JP2019060049A - 中空ポリエステル短繊維及びそれを用いた紡績糸 - Google Patents

中空ポリエステル短繊維及びそれを用いた紡績糸 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明では固有粘度が低いにも関わらず、高中空でありながら、繊度変動率が低く、且つ紡績加工時に繊維横断面が潰れにくく、軽量性、保温性、抗ピリング性、ソフト風合いに優れた紡績糸が得られる中空ポリエステル短繊維を提供することを課題とする。【解決手段】繊維横断面の中空率が20%以上40%未満、NA≧2.0×d0.5(NA:中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(μm)、d:単繊維繊度(dtex)、繊度変動率が8.0%以下、繊維の固有粘度が0.54〜0.64を同時に満たし、且つ繊維軸方向に連続した1つの中空部を有する中空ポリエステル短繊維。【選択図】なし

Description

中空ポリエステル短繊維、並びに該繊維の紡績糸に関する。
ポリエステルやアクリルなどの合成繊維あるいはレーヨン、綿などの再生繊維、天然繊維から構成される短繊維は紡績糸に加工された後に織物、編物に加工され、表面の毛羽感からソフトな肌触りと保温性を有した衣料用途として広く使用されている。中でも、ポリエステルは、機械的性質、化学的性質、吸水速乾性などに優れているため、衣料用途では特に重宝されている。
衣料用途における従来からのニーズの一つとして、軽量性や保温性が望まれており、例えば、特許文献1〜特許文献3に提案されているような、繊維軸方向に連続した1つの空気層をもつ中空ポリエステル繊維が挙げられている。
特許文献1では、固有粘度が0.68〜0.89と高いポリエステルを用いて、中空率約10〜50%の中空ポリエステル繊維を得ている。
一方で、特許文献2では、固有粘度が0.63のポリエステルを使用して、中空率24%の中空ポリエステル繊維を得ている。
また、特許文献3では、中空率40〜85%の中空ポリエステル繊維を提案している。
特開平6−235120号公報 特開2004−68211号公報 特開平10−299222号公報
中空形状の孔を有する口金から吐出した溶融ポリエステルは、固有粘度が高いほど、紡出糸の引き取り方向に対して垂直方向の流動性が低くなるため、高い中空率を容易に得ることが出来るが、繊維強度が高くなり、紡績糸の風合いが堅く、また、ピリング性が低下してしまうといった欠点がある。そのため、特許文献1記載の中空ポリエステル繊維は紡績糸の風合いとピリング性の点で劣ってしまう。
一方で、特許文献2に記載されるように比較的低い固有粘度のポリエステルを用いて紡糸する場合、紡出糸の引き取り方向に対して垂直方向の流動性が高くなるため、紡出後の糸条の冷却の際、冷却ムラの影響を顕著に受けやすくなる。そのため、繊度ムラが大きくなり紡績糸としての品位低下を招くことになる。
また、特許文献3記載の発明においては中空率が高すぎるため、中空部を構成する繊維壁面の厚さが薄くなり、紡績加工時の繊維同士の強い拘束により、中空部が潰れやすく、十分な軽量性と保温性が得られないといった欠点がある。
そこで、本発明では固有粘度が低いにも関わらず、高中空でありながら、繊度変動率が低く、且つ紡績加工時に繊維横断面が潰れにくく、軽量性、保温性、抗ピリング性、ソフト風合いに優れた紡績糸が得られる中空ポリエステル短繊維を提供することを課題とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、以下の構成を採用する。
(1)下記の(イ)〜(ニ)を同時に満たし、且つ繊維軸方向に連続した1つの中空部を有する中空ポリエステル短繊維。
(イ)繊維横断面の中空率が20%以上40%未満。
(ロ)NA≧2.0×d0.5
NA:中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(μm)
d:単繊維繊度(dtex)
(ハ)繊度変動率が8.0%以下。
(ニ)繊維の固有粘度が0.54〜0.64。
(2)中空部の横断面形状が三角形状である上記(1)に記載の中空ポリエステル短繊維。
(3)スルホイソフタル酸金属塩を全ジカルボン酸成分に対して1〜10mol%重合した上記(1)または(2)に記載の中空ポリエステル短繊維。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の中空ポリエステル短繊維を含む紡績糸。
(5)紡糸口金から溶融されたポリエステルを紡出した後の糸条の冷却が吸引冷却、温風吹き出し冷却、冷風吹き出し冷却の3ステップからなり、以下の(イ)〜(ロ)の条件を満たして製造される(1)〜(3)のいずれかに記載の中空ポリエステル短繊維の製造方法。
(イ)吸引冷却、温風吹き出し冷却、冷風吹き出し冷却の順で冷却する。
(ロ)吸引冷却、温風吹き出し冷却、冷風吹き出し冷却は、口金直下の糸条を全方位から均一に冷却できる設備。
(6)以下の(イ)〜(ニ)の条件を満たす(5)記載の中空ポリエステル短繊維の製造方法。
(イ)吸引冷却の吸引開始位置が0〜50mmの間に位置する。
(ロ)温風吹き出し冷却の風温が60〜180℃。
(ハ)冷風吹き出し冷却の風温が10〜40℃。
