JP3285685B2 - ポリエステルマルチフィラメント糸条およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステルマルチフィラメント糸条およびその製造方法

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JP3285685B2 JP31811393A JP31811393A JP3285685B2 JP 3285685 B2 JP3285685 B2 JP 3285685B2 JP 31811393 A JP31811393 A JP 31811393A JP 31811393 A JP31811393 A JP 31811393A JP 3285685 B2 JP3285685 B2 JP 3285685B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は紡績糸の風合、すなわち
所望に応じた太細斑を有するポリエステルマルチフィラ
メント糸条に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルマルチフィラメント糸条は
均一性が高いことを特徴とするが、裏を返すとそのまま
では変化に乏しく、人工の冷たさを有しており、織編物
にした場合に、平坦で色調に深みがなく、風合も劣った
ものになりがちである。
【0003】そこで、ポリエステルマルチフィラメント
糸条の持つ上記のような欠点を改良して、ポリエステル
マルチフィラメント糸条に紡績糸様の外観や風合を付与
するために、長さ方向に糸径の異なる部分を設けた、所
謂シックアンドシンヤ−ンが種々提案されており、該ヤ
−ンは通常のポリエステルの未延伸糸を低延伸倍率で延
伸することにより得られる。このシックアンドシンヤ−
ンは、糸径の太い濃染性の未延伸部分と、糸径の細い淡
染性延伸部分から構成されるが、斑を発生させるため
に、通常の延伸倍率より低い倍率で延伸して未延伸部分
を発現させているが、かかる方法では後加工としてアル
カリ減量処理を施すと該未延伸部が劣化し、商品として
使用できなくなる問題点が発生したり、製造時に延伸倍
率を低くするために、延伸張力が低くなり糸のたるみは
生じやすくなり、糸切れ、毛羽の発生等が生じる問題点
があり、とくに、紡糸直結延伸で製造する場合には糸切
れの問題が多発し、合理化が困難な状況である。
【0004】また、低延伸倍率で延伸するために強度の
低下とともに伸度が大きくなり、編物、織物を作製する
上で工程性が悪く、トラブルが発生し易くなる。さらに
後加工としてアルカリ減量処理を施すと糸強度の低下が
大きく、布帛としての引裂強力に問題が生じてくる。さ
らに染色すると、延伸部に比較して未延伸部が濃く染色
されてしまい、紡績糸とは逆の染色性を有するという問
題点をも有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、適度
で多様化した斑を有し、天然繊維からなる紡績糸におけ
るような自然で、かつ良好な深みのある表面効果、とく
に杢調を有するポリエステル太細マルチフィラメント糸
条およびそれからなる布帛を工程性良く、安定に提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ポリエス
テル、とくにポリエチレンテレフタレ−ト(以下、PE
Tと略称する)のポリマ−物性に注目し、特定の化合物
を共重合することによりポリエステルのガラス転移温度
をPETのガラス転移温度よりも高くし、該ポリエステ
ルのガラス転移温度以下の温度で延伸することにより、
適度な太斑を有し、自然で深みのあるスパンライク糸が
容易に得られることを見出だし、本発明に到達した。
【0007】本発明は、テレフタル酸を主たるジカルボ
ン酸成分とし、エチレングリコ−ルを主たるジオ−ル成
分とするポリエステルであり、下記式(I)で表される
化合物を全ジオ−ル成分に対して1〜20モル%、およ
び/または下記式(II)で表される化合物を全ジカルボ
ン酸成分に対して1〜20モル%共重合してなるポリエ
ステルからなるマルチフィラメント糸条であって、該糸
条を構成する各フィラメントは長さ方向に繊度斑を有
し、該フィラメントの最大断面の断面積と最小断面の断
面積との比が最大/最小=1.1〜3.0であり、該フ
ィラメントの細部から太部に変位する角度θがtanθ
≦1であることを特徴とするポリエステルマルチフィラ
メント糸条であり、
【0008】
【化5】 (式中、mは0、1または2を表す。)
【0009】
【化6】 (式中、Rは水素原子または低級アルキル基を表し、n
は0、1または2を表す。)該ポリエステルマルチフィ
ラメント糸条を製造する方法である。
【0010】本発明に係わるポリエステルは、テレフタ
ル酸を主たるジカルボン酸成分、およびエチレングリコ
−ルを主たるジオ−ル成分する。テレフタル酸以外のジ
カルボン酸としてはイソフタル酸、フタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、4,4′−
ジフェニルエ−テルジカルボン酸、4,4′−ジフェニ
ルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホン
ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルイソプロピリデン
ジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−4′,
4″−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、2,
5−ピリジンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボ
ン酸、スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカル
ボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;デカリンジカ
ルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカ
ルボン酸;β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキ
シ安息香酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシアク
リル酸等のヒドロキシカルボン酸;またはこれらのエス
テル形成性誘導体から誘導されたカルボン酸、ε−カプ
ロラクトン等の脂肪族ラクトンを挙げることができ、こ
れらの芳香族ジカルボン酸単位は1種類のみまたは2種
類以上、全ジカルボン酸成分に対して10モル%以下の
割合で含まれていてもよい。
【0011】またエチレングリコ−ル以外のジオ−ル成
分として、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレング
リコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル、ネオペンチルグ
リコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ
−ル等の脂肪族ジオ−ル;ヒドロキノン、カテコ−ル、
ナフタレンジオ−ル、レゾルシン、ビスフェノ−ルA、
ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物、ビスフ
ェノ−ルS、ビスフェノ−ルSのエチレンオキサイド付
加物等の芳香族ジオ−ル;シクロヘキサンジメタノ−ル
等の脂環族ジオ−ルなどを挙げることができ、これらの
ジオ−ルは1種類のみまたは2種類以上、全ジオ−ル成
分に対して10モル%以下の割合で含まれていてもよ
い。
【0012】さらに本発明に係わるポリエステルには、
ポリエステルが実質的に線状である範囲内でトリメリッ
ト酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル
酸等の多価カルボン酸;グリセリン、トリメチロ−ルエ
タン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスルト−ル
等の多価アルコ−ルが含まれていてもよい。
【0013】本発明に係わるポリエステルには、下記式
(I)で表される化合物および/または下記式(II)で
表される化合物が共重合されていることが必要である。
【0014】
【化7】 (式中、mは0、1または2を表す。)
【0015】
【化8】 (式中、Rは水素原子または低級アルキル基を表し、n
は0、1または2を表す。)
【0016】式(I)で示される化合物のみが共重合さ
れる場合、その共重合量はポリエステルを構成する全ジ
オ−ル成分に対して1〜20モル%、好ましくは2〜1
5モル%の範囲である。また式(II)で示される化合物
のみが共重合される場合、その共重合量は全ジカルボン
酸成分に対して1〜20モル%、好ましくは2〜15モ
ル%の範囲である。式(I)および式(II)の化合物を
共重合成分とする場合は、その共重合量はそれらの和に
おいて、全ジカルボン酸成分に対して1〜20モル%で
あり、2〜15モル%の範囲であることが好ましい。
【0017】式(I)で示される化合物および/または
式(II)で示される化合物の共重合量が1モル%未満の
場合、ポリエステルのガラス転移温度が上昇の効果が小
さく、かかるポリエステル未延伸糸を本発明の条件で延
伸しても未延伸部と延伸部との斑が発現しない。一方、
該化合物の共重合量が20モル%を越える場合、結晶性
のポリエステルが得られにくく、たとえ得られたとして
もポリエステル繊維に要求される強度等の繊維物性を満
足するものではない。また、式(I)で示される化合物
または式(II)で示される化合物の共重合量が増す程、
ポリエステルの結晶化度および融点の低下が見られる
が、ガラス転移温度は上昇するので、要求される斑の発
現状況を考慮して共重合量を変化させればよい。
【0018】本発明に係わるポリエステルの固有粘度
〔フェノ−ル/テトラクロロエタン(重量比50/5
0)の混合溶媒を用い、30℃で測定〕は0.4〜1.
