JP3268906B2 - 発色性良好な極細繊維布帛 - Google Patents

発色性良好な極細繊維布帛

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JP3268906B2
JP3268906B2 JP21980493A JP21980493A JP3268906B2 JP 3268906 B2 JP3268906 B2 JP 3268906B2 JP 21980493 A JP21980493 A JP 21980493A JP 21980493 A JP21980493 A JP 21980493A JP 3268906 B2 JP3268906 B2 JP 3268906B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発色性良好なポリエステ
ル極細繊維布帛に関し、詳細には、染色性が良好で、さ
らに染色された繊維の深色性にも優れたポリエステル極
細繊維布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】極細繊維を得る方法として、直接紡糸
法、多芯芯鞘紡糸による海島繊維の抽出法、複合繊維の
分割法などがあり、極細繊維としての柔軟で滑らかな特
徴を活かして、人工スエ−ド、高級ウ−ル、シルクライ
ク素材等に用いられており、現在脚光を浴びている。し
かしながら、これらの商品は極細繊維を使用しているた
めに、繊維表面の面積の増大で、光の著しい乱反射が生
じ、得られた染色物は白っぽく深みのない色になる欠点
を有している。
【0003】かかる欠点の改良法の1つとして染料濃度
を大きくし、染着量を増加させることが行なわれている
が、染着量の増加に伴い、染料の表面吸着量が増大し、
かえって染色堅牢度の低下をきたすこと、黒色等の極濃
色では色の深みに限度があり、それ以上深みのある色が
得られないなどの欠点を有している。
【0004】また、ポリエステル繊維は多くの特性を有
するため、広範に用いられているが、ウ−ル、絹等の天
然繊維、レ−ヨン、アセテ−ト等の半合成繊維に比較し
て色の鮮明性、濃色の深み、とくに黒色の濃さ、発色性
などが劣るという本質的な欠点があった。この欠点の要
因として、ポリエステル繊維が色の鮮明性の乏しい分散
染料で染色されること、ポリエステル繊維の屈折率が
1.7と他の繊維に比較して高く、繊維表面での光の反
射率が高くなり、結果として布の表面からの白色反射散
乱光強度が大きくなることなどが挙げられる。
【0005】これらの欠点の改良法として、ポリエステ
ル繊維にカチオン染料、酸性染料など色の鮮明な染料が
染着し得る座席を導入する改質が行なわれているが、色
の鮮明性の向上はあっても、ポリエステル繊維の高屈折
率に基づく光反射散乱は減少せず、本質的に色の深みの
改善にはなっていない。一方、繊維方面を屈折率の低い
化合物で被覆すると、色が濃く見え、深みが増すことは
よく知られており、現在までに、有機フッ素化合物、有
機ケイ素化合物などの低屈折率化合物を繊維表面にコ−
ティングする方法が提案されている(特公平2−429
38号公報)。また繊維表面に光の波長よりも細かいピ
ッチの微細な凹凸を形成することで繊維表面の反射を抑
制する方法も提案されている(特公昭59−24233
号公報、特公昭62−20304号公報、特公昭62−
28229号公報)。
【0006】しかしながら、繊維表面を低屈折率の化合
物で被覆する方法は、ドライクリ−ニングに対する耐久
性が乏しく、また充分な濃色効果を得るためには通常の
風合加工で使用するよりも多量に該低屈折率化合物を使
用しなければならず、濃色効果が達成されても風合の変
化や染色物の堅牢度低下等の問題が生じる。また繊維表
面に微細な凹凸を形成させる方法では、加工工程におい
て表面凹凸が損傷を受けて濃色効果が低下したり、着用
している間に摩耗等を受けて外観不慮が発生するなどの
問題が生じる。上記のようにポリエステル繊維、とくに
ポリエステル極細繊維に関し、染色性、発色性に優れ、
さらに深色性にも優れ、しかも消費性能上問題のない極
細繊維は今だ提案されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】かかる背景により、本
発明者等は、とくに深みがあり発色性が大きい、単糸繊
度が0.3デニ−ル以下の極細繊維からなる布帛を得よ
うと鋭意検討した結果、特定の化合物をポリエステルに
共重合させることにより、ポリエステルの屈折率を低下
させることができ、本発明の目的を達成することができ
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、単糸繊度が
0.3デニ−ル以下の極細繊維を10重量%以上含む布
帛であって、該極細繊維がテレフタル酸を主たるジカル
ボン酸成分とし、エチレングリコ−ルを主たるジオ−ル
成分とするポリエステル繊維であり、下記式(I)で表
される化合物を全ジオ−ル成分に対して1〜20モル
%、および/または下記式(II)で表される化合物を全
ジカルボン酸成分に対して1〜20重量%共重合してな
るポリエステル繊維であることを特徴とする極細繊維布
帛である。
【化3】 (式中、mは0、1または2を表す。)
【化4】 (式中、Rは水素原子または低級アルキル基を表し、n
は0、1または2を表す。)
【0009】本発明の布帛を構成するポリエステルは、
テレフタル酸を主たるジカルボン酸成分、およびエチレ
ングリコ−ルを主たるジオ−ル成分する。テレフタル酸
