JPH0335404B2 - - Google Patents

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JPH0335404B2
JPH0335404B2 JP3056482A JP3056482A JPH0335404B2 JP H0335404 B2 JPH0335404 B2 JP H0335404B2 JP 3056482 A JP3056482 A JP 3056482A JP 3056482 A JP3056482 A JP 3056482A JP H0335404 B2 JPH0335404 B2 JP H0335404B2
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JP
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less
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alkyl
polyester fiber
polyester
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JP3056482A
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Tadayuki Matsumoto
Hideo Ishibashi
Kyoshi Nakagawa
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明はシルキー風合を有する発色性の改善さ
れたポリエステル繊維に関するものである。さら
に詳しくは粒子表面のシラノール基を封鎖したア
ルキルコートシリカを含み、表面に微細な凹凸を
有する3〜5葉断面ポリエステル繊維に関する。 ポリエステル繊維を3〜5葉断面繊維とするこ
とで絹様の光沢と風合を付与することは一般に行
なわれている。 しかしながら従来のポリエステルを用いてシル
キー風合繊維とした場合、光沢感を出すために繊
維表面での反射を多くすると発色性が低下すると
いう問題があつた。 その理由は、ポリエステル繊維は他の繊維たと
えばアセテート、レーヨン、羊毛、絹などの繊維
に比べて染色布の発色性(黒の深味あるいは有彩
色の鮮明性)が劣つているためである。特に該染
色布を構成するポリエステル繊維の単糸繊度が1
デニール以下の場合には布帛表面での光の表面反
射率が高くなり発色性が劣つていた。 従来かかるポリエステル繊維の欠点である染色
布の発色性を改善する方法として、 (1) 平均粒径100mμ以下であるシリカゾルなど
の無機微粒子を0.5〜10重量%含有するポリエ
ステル繊維をアルカリ溶解処理し、特定の表面
構造を付与した繊維(特開昭55−107512号公
報)。 (2) 平均粒径100mμ以下であるシリカゾルなど
の無機微粒子を0.5〜10重量%含有せしめたポ
リエステル繊維をアルカリ溶解処理し、特定の
表面構造を付与せしめた単糸繊度1デニール以
下の極細繊維(特開昭55−112306号公報) などが提案されている。 しかしながら前記(1)および(2)の方法は繊維表面
を粗面化することにより表面反射光を減少させ、
発色性を向上させようとするものであり、必然的
に光沢を減少させてしまう。従つてシルキーな光
沢の付与を目的とした場合、発色性向上手段とし
て前記表面粗面化技術を適用することはできな
い。さらに前記(1)および(2)の技術で用いられてい
るシリカゾル、乾式法シリカなどの粒子は粒子表
面のシラノール基の活性のため凝集が起りやすく
粗大粒子が生成しやすい。そのため通常の条件で
紡糸を行なうと圧上昇が大きく、過を甘くす
れば糸中の粗大粒子に起因する製糸性の悪化とい
う問題が生じる。 本発明者らはシルキーな風合と共にマイルドな
光沢感を有し、かつ発色性を向上させる方法につ
いて鋭意検討した結果、ポリエステルに添加する
シリカを選定することにより前記目的を達成でき
ることを見い出し本発明に到達したものである。 すなわち本発明は、平均の一次粒子径が100m
μ以下で、かつ粒子表面のシラノール基を封鎖し
たアルキルコートシリカを0.30重量%以上1.50重
量%以下含有し、かつ繊維表面に繊維軸方向に縦
長の微細な凹みを多数有し、3〜5葉断面を有し
ていることを特徴とするシルキー風合を有する発
色性の良好なポリエステル繊維およびその製造方
法である。 前記した繊維軸方向に縦長の微細な凹みとはお
おむね繊維の長さ方向に細長く存在する凹みであ
り、さらに繊維断面を異形化することにより、こ
れが入射した光の繊維内部への侵入を効率的に行
なわしめ発色性を向上させる効果を有するもので
ある。 本発明のポリエステル繊維を構成するポリエス
テルは、エチレングリコールまたは1,4−ブタ
ンジオールを主たるグリコール成分とし、テレフ
タル酸またはそのエステルを主たるジカルボン酸
成分とするポリエステルを対象とするものであ
る。 このジカルボン酸成分の一部をたとえば5−ス
ルホイソフタル酸のモノアルカリ金属塩、イソフ
タル酸、ジフエニルジカルボン酸、ナフタレンジ
カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸などのジカルボン酸またはそのエステル、p
−オキシ安息香酸、p−β−オキシエトキシ安息
香酸などのオキシカルボン酸またはそのエステル
で置き換えても良く、エチレングリコールまたは
1,4−ブタンジオールの一部をたとえば炭素数
2〜10のアルキレングリコール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、1,4−ビス(β−オキ
