JPH0860442A - 発色性および光沢に優れた複合繊維 - Google Patents

発色性および光沢に優れた複合繊維

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JPH0860442A
JPH0860442A JP20032494A JP20032494A JPH0860442A JP H0860442 A JPH0860442 A JP H0860442A JP 20032494 A JP20032494 A JP 20032494A JP 20032494 A JP20032494 A JP 20032494A JP H0860442 A JPH0860442 A JP H0860442A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のポリエステル繊維には見られなかっ
た、良好な発色性と光沢を有し、かつ実用性能に耐え得
る強度を保持したポリエステル系複合繊維を提供する。 【構成】 スルホン酸基を有する化合物を共重合したポ
リブチレンテレフタレ−ト系ポリマ−とポリエチレンテ
レフタレ−ト系ポリマ−からなり、繊維断面形状が特定
の扁平度を有する扁平断面形状である複合繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は良好な発色性と光沢を有
し、かつ繊維強度等の繊維物性にも優れた複合繊維に関
するものである。とくにスポ−ツ衣料等の用途には好適
な素材となり得る繊維を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、合成繊維、たとえばポリエステ
ル、ポリアミド等のフィラメントからなる織物、編物、
不織布等の繊維構造物は、その構成フィラメントの単糸
デニ−ルや断面形状が単調であるために綿、麻等の天然
繊維に比べて風合、光沢が単調で冷たく、繊維構造物と
しての品位が低いものであった。近年、これらの欠点を
改良するために種々検討がなされており、たとえば各種
異形断面形状の繊維とすることにより光沢を改良した
り、また、ポリエチレンテレフタレ−トにスルホン基を
有する化合物を共重合しカチオン染料可染性の繊維とす
ることにより発色性を改良したりする試みがなされてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来のポリエ
チレンテレフタレ−トからなる繊維よりも鮮やかな発色
性を有し、かつ優れた光沢を有するポリエステル繊維を
得ることを目的とするものである。また、優れた発色
性、光沢のみならず、繊維物性の低下のないポリエステ
ル繊維を得ることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、下記一般式(I)で示される化合物を全酸成分
に対して0.5〜5モル%の範囲で共重合させてなり、
かつチタン系化合物をチタン金属換算濃度で15〜85
ppmの範囲で含有するポリブチレンテレフタレ−ト系
ポリマ−と、ポリエチレンテレフタレ−ト系ポリマ−と
からなる複合繊維であって、その断面形状が扁平度L/
Wが下記式(II)の範囲である扁平断面であることを特
徴とする複合繊維を提供することによって達成される。
【0005】
【化2】 (ただし、Dは3価の芳香族基または3価の脂肪族基、
1 およびX2 はエステル形成性官能基または水素原子
であって、同一であっても異なっていてもよく、Mは金
属原子またはアルキルホスホニウム基を示す。)
【0006】
【数2】1.5≦L/W≦15 (II) (ただし、Lは繊維横断面の最大長を示し、Wは最大幅
を示す。)
【0007】まず、ポリブチレンテレフタレ−ト系ポリ
マ−(以下、A成分ポリマ−と称する)について説明す
る。A成分ポリマ−とは、ブチレンテレフタレ−ト単位
を主たる繰り返し単位とし、前記一般式(I)で示され
る化合物を全酸成分に対して0.5〜5モル%の範囲で
共重合させてなるポリブチレンテレフタレ−ト系共重合
体である。かかるポリブチレンテレフタレ−ト系共重合
体はテレフタル酸を主たる酸成分とし、1,4−ブタン
ジオ−ルを主たるジオ−ル成分とするものであるが、テ
レフタル酸成分の一部は他のジカル酸成分で置き換えら
れていても良く、ジオ−ル成分の一部も他のジオ−ル成
分で置き換えられていても良い。
【0008】テレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分
としては、たとえばイソフタル酸、ナフタリンジカルボ
ン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジ
カルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オ
キシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸等を挙げることができる。ま
