JPH1161563A - 共重合ポリエステル繊維およびその混用布帛 - Google Patents

共重合ポリエステル繊維およびその混用布帛

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JPH1161563A
JPH1161563A JP9225923A JP22592397A JPH1161563A JP H1161563 A JPH1161563 A JP H1161563A JP 9225923 A JP9225923 A JP 9225923A JP 22592397 A JP22592397 A JP 22592397A JP H1161563 A JPH1161563 A JP H1161563A
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JP
Japan
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fiber
acid
polyester
dicarboxylic acid
dye
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JP9225923A
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Inventor
Jinichiro Kato
仁一郎 加藤
Katsuhiro Fujimoto
克宏 藤本
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散染料に対して95℃以下で染色可能であ
り、更に20%伸長時の弾性回復性が70%以上であ
り、反応染料等に代表される耐熱性の低い染料を使用す
る場合やポリエステル繊維以外の熱安定性に乏しい繊維
との複合に適した、ポリエステル繊維と他素材との特性
を両方発揮できる、ソフトな風合いの混用布帛の提供。 【解決手段】 実質的にテレフタル酸とトリメチレング
リコールとから構成されたポリエステルからなる繊維に
おいて、アルキレン部の炭素数が0〜12までの脂肪族
ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸また
はo−フタル酸のジカルボン酸群の中から選ばれた少な
くとも1種のコモノマーが該ポリエステル中の全ジカル
ボン酸成分に対し3〜9重量%共重合された、損失正接
のピーク温度が70〜105℃であり、かつ弾性率Q
(g/d)と弾性回復率R(%)との関係が式(1)を
満足する共重合ポリエステル繊維、およびその混用布
帛。 0.18≦Q/R≦0.45 ・・・(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ナイロン繊維とポ
リエステル繊維との両方の特徴を兼ね備えた、低弾性
率、高弾性回復性、常圧可染性、熱セット性、耐光性に
優れた共重合ポリエステル繊維に関するものである。更
に該共重合ポリエステル繊維とセルロース繊維、ウー
ル、絹、ストレッチ繊維、アセテート繊維から選ばれた
少なくとも1種の繊維と混用した、ソフトな風合いを有
する熱セット性に優れた常圧可染性の混用布帛に関する
ものである。
【0002】より詳しくは、該共重合ポリエステル繊維
とセルロース繊維とを、分散染料と熱安定性の低い反応
染料を用い一段一浴染色常圧染色できる、ソフトな風合
いを有する熱セット性に優れた混用布帛、および該共重
合ポリエステル繊維と熱安定性の悪いウール、絹、スト
レッチ繊維、アセテート繊維から選ばれた少なくとも1
種の繊維とが混用された、一段一浴染色で常圧染色する
ことが可能な、ソフトな風合いを有する熱セット性に優
れた混用布帛に関するものである。
【0003】
【従来の技術】ナイロン繊維は、低弾性率、高弾性回復
性、常圧可染性を利用して広く衣料や資材に用いられて
いる。例えば、衣料分野においては、弾性率が低いとい
う特性を生かしてソフト感の要求が強い婦人用インナー
やパンスト分野で、例えば、ポリウレタン繊維に代表さ
れるストレッチ繊維と混用して幅広く用いられている。
また、資材分野においては、ナイロン繊維は、弾性回復
性や折り曲げや摩擦に対する耐性が優れていることか
ら、カーペット、漁網、帆布等に用いられている。
【0004】更に、後加工特性という製造上の問題に関
して、ナイロン繊維は常圧可染性であるために、例え
ば、ナイロン繊維とセルロース繊維との混用において
は、セルロース繊維の染色に耐熱性の低い反応染料を用
い、酸性染料と組み合わせて、常圧一段一浴染色を行う
ことができる。また、ウール、絹、ポリウレタン繊維、
アセテート繊維のような110℃を越える染色温度では
熱劣化を受けやすい繊維との混用において、これらを痛
めずに染色できる優れた加工特性を有する。
【0005】このようにナイロン繊維は、低弾性率、高
弾性回復性、常圧可染性という特徴を生かして、合繊の
中で大きな市場を有しているにもかかわらず、次に示す
重大な欠点も有する。すなわち、ナイロン繊維は熱セッ
ト性が悪く、例えば、ストレッチ繊維と混用したトリコ
ットやラッセル等の編物は長期使用すると、いわゆる、
笑い、という組織ずれを起こし易いために、寸法安定
性、形態安定性に乏しい布帛となる。また、耐光性が悪
いために、長期間使用したり、日光に当てすぎると、黄
変し易いという問題も存在する。
【0006】これに対し、ポリエチレンテレフタレート
繊維に代表されるポリエステル繊維は、熱セット性、耐
候性には優れるものの、弾性率が高く風合いが堅くなっ
たり、弾性回復性に乏しかったり、また高圧染色が必要
であるといった、ナイロン繊維とは逆の性能を有する。
仮にナイロン繊維とポリエステル繊維との両方の特徴を
兼ね備えた、低弾性率、高弾性回復性、常圧可染性、熱
セット性、耐光性に優れた繊維が可能であれば、ナイロ