シエトキシ)ベンゼン、ビスフエノールAのビス
グリコールエーテルなどの主グリコール成分以外
のグリコールで置き換えても良い。 さらにペンタエリスリトール、トリメチロール
プロパン、トリメリツト酸、トリメシン酸などの
鎖分岐剤やモノハイドリツクポリアルキレンオキ
サイド、フエニル酢酸などの重合停止剤を少割合
使用することも可能である。 かかる原料からポリエステルを製造するにはた
とえばテレフタル酸ジメチルをエチレングリコー
ルまたは1,4−ブタンジオールでエステル交換
反応せしめるか、テレフタル酸を該グリコールで
直接エステル化反応せしめるか、またはテレフタ
ル酸にエチレンオキサイドを付加反応せしめるか
してテレフタル酸の該グリコールエステルおよ
び/またはその低重合体を合成し、次いで該生成
物を常法により重合反応せしめる方法が最も広く
採用される。 さらに前記ポリエステルの合成に当つては当業
界周知の触媒、着色防止剤、艶消剤、エーテル結
合副生防止剤、抗酸化剤、難燃剤などを適宜使用
することができる。 本発明で前記ポリエステル中に含有するシリカ
系粒子は粒子表面にアルキル基を有し、かつ粒子
表面のシラノール基を封鎖したアルキルコートシ
リカである。 前記アルキルコートシリカとは、たとえば乾式
法二酸化ケイ素とジアルキルジクロルシランを反
応させることによつて得られる粒子表面のシラノ
ール基を30%以上封鎖した乾式法シリカである。 なお、前記乾式法シリカは、たとえば「プラス
チツク用およびゴム用添加剤実用便覧」(化学工
業社、昭和45年8月10日発行)の524ページに記
載されているような一般にハロゲン化ケイ素を水
素および酸素とともに気相で熱分解させる方法で
製造することができる。 前記した粒子表面にアルキル基を有し、かつ粒
子表面のシラノール基を封鎖した乾式法シリカの
粒子表面のシラノール基封鎖率は50%以上が好ま
しい。 また、粒子表面のシラノール基を封鎖したシリ
カのアルキル基は特に限定はないがメチル基およ
びエチル基が好ましい。 本発明のポリエステル繊維は、前記したアルキ
ルコートシリカを含有し、繊維断面を異形化させ
ているため、良好な発色性向上効果とともに、マ
イルドな光沢感を有し、合繊特有のギラツキ感が
改善されるが、以下にその理由を述べる。 従来の繊維表面に微細な凹凸を形成して発色性
を向上させる技術は、繊維表面を梨地化してしま
うため、落ちつきのある深味のある色は出せる
が、くすんだ色調となり光沢感のある鮮明な発色
性は得られなかつた。より詳しくは、従来の発色
性向上技術に使用されているシリカゾル、乾式法
シリカなどの粒子を用いると、繊維表面溶出によ
る縦長の凹凸が短かくかつ密に分布し、凹部が
各々隣接した表面形態となるので、表面に平面部
分がなくなり、発色性向上効果は有するが、光沢
感が全くなくなつてしまう。 これに対し、本発明のポリエステル繊維はアル
キルコートシリカを添加した後の表面溶出処理に
よる微細な凹凸を多数有しており、かつ該凹凸は
繊維軸方向に縦長に配向して分布している。さら
に本発明のポリエステル繊維は縦長の凹部は多数
生成するが、凹部と凹部との間に比較的平面に近
い部分が存在しており、縦長の凹部による発色性
向上効果と比較的平面な部分による光沢感とを合
わせ持つているものと考えられる。 従つて本発明のポリエステル繊維を製造するた
めにはアルキルコートシリカの粒子種、粒径、含
有量とともにアルカリ処理などの表面溶出処理も
最適化する必要がある。 さらに本発明のポリエステル繊維は、独特のキ
シミ感を有しており、絹に近い風合があり極めて
好ましい。 このような良好なキシミ感を有する理由も明か
ではないが、異形断面を有しており、さらに前記
縦長の凹部の配向による方向性と、凹部と凹部と
の間が比較的平面部からなる表面形態に起因する
ものと考えられる。 さらに前記したアルキルコートシリカは含有量
が少ない場合の方が前記した表面を形成しやす
く、含有量0.49重量%以下が好ましい。 前記効果に加えて、アルキルコートシリカを使
用することにより以下の効果が発揮される。 従来発色性向上技術に使用されていた、シリカ
ゾルおよび表面のシラノール基をアルキルコート
していない通常の乾式法シリカなどのシリカ粒子
は、表面のシラノール基が活性であるため以下に
示す問題点を有している。 (1) シリカ粒子が凝集し、得られるポリマー中の
粗大粒子が多くなるため紡糸・延伸・高次加工
工程での糸切れや紡糸時の層の目づまりによ
る圧上昇などの問題を起こす。 (2) 得られるポリマーの耐加水分解性が低下し、
チツプの乾燥時や紡糸時に大巾な重合度の低下
が起り、このためポリマーの重合度を上げる必
要がある。 (3) 重合時に増粘が起こるため、重合時の仕込量
を減らさねばならず生産性が低下するのに加
え、前記(2)項の理由でさらに重合度を上げねば
ならずこの問題点が増巾される。 上記(2)、(3)の理由は明確ではないが、シリカ粒
子表面のシラノール基の活性のため、ポリエステ
ルポリマーとシラノール基との間にエステル結合
が生成し、そのため前記増粘が起るが、前記エス
テル結合は耐加水分解性が極めて低いため、乾
燥、紡糸工程で結合が切れ重合度を下げるものと
考えられる。 これに対し本発明のアルキルコートシリカは粒
子表面のシラノール基を封鎖し、シラノール基の
活性を低下させてあるので前記(1)〜(3)のような問
題を起さない。さらに本発明のアルキルコートシ
リカはシリカゾル、乾式法シリカに比べ少ないな
がらもシリカ粒子の凝集を起こすが、粒子の凝集
力が弱く剪断応力をかけた場合、凝集がこわれや
すいので、紡糸時の層での目づまりを起こしに
くく、圧上昇が小さいという特徴を有してい
る。 上記効果は特に異形断面口金を用いて紡糸する
際に顕著であり、本発明のアルキルコートシリカ
はシルキーな風合を有する発色性向上ポリエステ
