JP2019131920A - 捲縮糸 - Google Patents

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【課題】捲縮糸を構成する単糸の捲縮形態を精密に制御し、かつ糸束中での単糸の分散性を制御し、改善することで、心地よい嵩高性と捲縮形態に応じた糸長差による柔軟な表面触感を有する繊維素材を提供すること。【解決手段】2種類以上の断面形態が異なる偏心芯鞘複合糸の単糸が糸束中に分散して混在することを特徴とする捲縮糸。【選択図】図2

Description

本発明は、捲縮形態が異なる単糸が均質に分散して混在する捲縮糸において、心地よい嵩高性と柔軟な触感を有し、動作追従性に優れたストレスフリーなストレッチ素材に適した捲縮糸に関するものである。
ポリエステルやポリアミドなどの熱可塑性ポリマーを用いた繊維は力学的特性、寸法安定性をはじめ様々な優れた特性を有しているため衣料用途をはじめ、インテリア、車両内装、産業資材等各種分野で利用されている。繊維の用途が多様化するに伴い、その要求特性も多様なものになってきている。
近年においては、着用時のフィット性や動作追従性を訴求するストレッチ素材への要求は高く、さらに風合い、軽量性、嵩高性等といった着用快適性も兼備する高機能ストレッチ繊維の開発が盛んに行われている。特に嵩高性の付与は、糸束間に存在する微細な空隙により膨らみのある柔らかな触感や内包される空気の断熱効果による優れた保温性などを生み出すことから優れた着用快適性を生むこととなり、インナーからアウターといった一般衣料からスポーツ衣料まで幅広く利用することができる。
布帛を構成する原糸にストレッチを付与する方法はこれまでに種々提案され、繊維に仮撚加工を施し、加撚/解撚トルクを発現させた繊維を用いたり、織物中にゴム弾性をもつポリウレタン系の繊維を混用したりする方法があるが、ストレッチ性が不足したり、他素材を混用するために、染色工程が複雑になる等が課題になる場合があった。
これ等の課題に対し、異なるポリマーをサイドバイサイド型に貼り合せ、この収縮差によりスパイラル構造を発現させる潜在縮発現性糸に関する技術の開示がある。
特許文献1では固有粘度差あるいは極限粘度差を有するポリエチレンテレフタレート(PET)のサイドバイサイド複合糸、特許文献2にはポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とPETを利用したサイドバイサイド複合糸といった潜在捲縮糸が提案されている。これらの潜在捲縮糸においては各ポリマーの収縮率差を利用することで、単糸が3次元的なスパイラル構造を形成することから、この捲縮の伸び縮みによって発現するストレッチ性を訴求点とした繊維が得られている。
また、上記のような潜在捲縮糸においては単糸間の捲縮位相が揃うのを抑制するために、マルチフィラメントを構成する単糸間で捲縮形態を変化させ、単糸が独立して捲縮を発現することが有効に作用する。これを実現するには、単糸間にポリマー界面の湾曲率のバラツキを有する潜在捲縮糸等とすることが考えられ、このような技術が特許文献3および特許文献4で提案されている。
特許文献3の技術は、複合比率を単糸間で変化させてポリマー界面の湾曲率のバラツキを発現させる技術であり、複合比率に応じた単糸間の捲縮形態差により、捲縮位相をずらし、布帛とした際にストレッチ性と嵩高性を兼備できる可能性がある。
特許文献4では2種類以上の異形度の異なる潜在捲縮糸の単糸群からなる嵩高性ポリエステル複合繊維が提案されている。確かに、特許文献4の技術においては、単糸断面の異形度に応じて単糸の捲縮形態を変化させることが可能であり、単糸の捲縮が噛み込まず各々で捲縮を発現する、いわゆる捲縮位相がずれた状態を達成できる可能性がある。
また、特許文献3および特許文献4とは異なり、適度に捲縮率が異なる潜在捲縮糸を別々に紡糸した後に延伸工程時に混繊することを特徴とした特許文献5では、布帛にした際にふっくらとした膨らみのある風合いが得られると記載されている。
特開2014−198917号公報(特許請求の範囲) 特開2005−113369号公報(特許請求の範囲) 特開2000−212838号公報(特許請求の範囲) 特開2007−247107号公報(特許請求の範囲) 特開昭58−208418号公報(特許請求の範囲)
特許文献1および特許文献2で提案されている潜在捲縮糸では、構成する単糸全てが同じ複合断面を有しているため、おのずと単糸が発現する捲縮のサイズやピッチといった捲縮形態が同一になる。このため、マルチフィラメントとして同じ捲縮を有した単糸が集合した場合には、同サイズの捲縮がお互いに噛み込みを起こすことで、複数本の糸の捲縮位相が揃い、マルチフィラメントが撚糸されたような、1本のスパイラル構造を形成する場合があった。
このような捲縮位相が揃った状態では、糸束は集束してしまい、布帛とした場合には、ストレッチ性に加えて、布帛の触感に重要となる嵩高性も大きく損ねる場合がある。また、捲縮糸がランダムに存在せず、位相が揃った状態で存在する場合には、方向性を揃えて1方向に大きく収縮することとなるため、高次加工工程においてシボやスジ欠点が発生しやすくなり、緻密に高次加工の温度や張力を制御することが必要になる場合があった。
また、特許文献3の技術では、複合比率を係る範囲で変化させても、捲縮形態の変化はわずかであるため、捲縮形態という観点においては実質全ての単糸が同一とみなせ、捲縮位相をずらすには及ばず、布帛とした際に嵩高性に劣るものであった。
さらに、特許文献3よりも捲縮位相をずらす効果の高い特許文献4の技術では、捲縮位相をずらす効果を有効なものにするためには1種以上の繊維の断面を過剰な異形度にする必要があり、マルチフィラメント内で高異形糸の存在比率に偏りが生じる場合があった。このような潜在捲縮糸では通常捲縮糸と比較して、過剰に、かつ部分的に捲縮位相の揃った箇所が発現する場合があり、布帛の触感や表面品位は優れているとは言い難いものであった。
一方、特許文献5の技術では、後混繊により混繊糸を得ていることから、糸束中で種類の異なる単糸の分散性が高いとは言い難く、結局、特許文献4と同様に同じ種類の単糸が偏在することで、過剰に、かつ部分的に捲縮位相の揃った箇所が発現する場合があり、布帛の触感や表面品位は優れているとは言い難いものであった。また、特許文献5では十分にインターレース加工等で混繊交絡加工を施さないと、低捲縮糸が糸束の表面に浮かんで存在することとなり、布帛表面が不要に凹凸感を感じるざらついた触感になる場合があった。
本発明は従来技術の課題を克服し、捲縮糸を構成する単糸の捲縮形態を精密に制御し、かつ糸束中での単糸の分散性を制御し、改善することで、心地よい嵩高性と捲縮形態に応じた糸長差による柔軟な表面触感を有する繊維素材を提供するものである。
上記課題は、以下の手段により達成される。すなわち、
