JP2726201B2 - 強撚用鮮明性ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents

強撚用鮮明性ポリエステル繊維の製造方法

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JP2726201B2
JP2726201B2 JP4201173A JP20117392A JP2726201B2 JP 2726201 B2 JP2726201 B2 JP 2726201B2 JP 4201173 A JP4201173 A JP 4201173A JP 20117392 A JP20117392 A JP 20117392A JP 2726201 B2 JP2726201 B2 JP 2726201B2
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嗣生 藤原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鮮明性ポリエステル繊
維の製造方法に関する。さらに詳しくは、強撚シボ織物
のシボ立ち性に優れ、且つアルカリ減量処理することに
よって優れた鮮明深色性を呈する強撚用鮮明性ポリエス
テル繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは、多くの優れた特性を有
するゆえに合成繊維として広く使用されている。しか
し、ポリエステル繊維は羊毛や絹の如き天然繊維、レー
ヨンやアセテートの如き繊維素系繊維、アクリル系繊維
などに比較して、着色した際に色の深みがないため、発
色性、鮮明性に劣る欠点を有している。
【0003】かかる欠点を解消すべく、特開平1―68
568号公報において、特定のリン化合物とアルカリ土
類金属化合物と(以下「微細孔形成剤」ということがあ
る)を、その合計量がポリエステルに対して0.1〜
0.3重量%となるように添加して得られる内部析出系
微細粒子を含有するポリエステルからなる繊維をアルカ
リ減量することによって得られる、繊維表面に多数の微
細孔を有し、染色した際に優れた色の深みを呈し、摩擦
変色の少ないポリエステル繊維の製造法が提案されてい
る。
【0004】しかし、かかる方法で得られるポリエステ
ル繊維は、強撚後布帛となし、アルカリ減量した時、布
帛の巾入れが不充分で風合が劣ることから、本発明者ら
は、先に熱応力ピーク温度が140℃以上で且つ沸水収
縮率が8〜9%である、微細孔形成剤を含有するポリエ
ステル繊維を提案した(特願平3―318566号)。
【0005】かかるポリエステル繊維を強撚後布帛とな
した後、リラックス処理すると、たしかに風合の改善さ
れた鮮明性布帛が得られるものの、さらに巾入れが改善
され、シボ立ちが良好で且つ優れた深色性を呈する強撚
シボ織物の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記を背景
になされたもので、その目的は、強撚布帛をリラックス
処理した時の巾入れシボ立ち性に優れ、且つアルカリ減
量した時優れた染色鮮明性(深色性と称することがあ
る)を呈する強撚用鮮明性ポリエステル繊維の製造方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく検討した結果、微細孔形成剤の合計添加量
の少ないポリエステルからなるポリエステル繊維であっ
ても、特定条件下で紡糸・直接延伸して得られる特定の
特性を有する繊維は、強撚織物のシボ立て加工性に優れ
て著しく良好なシボを発現させることができ、且つアル
カリ減量加工することにより優れた深色性を呈すること
を見出し本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、 1.微細孔形成性微粒子を含有するポリエステルを、2
90〜300℃に加熱された紡糸口金から、口金面下1
0mmの位置まで250〜300℃に加熱された雰囲気
中に溶融吐出し、引続き口金面下少なくとも90mmの
地点から60mm以上の長さにわたって冷却風を吹付け
て冷却固化させた後に、ドラフト率150〜400、引
取速度2500〜3500m/分で引取り、次いで一旦
巻取ることなく連続して1.5〜2.3倍に延伸した後
170〜200℃で熱セットすることを特徴とする、下
記(i)〜(iii )の繊維特性を有する強撚用鮮明性ポ
リエステル繊維の製造方法であり、また、 (i) 沸水収縮率(BWS) :3.0%≦BWS≦6.0% (ii) 熱応力比(SF) :SF≧1.07 (iii )アルカリ減量速度(R):0.4%/min≦R≦0.7%/min (但し、SFは180℃における熱応力を140℃にお