ン繊維の物性上の問題は解決でき、ソフトな風合いを有
する熱セット性に優れた布帛の提供が可能であるもの
の、これまでこのような繊維は知られていない。
【0007】染色性が良好で、弾性率が低く、弾性回復
性に優れた繊維としては、例えば、特開昭52−532
0号公報に示されているポリトリメチレンテレフタレー
ト繊維が挙げられる。ここに開示されている繊維は、ナ
イロン並の低弾性率で弾性回復性も優れているが、染色
性が不十分であり、常圧では濃色に染色することはでき
ない。
【0008】また、ポリトリメチレンテレフタレートに
他の成分を共重合して、物性や製造工程を改良した繊維
がいくつか知られている。例えば、特開昭57−193
537号公報にポリエチレンテレフタレートにポリトリ
メチレンテレフタレートを10〜80重量%(エチレン
グリコールをポリトリメチレンテレフタレートに9.4
〜80mol%共重合した組成に相当)共重合あるいは
ブレンドさせたポリエステル繊維が示されている。ま
た、特公昭63−4200号公報には、ポリエチレンテ
レフタレートにポリトリメチレンテレフタレートを10
〜80重量%ブレンドされた組成物を3500m/mi
n以上の紡糸速度で得られる繊維が示されている。本発
明者らの検討によれば、これらの繊維においては、常圧
可染性を得るためには上記比率を20〜80重量%にす
ればよいが、この組成の範囲では融点が下がりすぎるた
め、紡糸の際の取り扱いが困難となり、得られる繊維の
熱セット性も悪化する。また、10〜20重量%の範囲
では、高弾性率、低弾性回復性となり、本発明の目的を
達成しない。以上のように、これらの繊維では本発明の
目的とする全ての性能を同時に満足することはできな
い。
【0009】更に、特開昭58−104216号公報に
は、85モル%以上トリメチレングリコール単位からな
るポリトリメチレンテレフタレートを2000m/mi
n以上で紡糸し、更に熱延伸して繊維を得る方法が示さ
れている。この引例では予備加熱のみ行い、熱セットを
施さないため、熱安定性の低く、巻き締まりを起こしや
すい繊維にしかならない。
【0010】更に、特開昭59−211620号公報に
は、ポリエチレンテレフタレートにポリトリメチレンテ
レフタレートを20〜50重量%以上共重合あるいはブ
レンドしたポリトリメチレンテレフタレート繊維が示さ
れている。この繊維は染色性は優れるものの、トリメチ
レングリコールの共重合比率が低いために、弾性回復率
が低い。また、融点が低く耐熱性が極めて悪いため、実
用性能に乏しいものにしかならない。
【0011】また、ポリブチレンテレフタレート繊維
も、染色性が良好で、弾性率が低く、弾性回復性に優れ
ており、すでにナイロン繊維を代替する一部の分野で実
用化されている。しかしながら、ガラス転移点が低いた
めに熱セット性が非常に悪く、染色性は比較的良好では
あるが、ドライクリーニング堅牢性が悪い。弾性回復性
もナイロンと比較した場合、十分とは言えない。
【0012】ポリエチレンテレフタレートから構成され
たポリエステル繊維の分散染料に対しての染色性を高め
る方法としては、ポリエチレンテレフタレートにポリオ
キシエチレングリコールやアジピン酸を共重合させる方
法がすでに知られている(例えば、特開平3−4088
0号公報、特開平3−174076号公報、特開平4−
41732号公報、特開昭63−85111号公報、特
開昭63−235536)。しかしながら、これらの方
法では、弾性率や弾性回復性はポリエチレンフタレート
の繊維と同じであり、本発明の目的とする用途に用いる
ことはできない。更に、耐光堅牢性、ドライクリーニン
グ堅牢性が低かったり、紡糸性が十分でなく収率が低下
したり、細デニール化が難しく用途が著しく限定された
りする。
【0013】以上のように、公知技術の範囲では、ナイ
ロン繊維とポリエステル繊維との両方の特徴を兼ね備え
た、低弾性率、高弾性回復性、常圧可染性、熱セット
性、耐光性に優れた繊維は知られていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ナイ
ロン繊維とポリエステル繊維との両方の特徴を兼ね備え
た、低弾性率、高弾性回復性、常圧可染性、熱セット
性、耐光性に優れた繊維を提供しようと点にある。より
具体的には、分散染料に対して95℃以下で染色可能で
あり、更に20%伸長時の弾性回復率が70%以上、弾
性率が40g/d以下で、熱セット性の良好な、ソフト
な風合いの織編物を得るのに有用な共重合ポリエステル
繊維を提供しようとする点にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を行った結果、エステルを形成するための酸成分として
テレフタル酸と、脂肪族または脂環式ジカルボン酸とを
用い、成分の比率がある限られた範囲となるよう共重合
したポリマーを用いて、極めて限られた特定の損失正接
のピーク温度、弾性率、弾性回復率を有するように紡糸
したトリメチレングリコール系ポリエステル繊維が、上
記の課題を解決できることを見い出し、更に検討を重ね
た結果、本発明に到達した。
【0016】すなわち、本発明は以下の通りである。 実質的にテレフタル酸とトリメチレングリコールと
から構成されたポリエステルからなる繊維において、ア
ルキレン部の炭素数が0〜12までの脂肪族ジカルボン
酸、脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸またはo−フタ
ル酸のジカルボン酸群の中から選ばれた少なくとも1種
のコモノマーが該ポリエステル中の全ジカルボン酸成分
に対し3〜9重量%共重合された、損失正接のピーク温
度が70〜105℃であり、かつ弾性率Q(g/d)と
弾性回復率R(%)の関係が式(1)を満足することを
特徴とする共重合ポリエステル繊維。
【0017】 0.18≦Q/R≦0.45 ・・・ (1) 実質的にテレフタル酸とトリメチレングリコールと
