JPH08209528A - 吸水性ポリエステル繊維の製造法 - Google Patents

吸水性ポリエステル繊維の製造法

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JPH08209528A
JPH08209528A JP1238695A JP1238695A JPH08209528A JP H08209528 A JPH08209528 A JP H08209528A JP 1238695 A JP1238695 A JP 1238695A JP 1238695 A JP1238695 A JP 1238695A JP H08209528 A JPH08209528 A JP H08209528A
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JP
Japan
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polyester
fiber
yarn
fibers
heating cylinder
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JP1238695A
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Hiroyuki Aisaka
浩幸 逢坂
Koichi Iohara
耕一 庵原
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製織性に優れ且つ吸水性及び耐フィブリル性
の改善された吸水性ポリエステル繊維を製造する方法を
提供すること。 【構成】 下記スルホン酸金属塩をポリエステルの全酸
成分を基準として0.3〜15モル%含有するポリエス
テルを、紡糸口金より溶融吐出し、一旦冷却固化させた
後、紡糸口金下から加熱筒入口までの距離が50〜15
0cmで且つその雰囲気温度が150℃以上、長さが5
0〜150cmの加熱筒中を、非接触状態で通過させ、
次いで3500〜5500m/分の速度で引取って高配
向未延伸糸を得、得られた未延伸糸をアルカリ化合物水
溶液で処理して2〜50重量%を溶出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は吸水性ポリエステル繊維
の製造法に関する。さらに詳細には、製織性が良好で優
れた品位の織物が得られ、しかも吸水性及び耐フィブリ
ル性も良好な吸水性ポリエステル繊維の製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、多くの優れた特性
を有しているために極めて広い分野で使用されている。
しかし、ポリエステル繊維は疎水性であるため、吸水
性、吸湿性が要求される分野ではその使用が制限されて
いる。
【0003】このような欠点を解消するため、特公昭6
1―31231号公報には、特定のスルホン酸金属塩、
例えば3―カルボメトキシ―5―カルボキシ―ベンゼン
スルホン酸の2ナトリウム塩を含有するポリエステルか
らなる中空繊維をアルカリ水溶液で処理し、少なくとも
一部が中空部まで連通した微細孔を形成して吸水性を向
上させる方法が提案されている。しかし、この方法によ
り得られるポリエステル繊維は、良好な吸水性を呈する
ものの、フィブリルが発生し易いという問題がある。
【0004】この問題を解消するため、特開平2―30
7971号公報には、上述の方法において、3500m
/分以上の速度で紡糸した後必要に応じて延伸して非晶
部配向度を低下させると共に結晶サイズを大きくする方
法が提案されている。この方法によれば、吸水性及び耐
フィブリル性は同時に満足することができるものの、逆
に強伸度特性が不充分となって製織時に織欠点が発生し
易く、得られる織物の風合が低下し易いという問題があ
る。この問題を解消するためにさらに延伸倍率をあげる
方法では、強伸度特性は良好になるもののフィブリル発
生の抑制効果が低下してしまい実用に供することができ
なくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解消し、製織時の製織性に優れ且つ優れた
吸水性、耐フィブリル性が同時に達成し得る吸水性ポリ
エステル繊維の製造法を供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、微細孔形成剤を含有す
るポリエステルからなる紡出糸条を冷却固化した後、1
50℃以上に加熱した雰囲気中を通過させて高速で巻き
取ることによって、繊維の力学的特性を悪化させること