ル繊維を工業的に生産するに際し極めて有用であ
る。 前記したアルキルコートシリカの平均の一次粒
子径は100mμ以下が必要であり、好ましくは50
mμ以下、特に好ましくは20mμ以下である。 平均の一次粒子径が100mμを越えると発色性
向上効果が低下する。 粒子径20mμ以下が発色性向上効果が最も高く
より好ましい。シリカ粒子径を小さくすると発色
向上効果は高くなるが、シリカ粒子の凝集、重合
時の増粘などの問題が起こりやすくなる。 しかしながら、本発明のアルキルコートシリカ
は前記したように凝集増粘などの問題を起こさな
いので、発色性向上効果の大きい粒径の小さいシ
リカ粒子を使用することができる。 アルキルコートシリカの含有率は生成するポリ
エステルに対し0.30重量%以上1.50重量%以下が
必要であり、0.40重量%以上、1.00重量%以下が
好ましく、0.49重量%以下が特に好ましい。0.30
重量%未満では発色性向上効果が十分でない。ま
た1.50重量%を越えると得られるポリマ中の粗大
粒子数が増加し、製糸性、高次工程通過性、圧
上昇などが悪化する。また、表面溶出処理時に極
端な粗面化が起こり得られる染色布のフイブリル
化性も悪化するので好ましくない。 また粒子添加量を多くすると糸強度が低下する
ので、糸強度を高く保つためにはポリマーの重合
度を高くする必要がある。しかしながら、アルキ
ルコートシリカ粒子含有量を多くして重合度を高
くするためには、シリカ粒子による増粘、後述す
る仕込量を下げるための粗大粒子生成の問題、重
合生産性の低下などの問題が起りやすいので、粒
子含有量が1.00重量%以下が好ましく採用され
る。 なお、アルキルコートシリカの含有率とは本発
明のポリエステル繊維が芯鞘型の複合成繊維の場
合は、鞘部分を形成するポリエステル中のアルキ
ルコートシリカの含有率とする。 本発明のポリエステル繊維は後述する方法で測
定した未延伸糸粗大粒子数が200個/g以下であ
る未延伸糸から延伸された後表面溶出されたもの
であることが好ましい。 未延伸糸粗大粒子数とはポリエステルを溶融紡
糸する際の口金通過直後の未延伸糸中の粗大粒子
数のことであり、この粗大粒子数が200個/gを
越えると粗大粒子が糸中の異物となるため紡糸
時、延伸時の糸切れが起りやすくなる。さらに延
伸後のポリエステル繊維中の粗大粒子も多くなる
ため仮撚、強撚、製編織などの高次工程での張力
負荷、擦過などで糸切れを起こしやすくなる。ま
たアルカリなどで表面溶出処理を行なう際、粗大
粒子の部分は大きな穴があくため得られた布帛の
強力特性面、毛羽立ちなどの面で不利である。 高配向未延伸糸の紡糸、紡糸工程のみで延伸糸
を得るための紡糸などの紡糸時の変形速度が大き
い場合、および単繊維デニールが小さい場合、な
どは未延伸糸粗大粒子数をできるだけ少なくする
のが好ましい。 前記問題をなくすために、未延伸糸粗大粒子数
は150個/g以下が好好ましい。 前記未延伸糸粗大粒子数が200個/g以下であ
る未延伸糸を延伸する延伸工程は、以下のいずれ
の場合でも良い。 (1) 通常のごとく一度巻取つた未延伸糸、高配向
未延伸糸を、別工程で延伸または延伸仮撚する
工程。 (2) 紡糸工程で4000〜4500m/minの速度範囲以
下で紡糸し、連続して延伸を行なう、直接紡糸
延伸工程。 (3) 紡糸工程のみで延伸糸を得るため、4500〜
5000m/minの速度範囲以上で紡糸する工程。 また前記した未延伸糸粗大粒子数は、紡糸口金
直後の未延伸糸中の粗大粒子の数であるが、前記
未延伸糸中の粗大粒子は、未延伸糸を延伸すると
一部が凝集がこわれ筋状に分裂するため延伸糸に
した場合の粗大粒子数は未延伸糸粗大粒子数より
少なくなるものと考えられる。 〔未延伸糸粗大粒子の測定法〕 ポリエステルを紡糸する際、口金下約5〜10cm
の所で清浄なステンレス鋼板にポリマを約7g採
取し、常法により真空乾燥する。 次いでステンレス鋼板にはさみ290℃、100Kg/
cm2で1分間プレスした後急冷した後、常法により
面積比を約10倍に延伸し、フイルムを作成する。
得られたフイルムから約1gを切りとり偏光板上
で粗大粒子にマークをつけ、実体顕微鏡で5.0μ以
上のシリカ粒子を測定し、試料1g当りの粗大粒
子数を算出する。サンプル採取時はゴミ等が混入
しないよう十分な注意を行なう。なお、未延伸糸
粗大粒子は1水準当り10回くり返しその平均値で
表示する。 本発明のポリエステル繊維中における平均の一
次粒子径の3倍以上の径を有する二次粒子の数は
10平方ミクロンあたり10個以上が好ましく、10個
未満では発色性向上効果が小さくなる傾向があ
る。この理由は繊維を表面溶出処理した際に発生
する縦長の凹みが、前記二次粒子を中心に生成す
るため、凹みの形態、数などが異なつてくるため
と考えられる。 なお、本発明において平均の一次粒子径の3倍
以上の径を有する二次粒子の数は、ミクロトーム
で100mμに切断した糸サンプルを日立(株)製HU
−12型透過型電子顕微鏡(加速電圧75KV)を用
いて30000倍で撮影した写真を7.3cm×11cmあたり
の二次粒子の数をカウントし、ポリマ10μ2あたり
に換算し、試料20個の平均として求めた値をい
う。 さらに、本発明は繊維断面を3〜5葉にする必
要があり、3葉より少ない、すなわち丸断面では
本発明の目的とする発色効果が得られず、5葉よ
り多くすると丸断面に近づき、本発明の目的とす
るシルキー風合が得られない。 本発明によるポリエステル繊維の極限粘度
〔η〕は、好ましくは0.36以上であり、特に好ま
しくは0.53以上である。0.36未満の場合、用途に
よつては強度、フイプリル化性などが問題となる
ことがあり、この理由から0.53以上がより好まし
い。 本発明のポリエステル繊維におけるジエチレン