(ニ)吸引冷却の風速よりも温風吹き出し冷却の風速の方が高く、温風吹き出し冷却の風速よりも冷風吹き出し冷却の風速の方が高い。
本発明の中空ポリエステル短繊維は、軽量性、保温性、抗ピリングを兼ね備えた紡績用途に展開することが出来るので、ニット生地に好適に適用出来る。
図1は略三角形状の中空部を有する繊維断面の図である。 図2は同心円状に4つのスリットを有する口金孔の形状を示す図である。 図3は偏心円上に4つのスリットを有する口金孔の形状を示す図である。 図4は同心円状に3つのスリットを有する口金孔の形状を示す図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の中空ポリエステル短繊維を構成するポリエステルは、ポリエステル系であれば特に限定しないが、ポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。ポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。
また、本発明の中空ポリエステル短繊維を構成するポリエステルには、スルホイソフタル酸金属塩を全ジカルボン酸成分に対して1〜10mol%共重合していることが好ましい。スルホイソフタル酸金属塩を共重合すると、溶融粘度が増加し、より容易に高い中空率の繊維を得ることができる上、強伸度低下により抗ピル性が向上する。また通常、ポリエステル繊維の染色は、分散染料による手法が主流であるが、スルホイソフタル酸金属塩の共重合ポリエステル繊維はカチオン染料による染色が可能となるため、染色性は大幅に向上する。共重合率が1〜10mol%の範囲であれば、これらの効果が十分に発揮されると共に、製糸性の観点で好ましい。
また、スルホイソフタル酸金属塩以外の共重合成分を共重合してもよい。例えば、酸成分として、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸およびセバシン酸などのジカルボン酸類が挙げられ、一方グリコール成分として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどを挙げることができる。
また、防透けや艶消しなどの機能を付与するために、無機粒子を添加しても構わない。無機粒子としては、シリカゾル、シリカ、アルキルコートシリカ、アルミナゾル、酸化チタンおよび炭酸カルシウムなどが挙げられるが、ポリエステル中に添加した際に化学的に安定していればよく、特に化学的安定性、耐凝集性および入手容易性の面から、二酸化チタンが好ましく用いられる。無機粒子の濃度は、目標とする機能に応じて調整して構わないが、ポリエステル繊維の質量に対して0.01〜20.0質量%が好ましく、0.05〜5.0質量%であれば製糸操業性や高次加工性、繊維のコスト面からより好ましい。
本発明において中空ポリエステル短繊維を構成するポリエステルの固有粘度は、繊維横断面の中空率と紡績糸の抗ピリング性及び風合いの観点から0.54〜0.64である必要があり、0.59〜0.63がより好ましい。固有粘度が0.54未満になると、製糸工程において中空率を20%以上とすることが困難であり、製糸操業性も悪いものとなる。他方の0.64を超えると、繊維強度が高くなり、紡績糸として使用した際、抗ピル性が劣るだけでなく、風合いも硬くなってしまう。
次に、本発明の中空ポリエステル短繊維は繊維横断面の外形が円形であることが好ましい。すなわち、繊維断面の外形が極端な異形であると紡糸時に糸切れが多発し、また延伸時にも糸切れや毛羽が多発しやすい。なお、ここでいう円形とは真円であることが最も望ましいが、必ずしも真円でなくとも、略円状でもよい。
さらに本発明において、中空ポリエステル短繊維は繊維断面方向に連続した1つの中空部を有する。この中空ポリエステル短繊維が本発明で規定する範囲を満たす限り特に制限はないが、中心部を中心に円形もしくは略多角形の中空部、好ましくは略三角形状の中空部を有することが好ましい。すなわち、繊維断面の中空部が中心部にあるということは、中空部が実質的に偏心していないことを意味する。中空部が繊維の中心部になく偏在していると、即ち部分的に肉薄部分があると、外部からの応力により薄肉部分を基点に破断、変形しやすくなる。また中空部を三角形状の中空繊維にすることによって、延伸時および高次加工工程での中空部の潰れ、即ち、中空率の低下が少なくなる。
本発明の中空ポリエステル短繊維の中空部の好ましい形状としての略三角形状を例にとり、図1を参照しながら説明する。図1は略三角形状の中空部を有する繊維断面の図である。中空繊維の中空部の略三角形状の周の突起部分の三つの頂点をそれぞれ頂点a、頂点b、頂点cとし、その3点を直線で結んだ三角形の三つの辺をab、bc、caとし、点cから辺abに垂線cdを引き、垂線cdの延長上での中空部壁との交点をe、点aおよび点bからもそれぞれ辺bc、辺caにも垂線を引き、辺bcおよび辺caの交点をf、h、中空部壁面との交点をg、hとしたとき、中空部の好ましい形状は次のとおりである。
(1)辺の線分ab、bc、caのそれぞれの長さは等しいほどよいが、20%以内の変化があってもよい。
(2)線分ag/線分af、線分bi/線分bh、線分ce/線分cdのそれぞれの値は、好ましくは1.0〜1.3、より好ましくは1.0〜1.2の範囲にあることである。