5であることが好ましい。
【0019】上記ポリエステルは、ポリエチレンテレフ
タレ−トなどの通常のポリエステル樹脂を製造するのに
一般的に採用されている通常の方法に準じて製造するこ
とができる。たとえば、テレフタル酸を主とするジカル
ボン酸またはその低級アルキルエステルからなるジカル
ボン酸原料と、エチレングリコ−ルを主とするグリコ−
ル原料とを、エステル化反応またはエステル交換反応さ
せて低重合体を製造した後、この低重合体を、三酸化ア
ンチモン、酸化ゲルマニウム、テトラアルコキシエタン
等の重合触媒を用いて、減圧下230〜300℃で重縮
合反応を行なって所望の粘度のポリエステルを製造す
る。さらに所望により固相重合によって重合度を高め
て、固有粘度の高いポリエステルを製造することができ
る。この製法において、グリコ−ル原料の一部として上
記式(I)で示される化合物を用いるか、ジカルボン酸
原料の一部として上記式(II)で示される化合物を用い
るか、あるいはこれらの両方を用いることにより、本発
明に係わるポリエステルが得られる。
【0020】上記のポリエステルは本発明の効果・作用
が損なわれない範囲内の量で他の熱可塑性樹脂を添加し
たり、紫外線吸収剤、着色防止剤、耐熱剤、蛍光増白
剤、酸化防止剤、艶消剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助
剤、潤滑剤、可塑剤、無機微粒子等の添加剤が含有され
ていてもよい。
【0021】上記のポリエステルは式(I)で示される
化合物および/または式(II)で示される化合物が共重
合されることにより、そのガラス転移温度がPETより
も高くなる。このようにPETよりもガラス転移温度を
高くすることにより、通常斑糸を製造する際に延伸倍率
を低くしなくても、すなわち、通常のPET延伸糸を作
製する際の最大延伸倍率の0.7倍程度の高延伸倍率で
も延伸時の延伸予熱温度を低温に設定することができ、
任意に斑糸を製造することができるのである。この延伸
予熱温度はポリエステルのガラス転移温度より10℃以
上低い温度である。なお、延伸温度は室温から、式
(I)で示される化合物および/または式(II)で示さ
れる化合物が共重合されたポリエステルのガラス転移温
度の範囲であることが好ましい。
【0022】本発明のポリエステルマルチフィラメント
糸条は、上記ポリエステル未延伸糸を、該共重合ポリエ
ステルのガラス転移温度以下、好ましくはガラス転移温
度より8℃以上低い温度で予熱し、ついで該未延伸糸の
最大延伸倍率の0.55〜0.75倍、好ましくは0.
58〜0.71倍の延伸倍率で延伸し、100〜150
℃で熱セットすることにより製造される。このような条
件で延伸することにより、未延伸部(太繊度部)と延伸
部(細繊部)とが任意に発現し、たとえば長い未延伸部
と延伸部とが周期的に発現し、布帛にした時に染色によ
る濃淡のコントラストが相対的に強いものから、未延伸
部と延伸部との発現が小さく、染色した場合の濃淡のコ
ントラストが弱いもの、すなわち無地杢調のものまで所
望に応じて製造することができる。
【0023】本発明により、通常のPET延伸糸を製造
する際に適用される高延伸倍率で斑糸を製造することが
可能になり、延伸時の延伸張力が高くなり、延伸ロ−ラ
等への糸条の巻き付けなどの問題点が解消し、しかもス
ピンドロ−方式等の紡糸直結延伸による合理化生産が可
能になった。また、延伸糸の繊維物性がPET延伸糸に
ひけをとらず、アルカリ減量処理を施しても処理後の強
度低下が小さく、アルカリ減量加工も問題なく実施する
ことができる。さらに、未延伸部がある程度配向してい
るために、極端な濃色に染色されることもなくので、天
然繊維からなる紡績糸におけるような自然でかつ良好な
深みのある表面効果、とくに杢調を有するポリエステル
太細マルチフィラメント糸条が得られる。
【0024】本発明のマルチフィラメント糸条は単一繊
度マルチフィラメントでもよく、デニ−ル数の異なる複
数種の太細フィラメントを組み合わせたデニ−ルミック