(1)2種類以上の断面形態が異なる偏心芯鞘複合糸の単糸が糸束中に分散して混在することを特徴とする捲縮糸。
(2)捲縮糸中の単糸の横断面におけるポリマー間の中央重心点間距離が最大のものと最小のものの比が1.10倍以上異なる(1)に記載の捲縮糸。
(3)全ての単糸の異形度が1.50以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の捲縮糸。
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の捲縮糸が少なくとも一部に含まれる繊維製品。
である。
本発明の捲縮糸は、捲縮形態が異なる単糸が糸束内に分散して混在するものであり、単糸間の捲縮位相のずれによって発現する細やかな繊維間空隙が、糸束に優れた嵩高性と柔軟な伸縮特性を生み、織編物とすることで嵩高で柔軟な表面の触感とストレスを感じない優れた動作追従性を兼備した快適衣料用テキスタイルを提供することができる。
本発明の捲縮糸を構成する単糸の一例であり、その繊維断面における重心点位置を説明するための繊維横断面である。 本発明の捲縮糸の繊維横断面の概略図の一例である。 本発明の捲縮糸を構成する単糸の重心点間距離の分布の一例の概要図である。 本発明の偏心芯鞘断面を有する捲縮糸を得るための最終分配プレートにおける分配孔配置の一例である。 本発明の薄皮偏心芯鞘断面を得るための最終分配プレートにおける分配孔配置の実施形態例である。 本発明の薄皮偏心芯鞘断面の一例であり、繊維断面における最小厚み(S)を説明するための繊維断面である。
以下、本発明について、望ましい実施形態とともに詳述する。
本発明の捲縮糸は、断面形態が異なる2種類以上の偏心芯鞘複合糸の単糸が糸束中に分散して混在していることが必要となる。
本発明で言う偏心芯鞘断面とは、図1に例示する単糸の繊維断面が2種のポリマーから構成され、重心点位置が単糸の断面中心と異なっている芯成分(ポリマーA)が鞘成分(ポリマーB)に完全に覆われている断面を意味する。図1には該偏心芯鞘断面を例示しているが、水平ハンチングが鞘成分(ポリマーB)、30degハンチング(右上がり斜線)が芯成分(ポリマーA)、単糸断面における芯成分の重心点が重心aであり、単糸断面の中心が中心点cとして図示している。芯成分と鞘成分の2種類の成分で断面を構成する本発明の偏心芯鞘複合糸は、熱処理処理などを施すことにより、芯/鞘成分の収縮差に応じて単糸が大きく湾曲し、コイルのような3次元的なスパイラル捲縮が発現するものであり、本発明では、断面形態が異なる2種類以上の偏心芯鞘断面が同じ糸束内に混在していることが重要な要件となる。
ここで言う断面形態が異なるとは、本発明の偏心芯鞘複合糸の単糸断面における重心間距離が異なることを意味し、この糸断面における重心点間距離とは、以下のように求めることができる。
すなわち、複数の単糸からなる捲縮糸を糸束のままエポキシ樹脂などの包埋剤で包埋し、この横断面を走査型電子顕微鏡(SEM)などで単糸が10本以上観察できる倍率で画像を撮影する。この際、金属染色を施すとポリマー間の染め差を利用して、芯成分、鞘成分の接合部のコントラストを明確にすることができる。撮影された各画像において、単糸の芯成分の外接円の中心点を重心a、単糸の外接円の中心点を中心c、その直径が繊維径Dとした場合に、重心aと中心c間の距離Gを繊維径Dで割り返して求めた値を小数点第2位で四捨五入した値が本発明で言う重心点間距離(G/D)である。重心点間距離を求める際に用いる各成分の外接円の直径とは、2次元的に撮影された画像から繊維軸に対して垂直方向の断面を切断面とし、この切断面に2点以上で最も多く外接する真円の径をμm単位で測定し、小数点第2位以下を四捨五入した値を意味する。
本発明で言う“糸束内に断面形態が異なる2種類以上の偏心芯鞘断面が混在する”とは、後述する様態のことを意味し、図2に示した本発明の捲縮糸の糸束断面の一例を利用して説明する。
図2では、2種類の重心点間距離が異なる偏心芯鞘複合糸の単糸が糸束中に混在している状態を例示している。図2のような糸束の断面を前述した繊維断面の重心点間距離で、全ての単糸を評価した場合には、図3に例示するような2つの重心点間距離分布(3−(a)、(c))をとることとなる。ここで、各分布の範囲(分布幅)に入る重心点間距離を有した単糸群を“1種類”とし、捲縮糸を構成する全ての単糸の測定結果において、この重心点間距離分布が図3のように2個以上存在することが、本発明で言う“糸束内に断面形態が異なる2種類以上の偏心芯鞘断面が混在する”ことを意味している。ここで言う重心点間距離の分布幅とは(3−(e)、(f))とは、各単糸群の中で最も存在数が多いピーク値である中央重心点間距離(3−(b)、(d))の±5%の範囲を意味する。
糸束内の単糸が2種類の同じポリマーで構成されている場合には、前述した重心点間距離の長短に依存して、単糸を湾曲させるモーメントが変化する。このため、単糸のスパイラル構造の外径や単位長さ当たりの捲縮山数と言った、単糸毎の捲縮発現の度合いが変化することになる。これはすなわち、糸束における嵩高性や反発感などの触感、さらには伸縮挙動にも大きく影響を与えるものであり、衣料用テキスタイルとして重要な要件である。この点に関して、本発明者等は鋭意検討し、本発明の要件である糸束内に断面形態が異なる2種類以上の偏心芯鞘断面が混在することで、捲縮形態の差により単糸どうしの捲縮はお互いに噛み合うことなく、単糸が独立してスパイラル構造を発現することとなり、単糸−単糸間でお互いを排除しあうことで、嵩高性に優れた良好なストレッチ素材に適した糸になることを見出したのである。
本発明において、構成する単糸間の捲縮形態差が重要な要件となるが、これは糸束を構成する単糸の中央重心点間距離の最大値(Gmax)と最小値(Gmin)の比(Gmax/Gmin)によって評価することができる。すなわち、Gmax/Gminは、捲縮糸を構成する単糸群の中央重心間距離の差を示しており、この値が大きいほど単糸群間の捲縮形態差が大きくなることを意味している。
本発明者等の検討によれば、目的とする捲縮形態の差により隣接する単糸どうしの捲縮の噛み合いを抑制でき、捲縮位相ずれによる嵩高性を発現させるためには、Gmax/Gminが1.10倍以上であることが重要である。更に、Gmax/Gminは1.60〜4.00倍の範囲がより好ましく、各単糸群の捲縮形態の差が拡張され、従来にはない糸長差を有することとなり、捲縮率の低い単糸が分散して緩い捲縮を形成し、布帛表面に存在する陰影感を表現しながら、従来にはない心地よい優れた触感を有する布帛になるのである。
