
化合物が好ましく用いられ、それらから選ばれた1種あ
るいは2種の合計を0.5重量%以上、5.0重量%以
下共重合あるいは配合することが有効である。特に数平
均分子量2000以下のポリエチレングリコールを0.
5重量%以上、1.5重量%以下共重合することが極め
て有効である。
【0011】本発明で言うスルホン酸塩化合物は特に限
定はされないが、5−ソジウムスルホイソフタレート、
スルホン酸ホスホニウム塩化合物が好ましく適用でき
る。
【0012】本発明の繊維の内層成分の固有粘度ηは
0.53以上0.70以下とすることが好ましい。本発
明の中空内外層複合ポリエステル繊維の内層成分の断面
形状は溶融紡糸時の外層成分と内層成分の溶融粘度比の
影響が大きいので溶融粘度を左右する固有粘度の特定が
重要である。固有粘度ηが0.53よりも小さい場合に
は引っ張り強度などの物理特性も劣位になってしまい実
用に適さない。同時に適正溶融粘度比を維持することが
難しく目的とする断面形状が得られない。逆に固有粘度
ηが0.70を越えると溶融粘度が高くなりすぎ、繊維
内部構造制御が難しく物理特性を満足することができな
い。また形状制御も困難となり清涼感が減少してしま
う。好ましい固有粘度ηは0.55以上、0.64以下
である。
【0013】本発明の目的の1つである鮮明性を向上す
るためには繊維に含まれる二酸化チタンの配合量は0.
5重量%以下とすることが好ましい。二酸化チタンの配
合量が0.5重量%を越えると塩基性染料を使用しても
鮮明性が低下してしまう。さらに好ましくは0.10重
量%以下である。
【0014】外層成分のポリマ 次に外層成分はポリマの繰り返し単位の2.5モル%以
上がスルホン酸塩化合物であり、同時に内層成分のスル
ホン酸塩化合物の共重合率よりも1.5モル%以上高い
ことが必要である。外層成分のスルホン酸塩化合物の共
重合率が2.5モル%未満の場合には、内層成分に対す
る溶解速度比が小さすぎるために外層成分を溶解した後
の内層成分の断面形状、特に頂点のシャープさが失わ
れ、本発明の目的であるさらさら風合いが不十分とな
る。好ましくは3.5モル%以上である。同時に外層成
分のスルホン酸塩化合物の共重合率は内層成分のスルホ
ン酸塩化合物よりも1.5モル%以上高いことが必要で
あるが、これはその差が1.5モル%より低い場合には
溶解速度比が小さくなりすぎて断面形状、特に頂点のシ
ャープさが失われてしまうからである。好ましくは2.
5モル%以上高い共重合率である。逆にその差が4.5
モル%を越えると溶解速度比が大きくなり過ぎて外層成
分を溶出した後の内層成分の表面形態が凹凸がなく、平
坦になってしまいドライ感が明らかに減少してしまうの
で好ましくない。外層成分を溶出した後のドライ感は主
として表面の凹凸によって発現するのである。
【0015】複合比率 本発明は中空内外層複合ポリエステル繊維であるが、中
空部を除く繊維重量に対する内層部の重量の比は30%
以上、80%以下であることが必要である。内層成分の
重量比が30%未満の場合には布帛にした後、外層部を
溶出した時の布帛の構造がルーズになり、織り目が移動
するいわゆる織目ズレが起こり易い。一方、内層成分の
重量の比が80%を越す場合には内層部の直線性を維持
しつつ繊維全体の外周形状を円に近い形状とすることが
困難になり、特に三角、四角形状の場合には布帛の中で
最密充填に近い構造をとってしまうために、ドライ感が
減少すること、更に軽量感も減少してしまう欠点を有し
ている。好ましい重量比は50%以上、70%以下であ
る。更に好ましくは55%以上65%以下である。
【0016】内層成分の形状 次に、本発明の複合繊維を溶出した後の横断面形状につ
いて図3で説明する。図3は本発明の繊維の内層成分の
断面形状を説明するための繊維の横断面図であり、1は
繊維、3は中空部からなる多角形中空断面繊維である。
図3の(a)は三角形、図3の(b)は四角形、図3の
(c)は五角形、図3の(d)は六角形の例である。本
発明の繊維から外層成分を溶解除去した後の形状は直線
性の高い辺部とシャープな頂点部を有していることが特
徴である。このような辺部と頂点部を有しているために
さらさら感を有し、表面の凹凸と相俟ってドライ感を有
する風合いが得られるのである。
【0017】角数 本発明の効果を発揮するためには内層成分の断面形状が
三角形以上六角形以下の多角形断面が必要である。七角
形以上の多角形断面となると、頂点部が鋭利でなくなる
ために、本発明の目的であるさらさら感、ドライ感、し
ゃり感を満足することができない。また、前記した特性
をより発揮するためには三角形以上五角形以下がより好