から構成されたポリエステルからなる繊維において、ア
ルキレン部の炭素数が0〜12までの脂肪族ジカルボン
酸、脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸またはo−フタ
ル酸のジカルボン酸群の中から選ばれた少なくとも1種
のコモノマーが該ポリエステル中の全ジカルボン酸成分
に対し3〜9重量%共重合された、損失正接のピーク温
度が70〜105℃であり、かつ弾性率Q(g/d)と
弾性回復率R(%)の関係が式(1)を満足する共重合
ポリエステル繊維と、セルロース繊維、ウール、絹、ス
トレッチ繊維、アセテート繊維から選ばれた少なくとも
1種の繊維との混用布帛。
【0018】 0.18≦Q/R≦0.45 ・・・ (1) 本発明の共重合ポリエステル繊維を構成するポリマー
は、実質的にテレフタル酸とトリメチレングリコールか
ら構成されたポリエステルであって、アルキレン部の炭
素数が0〜12までの脂肪族、脂環式ジカルボン酸、イ
ソフタル酸またはo−フタル酸のジカルボン酸群の中か
ら選ばれた少なくとも1種のコモノマーが該ポリエステ
ル中の全ジカルボン酸成分に対し3〜9重量%共重合さ
れたポリエステルである。
【0019】アルキレン部の炭素数が0から12までの
脂肪族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸トリメチ
レングリコールの具体例としては、例えば、シュウ酸、
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ヘプタ
ン二酸、オクタン二酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2
−メチルグルタル酸、2−メチルアジピン酸、フマル
酸、マレイン酸、イタコン酸、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
【0020】これらの脂肪族または脂環式ジカルボン
酸、イソフタル酸またはo−フタル酸のうち、得られた
重合速度、耐光性が優れている点でセバシン酸、ドデカ
ン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフ
タル酸が好ましい。更に、ポリマーの白度が優れている
点を考慮すると、イソフタル酸が特に好ましい。また、
トリメチレングリコールの具体例としては、1,3−プ
ロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,1−
プロパンジオール、2,2−プロパンジオール、あるい
は、これらの混合物のいずれでもよいが、弾性回復性、
熱セット性、熱安定性の観点から1,3−プロパンジオ
ールが特に好ましい。
【0021】本発明の共重合ポリエステル繊維を構成す
るポリエステルポリマーにおいて、アルキレン部の炭素
数が0〜12までの脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカル
ボン酸、イソフタル酸またはo−フタル酸のジカルボン
酸群の中から選ばれた少なくとも1種のコモノマーは、
該ポリエステル中の全ジカルボン酸成分に対し3〜9重
量%共重合されていることが必要である。
【0022】共重合比率が9重量%より多い場合では、
融点やガラス転移点が下がりすぎるために、熱セット性
に代表される後加工やアイロンがけ等に代表される通常
の使用の段階で、風合いが堅く変化してしまったり、染
色後の布帛のドライクリーニング堅牢性が低下してしま
う欠点が生じる。また、3重量%未満では、95℃以下
で分散染料に濃色まで染色することができなくなる。好
ましくは3〜8重量%、更に好ましくは4〜7重量%で
ある。
【0023】本発明で用いるポリエステルポリマーに
は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、
本発明で規定した以外のエステル形成性コモノマー、例
えば、ジカルボン酸、ジオール、オキシカルボン酸等が
共重合されていてもよい。また、必要に応じて、各種の
添加剤、例えば、艶消し剤、熱安定剤、消泡剤、整色
剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収
剤、結晶核剤、蛍光増白剤などを共重合、または混合し
てもよい。
【0024】本発明の共重合ポリエステル繊維を構成す
るポリマーは、公知の方法を用いて重合することができ
る。通常のポリエチレンテレフタレートの製造工程にお
いて、エステル交換反応または重縮合反応の際にエチレ
ングリコールとトリメチレングリコールとを所定の割合
で反応させるか、それぞれを単独で用いて製造したエス
テルポリマーを所定の割合にブレンドしてもよい。
【0025】本発明で用いるポリマーは、分子量を極限
粘度によって規定することができる。極限粘度[η]は
0.4〜2.0が好ましく、更に好ましくは0.5〜
1.5、特に好ましくは0.6〜1.2で、強度、紡糸
性に優れたポリエステル繊維を得ることができる。極限
粘度が0.4未満の場合は、ポリマーの溶融粘度が低す
ぎるため、紡糸性が不安定となる。また、得られる繊維
の強度も低く満足できるものではない。逆に極限粘度が
2.0を越える場合は、溶融粘度が高すぎるために、ギ
アポンプでの計量がスムーズに行われなくなり、吐出不
良等で紡糸性は低下する。
【0026】本発明の共重合ポリエステル繊維は、動的
粘弾性測定から求められる損失正接のピーク温度(以
下、Tmaxと略記する)が70〜105℃であり、分
散染料95℃可染性と堅牢性とを確保することができ
る。Tmaxは、非晶部分の分子密度に対応するので、
この値が小さくなるほど非晶部分の分子密度が小さくな
る。このため染料が入るための空隙部分が大きくなり染
料が入り易くなり、吸尽率が高くなる。
【0027】Tmaxが70℃未満では、低い温度で分