た、1,4−ブタンジオ−ル以外の他のジオ−ル成分と
しては、たとえばエチレングリコ−ル、トリメチレング
リコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル、ジエチレングリ
コ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、シクロヘキサン−
1,4−ジメタノ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリ
テトラメチレングリコ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフ
ェノ−ルS、ビスフェノ−ルAおよびビスフェノ−ルS
のエチレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
【0009】A成分ポリマ−の共重合成分である前記化
合物(I)として、重合時の耐熱性の点から、Dが3価
の芳香族基である化合物を用いることが好ましい。たと
えば、1,3,5−ベンゼントリイル基、1,2,3−
ベンゼントリイル基、1,2,4−ベンゼントリイル基
等のベンゼントリイル基、1,3,6−ナフタレントリ
イル基、1,3,7−ナフタレントリイル基,1,4,
5−ナフタレントリイル基、1,4,6−ナフタレント
リイル基等のナフタレントリイル基などを挙げることが
できる。Mはナトリウム、カリウム、リチウム等のアル
カリ金属原子、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ
土類金属原子もしくはテトラ−n−ブチルホスホニウム
基、ブチルトリフェニルホスホニウム基、エチルブチル
ホスホニウム基等のアルキルホスホニウム基である。
【0010】X1 およびX2 はエステル形成性官能基ま
たは水素原子を示し、それらは同一であっても異なって
いてもよい。ポリマ−の主鎖中に共重合される点でエス
テル形成性官能基であることが好ましい。エステル形成
性官能基の具体例として下記のものを挙げることができ
る。
【化3】 −(CH2 )a−OH、 −C−[O(CH2 )b]d
−OH、−O−(CH2 )b−[O(CH2 )b]d−
OH、 (ただし、Rは低級アルキル基またはフェニル基、aお
よびdは1以上の整数、bは2以上の整数を示す。)
【0011】化合物(I)の具体例としては、5−ナト
リウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフ
タル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタ
ル酸、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン
酸テトラブチルホスホニウム塩、α−テトラブチルホス
ホニウムスルホコハク酸などが挙げられ、なかでもコス
トパ−フォ−マンスの点において5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸が好ましい。
【0012】化合物(I)の共重合量はA成分ポリマ−
を構成する全酸成分に対して0.5〜5モル%の範囲内
である。0.5モル%未満の場合、鮮明な発色性が不十
分である。一方、5モル%を越えると鮮明な発色性は有
するが、繊維化工程性、とくに紡糸性、延伸性が不良に
なると共に繊維強度が低くなる。好ましい共重合量は
1.0〜3.0モル%の範囲である。
【0013】A成分ポリマ−は通常、チタン系化合物を
触媒として重合されるが、このチタン系化合物の量がチ
タン金属に換算して15〜85ppmの範囲であること
が必要である。A成分ポリマ−からなる繊維またはA成
分を一成分とする複合繊維は、カチオン染料で染色され
ると鮮やかな発色性を示すが、A成分ポリマ−の重合触
媒であるチタン系化合物の含有量によってはかかる繊維
の耐光性が極端に低下することになる。したがって、繊
維の耐光性の低下を抑制する点で、このチタン系化合物
の含有量はチタン金属に換算して15〜85ppmの範
囲であることが必要となる。チタン系化合物の含有量が
チタン金属に換算して15ppm未満では、A成分ポリ
マ−の重合に時間がかかりすぎ、A成分ポリマ−が劣化
する恐れがある。一方、該含有量が85ppmを越える
と当然のことながら、繊維の耐光性が低下してくる。好
ましいチタン系化合物の含有量はチタン金属に換算して
20〜70ppmの範囲である。
【0014】該チタン系化合物としてはテトラプロピル
チタネ−ト、テトラn−ブチルチタネ−ト、蓚酸チタン
カリ等が挙げられる。また該チタン系化合物はスズ化合
物等の助触媒を併用してもよい。なお、触媒として用い
られるチタン系化合物の他に、通常、繊維の艶消剤とし
て用いられる二酸化チタンが考えられるが、本発明の繊
維は透明性と発色性が特徴の繊維であるので、本発明の
繊維においてはこのような艶消剤の添加は好ましくな
く、したがって、上述のチタン系化合物の含有量は二酸