ける熱応力で除した値であり、またRは3.5%水酸化
ナトリウム水溶液中沸騰温度で20%減量した時の平均
減量速度である。) 2.ポリエステルが、下記一般式(I)
【0009】
【化2】
【0010】(式中、R1 及びR2 は1価の有機基、M
は金属又は1価の有機基、nは1又は0である。)で表
わされるリン化合物をポリエステルを構成する全酸成分
に対して0.1〜0.5モル%と、下記式 2.0≦(MP+MA)/P≦3.2 (但し、MPはリン化合物中の金属量(当量)、MAは
アルカリ土類金属化合物中の金属量(当量)、Pはリン
化合物添加量(モル)を表わす。)を満足する量のアル
カリ土類金属化合物とを添加して得られる内部析出系微
細粒子を含有するポリエステルである上記1記載の強撚
用鮮明性ポリエステル繊維の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の方法で用いられるポリエ
ステルは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、少なくと
も1種のグリコール、好ましくはエチレングリコール、
トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールか
ら選ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールを主
たるグリコール成分とするポリエステルである。また、
テレフタル酸の一部を他の二官能性カルボン酸成分で置
き換えたポリエステルであってもよく、および/または
グリコール成分の一部を主成分以外の前記グリコール、
もしくは他のジオール成分で置き換えたポリエステルで
あってもよい。
【0012】かかるポリエステルは、任意の方法によっ
て合成したものでよい。例えば、ポリエチレンテレフタ
レートについて説明すれば、通常、テレフタル酸とエチ
レングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレ
フタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエ
ステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させ
るかまたはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応
させるかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび
/またはその低重合体を生成させる第1段階の反応と、
第1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度に
なるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造
される。
【0013】本発明においては、上記ポリエステルに、
アルカリ減量加工を施すことによって繊維表面に不規則
なランダム凹凸が形成される、微細孔形成性微粒子を含
有せしめる。好ましく用いられる微粒子としては、平均
粒径が80ミリミクロン以下、好ましくは50ミリミク
ロン以下のシリカ、酸化チタン、酸化アルミナ等の不活
性微粒子、さらにはポリエステル反応系内部でポリエス
テルに実質的に不溶性の微細粒子を均一に析出せしめる
内部析出系の微粒子をあげることができる。なかでも、
下記一般式(I)
【0014】
【化3】
【0015】で表わされるリン化合物とアルカリ土類金
属化合物との反応により析出した内部析出系の微細粒子
を含有せしめたポリエステルは、最終的に得られる布帛
の染色鮮明性およびシボ立ち性に優れるので好ましい。
【0016】リン化合物を示す前記式(I)中、R1
よびR2 は1価の有機基である。この1価の有機基は、
具体的にはアルキル基、アリール基、アラルキル基、ま
たは―[(CH2 k O]m 3 (ただし、R3 は水素
原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基、k
は2以上の整数、mは1以上の整数)などが好ましく、
1 とR2 とは同一でも異なってもよい。Mは1価の有
機基または金属であり、1価の有機基としては前記
1 、R2 における有機基の定義と同様であって、
1 、R2 と同一でも異なってもよく、また金属として
は特にアルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましく、な
かでもLi、Na、K、Mg1/2 、Ca1/2 、S
1/2 、Ba1/2 がより好ましく、そのなかでもCa
1/2 が特に好ましい。nは1または0である。