以外のジカルボン酸としてはイソフタル酸、フタル酸、
ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、
4,4′−ジフェニルエ−テルジカルボン酸、4,4′
−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニ
ルスルホンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルイソプ
ロピリデンジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン
−4′,4″−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン
酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、ジフェニルケトン
ジカルボン酸、スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香
族ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;デカ
リンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸;β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、
p−オキシ安息香酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロ
キシアクリル酸等のヒドロキシカルボン酸;またはこれ
らのエステル形成性誘導体から誘導されたカルボン酸、
ε−カプロラクトン等の脂肪族ラクトンを挙げることが
でき、これらの芳香族ジカルボン酸単位は1種類のみま
たは2種類以上、全ジカルボン酸成分に対して10モル
%以下の割合で含まれていてもよい。
【0010】またエチレングリコ−ル以外のジオ−ル成
分として、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレング
リコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル、ネオペンチルグ
リコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ
−ル等の脂肪族ジオ−ル;ヒドロキノン、カテコ−ル、
ナフタレンジオ−ル、レゾルシン、ビスフェノ−ルA、
ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物、ビスフ
ェノ−ルS、ビスフェノ−ルSのエチレンオキサイド付
加物等の芳香族ジオ−ル;シクロヘキサンジメタノ−ル
等の脂環族ジオ−ルなどを挙げることができ、これらの
ジオ−ルは1種類のみまたは2種類以上、全ジオ−ル成
分に対して10モル%以下の割合で含まれていてもよ
い。
【0011】さらに本発明に係わるポリエステルには、
ポリエステルが実質的に線状である範囲内でトリメリッ
ト酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル
酸等の多価カルボン酸;グリセリン、トリメチロ−ルエ
タン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスルト−ル
等の多価アルコ−ルが含まれていてもよい。
【0012】本発明に係わるポリエステルには、下記式
(I)で表される化合物および/または下記式(II)で
表される化合物が共重合されていることが必要である。
【0013】
【化5】 (式中、mは0、1または2を表す。)
【0014】
【化6】 (式中、Rは水素原子または低級アルキル基を表し、n
は0、1または2を表す。)
【0015】式(I)で示される化合物のみが共重合さ
れる場合、その共重合量はポリエステルを構成する全ジ
オ−ル成分に対して1〜20モル%、好ましくは2〜1
5モル%の範囲である。また式(II)で示される化合物
のみが共重合される場合、その共重合量は全ジカルボン
酸成分に対して1〜20モル%、好ましくは2〜15モ
ル%の範囲である。式(I)および式(II)の化合物を
共重合成分とする場合は、その共重合量はそれらの和に
おいて、全ジカルボン酸成分に対して1〜20モル%で
あり、2〜15モル%の範囲であることが好ましい。
【0016】式(I)で示される化合物および/または
式(II)で示される化合物の共重合量が1モル%未満の
場合、共重合ポリエステル樹脂の結晶化度の低下、屈折
率の低下、繊維化における配向時の複屈折の低下が不十
分であり、繊維の染色性、発色性、深色性等の向上効果
が小さい。一方、該化合物の共重合量が20モル%を越
える場合、結晶性の樹脂が得られにくく、たとえ得られ
たとしてもその融点は低く、ポリエステル繊維に要求さ
れる耐熱性を満足するものではない。また、式(I)で
示される化合物または式(II)で示される化合物の共重
合量が増す程、ポリエステルの結晶化度および融点の低
下が見られ、該ポリエステルからなる繊維の染色性、深
色性は向上するが耐熱性が低下する傾向にあるので、繊
維各用途に要求される耐熱性、染色性、深色性等を考慮
して共重合量を変化させればよい。
【0017】本発明に係わるポリエステルの固有粘度
〔フェノ−ル/テトラクロロエタン(重量比50/5
0)の混合溶媒を用い、30℃で測定〕は0.4〜1.