ましく、四角形が特に好ましい。
【0018】本発明のポリエステル繊維は長繊維でも目
的を発揮できるが、鮮明性が発揮しにくい中空短繊維で
の発色性向上効果が著しい。
【0019】製造方法 次に本発明の繊維の製造方法の具体例について詳細に説
明する。本発明の繊維の製造にあたっては、別々に溶融
計量された内層成分、外層成分を実質同心円複合流とし
た後、3以上、6以下で構成するスリット形状の吐出孔
から吐出し、外層部、内層部、中空部からなる中空複合
繊維を得る。
【0020】本発明の繊維を製造するに際して外層成分
と内層成分の溶融粘度のバランスが大変重要である。こ
れは内層成分の形状を決定する重要な因子であるからで
ある。つまり外層成分に対する内層成分の溶融粘度比が
1.2以上、6以下であることが必要である。溶融粘度
比が1.2よりも小さいと内層成分の頂点のシャープさ
が失われかつ辺が外に凸状になってしまうからである。
より好ましくは1.8以上、3以下が好ましい。
【0021】本発明になる複合繊維の外層成分は、スル
ホン酸塩化合物を2.5モル%以上含有し、かつ内層成
分よりも1.5モル%以上高く共重合したポリエステル
である必要がある。これは、実質的に内層成分のポリエ
ステルをそのまま残し、外層成分のみを溶解除去するた
めに、内層成分に対する外層成分の溶解速度比が大きい
方が好ましいからである。外層成分のみを溶解するため
の溶剤としては熱水あるいはアルカリ溶液(たとえば水
酸化ナトリウム熱水溶液)を使用するのであるが、共重
合量率が2.5モル%未満であると、内層成分とのアル
カリ溶液に対する溶解速度差が小さいために、内層部の
頂点部分が溶解して丸まってしまい、本発明の目的とす
る断面形状が得られない。
【0022】また、前記外層成分は、固有粘度ηが0.
33以上とすることが好ましい。外層成分の固有粘度η
が低すぎると、紡糸時の糸切れや延伸時の膠着など製糸
性が低下するばかりでなく、高次加工でも糸切れが発生
しやすいためである。好ましいηは0.35以上、0.
45以下である。
【0023】内層成分であるポリエステルは、固有粘度
ηが0.53以上、0.70以下であることが好まし
い。後述するように、本発明の繊維においては中空部が
布帛の風合向上に大きな役割を果している。この中空部
を形成させる段階で、より高い中空率を得るためには紡
糸の段階でのポリマの溶融粘度を高くすることが好まし
い。さらに、本発明の繊維を用いて主として布帛の状態
で減量加工を施し、多角形中空断面繊維とすることがあ
るが、外層部を溶出した後でも実用上問題とならない引
裂強力を維持するために、内層部の固有粘度ηを高い方
が好ましい。より好ましくは0.55以上、0.64以
下である。
【0024】図4は本発明で好ましく用いられる複合口
金装置の要部縦断面図である。図5は本発明に使用され
る口金孔形状の例を示す口金の下面図である。図4にお
いて、5は上部導入板、6は下部導入板、7は口金、8
はスリットである。内層成分のポリマAが上部導入板5
から導入され、外層成分のポリマBが下部導入板6から
導入され、口金7で内外層の複合流となりスリット8か
ら吐出する。
【0025】ここで上記のような内外層複合流をスリッ
トから吐出することによって内層の断面形状が何故多角
形状を示すかについて四角断面を例にとって簡単に説明
する。スリット前の導入孔では同心円の内外層複合流で
あるが、各スリットに流入し、各スリットから吐出され
る時には内側が高粘度、外側が低粘度の内外2層複合流
となる。4つのスリットから吐出された内外2層複合流
は流速の速い外側の低粘度側が流速の遅い内側の高粘度
側へ曲がり、各複合流が中心方向へ曲がるために各複合
流は衝突を起こし、接合すると同時に衝突によってシャ
ープな頂点を形成する。他方、口金孔内において流速が
速く、占有面積の小さい低粘度側は吐出と同時に同じ流
速になるために面積の増大が起こる。一方、低粘度ポリ
マは表面張力によって高粘度側を押すために高粘度であ
る内層成分の外側が直線となる。前述のように安定して
衝突・接合し、直線を維持するためには内外層成分の溶
融粘度比が重要である。
【0026】ここで、複合流を最終的に吐出する口金孔
の形状を、図5の(b)の4分割のスリットからなる口
金孔を例示する図6で説明する。スリット7の曲率半径
hは、口金孔中心Qからスリット中央部P(スリットの
長さxおよび幅wにおける中間点)までの距離(以下、
口金孔半径iと呼ぶ)の0.8〜1.2倍である環状配
置であることが好ましい。これは、スリットの形状を前
記した範囲内とすると複合繊維の段階でみれば、横断面