さらに、本発明の捲縮糸によって発現する糸束間の空隙を要因とした良好な触感等を際立たせ、布帛とした際に部分的な外観変化を起こさず品位高く発現させるためには、2種類以上の断面形態が異なる偏心芯鞘複合糸が糸束中に分散して混在する状態にあることが重要である。ここで言う分散して混在する状態とは、糸束の断面を観察した際に、断面形態が異なる単糸群の内、少なくとも1種類の単糸が糸束中に偏りなく存在していることを意味しており、捲縮糸を構成する少なくとも1種類の単糸の隣接フィラメント群比率を見ることにより評価することができる。
本発明で言う隣接フィラメント群とは、捲縮糸の横断面において、隣接して連なる、8本以上の同一断面形態を有する単糸の集合のことであり、隣接フィラメント群比率とは隣接フィラメント群を構成する単糸の総数をNsとし、該繊維の単糸の総数をNとした場合、Ns/Nで示されるものである。また単糸が隣接して連なるとは、図2の2−(a)と2−(b)のように、任意の単糸と最も距離の近い同一断面形態を有する単糸の間に、他の断面形態を有する単糸が存在しないことである。また、2−(c)部のように、これらが8本以上隣接して連なった場合、その集合を隣接フィラメント群と定義する。さらに、この隣接フィラメント群が、捲縮糸の横断面において複数存在する場合には、それらを構成する単糸の総数が隣接フィラメント群を構成する単糸の総数Nsとなる。
すなわち、本発明で言う隣接フィラメント群比率とは、糸断面における重心点間距離を求める際に撮影した糸断面の画像を利用し、重心間点距離により分類した結果を基に、糸束上で無作為に抽出した10画像について、隣接フィラメント群を構成する単糸数をカウントする。この測定結果から、隣接フィラメント群比率=(隣接フィラメント群を構成する単糸数)/(着目した単糸の総数)×100(%)を算出する。10画像の計測結果の単純な数平均の小数点第1位以下を四捨五入した値が本発明で言う隣接フィラメント群比率とした。
一般の後混繊糸のように2種類以上の単糸が均等に混ざり合わず、糸束中である種の単糸の存在比率が偏っている場合には、この隣接フィラメント群比率は高い値となり、熱処理等を施した際には同種の単糸どうしで捲縮の噛み込みが発生して、本発明の目的とする捲縮の位相がずれて糸束間に空隙を多く含む捲縮糸とすることが困難な場合がある。
一方、本発明においては、捲縮形態が異なる単糸を糸束中に均一に分散していることを特徴としている。この糸束状態を隣接フィラメント群比率で評価すると、糸束を構成する1種の単糸の隣接フィラメント群比率が10〜80%であれば本発明の目的とする単糸が均一分散している状態を表す。
この考えを推し進めると、隣接フィラメント群比率の値は低いほうが好適であり、隣接フィラメント群比率が10〜60%で単糸が存在することが好ましい範囲として挙げることができる。係る範囲であれば、糸束中に分散した単糸の周囲には異なる捲縮形態を有する単糸が存在することとなり、該単糸が独立して捲縮構造を形成するとともに、該単糸の周囲の単糸どうしでの捲縮構造の噛み込みが抑制され、単糸−単糸間での排除効果を得ることができる。この単糸間で捲縮の位相がずれた捲縮糸は糸束内に多くの空隙を含みながら、捲縮糸の特長であるストレッチ性を発現するため、布帛にした場合には、柔らかくて心地よい反発感を有した嵩高性ストレッチ素材になる。
本発明の特徴である断面形態が異なることにより生まれる従来の後混繊糸では達成されない捲縮形態の差によって生まれる微細な空隙を形成させるためには、断面形態の異なる糸が糸束で均等に混在していることが好適であり、この観点から構成する全ての単糸断面の異形度は1.50以下であることが好ましい。
本発明で言う異形度とは、糸断面における重心点間距離を求める際に撮影した糸断面の画像を利用し、単糸の外接円径に相当する繊維径Dと単糸に内接する真円の径である内接円径を用いて、異形度=繊維径÷内接円径として算出され、小数点第3位までを求め、小数点第3位以下を四捨五入したものを異形度とした。なお、上記の方法で測定される異形度は値が1.00に近いほど、単糸断面の形状が真円に近いことを意味する。
混繊糸の場合、繊維の外形が相似的に変化していることで、混繊工程において断面形態の異なる単糸群がこなれ、糸束中に良好に分散することとなる。さらに、単糸断面が真円に近いほど、繊維軸と垂直の方向に力を受けた際に単糸が拡散しやすく、分散性が良好となるため、本発明の効果を顕著にするためには、全ての単糸断面の異形度が1.50以下であることが好ましいのである。単糸断面の異形度がさらに小さくなると、単糸の断面はより真円に近づき、本発明の要件である単糸の均一分散と言う観点で好適である。特に、本発明の捲縮糸を衣料用テキスタイルに適用する場合には、布帛表面の平滑性や光の拡散反射によるマイルドな光沢といった外観にも優れる布帛となる。このため、本発明においては、単糸断面の異形度が1.20以下であることがより好ましい範囲となる。
本発明の捲縮糸は、高次加工における工程通過性や加工して布帛した際の実使用を考えると、一定以上の靭性を持つことが好適であり、繊維の破断時の強度と伸度は以下の通りであることが好適である。
本発明の強度とは、JIS L1013(2010)に示される条件で繊維の荷重−伸長曲線を求め、破断時の荷重値を初期繊度で割った値であり、伸度とは、破断時の伸長を初期試長で割った値である。ここで、初期繊度とは、繊維の単位長さの重量を複数回測定した単純な平均値から、10000m当たりの重量を算出した値を意味する。
ここで言う強度および伸度は目的とする用途等に応じて、後述する製造工程の条件を制御することにより、調整することが好適であるが、本発明の捲縮糸の目安は、強度が、0.5〜10.0cN/dtex、伸度が5〜700%であり、好ましい範囲として挙げることができる。
本発明の捲縮糸をインナーやアウターなどの一般衣料用途に用いる場合には、強度が1.0〜4.0cN/dtex、伸度が20〜40%とすることが好ましい。また、使用環境が過酷であるスポーツ衣料用途などでは、強度が3.0〜5.0cN/dtex、伸度が10〜40%とすることが好ましい。
本発明の捲縮糸は、繊維巻き取りパッケージやトウ、カットファイバー、わた、ファイバーボール、コード、パイル、織編、不織布など多様な中間体として様々な繊維製品とすることが可能である。ここで言う繊維製品は、ジャケット、スカート、パンツ、下着などの一般衣料から、スポーツ衣料、衣料資材、カーペット、ソファー、カーテンなどのインテリア製品、カーシートなどの車輌内装品、化粧品、化粧品マスク、ワイピングクロス、健康用品などの生活用途や研磨布、フィルター、有害物質除去製品、電池用セパレーターなどの環境・産業資材用途や、縫合糸、スキャフォールド、人工血管、血液フィルターなどの医療用途に使用することができる。
次に、本発明の捲縮糸の好ましい製造法について述べる。