【0017】かかるリン化合物としては、例えばリン酸
トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リ
ン酸トリフェニルなどの如きリン酸トリエステル、亜リ
ン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリブ
チル、亜リン酸トリフェニルなどの如き亜リン酸トリエ
ステル、前記リン化合物および/またはリン酸ジメチ
ル、リン酸ジエチル、リン酸ジブチル、リン酸ジフェニ
ルなどの如きリン酸ジエステル、亜リン酸ジメチル、亜
リン酸ジエチル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジフェニ
ルの如き亜リン酸ジエステルと所定量のLi、Na、K
などの如きアルカリ金属とから形成される化合物または
Mg、Ca、Sr、Baなどの如きアルカリ土類金属か
ら形成される化合物等から選ばれた1種以上のリン化合
物を用いることができる。
【0018】前記リン化合物と併用するアルカリ土類金
属化合物としては、前記リン化合物と反応してポリエス
テルに不溶性の塩を形成するものであれば特に制限は無
く、アルカリ土類金属の酢酸塩、蓚酸塩、安息香酸塩、
フタル酸塩、ステアリン酸塩の如き誘起カルボン酸塩、
硼酸塩、硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩、重炭酸塩の如き無機
酸塩、塩化物のようなハロゲン化物、エチレンジアミン
4酢酸錯塩などの如きキレート化合物、水酸化物、酸化
物、メチラート、エチラート、グリコレートなどのアル
コラート類、フェノラートなどを挙げることができる。
特に、エチレングリコールに可溶性である有機カルボン
酸塩、ハロゲン化物、キレート化合物、アルコラートが
好ましく、なかでも有機カルボン酸塩が特に好ましい。
また、アルカリ土類金属としては、Caがなかでも特に
好ましい。前記アルカリ土類金属化合物は1種のみ単独
で使用しても、また2種以上併用してもよい。
【0019】前記リン化合物とアルカリ土類金属化合物
とよりなる内部析出系微細粒子を均一に分散含有するポ
リエステルを製造するには、例えば前記したポリエステ
ルの合成が完了するまでの任意の段階で、前記リン化合
物および前記アルカリ土類金属化合物をこれらの化合物
を予め反応させることなく、かつこれらの金属の当量数
の合計がリン化合物のモル数に対して2.0〜3.2倍
となるように添加し、しかるのちポリエステルの合成を
完了する方法を挙げることができる。
【0020】かかるポリエステルの製造の際に、リン化
合物をポリエステルを構成する全酸成分に対して0.1
〜0.5モル%添加することが大切である。リン化合物
の添加量が0.1モル%未満ではアルカリ減量後に得ら
れる微細孔繊維の深色性、鮮明性が不充分であり、一方
添加量が0.5モル%を超えると得られる微細孔繊維に
摩擦変色が発生しやすくなる。
【0021】後述する本発明の鮮明性ポリエステル繊維
の製造方法によれば、このような微粒子を含有するポリ
エステルからなり、且つ下記(i)〜(iii )の繊維特
性を同時に満足する繊維を得ることができる。 (i) 沸水収縮率(BWS) :3.0%≦BWS≦6.0% (ii) 熱応力比(SF) :SF≧1.07 (iii )アルカリ減量速度(R):0.4%/min≦R≦0.7%/min (但し、SFは180℃における熱応力を140℃にお
ける熱応力で除した値であり、またRは3.5%水酸化
ナトリウム水溶液中沸騰温度で20%減量した時の平均
減量速度である。)
【0022】強撚布帛にシボを発現させるには、通常強
撚糸の旋回性を蒸熱等で処理して固定した後製織し、得
られた布帛を熱水中等で緩和処理して、一時的に固定し
ていた強撚糸の旋回性を再発現させることにより行なわ
れている。そしてこの旋回性(残留トルク)によるシボ
発現は、布帛を構成する経糸・緯糸間、経糸同志間、お
よび緯糸同志間の拘束力にも影響され、良好なシボを発
現させるためにはかかる拘束力をできるだけ小さくする
ことが大切であり、本発明者らの検討によれば、かかる
拘束力は強撚糸を構成するフィラメントの沸水収縮率に
よっても大きく変わることが判明した。すなわち、沸水
収縮率(BWS)は3.0〜6.0%の範囲であること
が重要であって、6.0%を超える場合には織物を構成
する経緯糸の組織点での束縛により潜在トルクの発現に
対する障害が大きくなり、該潜在トルクの発現が不十分
となり、良好なシボが得られなくなる。さらに、製編織
後に編織物上のシボ立ちにムラが生じたり、地割れ状な
どの欠陥を発生しやすく、さらには寸法安定性を低下さ
せるのである。
【0023】一方、3.0%未満には熱収縮応力が0.