化チタン等の艶消剤のチタンは含まないものである。
【0015】化合物(I)が共重合されたA成分ポリマ
−からなる繊維は、カチオン染料で染色されると、染着
座席の良好な分散状態、染料の高い利用率等から従来の
ポリエチレンテレフタレ−トからなる繊維に比較して鮮
やかな発色性を有することはよく知られている。しかし
ながら、かかるポリマ−を単独で使用して繊維化する
と、繊維化工程性が悪く、織編等の後加工性も悪くなる
という欠点があった。本発明はA成分ポリマ−からなる
繊維のこのような欠点を解消するためにポリエチレンテ
レフタレ−ト系ポリマ−を他方成分として使用したもの
である。
【0016】ポリエチレンテレフタレ−ト系ポリマ−
(以下、B成分ポリマ−と称する)とは、テレフタル酸
を主たる酸成分とし、エチレングリコ−ルを主たるジオ
−ル成分とする、いわゆるエチレンテレフタレ−ト単位
を繰り返し単位とするポリマ−であり、テレフタル酸の
一部を他のジカルボン酸で置き換えたものであってもよ
く、またエチレングリコ−ルの一部を他のジオ−ル成分
で置き換えたものであってもよい。テレフタル酸以外の
ジカルボン酸としては、イソフタル酸、ナフタリンジカ
ルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタ
ンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p
−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸等の芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸
を挙げることができる。またエチレングリコ−ル以外の
ジオ−ルとして1,4−ブタンジオ−ル、トリメチレン
グリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ヘキサメチレ
ングリコ−ル、ジエチレンングリコ−ル、ネオペンチル
グリコ−ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノ−ル、
ポリエチレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−
ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルSおよびこれら
のアルキレンオキサイド付加物等の芳香族、脂肪族、脂
環族のジオ−ルを挙げることができる。
【0017】A成分ポリマ−とB成分ポリマ−の複合比
率は、A:Bが80:20〜20:80(重量比)であ
ることが好ましく、とくに70:30〜30:70(重
量比)にすることが好ましく、各々の複合形態や繊維形
状に応じて、両者の複合割合を調節するとよい。A成分
ポリマ−量が多くなると、染色物の発色性は良好となる
が、後加工性が不十分となり、一方、B成分ポリマ−量
が多くなると後加工性は十分であるが、染色物の発色性
が不良となり好ましくない。たとえば、A成分ポリマ−
とB成分ポリマ−との比が50:50前後の場合、A成
分ポリマ−のみがカチオン染料により染色され、B成分
ポリマ−が染色されていない繊維の場合でも、A成分ポ
リマ−単独繊維のカチオン染料による染色物に比較して
も遜色のない鮮やかな発色性を有しているのである。
【0018】また複合繊維の断面形状はA成分ポリマ−
が繊維表面全体を覆う必要性はなく、鮮やかな発色性を
有するには、繊維表面の40%以上がA成分ポリマ−で
あることが好ましく、50%以上であることがより好ま
しい。とくに芯鞘型複合構造が鮮やかな発色性、繊維強
度等の点で好ましい。
【0019】本発明においては繊維断面形状も重要な要
件である。A成分ポリマ−により鮮やかな発色性を有す
る繊維が得られるが、スポ−ツ衣料用途にかかる繊維を
用いる場合、発色性のみならず光沢をも併せ持つことが
要求されている。通常、光沢を有する繊維は発色性が低
下し、逆に発色性を優先させると光沢を付与することが
難しいことが多い。本発明では繊維断面形状を特定する
ことで鮮やかな発色性および光沢をも有する繊維を得る
ことができる。光沢を付与するためには、光が反射する
平坦な面が多いほどよく、またマイルドな異形度を有す
る平坦な面を保持した断面形状が有効である。このよう
な断面としては扁平断面が最適である。
【0020】本発明の複合繊維の断面形状は扁平度L/
Wで規定されるが、図1に具体例を示すように扁平面を
含む軸がほぼ直線状、すなわち、図1(ヘ)に示される
角度θが150〜180°の範囲あることが効果上好ま
しい。屈曲の大きいU字型、V字型断面形状ではコイル
状の捲縮を発現し、本発明の効果が奏されない。本発明
における扁平度L/Wは繊維の横断面を顕微鏡で観察
し、最大長(L)と最大幅(W)を測定することにより
容易に求めることができる。かかるL/Wの値は1.5
〜15の範囲であることが必要である。L/W値が1.
