JPH05132855A - 鮮明性ポリエステル繊維 - Google Patents

鮮明性ポリエステル繊維

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JPH05132855A
JPH05132855A JP31856691A JP31856691A JPH05132855A JP H05132855 A JPH05132855 A JP H05132855A JP 31856691 A JP31856691 A JP 31856691A JP 31856691 A JP31856691 A JP 31856691A JP H05132855 A JPH05132855 A JP H05132855A
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JP
Japan
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polyester
fiber
alkaline earth
fibers
earth metal
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP31856691A
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English (en)
Inventor
Tsuguo Fujiwara
嗣生 藤原
Katsutoshi Taniguchi
勝敏 谷口
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強撚後形成される布帛の風合いが良好であ
り、優れた深色性を呈し、かつ摩擦変色の少ない鮮明性
ポリエステル繊維を提供すること 【構成】 表面に多数の微細孔を有する繊維で、リン酸
ジメチルCa塩のような下記一般式で表されるリン化合
物と酢酸Ca塩のようなアルカリ土類金属化合物とを、
その合計量がポリエステルに対して0.1〜0.3重量
%となるように添加して得られる内部析出系微細粒子を
含有するポリエステルからなり、140℃≦原糸物性熱応
力ピーク温度(ST)など5種の繊維特性を同時に満足
し、アルカリ減量処理を施されてなる。 【化1】 (R1 、R2 は1価の有機基、Mは金属または1価の有
機基、nは1または0)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鮮明性ポリエステル繊
維に関し、さらに詳細には強撚時風合いが良好な鮮明性
ポリエステル繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは、多くの優れた特性を有
するゆえに合成繊維として広く使用されている。しか
し、ポリエステル繊維は羊毛や絹の如き天然繊維、レー
ヨンやアセテートの如き繊維素系繊維、アクリル系繊維
などに比較して、着色した際に色の深みがないため、発
色性、鮮明性に劣る欠点を有している。
【0003】かかる欠点を解消すべく、特開平1−68
568号公報において、特定のリン化合物とアルカリ土
類金属化合物と(以下「微細孔形成剤」ということがあ
る)を、その合計量がポリエステルに対して0.1〜
0.3重量%となるように添加して得られる内部析出系
微細粒子を含有するポリエステルからなる繊維をアルカ
リ減量することによって得られる、繊維表面に多数の微
細孔を有し、染色した際に優れた色の深み(以下「深色
性」と称する)を呈し、摩擦変色の少ないポリエステル
繊維の製造法が提案されている。
【0004】しかしながら、この方法で、強撚時風合い
が良好な優れた深色性を呈する微細孔繊維を得ようとす
ると、原糸物性熱応力ピーク温度が116〜128℃と
低めのため下記の欠点を有する。すなわち、前記方法で
得られた微細孔ポリエステル繊維を強撚後布帛形成し、
アルカリ減量処理したとき、布帛の幅入れが小さく、風
合いが低下する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、強撚後布帛
の風合いが良好であり、かつ優れた深色性を呈し、摩擦
変色の少ない鮮明性ポリエステル繊維を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく検討した結果、微細孔形成剤の合計添加量
の少ないポリエステルからなる微細孔ポリエステル繊維
であっても、特定の繊維構造および繊維特性を有するも
のは、深色性の低下を回避でき、かつ強撚時の風合いに
優れることを見出し、本発明に到達した。
【0007】すなわち本発明は、表面に多数の微細孔が
形成されているポリエステル繊維であって、下記一般式
(I)
【化2】 (式中、R1 およびR2 は1価の有機基、Mは金属また