2g/d未満となり、シボ立ちとなるトルク発現力が弱
く、シボ立ちが悪くなるので好ましくない。なお、BW
Sをこの範囲内とすることにより、強撚糸の撚固定(旋
回性の一時固定)の内外層の固定差は大巾に減少され、
最終的に得られる布帛の品位も良好となる。
【0024】また、シボを発現させるための旋回力(残
留トルク)は、シボ立て時に糸が受ける温度で糸に発生
する熱収縮応力に依存し、下記の方法で測定した時の1
80℃における熱応力と140℃における熱応力との比
が1.07以上であることが必要である。熱応力比(S
F)が1.07未満の場合には、シボ立て時の旋回力が
不充分となって、良好なシボが得られなくなるので好ま
しくない。
【0025】なお熱応力は、試料に初荷重2.5gをか
けセットし、昇温(120秒/300℃)を行って得ら
れる温度・応力曲線から求めたものである。
【0026】さらに、アルカリ減量速度Rは前記範囲で
あることが必要であり、0.4%/min未満の場合に
は減量速度が遅すぎて生産性が低下するだけでなく、繊
維表面に形成される微細孔の形状も不充分なものとなっ
て深色性も低下する傾向がある。一方0.7%/min
を超える場合には、強撚糸の内外層が均一に減量され難
くなり、減量斑による風合斑が発生し易くなるため好ま
しくない。また、微細孔の形態も粗いものになり易く深
色性も低下し易い。
【0027】以上に説明したシボ立ち性に優れた鮮明性
ポリエステル繊維を得るためには、前記微細粒子を含有
するポリエステルを、例えば図1に示す装置を用い、紡
糸口金(1)から溶融吐出し、冷却装置(3)から吹き
出す冷却風によって冷却固化せしめた後、油剤付与装置
(4)で給油してから第1ゴデットローラ(5)に引取
り、引続き第2ゴデットローラ(6)を通過させて延伸
・熱セットしてからワインダー(7)に巻き取る。
【0028】この際、285〜300℃に保持されてい
る溶融ポリマーを290〜300℃に加熱されている紡
糸口金から口金面下10mmの位置で250〜300℃
に加熱されている雰囲気中に吐出し、引続き口金面下少
なくとも90mmの地点から60mm以上の長さにわた
って冷却風を吹き付けて冷却固化させた後、ドラフト率
150〜400で、引取速度2500〜3500m/分
(好ましくは3000〜3400m/分)で引取り、延
伸倍率1.5〜2.3(好ましくは1.9〜2.1)で
延伸し、第2ゴデットローラ(6)で170〜200℃
の熱セットをかけることが大切で、かくすることによっ
て、沸水収縮率3〜6.0%、熱応力比1.07以上
(180℃における熱応力を140℃における熱応力で
除した値)のポリエステル繊維を得ることができる。
【0029】かかる製造法の特徴は、従来技術と対比す
ると、第2ゴデットローラで高温熱セット(従来は13
0℃程度)することにあり、それを可能にするため油煙
防止および第2ゴデットローラ上での糸揺れを抑制する
耐熱油剤を使用している。
【0030】かくして得られる繊維は、撚数2,000
T/m以上、例えば3,100T/mの強撚を施した
後、該撚糸を緯糸に用いて布帛となすが、前記の如く繊
維の沸水収縮率が3〜6%で熱応力比が1.07以上な
のでシボ立て時に充分なシボを発現させることが可能と
なり、得られる布帛の風合は極めて良好なものとなる。
【0031】また本発明のポリエステル繊維には、前記
一般式(I)で表わされるリン化合物とアルカリ土類金
属化合物とを添加して得られる内部析出系微細粒子の如
き微細粒子が含有されているので、上述した強撚布帛を
アルカリ減量処理することによってその全表面にわたっ
て微細孔を形成でき、繊維表面における鏡面反射を著し
く低減することができるため優れた深色性を呈する。こ
の微細孔は、繊維軸方向に配向し、度数分布の最大値に
おいて繊維軸直角方向の幅が0.1〜0.3μmの範囲
であって、繊維軸方向の長さが0.2〜0.3μmのも
のが好ましい。
【0032】このような微細孔繊維は、前記のようにし
て得られた繊維をアルカリ減量処理し繊維表面に微細孔
を形成して得られる。この際のアルカリ減量は得られた
繊維を織編成して織編物となしたのち、アルカリ化合物
の水溶液中で加熱するか、またはアルカリ化合物の水溶
液をパッド/スチーム処理することによってその一部を
除去することにより行なわれる。
【0033】ここで使用するアルカリ化合物としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアン
モニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウムなどを挙げることができる。なかでも水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムが特に好ましい。また、セチル
トリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチル
ベンジルアンモニウムクロライドなどの如きアルカリ減
量促進剤を適宜使用することができる。
【0034】このアルカリ減量処理によって減量する量
は、繊維重量に対して3重量%以上の範囲とすることが
好ましく、3重量%未満の減量率では満足すべき表面凹
凸が形成されず充分な効果が得られない傾向がある。
【0035】なお、本発明により得られるポリエステル
繊維は、適宜公知の深色化後加工や親水化後加工などを
施されていてもよい。かかる深色化後加工としては、例
えばジメチルポリシロキサン、テトラフルオロエチレン
―プロピレン共重合体の如き、ポリエステルよりも低い
屈折率を有する重合体でポリエステル繊維の表面を被覆
する方法などが好ましく採用できる。親水化後加工とし
ては、例えばテレフタル酸および/またはイソフタル
酸、もしくはそれらの低級アルキルエステル、低級アル
キレングリコールおよびポリアルキレングリコールから
なるポリエステルポリエーテルブロック共重合体の水性
分散液でポリエステル繊維を処理する方法が好ましく採
用できる。
【0036】また、本発明により得られる鮮明性ポリエ
ステル繊維には、必要に応じて任意の添加剤、例えば触
媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消し
剤、着色剤などが含まれていてもよい。
【0037】
【発明の作用効果】以上に説明した本発明により得られ
る強撚用鮮明性ポリエステル繊維は、沸水収縮率が3〜
6%と低いため、強撚布帛となした後シボ発現処理をす
る際の、該布帛を構成する経糸・緯糸間、経糸同志間、
および緯糸同志間の拘束力増加を抑制でき、強撚糸の旋
回力を充分に発揮させることが可能となって良好なシボ
を発現させることが可能となる。さらに熱応力比が1.