なく良好な吸水性及び耐フィブリル性を達成し得ること
を見出し本発明に到達した。
【0007】すなわち本発明によれば、下記一般式
(I)で表わされるスルホン酸金属塩をポリエステルの
全酸成分を基準として0.3〜15モル%含有するポリ
エステルを紡糸口金より溶融吐出し、該紡出糸条を一旦
冷却固化させた後、紡糸口金から加熱筒入口までの距離
が50〜150cmの位置に設置され且つその雰囲気温
度が150℃以上、長さが50〜150cmの加熱筒中
を非接触状態で通過させ、次いで3500〜5500m
/分の速度で引取って高配向させたポリエステル繊維
を、アルカリ化合物の水溶液で処理して該未延伸から2
〜50重量%を溶出することにより、該繊維の横断面に
散在し且つ繊維軸方向に配列した微細孔を形成せしめる
ことを特徴とする吸水性ポリエステル繊維の製造法、
【0008】
【化2】
【0009】[式中、M及びM′は金属、Rは水素原子
又はエステル形成性官能基、nは1又は2を示す]が提
供される。
【0010】本発明でいうポリエステル、繰返し単位の
90モル%以上、好ましくは95モル%以上がエチレン
テレフタレートであるポリエステルを主たる対象とす
る。テレフタル酸成分及び/又はエチレングリコール成
分以外の共重合成分として、例えばイソフタル酸、ナフ
タリンジカルボン酸、5―ナトリウムスルホイソフタル
酸、アジピン酸等の二官能性カルボン酸類、トリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキ
サンジメタノール、ビスフェノールA等のジオール化合
物を、本発明の目的を阻害しない範囲内で共重合しても
よい。
【0011】本発明においては、上記ポリエステルに、
アルカリ化合物の水溶液で処理することによって繊維の
横断面に散在し且つ繊維軸方向に配列した微細孔が形成
できるように、下記一般式(I)で表わされるスルホン
酸金属塩を含有している必要がある。
【0012】
【化3】
【0013】式中、M及びM′はアルカリ金属、アルカ
リ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛が好ましく、M
及びM′は同一でも異なっていてもよい。Rは水素原子
又はエステル形成性官能基であり、nは1又は2を示す
かかるスルホン酸金属塩は、例えば特公昭61―312
31号公報にあげられているものが好ましく用いられ、
具体的には3―カルボメトキシベンゼンスルホン酸ナト
リウム―5―カルボン酸ナトリウム、3―ヒドロキシエ
トキシカルボニルベンゼンスルホン酸ナトリウム―5―
カルボン酸1/2マグネシウムをあげることができる。
【0014】上記スルホン酸金属塩のポリエステルへの
添加時期は、ポリエステルを溶融紡糸する以前の任意の
段階でよく、例えばポリエステルの原料中に添加配合し
ても、ポリエステルの合成中に添加してもよい。また、
上記化合物の添加量は、少ないと最終的に得られるポリ
エステル繊維の吸水性が不充分となり、一方多いと紡糸
時にトラブルを発生し易く且つ繊維特性も不充分となり
易いので、添加量はポリエステルを構成する全酸成分に
対して0.3〜15モル%、特に0.5〜5モル%の範
囲とする必要がある。
【0015】本発明においては、上記の如くして得られ
るポリエステルを例えば図1に示す装置を用いて溶融吐
出した紡出糸条を一旦冷却固化させた後、紡糸口金から
加熱筒入口までの距離が50〜150cmとなるように
設置された、雰囲気温度150℃以上、長さ50〜15
0cmの加熱筒中を非接触状態で通し、次いで3500
〜5500m/分の速度で引取り、引き続いて実質的に
延伸することなく巻き取る。ここで、ポリエステルの溶
融温度及び冷却条件は、ポリエステルの溶融紡糸に通常
採用されている条件で良く、例えば285〜300℃の
温度範囲で溶融し、温度25℃湿度65%の冷却風で冷
却すればよく、特にガラス転移温度付近まで冷却するこ
とが好ましい。
【0016】上記製糸方法においては、加熱筒までの距
離が短すぎる場合には、紡糸時の空気抵抗に基づく紡糸
張力が充分向上しない段階で紡糸筒に導かれることとな
るため、該加熱筒内では低張力延伸が起って結晶サイズ
は大きなものが得られず、また配向も進行しないため本
発明の目的を達成することはできない。一方加熱筒まで
の距離が長すぎる場合には、結晶サイズのみが大きくな
って非晶部の配向は進行せず、得られる繊維の力学的特
性が不充分となり易い。このため、加熱筒の設定位置
(口金から入口までの距離)は、紡糸口金下50〜15
0cm、好ましくは60〜100cmの範囲にする必要
がある。
【0017】また加熱筒の雰囲気温度は150℃以上、
好ましくは150〜220℃とし、加熱筒の長さは50