5未満の場合、光が反射するフラットな面が少なく、本
発明の目的とする十分な光沢を発現することができな
い。一方、L/W値が15を越えると扁平面が折れ易
く、目的とする効果が得られないばかりか、紡糸性、延
伸性が不良で毛羽、断糸が多発し好ましくない。
【0021】また、上記した複合繊維においてA成分ポ
リマ−およびB成分ポリマ−に必要に応じて酸化防止
剤、着色防止剤、耐熱性改善剤、蛍光漂白剤、難燃剤、
艶消剤、着色剤、無機微粒子等を含有させておいてもよ
い。ただ、これらの含有量が多すぎると乱反射を生じ、
発色性、色の鮮明性が劣るので、複合繊維全体として3
000ppm以下であることが好ましい。
【0022】上記した複合繊維においては、繊維の太さ
はとくに限定されず、任意の太さにすることができる
が、発色性、光沢感、風合に優れた繊維を得るためには
複合繊維の単繊維繊度を0.3〜10デニ−ル程度にし
ておくのが好ましい。また、長繊維のみならず短繊維で
も本発明の効果が期待できる。本発明の複合繊維は例え
ば図2に示す公知の異形断面口金を用いて複合紡糸する
ことができ、例えば低速、中速で溶融紡糸した後に延伸
する方法、高速による直接紡糸延伸法、紡糸後に延伸と
仮撚を同時にまたは続いて行なう方法などの任意の製糸
法で製造することができる。
【0023】以下、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されな
い。なお、染色性、色の鮮明性の尺度として下記で示す
深色度を使用した。 深色度(k/s):サンプル布の分光反射率(R)をカ
ラ−アナライザ−(自動記録式分光光度計、日立製作所
製)で測定し、下記式ク−ベルカ−ムンク(Kubelka-Mu
nk) の式から求めた。この値が大きいほど深色度が大で
あることを示す。 k/s=(1−R)2 /2R Rはサンプル布の可視部反射率曲線の最大吸収波長位置
における反射率である。 鮮明性および光沢性:一定の染色条件で染色した布帛を
10人のパネラ−により官能評価した。その結果を、非
常に優れるを2点、優れるを1点、劣るを0点とした。 ○:合計点が15点以上 △:合計点が8〜14点 ×:合計点が7点以下 極限粘度[η]:フェノ−ルとテトラクロロエタンの等
重量混合溶媒を用い、0.25g/dl、0.5g/d
l、1.0g/dlの濃度のポリマ−溶液について、3
0℃の温度で測定した3種の還元粘度から算出した。 耐光堅牢度:JIS L 0842に準拠して測定し
た。
【0024】実施例1 5−ナトリウムスルホイソフタル酸を全酸成分に対して
2.5モル%共重合させたポリブチレンテレフタレ−ト
を、触媒としてテトライソプロピルチタネ−トを用い、
常法により重合し、極限粘度[η]=0.81のA成分
ポリマ−ペレットを得た。ペレット中のチタン系化合物
の含有量はチタン金属に換算して35ppmであった。
B成分ポリマ−として[η]=0.72のポリエチレン
テレフタレ−トを用い、A成分ポリマ−とB成分ポリマ
−とを別々の押出機で溶融押し出しし、A:B=50:
50の重量比で図2(イ)に示す紡糸ノズルを用い、鞘
成分としてA成分ポリマ−を、芯成分としてB成分ポリ
マ−を用いて290℃で溶融複合紡糸したのち延伸し
て、図1(イ)に示す断面形状の複合フィラメント糸
(75デニ−ル/24フィラメント)を製造した。この
複合フィラメントの強度は4.0g/デニ−ルであっ
た。ついで温度150℃、仮撚数2100T/Mの条件
で仮撚加工を施した後編物を作製した。
【0025】得られた編物を通常の液流染色機を使用し
て下記に示す染色条件で染色し、その後常法により乾燥
仕上げセットした。染色された編物は良好な発色性と光
沢を有しており、編物の強度も十分実用に耐えられるも
のであり、耐光性も申し分なかった。結果を表1に示
す。
【0026】 染色条件 染色方法: 染料:Kayaryl Red GRL-ED (日本化薬社製) 3%owf 芒硝 3g/リットル pH調節剤:酢酸ナトリウム 0.5%owf 酢酸(100%) 1%owf 浴 比 1:30 温 度 120℃ 時 間 40分 還元洗浄: ハイドロサルファイド 1g/リットル アミラジン 1g/リットル アンモニア水 1cc/リットル 浴 比 1:50 温 度 70℃ 時 間 20分
【0027】実施例2〜8 表1に示す条件にする以外は実施例1と同様にして複合
繊維を製造した。すなわち、実施例2および3は複合比
を、実施例4および5は5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸の共重合量を、実施例6はチタン系化合物の含有量
を、実施例7および8は紡糸ノズルを図2(イ)の形状
で扁平度を代えて複合繊維を製造した。次いで、仮撚加
工を行い、編物を作成した。この編物を実施例1と同様
の染色条件で染色し、染色された編物の評価を行った。
いずれも繊維化工程性は良好であり、良好な発色性と光