スフィラメント糸条であってもよい。また、無地杢調の
自然で高級な仕上がり、霜降り調等、目的に応じて糸条
の繊度を選択することができる。
【0025】上記のマルチフィラメント糸条を構成する
フィラメント中の最大断面の断面積に対する最小断面の
断面積比は1.1〜3.0、好ましくは1.2〜2.8
であることが必要である。断面積比が1.1未満では、
染色による濃淡のコントラストが小さく、太細斑も迫力
に欠ける。一方断面積比が3.0を越えると濃色差が大
となり、布帛の表面効果がいやらしくなる。さらに、上
記のマルチフィラメント糸条を構成するフィラメントの
細部から太部に変位する角度θがtanθ≦1を満足す
ることが必要である。このような角度を有することによ
り、自然で良好な布帛の表面効果が得られる。
【0026】本発明においては、構成フィラメントの断
面形状はとくに限定されるものではなく、三〜八角断面
等の異形断面、丸断面いずれの場合にも効果を発揮す
る。
【0027】本発明のポリエステルマルチフィラメント
糸条は、通常のポリエステルマルチフィラメント糸条と
同様に、仮撚加工を施し、各種の織編物にすることがで
き、とくに衣料用の織編物に適している。本発明のポリ
エステルマルチフィラメント糸条から製造された織編物
は自然でありながら、変化や多様性に富み、長く使用し
ても飽きのこない良好で深みのある色調、外観、風合、
触感等を有している。染色は糸の段階で行なっても、ま
たは織編物にした後に行なってもよい。さらに布帛とし
た際にアルカリ減量処理を施してもよい。本発明のポリ
エステルマルチフィラメント糸条を形成するポリエステ
ルは式(I)で示される化合物および/または式(II)
で示される化合物が特定量共重合されることにより、そ
のガラス転移温度が上昇するとともに、染色堅牢度が低
下することがないので、とくに表情豊かなカ−シ−トあ
るいは衣料用織編物等に公的である。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に何等限定されない。な
お、実施例における、各物性は以下の方法により測定し
た。 (1)式(I)および式(II)で示される化合物の共重
合率(モル%) 溶媒として重水素化トリフルオロ酢酸を用い、本発明に
係わるポリエステルの1 H−NMR測定結果に基づき算
出した。
【0029】(2)共重合ポリエステルの各物性 ポリエステルのガラス転移温度(以下Tgと略す)
(℃)、融点(以下、Tmと略す)(℃)をDifferenti
al Scanning Calorimeter (メトラ−TA3000、パ
−キンエルマ−社製)を使用し、試料10mg、昇温お
よび降温速度10℃/分の条件で、窒素置換を行ないな
がら測定し、同じ試料でこの操作を2回繰り返して2回
目の値を実測値とした。
【0030】(3)ポリエステル繊維の強度(g/デニ
−ル)および伸度(%) JIS L 1013に準拠して測定した値である。
【0031】(4)マルチフィラメント糸条を構成する
フィラメントの断面積 糸の長手方向に任意の5ケ所の断面写真を取り、各々の
最大断面の断面積と最小断面の断面積を測定し、5点を
平均した値で示す。
【0032】(5)マルチフィラメント糸条を構成する
フィラメントの細部から太部に変位する角度θ 糸の長手方向に任意の10ケ所の写真を撮り、細部から
太部への角度を測定した。
【0033】(6)糸の強度保持率(%) アルカリ減量処理後の布帛を乾燥し、布帛より糸を解舒
し、JIS L 1070に準拠して糸の強度を求め、
アルカリ減量処理前の糸と比較して、低下率を算出し
た。
【0034】実施例1 パ−ヒドロジメタノナフタレンジメタノ−ル〔式(I)
で示される化合物においてm=1である化合物〕6.7
モル%、エチレングリコ−ル93.3モル%からなるジ
オ−ル原料と、テレフタル酸とから、ジオ−ル原料:テ
レフタル酸のモル比が1.2:1になるように調整して
スラリ−を形成し、このスラリ−を加圧下(絶対圧2.