5であることが好ましい。
【0018】上記ポリエステルは、ポリエチレンテレフ
タレ−トなどの通常のポリエステル樹脂を製造するのに
一般的に採用されている通常の方法に準じて製造するこ
とができる。たとえば、テレフタル酸を主とするジカル
ボン酸またはその低級アルキルエステルからなるジカル
ボン酸原料と、エチレングリコ−ルを主とするグリコ−
ル原料とを、エステル化反応またはエステル交換反応さ
せて低重合体を製造した後、この低重合体を、三酸化ア
ンチモン、酸化ゲルマニウム、テトラアルコキシエタン
等の重合触媒を用いて、減圧下230〜300℃で重縮
合反応を行なって所望の粘度のポリエステルを製造す
る。さらに所望により固相重合によって重合度を高め
て、固有粘度の高いポリエステルを製造することができ
る。この製法において、グリコ−ル原料の一部として上
記式(I)で示される化合物を用いるか、ジカルボン酸
原料の一部として上記式(II)で示される化合物を用い
るか、あるいはこれらの両方を用いることにより、本発
明に係わるポリエステルが得られる。
【0019】上記のポリエステルは本発明の効果・作用
が損なわれない範囲内の量で他の熱可塑性樹脂を添加し
たり、紫外線吸収剤、着色防止剤、耐熱剤、蛍光増白
剤、酸化防止剤、艶消剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助
剤、潤滑剤、可塑剤、無機微粒子等の添加剤が含有され
ていてもよい。
【0020】本発明のポリエステル極細繊維、とくに単
糸繊度が0.3デニ−ル以下の極細繊維を得るには、上
述したような直接紡糸法、海島繊維の抽出法、分割型複
合繊維の分割法などがあり、これらいずれの方法を用い
て製造してもよい。得られた紡糸原糸は通常の方法で延
伸すればよく、例えば、加熱ロ−ラ−で共重合ポリエス
テルのガラス転移温度付近の温度で予熱後、捲き取りロ
−ラ−の速度に応じる延伸倍率で延伸して該ポリエステ
ルの結晶化温度以上の温度で熱処理すればよい。またス
ピンドロ−のような紡糸延伸が直結した方法で延伸して
熱処理してもよい。
【0021】また、上記ポリエステル極細繊維の横断面
は、円形;三葉形〜八葉形などの多葉形、T字形、V字
形、偏平形、方形などの異形の任意の断面形状であるこ
とができ、また中実繊維に限らず中空繊維や多孔質繊維
であってもよい。
【0022】本発明でいう「布帛」とは織物、編物、不
織布など二次元構造物をすべて含むものである。本発明
においては、上記の単糸繊度が0.3デニ−ル以下の極
細繊維が布帛を構成する繊維の10重量%以上であるこ
とが必要である。極細繊維の含有量が10重量%未満の
場合、目的とするファインタッチの風合が不足し、発色
性、深色性が不十分である。
【0023】本発明に係わるポリエステル極細繊維が通
常のポリエチレンテレフタレ−トからなる極細繊維に比
較して、発色性が向上する理由は現時点では推定の域を
出ないが、以下のように考えられる。ポリエステル骨格
に脂肪族環状骨格を導入することにより結晶化度を低下
させ、ポリエステルの屈折率を低下させて、繊維軸に平
行方向の屈折率と繊維軸に対して垂直方向の屈折率との
屈折率差を小さくさせる、つまり従来のポリエステル繊
維に比較して複屈折を低下させることにより、繊維表面
の反射に由来する散乱光を抑制させて、従来のポリエチ
レンテレフタレ−トからなる繊維にない発色性に優れた
繊維が得られる。しかも単糸繊度が小さくなるほど、す
なわち極細繊維になるほど布帛を構成する繊維全体の表
面積が大きくなるため、通常のポリエチレンテレフタレ
−トからなる極細繊維布帛は発色性が極端に低下してし
まうのが実情であるが、本発明に係わるポリエステル極
細繊維は、繊維表面の反射に由来する散乱光を抑制する
ことができ、そのため発色性が改良された極細繊維布帛
が得られるのである。本発明においては、極細繊維の単
糸繊度が小さくなるほど発色性、深色性等の効果が充分
発現する。
【0024】本発明に係わる極細繊維は、フィラメン
ト、ステ−プル等の形態で使用され、それらは単独で使
用されてもよく、あるいは他の素材と混繊、混紡等して
使用することができる。本発明の極細繊維布帛は上記の
極細繊維を含み、柔軟で滑らかな特徴を有しており、人
工スエ−ド、高級ウ−ル、シルクライク素材等として好