沢、および耐光性を有していた。
【0028】実施例9 複合形状を図1(ロ)にする以外は実施例1と同様にし
て複合繊維を製造した。次いで、仮撚加工を行い、編物
を作成した。この編物を実施例1と同様の染色条件で染
色し、染色された編物の評価を行った。繊維化工程性は
良好であり、良好な発色性と光沢、および耐光性を有し
ていた。
【0029】実施例10および実施例11 A成分ポリマ−として3,5−ジカルボキシベンゼンス
ルホン酸テトラ−n−ブチルホスホニウム塩を2.5モ
ル%共重合したポリブチレンテレフタレ−トを用いる
(実施例10)、またB成分ポリマ−としてイソフタル
酸を8モル%共重合したポリエチレンテレフタレ−トを
用いる(実施例11)以外は、実施例1と同様にして複
合繊維を製造した。次いで、仮撚加工を行い、編物を作
成した。この編物を実施例1と同様の染色条件で染色
し、染色された編物の評価を行った。いずれも繊維化工
程性は良好であり、良好な発色性と光沢、および耐光性
を有していた。
【0030】比較例1 A成分ポリマ−のみからなる繊維を実施例1と同様にし
て紡糸し、仮撚加工を施して編物を作製した。得られた
編物を実施例1と同様の染色条件で染色したところ、発
色性および光沢は良好であったが、仮撚工程、編物工程
が不良であり、実用に値する繊維ではなかった。
【0031】比較例2 A成分ポリマ−中のチタン系化合物のチタン金属換算量
を100ppmにする以外は実施例1と同様にして複合
繊維を製造した。繊維化工程性は特に問題はなく、染色
後も良好な発色性と光沢を有していたが、耐光堅牢度が
非常に悪く、消費性能上問題であった。
【0032】比較例3〜4 扁平度を表1に示すようにする以外は実施例1と同様に
して複合繊維を製造した。次いで仮撚加工を施し、編物
を作成した。該編物を実施例1と同様の染色条件で染色
して評価したところ、鮮明性、光沢において実施例で得
られた編物に比較して非常に劣っていた。また比較例4
においては、紡糸性、延伸性が不良で毛羽、断糸が多発
した。
【0033】比較例5〜6 A成分ポリマ−中の5−ナトリウムスルホイソフタル酸
の共重合量を表1に示すようにする以外は実施例1と同
様にして複合繊維を製造した。次いで、仮撚加工を施
し、編物を作成した。該編物を実施例1と同様の染色条
件で染色して評価したところ、比較例5で得られた編物
は光沢が良好なものの発色性に劣り、比較例6で得られ
た編物は延伸性が不良で毛羽・断糸が多発し実用に耐え
られるものではなかった。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】特定の化合物を共重合したポリブチレン
テレフタレ−ト系ポリマ−とポリエチレンテレフタレ−
ト系ポリマ−を溶融複合紡糸して得られた、特定の断面
形状を有する複合繊維は、従来の合成繊維には見られな
かった良好な発色性と光沢を有し実用に耐え得る強度を
保持している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合繊維の横断面における複合形態の
例を示す図である。
【図2】本発明の複合繊維を製造するための紡糸ノズル
の例を示す図である。
【符号の説明】
A:A成分ポリマ− B:B成分ポリマ− W:繊維断面の最大幅 L:繊維断面の最大長
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/84 305 E 6/92 301 M

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示される化合物を全酸
    成分に対して0.5〜5モル%の範囲で共重合させてな
    り、かつチタン系化合物をチタン金属換算濃度で15〜
    85ppmの範囲で含有するポリブチレンテレフタレ−
    ト系ポリマ−と、ポリエチレンテレフタレ−ト系ポリマ
    −とからなる複合繊維であって、その断面形状が扁平度
    L/Wが下記式(II)の範囲である扁平断面であること
    を特徴とする複合繊維。 【化1】 (ただし、Dは3価の芳香族基または3価の脂肪族基、
    1 およびX2 はエステル形成性官能基または水素原子
    であって、同一であっても異なっていてもよく、Mは金
    属原子またはアルキルホスホニウム基を示す。) 【数1】1.5≦L/W≦15 (II) (ただし、Lは繊維横断面の最大長を示し、Wは最大幅
    を示す。)
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021066965A (ja) * 2019-10-18 2021-04-30 Kbセーレン株式会社 常圧カチオン可染性ポリエステル扁平繊維及びそれを用いた布帛

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