本発明の捲縮糸は、断面形態の異なる2種類の単糸が分散して混在した状態を形成している必要がある。この糸束形態は、別々に製糸した糸をエアーノズル等により混繊する、いわゆる後混繊を緻密に制御して適用することも可能であるが、複数の種類の単糸を同一の紡糸口金から吐出し、同時に巻取りを行う紡糸混繊法を用いることが好適である。この紡糸混繊法では、巻取時に複数の種類の単糸が同時に集束されるため、各々の単糸は捲縮糸中で分散しやすく、紡糸口金上で各単糸に相当する吐出孔の数量や配置を変化させることで、捲縮糸中での分散の度合いを変化させることも可能である。さらに、紡糸混繊することで後加工工程を削除できることに加え、本発明で必要となる糸束形態を作り出すには、例えば、過剰エアー等を噴射して交絡ノズル内で繊維配列を入れ換え混繊する必要があり、この過程で糸が不要な擦過を受け、単糸切れ等を起こす場合がある。特に本発明の場合、単糸に捲縮を発現させて布帛にストレッチ性を発現させるものであり、このような単糸切れが起こる場合には、布帛表面で単糸どうしが絡み合ってピリングを起こす場合がある。一方、本発明で好適に用いる紡糸混繊の場合には、このような懸念がなく捲縮糸を得られるため、布帛の品位も優れたものとなる。
本発明で用いる紡糸混繊法では、単糸断面における重心点間距離を構成する単糸ごとに精密に制御できる特開2011−174215号公報や特開2011−208313号公報、特開2012−136804号公報に例示される分配プレートを用いた方法が好適に用いられる。この場合には、本発明で必要となる偏心芯鞘断面における芯の重心位置の精密な制御が複雑な口金技術を用いることなく安定的に製造可能なる。本発明の捲縮糸に適用した場合には、摩擦や衝撃による布帛の白化現象や毛羽の要因となる芯成分の露出を抑制しつつも単糸間での中央重心点間距離比Gmax/Gminを限界まで大きく確保することが可能となる。
このような分配プレートを用いた方法では、複数枚で構成される分配プレートの内、最も下流に設置された最終分配プレートにおける分配孔の配置により、単糸の断面形態を制御することができる。すなわち、芯成分を成すポリマーAおよび鞘成分を成すポリマーBの分配孔の配置により断面形態を制御することができる。具体的には、図4に例示するように、偏心芯鞘型の複合断面における芯成分を成すポリマーAの分配孔4−(b)を囲むように、鞘成分を成すポリマーBの分配孔4−(a)を配置することで、本発明で必要となる偏心芯鞘複合断面の形成が可能となる。ここで、芯および鞘成分を形成する分配孔の配置や孔数、分配孔当たりのポリマーの吐出量を変更するようにアレンジすることで、単糸の重心点間距離を変更することが可能である。
さらに、重心点間距離設定の自由度を拡張する観点から、分配孔の配置を図5に例示するように、偏心芯鞘型の複合断面における芯成分を成す分配孔5−(c)を単糸の輪郭に沿って配置し、それを薄く囲うように鞘成分を成す分配孔5−(a)を配置することが好適である。このような分配孔配置の分配プレートを用い繊維を製造した場合には、図6に例示したように、単糸の断面において鞘成分の一部が均一な薄皮である、薄皮偏心芯鞘複合糸が得られるのである。ここで言う薄皮偏心芯鞘断面とは、以下の要件を満足する偏心芯鞘断面を意味する。
(A)芯成分を覆っている鞘成分の最小となる厚みSと単糸の繊維径Dの比S/Dが0.01〜0.10である。
(B)最小厚みSの1.05倍以内の厚みの周囲長部分は単糸断面の全周囲長の30%以上を占めている。
ここで言う芯成分を覆っている鞘成分の厚みが最小となる最小厚みSは、以下のように求めるものである。
すなわち、前述した重心点間距離と同様の方法で捲縮糸の断面を撮影する。撮影された画像から、芯成分を覆っている鞘成分の最小となる厚みを測定した値が、本発明で言う最小厚みSに相当する。単糸の外接円径に相当する繊維径Dと最小厚みSについては、単位をμmとして測定し、その比(S/D)を算出し、少数第3位以下を四捨五入したものを求めるものである。
本発明の偏心芯鞘複合糸が上記の要件を満たすことで、薄皮偏心芯鞘複合糸は単糸断面に占める芯成分の面積比が同一である従来の偏心芯鞘複合糸と比較すると、重心点間距離をより大きく設定することが可能となるのである。したがって、重心点間距離設定の自由度を高くすることができ、糸束を構成する単糸間で重心点間距離を大きく変更でき、本発明の捲縮糸には好適である。
上記のような薄皮偏心芯鞘断面においては、薄皮を形成するポリマーBの分配孔5−(a)の孔数は、芯成分の完全被覆および薄皮厚みの均一化という観点から、6個以上とすることが好ましい。また、薄皮を形成する分配孔5−(a)の分配孔数や分配孔辺りのポリマーの吐出量を変更するようにアレンジすることで、S/Dや最小厚みの長さを制御することが可能である。
また、上述した薄皮偏心芯鞘断面の場合には、構成する全ての単糸断面が図1の如くB成分でA成分を完全に覆っているため、口金吐出時の2種のポリマーの流速差のため起こる、吐出線曲がり(ニーイング現象)を抑制できるのである。これは、鞘成分が存在することで、ポリマー流が曲がる方向とは逆方向への力が生じる結果、口金吐出時の2種のポリマーの流速差から生じる、紡糸線と垂直方向への力を抑制することができる。このような現象は、断面形態が異なる2種類以上の単糸を混在した繊維を紡糸混繊法で安定的に製造するには、有益な技術的特徴であり、本発明者等の検討の末に得た、この発見が従来技術ではなし得なかった捲縮糸の達成に繋がっている。
本発明で採用する紡糸混繊においては、吐出線曲がりが抑制されることで、各単糸の吐出孔の配置を自由度が高く設計することが可能となり、孔配置変更することで風合い、外観、ストレッチ性といった布帛特性を制御することも可能となる。
例えば、断面形態の異なる単糸を千鳥格子配置とした場合には、各単糸は捲縮糸中に良好に分散する。このため、該単糸が各々独立して捲縮発現し、捲縮位相ずれによる嵩高性と捲縮構造によるストレッチ性を持った柔らかくて心地よい反発感が得られる。また、断面形態の異なる単糸毎に群分け配置とすると、捲縮構造の噛み込みにより集束した捲縮構造になり、該集束部がハリコシのあるストレッチ素材となる。
加えて、紡糸線上での単糸どうしの干渉を抑制でき、1枚の口金当たりの吐出孔数を増大でき、多糸条化による高度化や生産効率の向上を可能とする。
このように、分配プレートにより断面形成されたポリマー流は、縮流され、紡糸口金の吐出孔より吐出される。このとき、吐出孔は、複合ポリマー流の流量、すなわち吐出量を再度計量する点と紡糸線上のドラフト(=引取速度/吐出線速度)を制御する目的がある。孔径および孔長は、ポリマーの粘度および吐出量を考慮して決定するのが好適である。本発明の捲縮糸を製造する際には、吐出孔径は0.1〜2.0mm、L/D(吐出孔長/吐出孔径)は0.1〜5.0の範囲で選択することができる。
この分配プレートが設置された口金を用いる場合には、重心点間距離が異なるように配置した複数の分配孔群を同一分配プレート上に設置することで、同一口金で安定的に製造することができる。