適である。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に何等限定されるものではな
い。なお、実施例中の測定値は下記の方法により測定し
て得た値である。
【0026】(1)式(I)および式(II)で示される
化合物の共重合率(モル%) 溶媒として重水素化トリフルオロ酢酸を用い、本発明に
係わるポリエステルの↑1H−NMR測定結果に基づき
算出した。
【0027】(2)ポリエステルの固有粘度(dl/
g) フェノ−ル/テトラクロロエタン(重量比50/50)
の混合溶媒を用い、30℃で測定した。
【0028】(3)ポリエステルの各物性 ポリエステルのガラス転移温度(以下Tgと略す)
(℃)、融点(以下Tmと略す)(℃)をDifferential
Scanning Calorimeter (メトラ−TA3000、パ−
キンエルマ−社製)を使用し、試料10mg、昇温およ
び降温速度10℃/分の条件で、窒素置換を行ないなが
ら測定し、同じ試料でこの操作を2回繰り返して2回目
の値を実測値とした。また試料に熱処理を施し、充分に
結晶化させた後の結晶融解熱(J/g)を上記装置によ
り測定し結晶化度として示した。
【0029】(4)ポリエステル極細繊維布帛の各物性 a.L↑*値 カラ−アナライザ−(日立307型、日立製作所製)を
用いて、染色物の可視部反射率を測定し、各波長の反射
率から三色刺激値Yを求め、下記式から求めた。 L↑*=116(Y/100)↑(1/3)−16 b.洗濯に対する染色堅牢度 JIS L 0844に準拠してA−2法によるテスト
を行った。添布白布としてナイロン布を用い、その汚染
程度について汚染用グレ−スケ−ルにて級判定を行っ
た。 c.深色度(k/s) サンプル布の分光反射率(R)をカラ−アナライザ−
(日立307型、日立製作所製)で測定し、下記式ク−
ベルカ−ムンク(Kubelka-Munk)の式から求めた。この
値が大きいほど深色度が大であることを示す。 k/s=(1−R)↑2/2R Rはサンプル布の可視部反射率曲線の最大吸収波長位置
における反射率である。
【0030】実施例1および比較例1 パ−ヒドロジメタノナフタレンジメタノ−ル〔式(I)
で示される化合物においてm=1である化合物〕6.7
モル%、エチレングリコ−ル93.3モル%からなるジ
オ−ル原料と、テレフタル酸とから、ジオ−ル原料:テ
レフタル酸のモル比が1.2:1になるように調整して
スラリ−を形成し、このスラリ−を加圧下(絶対圧2.
5kg/cm↑2)、温度250℃でエステル化率が9
5%になるまでエステル化反応を行ない低重合体を製造
した。次に触媒として350ppmの三酸化アンチモン
を添加し、絶対圧1torrの減圧下に280℃で1.
5時間低重合体を重縮合し、固有粘度が0.65dl/
gのポリエステルを製造した。このポリエステルをノズ
ルからストランド状に押し出して切断し、直径2.8m
m、長さ3.2mmの円柱状チップを製造した。
【0031】得られたポリエステルチップを↑1H−N
MRにより分析したところ、該ポリエステルはパ−ヒド
ロジメタノナフタレンジメタノ−ルが全ジカルボン酸単
位中8モル%共重合されていることが確認された。さら
に得られたポリエステルチップのTgは83℃、Tmは
232℃、△Hは28J/gであった。
【0032】このポリエステルチップを押出機により溶
融押出しし、290℃で0.15Φ×196ホ−ルの丸
孔ノズルから吐出し,1000m/分で巻き取った。つ
いで78℃のホットロ−ラ、120℃のホットプレ−ト
を用い、延伸倍率3.1倍で延伸し、50デニ−ル/1
96フィラメント(単糸繊度:0.26デニ−ル)の極
細マルチフィラメントを得た。このマルチフィラメント
が側糸、50デニ−ル/16フィラメントのポリエチレ
ンテレフタレ−トマルチフィラメントが芯糸になるよう
に、オ−バ−フィ−ド差が15%の同時仮撚で極細カバ
リング糸を作成した。
【0033】ついで、該カバリング糸を2本合わせて3
00T/Mの追撚を施し、経糸、緯糸に用いて2/2ツ
イルの織物を作成した後、80℃、5%の水酸化ナトリ
ウム水溶液に浸漬して7%の減量を行なった。