グリコール(DEG)含有率は好ましくは2重量
%以下、特に好ましくは1重量%以下である。2
重量%を越える量では仮撚加工糸として用いた場
合、CR値が低下する傾向がある。 すなわち、本発明のポリエステル繊維を仮撚加
工する場合は、DEG含有量が2.0重量%以下であ
ることが好ましく、1.0重量%以下がより好まし
い。DEGの含有量が多いと仮撚加工時の熱セツ
ト性が不十分となり、前記CR値が低下する。
DEG含有量を2.0重量%以下とするためには、粒
子種、重合条件あるいは触媒系を適宜選定する。 なお、本発明で使用する表面のシラノール基を
封鎖したアルキルコートシリカは、通常の乾式法
シリカに比べ重合中のDEGの生成が少ないとい
う利点もある。 以下に本発明のポリエステル繊維の製造方法に
ついて述べる。 本発明のポリエステル繊維は、平均の一次粒子
径が100mμ以下であり、かつ粒子表面のシラノ
ール基を30%以上封鎖したアルキルコートシリカ
を0.30重量%以上1.50重量%以下含有するポリエ
ステルを3〜5葉断面口金を用いて溶融紡糸し、
ついで延伸することで得られる。 本発明において未延伸糸粗大粒子数が200個/
g以下のポリエステル繊維を得るためには、後述
する方法で測定したチツプ粗大粒子数が300個/
g以下のポリマーを、メツシユが80メツシ以上の
サンドおよび/または絶対過径が30ミクロン以
下の金属不織布フイルターを用いて溶融紡糸する
方法が好ましく採用される。シリカ粒子を含有す
るポリエステルには、シリカ粒子の凝集による粗
大粒子が多いので、未延伸粗大粒子を減少させる
ためには80メツシユ以上のメツシユのサンドを使
用して過を行なうことが好ましい。80メツシユ
未満のサンド、たとえば40メツシユや60メツシユ
のサンドで過を行なつても、前記未延伸糸粗大
粒子数が200個/g以下とならないので前記した
製糸・高次工程での糸切れなどの問題が発生しや
すい。また前記過に通常のガラスビーズ、モラ
ンダムなどのサンドを使用すると、層の目づま
りによる圧上昇が大きいが、ステンレスなどの
金属製のサンドを使用すると圧上昇を小さくで
きるので好ましい。さらに前記サンドおよび/ま
たはステンレスなどで製造された金属不織布フイ
ルターを用いて過を行なうと圧上昇を小さく
できるので好ましい。金属不織布フイルターの絶
対過径は30ミクロン以下が好ましく、20ミクロ
ン以下がより好ましい。 また前記金属不織布フイルターは単独で使用し
ても良いが、サンドと組合せて使用するのが好ま
しい。その際のサンドメツシユは80メツシユ未満
でも良いが、80メツシユ以上とするとより好まし
い。過上昇を防ぎ過効果を高める上でメタル
サンドと金属製不織布フイルターとを組合わせる
のが最も好ましい。 特に本発明のアルキルコートシリカはサンド層
での剪断応力によりシリカ粒子の凝集がくずれや
すいので、サンドと不織布フイルターを組合せる
と効果がある。 金属製のサンドおよび不織布フイルターは、特
に過強化を必要とする単繊維デニールが1.5デ
ニール以下の糸、高速紡糸などに適用するのが好
ましい。 また前記したように、本発明において、80メツ
シユ以上のメツシユのサンドおよび/または絶対
過径が30ミクロン以下の金属不織布フイルター
を用いて紡糸時の過を行なう目的で、層での
目づまりによる圧上昇を防止するために、チツ
プ粗大粒子数が300個/g以下のポリエステルポ
リマーを使用することが好ましい。チツプ粗大粒
子数が300個/gを越えると圧上昇が大きくな
り過ぎる問題が起りやすくなり、工業生産を行な
う場合問題となることがある。 すなわち、通常の紡糸装置におけるパツク内圧
の上限は450〜500Kg/cm2であるが、本発明のポリ
エステルを製造する際、未延伸糸粗大粒子を200
個/g以下とするためにメツシユが80メツシユ以
上のサンドおよび/または絶対過径が30ミクロ
ン以下の金属不織布フイルターを使用すれば紡糸
スタート時のパツク内圧は150〜200Kg/cm2となり
好好ましい。従つてトータルのパツク内圧上昇を
250〜300Kg/cm2以内とすることができるので好ま
しい。一方、通常工業生産的にはパツクの交換周
期は短かくても15〜20日とすることが多いので、
パツク内圧上昇は最大15〜20Kg/cm2/日であるこ
とが好ましい。従つて通常の75デニールポリエス
テル繊維を紡糸する際の圧上昇は0.3〜0.4Kg/
cm2/Kgポリマー以下とすることが好ましい。 さらに耐圧上限が250〜300Kg/cm2の紡糸装置を
使用する場合は、さらに圧上昇の上限が低くな
り、この場合、75デニールで約0.2Kg/cm2/Kgポ
リマーが上限と考えられる。 本発明で使用するポリエステルはアルキルコー
トシリカを0.30重量%以上1.50重量%以下含有
し、チツプ粗大粒子数が300個/g以下であれば、
75デニール糸を80メツシユのサンドを用いて紡糸
する際の圧上昇が約0.2Kg/cm2/Kgポリマーを
越えず、前記耐圧の低い紡糸機にも好ましく適用
できる。 〔チツプ粗大粒子の測定法〕 ポリエステルチツプ7gを常法により真空乾燥
した後、前記未延伸糸粗大粒子測定時と同様にフ
イルム化し測定する。チツプ粗大粒子は1水準当
り10回くり返しその平均値で表示する。 アルキルコートシリカは脂肪族グリコール、脂
肪族アルコールあいは水等に公知の方法で分散さ
せ分散スラリーとしてポリエステルの重合が完結
するまでの任意の段階で添加することができるが
特に該ポリエステルの原料となるグリコールルに
分散させて添加することが好ましい。 前記アルキルコートシリカの分散スラリーは従
来公知の方法で調整できるが、アルキルコートシ
リカとエチレングリコールまたは1,4ブタンジ
オールを特開昭53−125495号公報に開示された撹