本発明の捲縮糸で溶融紡糸を選択する場合、芯成分および鞘成分に使用するポリマーは、繊維形成性の熱可塑性重合体が好適であり、ポリエチレンテレフタレートあるいはその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタンなどの溶融成形可能なポリマーが挙げられる。特にポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは融点が高く、より好ましい。ポリマーの融点は165℃以上であると耐熱性が良好であり、より好ましい。
また、上記のポリマーにおいては、酸化チタン、シリカ、酸化バリウムなどの無機質、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤などの各種添加剤をポリマー中に含んでいてもよい。
本発明の捲縮糸で使用するポリマーの組み合わせは、目的とする用途に応じて芯および鞘成分を選択すれば良いが、本発明の目的を鑑み、熱収縮等を施した際に収縮率差が生じるような組合せとすることが好ましい。例えば上述したポリマーの分子量を変更させて図1のA成分を高分子量ポリマーとし、B成分に低分子量を使用し、あるいは一方をホモポリマー、他方を共重合ポリマーとして使用することもできる。また、ポリマー組成が異なる組み合わせについても、例えば、A成分/B成分でポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、熱可塑性ポリウレタン/ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレートが好適な例として挙げられる。この際、複合ポリマー流の吐出安定性という観点では、ポリマーの溶融粘度差も考慮することが好適であり、組み合わせるポリマーの溶融粘度差は400Pa・s以下とすることが好ましい。
紡糸温度は捲縮糸で使用する2種類以上のポリマーのうち、主に高融点や高粘度のポリマーが流動性を示す温度とすることが好適である。この流動性を示す温度としては、分子量によっても異なるが、そのポリマーの融点が目安となり、融点+60℃以下で設定すればよい。これ以下であれば、紡糸ヘッドあるいは紡糸パック内でポリマーが熱分解することなく、不必要なポリマー劣化が抑制される。
本発明の捲縮糸を紡糸する際の吐出量は、安定して、吐出できる範囲としては、吐出孔当たり、0.1g/min/hole〜20.0g/min/holeを挙げることができ、巻き取り条件や延伸倍率等を考慮し、所望とする繊度に応じて、係る範囲より決定することが好ましい。
また本発明では、単糸断面に占めるA成分の面積比率faが30〜70%となるようにA成分とB成分の吐出量を設定することが好ましい。A成分の面積比率係る範囲とすることで、紡糸線でのポリマー間の伸長変形差が小さくすることができ、繊維軸方向の糸径ムラの小さい良好な品質の糸が得られるのである。
さらに本発明の捲縮糸においては、A成分の面積比率faが捲縮糸を構成する全ての単糸で同一であることが好ましい。
ここで言うA成分の面積比率faとは、以下のようにして求めるものである。
すなわち、前述した重心点間距離と同様の方法で捲縮糸の横断面を撮影する。撮影され画像から、任意の画像解析ソフト(例えば三谷商事製WinROOFなど)により単糸の外接円の面積AfとA成分の面積Aaを測定し、fa=Aa/Af×100(%)で算出され、少数第1位以下を四捨五入するものである。
ここで言うA成分の面積比率が捲縮糸を構成する全ての単糸で同一とは、faバラツキが15.0%以下であることを意味する。
ここで言うfaバラツキとは、前述の方法で測定した捲縮糸を構成する全ての単糸についてfaを測定し、その測定結果をもとにfaバラツキ(faCV%)=(faの標準偏差/faの平均値)×100(%)として算出される値であり、小数点第2位以下は四捨五入するものである。以上の操作を同様に撮影した10画像について行い、10画像の評価結果の単純な数平均値をfaバラツキとした。
faバラツキが係る範囲であれば、捲縮糸中の全ての単糸でfaが同一であるとみなすことができるため、単糸間の力学特性バラツキを抑制することができ、巻き取った際に糸条にたるみが生じず、毛羽等の欠点を抑制することが可能である。
さらに捲縮糸中の全ての単糸でA成分の面積比率faが同一であることにより、本発明の目的とする捲縮位相ずれから生じる糸束間の空隙を多く含む捲縮糸を得ることができるのである。
捲縮糸中の偏心芯鞘複合糸の単糸は高収縮成分の面積比率が大きいほど捲縮構造を発現する力が高くなる。ここで糸束中の単糸間にfaのバラツキを有する場合、高収縮成分の比率が低く捲縮発現力の小さい単糸は、他単糸による拘束のため十分に捲縮構造を発現できず、捲縮発現力の大きな単糸の捲縮構造に巻き込まれた結果、捲縮位相が揃ってしまう場合があった。
このため、このような観点においても本発明では、捲縮糸を構成する全て単糸のfaを同一とし、各々単糸の捲縮発現力を同等とすることで捲縮位相ずれが発現でき、目的とする糸束間に空隙を多く含む捲縮糸を得ることができるのである。
吐出された複合ポリマー流は、風速、温度が一定に保たれた冷却風によって冷却固化される。冷却風は、糸条の冷却効率や固化点雰囲気の安定化を考慮し、風速や温度を決定すればよい。紡糸混繊を考えた場合、捲縮糸を構成する単糸はその種類に応じて、紡糸線でのたわみの程度に差が生じるため、各単糸のポリマー構成、紡糸温度、孔配置等を考慮し、干渉が起こらないよう、冷却方式を決定することが好適である。
冷却固化された糸条は、同時に集束され、油剤を付与される。ここで、各単糸は集束される際に、捲縮糸中に拡散するため、本発明の捲縮糸のように、単糸の分散性が良好な捲縮糸を得るためには、全ての糸条を同時に集束することが好ましい。また、使用する油剤は、巻き取り条件や高次加工、工程通過性等を考慮し、給油方式や付着量、種類を決定すればよい。さらに、油剤の均一付着を促進するために、インターレースノズル等によって、本発明の目的が損なわれない程度の軽度な交絡を付与してもよい。
油剤が付与された糸条は、周速が規定されたローラによって引き取られることにより、捲縮糸となる。ここで、引取速度は、吐出量および目的とする繊維径、高次加工プロセス等から決定すればよいが、本発明の捲縮糸を安定に製造するには、100〜7000m/minの範囲とすることが好ましい。高配向とし力学特性を向上させるという観点から、一旦巻き取られた後で延伸を行うことも良いし、一旦、巻き取ることなく、引き続き延伸を行うことも良い。
この延伸条件としては、例えば、一対以上のローラからなる延伸機において、一般に溶融紡糸可能な熱可塑性を示すポリマーからなる繊維であれば、ガラス転移温度以上融点以下温度に設定された第1ローラと結晶化温度相当とした第2ローラの周速比によって、繊維軸方向に無理なく引き伸ばされ、且つ熱セットされて巻き取られる。また、ガラス転移を示さないポリマーの場合には、複合繊維の動的粘弾性測定(tanδ)を行い、得られるtanδの高温側のピーク温度以上の温度を予備加熱温度として、選択すればよい。ここで、延伸倍率を高め、力学物性を向上させるという観点から、この延伸工程を多段で施すことも好適な手段である。