は1価の有機基、nは1または0である。)で表される
リン化合物とアルカリ土類金属化合物とを、その合計量
がポリエステルに対して0.1〜0.3重量%となるよ
うに添加して得られる内部析出系微細粒子を含有するポ
リエステルからなり、かつ下記(i)〜(v)の繊維特
性を同時に満足する、アルカリ減量処理をされてなる鮮
明性ポリエステル繊維である。 (i)(100)面の結晶サイズ(X); 40オングストローム≦X (ii) 非晶部配向度(Δna); 0.03≦Δna≦0.09 (iii)原糸物性熱応力ピーク温度(ST); 140℃≦ST (iv) 10%伸長時の強度(S10); 3.0g/de≦S10≦3.5g/de (v)沸水収縮率(BWS); 8.0%≦BWS≦9.0%
【0008】本発明の対象とするポリエステルは、テレ
フタル酸を主たる酸成分とし、少なくとも1種のグリコ
ール、好ましくはエチレングリコール、トリメチレング
リコール、テトラメチレングリコールから選ばれた少な
くとも1種のアルキレングリコールを主たるグリコール
成分とするポリエステルである。また、テレフタル酸の
一部を他の二官能性カルボン酸成分で置き換えたポリエ
ステルであってもよく、および/またはグリコール成分
の一部を主成分以外の前記グリコール、もしくは他のジ
オール成分で置き換えたポリエステルであってもよい。
【0009】ここで使用されるテレフタル酸以外の二官
能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノ
キシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息
香酸、p−オキシ安息香酸、5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘ
キサンジカルボン酸の如き芳香族、脂肪族、脂環族の二
官能性カルボン酸を挙げることができる。また、前記グ
リコール以外のジオール成分としては、例えばシクロヘ
キサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコー
ル、ビスフェノールA、ビスフェノールSの如き脂肪
族、脂環族、芳香族のジオール化合物およびポリオキシ
アルキレングリコールなどを挙げることができる。
【0010】かかるポリエステルは、任意の方法によっ
て合成したものでよい。例えば、ポリエチレンテレフタ
レートについて説明すれば、通常、テレフタル酸とエチ
レングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレ
フタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエ
ステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させ
るかまたはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応
させるかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび
/またはその低重合体を生成させる第1段階の反応と、
第1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度に
なるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造
される。
【0011】本発明の繊維は、前記ポリエステルに下記
一般式(I)
【化3】 で表されるリン化合物とアルカリ土類金属化合物との反
応により析出した内部析出系の微細粒子を含有せしめた
ポリエステルからなる。ここでいう内部析出系とは、前
記リン化合物とアルカリ土類金属化合物とを予め反応さ
せることなくポリエステル反応系に添加し、該ポリエス
テル反応系内部で両者を反応させて、ポリエステルに実
質的に不溶性の微細粒子を均一に析出せしめることをい
い、予め外部で所望の粒径に粒度調整した、ポリエステ
ルに実質的に不溶性の微細粒子を、好ましくはグリコー
ル、アルコールまたは水などに分散させて、ポリエステ
ル反応系に添加する外部添加系とは区別される。
【0012】リン化合物を示す前記式(I)中、R1
よびR2 は1価の有機基である。この1価の有機基は、
具体的にはアルキル基、アリール基、アラルキル基、ま
たは−〔(CH2 k O〕m 3 (ただし、R3 は水素
原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基、k
は2以上の整数、mは1以上の整数)などが好ましく、
1 とR2 とは同一でも異なってもよい。Mは1価の有
機基または金属であり、1価の有機基としては前記
1 、R2 における有機基の定義と同様であって、