〜150cmとすることが大切である。かかる条件を採
ることによって、加熱筒内で糸条に適度な張力をかけな
がら延伸熱セットが施されるため、配向が進むと同時に
繊維軸に垂直な方向の結晶サイズが大きくなり、その結
果耐フィブリル性を維持しながら力学的特性の向上した
繊維が得られる。その詳細な理由は不明であるが、加熱
筒内で起る変形は通常の延伸とは異なっているため、非
晶部の配向が進んでもフィブリルが発生し難い繊維構造
になるものと推定される。
【0018】上記加熱筒の温度が150℃未満の場合で
は、配向は進行するものの結晶化が進行せず、結晶サイ
ズは小さくなって耐フィブリル性は不充分なものとな
る。また熱収縮率も大きなものとなるので、製織後の巾
入れ時等の熱処理時に縮みすぎて、得られる布帛の風合
は硬いものとなる。一方、220℃を越える場合にはフ
ィラメント同志が融着し易くなり、断糸が発生し易くな
る傾向がある。
【0019】また加熱筒の長さが50cm未満の場合に
は、加熱筒内での前記延伸熱セットを充分行うことがで
きず、耐フィブリル性は低下し、また最大熱収縮応力も
小さくなって製織後の巾入れが不充分となり、ペーパー
ライクな風合の布帛しか得られなくなる。一方150c
mを越える場合には、製糸工程の作業性が低下し、また
加熱筒内で糸揺れが著しくなって繊度斑、染色斑、毛羽
が発生し易くなる。
【0020】なお加熱筒の出口部分は、フィラメントに
随伴する空気流を遮断して、加熱筒内の温度低下を抑制
し、また糸条に作用する紡糸張力を大きくするために、
走行中の糸条が実質的に接触しない範囲で狭くすること
が好ましい。また加熱筒の形状は、筒内の温度抑制及び
製糸時の工程安定性の観点より、径30〜65mmの円
筒状とすることが望ましい。
【0021】引取り速度は、3500〜5500m/
分、好ましくは4500〜5250m/分の範囲とする
必要がある。引取速度が3500m/分未満の場合で
は、結晶サイズが小さくなり、前記特性を有する繊維は
得られない。一方5500m/分を越える場合には、糸
条が加熱筒に導かれる前の段階で配向・結晶化が進行す
るため、加熱筒設置の効果は低減して通常の高速紡糸さ
れたフィラメントと同等の構造を有するものしか得られ
ず、繊維物性は低下して製糸工程での毛羽発生は多くな
りまた製織性も不充分なものとなる。
【0022】なお、引取られた糸条は、あまりに大きな
延伸倍率で延伸すると結晶サイズが小さくなって耐フィ
ブリル性が低下する傾向があるので、実質的に延伸する
ことなく巻き取ることが好ましい。
【0023】上記の如くして得られるポリエステル繊維
は、ポリマーの固有粘度、繊度、繊維断面形状、紡糸速
度、加熱筒温度、加熱筒長さ等を前記範囲内で適宜変更
することにより、下記特性を同時に満足させることが望
ましい。
【0024】 (100)面結晶サイズCSaと(0
10)面結晶サイズCSbとの積ACS(×10-18
2 ):25≦ACS≦50 非晶部配向度 ΔNa:ΔNa>0.09 複屈折率 ΔN:ΔN≧0.12 比重 ρ:ρ≧1.375 熱応力ピーク応力F(g/d):F≧0.4 アルカリ減量パラメーターK:K≧0.3 ここでKは次のように定義される。35g/リットルの
NaOH沸騰水溶液中に、75デニール/36フィラメ
ント(単糸2.1デニール)の中空部を有しない丸断面
(真円)マルチフィラメント(筒編)を30分間浸漬処
理した後の減量率(%)をΔW/W×100とすると下
記式で表される。 K=1/30×ΔW/W×100 なお、実際のアルカリ減量率は繊維の比表面積に比例す
るので、上記条件での比表面積をSo、測定サンプルの
比表面積S、測定サンプルを上記条件で処理した時のみ
かけのアルカリ減量パラメータをK′とすると、K=
(So/S)×K′となる。
【0025】繊維軸に直角の断面方向における結晶サイ
ズは、良好な耐フィブリル性を得る上で、CSa×CS
bの積ACSが25(×10-18 2 )以上であること
が好ましく、一方製糸時の毛羽発生あるいは繊維の力学
的物低下に基づく織物品位の低下を抑制する上でACS
は50以下であることが望ましい。
【0026】また、製織工程での安定性維持のうえで、
非晶部配向度ΔNa及び複屈折率ΔNはそれぞれ0.0
9以上、0.12以上であることが望ましい。結晶化度
は大きくなるほど結晶部での分子鎖間繁止め効果が増大
して耐フィブリル性が良好となるので、比重ρは1.3
75以上、好ましくは1.380以上であることが望ま
しい。
【0027】さらにポリエステル繊維の熱応力ピーク応
力は、製織後の織物を熱収縮させて風合を改善するうえ
で、0.4g/d以上であることが好ましく、特に0.