本発明の中空ポリエステル短繊維の中空部の全容としては好ましくは三角形状、より好ましくは正三角形であるが、図1のように三角形の頂点が湾曲していてもよい。
本発明において中空ポリエステル短繊維は繊維軸方向に連続した1つの中空を有することを特徴としており、中空率は20%以上40%未満で、好ましくは25%以上35%以下である。中空率は嵩高を出すとともに軽量にするために必要であるが、20%未満になると軽量に乏しくなり、40%以上になると紡績工程で生じる繊維間の強い拘束力により中空部が潰れ、十分な軽量性と保温性が得られない。
中空率の測定方法を示す。光学顕微鏡で繊維断面を500倍で撮影する。撮影した繊維の中から一本を抽出して、抽出した繊維を白紙に30枚印刷する。そして、印刷した30枚分について、繊維の外周に沿ってハサミで切り取る。そしてこの30枚合計の重さを量り、その重量をA’とする。次にこの切り取った30枚について、中空部分をハサミで切り取り、同様に重さを量り、その重量をB’とする。同様の操作を、全て異なる繊維に対して計30回実施し、30回分のA’およびB‘の平均値、AおよびBを算出する。中空率(C)は平均で算出したAとBを用いて、B/A×100(%)とする。また、30回分のA’およびB’の値から標準偏差(D)を算出し、(D/C)×100(%)を中空率変動率(E)としたとき、Eは紡績糸の品質の観点から8.0%以下であることが好ましく、6.0%以下であるとより好ましい。下限としては小さいほど望ましいが、工業的生産の観点で1%程度が好ましい。
また、本発明の中空ポリエステル短繊維の繊維断面における中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分がNA≧2.0×d0.5(NA:中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(μm)、d:単繊維繊度(dtex))を満足する肉厚であることが必要である。例えば、3dtexの繊維では、3.5μm以上であることが必要である。上記式を満たさない場合、外部からの応力により、繊維断面における中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分が破断し、繊維断面が潰れやすくなる。これは、中空繊維の繊度、中空率及び中空部の形状によって決まるが、いずれにしても繊維断面の潰れを防ぐために肉厚が前記式を満足することは必要である。
中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚の測定方法を示す。光学顕微鏡で繊維断面を500倍で撮影する。撮影した繊維の中から一本を抽出して、抽出した繊維を白紙に30枚印刷する。そして、印刷した繊維断面を不作為に30箇所選定し、最も薄い部分の肉厚を物差しでそれぞれ測定し平均値を算出する。同様の操作を、他の異なる繊維に対して計30回実施し、30回分の平均値を中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(NA)とする。また、その標準偏差(F)を算出し、(F/NA)×100(%)を中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚変動率(G)とする。Gは紡績糸の品質の観点から6.0%以下が好ましく、4.0%以下であることがより好ましい。下限としては小さいほど望ましいが、工業的生産の観点では1%程度が好ましい。
次に本発明の中空ポリエステル短繊維の繊度は1〜4dtexが好ましく、より好ましくは、2.0〜3.5dtexである。1dtex未満の場合には、嵩高性が乏しくなり、製糸工程や紡績加工の際にも操業性の点で問題がある。4dtexを超えた際も軽量感が損なわれると共に、紡績工程での操業性に問題がある。
また、本発明の中空ポリエステル短繊維の繊度変動率は8.0%以下である必要があり、より好ましい範囲としては6.0%以下である。下限としては小さいほど望ましいが、工業的生産の観点では1%程度が好ましい。繊度変動率が8.0%を超えると、紡績糸に加工した際、紡績糸としての引張強度が低下し、織編物への加工時に糸切れが生じやすくなる。これは繊度変動率が高いと、紡績糸中の短繊維の構成本数にムラができ、最低の引張強度が低下するためである。
また、本発明の中空ポリエステル短繊維の繊維長は、高次加工工程での工程通過性の観点から20〜100mmであることが好ましく、より好ましくは30〜90mmである。
本発明の中空ポリエステル短繊維の単繊維強度は、1.5〜5.0cN/dtexであることが好ましく、より好ましくは2.5〜4.0cN/dtexである。単繊維強度が1.5より低いと、紡績工程に、糸切れや工程トラブルが生じるほか、中空潰れが生じやすくなってしまう。また、単繊維強度が5.0cN/dtexより高いと、ソフト性およびピリング性に乏しくなる。
本発明の中空ポリエステル短繊維の製造方法は、本発明で規定する中空ポリエステル繊維が得られる限り制限はないが、紡糸口金から溶融されたポリエステルを紡出した後の糸条の冷却を吸引冷却、温風吹き出し冷却、冷風吹き出し冷却の3ステップとし、以下(1)、(2)の条件を満たすようにすると好ましく製造できる。
(1)吸引冷却、温風吹き出し冷却、冷風吹き出し冷却の順で冷却する。