1 、R2 と同一でも異なってもよく、また金属として
は特にアルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましく、な
かでもLi、Na、K、Mg1/2 、Ca1/2 、S
1/2 、Ba1/2 がより好ましく、そのなかでもCa
1/2 が特に好ましい。nは1または0である。
【0013】かかるリン化合物としては、例えばリン酸
トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リ
ン酸トリフェニルなどの如きリン酸トリエステル、亜リ
ン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリブ
チル、亜リン酸トリフェニルなどの如き亜リン酸トリエ
ステル、前記リン化合物および/またはリン酸ジメチ
ル、リン酸ジエチル、リン酸ジブチル、リン酸ジフェニ
ルなどの如きリン酸ジエステル、亜リン酸ジメチル、亜
リン酸ジエチル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジフェニ
ルの如き亜リン酸ジエステルと所定量のLi、Na、K
などの如きアルカリ金属とから形成される化合物または
Mg、Ca、Sr、Baなどの如きアルカリ土類金属か
ら形成される化合物等から選ばれた1種以上のリン化合
物を用いることができる。
【0014】前記リン化合物と併用するアルカリ土類金
属化合物としては、前記リン化合物と反応してポリエス
テルに不溶性の塩を形成するものであれば特に制限はな
く、アルカリ土類金属の酢酸塩、蓚酸塩、安息香酸塩、
フタル酸塩、ステアリン酸塩の如き有機カルボン酸塩、
硼酸塩、硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩、重炭酸塩の如き無機
酸塩、塩化物のようなハロゲン化物、エチレンジアミン
4酢酸錯塩などの如きキレート化合物、水酸化物、酸化
物、メチラート、エチラート、グリコレートなどのアル
コラート類、フェノラートなどを挙げることができる。
特に、エチレングリコールに可溶性である有機カルボン
酸塩、ハロゲン化物、キレート化合物、アルコラートが
好ましく、なかでも有機カルボン酸塩が特に好ましい。
また、アルカリ土類金属としては、Caがなかでも特に
好ましい。前記アルカリ土類金属化合物は1種のみ単独
で使用しても、また2種以上併用してもよい。
【0015】前記リン化合物とアルカリ土類金属化合物
とよりなる内部析出系微細粒子を均一に分散含有するポ
リエステルを製造するには、例えば前記したポリエステ
ルの合成が完了するまでの任意の段階で、前記リン化合
物および前記アルカリ土類金属化合物をこれらの化合物
を予め反応させることなく、かつこれらの金属の当量数
の合計がリン化合物のモル数に対して2.0〜3.2倍
となるように添加し、しかるのちポリエステルの合成を
完了する方法を挙げることができる。
【0016】かかるポリエステルの製造の際に、リン化
合物とアルカリ土類金属化合物とを、その合計量がポリ
エステルに対して0.1〜0.3重量%となるように添
加することが大切である。これらの化合物の合計添加量
が0.1重量%未満では得られる微細孔繊維の深色性、
鮮明性が不充分であり、一方合計添加量が0.3重量%
を超えると得られる微細孔繊維に摩擦変色が発生しやす
くなる。
【0017】本発明の鮮明性ポリエステル繊維は、この
ようにして得られるポリエステルからなり、かつ下記
(i)〜(v)の繊維特性を同時に満足し、アルカリ減
量処理を施されてなる。 (i)(100)面の結晶サイズ(X);40オングス
トローム≦X (ii) 非晶部配向度(Δna);0.03≦Δna≦
0.09 (iii)原糸物性熱応力ピーク温度(ST);140℃≦
ST (iv) 10%伸長時の強度(S10);3.0g/de≦
10≦3.5g/de (v)沸水収縮率(BWS);8.0%≦BWS≦9.
0%
【0018】結晶サイズ(X)が40オングストローム
未満、あるいは非晶部分配向度(Δna)が0.09を
超える繊維をアルカリ減量処理する場合には、得られる
微細孔繊維の染料吸着性が低下し、優れた深色性を呈す
ることができない。一方、Δnaが0.03未満の繊維
は織編工程で変形を受けやすくなるため最終的に得られ
る織編品の品位が低下する。
【0019】また、原糸物性の熱応力ピーク温度(S
T)が140℃未満の繊維を強撚、撚止セット後布帛形
成したとき、リラックスの幅入れ、ふくらみが低下し、
優れた風合いが得られない。このSTは、試料に初荷重
2.5gをかけセットし、昇温(120秒/300℃)
を行って得られる試料の最大応力値から求めた温度であ
る。
【0020】さらに、10%伸長時の強度(S10)が