以上のように、本発明の捲縮糸の製造方法を一般の溶融紡糸法に基づいて説明したが、メルトブロー法およびスパンボンド法でも製造可能であることは言うまでもなく、さらには、湿式および乾湿式などの溶液紡糸法などによって製造することも可能である。
以下実施例を挙げて、本発明の捲縮糸について具体的に説明する。
実施例および比較例については、下記の評価を行った。
(1)繊度
評価する繊維の100mの重量を測定し、100倍することで繊度を算出した。これを10回繰り返し、その単純平均値の小数点第1位を四捨五入した値を繊度とした。
(2)繊維の強度、破断伸度
試料を引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100)でJIS L1013(2010) 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。この時の掴み間隔は20cm、引張り速度は20cm/分、試験回数10回であった。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
(3)重心点間距離(G/D)および中央重心点間距離比(Gmax/Gmin)
捲縮糸をエポキシ樹脂で包埋し、Reichert社製FC・4E型クライオセクショニングシステムで凍結し、ダイヤモンドナイフを具備したReichert−Nissei ultracut N(ウルトラミクロトーム)で切削した後、その切削面を(株)キーエンス製 VE−7800型走査型電子顕微鏡(SEM)にて捲縮糸の単糸が10本以上観察できる倍率で撮影した。この画像から、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて単糸の外接円径に相当する繊維径Dおよび該外接円と芯成分の内接円の中心点間距離Gを求めた。これらの結果から単糸の重心点間距離(G/D)を測定した。
また捲縮糸を構成する全ての単糸について上記の測定を実施し、この結果から図3のような重心点間距離の分布を作成し、重心点間距離ごとに単糸を分類した後に、各単糸群において最も存在数の多いピーク値である中央重心点間距離を求めた。この結果を基に、捲縮糸中で中央重心点間距離が最大のもの(Gmax)および最小のもの(Gmin)を用い、中央重心点間距離比(Gmax/Gmin)を算出した。
以上の値は全て10ヶ所の各写真について測定を行い、10ヶ所の平均値とし、単糸の外接円径Dおよび中心点間距離Gはμm単位で小数点第2位まで測定し、小数点第2位以下を四捨五入するものであり、G/Dは小数点第3位以下を四捨五入するものである。また、Gmax/Gminは小数点第3位以下を四捨五入するものである。
(4)隣接フィラメント群比率
前述した重心点間距離と同様の方法で、捲縮糸の全て単糸断面を2次元的に撮影し、重心点間距離により分類した結果を基に、画像上から無作為に抽出した5本の単糸について、隣接フィラメント群を構成する単糸数をカウントする。この測定結果を基に、隣接フィラメント群比率=(隣接フィラメント群を構成する単糸数)/(着目した単糸の総数)×100(%)を算出する。捲縮糸の10箇所以上で以上の測定を実施し、その計測結果の単純な数平均の小数点第1位以下を四捨五入して評価した糸束の隣接フィラメント群比率を評価した。
(5)異形度
前述した重心点間距離と同様の方法で、単糸断面を2次元的に撮影し、単糸の外接円径に相当する繊維径Dと単糸に内接する真円の径である内接円径を測定する。これらの結果から、異形度=繊維径÷内接円径として算出し、小数点第3位までを求め、小数点第3位以下を四捨五入するものである。画像上から無作為に抽出した10本以上の単糸で以上の測定を実施し、その計測結果の単純な数平均の小数点第3位以下を四捨五入するものである。
(6)捲縮糸の嵩高性評価(糸束の幅)
沸水処理後の捲縮糸の糸束の幅を測定することで、嵩高性を評価した。
まず作製した捲縮糸をかせ取りし、実質的に無荷重の状態で沸騰水中に浸漬して、15分間処理を行う。そしてこの処理糸を十分に乾燥させた後に0.2mg/dの荷重を掛けた状態でスライドガラスに接着材等で貼り付け、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、VHX−2000)で糸束幅が観察できる倍率として撮影する。得られた画像から無作為に抽出した10箇所について単位をμmとして糸束幅の計測を実施し、10箇所の計測結果の単純な数平均をとり、糸束幅を算出する。以上の測定を10画像以上で実施し、その計測結果の単純な数平均の小数点第1位以下を四捨五入して評価した糸束幅により嵩高性を評価した。
(7)布帛評価(嵩高性、表面の触感、動作追従性)
ヨコ糸に捲縮糸、タテ糸に56dtex−18フィラメントのポリエステル繊維を用い、ヨコ糸密度113本/inchで1/3ツイル組織の織物を作製し、80℃で20分の精錬を行い、180℃で1分の中間セットを行った後に、120℃20分のリラックス処理を行った。
上記で作製した織物サンプルを熟練者10名により、触感によって織物の嵩高性(◎、○、×で判定)と表面の触感(特に表面の滑らかさ、◎、○、×で判定)を評価した。
また、織物サンプルをヨコ糸方向へ伸長させた際の伸びと、引っ張る際の柔らかさから、織物に変形を加えた際の追従性(動作追従性)を、次の3段階判定法で評価した。
◎: 特に柔らかく大きく伸びる
○: 柔らかく大きく伸びる
×: 伸びが不十分または/および引っ張る際の抵抗が大きい。
実施例1
捲縮糸を構成する全単糸の芯成分として、溶融粘度160Pa・sのポリブチレンテレフタレート(PBT)、鞘成分として、溶融粘度30Pa・sのポリエチレンテレフタレート(PET1)を用いた。これらのポリマーを個別に溶融した後に、ポンプによる計量を行い、図5に例示した分配孔を有する分配プレートを組み込んだ同一の紡糸パックに別途流入させて、紡糸温度280℃として、口金に穿設された吐出孔から吐出した。
実施例1では、繊維とした際に、中央重心点間距離が0.39、0.22となるようそれぞれ分配孔配置を設計した2種類の分配孔群H、Lを穿設した分配プレートを用いた。分配孔群H、Lから吐出された単糸はいずれも、A成分ポリマーを覆うB成分ポリマーの一部が均一な薄皮となり、本発明で言う薄皮偏心芯鞘断面の要件を満足する複合断面(図6)を形成するものである。なお、吐出孔形状は全ホールともに丸孔(異形度1.0)とし、口金の吐出孔数は分配孔H、Lに相当する吐出孔がそれぞれ36ホールであり、口金面内で分配孔Hに相当する吐出孔群を分配孔Lに相当する吐出孔群で囲うように配置された同心円孔配置の口金を用いた。