【0034】そして、下記の条件で染色を施した。 染色 Dianix Blue BG-FS(C.I.Disper製: Blue 113) 5.5% Dianix Black HG-FS(三菱化成製) 7.0% Disper TL(明成化学社製) 1g/リットル 酢酸(純分98.5%) 0.2cc/リットル 染色時間 60分 染色温度 130℃ 浴 比 1:50 アルカリ還元洗浄 水酸化ナトリウム 1g/リットル アミラジンD(第一工業製薬社製) 1g/リットル ハイドロサルファイド 1g/リットル 洗浄時間 20分 洗浄温度 80℃ 浴 比 1:50
【0035】一方、固有粘度〔η〕が0.65のポリエ
チレンテレフタレ−トを用い、実施例1と同様にして5
0デニ−ル/196フィラメントの極細マルチフィラメ
ントを得た。このマルチフィラメントを外周糸に用い
て、実施例1と同様なカバリング糸、ツイル織物を作成
し、染色を施した(比較例1)。実施例1で得られた織
物はL↑*値が低く、発色性が非常に良好であり、光の
鏡面反射を抑えて、従来の極細繊維布帛では得られない
深みのあるしっとりした光沢を有していた。また、該織
物は極細繊維独特のヌメリ感と腰があり、かつ極細繊維
が織物表面を覆っているにも拘らず、発色性が良好で、
カシミア、ウ−ル調の織物であった。さらに染着量が多
いにも拘らず、染色堅牢度も汚染4級であり、良好であ
った。一方、比較例1で得られた織物は染着量が多いに
も拘らず、極細繊維特有の光の乱反射が生じ、色相が白
っぽく、L↑*値が大きいものであった。
【0036】実施例2および比較例2 実施例1と同様にしてポリエステルを作成し、該ポリエ
ステルを島成分に、ポリエチレンが海成分になるよう
に、多芯芯鞘の海島構造繊維(単繊維島数37島)を紡
糸した。得られた紡糸原糸を40万デニ−ルのトウにし
て、水浴延伸し、捲縮を施して切断し、3.5デニ−ル
・64mmのステ−プルを作成した。そして、ロ−ラカ
−ドを用いてウエッブを作成し、4枚のウエッブを重ね
てニ−ドルパンチ−熱固定−2枚のスライスを施した。
ついで80℃のパ−クレンを用いて、海成分であるポリ
エチレンを溶解除去し、単糸繊度が0.08デニ−ルの
極細ポリエステル繊維不織布を得た。
【0037】該不織布にポリウレタンを含浸させ、凝固
−乾燥した後、4重量%の水酸化ナトリウム水溶液を用
いて、90℃で処理し、7.5%の減量を施した。その
後サンドペ−パ−を用いてバフィングし、以下の条件で
染色を施した。 染色 Dianix Blue BG-FS(C.I.Disper製: Blue 113) 5.5% Dianix Black HG-FS(三菱化成製) 7.0% Disper TL(明成化学社製) 1g/リットル キャリア−(トリクロルベンゼン) 1g/リットル 酢酸(純分98.5%) 0.2cc/リットル 染色時間 90分 染色温度 98℃ 浴 比 1:50 アルカリ還元洗浄 水酸化ナトリウム 1g/リットル アミラジンD(第一工業製薬社製) 1g/リットル ハイドロサルファイド 1g/リットル 洗浄時間 20分 洗浄温度 80℃ 浴 比 1:50
【0038】一方、固有粘度〔η〕が0.65のポリエ
チレンテレフタレ−トを用い、実施例2と同様にして起
毛不織布を作成した(比較例2)。実施例2で得られた
不織布は染着量が比較例2で得られた不織布に比較して
若干多くなっており、しかも多い染着量の割りに発色性
が良好であり、光の鏡面反射を抑制して、従来の極細繊
維不織布では得られない深みのあるしっとりした光沢を
有していた。また、染色堅牢度も優れており、柔軟なス
エ−ドタッチと深みのある色相により、高付加価値商品
となっている。比較例2で得られた不織布は染着量が多
いにも拘らず、極細繊維特有の乱反射が生じ、色相が白
っぽく、深色性も低いものであった。
【0039】
【表1】
【0040】実施例3 実施例1と同様にしてポリエステルを作成し、該ポリエ
ステルを島成分に、5−スルホイソフタル酸が5モル
%、分子量2000のポリエチレングリコ−ルが8重量
%共重合されたポリエチレンテレフタレ−トを海成分に
なるように、多芯芯鞘の海島構造繊維(単繊維島数37
島)を紡糸した。得られた紡糸原糸を延伸して50デニ
−ル/16フィラメントのマルチフィラメントを得た。
該延伸糸を緯糸に用い、75デニ−ル/24フィラメン
トのポリエチレンテレフタレ−ト単独糸を経糸に用い