(2)吸引冷却、温風吹き出し冷却、冷風吹き出し冷却は、口金直下の糸条を全方位から均一に冷却できる設備。
以下上記製造方法について詳述する。
本発明において中空ポリエステル繊維は、通常紡糸口金から溶融されたポリエステルを紡出した後、冷却しながら800〜1800m/分の速度で引き取り、未延伸糸を得、この未延伸糸を延伸する。未延伸糸を引き取る速度は延伸性の観点から1200〜1600m/分の範囲がより好ましい。
溶融紡糸の際の溶融温度は、生産性を考慮すると220〜300℃とすることが好ましい。溶融方法としては、プレッシャーメルター法およびエクストルーダー法が挙げられ、いずれの方法でも問題はないが、均一溶融と滞留防止の観点からエクストルーダーによる溶融方法を採用することが好ましい。溶融ポリマーは配管を通り、計量された後、口金パックへと流入される。この際、熱劣化を抑えるために、配管通過時間は30分以下であることが好ましい。パックへ流入された溶融ポリマーは紡糸口金より紡出される。この際のポリマー温度は、250〜290℃が適当である。
紡糸口金は中空繊維が得られるようなスリットのものを使用することが好ましく、円弧状のスリットを1孔あたり2〜6個配置させて円を形成したものを使用することが好ましい。最も好ましいスリット数は3個であり、繊維横断面が略三角形状のものが容易に得られる。また、本発明は短繊維に関するものであるため、生産効率の観点から通常多ホールの口金が用いられ、300H以上のものを用いることが好ましい。ホール数を増やすほど、紡出後の糸条を均一冷却することが困難となり、繊度変動率が大きくなってしまうだけでなく、高い中空率の繊維を得ることが容易でなくなる。特に、中空繊維は中空部分の面積により見掛けの繊度が変わるため、中実繊維と比較すると、冷却速度の影響を受けやすく、繊度変動率が悪化しやすい。本発明では、次の冷却方法を適用することで、繊度変動率の悪化を大幅に抑え、且つ容易に高い中空率の繊維を得ることができる。特に、口金のホール数が1000Hから3000Hでは、従来の冷却方法と比較すると、本発明で用いる糸条の冷却方法によって、糸条の均一冷却性の観点で効果が顕著となる。
紡出後の糸条の冷却方法は、吸引冷却、温風吹き出し冷却、冷風吹き出し冷却の3ステップの冷却手順を適用することが好ましく、各ステップの役割を果たすチムニー装置を使用する。吸引冷却装置は、口金直下の糸条の外周部に設置されており、全方位から装置に囲まれた内側の空気を均一に吸引できる装置である。また、温風吹き出し冷却装置は、吸引冷却装置の真下に設置されており、糸条の外周部の全方位から内周部に向けて均一に温風を吹き出す装置である。冷風吹き出し冷却装置は、温風吹き出し冷却装置の真下に設置されており、糸条の外周部の全方位から内周部に向けて均一に冷風を吹き出す装置である。糸条の冷却方法として、上記のように、糸条の外周部の全方位から内周部に向けて均一に風を吹き出す環状タイプのチムニー設備の他に、糸条の片側からのみ風を吹き出すユニフロータイプのチムニー設備があるが、ユニフロータイプは、設備設計上容易であるが、冷却ムラが大きく、繊度変動率が大幅に悪化しやすいので注意が必要である。本発明の中空ポリエステル短繊維を得るポイントは、紡糸口金から紡出された糸条を均一にかつ、急速に冷却することである。そのため、冷却開始位置は口金面に近いほど良く、また、糸条による随伴気流や外乱による乱気流が生じるのを防ぐことが望ましい。
そこで、本発明の中空ポリエステル短繊維を製造する際の糸条の冷却は、1ステップ目として吸引開始位置が口金直下0〜50mmの位置に有り、吸引長が2〜20mmの吸引冷却装置を用いて、10〜50m/分で吸引を行うことで、口金直下に形成される乱気流を吸引しながら糸条を冷却することが好ましい。吸引開始位置のより好ましい範囲は、乱気流の抑制効果と、糸条の冷却効果の観点から、0〜20mmである。吹き出し冷却装置による冷却開始位置の短縮でも、繊度変動率を低下させつつ、高い中空率の繊維を得ることができるが、乱気流を完全になくすことが困難である。
2ステップ目として吸引冷却のあとに、風温が60〜180℃で冷却長が5〜40mmの温風吹き出し冷却装置を用いて、20〜80m/分で冷却することが好ましい。該温度の温風を使用することで、口金面温度の低下を緩和し、紡出性の悪化を抑制することができ、適度に糸条を冷却することが可能となる。これによって、1ステップの吸引開始位置を極限まで短くすることを可能にし、低い固有粘度の繊維でも高中空化が可能になる。また、温風の風速は、吸引冷却装置の風速より高く設定することが好ましい。温風の風速が、吸引冷却装置の風速より低い場合、温風吹き出し冷却装置の下に設置している冷風吹き出し冷却装置から口金面へ随伴流とは逆行する冷却風が流れるため、乱流が発生し、繊度変動率が悪化するだけでなく、口金面温度が大幅に低下し、紡出性が悪化する。該風温のより好ましい範囲は、口金面の冷却を抑制し、且つ糸条を適度に冷却できる、80〜160℃である。