芯および鞘成分の吐出比は全ての単糸で50/50とし、吐出された複合ポリマー流を冷却固化後油剤付与し、紡糸速度1000m/minで巻き取り、180dtex−72フィラメントの未延伸繊維を採取した。
図5に示した分配プレートにより複合ポリマー流を精密に制御しながら吐出したことで、口金面直下に見られる吐出ポリマー流の曲がりは極めて小さいものに抑制されており、吐出安定性に優れるものであった。
巻き取った未延伸繊維を70℃と130℃に加熱したローラ間で延伸速度600m/minとし、3.2倍延伸を行い、56dtex−72フィラメントの本発明の捲縮糸を得た。
得られた捲縮糸は、強度3.7cN/dtex、伸度34%と実用に耐えうる十分な力
学特性を有しており、単糸の異形度は1.04であった。また、糸束の断面を観察したところ、糸束中には断面形態の異なる単糸が2種類含まれており、各々の中央重心点間距離は0.39、0.22であり、中央重心点間距離比(Gmax/Gmin)は1.77であった。また隣接フィラメント群比率は52%であり、捲縮形態に大きな差を発現できる好適な断面形態差を有した単糸どうしが糸束内で良好に分散するものであった。
このため、沸水処理後の糸幅は440μmであり、良好に分散した2種類の単糸の捲縮形態差による捲縮位相ずれが生じることで、嵩高性に優れるものであった。
該捲縮糸を布帛とし、リラックス処理をすると、捲縮位相ずれにより糸束中に微細な空隙を含みながらも、ストレッチ性が発現されることで、膨らみが有り、柔らかくて心地よい反発性を有するものであった(嵩高性:◎、動作追従性:◎)。さらに、捲縮形態差がもたらす糸長差により捲縮率の低い単糸がゆるい捲縮を発現しながら表面に浮くことで、従来には無い心地よい触感を有していた(表面の触感:◎)。
実施例2、3
実施例2、3は、吐出孔の孔配置を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の捲縮糸を得た。
実施例2、3の捲縮糸の評価結果は表2に示す通りであるが、いずれの場合も、実施例1と同様に、口金面直下にみられる吐出ポリマー流の曲がりは極めて小さく、吐出安定性に優れるものであった。
実施例2、3の捲縮糸においては、孔配置に応じて糸束中の単糸の分散度を示す、隣接フィラメント群比率が変化するが、いずれの場合も紡糸混繊法により2種類の単糸を同時に集束するため、分散性は良好であった。
実施例2の捲縮糸は、吐出孔配置が千鳥格子配置であることから、隣接フィラメント群比率が低く、捲縮糸中の単糸の分散性が極めて良好であり、嵩高性に極めて優れるものであった。
布帛とし、熱処理等を施すと、糸束中に微小な空隙を含み、膨らみ感に優れながらも、糸長差による単糸のたるみが抑制されており、プレーンな表面品位を有していた。
一方実施例3の捲縮糸は、群分け配置とすることで、捲縮糸中で同種の単糸が適度に近寄った状態で分散しており、一部が集束して捲縮を発現することから、嵩高性にはやや劣るものであったが、問題ないレベルであった。
布帛とし、熱処理等を施すと、好適な膨らみ感を有しながらも、集束部が大きな捲縮を形成するために、ハリコシのあるストレッチ性を有していた。結果を表1に示す。
実施例4、5
実施例4、5では、単糸の中央重心点間距離が表1に示す通りになるよう、分配プレート上の分配孔配置を変更した以外、実施例1と同様にして本発明の捲縮糸を得た。
実施例4、5では構成する単糸の重心点間距離が変化したものの、複合ポリマー流を精密に制御しながら吐出したことで、口金面直下の吐出ポリマー流の曲がりは抑制されており、吐出安定性に優れるものであった。
実施例4の捲縮糸は、単糸間の中央重心点間距離比を大きくしたことで、捲縮形態差が拡大し、糸長差による捲縮率の低い単糸のたるみが顕著であった。このため布帛とすると、良好な膨らみ感を有しながらも、布帛表面に適度な凹凸があり、心地良い触感を有するものであった。
実施例5の捲縮糸は、単糸間の中央重心点間距離比が小さく、捲縮形態差が小さいことから、一部捲縮の噛みこみが見られ、嵩高性はやや低下するものの、問題ないレベルであった。また、捲縮率差も小さいことから糸長差による単糸のたるみはほとんど見られず、布帛とした際には、膨らみ感を有しながらも滑らかな表面品位を奏でるものであった。
実施例6
実施例6では、実施例1で使用した吐出プレートの吐出孔を面積を同じまま楕円形とし、異形度を1.50とした以外は、実施例1と同様にして本発明の捲縮糸を得た。なお、吐出孔の長軸方向が単糸および芯成分の重心点を結んだ線と一致するように、吐出孔を設計した。
実施例6では異形度が大きくなったことにより、口金面直下の吐出ポリマー流の曲がりは抑制され、吐出安定性に優れるものであった。
実施例6の捲縮糸では、単糸の異形度を測定すると1.42であり、異形度が増加したことで、本発明の目的を損ねない程度ではあるが、隣接フィラメント群比率が高くなり、単糸の糸束中での分散性は低くなったものの、布帛とした際には、良好な膨らみ感と異形化による独特な表面触感を有していた。
実施例7
実施例7では、繊維とした際、中央重心点間距離が0.39、0.29、0.22となるようそれぞれ分配孔配置を設計した3種類の分配孔群H、M、Lを穿設した分配プレートを用いたこと意外、実施例1と同様にして本発明の捲縮糸を得た。なお、各分配孔群から吐出された単糸はいずれも、A成分ポリマーを覆うB成分ポリマーの一部が均一な薄皮となり、本発明で言う薄皮偏心芯鞘断面の要件を満足する複合断面(図6)を形成するものである。また、口金の吐出孔数は各分配孔群H、M、Lに相当する吐出孔がそれぞれ24ホールであり、口金面内で分配孔Hに相当する吐出孔群を分配孔Mに相当する吐出孔群で囲うように配置し、さらに分配孔Mに相当する吐出孔群を分配孔Lに相当する吐出孔群で囲うように配置された同心円孔配置の口金を用いた。
実施例7では構成する単糸の重心点間距離が変化したものの、複合ポリマー流を精密に制御しながら吐出したことで、口金面直下の吐出ポリマー流の曲がりは抑制されており、吐出安定性に優れるものであった。
実施例7の捲縮糸の横断面を観察すると、3種類の単糸全てが糸束中で極めて良好に分散しており、隣接フィラメント群比率が極めて低いため、単糸間の捲縮がほとんど噛み合うことなく捲縮位相ずれが生じ、優れた嵩高性を有していた。布帛とした際には、糸束中に大中小3つの異なる捲縮形態の単糸が存在することで、糸束中に極めて微小な空隙を含むため、布帛を押しつぶした際に弾力を有しており、捲縮位相ずれによる膨らみ感と相まって、独特な触感を有していた。
実施例8