て、緯糸が表面に多くでる朱子織物を作成した。そし
て、水酸化ナトリウム水溶液(濃度20g/リットル)
中に98℃で15分間、該織物を浸漬してアルカリ処理
を施し、緯糸の海成分が完全に除去された、単糸繊度が
0.07デニ−ルの緯糸使いの朱子織物が得られた。つ
いで、実施例1の染色条件において、Dianix Blue BG-F
S およびDianix Black HG-FS の代わりにDianix Red B
N-SE(C.I.Disper製:Red127)7.5%を用い、分散剤
とともに染色を施してアルカリ還元洗浄を行なった。得
られた染色物は色の深みと光沢を有し、きしみに富んだ
絹に酷似した風合と発色性の大きいものであった。
【0041】実施例4 実施例1と同様にしてポリエステルを作成し、該ポリエ
ステルとナイロン6(1013BK、宇部興産製)を交
互に放射状に配置(複合比:1/1重量比)した断面を
有する75デニ−ル/36フィラメントの複合マルチフ
ィラメントを常法により紡糸、延伸した。得られた複合
延伸糸をフロント糸に、50デニ−ル/24フィラメン
トのポリエステルフィラメントをバック糸に用いて24
Gの1/3サテントリコット編地を作成した。この編地
のフロント糸を、ドイツ式の針布起毛機を用いて10回
起毛し、該複合繊維断面の一部を剥離した後、膨潤処理
を施して複合繊維を完全に分割分離して極細化し、単糸
繊度0.25〜0.27デニ−ルの範囲のポリエステル
と単糸繊度0.25〜0.27デニ−ルの範囲のナイロ
ン6が混在した表面起毛を有するスエ−ド調トリコット
編地を得た。ついで、ポリエステルおよびナイロン6を
濃茶に浸染したところ、ファインデニ−ルにも拘らず、
深みのある色相が得られた。なお、編地を構成している
極細ポリエステルの割合は約60重量%であった。
【0042】実施例5〜8 式(I)および式(II)で示される化合物を表2に示さ
れるような割合でそれぞれ共重合させたポリエステルチ
ップを作成した。該ポリエステルの物性を表2に示す。
このチップを用いて実施例1と同様にして紡糸、延伸
し、ついで織物を作成した。いずれも工程性は良好で、
しかも良好な風合および発色性を有する織物が得られ
た。
【0043】比較例3〜4 式(I)および式(II)で示される化合物を表2に示さ
れるような割合でそれぞれ共重合させたポリエステルチ
ップを作成し、繊維化を試みたが、ポリマ−が非晶性で
あるため、延伸時に糸切れが多発した。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】特定の化合物をポリエステルに共重合さ
せることにより、屈折率を低下させたポリエステルから
なる極細繊維、とくに単糸繊度が0.3デニ−ル以下の
極細繊維を構成繊維の少なくとも一部とする布帛は、極
細繊維を使用しているにも拘らず、発色性に優れ、深み
のある色相を有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−98566(JP,A) 特開 平5−17560(JP,A) 特開 平5−43673(JP,A) 特開 平7−150418(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 15/00 D01F 6/84 309 D01F 8/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単糸繊度が0.3デニ−ル以下の極細繊維
    を10重量%以上含む布帛であって、該極細繊維がテレ
    フタル酸を主たるジカルボン酸成分とし、エチレングリ
    コ−ルを主たるジオ−ル成分とするポリエステル繊維で
    あり、下記式(I)で表される化合物を全ジオ−ル成分
    に対して1〜20モル%、および/または下記式(II)
    で表される化合物を全ジカルボン酸成分に対して1〜2
    0重量%共重合してなるポリエステル繊維であることを
    特徴とする極細繊維布帛。 【化1】 (式中、mは0、1または2を表す。) 【化2】 (式中、Rは水素原子または低級アルキル基を表し、n
    は0、1または2を表す。)
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