の外周形状は円形状となり、例えば製編織後に外層成分
を溶解除去する場合、製編織時に複合繊維がマルチフィ
ラメントの中でランダムな配置になりやすくなり、その
ため外層成分を溶解した後に繊維の横断面が多角形にな
っても編織物の中でランダムな状態で配置されており、
編織物にも自然な風合いを与えるからである。なお、前
記した4分割のスリットは、好ましくは図5の(b)に
示すように、同一孔形状で同一寸法である4個のスリッ
トを点対称状に配置し、3分割ならば図5の(a)に示
すように3個のスリットを、5分割ならば図5の(c)
に示すように5個のスリットを、6分割ならば図5の
(d)に示すように6個のスリットを点対称状に配置す
る。
【0027】また、単孔を構成するスリット数は3個以
上6個以下であることが必須である。多角形中空断面繊
維の頂点部および辺部の数は、単孔を構成するスリット
の数に等しく、内層成分の外形は3分割であれば三角形
中空断面となり6分割であれば六角形中空断面となるか
らである。したがって、単孔を構成するスリット数がこ
の範囲でなければ、本発明の目的とする内層の外形状が
多角形中空断面となる繊維が得られない。
【0028】また、前記したように2種のポリマは各ス
リットにおいて、内外2層状態で吐出される。吐出する
際の内層部の複合比率は、辺部の変動率を所望の範囲と
し、なおかつ頂点部を鋭利にするために30重量%以
上、80重量%以下とすることが必要である。好ましく
は内層部の複合比率は50〜70重量%の範囲である。
上述した繊維は一般的に採用されている乾熱あるいは湿
熱方式によるいずれの方法でも延伸が可能であるが、2
0℃以上の湿熱で繊維束を十分に湿めらせることおよび
/あるいは湿熱で300m/分以下の速度で延伸するこ
とが糸切れなどの発生を防ぐ点から好ましい。
【0029】また、本発明の複合繊維はその後の適当な
工程で外層成分を溶剤処理により溶出し、内層成分を残
留せしめることにより図5の(a)、(b)、(c)お
よび(d)の口金を用いた場合には、各々図2の
(a)、(b)、(c)および(d)に示すような多角
形中空断面繊維を得ることができる。この際の溶剤とし
ては熱水、あるいはアルカリ溶液が好ましく使用され、
特に好ましくは水酸化ナトリウム熱水溶液である。また
この処理はいずれの工程でも構わないが、生産の安定性
から製織、製編後とすることが好ましい。
【0030】次に、本発明の繊維外層成分を溶剤処理し
た後の横断面における辺部の変動率について図をもって
詳細に説明する。図1は本発明の繊維の断面形状を説明
するための繊維の横断面図であり、1は繊維、3は中空
部、4は頂点部、5は辺部からなる四角形中空断面繊維
である。まず、本発明の繊維の横断面における頂点部4
の曲率半径rはdμm以下とする。例えば単繊維繊度d
が1デニールならば頂点部4の曲率半径rは1.0μm
以下であり、3デニールならば3.0μm以下である。
曲率半径rがdμmを越える、なだらかな頂点部によっ
て構成される断面形状ではドライタッチやしゃり感を十
分に発揮することができないからである。好ましくは頂
点部の曲率半径rがd0.5 μm以下であり、さらに好ま
しくは(d/2)0.5 μm以下である。
【0031】次に、本発明においては隣り合う頂点部間
の辺部の変動率が重要である。図1において、隣り合う
頂点部4間の各辺部に基準線Lを引く。基準線Lは、L
によって形成される辺部の凹部と凸部とを加えた面積を
最小とするように引く。この時各辺部において基準線L
と最も離れた点をTとし、TとLとの距離をtとする。
一方Tが存在する辺部に対応する基準線Lにおいて、隣
り基準線との交点間の長さをsとしたときに、その繊維
の横断面における辺部の変動率を下記式により定める。 変動率(%)=(t/s)×100 本発明の繊維の横断面において、隣り合う頂点部間の辺
部の前記変動率は10%以下でなくてはならない。前記
変動率は光沢感や表面タッチと密接な関係があり、変動
率が10%を越える辺を有する断面形状では、きらきら
とした独特の光沢が発現しない。変動率は好ましくは8
%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。
【0032】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。 A.外層部溶出後の強度 試料となる原糸を4重量%水酸化ナトリウム熱水溶液に
て処理して外層部を溶解除去した後、オリエンテック社
製テンシロンUCT−100にて引張り試験を行い、外
層部を溶出した後の繊度で強度を算出した。 (外層部溶出後の強度)(g/a)=(引張り強力)/