実施例8では、実施例1の分配プレートと同様の2種類の分配孔群H、L(中央重心点間距離はH:0.39、L:0.22)が穿設された分配プレートを使用し、各分配孔群に相当する吐出孔数をそれぞれ24ホールとした口金を用いた。なお吐出孔形状は全ホールともに丸孔(異形度1.00)とし、口金面内での孔配置は、分配孔Hに相当する吐出孔群を分配孔Lに相当する吐出孔群で囲うように配置された同心円孔配置とした。捲縮糸を構成するポリマー組合せ、紡糸温度およびポリマー吐出比率は実施例1と同様として吐出し、複合ポリマー流を冷却固化後油剤付与し、紡糸速度1000m/minで巻き取ることで、180dtex−48フィラメントの未延伸繊維を採取した。
単糸繊度が増大することで、口金面直下に見られる吐出ポリマー流の曲がりは極めて小さく、吐出安定性に優れるものであった。
巻き取った未延伸繊維を実施例1と同様の条件にて延伸を行い、56dtex−48フィラメントの本発明の捲縮糸を得た。
実施例8の捲縮糸は、単糸繊度が増大したことで隣接フィラメント群比率が若干高くなり、単糸の分散性はやや劣るものの、単糸が捲縮構造を発現するモーメントの増大により、単糸間の排除効果が高まり、優れた嵩高性を有するものであった。布帛とした際には、単糸繊度増大に応じてやや硬い風合いになるものの、糸束中に多くの空隙を含むことで、優れた膨らみ感と軽量感を有していた。結果を表2に示す。
実施例9、10
実施例9、10はポリマーを表2の通り変更し、実施例1と同様の吐出孔配置、吐出孔数を有する口金を用い、各実施例で得られる捲縮糸の伸度が30〜40%となるように紡糸条件及び延伸条件を設定し、本発明の捲縮糸を得た。
実施例9、10は、捲縮糸を構成する2種類のポリマーの溶融粘度差が大きくなることから、口金面直下の吐出ポリマー曲がりは大きくなったが、問題ないレベルであり、安定吐出が可能であった。
実施例9の捲縮糸は、高収縮成分としてPPTを使用することで、PPTの低ヤング率のために単糸どうしの排除効果が低下するが、隣接フィラメント群比率が低く、単糸の分散性が良好であるため、嵩高性は高いものであり、布帛とした際にはソフトな風合いと、良好で柔らかなストレッチ性を有していた。
実施例10の捲縮糸は、高収縮成分としてPET2(溶融粘度:290Pa・s)を使用することで、捲縮糸のヤング率が大きく、布帛とすると風合いがやや硬化するものの、ハリコシのある布帛風合いとなった。一方で、製糸過程での張力が高く、糸束を集束する際に単糸どうしがこなれやすいため、隣接フィラメント群比率が低く、単糸の分散性が良好となることに加え、高ヤング率により単糸どうしの排除効果が上昇するため、布帛とした際に良好な膨らみ感を有していた。
比較例1
比較例1では実施例1で使用したPBTとPET1を実施例1の分配孔HまたはLそれぞれ1種類のみで構成される分配プレートを組み込んだ口金を用いた、捲縮糸(90dtex−36フィラメント)を各々別工程で紡糸した後に、延伸機で同時給糸し、合糸延伸を行い、捲縮糸を得た(56dtex−72フィラメント、中央重心点間距離比:1.77、異形度:1.04)。
比較例1の捲縮糸では、糸束中の単糸の分散性が本発明の捲縮糸と比較すると悪く、同種の単糸どうしの存在確率が集中する箇所が見られた。このため、単糸間の糸長差により捲縮率の低い単糸が集束して表面に浮かぶ箇所があり、実施例1と比較すると布帛表面は若干ざらついた触感となり、本発明が目的とする布帛にはならなかった。
比較例2
比較例2では、実施例1で使用したPBTとPET1を実施例1の分配孔HまたはLそれぞれ1種類のみで構成される分配プレートを組み込んだ口金を用いた、捲縮糸(28dtex−36フィラメント)を各々別工程で紡糸、延伸した後に、インターレースノズルにて混繊を行い、捲縮糸(56dtex−72フィラメント、中央重心点間距離比:1.77、異形度:1.04)を得た。
比較例2の捲縮糸はインターレースノズルにより、交絡が付与されるため、交絡部では糸束中の単糸の分散性が改善されるところもあるが、実施例1と比較すると嵩高性は物足りない。また、未交絡部では、比較例1と同様に捲縮率の低い単糸が集束して表面に浮かぶため、実施例1と比較すると布帛表面は若干ざらついた触感となり、本発明が目的とする布帛にはならなかった。
比較例3
比較例3では、単糸の中央重心点間距離が表2に示す通りになるよう、分配プレート上の分配孔配置を変更した以外、実施例1と同様にして捲縮糸を得た。
比較例3の捲縮糸は、単糸間の中央重心点間距離比が極めて小さいため、全ての単糸でほとんど同一な捲縮形態となった結果、捲縮の噛みこみが生じ、繊維の長手方向のほとんどの箇所で捲縮位相が揃ってしまった。このため、単糸−単糸間の排除効果が得られず、実施例1と比較すると布帛の嵩高性に劣るものであり、本発明が目的とする布帛にはならなかった。
この素材は、捲縮糸の特徴であるストレッチ性を有していながらも、心地よい膨らみと柔軟な触感を有した織編物であり、伸縮性と布帛触感がおりなす着用快適性が要求されるスポーツ衣料からインナー、アウターといった一般アパレル衣料まで幅広く利用でき、これまでにないストレスフリーなストレッチ素材を提供できるものである。
a:捲縮糸を構成する単糸断面におけるA成分の重心点
c:捲縮糸を構成する単糸断面の中心点
G:重心aと中心c間の距離
2−(a)、(b):捲縮糸断面において隣接して連なる同一断面形態を有する単糸の一例
2−(c):捲縮糸断面における隣接フィラメント群の一例
3−(a):捲縮糸を構成する単糸Aの重心点間距離の分布
3−(b):捲縮糸を構成する単糸Aの中央重心点間距離
3−(c):捲縮糸を構成する単糸Bの重心点間距離の分布
3−(d):捲縮糸を構成する単糸Bの中央重心点間距離
3−(e):捲縮糸を構成する単糸Aの重心点間距離の分布幅
3−(f):捲縮糸を構成する単糸Bの重心点間距離の分布幅
4−(a):最終分配プレートにおける分配孔のうち、鞘成分を形成するB成分の分配孔
4−(b):最終分配プレートにおける分配孔のうち、芯成分を形成するA成分の分配孔
5−(a):最終分配プレートにおける分配孔のうち、薄皮を形成するB成分の分配孔
5−(b):最終分配プレートにおける分配孔のうち、5−(a)以外のB成分の分配孔
5−(c):最終分配プレートにおける分配孔のうち、A成分の分配孔
S:B成分の最小厚み
D:繊維径

Claims (4)

  1. 2種類以上の断面形態が異なる偏心芯鞘複合糸の単糸が糸束中に分散して混在することを特徴とする捲縮糸。
  2. 捲縮糸中の単糸の横断面におけるポリマー間の中央重心点間距離が最大のものと最小のものの比が1.10倍以上異なる請求項1に記載の捲縮糸。
  3. 全ての単糸の異形度が1.50以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の捲縮糸。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の捲縮糸が少なくとも一部に含まれる繊維製品。
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