子が動き易くなるため、熱セットに代表される通常の後
加工、アイロンがけ等に代表される通常の使用の段階で
物性、風合いが変化しまうか、あるいは染色を行ったあ
との布帛のドライクリーニング堅牢性が悪化してしま
う。また、Tmaxが105℃を越えると、本発明の目
的である染色性が低下し、95℃以下で分散染料にて濃
色まで染色することができなくなってしまう。
【0028】このように、Tmaxは、繊維の構造因子
であるために、同じ共重合組成を持つポリマーであって
も、紡糸温度、紡糸速度、延伸倍率、熱処理温度、精錬
条件、アルカリ減量条件、染色条件等の紡糸条件、後加
工条件によって異なる値を示すものである。特に、熱セ
ット温度でこの値は大きく変化するので、熱セット温度
を変化させてTmaxを上記の範囲にすることが重要で
ある。影響する程度は共重合組成によって異なるので、
製造条件とTmaxの関係を調べてから検討する必要が
ある。
【0029】熱セット温度の設定の考え方を大まかに示
すと、本発明の共重合ポリエステル繊維の場合、熱セッ
ト温度が室温から150℃程度までの範囲ではTmax
は徐々に高くなるが、180℃程度を越えるとその後は
大きく低下する。これらの変化の割合は、共重合組成ご
とに異なるので、熱セット温度とTmaxTmaxの関
係を調べながら検討する必要がある。
【0030】本発明の場合、105℃を越えると染色性
改善効果が小さく、95℃可染性は示さなくなる。しか
し、低ければよいというわけではなく、非晶部分が粗に
なりすぎるために、染料が入りやすくなるなると同時に
抜けやすくなる欠点を持つ。すなわち、堅牢性、特に、
ドライクリーニング堅牢性、湿摩擦堅牢性、洗濯堅牢性
等が低下する。また、熱セット時の硬化による風合の悪
化、寸法安定性の低下等の問題がでてくる。好ましくは
95〜103℃である。
【0031】本発明の共重合ポリエステル繊維は、融点
が200〜235℃である。融点が200℃未満では共
重合ポリエステル繊維が熱セットに代表される通常の加
工、アイロンがけ等に代表される通常の使用の段階で熱
変性を受け、物性、風合いが変化してしまう。また、融
点が235℃よりも大きくなることによる問題はない
が、実質これ以上の融点を示すことはない。
【0032】また、本発明の共重合ポリエステル繊維
は、弾性率Q(g/d)と、20%伸長後、1分間放置
後の弾性回復率R(%)が式(1)を満足することが必
要である。 0.18≦Q/R≦0.45 ・・・(1) Q/R>0.45では弾性率が高すぎるために本発明の
目的とするナイロン並みのソフトな風合いが得られない
か、あるいは弾性回復性が不足し、一度応力が加わって
変形した繊維は元に戻らなくなってしまい、形態安定性
の悪い布帛しか得ることができなかったりする。逆に、
Q/R<0.18となる領域は実質存在しないため、本
発明においては、0.18をQ/Rの下限界としてい
る。式(1)の範囲となりうる具体的な弾性率は、通常
25〜40g/d、弾性回復率は80〜99%となる。
【0033】本発明の共重合ポリエステル繊維は、次に
示すような方法で得ることができる。例えば、紡口より
押出した後に巻取り、次いで延伸を行うことにより得る
ことができる。ここで巻取った後に延伸を行うとは、紡
糸を行った後にボビン等に巻取り、この糸を別の装置を
用いて延伸する、いわゆる通常法や、紡口より押出され
たポリマーが完全に冷却固化した後、一定の速度で回転
している第一ロールに数回以上巻付けられることによ
り、ロール前後での張力が全く伝わらないようにし、第
一ロールと第一ロールの次に設置してある第二ロールと
の間で延伸を行うような、紡糸−延撚工程を直結した、
いわゆる直延法を指す。
【0034】本発明においてポリマーを溶融紡糸する際
の紡糸温度は240〜320℃が好ましく、さらに好ま
しくは245〜300℃、特に好ましくは250℃〜2
80である。紡糸温度が240℃未満では、温度が低過
ぎて安定した溶融状態になり難く、得られた繊維の斑が
大きくなり、また満足し得る強度、伸度を示さなくな
る。紡糸温度が320℃を越えると熱分解が激しくな
り、得られた糸は着色し、また満足し得る強度、伸度を
示さなくなる。
【0035】糸の巻取速度については、特に制限はない
が、通常3500m/min以下が好ましく、さらに好
ましくは2500m/min以下、特に好ましくは20
00m/min以下である。巻取速度が3500m/m
inを越えると、巻取る前に結晶化が進み過ぎ、延伸行
程で延伸倍率を上げることができないために分子を配向
させることができず、十分な糸強度や弾性回復率を得る
ことができなかったり、捲き締まりが起こり、ボビン等
が巻取機より抜けなくなってしまったりする。
【0036】延伸時の延伸倍率は、2.0〜4.0倍が
好ましく、さらに好ましくは2.2〜3.7倍、特に好
ましくは2.5〜3.5倍である。延伸倍率が2.0倍
以下では、延伸により十分にポリマーを配向させること
ができず、得られた糸の弾性回復率は低いものとなって
しまい、式(1)を満足することができない。また4.
0倍以上では糸切れが激しく、安定して延伸を行うこと
ができない。
【0037】延伸の際の温度は、延伸ゾーンでは35〜
80℃が好ましく、さらに好ましくは40〜70℃、特
に好ましくは50℃〜65℃である。延伸ゾーンの温度
が35℃未満では延伸の際に糸切れが多発し、連続して
繊維を得ることができない。また80℃を越えると延伸
ロールなどの加熱ゾーン対する繊維の滑り性が悪化する
ため単糸切れが多発し、毛羽だらけの糸になってしま
う。また、ポリマー同士がすり抜けてしまうため十分な
配向がかからなくなり弾性回復率が低下する。
【0038】また、延伸後の熱処理を行うことが好まし
い。この熱処理は90〜200℃が好ましく、さらに好
ましくは100℃〜190℃、特に好ましくは110℃
〜180℃である。熱処理温度が90℃未満では繊維の