4〜0.8g/dの範囲にあることが望ましい。また、
この熱応力がピークとなる温度は、130℃以上、特に
140℃以上であることが望ましい。また、非晶領域の
分子鎖の運動性が良好で摩擦等の応力が負荷されてもフ
ィブリルを発生し難くするうえで、アルカリ減量パラメ
ーターは大きい方が好ましいが、あまりに大きくなりす
ぎると後述するアルカリ処理により形成される微細孔が
大きくなりすぎ耐フィブリル性の改善効果が減少する傾
向があるので、0.3〜0.5の範囲が特に好ましい。
【0028】本発明においては、上述の高配向ポリエス
テル繊維をアルカリ化合物の水溶液で処理して該繊維か
ら2〜50重量%溶出することにより、該繊維の横断面
に散在し且つ繊維軸方向に配列した微細孔を形成する必
要がある。
【0029】使用するアルカリ化合物としては、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウ
ムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム
等をあげることができる。なかでも水酸化ナトリウム、
水酸化カリウムが特に好ましい。
【0030】かかるアルカリ化合物の水溶液の濃度は、
アルカリ化合物の種類、処理条件等によって異なるが、
通常、0.01〜40重量%の範囲が好ましく、特に
0.1〜30重量%の範囲が好ましい。処理温度は常温
〜100℃の範囲が好ましく、処理時間は1分〜4時間
の範囲で通常行なわれる。また溶出除去する量は、繊維
重量に対して2〜50重量%の範囲にするべきである。
このように処理することによって、繊維横断面に散在し
繊維軸方向に配列し且つその一部が繊維表面まで連通し
た微細孔を形成することができる。
【0031】溶出量が2重量%未満の場合には、微細孔
の大きさが小さくなり数も少くなって吸水性は不充分と
なる。一方50重量%を越える場合には、大きな微細孔
が形成され、繊維強度が不充分となるだけでなく耐フィ
ブリル性も低下する。
【0032】ここで形成される微細孔は、該繊維の横断
面に散在し、繊維軸方向に配列し且つその大きさは巾が
0.01〜3μmであることが望ましい。この微細孔の
巾が0.01μm未満であると吸水性の効果が低下し易
く、一方3μmを越えると充分な繊維強度が得られ難
い。
【0033】また、繊維の横断面における形状は、円形
であっても異形であってもよく、繊度についても特に制
限する必要はない。さらには内部に中空部を有する中空
繊維であってもよい。なかでも中空繊維であって、該中
空部と繊維表面との間に連通した微細孔を有するもの
は、該中空部内に水分が吸水されるため好ましい。しか
しあまりに中空率が大きくなると耐フィブリル性は低下
する傾向があり、また中空部がつぶれ易くなるため、中
空率は5〜20%程度が好ましい。中空部の形状は特に
限定する必要はなく、外形の形状と異なっていてもよ
い。
【0034】なお、本発明のポリエステル繊維には、必
要に応じて任意の添加剤、例えば触媒、着色防止剤、耐
熱剤、難燃剤、螢光増白剤、艶消剤、着色剤、無機微粒
子等が含まれていてもよい。
【0035】
【作用】以上述べたように、本発明によれば、優れた吸
水性を有しつつ、耐フィブリル性及び製織性の著しく向
上したポリエステル繊維を得ることができる。この理由
の詳細については不明であるが、以下のとおり推定され
る。すなわち、加熱筒内で150℃以上に加熱しながら
高速度で引取っているため、非晶部の配向が進んで繊維
の力学的特性が向上し製織性が改善されているが、結晶
サイズも大きくなって結晶間を結び付けている非晶部分
子鎖の数が多くなっているため、繊維軸に垂直方向の分
子鎖連結力は大きく、繊維に摩擦応力が作用してもフィ
ブリルは発生し難くなっている。
【0036】さらに、高いアルカリ減量パラメーターを
有する、すなわち非晶領域の分子鎖の束縛性が低下して
いて動き易くなっているいため、摩擦等の応力が加わっ
