JP2008297648A - ポリトリメチレンテレフタレート短繊維 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】紡糸工程において異方冷却を施し、その後、押し込み捲縮および熱処理によるスパイラル捲縮を併せ持つ繊維であって、繊維の固有粘度(オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定)が0.7〜1.3dL/gであるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルからなり、繊維の表面処理剤としてその繊維表面に0.05〜0.80重量%のポリエーテルエステル系化合物を有し、かつ、その繊維の繊維間静摩擦係数が0.15〜0.25の範囲内にあるポリトリメチレンテレフタレート短繊維。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1(特開平11−189938号公報)には、伸長弾性回復率、屈曲回復率などを規定した捲縮を有するポリトリメチレンテレフタレート短繊維が提案されており、かかる短繊維はポリエチレンテレフタレートからなる捲縮繊維と比べ、耐ヘタリ性が向上している。特許文献1では、ポリトリメチレンテレフタレート繊維を製造する場合に、ポリマーを溶融紡糸し、得られた原糸を延伸した後、クリンパーで押し込み捲縮を付与する方法が記載されている。しかしながら、ここで繊維に機械的に捲縮を付与しても、次の弛緩熱処理工程や、梱包のために強度の圧縮圧を掛け、ベール状で放置すると捲縮性能が著しく低下する。また、ベールを開俵後に、ポリトリメチレンテレフタレート繊維を、紡績、不織布加工、詰綿加工などのカード機ないしはそれ以降の工程に掛けた場合、極めて加工性が悪く、シリンダーやローラーに巻き上がりやすく、落綿が多く、ウェブ切れなどが発生し、生産性は極めて低いものであり、得られた製品の品位も良くないものとなってしまう。さらには、カードを通過してもヘタリによって嵩が出ないなどの問題がある。
そこで、オルガノポリシロキサンなどシリコーン系の油剤を繊維重量基準で0.05〜1.0重量程度ポリトリメチレンテレフタレート繊維に付着させ、繊維間摩擦係数を低下させると、繊維間拘束力が軽減され、嵩性能は改善される。しかしながら、オルガノポリシロキサンで処理された嵩高性の高いポリトリメチレンテレフタレート捲縮繊維は、無処理のものに比べて著しく燃焼しやすくなる性質が発現するという問題があった。
ここで、上記ポリトリメチレンテレフタレート短繊維における、繊維の捲縮数は9〜30山/25mm、捲縮度は20〜50%、捲縮弾性率は80%以上であることが好ましい。
また、本発明のポリトリメチレンテレフタレート短繊維は、中空率が5〜50%の中空繊維であることが好ましい。
さらに、本発明のポリトリメチレンテレフタレート短繊維は、繊維長が3〜200mm、単糸繊度が1〜150dtexであることが好ましい。
好ましく用いられる第三成分としては、例えば、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、金属スルホイソフタル酸などの酸成分や、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール成分など、各種のものを用いることができ、紡糸性などを考慮して適宜用いれば良い。
また、必要に応じて、各種の添加剤、例えば、艶消し剤、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、着色顔料などを必要に応じて添加することができる。
捲縮度は、紡糸における異方冷却の風速や押し込み捲縮の背圧、熱処理温度によって適切な範囲に調整することができる。
捲縮弾性率は、紡糸における異方冷却の風速や押し込み捲縮の背圧、熱処理温度によって適切な範囲に調整することができる。
上記固有粘度は、ポリトリメチレンテレフタレートの重合時間や重合雰囲気の真空度の調整により、容易に調整することができる。
上記繊維間静摩擦係数は、上記の表面処理剤の付与量により、容易に調整することができる。
ここで、本発明の短繊維に捲縮を付与するためには、押し込み型捲縮機(クリンパー)に入るトウ温度を好ましくは45℃〜90℃とするが、より好ましくは50℃〜85℃である。トウ温度が45℃未満では、十分な二次捲縮を付与することができない。一方、トウ温度が90℃を超えると、二次捲縮は付与することは可能であるが、一次捲縮が30山/25mmを超えるため適さない。
なお、本発明においては、延伸糸を延伸後、捲縮前に熱処理することは好ましくない。熱処理により上記延伸糸の捲縮がかかりにくくなる。このため、得られる短繊維の絡合性が低下し、工程通過性が不良となり好ましくないのである。
また、本発明のポリトリメチレンテレフタレート短繊維においては、オルガノポリシロキサン処理ポリトリメチレンテレフタレート短繊維に見られる著しく燃焼しやすい性質が解消される。さらに、本発明のポリトリメチレンテレフタレート短繊維は、その低い繊維間静摩擦係数によって、極めて滑らかな感触を有している。