結晶化が十分に起こらず、弾性回復性が悪化する。ま
た、200℃より高い温度では繊維が熱処理ゾーンで切
れてしまい延伸することができない。
【0039】本発明の共重合ポリエステル繊維およびそ
の混用布帛は、95℃で染色した時に20以上の深色度
(K/S)が得られる。K/Sの測定方法は実施例の方
法に従う。この場合の20以上のK/Sとは高い染色性
を有することを表す。従って、95℃で染色をした場
合、K/Sが20以上ならば、通常のポリエステル繊維
を130℃染色した時の同等の発色性が発現されたもの
と考えることができる。このような発色性は、通常吸尽
率がおよそ70%以上の場合達成される。
【0040】このような染色物が高い堅牢性を示すため
には、ドライクリーニング堅牢性が3級以上であること
が必要である。本発明でのドライクリーニング堅牢性
は、液汚染を評価するものである。この評価方法につい
ては、実施例に記載する。尚、ドライクリーニング堅牢
性の他に、堅牢性の評価項目としては、水堅牢性、洗濯
堅牢性、昇華堅牢性、摩擦堅牢性等多岐にわたるが、本
発明者らの検討によれば、ドライクリーニング堅牢性が
3級以上あれば、本発明のポリエステル繊維においては
耐光堅牢性を除く、残りの堅牢性はすべて工業的に問題
のないレベルであることが確認されている。
【0041】従って、このドライクリーニング堅牢性が
3級以上であることで、得られた染色物は実用性のある
堅牢性のよいものということができる。従って、ドライ
クリーニング堅牢性は、本発明のポリエステル繊維の染
色堅牢性全体を示す指標となる。また、耐光性について
は、本発明のポリエステル繊維の用途を考慮すると、4
級以上であることが好ましい。
【0042】本発明の混用布帛は、本発明の共重合ポリ
エステル繊維とセルロース繊維、ウール、絹、ストレッ
チ繊維、アセテート繊維から選ばれた少なくとも1種類
の繊維を用いたことを特徴とする混用布帛である。本発
明の混用布帛は、本発明の共重合ポリエステル繊維がフ
イラメントでも短繊維でもよく、また混用方法について
も特に制限はなく、混紡、交織編、不織布、その他交
撚、合糸、交絡など公知の全ての方法を用いることがで
きる。例えば、経糸または緯糸に用いる交織織物、リバ
ーシブル織物等の織物、トリコット、ラッセル等の編
物、丸横編物、組物などが挙げられる。
【0043】本発明で用いるセルロース繊維としては、
特に制限されるものではなく、綿、麻等の天然繊維、銅
アンモニアレーヨン、レーヨン、ポリノジック等が挙げ
られる。混用布帛において本発明の共重合ポリエステル
繊維の含有率については特に制限はないが、セルロース
繊維の風合い、吸湿性、吸水性、制電性を生かすために
は、25〜75%が好ましい。
【0044】本発明で用いるウール、絹は既存のものが
そのまま使用できる。混用布帛において本発明の共重合
ポリエステル繊維の含有率については特に制限はない
が、ウールの風合い、暖かみ、かさ高さ、また、絹の風
合い、きしみ音を生かすためには、25〜75%が好ま
しい。本発明で用いるストレッチ繊維は、特に限定され
るものではなく、乾式紡糸または、溶融紡糸されたポリ
ウレタン繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維やポリ
テトラメチレングリコールエーテル共重合ポリブチレン
テレフタレート繊維に代表されるポリエステル系弾性糸
等が挙げられる。ストレッチ繊維を用いる混用布帛にお
いて、本発明の共重合ポリエステル繊維の含有率は60
〜98%程度が好ましい。共重合エステル繊維の含有率
が70%を越える場合には、伸縮特性が抑えられるの
で、アウター、カジュアルウエアー用途等に用いること
ができる。また、70%未満の場合には、その伸縮特性
のためにインナーウエアー、ファンデーション、水着用
途等に用いることができる。
【0045】本発明で用いるアセテート繊維は、ジアセ
テート繊維でもトリアセテート繊維でもよいが、より熱
安定性に乏しいジアセテート繊維と混用することによ
り、本発明の効果を十分引き出すことができる。アセテ
ート繊維の染色にも本発明のポリエステル繊維と同様に
分散染料を用いるが、本発明の共重合ポリエステル繊維
と混用することにより、95℃以下の温度で染色ができ
るので、風合いがよく、染色コストの安い加工が達成で
きる。混用布帛において本発明の共重合ポリエステル繊
維の含有率については特に制限はないが、アセテート繊
維の風合い、鮮明性、光沢を生かすためには、25〜7
5%が好ましい。
【0046】本発明の混合布帛には、本発明で規定した
以外の繊維を本発明の目的を阻害しない範囲で混用する
ことも可能である。ポリアミド繊維、ポリアクリル繊
維、アクリル繊維、エステル繊維等を少量混用しても構
わない。この場合には、新たに混用する繊維特有の物性
を付加することが可能となる。本発明の混用布帛は、製
織、編成、編組後、常法により精錬し、染色される。ま
た、必要に応じて精錬後、染色前に常法によりアルカリ
減量処理される。精錬は60〜98℃の温度で行うこと
が好ましい。ストレッチ繊維との混用の場合には、リラ
ックスさせながら精錬することが弾性を向上させられる
のでより好ましい。
【0047】本発明の混用布帛は、染色はキャリアーを
用いることなく、70〜110℃で染色することが好ま
しく、さらに好ましくは70〜100℃の温度で、本発
明の共重合ポリエステル繊維には分散染料、セルロース
繊維には反応染料または直接染料、ウール、絹には酸性
染料、アセテート繊維には分散染料を用いて染色するこ
とが好ましい。
【0048】本発明の共重合ポリエステル繊維は、70
〜100℃の温度で一段一浴染色することが常圧可染性
を示すために最も好ましい方法であり、最大限に効果を
発揮することができる。特に、染料に関して、セルロー
ス繊維との混用布帛においては、本発明の共重合ポリエ
ステル繊維が常圧可染性を示すために熱安定性の低い反