拌翼の回転方向と平行した複数個のせん断翼をも
つ高速撹拌機中で分散させる方法が好ましい。さ
らに分散剤として従来公知の分散剤も使用可能で
ある。 ここで、分散剤の使用は添加粒子の分散向上の
他に染色布の発色性向上においても効果を有する
ことである。この理由は明確ではないが、分散剤
を添加してポリマ中の粒子分散性を向上せしめる
ことにより、アルカリ溶解処理糸をより好ましい
糸表面に改善するものと思われる。特にテトラア
ルキルアンモニウム化合物系分散剤は発色性向上
効果およびアルキルコートシリカの凝集防止効果
が大きく、好適である。 ここで、テトラアルキルアンモニウム化合物と
しては水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化
テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピ
ルアンモニウム、水酸化テトライソプロピルアン
モニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなど
が挙げられるが、なかでも水酸化テトラエチルア
ンモニウム特に好ましい。 かかる分散剤であるテトラアルキルアンモニウ
ム化合物を使用する場合、その好ましい使用量は
本発明のアルキルコートシリカに対して5〜30重
量%が好ましく、5〜20重量%が特に好ましい。
使用量が5重量%未満では凝集防止効果が十分で
なく、30重量%を越えるとその効果が飽和するば
かりか、逆にポリマが黄褐色に着色してポリエス
テル繊維の物性が悪化するなどの欠陥を誘起する
こともある。 アルキルコートシリカのスラリーの添加時期は
ポリエステルの重合が完結するまでの任意の段階
であるが、重合反応開始前がアルキルコートシリ
カの粗大粒子数が少なくなり好ましい。 ただし、該アルキルコートシリカの分散媒を変
えて、本発明のポリエステルと同じポリエステル
に高濃度に分散させたいわゆるマスターパツチ方
式であれば、重合完結後でも紡糸時でも添加可能
である。 シリカ含有ポリエステルを製造する際、その凝
集がおこりやすく、いかに凝集を防止するかが重
要である。シリカの凝集は高温でおこりやすいた
め、できるだけ低温で加えた方が良いことは知ら
れている。本発明者が検討した結果、この他にも
凝集防止について重要な因子があることが判明し
た。 一般にポリエステルのバツチ重合工程はエステ
ル交換缶と重合缶があることはよく知られてい
る。エステル変換缶の反応液加熱用コイルは直線
EI缶の中に入れておくことが普通である。ポリ
エステルの重合は普通エステル交換缶と重合缶の
反応速度が均合ように設計されているが、重合速
度は仕込み量依存性が高いため高IV化あるいは
低反応性の重合触媒を使用する必要がある場合、
仕込み量を下げエステル交換反応速度に重合速度
が均合うようにするのが普通である。しかるにシ
リカ含有ポリエステルの重合に際しては普通のポ
リエステルにくらべ耐熱性がややおとり重合温
度、触媒の量等にやや配慮する必要がある。その
ため仕込量を下げエステル交換缶の加熱コイルが
反応液の外に露出することが多かつた。このよう
な場合、露出している加熱コイルにシリカスラリ
ーあるいは反応液が付着し、シリカが激しく凝集
し粗大粒子が増加した。このような場合、本発明
者らは仕込量を上げ加熱コイルを反応液中に埋設
すれば粗大粒子が大幅に減少することを見出し
た。ただし単に仕込み量を上げれば重合反応速度
が遅くなるためエステル交換反応速度と重合反応
速度が均合わなくなる。そのため本発明者らはエ
ステル交換缶にはコイル埋設するように仕込み、
重合缶へは適度な量だけ移行することにより、反
応速度も均合い、かつ粗大粒子も大幅に低下でき
ることを見出した。 本発明のシリカ添加ポリエステルでポリマ中の
粗大粒子が300個/g以下であるポリマを得るに
はこのような方法で製造することが特に好まし
い。ただし本方法は生産設備で連続生産する場合
のことであり、テスト試作等においては連続生産
しないため、仕込み量を多くして重合反応速度が
遅くなる分はエステル交換反応の昇温曲線を変更
し速度を均合せればよい。なおこのような方法で
重合しても上記エステル交換反応液貯留方式と同
じ特性のポリマが得られる。 本発明に用いるエステル交換触媒および重合触
媒は特に限定はないが、エステル交換触媒はリチ
ウム、カルシウム、マンガン化合物などが好まし
く、重合触媒はアンチモン化合物が特に好まし
い。 本発明のポリエステル繊維の発色性向上効果を
発現させるためには、該ポリマーに対して可溶性
あるいは分解性を有する溶剤で表面溶出処理を行
なう必要がある。 前記溶出処理は、該繊維の染色前、染色後のい
ずれでも可能である。染色後に前記溶出処理を行
なうと、繊維表面に微細な凹凸をより顕著に形成
することができる。 表面溶出処理としては、アルカリによる溶解処
理がポリエステルと共にシリカも溶解させるので
最も好ましい。また目的に応じてアミン分解処
理、溶剤による溶出処理を行なうこともできる。 本発明のポリエステルに適用するアルカリ溶解
処理は苛性ソーダ、苛性カリなどのアルカリ金属
の水酸化物、水に溶かした時にアルカリ金属水酸
化物の形になるアルカリ金属化合物、アルカリ金
属の炭酸塩など、塩基性アルカリ金属化合物の水
溶液中で繊維または織編物を加熱するか、または
塩基性アルカリ金属化合物の水溶液を織編物にパ
ツド/スチーム処理することなどによつて達成さ
れる。 アルカリ溶解は上述のようなアルカリ溶解処理
法で減量率を繊維または織編物に対し5〜50重量
%とするのが好ましく、さらに10〜30重量%が好
ましい。5重量%未満では発色性向上効果が十分
でないため好ましくなく、また50重量%を越える
と糸の強度が低下しすぎるので好ましくない。 また、アルカリ溶解処理にはセチルトリメチル
アンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベン
ジルアンモニウムクロライドなどのアルカリ溶解
促進剤を適宜使用することができる。 本発明におけるポリエステル繊維の単繊維繊度
は特に限定はない。ただし、一般にポリエステル
繊維の単繊維繊度が1デニール以下の場合は布帛
表面での光の反射率が増加し、深味が低下するた
め、本発明は染色後の単繊維繊度が1デニール以
下の極細繊維に特に好ましく適用できる。 一般に単繊維繊度が1〜1.3デニール以下の極
細繊維を製造する場合、一般に紡糸あるいは延伸
時の糸切れなどが多くなり、紡糸時の過強化が
必要となるためポリマ中の粗大粒子が多いと紡糸
時の過を強化する必要があるためスタート時の
内圧が高く、また紡糸時の圧上昇も大きくなる
という問題がある。 たとえば、特開昭55−112306号公報に開示され
ているような公知の方法では発色性向上効果は確
かに大きいが、上記のような問題があるため1,
3デニール以下の極細繊維を安定生産することは
困難であつた。 本発明は添加するシリカの粒子種、添加量、粗
大粒子数などを最適化し、1,3デニール以下の
極細繊維も好ましく安定生産できるようにするこ
とを可能にしたのである。 本発明の効果を以下に述べる。 (1) 平均の一次粒子径が100mμ以下でありかか
る粒子表面のシラノール基を封鎖したアルキル
コートシリカを0.30重量%以上、1.50重量%以
下含有しているので、繊維表面に形成される縦
長の凹部が適度な配向と分布を有しており、良
好な発色性と独特のキシミ感のある、シルキー
な風合いを有する3〜5葉断面ポリエステルが
得られる。 (2) 前記アルキルコートシリカを使用しているの
で、重合時の増粘による生産性の低下、ポリマ
ーの耐加水分解性の不良などの問題を起こさな
い。 (3) さらに前記アルキルコートシリカを使用して
おり、シリカ粒子の凝集が少なく、粗大粒子が
少ないので過を強化しても圧上昇が小さ
く、製糸・高次工程通過性も良好である。 (4) 前記アルキルコートシリカを使用しており、
添加量が1.50重量%以下なので、アルカリなど
による表面溶出処理を行なつた際の繊維表面の
極端な粗面化が起らず、発色性向上効果の低下
も起こらない。また表面の破壊、フイブリル化
等による色目の変化の問題も起こさない。 さらに本発明のポリエステル繊維は、2500〜
4000m/minで紡糸した高配向未延伸糸を用い
て、延伸仮撚する場合添加した無機微粒子が結
晶化を促進する効果があり、仮撚加工速度の向
上が計れるという利点を有している。 本発明の仮撚加工糸を得る方法としては、通常
の紡糸延伸で得た延伸糸を公知の方法で仮撚加工
する方法および、前記したようにして、高配向未
延伸糸を延伸仮撚する方法のいずれも採用するこ
とができる。 以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。 なお、実施例中の部は重量部を、%は重量%を
意味する。 また、以下の実施例におけるアルキルコートシ
リカ粒子の平均の一次粒子径、〔η〕、ジエチレン
グリコール含有率、粗大粒子数、発色評価方法、
フイブリル化性評価方法、アルカリ溶解条件は次
のとおりである。 (平均の一次粒子径) シリカの粉末を電子顕微鏡で10万倍に拡大した
写真を撮影し、得られた像から各一次粒子の最長
径を測定し、1000個の平均として求めた値をい
う。 (極限粘度〔η〕の測定法) 糸をo−クロルフエノールに溶解し、25℃で測
定した値である。 (ジエチレングリコール含有率) ポリマ1gにモノエタノールアミン2.5g加え
還流加熱して解重合する。冷却後メチルアルコー
ル20ml加え、酢酸で中和後ガスクロで定量し、ポ
リマに対する得られるジエチレングリコールの比
(%)で表示する。 (発色性の測定方法) 評価すべきフイラメント糸を27ゲージのトリコ
ツト靴下編機〔小池機械製作所(株)製〕により、筒
編地を2個編成したのち、常法により0.2%の非
イオン活性剤〔サンデツトG−900(三洋化成(株)
製)〕と0.2%のソーダ灰を含む沸騰水中で5分間
煮沸精練し、次いで水洗、乾燥した。 次に180℃に調整したベーキング試験装置〔大
栄科学精器製作所(株)製MODEL−DK−1H〕を用
いて30秒間無緊張状態で乾熱処理を行ない筒編地
をセツトする。次いで、筒編地の一方を後述した
アルカリ溶解条件で減量率を20%に減量加工す。
さらにアルカリ溶解処理を行なつた筒編地と、行
なわない筒編の両方を、 分散染料Dianix Black FB−FS(三菱化成(株)製
分散染料) 15%owr (ないしはカチオン染料Cathilon Black CD−
BLH14%owf) 酢 酸 0.2g/ 分散剤(サンソルト1200) 1%owf からなる浴比1:50の130℃の水溶液中で60分間
染色を行なつたのち、常法に従い、 ハイドロサルフアイト 2g/ 苛性ソーダ 2g/ 非イオン活性剤(サンデツトG−900) 2g/ からなる80℃の水溶液中で20分間還元洗浄を行な
い、水洗、乾燥する。 発色性の評価は、デジタル測定色差計算機〔ス
ガ試験機(株)製〕で筒編地を6枚以上重ね、照射光
が透過しない状態でL値を測定する。 L値は濃色ほど値が小さく、淡色ほど値が大き
くなる。 発色性は以下の式より求める。 〔発色性〕 =〔アルカリ処理を行なわない筒編地L値〕 −〔アルカリ減量率20%の筒編地L値〕 (アルカリ溶解条件) 筒編地1重部を水酸化ナトリウム(3重量%)
の沸騰水溶液50重量部中に浸漬し、撹拌しながら
所定時間処理したのち水洗し、次いで1%酢酸水
溶液で中和し、さらに水洗および乾燥した。アル
カリ溶解処理時間は、あらかじめ予備検討し、所