3ステップ目として温風冷却のあとに、風温が10〜40℃で冷却長が100〜500mmの冷風吹き出し冷却装置を用いて、50〜180m/分で冷却することが好ましい。2ステップまでに糸条が適度に冷却され、中空形態を維持できているが、完全には固化できていないため、3ステップ目で完全に固化させることが目的である。また、効果的な冷却と紡糸後の延伸性の観点から、より好ましい該風温の範囲は20〜30℃である。また、冷風吹き出し冷却の風速は、温風吹き出し冷却の風速より高く設定することが好ましい。冷風吹き出し冷却の風速が、温風吹き出し冷却の風速より低い場合、冷却が不十分となり、中空率が低下してしまう。
紡出した未延伸糸を延伸する工程では、未延伸糸を30〜300ktexに束ねて、2〜5倍で蒸気下もしくは熱水中で延伸する。その後目標とする物性に応じて、緊張熱処理を行って強度、伸度、収縮率を調整する。そしてクリンパーを用いて捲縮付与をする。
捲縮特性は、本発明で規定する範囲を満たし、かつ、高次加工性で問題にならなければ特に限定しないが、捲縮数は5〜25山/25mm、捲縮度は5〜30%であることが好ましい。捲縮が高すぎると、絡合性が高くなりすぎて、紡績加工時のカード工程においてネップが発生したり、ウェッブや紡績糸の均一性を欠いたりすることがある。
本発明の中空ポリエステル短繊維は、紡績糸に加工し、織編物用途として使用することが最も好ましいが、不織布などにも適用してもよい。
本発明の紡績糸を構成する他の繊維の種類は特に限定されるものではなく、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、レーヨン、綿、麻、ウール、絹の少なくとも1種類を用いたものが、本発明の効果を最大限に発揮できるので好ましく、本発明の中空ポリエステル短繊維のみで構成されていてもよい。特に、ポリエステル100%、ポリエステル/レーヨン混、ポリエステル/ウール混、などが好ましい。
本発明の中空ポリエステル短繊維を紡績糸にする際には、通常の紡績方法により紡績糸を製造することができる。リング精紡機(結束・渦流方式含む)や空気精紡機等を用いて、紡績糸を製造することができる。紡績糸のヨリ係数は、2.5〜4.5の範囲であることが好ましい。ヨリ係数が2.5未満では、十分な糸強力が得られない傾向があり、紡績時の糸切れや織編物にした際の強度低下を招く傾向がある。また、ヨリ係数が4.5を超えると、ヨリ戻りによるビリが発生する傾向があるほか、織編物にした際に粗硬感がある傾向になる。
本発明の紡績糸は、セーター、インナーシャツ、パンツ用途に好適であり、特にセーターとして用いることが最良である。
<評価方法>
<固有粘度>
ポリマーもしくは、原綿を溶媒である純度98%のo−クロロフェノール(溶媒)に溶解して検体溶液を作製する(検体2gに対して溶媒25cc)。25℃の温度における検体溶液の粘度と、同一温度における溶媒のみの粘度を、オストワルド粘度計を用いて測定し、落下秒数から算出して求めた。
<繊度、繊度変動率、繊維長>
JIS L1015(2010年)に示される方法によって、繊度、繊度変動率及び繊維長を測定した。
<中空率と中空率変動率>
光学顕微鏡で繊維断面を500倍で撮影する。撮影した繊維の中から一本を抽出して、抽出した繊維を白紙に30枚印刷する。そして、印刷した30枚分について、繊維の外周に沿ってハサミで切り取る。そしてこの30枚合計の重さを量り、その重量をA’とする。次にこの切り取った30枚について、中空部分をハサミで切り取り、同様に重さを量り、その重量をB’とする。同様の操作を、全て異なる繊維に対して計30回実施し、30回分のA’およびB‘の平均値、AおよびBを算出する。中空率(C)は平均で算出したAとBを用いて、B/A×100(%)とする。また、30回分のA’およびB’の値から標準偏差(D)を算出し、D/Cを中空率変動率とする。
<中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚と中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚変動率>
光学顕微鏡で繊維断面を500倍で撮影する。撮影した繊維の中から一本を抽出して、抽出した繊維を白紙に30枚印刷する。そして、印刷した繊維断面を不作為に30箇所選定し、中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚を物差しでそれぞれ測定し平均値を算出する。同様の操作を、他の異なる繊維に対して計30回実施し、30回分の平均値を中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(NA)とする。また、その標準偏差(F)を算出し、(F/NA)×100(%)を中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚変動率(NA変動率)とする。
<中空保持率>
測定すべきポリエステル短繊維を番手30S、ヨリ係数3.5の紡績糸とし、光学顕微鏡で該紡績糸の断面を500倍で撮影する。上記記載の中空率の測定方法を元に、紡績糸中の繊維の中空率(D)を算出し、紡績糸にする前の繊維の中空率(C)との比から、次式により算出する。
中空保持率(%)=(D/C)×100(%)
<織物厚さ>
測定すべきポリエステル短繊維を番手30S、ヨリ係数3.5の紡績糸とした後、タテ密度85本/インチ(2.54cm)、ヨコ密度70本/インチ(2.54cm)で、エアジェット織機を用いて平織物を得て、20cm×20cmをサンプルとして切り出した。得られた織物の各辺の3箇所を測定して、その平均値を算出した。