応染料を使用できることが本発明の大きな特徴の一つで
ある。もちろん、二段一浴染色、二段二浴染色を行って
もよい。染色後は公知の方法によりソーピングまたは、
還元洗浄を行う。
【0049】また、特に、ストレッチ繊維との混用にお
いて、ストレッチ繊維がポリウレタン繊維の場合には還
元洗浄を行い、ポリウレタン繊維を汚染した分散染料を
しっかりと除去しておくことが、布帛の堅牢性を向上さ
せる点で重要である。これらの方法は公知の方法でよ
い。また、染色前後に形態固定を行うものについては、
140〜190℃の温度で乾熱セットするのが好まし
く、さらに好ましくは160〜180℃ていある。
【0050】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明をよ
り詳細に説明するが、言うまでもなく実施例のみに本発
明は限定されるものでない。尚、実施例中の主な測定値
は以下の方法で測定した。 (1)極限粘度 この極限粘度[η]は次の定義式に基づいて求められる
値である。
【0051】 定義式のηrは純度98%以上のo−クロロフェノール
で溶解したポリエステルポリマーの希釈溶液の粘度を3
5℃、同一単位で測定した上記溶剤自体の粘度で割った
値であり、相対粘度と定義されているものである。また
Cは、上記溶液100ml中のグラム単位による溶質重
量値である。 (2)損失正接 オリエンテック(株)製レオバイブロンを用い、乾燥空
気中、測定周波数110Hz、昇温速度5℃/分にて、
各温度における損失正接(tanδ)、および動的弾性
率を測定した。その結果から、損失正接−温度曲線を求
め、この曲線上で損失正接のピーク温度であるTmax
(℃)を求めた。昇温速度5℃/min、測定周波数1
10Hzで求めた。 (3)融点 セイコー電子工業(株)製DSCを用い、20℃/mi
nの昇温速度で100mL/minの窒素気流下中で測
定した。ここでは、融解のピークのピーク値を融点とし
た。 (4)吸尽率、深色度(K/S、L値)測定(染色性の
評価) 試料はポリエステル繊維の一口編地を用い、スコアロー
ル400を2g/リットルで含む温水を用いて、70
℃、20分間精練処理し、タンブラー乾燥機で乾燥さ
せ、次いで、ピンテンターを用いて、180℃、30秒
の熱セットを行ったものを使用した。吸尽率は、40℃
から95℃に昇温後、更にそのまま1時間保持した後の
吸尽率で評価した。染料は、カヤロンポリエステルブル
ー3RSF(日本化薬(株)製)を使用し、6%ow
f、浴比1:50で染色した。分散剤はニッカサンソル
ト7000(日華化学(株)製)を0.5g/リットル
使用し、酢酸0.25ml/リットルと酢酸ナトリウム
1g/リットルを加え、pHを5に調整した。
【0052】吸尽率は、染料原液の吸光度A、染色後の
染液の吸光度aを分光光度計から求め、以下の式に代入
にて求めた。吸光度は当該染料の最大吸収波長である5
80nmでの値を採用した。 吸尽率=(A−a)/A×100 (%) どの程度濃色に染まったかを表す深色度は、K/Sを用
いて評価した。この値は、染色後のサンプル布の分光反
射率Rを測定し、以下に示すクベルカ−ムンク(Kub
elka−Munk)の式から求めた。この値が大きい
程、深色効果が大きいこと、すなわち、よく発色されて
いることを示す。Rは、当該染料の最大吸収波長での値
を採用した。
【0053】K/S=(1−R)2/2R また、黒色染料を用いた場合の染色では、L値を用いて
明度を測定した。 (5)染色堅牢性 ドライクリーニング堅牢性はJIS−L−0860に、
耐光堅牢性JIS−L−0842、乾・湿摩擦堅牢性は
JIS−L−0849、洗濯堅牢性はJIS−L−08
44に準じて行った。ポリエステル繊維の堅牢性を調べ
るときは、(4)の方法で染色した一口編地を500m
gを用いて評価を行った。 (6)弾性回復率 弾性回復性は、下記の方法で得られる弾性回復率として
求めた。繊維をチャック間距離20cmで引っ張り試験
機に取り付け、伸長率20%まで引っ張り速度20cm
/minで伸長し1分間放置する。この後、再び同じ速
度で元の長さ(X)までもどし、この時応力がかかって
いる状態でのチャックの移動距離(残留伸び:X’)を
読みとり、以下の式に従って求めた。
【0054】弾性回復率=(X−X’)×100/X
【0055】
【実施例1】ジメチルテレフタレート(以下、DMTと
略記する)を1170重量部、ジメチルイソフタレート
130重量部(以下、DMIと略記する)、1,3−プ
ロパンジオール(以下、TMGと略記する)763重量
部、チタンテトラブトキシド1.3重量部を用いて22
0℃にてエステル交換を行ったのち、260℃にて減圧
度0.5torrにて重縮合を行いポリマーを得た。得
られたポリマーの極限粘度は0.8であった。また、N
MRを用いて測定したポリマー中のイソフタル酸成分は
6.2重量%であった。
【0056】得られたポリマーチップを乾燥させた後、
36個の丸断面の孔を持つ紡口を用い、紡糸温度265
℃、紡糸速度1200m/minで未延伸糸を作成し
た。次いで、得られた未延伸糸をホットロール60℃、
ホットプレート140℃、延伸倍率3.0倍、延伸速度
600m/minで延撚を行い、50d/36fの延伸
糸を得た。繊維の物性は、融点219℃、Tmax10
0℃、強度3.5g/d、伸度43%、弾性率24g/
d、弾性回復率82%であった。また、Q/Rは0.2
9で、Q/R=0.29<0.45となり、式(1)を
満足することができた。
【0057】本発明の共重合ポリエステル繊維の染色性
は、通常法で紡糸されたポリエチレンテレフタレート繊
維の青色の分散染料による130℃、60分の染色性と
比較することで評価できる。染料としてカヤロンポリエ
ステルブルー3RSF(日本化薬(株)製)を使用し、
6%owf、浴比1:50で染色したところ、通常法に
よるポリエチレンテレフタレート繊維の130℃、60