定の減量率になるように設定する。 なお、減量率の算出は処理前の筒編地を100℃
の熱風中で20分間乾燥し、重量を測定〔この時の
重量を(A)とする〕し、減量加工後の筒編地を同様
に100℃で20分間乾燥し重量を測定〔この時の重
量を(B)とする〕して、式 A−B/A×100=減量率(%) より求める。 (フイブリル化性) 添付図面はフイブリル化試験機の概略図を示
す。 湿潤状態の試料(染色した編織物)1を摩擦布
2との摩擦面積が12.5cm2になるように、ヘツド3
にホルダー4を使つて取り付け、その上に荷重5
の和が750gになるようにする。 一方、摩擦台6を滑り止め用のサンドペーパー
7を介して取り付け、85rpmで偏心回転させ、10
分間摩擦を行つた後、試料1をはずしフイブリル
化の程度の肉眼で判定する。 すなわち、フイブリル化が起つている場合には
摩擦された部分が摩擦されていない部分に比べて
白く見えるので、摩擦された部分が白く見える状
態を観察し次の5段階に分けて判定した。 5級:フロステイングが認められない。 4級:わずかにフロステイングが認められる程
度。 3級:ややフロステイングが認められる。 2級:かなりフロステイングが目立つ。 1級:フロステイングが著しく認められる。 以上の中で通常の布帛に使用する場合は3級以
上を合格レベルとする。 但し抗ピル性を要求される用途に使用する場合
など特殊な用途分野ではこの限りではない。 (耐加水分解性) 一辺が約3mmの6面体のポリマ5gを蒸留水20
gとともにガラス製アンブルに封入し、130℃オ
イルバス中で1時間加熱処理する。冷却後ポリマ
ーを取り出し60℃で6時間乾燥し、次いで常法に
より末端基を測定し、数平均分子量を算出する。
熱処理前後の数平均分子量から次の式により加水
分解率計算する。 加水分解度(%)=(M0/M−1)/M0/96×100 (M0、Mは熱処理前後の数平均分子量を表す) 実施例 1 テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコ
ール60部、酢酸マンガン・4水和物0.05部、三酸
化アンチモン0.04部をエステル交換缶に仕込み、
窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から230℃ま
で昇温して生成するメタノールを連続的に系外へ
留去しながらエステル交換反応を行なつた。エス
テル変換時、加熱コイルが反応液中に埋没するよ
うに原料を仕込んだ。続いて得られた生成物にリ
ン酸トリメチルを0.05部加えた。 さらに第1表に示した各種シリカ粒子、水酸化
テトラエチルアンモニウム20%水溶液、エチレン
グリコールの重量比が5:2.5:92.5の混合物を
Janke & Kunkel社製Ultra Turrax T45DX
(10000rpm)で45分間分散せしめたスラリーを、
シリカ粒子が生成ポリエステルに対して各種の添
加量になるように添加した。次いで系を徐々に減
圧にして1時間30分かけて760mmHgから1mmHg
まで減圧し、同時に1時間30分かけて230℃から
280℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧下、重合
温度280℃でさらに2時間、合計3時間30分重合
した。反応終了後水中に吐出し、常法によりポリ
エステルチツプを得た。 得られたポリエチレンテレフタレートを160℃
で4時間減圧乾燥後、Y型断面を有する各種ホー
ル数の口金、サンド条件を用いて紡糸温度300℃、
引取速度1350m/minで紡糸し、次いで延伸糸の
残留伸度が30〜40%となる延伸倍率、85℃ホツト
ロール、150℃熱板を用いて延伸し、75デニール
の延伸糸を得た。 各ポリマーについて計約50Kgの製糸テストを1
錘の紡糸機で行ない、圧上昇を測定した。 また製糸性については、1Kg巻の未延伸糸をN
本採取し、この中で糸切れ、毛羽発生のない未延
伸糸ドラムを延伸し1Kg巻のパーンに巻上げた。
製糸性は以下の(1)式で表わす。 製糸性=A/N×B/A×100=B/N×100(%)……
…(1) (A:毛羽・糸切れのない未延伸糸ドラム本数 B:毛羽・糸切れのない延伸糸パーン本数) 圧上昇はパツクを通過したポリマ1Kg当りの
パツク内圧上昇で表わした。 得られた延伸糸を用いて、前記の方法により筒
編地を作成し、次いで精練し、減量率が20%にな
るようにアルカリ溶解処理したものと、アルカリ
溶解処理を行なわないものとのL値を測定し、発
色性を計算した。さに減量率が20%の筒編地を用
いてフイブリル化性を評価した。 ポリマー特性および延伸糸の評価結果を第1表
に示す。 なお第1表におけるサンド条件は以下の通りで
ある。 A 80メツシユモランダムサンド B 80メツシユメタルサンド C 60メツシユメタルサンド D 80メツシモランダムサンドと絶対過径20ミ
クロンの金属不織布フイルターとの組合せ E 100メツシユメタルサンド 第1表中比較例である実験No.14、15、18は粒子
表面のシラノールを封鎖していないシリカ粒子を
使用しているので、粗大粒子が多く圧上昇が極
めて大きい。 また製糸性も不良である。 比較例である実験No.2、3は添加粒子量が
0.30wt%未満であり、平均の一次粒子径の3倍以
上の二次粒子の数も少く、発色性も不良であつ
た。 同じく比較例である、実験No.13は粒子の平均一
次粒子径が100mμを越えており、平均の一次粒
子径の3倍以上の二次粒子の数も少く発色性が不
十分である。 また、同じく比較例である実験No.9、10はシリ
カ粒子添加量が1.50wt%を越えているため、過
を甘くした実験No.10は製糸性が悪く、過強化し
た実験No.9は内圧上昇が大きい。 一方、本発明例である、実験No.4〜8およびNo.