てもその非晶部分子鎖の動きによりそのエネルギーが吸
収されてフィブリル発生を回避することができる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、力学的特性が良好で優
れた品位の織物を提供することができる、フィブリルの
発生し難い吸水性ポリエステル繊維を製造することがで
きる。そのため、従来の吸水性繊維では展開が困難であ
ったスポーツ衣料分野、無塵衣料分野に展開可能とな
る。
【0038】
【実施例】以下、実施例により説明する。なお、実施例
中の測定値は、次の方法により測定したものである。 (1)抱水率測定 製織しアルカリ減量した布帛を乾燥して得られる試料を
水中に30分以上浸漬した後家庭用電気洗濯機の脱水機
で5分間脱水する。乾燥試料の重量と脱水後の重量から
下記式により求めた。 抱水率=(脱水後の試料重量−乾燥試料重量)/乾燥試
料重量
【0039】(2)耐フィブリル性 JIS L1096―6.17.5E法(マーチンデー
ル法)による。但し、連続摩擦回数を2000回及び5
000回とし、標準摩擦布としてウールを使用した。評
価は5級(良好):変色せず〜1級(不良):白ちゃけ
までの5段階評価で行った。
【0040】(3)結晶サイズ(CSa,CSb) 理学機器製X線測定装置を使用し、広角X線回析法によ
って測定した強度分布曲線において、(100)面、
(010)面の半価幅を求め、デバイーシェラーの式を
用いて結晶サイズを算出し、CSaとCSbを求めた。
【0041】(4)非晶配向度(ΔNa) 非晶配向度(ΔNa)は下記式より求めた。
【0042】 ΔNa=(ΔN−FC ・ΔNCO・XV )/(1−XV ) ここで、ΔN:複屈折率 XV :結晶化度(密度勾配管法による比重測定より算
出) FC :結晶部配向度(X線広角回折法) ΔNCO:ポリエステル固有極限複屈折率(0.212)
【0043】(5)複屈折率(ΔN) 偏光顕微鏡による単色(ナトリウム)ランプのもとで、
コンペンセーターの補正角度から求めたレタデーション
と干渉縞の数及び試料の直径から複屈折率ΔNを求め
た。(中空断面糸の場合は、丸断面糸のΔNを測定し、
丸断面糸と中空断面糸の音波速度により算出した。使用
した装置は、旧東洋ボールドウィン社製レオバイブロン
DT―V型である。)
【0044】(6)熱応力 カネボウ製収縮応力測定器を使用し、5cmの輪状糸を
作り、測把持部にフィラメントを把持させ昇温速度12
0sec/300℃、初荷重がデニール/30gで行
い、収縮応力ピーク値の応力をF(g/d)とした。
【0045】(7)風合 得られたフィラメントを筒編みし、分散染料を使用して
常法で染色し、水洗乾燥後180℃で1分間セットし、
風合い評価用サンプルとした。風合いは、肉眼観察並び
触感によって評価し、柔らかい風合いの編地を○とし、
硬い風合いの編地を×とし、○・△・×の3種で良否を
判断した。
【0046】(8)比重 密度勾配管法で測定を行ない、n―ヘプタン(0.68
g/cm3 )+四塩化炭素(1.59g/cm3 )を合
せて比重計を用いて1.276〜1.416になる様に
調整した。混合液中に試料を入れて測定を行なった。
【0047】テレフタル酸ジメチル197部、エチレン
グリコール124部、3―カルボメトキシ・ベンゼンス
ルホン酸Na―5―カルボン酸Na4部(テレフタル酸
ジメチルにたいして1.3モル%)、酢酸カルシウム1
水塩0.118部を精溜塔付ガラスフラスコに入れ、定
法にしたがってエステル交換反応を行い、理論量のメタ
ノールが留出した後反応生成物を精溜塔付重縮合用フラ
スコに入れ安定剤としてトリメチルホスフェート0.1
12部及び重縮合触媒として酸化アンチモン0.079
部を加え、温度280℃で、常圧下20分、30mmH
gの減圧下15分反応させた後高真空下で80分間反応
させた。最終内圧は0.38mmHgであり、得られた
変性ポリマーの固有粘度は0.640,軟化点は258
℃であった。反応終了後変性ポリマーを常法に従いチッ