分染色における吸尽率は93%であり、K/Sは23で
あった。得られた共重合ポリエステル繊維の95℃、6
0分における吸尽率92%であった。この結果は、共重
合ポリエステル繊維の95℃、60分における染色性
が、通常法によるポリエチレンテレフタレート繊維の1
30℃、60分の染色性と同等であることを示すもので
ある。
【0058】染色後の一口編地のドライクリーニング堅
牢性では染色物の退色も認められず、液汚染は3級であ
った。また、耐光堅牢性(5−4級)、乾・湿摩擦堅牢
性(5級)、洗濯堅牢性(5級)についても良好であっ
た。
【0059】
【実施例2〜7】コモノマーや共重合比率を変えた以
外、実施例1と同様の方法で重合、紡糸を行った。その
結果を表1にまとめた。いずれの場合も式(1)を満足
しており、また良好な染色性、堅牢性、諸物性を示し
た。
【0060】
【比較例1】DMIを用いないこと以外は、実施例1同
様にしてポリトリメチレンテレフタレートを得た。
[η]は0.6であった。このポリマーチップを実施例
1と同様にして紡糸、延伸を行い繊維を得た。得られた
繊維は、融点236℃、Tmax111℃、強度3.6
g/d、伸度35%、弾性率23g/d、弾性回復率8
8%であった。また、Q/Rは0.26であり、式
(1)は満足していた。
【0061】しかしながら、得られたポリエステル繊維
はTmaxが105℃を越えていた。この繊維の95
℃、60分における吸尽率は36%であり、濃色に染色
することはできなかった。
【0062】
【比較例2、3】DMIの比率を変えた以外、実施例1
と同様の方法で重合、紡糸を行った。その結果を表1に
示す。本発明の共重合比率を外れるものは、吸尽率やド
ライクリーニング堅牢性、弾性回復率が悪い。
【0063】
【比較例4】ホットロールの温度を35℃とした以外は
実施例1と同様な方法で重合、紡糸を行った。延伸の際
に糸切れが多発し、連続して繊維を得ることができなか
った。
【0064】
【比較例5】ホットロールの温度を80℃とした以外は
実施例1と同様な方法で重合、紡糸を行った。延伸の際
にホットロールに糸が融着するため単糸切れが多発し、
得られた繊維は毛羽だらけであった。
【0065】
【比較例7】ホットプレートの温度を70℃とした以外
は実施例1と同様な方法で重合、紡糸を行った。糸切
れ、毛羽の発生等の問題なく繊維が得られた。しかし得
られた繊維は弾性回復率が55%と悪く、Q/Rが0.
55となり式(1)を満足することができなかった。
【0066】
【比較例8】ホットプレートの温度を200℃とした以
外は実施例1と同様な方法で重合、紡糸を行った。繊維
はホットプレートのところで切れ、延伸を行うことがで
きなかった。
【0067】
【比較例9】延伸倍率を2.3倍、ホットプレートの温
度を180℃とした以外は実施例1と同様な方法で重
合、紡糸を行った。糸切れ、毛羽の発生等の問題なく繊
維が得られた。しかし、得られた繊維は弾性回復率が4
5%と悪く、Q/Rが0.70となり式(1)を満足す
ることができなかった。
【0068】
【比較例10】実施例2のポリマーを3.6倍延伸し、
毛羽が多い繊維を得た。この繊維のTmaxは108℃
であり、吸尽率は62%と低いものであった。
【0069】
【実施例8】実施例1と同様にして得た75d/36f
の共重合ポリエステル繊維を経糸、緯糸に75d/44
fの銅アンモニアレーヨンを用いて、平織物を作成し
た。この平織物を常法により精錬、マーセル化した。マ
ーセル化加工は常温下、75%の水酸化ナトリウム水溶
液に浸して行った。中和、水洗、180℃、30秒のプ
レセット後、キャリヤーを用いずに、分散染料と、反応
染料による一段一浴染色を行った。分散染料としては、
カヤロンポリエステルブルーBRSF(日本化薬(株)
製)、反応染料としては、ドリマレンブルーX−SGN
(サンド(株)製)を用いた。分散剤はディスパーTL
(明成化学(株)製)を1g/リットル使用し、硫酸ナ
トリウム50g/リットルと炭酸ナトリウム15g/リ
ットルを加え、pHを11に調整した水溶液に染料を加
えて染液とした。濃度2%owf、浴比1:50で95
℃、1時間染色を行った。染色後、グランアップP(三
洋化成工業(株)製)1g/リットル、浴比1:50で
80℃、10分間ソーピングした。染色後、常法により
仕上げを行った。
【0070】得られた染色物は均一に染色されており、
風合いもソフトで良好であった。K/Sは21.7であ
った。ドライクリーニング堅牢性は4級、耐光堅牢性は
4級であった。
【0071】
【比較例11】実施例8を130℃の温度で染色したと
ころ、反応染料が分解をおこし、布帛が黒ずんでしまっ
た。
【0072】
【実施例9】実施例1で作成した共重合ポリエステル繊
維を旋回式で熱処理し嵩高加工糸を得た。加工条件は熱
盤温度195℃、、加工撚数3400回/m、フィード
率−0.2%とした。次いで、得られた加工糸を150
デニールの双糸にし、ウールの48番単糸と交編して、
表面ポリエステル、裏ウールの両面リバーシブル交編織
物を作成した。ポリエステル繊維の混用率は45重量
%、編成条件は20ゲージ、釜径20インチとした。得
られた編地を常法に従い、染色を行った。染料として
は、分散染料として、ダイアニックスブラックBGFS
(200%品、ダイスタージャパン(株)製)、酸性染
料としてカヤロンブラックBGL(日本化薬(株)製)
を用いた。
【0073】濃度は各々7%owfとし、弱酸性で分散
剤存在下、95℃にて一段一浴染色を行った。染色後、
ソーダ灰1g/リットル、非イオン洗浄剤0.5g/リ
ットルの弱アルカリ浴で70℃、20分間ソーピングを
行った。得られた染色物はソフトな風合いであり、その
L値(明度)は10.0と優れたものであった。尚、明
度は低い値ほど黒く染まったことを示す。染色物のドラ
イクリーニング堅牢性、耐光堅牢性はいずれも4級であ
った。
【0074】