(内層部の繊度) B.風合特性(しゃり感、張り・腰、光沢感、不透明
感、軽量感) 各項目とも、試料を基準試料との一対比較による官能試
験を実施し、4段階評価した。そしてそれらを総合評価
して、「極めてすぐれている」は◎、「すぐれている」
は○、「劣っている」は△、「極めて劣っている」は×
で表わした。なお、基準試料には通常定番品種として用
いられている試料原糸と同一繊度、同一フィラメント数
のY断面ポリエステルフィラメント糸を試料と同様の製
織、加工を施したものを用い、これを「劣っている」と
した。 C.固有粘度η 温度25℃においてオルソクロロフェノール(以下OC
Pとする)10mlに対し試料0.10gを溶解し、オ
ストワルド粘度計を用いて測定した。 D.溶融粘度 溶融粘度は宝工業株式会社製メルトインデクサ―タイプ
MX−101−Bにより、紡糸温度と同温度でずり速度
30( 1/SEC )において測定した値である。 実施例1〜3、比較実施例1,2 5−ソジウムスルホイソフタレート成分を表1、表2の
通り変更して共重合し、固有粘度を0.60、酸化チタ
ンを0.05重量%配合したポリエチレンテレフタレ―
トを内層成分とし、固有粘度が0.35で、5−ソジウ
ムスルホイソフタレート成分を5.0モル%共重合した
変性ポリエステルを外層成分として用い、通常の複合紡
糸機により紡糸温度295℃で図4に示す内外層複合口
金を用いて、図5の(b)に示す口金孔形状である環状
の4分割スリット中空孔より内層部の複合比率が60重
量%で吐出し、1500m/分の速度で巻取った。この
時の溶融粘度は表1の通りであった。得られた未延伸糸
を集束して30万デニールとし、30℃の水浴に浸漬し
た後液浴で延伸し、スタッファーボックスで25mmあ
たり11.5山の機械捲縮を付与した。120℃で弛緩
熱処理した後3.5デニール・76mmの中空内外層複
合原綿を得た。この原綿を使用して30番単糸の紡績糸
とした。次いで得られた紡績糸を経糸、及び緯糸として
製織し、90℃でリラックス精練、180℃で中間セッ
トした後、3重量%水酸化ナトリウム98℃熱水溶液で
処理し、外層成分を溶出して単繊維繊度2.1デニール
とし、170℃で仕上げセットして織物を得た。得られ
た織物についてそれぞれ官能評価を実施した結果は表
1、表2に記載したとおりであった。実施例1〜3では
これまでの異形断面ポリエステル紡績糸使いの織物では
達成できなかった風合いであり、いずれの風合い特性も
優れたものであった。但し、実施例2では風合いおよび
鮮明発色性が実施例1に比較してやや劣っていた。一
方、比較実施例1では期待した鮮明性が不十分であり、
比較実施例2は辺の変動率が大きく、風合いとして期待
したさらさら感がなく、逆にざらざらした風合いとなっ
た。更に強度が著しく低く、工程通過性が不良であっ
た。
【0033】実施例4 内層成分のポリマ組成を表1に示すとおりPEGを共重
合しなかったこと、および溶液粘度を0.58に変更し
た以外は実施例1と同様に実験を行った。鮮明発色性が
やや劣っていたい外は良好な結果を得た。
【0034】実施例5 外層成分の5−ソジウムスルホイソフタレート成分を
6.0モル%に変更した以外は実施例1と同様にテスト
を行った。溶出した後の頂点の曲率半径と辺の変動率が
増大した結果、実施例1に比較して風合いが若干劣って
いた。
【0035】実施例6,7 比較実施例3 内層成分と外層成分の複合比率を表1、表2の通り変更
した以外は以外実施例1と同様に実験を行った。その結
果は表1、表2に記載したとおりであった。実施例6は
実施例1に比較してさらさら感が若干不足したこと、実
施例7は光沢が実施例1より若干劣っていたが従来の織
物に比較して明らかに風合い、鮮明性の点で優れてい
た。比較例3は内層ポリマの極限粘度を0.50とした
こと、そのために溶融粘度が低下した以外実施例1と同
様にテストした。結果は表2に示したとおり中空率が低
く、頂点の曲率半径が大きいために特徴である軽量性お
よびさらさら風合いは認められなかった。
【0036】実施例8 吐出孔スリットの数を6に変更した以外実施例1と同様
に実験を行った。実施例8は頂点の曲率半径がやや大き
くなった結果、実施例1と比較してさらさら感が若干不
足していた。
【0037】比較例4 内層成分のポリマ組成を表2の通り変更したこと、その
結果溶融粘度が変化した以外は実施例1と同様にテスト
を行った。鮮明発色性はなく、また中空率も低く、軽量
性に欠けたものとなった。
【0038】比較例5 吐出孔のスリットの数を7に変更した以外は実施例1と