<風合い>
測定すべきポリエステル短繊維を番手30S、ヨリ係数3.5の紡績糸とした後、タテ密度85本/インチ(2.54cm)、ヨコ密度70本/インチ(2.54cm)で、エアジェット織機を用いて平織物を得て、20cm×20cmをサンプルとして切り出した。サンプルを6人の被験者に触ってもらい、次の基準に従って点数評価を行った後に平均点を算出し、AおよびBを合格とした。
3点:風合いが柔らか、
2点:風合いがやや硬い、
1点:風合いが硬い
A:3.0〜2.6点
B:2.5〜2.1点
C:2.0〜1.6点
D:1.5〜0.0点
<抗ピリング性>
JIS L1076(2012年)A法に示されている方法によって測定し、抗ピリング性を次の基準で判定した。本発明では、AおよびBを合格とした。
A:4.5級以上
B:3.5〜4級
C:2〜3級
D:1.5級以下
<紡績糸の糸ムラ>
測定すべきポリエステル短繊維を番手30S、ヨリ係数3.5の紡績糸とした後、JIS L1095(2010年)A法に示されている方法によって測定し、紡績糸の糸ムラ(CV%)を測定した。本発明では、CV%が15%未満を合格とした。
[実施例1]
固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、これを溶融温度280℃で溶融し、吐出量が1925g/分になるようギアポンプで計量を行い、280℃の温度で口金に流入し紡糸した。口金孔数は2000Hで、口金孔の形状は図2のような円弧状のスリットを1孔あたり4個配置させた同心円状の円を形成したものを使用した。紡糸繊維の断面形状は、外形が真円形状で、その真円の中心部を中心に略四角形状の中空部を有しており、紡糸された糸条を1300m/分の速度で引き取りながら、冷却した。糸条の冷却は、外周部の全方位から均一に冷却可能な環状タイプの冷却設備を用い、紡糸口金から0mmの位置より、風速40m/分、吸引長10mmの吸引装置により吸引冷却後、風温120℃、風速60m/分、冷却長20mmの吸引装置下に取り付けた温風吹出し冷却装置により冷却し、その後、風温20℃、風速130m/分、冷却長400mmの温風吹出し冷却装置下に取り付けた冷却吹出し冷却装置により冷却した。糸条の冷却後、工程油剤を0.1質量%付与し、フリーローラーを経て収束0.1%ガイドで他の紡糸錘20本合糸し、未延伸糸を得た。16本の未延伸糸を引き揃えながら、90℃の温度の温水に導き、延伸倍率2.8倍で延伸した延伸糸を、180℃の加熱ローラーで緊張熱処理してクリンパーへ導き機械捲縮を付与して、捲縮数14山/インチ(2.54cm)、捲縮度12%の捲縮トウを得た。得られた捲縮トウを乾燥後、仕上げ油剤を0.2重量%付与し、回転式のカッターにより切断し繊維長38mmのポリエステル短繊維を得た。得られたポリエステル短繊維を前述の方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
固有粘度0.59のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、実施例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
固有粘度0.55のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、実施例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
口金孔の形状は図3のような円弧状のスリットを1孔あたり4個配置させた偏芯円状の円を形成したものを使用した。紡糸繊維の断面形状は、外形が真円形状でその真円の中心に対して偏芯部を中心に中空部を有していた。その他は実施例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
吐出量が1375g/分になるようにギアポンプで計量を行い、口金孔の形状は図3のような円弧状のスリットを1孔あたり4個配置させた偏芯円状の円を形成したものを使用した。その他は実施例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
口金孔の形状は図4のような円弧状のスリットを1孔あたり3個配置させた同心円状の円を形成したものを使用した。紡糸繊維の断面形状は、外形が真円形状で、その真円の中心部を中心に略三角形状の中空部を有していた。その他は、実施例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
口金孔の形状は図4のような円弧状のスリットを1孔あたり3個配置させた同心円状の円を形成したものを使用した。糸条の冷却は、外周部の全方位から均一に冷却可能な環状タイプの冷却設備を用い、紡糸口金から0mmの位置より、風速20m/分、吸引長10mmの吸引装置により吸引冷却後、風温120℃、風速40m/分、冷却長20mmの吸引装置下に取り付けた温風吹出し冷却装置により冷却し、その後、風温20℃、風速110m/分、冷却長400mmの温風吹出し冷却装置下に取り付けた冷却吹出し冷却装置により冷却し、実施例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例8]