プ化した。
【0048】得られたチップを乾燥した後、図1に示す
方法で、幅0.07mm、径1.0mmである円形状の
スリットの4箇所が閉じた円弧状の開口部を持つ紡糸吐
出孔を有する紡糸口金1から、溶融温度290℃で溶融
押出した。吐出された糸条は冷却筒3で一旦冷却した
後、表1記載の加熱筒4中開繊状態で通過させ、油剤付
与装置5により油剤を付与し、インターレーサー6によ
り交絡処理を施した後に第1ゴデットローラー7と第2
ゴデットローラー8を介して表1記載の速度で引き取り
捲取機9に巻きとった。なお吐出量は、得られる繊維が
75デニール/36フィラメントとなるように調整し
た。
【0049】次いで、得られたフィラメントを生機密度
40本/インチの平織物となし、常法に従って精練、プ
リセット(170℃×1分間)を行った後、3.5%の
水酸化ナトリウム水溶液中沸騰温度にて減量率が20重
量%となるよう減量処理した。次に、住友化学(株)
製、スミカロンネービーブルー(6%owf)を染料と
し、130℃で45分間染色し、次いでファイナルセッ
ト(160℃×1分間)行った。以上の、繊維及び織物
サンプルについて評価した結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】表1中、実験No.1は実施例と同じポリ
マー、同一紡糸口金を用いて別延方式によって得られた
繊維を評価した結果であり、実験No.2は紡糸速度6
000m/分で得られた繊維を評価した結果であり実験
No.3は紡糸速度が4500m/分延伸速度が600
0m/分で得られた繊維を評価した結果である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸水性ポリエステル繊維を得るための
方法の一例を示す略線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/62 Q 302 Z 303 B // D06M 101:32

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表わされるスルホン
    酸金属塩をポリエステルの全酸成分を基準として0.3
    〜15モル%含有するポリエステルを紡糸口金より溶融
    吐出し、該紡出糸条を一旦冷却固化させた後、紡糸口金
    から加熱筒入口までの距離が50〜150cmに設置さ
    れ且つ雰囲気温度が150℃以上、長さが50〜150
    cmの加熱筒中を非接触状態で通過させ、次いで350
    0〜5500m/分の速度で引取って高配向させたポリ
    エステル繊維を、アルカリ化合物の水溶液で処理して該
    繊維から2〜50重量%を溶出することにより、該繊維
    の横断面に散在し且つ繊維軸方向に配列した微細孔を形
    成せしめることを特徴とする吸水性ポリエステル繊維の
    製造法。 【化1】 [式中、M及びM′は金属、Rは水素原子又はエステル
    形成性官能基、nは1又は2を示す]
JP1238695A 1995-01-30 1995-01-30 吸水性ポリエステル繊維の製造法 Pending JPH08209528A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR19990009821A (ko) * 1997-07-11 1999-02-05 구광시 장섬유 부직포의 제조방법 및 그 장치
JP2008007870A (ja) * 2006-06-28 2008-01-17 Teijin Fibers Ltd ポリエステル微細繊維およびその繊維製品
JP2013119689A (ja) * 2011-12-08 2013-06-17 Teijin Ltd 耐摩耗性ポリエステル繊維

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