同様にテストを行った。角数が多いために特徴のさらさ
ら風合いは認められなかった。
【0039】比較例6 外層成分の5−ソジウムスルホイソフタレート共重合率
を2.0モル%に変更したこと、溶融粘度が低下した以
外は実施例1と同様にテストを行った。結果を表2に示
した。外層成分を溶出したときに内層成分も同時に溶出
した結果、頂点の曲率半径が大きく、さらさら風合いは
認められなかった。
【0040】比較例7 内層成分の複合比率を85%に変更した以外は実施例1
と同様にテストを行った。結果は表2に示した。頂点の
曲率半径が大きくなった結果、特徴のさらさら風合いは
認められなかった。
【0041】
【表1】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明の繊維は、従来技術では達成し得
なかった鋭い頂点部をもち、かつ中空率の高い多角形状
の中空断面を有しかつ中空断面繊維の欠点である鮮明性
を有するポリエステル繊維およびその製造方法に関する
ものである。本発明の繊維はきらきらとした独特な光沢
感、不透明感、鮮明発色性さらにはドライタッチ、しゃ
り感、張り・腰、軽量感に優れた特性を有しており、こ
れまでの異形断面繊維では得ることができなかった衣料
用の清涼感素材として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の繊維の断面形状を説明するための繊
維の横断面図
【図2】 本発明の繊維の断面形状の例を示す繊維の横
断面図
【図3】 本発明の繊維を溶剤処理を施した後の繊維の
横断面図
【図4】 本発明に使用される口金の例を示す口金の要
部断面図
【図5】 図4の孔形状を説明するための口金の下面図
【図6】 図4の孔径状を詳細に説明するための口金の
下面図

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空部を有する内外層複合ポリエステル繊
    維であって、ポリマの繰り返し単位の1.0モル%以上
    3.0モル%以下がスルホン酸塩化合物であるポリエス
    テルを内層成分とし、ポリマの繰り返し単位の2.5モ
    ル%以上で、かつ内層成分の共重合率よりも1.5モル
    %以上高いスルホン酸塩化合物を共重合したポリエステ
    ルを外層成分とし、内層成分の複合率が30〜80重量
    %、中空率5〜30%の複合中空断面繊維である内層成
    分の断面形状が三角以上六角以下の多角形であることを
    特徴とするポリエステル繊維。
  2. 【請求項2】中空断面内外層複合ポリエステル繊維にお
    いて、ポリマの繰り返し単位の1.0モル%以上3.0
    モル%以下がスルホン酸塩化合物であり外層成分に対す
    る溶融粘度比が1.2以上、6以下であるポリエステル
    を内層成分とし、ポリマの繰り返し単位の2.5モル%
    以上で、かつ内層成分より1.5モル%以上高いスルホ
    ン酸塩化合物を共重合したポリエステルを外層成分と
    し、内層成分の複合比率を30重量%以上、80重量%
    以下とした内外層複合流を、3分割以上6分割以下のス
    リットで構成された環状の口金孔より吐出させ、口金直
    下でポリマ複合流を接合させて巻き取る中空断面内外層
    複合ポリエステル繊維の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20160088888A1 (en) * 2013-06-06 2016-03-31 Kaneka Corporation Fiber for artificial hair and hair ornament product including same
JP2019060049A (ja) * 2017-09-27 2019-04-18 東レ株式会社 中空ポリエステル短繊維及びそれを用いた紡績糸

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US20160088888A1 (en) * 2013-06-06 2016-03-31 Kaneka Corporation Fiber for artificial hair and hair ornament product including same
JP2019060049A (ja) * 2017-09-27 2019-04-18 東レ株式会社 中空ポリエステル短繊維及びそれを用いた紡績糸

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