07以上と大きいため、シボ立て時の旋回力が大きくな
ってシボは一層良好なものとなり、腰、ふくらみ等の風
合が著しく改善された布帛が得られる。また、特定の微
細粒子を含有し且つアルカリ減量速度も特定範囲内にあ
るので、アルカリ減量処理によって均一に減量すること
が可能となり且つ繊維表面に微細孔が形成されて、優れ
た深色性を呈するとともに優れた風合を呈するものにで
きるのである。
【0038】したがって、本発明によれば、シボおよび
ふくらみに優れ、且つ優れた深色性を呈するポリエステ
ル布帛を提供することが可能となる。
【0039】
【実施例】以下に実施例をあげて説明する。実施例中、
部および%は重量基準であり、繊維の特性値および織物
評価は下記の方法によった。 (1)沸水収縮率 熱水に浸漬前の試料の長さに対して、該試料を熱水10
0℃中に30分間浸漬後の試料の収縮率を求めた値であ
る。
【0040】(2)熱応力比 試料に初荷重2.5gをかけセットし、昇温(120秒
/300℃)を行って得られる試料の180℃における
熱応力を140℃における熱応力で除した値である。
【0041】(3)アルカリ減量速度 撚糸、撚止セットの加工を行い織物としたものを常法に
よりヒートセット後、3.5%の水酸化ナトリウム水溶
液で沸騰温度で20%減量処理した時迄の時間を測定
し、平均減量速度を計算した。
【0042】(4)残留トルク 試長50cmの両端をおさえ、中央にウエイトをかけ、
両端を1点に揃えて撚を発現させ解撚機で実撚を測定
し、1m当りの撚数に換算する。
【0043】(5)織物評価 (a)シボ 編織物の表面に凹凸状のシボを発現させた後の高さ及び
幅を官能検査で判定した。 ○:シボ発現良好 △:シボ発現やや劣る (b)ふくらみ 編織物の仕上り後の厚みを官能検査で判定した。 ○:ふくらみ良好 △:ふくらみやや不十分
【0044】(6)深色性 深色性を示す尺度としては、深色度(K/S)を用い
た。この値はサンプル布の分光反射率(R)を島津製作
所製RC―330型自記分光光度計にて測定し、次に示
すクベルカームンク(Kubelka―Munk)の式
から求めた。この値が大きいほど深色効果が大きいこと
を示す。 K/S=(1−R)2 /2R ここで、Kは吸収係数、Sは散乱係数を示し、測定波長
は500mμである。
【0045】[実施例1] テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール6
0部、酢酸カルシウム1水塩0.06部(テレフタル酸
ジメチルに対して0.066モル%)をエステル交換缶
に仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間10分かけて140
℃から230℃まで昇温して生成するメタノールを系外
に留去しながらエステル交換反応を行った。続いて得ら
れた反応生成物に、0.18部のリン酸トリメチル(テ
レフタル酸ジメチルに対して0.25モル%)と0.1
1部の酢酸カルシウム1水塩(リン酸トリメチルに対し
て1/2倍モル)とを6.8部のエチレングリコール中
で120℃の温度において全還流下60分間反応せしめ
て調製したリン酸ジエステルカルシウム塩の透明溶液に
室温下0.18部の酢酸カルシウム1水塩(リン酸トリ
メチルに対して0.8倍モル)を溶解せしめて得たリン
酸ジエステルカルシウム塩と酢酸カルシウムとの混合透
明溶液を添加し、次いで三酸化アンチモン0.04部を
添加して重合缶に移した。次いで1時間かけて760mm
Hgから1mmHg間で減圧し、同時に1時間25分かけて2
30℃から285℃まで昇温した。1mmHg 以下の減圧
下、重合温度285℃でさらに3時間5分、合計4時間
30分重合して固有粘度0.68、軟化点260℃のポ
リマーを得た。反応終了後、ポリマーを常法に従いチッ
プ化した。
【0046】得られたチップを常法により乾燥し、下記
に示す条件で図1に示す方法で溶融紡糸した。 紡糸口金温度 :295℃ 吐出量 :44g/分 ポリマー温度 :290℃ 口金下10mmの温度:280〜290℃ 冷却条件 冷却開始位置 :口金下90mm 冷却風吹き出し長 :60cm 冷却風量 :0.3m/秒 紡糸ドラフト :120 紡糸引取り速度[第1ゴデットローラ(5)の周速] :1200〜3500m/分 第2ゴデットローラ(6)の温度 :160〜180℃ この際において、図1の第1ゴデットローラ(5)と第