3.0g/de未満または3.5g/deを超えると布
帛の張り、腰が弱すぎたり強すぎたりし風合いに影響す
る。
【0021】また、沸水収縮率(BWS)が8.0%未
満では緯糸の幅入れ不足が生じ、9.0%を超えると熱
応力ピーク温度(ST)が下がり、同様の幅入れ不足が
生じ風合いに影響する。
【0022】本発明の微細孔繊維においては、深色性に
優れた鮮明性が得られ、微細孔繊維の摩擦変色を著しく
低減でき、かつ均斉でソフト感を有する強撚織編物を得
ることができる。
【0023】このような繊維を得るには、前記内部析出
系微細粒子を含有するポリエステル、すなわち、前記一
般式(I)で表されるリン化合物とアルカリ土類金属化
合物とをその合計量がポリエステルに対して0.1〜
0.3重量%となるように添加して得られる内部析出系
微細粒子を均一に含有するポリエステルを、図1に示す
方法で紡糸速度3,400m/分以上、4,500m/
分未満で溶融紡糸し、第1ゴデットローラ(5)と第2
ゴデットローラ(6)との間で延伸し、第2ゴデットロ
ーラ(6)で熱セットし、次いで得られるポリエステル
繊維をアルカリ減量処理することによって得ることがで
きる。
【0024】図1は、本発明において用いる繊維の製造
方法を示す略線図である。図1において、内部析出系微
細粒子を含有するポリエステルを紡糸口金(1)から溶
融吐出し、冷却装置(3)から吹き出す冷却風によって
冷却固化せしめた後、油剤付与装置(4)で給油してか
ら第1ゴデットローラ(5)に引取り、引続き第2ゴデ
ットローラ(6)を通過させてからワインダー(7)に
巻き取る。
【0025】この際、285〜300℃に保持されてい
る溶融ポリマーを290〜300℃に加熱されている紡
糸口金から口金面下10mmの位置で250〜300℃
に加熱されている雰囲気中に吐出し、引続き口金面下少
なくとも90mmの地点から60mm以上の長さにわた
って冷却風を吹きつけて冷却固化させた後、ドラフト率
150〜400で、紡糸速度3,000m/分以上4,
500m/分未満(好ましくは3,400〜4,000
m/分)、延伸倍率1.5以上1.7未満(好ましくは
1.55〜1.65)で引取り、第2ゴデットローラ
(6)で130℃の熱セット温度をかけることによっ
て、結晶サイズが40オングストローム以上、非晶部配
向度が0.03〜0.09、熱応力ピーク温度140℃
以上、10%伸長時の強度3.0〜3.5g/de、沸
水収縮率8.0〜9.0%のポリエステル繊維を工業的
に得ることができる。
【0026】かかる溶融紡糸において、紡糸に供給する
ポリエステルの固有粘度(〔η〕C 、25℃、オルソク
ロロフェノール中)を0.65〜0.85とすること
が、得られる繊維を構成するポリエステルの固有粘度
(〔η〕F )を0.64〜0.8にすることができ、好
ましい。〔η〕C が0.65未満のポリエステルを紡糸
に供すると、〔η〕F が0.64未満となりやすく、得
られる微細孔繊維に摩擦変色が生じやすくなる傾向があ
り、〔η〕C が0.85を超えるポリエステルの場合に
は高速紡糸性が低下する傾向がある。
【0027】さらに、前記紡糸条件を調整して、得られ
る繊維の繊維特性が前記(iv) および(v) を同時に満足
させるようにする。また、複屈折率(Δn)が0.07
<Δn≦0.12であるように調整することが好まし
い。
【0028】かくして得られる繊維は、撚数2,000
T/m以上、例えば3,100T/mの強撚を施した
後、該撚糸を緯糸に用いて布帛となすが、前記の如く繊
維の熱応力ピークが140℃以上なので幅入れを大きく
することができ、得られる布帛のふくらみや厚さといっ
た特性が大きくなって良好な風合いが達成される。
【0029】本発明の鮮明性ポリエステル繊維は、その
全表面にわたってアルカリ減量処理による微細孔が形成
されており、繊維表面における鏡面反射を著しく低減す
ることができるため、深色性と優れた鮮明性を呈する。
この微細孔は、繊維軸方向に配向し、度数分布の最大値
において繊維軸直角方向の幅が0.1〜0.3μmの範
囲であって、繊維軸方向の長さが0.2〜0.3μmの
ものが好ましい。
【0029】このような微細孔繊維は、前記のようにし
て得られた繊維をアルカリ減量処理し繊維表面に微細孔
を形成して得られる。この際のアルカリ減量は得られた
繊維を織編成して織編物となしたのち、アルカリ化合物
の水溶液中で加熱するか、またはアルカリ化合物の水溶
液をパッド/スチーム処理することによってその一部を
除去することにより行われる。
【0030】ここで使用するアルカリ化合物としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアン
モニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウムなどを挙げることができる。なかでも水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムが特に好ましい。また、セチル
トリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチル
ベンジルアンモニウムクロライドなどの如きアルカリ減
量促進剤を適宜使用することができる。
【0031】このアルカリ減量処理によって減量する量
は、繊維重量に対して3重量%以上の範囲とすることが
好ましく、3重量%未満の減量率では満足すべき表面凹
凸が形成されず充分な効果が得られない傾向がある。
【0032】なお、本発明のポリエステル繊維は、適宜
公知の深色化後加工や親水化後加工などを施されていて
もよい。かかる深色化後加工としては、例えばジメチル
ポリシロキサン、テトラフルオロエチレン−プロピレン
共重合体の如き、ポリエステルよりも低い屈折率を有す
る重合体でポリエステル繊維の表面を被覆する方法など
が好ましく採用できる。親水化後加工としては、例えば
テレフタル酸および/またはイソフタル酸、もしくはそ
れらの低級アルキルエステル、低級アルキレングリコー
ルおよびポリアルキレングリコールからなるポリエステ
ルポリエーテルブロック共重合体の水性分散液でポリエ
ステル繊維を処理する方法が好ましく採用できる。
【0033】また、本発明により得られる鮮明性ポリエ
ステル繊維には、必要に応じて任意の添加剤、例えば触
媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消し
剤、着色剤などが含まれていてもよい。
【0034】
【作用】本発明の鮮明性ポリエステル繊維は、内部析出
系微細粒子の含有量が少ない微細孔繊維であるため、摩
擦変色の程度を著しく減少させることができ、その際に
内部析出系微細粒子の含有量の低下に伴う深色性の低下
を、染料が吸収されやすい繊維構造、すなわち結晶サイ
ズが大きく、かつ非晶部配向度が低い繊維構造とするこ
とによって防止することができ、かつ強撚後布帛の風合
いが優れたものにできるのである。
【0035】
【実施例】以下に実施例をあげてさらに詳細に説明す
る。実施例中、部および%は重量基準であり、繊維の特
性値、得られる織編物を染色した際の深色性、耐摩擦変
色性は下記の方法で測定した。
【0036】深色性 深色性を示す尺度としては、深色度(K/S)を用い
た。この値はサンプル布の分光反射率(R)を島津RC
−330型自記分光光度計にて測定し、次に示すクベル
カ−ムンク(Kubelka−Munk)の式から求め
た。この値が大きいほど深色効果が大きいことを示す。 K/S=(1−R)2 /2R ここで、Kは吸収係数、Sは散乱係数を示し、測定波長
は500mμである。
【0037】耐摩擦変色性 摩擦堅牢度試験用の学振型平面摩耗機を使用して、摩擦
布としてポリエチレンテレフタレート100%よりなる
ジョーゼットを用い、試験布を500gの荷重下で所定
回数平面摩耗して、変色の発生の程度を変褪色用グレー
スケールで判定した。耐摩耗性が極めて低い場合を1級
とし、極めて高い場合を5級とした。実用上4級以上が
必要である。風合い 強撚後布帛のぬめり、ふくらみ、こし、はり、しゃりを
総合評価し極めて高い場合を5級とし、極めて低い場合
を1級として4級以上を良とした。
【0038】非晶部配向度(Δna) 下記の式1から求めた。
【式1】Δna=(Δn−fc・Δnc0 ・Xv)/
(1−Xv) ここで、Δnは複屈折率を、Xvは結晶化度(密度法)
を、fcは結晶部配向度(X線屈折法)を、Δnc0
固有極限値0.212(ポリエステル)を示す。
【0039】結晶サイズ(X) X線広角回折法によって測定した強度分布曲線におい
て、(010)(100)の半価巾を求め、シェラーの
式を用いて結晶サイズを算出した。
【0040】実施例1 テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール6
0部、酢酸カルシウム1水塩0.06部(テレフタル酸
ジメチルに対して0.066モル%)をエステル交換缶
に仕込み、チッ素ガス雰囲気下4時間10分かけて14
0℃から230℃まで昇温して生成するメタノールを系
外に留去しながらエステル交換反応を行った。続いて得
られた反応生成物に、0.2部のリン酸トリメチル(テ
レフタル酸ジメチルに対して0.25モル%)と0.3
5部の酢酸カルシウム1水塩(リン酸トリメチルに対し
て1/2倍モル)とを6.8部のエチレングリコール中
で120℃の温度において全還流下60分間反応せしめ
て調製したリン酸ジエステルカルシウム塩の透明溶液に
室温下0.06部の酢酸カルシウム1水塩(リン酸トリ
メチルに対して0.9倍モル)を溶解せしめて得たリン