17は製糸性も良好であり、発色性も十分なレベル
であつた。 さらに、実験No.5の延伸糸を用いて、タフタ、
強撚織物、仮撚加工糸織物、仮撚加工糸強撚織
布、トリコツト、丸編などに製編織後アルカリに
よる減量処理を行ない、さらに通常の方法により
染色、捺染を行なつた。 得られた布帛は淡色から濃色および黒染のいず
れも良好な発色性を示した。 実施例 2 実施例1実験No.5のポリマーの触媒、重合時間
を変更し、重合度の異なるポリマーを得た。 得られたポリマーを実施例1と同様に紡糸後、
延伸時の熱板温度を110℃とし、延伸倍率を延伸
糸残留伸度が35〜40%になる延伸倍率で延伸した
以外は実施例1と同様に製糸し、75デニール36フ
イラメントの延伸糸を得た。 得られた延伸糸をヒーター長110cmのスピンド
ル式仮撚加工機を用いてヒーター温度210℃、仮
撚加工速度100m/min、加撚数3450tpmで仮撚
加工し、次いで前記方法で編製およびアルカリ溶
解処理を実施した後発色性を評価した。 得られた仮撚加工糸の伸縮伸張率(CR値)と
アルカリ溶解処理後の筒編地のフイブリル化性を
第2表に示した。 第2表において、実験No.24はDEGが2.0wt%を
越えており仮撚糸CRが低目である。 また、実験No.23は重合度が低いためフイブリル
化性がやや低目である。 実験No.19〜25は仮撚加工糸のCR値も高く、抗
フロステイング性も良好であり、この仮撚加工糸
を用いた織物をアルカリ減量処理後染色した結
果、良好な発色性が得られた。 第1、2表におけるメチル基封鎖乾式法シリカ
とは、粒子表面にメチル基を有し、かつ粒子表面
のシラノール基を75%封鎖した乾式法シリカであ
る。 また二次粒子数とは、糸中の平均の一次粒子径
の3倍以上の粒子の数を(個/10μ2)で表わした
ものである。
【表】
【表】
【表】 【図面の簡単な説明】
図面はフイブリル化性を測定する装置の概略図
である。 1……試料、2……摩擦布、3……ヘツド、4
……ホルダー。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 平均の一次粒子径が100mμ以下で、かつ粒
    子表面のシラノール基を封鎖したアルキルコート
    シリカを、0.30重量%以上1.50重量%以下含有
    し、かつ繊維表面に繊維軸方向に縦長の微細な凹
    みを多数有し、3〜5葉断面を有していることを
    特徴とするシルキー風合を有する発色性の良好な
    ポリエステル繊維。 2 アルキルコートシリカ粒子の平均の一次粒子
    径が50mμ以下であることを特徴とする特許請求
    の範囲第1項記載のポリエステル繊維。 3 アルキルコートシリカ粒子の平均の一次粒子
    径が20mμ以下であることを特徴とする特許請求
    の範囲第1項記載のポリエステル繊維。 4 アルキルコートシリカ粒子の含有率が0.30重
    量%以上0.49重量%以下であることを特徴とする
    特許請求の範囲第1項ないし第3項記載のポリエ
    ステル繊維。 5 ポリマ1g中に存在する50μ以上のアルキル
    コート粒子の数が300個以下であるポリマを紡糸
    して製造することを特徴とする特許請求の範囲第
    1項ないし第4項記載のポリエステル繊維。 6 粒子の径が含有するアルキルコートシリカ粒
    子の平均の一次粒子径の3倍以上である二次粒子
    が10平方ミクロンあたり少くとも10個存在するこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第5
    項記載のポリエステル繊維。 7 極限粘度が0.36以上であることを特徴とする
    特許請求の範囲第1項ないし第6項記載のポリエ
    ステル繊維。 8 極限粘度が0.53以上であることを特徴とする
    特許請求の範囲第1項ないし第6項記載のポリエ
    ステル繊維。 9 ジエチレングリコールの含有率が2重量%以
    下であることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    ないし第8項記載のポリエステル繊維。 10 ジエチレングリコールの含有率が1重量%
    以下であることを特徴とする第1項ないし第8項
    記載のポリエステル繊維。 11 ポリエステル繊維が仮撚加工糸である特許
    請求の範囲第1項ないし第10項記載のポリエス
    テル繊維。 12 単繊維繊度が1.0デニール以下である特許
    請求の範囲第1項ないし第11項記載のポリエス
    テル繊維。 13 平均の一次粒子径が100mμ以下で、かつ
    粒子表面のシラノール基を封鎖したアルキルコー
    トシリカを0.30重量%以上1.50重量%以下含有
    し、かつ3〜5葉断面を有するポリエステル繊維
    を、該繊維に対し可溶性あるいは分解性を有する
    溶剤で表面溶出処理することを特徴とするシルキ
    ー風合を有する発色性の良好なポリエステル繊維
    の製造方法。 14 アルキルコートシリカ粒子の平均の一次粒
    子径が50mμ以下であることを特徴とする特許請
    求の範囲第13項記載のポリエステル繊維の製造
    方法。 15 アルキルコートシリカ粒子の平均の一次粒
    子径が20mμ以下であることを特徴とする特許請
    求の範囲第13項記載のポリエステル繊維の製造
    方法。 16 アルキルコートシリカ粒子の含有率が0.30
    重量%以上0.49重量%以下であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第13項ないし第15項記載の
    ポリエステル繊維の製造方法。 17 ポリマ1g中に存在する50μ以上のアルキ
    ルコートシリカ粒子の数が300個以下であること
    を特徴とする特許請求の範囲第13項ないし第1
    6項記載のポリエステル繊維の製造方法。 18 粒子の径が含有するアルキルコートシリカ
    粒子の3倍以上である二次粒子が10平方ミクロン
    あたり少くとも10個存在することを特徴とする特
    許請求の範囲第13項ないし17項記載のポリエ
    ステル繊維の製造方法。 19 極限粘度が0.36以上であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第13項ないし第18項記載の
    ポリエステル繊維の製造方法。 20 極限粘度が0.53以上であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第13項ないし第18項記載の
    ポリエステル繊維の製造方法。 21 ジエチレングリコールの含有率が2重量%
    以下であることを特徴とする特許請求の範囲第1
    3項ないし第20項記載のポリエステル繊維の製
    造方法。 22 ジエチレングリコール含有率が1重量%以
    下であることを特徴とする特許請求の範囲第13
    項ないし第20項記載のポリエステル繊維の製造
    方法。 23 ポリエステル繊維が仮撚加工糸であること
    を特徴とする特許請求の範囲第13項ないし第2
    2項記載のポリエステル繊維の製造方法。 24 表面溶出処理後の単繊維繊度が1.0デニー
    ル以下であることを特徴とする特許請求の範囲第
    13項ないし第23項記載のポリエステル繊維の
    製造方法。 25 繊維の溶剤が苛性ソーダ溶液であることを
    特徴とする特許請求の範囲第13項ないし第24
    項記載のポリエステル繊維の製造方法。
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