2ゴデットローラ(6)との間で表1に示す延伸倍率で
延伸し、第2ゴデットローラ(6)を同表に示す温度で
熱セットして得られた糸条75デニール/36フィラメ
ントを、撚数3,100T/mで撚糸し、セット温度7
5℃で撚止め加工し、これを用いて巾148cm、長さ
55m、目付け98g/m2 の織物を作成した。
【0047】この織物を常法によりヒートセット後、
3.5%の水酸化ナトリウム水溶液で沸騰温度にて表1
に示す減量率で処理すると共にシボ立てさせた。このア
ルカリ減量処理後の布帛をDianix BlackHG―FS(三
菱化成工業製)15%owfで130℃で60分間染色
後、水酸化ナトリウム1g/リットルおよびハイドロサ
ルファイト1g/リットルを含む水溶液にて70℃で2
0分間還元洗浄して黒色布を得た。得られた布帛のシ
ボ、ふくらみ、深色性等の評価結果を表1に示す。
【0048】[実施例2〜6、比較例1〜3] 実施例1において、紡糸速度(引取速度)、延伸倍率お
よび熱セット温度を表1記載のとおり変更する以外は実
施例1と同様にして75デニール/36フィラメントの
ポリエステル繊維を得た。これを実施例1と同様にして
評価した結果を表1に合わせて示す。
【0049】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鮮明性ポリエステル繊維の製造工程の
一部を示す略線図である。
【符号の説明】
1 紡糸口金 2 糸条 3 冷却装置 4 油剤付与装置 5 第1ゴデットローラ 6 第2ゴデットローラ 7 ワインダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 11/38 D06M 5/02 E // D06M 101:32

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細孔形成性微粒子を含有するポリエス
    テルを、290〜300℃に加熱された紡糸口金から、
    口金面下10mmの位置まで250〜300℃に加熱さ
    れた雰囲気中に溶融吐出し、引続き口金面下少なくとも
    90mmの地点から60mm以上の長さにわたって冷却
    風を吹付けて冷却固化させた後に、ドラフト率150〜
    400、引取速度2500〜3500m/分で引取り、
    次いで一旦巻取ることなく連続して1.5〜2.3倍に
    延伸した後170〜200℃で熱セットすることを特徴
    とする、下記(i)〜(iii )の繊維特性を有する強撚
    用鮮明性ポリエステル繊維の製造方法。 (i) 沸水収縮率(BWS) :3.0%≦BWS≦6.0% (ii) 熱応力比(SF) :SF≧1.07 (iii )アルカリ減量速度(R):0.4%/min≦R≦0.7%/min (但し、SFは180℃における熱応力を140℃にお
    ける熱応力で除した値であり、またRは3.5%水酸化
    ナトリウム水溶液中沸騰温度で20%減量した時の平均
    減量速度である。)
  2. 【請求項2】 ポリエステルが、下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1 及びR2 は1価の有機基、Mは金属又は1
    価の有機基、nは1又は0である。)で表わされるリン
    化合物をポリエステルを構成する全酸成分に対して0.
    1〜0.5モル%と、下記式 2.0≦(MP+MA)/P≦3.2 (但し、MPはリン化合物中の金属量(当量)、MAは
    アルカリ土類金属化合物中の金属量(当量)、Pはリン
    化合物添加量(モル)を表わす。)を満足する量のアル
    カリ土類金属化合物とを添加して得られる内部析出系微
    細粒子を含有するポリエステルである請求項1記載の強
    撚用鮮明性ポリエステル繊維の製造方法
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