固有粘度0.55のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、かつ口金孔の形状は図4のような円弧状のスリットを1孔あたり3個配置させた同心円状の円を形成したものを使用し、その他は、実施例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例9]
口金孔の形状は図4のような円弧状のスリットを1孔あたり3個配置させた同心円状の円を形成したものを使用した。また、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステルを全ジカルボン酸成分に対して4.9mol%重合した固有粘度が0.64のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、その他は実施例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例10]
口金孔の形状は図4のような円弧状のスリットを1孔あたり3個配置させた同心円状の円を形成したものを使用した。また、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステルを全ジカルボン酸成分に対して4.9mol%重合した固有粘度が0.55のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、実施例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
固有粘度0.70のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、これを溶融温度280℃で溶融し、吐出量が1925g/分になるようギアポンプで計量を行い、280℃の温度で口金に流入し紡糸した。口金孔数は2000Hで、口金孔の形状は図4のような円弧状のスリットを1孔あたり3個配置させた同心円状の円を形成したものを使用した。紡糸繊維の断面形状は、外形が真円形状で、その真円の中心部を中心に略三角形状の中空部を有しており、紡糸された糸条を1300m/分の速度で引き取りながら、冷却した。糸条の冷却は、外周部の全方位から均一に冷却可能な環状タイプの冷却設備を用い、紡糸口金から0mmの位置より、風速40m/分、吸引長10mmの吸引装置により吸引冷却後、風温120℃、風速60m/分、冷却長20mmの吸引装置下に取り付けた温風吹出し冷却装置により冷却し、その後、風温20℃、風速130m/分、冷却長400mmの温風吹出し冷却装置下に取り付けた冷却吹出し冷却装置により冷却した。糸条の冷却後、工程油剤を0.1質量%付与し、フリーローラーを経て収束0.1%ガイドで他の紡糸錘20本合糸し未延伸糸を得た。16本の未延伸糸を引き揃えながら、90℃の温度の温水に導き、延伸倍率2.8倍で延伸した延伸糸を、180℃の加熱ローラーで緊張熱処理してクリンパーへ導き機械捲縮を付与して捲縮数14山/インチ(2.54cm)、捲縮度12%の捲縮トウを得た。得られた捲縮トウを乾燥後、仕上げ油剤を0.2重量%付与し、回転式のカッターにより切断し繊維長38mmのポリエステル短繊維を得た。得られたポリエステル短繊維を前述の方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
固有粘度0.50のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、比較例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、糸条の冷却は、外周部の全方位から均一に冷却可能な環状タイプの冷却設備を用い、紡糸口金から0mmの位置より、風速50m/分、吸引長10mmの吸引装置により吸引冷却後、風温120℃、風速90m/分、冷却長が20mmの吸引装置下に取り付けた温風吹出し冷却装置により冷却し、その後、風温20℃、風速160m/分、冷却長が400mmの温風吹出し冷却装置下に取り付けた冷却吹出し冷却装置により冷却し、比較例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、糸条の冷却は、外周部の全方位から均一に冷却可能な環状タイプの冷却設備を用い、紡糸口金から0mmの位置より、風速20m/分、吸引長10mmの吸引装置により吸引冷却後、風温120℃、風速40m/分、冷却長が20mmの吸引装置下に取り付けた温風吹出し冷却装置により冷却し、その後、風温20℃、風速60m/分、冷却長が400mmの温風吹出し冷却装置下に取り付けた冷却吹出し冷却装置により冷却し、比較例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例5]
固有粘度0.55のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、糸条の冷却は、外周部の全方位から均一に冷却可能な環状タイプの冷却設備を用い、紡糸口金から0mmの位置より、風速60m/分、吸引長10mmの吸引装置により吸引冷却後、風温120℃、風速40m/分、冷却長が20mmの吸引装置下に取り付けた温風吹出し冷却装置により冷却し、その後、風温20℃、風速130m/分、冷却長が400mmの温風吹出し冷却装置下に取り付けた冷却吹出し冷却装置により冷却し、比較例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例6]