なお、実施例中の各値は以下の方法に従って求めた。
(1)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定した。
(2)繊度、繊維長、捲縮数、捲縮率、捲縮弾性率
JIS−L1015に記載の方法に準拠して測定した。
(3)繊維間静摩擦係数
20℃、相対湿度65%下で、JIS−L1015に記載のレーダー法により測定した。
(4)中空率
紡糸引き取り後の未延伸トウの切断面を写真に撮り、20個の断面について中空部と単繊維断面の面積を測定し、単繊維断面の面積に対する中空部の面積百分率(%)の平均値を中空率とした。
(5)圧縮嵩
得られた短繊維をカードに通してウェブを作り、JIS−L1097に記載の方法に準拠して測定した。
ポリトリメチレンテレフタレート(固有粘度0.92dL/g、融点228℃)を用い253℃で溶融し、公知の中空丸断面紡糸口金(435ホール)より吐出量485g/分で吐出させた糸条に、口金面下1.5〜15cmの位置で25℃の冷却用空気を1.5m/secの流速で糸条の片側から糸条の進行方向に垂直な角度で吹き当て1,150m/分の巻取速度で未延伸糸を得た。次いで、得られた未延伸糸を12万デシテックスのトウにした後、55℃×92℃の二段温水延伸法にて1.98倍に延伸した。油剤濃度を4重量%にて付与し、この延伸糸を押込み型捲縮機で捲縮を付与した後、64mmの繊維長に切断し、150℃で弛緩熱収縮処理を施して、スパイラル状の3次元クリンプを有する立体捲縮綿を得た。得られた繊維をカードに通してウェブを作り嵩性能を測定した。結果を表1に併せて示す。
吐出量660g/分、巻取り速度1,000m/分とし、油剤濃度を5重量%としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
油剤濃度を0.5重量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
Claims (4)
- 紡糸工程において異方冷却を施し、その後、押し込み捲縮および熱処理によるスパイラル捲縮を併せ持つ繊維であって、繊維の固有粘度(オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定)が0.7〜1.3dL/gであるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルからなり、繊維の表面処理剤としてその繊維表面に0.05〜0.80重量%のポリエーテルエステル系化合物を有し、かつ、その繊維の繊維間静摩擦係数が0.15〜0.25の範囲内にあることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート短繊維。
- 繊維の捲縮数9〜30山/25mm、捲縮度20〜50%、および捲縮弾性率80%以上である請求項1記載のポリトリメチレンテレフタレート短繊維。
- 中空率が5〜60%の中空繊維である請求項1または2記載のポリトリメチレンテレフタレート短繊維。
- 繊維長が3〜200mm、単糸繊度が1〜150dtexである請求項1〜3いずれかに記載のポリトリメチレンテレフタレート短繊維。
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---|---|---|---|
JP2007143165A JP2008297648A (ja) | 2007-05-30 | 2007-05-30 | ポリトリメチレンテレフタレート短繊維 |
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JP (1) | JP2008297648A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013113543A (ja) * | 2011-11-30 | 2013-06-10 | Mitsubishi Alum Co Ltd | 熱交換器用フィン材及び熱交換器 |
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JP2019060049A (ja) * | 2017-09-27 | 2019-04-18 | 東レ株式会社 | 中空ポリエステル短繊維及びそれを用いた紡績糸 |
Citations (3)
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-
2007
- 2007-05-30 JP JP2007143165A patent/JP2008297648A/ja active Pending
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