酸ジエステルカルシウム塩と酢酸カルシウムとの混合透
明溶液を添加し、次いで三酸化アンチモン0.04部を
添加して重合缶に移した。次いで1時間かけて760m
mHgから1mmHg間で減圧し、同時に1時間25分
かけて230℃から285℃まで昇温した。1mmHg
以下の減圧下、重合温度285℃でさらに3時間5分、
合計4時間30分重合した固有粘度0.7、軟化点26
0℃のポリマーを得た。
【0041】反応終了後、ポリマーを常法に従いチップ
化した。なお、この際に混合透明溶液の添加量を、リン
酸ジエステルカルシウム塩と酢酸カルシウムとの合計量
がポリエステルに対して0.2%となるように調整し
た。
【0042】得られたチップを常法により乾燥し、下記
に示す条件で図1に示す方法で溶融紡糸した。 紡糸口金温度:295℃ 吐出量:44g/分 ポリマー温度:290℃ 口金下10mmの温度:280〜290℃ 冷却条件 冷却開始位置:口金下90mm 冷却風吹き出し長:60cm 冷却風量:0.3m/秒 紡糸ドラフト:120 紡糸引取速度〔第1ゴデットローラ(5)の周速〕 :3,400m/分
【0042】この際において、図1の第1ゴデットロー
ラ(5)と第2ゴデットローラ(6)との間で表1に示
す延伸倍率で延伸し、第2ゴデットローラ(6)を同表
に示す温度で熱セットして得られた糸条BBK75/3
6を、撚数3,100T/m、撚止セット温度75℃の
加工条件を用い加工し、緯糸用として使用し、巾148
cm、長さ55m、目付け98g/m2 の織物を作成し
た。
【0043】この織物を常法によりヒートセット後、
3.5%の水酸化ナトリウム水溶液で沸騰温度にて表1
に示す減量率で処理した。このアルカリ減量処理後の布
帛をDianix Black HG−FS(三菱化成
工業製)15%owfで130℃で60分間染色後、水
酸化ナトリウム1g/lおよびハイドロサルファイト1
g/lを含む水溶液にて70℃で20分間還元洗浄して
黒色布を得た。
【0044】得られた黒色布の深色性、摩耗200回後
の耐摩擦変色性を評価し、微細孔形成剤の添加量、紡糸
引取速度、減量率、繊維特性などとともに表1に示す。
さらに風合い、糸ヒケの評価結果を表1に併せて示す。
【0045】実施例2〜3、比較例1〜8 微細孔形成剤の種類、およびその添加量、紡糸引取速
度、減量率を表1に示すように変更するほかは実施例1
と同様にして黒色布を得、この黒色布について実施例1
と同様に評価した。結果を表1に併せて示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、強撚後の風合いが良好
であり、かつ優れた深色性を呈し、摩擦変色の少ない鮮
明性ポリエステル布帛を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鮮明性ポリエステル繊維の製造工程の
一部を示す略線図である。
【符号の説明】
1 紡糸口金 3 冷却装置 4 油剤付与装置 5 第1ゴデットローラ 6 第2ゴデットローラ 7 ワインダー

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に多数の微細孔が形成されているポ
    リエステル繊維であって、下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1 およびR2 は1価の有機基、Mは金属また
    は1価の有機基、nは1または0である。)で表される
    リン化合物とアルカリ土類金属化合物とを、その合計量
    がポリエステルに対して0.1〜0.3重量%となるよ
    うに添加して得られる内部析出系微細粒子を含有するポ
    リエステルからなり、かつ下記(i)〜(v)の繊維特
    性を同時に満足する、アルカリ減量処理をされてなる鮮
    明性ポリエステル繊維。 (i)(100)面の結晶サイズ(X); 40オングストローム≦X (ii) 非晶部配向度(Δna); 0.03≦Δna≦0.09 (iii)原糸物性熱応力ピーク温度(ST); 140℃≦ST (iv) 10%伸長時の強度(S10); 3.0g/de≦S10≦3.5g/de (v)沸水収縮率(BWS); 8.0%≦BWS≦9.0%
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011063893A (ja) * 2009-09-15 2011-03-31 Teijin Fibers Ltd 鮮明性ポリエステル繊維
JP2011063894A (ja) * 2009-09-15 2011-03-31 Teijin Fibers Ltd 鮮明性ポリエステル繊維

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