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、糸条の片側からのみ風を吹き出すユニフロータイプのチムニー設備を用いて、口金から10mmの位置より、風温20℃、風速160m/分、冷却長が800mmの条件で糸条を冷却した。その他は、比較例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例7]
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、外周部の全方位から均一に冷却可能な環状タイプの冷却設備を用い、口金から10mmの位置より、風温20℃、風速100m/分、冷却長が400mmの条件で糸条を冷却した。その他は、比較例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例8]
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、糸条の片側からのみ風を吹き出すユニフロータイプのチムニー設備を用いて、口金から10mmの位置より、風温20℃、風速200m/分、冷却長が800mmの条件で糸条を冷却した。その他は、比較例1と同様にしてポリエステル短繊維を得て、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例9]
固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレートポリマーを使用し、これを溶融温度2268℃で溶融し、吐出量が1260g/分になるようギアポンプで計量を行い、2268℃の温度で口金に流入し紡糸した。口金孔数は2000Hで、口金孔の形状は図2のような円弧状のスリットを1孔あたり4個配置させた同心円状の円を形成したものを使用した。紡糸繊維の断面形状は、外形が真円形状で、その真円の中心部を中心に略四角形状の中空部を有しており、紡糸された糸条を1800m/分の速度で引き取りながら冷却した。糸条の冷却は、外周部の全方位から均一に冷却可能な環状タイプの冷却設備を用い、紡糸口金から15mmの位置より、風温25℃、風速180m/分、冷却長100mmの条件で冷却した後、風温25℃、風速30m/分、冷却長250mmの条件で冷却した。糸条の冷却後、工程油剤を0.1質量%付与し、フリーローラーを経て収束0.1%ガイドで他の紡糸錘20本合糸し未延伸糸を得た。16本の未延伸糸を引き揃えながら、65℃の温度の温水に導き、延伸倍率2.5倍で延伸した延伸糸を180℃の熱ドラムで緊張熱処理しクリンパーへ導き機械捲縮を付与して捲縮数14山/インチ(2.54cm)、捲縮度12%の捲縮トウを得た。得られた捲縮トウを乾燥後、仕上げ油剤を0.2重量%付与し、回転式のカッターにより切断し繊維長38mmのポリエステル短繊維を得た。得られたポリエステル短繊維を前述の方法で評価した。結果を表1に示す。
a.頂点
b.頂点
c.頂点

Claims (6)

  1. 下記の(1)〜(4)を同時に満たし、且つ繊維軸方向に連続した1つの中空部を有する中空ポリエステル短繊維。
    (1)繊維横断面の中空率が20%以上40%未満。
    (2)NA≧2.0×d0.5
    NA:中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(μm)
    d:単繊維繊度(dtex)
    (3)繊度変動率が8.0%以下。
    (4)繊維の固有粘度が0.54〜0.64。
  2. 中空部の横断面形状が三角形状である請求項1の中空ポリエステル短繊維。
  3. スルホイソフタル酸金属塩を全ジカルボン酸成分に対して1〜10mol%重合した請求項1または請求項2に記載の中空ポリエステル短繊維。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の中空ポリエステル短繊維を含む紡績糸。
  5. 紡糸口金から溶融されたポリエステルを紡出した後の糸条の冷却が吸引冷却、温風吹き出し冷却、冷風吹き出し冷却の3ステップからなり、以下(1)、(2)の条件を満たして製造される請求項1〜請求項3のいずれかに記載の中空ポリエステル短繊維の製造方法。
    (1)吸引冷却、温風吹き出し冷却、冷風吹き出し冷却の順で冷却する。
    (2)吸引冷却、温風吹き出し冷却、冷風吹き出し冷却は、口金直下の糸条を全方位から均一に冷却できる設備。
  6. 以下(1)〜(4)の条件を満たし請求項5記載の中空ポリエステル短繊維の製造方法。
    (1)吸引冷却の吸引開始位置が0〜50mmの間に位置する。
    (2)温風吹き出し冷却の風温が60〜180℃。
    (3)冷風吹き出し冷却の風温が10〜40℃。
    (4)吸引冷却の風速よりも温風吹き出し冷却の風速の方が高く、温風吹き出し冷却の風速よりも冷風吹き出し冷却の風速の方が高い。
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