【実施例10】実施例1で作成した共重合ポリエステル
繊維に300T/mの撚りを付与した後、ローラー糊付
し、経糸とし、緯糸に絹糸(21d/2f)を用い平織
物を作成した。染料としては、分散染料として、ダイア
ニックスブラックBGFS(200%品、ダイスタージ
ャパン(株)製)、酸性染料としてカヤロンブラックB
GL(日本化薬(株)製)を用いた。
【0075】濃度は各々7%owfとし、弱酸性で分散
剤存在下、95℃にて一段一浴染色を行った。染色後、
ソーダ灰1g/リットル、非イオン洗浄剤0.5g/リ
ットルの弱アルカリ浴で70℃、20分間ソーピングを
行った。得られた染色物のL値は11.0と優れたもの
であった。染色物のドライクリーニング堅牢性、耐光堅
牢性はいずれも4級であった。染色物は絹独特の風合い
があり、ソフトで良好なものであった。
【0076】
【実施例11】実施例1で得られた共重合ポリエステル
繊維と210デニールのポリウレタン系ストレッチ繊維
(旭化成工業(株)製 商標ロイカ)とを用いて経編地
を作成した。この経編地は、28ゲージ、ループ長は、
ポリエステル繊維が1080mm/480コース、スト
レッチ繊維が112mm/480コースとし、打込密度
を90コース/インチとした。また、ポリエステル繊維
の混率は75.5%に設定した。
【0077】得られた生機を90℃、2分間リラックス
精錬し、160℃、1分間乾熱セットした。ダイアニッ
クスブラックBG−FS(ダイスタージャパン(株)
製)を8%owf、染色助剤であるニッカサンソルト1
200を0.5g/リットル存在下、酢酸でpHを6に
調整して、浴比1:30で95℃、60分間染色を行っ
た。
【0078】得られた染色製品の黒色明度L値は10.
7であり、十分な発色であった。弾性回復率は、95.
3%、洗濯堅牢性は5級、耐光堅牢性は4級であった。
また、ソフトで張り、腰がある風合いを示した。
【0079】
【比較例12】比較のために、通常法で紡糸されたナイ
ロン6繊維とロイカとの経編地を実施例11と同様に作
成し、酸性染料としてカヤロンブラックBGL(日本化
薬(株)製)を用いて、7%owfにて95℃、60分
で染色を行った。得られた染色製品のL値は12.3で
あった。この布帛の耐光堅牢性は2−3級であった。ま
た、この布帛を用いて、半径2cm、重さ100gのス
テンレス製丸棒を10cmの幅で500回摩擦したとこ
ろ、組織ずれが認められた。同じ条件で実施例11の布
帛を摩擦したが、組織ずれは観察されなかった。
【0080】
【実施例12】実施例1で得られた共重合ポリエステル
繊維に300T/mの撚を付与し、ローラー糊付した
後、経糸とし、緯糸にジアセテート繊維(100d)を
用い平織物を作成した。染料としては、分散染料とし
て、カヤロンポリエステルブルー3RSF、分散染料と
してカヤロンファーストブルーRD200(日本化薬
(株)製)を用いた。
【0081】濃度は各々5%owfとし、弱酸性で分散
剤存在下、95℃にて一段一浴染色を行った。染色後、
ソーダ灰1g/リットル、非イオン洗浄剤0.5g/リ
ットルの弱アルカリ浴で70℃、20分間ソーピングを
行った。得られた染色物のK/Sは21.5と優れたも
のであった。染色物のドライクリーニング堅牢性、耐光
堅牢性はいずれも4級であった。風合いはソフトで、鮮
明性にも優れていた。
【0082】
【表1】
【0083】
【発明の効果】本発明の共重合ポリエステル繊維は、分
散染料に対して95℃以下で染色可能であり、更に20
%伸長時の弾性回復性が70%以上、弾性率が40g/
d以下で、熱セット性の良好な、ソフトな風合いの織編
物を得るのに有用なポリエステル繊維ある。
【0084】そのため、本発明の共重合ポリエステル繊
維は、反応染料等に代表される耐熱性の低い染料を使用
する場合やポリエステル繊維以外の熱安定性に乏しい繊
維との複合に極めて適しており、ポリエステル繊維と他
素材との特性を両方発揮できるソフトな風合いの混用布
帛の染色物を提供できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にテレフタル酸とトリメチレング
    リコールとから構成されたポリエステルからなる繊維に
    おいて、アルキレン部の炭素数が0〜12までの脂肪族
    ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸また
    はo−フタル酸のジカルボン酸群の中から選ばれた少な
    くとも1種のコモノマーが該ポリエステル中の全ジカル
    ボン酸成分に対し3〜9重量%共重合された、損失正接
    のピーク温度が70〜105℃であり、かつ弾性率Q
    (g/d)と弾性回復率R(%)との関係が式(1)を
    満足することを特徴とする共重合ポリエステル繊維。 0.18≦Q/R≦0.45 ・・・(1)
  2. 【請求項2】 実質的にテレフタル酸とトリメチレング
    リコールとから構成されたポリエステルからなる繊維に
    おいて、アルキレン部の炭素数が0〜12までの脂肪族
    ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸また
    はo−フタル酸のジカルボン酸群の中から選ばれた少な
    くとも1種のコモノマーが該ポリエステル中の全ジカル
    ボン酸成分に対し3〜9重量%共重合された、損失正接
    のピーク温度が70〜105℃であり、かつ弾性率Q
    (g/d)と弾性回復率R(%)との関係が式(1)を
    満足する共重合ポリエステル繊維と、セルロース繊維、
    ウール、絹、ストレッチ繊維、アセテート繊維から選ば
    れた少なくとも1種の繊維との混用布帛。 0.18≦Q/R≦0.45 ・・・(1)
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