5kg/cm2 )、温度250℃でエステル化率が95
%になるまでエステル化反応を行ない低重合体を製造し
た。次に触媒として350ppmの三酸化アンチモンを
添加し、絶対圧1torrの減圧下に280℃で1.5
時間低重合体を重縮合し、固有粘度が0.65dl/g
のポリエステルを製造した。このポリエステルをノズル
からストランド状に押し出して切断し、直径2.8m
m、長さ3.2mmの円柱状チップを製造した。
【0035】得られたポリエステルチップを1 H−NM
Rにより分析したところ、該ポリエステルはパ−ヒドロ
ジメタノナフタレンジメタノ−ルが全ジカルボン酸単位
中8モル%共重合されていることが確認された。さらに
得られたポリエステルチップのTgは83℃、Tmは2
32℃、△Hは28J/gであった。
【0036】このポリエステルを用い、紡糸速度100
0m/分、油剤(糸−糸動摩擦係数0.29)を付着量
0.9重量%の条件下に紡糸し、146デニ−ル/16
フィラメントのフィラメント群と、146デニ−ル/3
6フィラメントのフィラメント群が合糸された、最大延
伸倍率が4.25倍のポリエステルデニ−ルミックスマ
ルチフィラメント未延伸糸(292デニ−ル/52フィ
ラメント)を得た。
【0037】ついで、該未延伸糸をホットロ−ラ温度7
0℃で予熱した後、延伸倍率2.97倍で延伸し、ホッ
トロ−ラ温度120℃で熱セットして巻き取り、50デ
ニ−ル/16フィラメントのフィラメント群(単繊維繊
度3.1デニ−ル)と、50デニ−ル/36フィラメン
トのフィラメント群(単繊維繊度1.39デニ−ル)が
合糸された100デニ−ル/52フィラメントのポリエ
ステルデニ−ルミックスマルチフィラメント延伸糸を得
た。この糸を構成するフィラメントの断面積比を表2に
示す。またθを測定したところ、tanθは1以下であ
った。この糸を用いて織物を作製して、下記の染料で染
色したところ、自然な杢調の表面効果を有していた。
【0038】 染色条件 染色浴: 染料:Sumikaron Res S-BL(住友化学社製) 3%owf 分散剤:Dispe TL(明成化学社製) 1g/リットル pH調整剤:酢酸 0.5cc/リットル 浴比 50:1 染色温度 130℃ 染色時間 60分 洗浄条件 水酸化ナトリウム 1g/リットル アミラジン(第一工業製薬製) 1g/リットル ハイドロサルファイド 1g/リットル 浴比 50:1 洗浄温度 80℃ 洗浄時間 20分
【0039】上記の織物を下記のアルカリ減量条件で処
理したところ、糸の強度保持率が90%以上であること
が認められた。
【0040】 アルカリ減量条件: 水酸化ナトリウム 40g/リットル 浴比 100:1 減量率 30%
【0041】前述した共重合ポリエステルを用い、前述
の紡糸条件と同一の条件でノズルから吐出し、1000
m/分で引取り、そのまま連続して延伸し斑糸を作製し
たが、工程性は良好であった。
【0042】比較例1 〔η〕=0.65のPETを用いて、実施例1と同様の
紡糸条件で紡糸し、146デニ−ル/16フィラメント
のフィラメント群と、146デニ−ル/36フィラメン
トのフィラメント群が合糸された、最大延伸倍率が4.
27倍のポリエステルデニ−ルミックスマルチフィラメ
ント未延伸糸(236デニ−ル/52フィラメント)を
得た。
【0043】ついで、該未延伸糸を、ホットロ−ラ温度
50℃で予熱した後、延伸倍率2.16倍にする以外は
実施例1と同様の条件で延伸して巻き取り、67デニ−
ル/16フィラメントのフィラメント群(単繊維繊度
4.1デニ−ル)と、67デニ−ル/36フィラメント
のフィラメント群(単繊維繊度1.86デニ−ル)が合
糸された134デニ−ル/52フィラメントのポリエス
テルデニ−ルミックスマルチフィラメント延伸糸を得
た。延伸性は不良で、延伸ロ−ラへの巻き付きが多発し
トラブルが発生した。また得られた延伸糸を用いて織物
を作製したが、tanθが1を越えており、人工的で不
自然であった。
【0044】実施例2〜4 表1に示す割合で、式(I)または式(II)で示される
化合物を共重合したポリエステルを用い、実施例1と同
様にして紡糸、延伸し、布帛化、染色して評価した結果
を表2に示す。いずれも工程性が良好で、スパンライク
糸の杢調を有していた。
【0045】実施例5〜6 表1に示す割合で、式(I)または式(II)で示される
化合物を共重合したポリエステルを用いて紡糸し、それ
ぞれ最大延伸倍率が4.20倍で三角断面の148デニ
−ル/36フィラメントの未延伸糸を得た。ついで表2
に示す延伸条件で延伸して50デニ−ル/36フィラメ
ントのマルチフィラメント糸条を得た。得られた糸条を
用いて織物を作製し、染色して評価した。結果を表2に
示す。
【0046】比較例2〜3 表1に示す割合で式(I)または式(II)で示される化
合物を共重合した共重合ポリエステルを用いて紡糸し、
表2に示す条件で延伸して134デニ−ル/52フィラ
メントのポリエステルデニ−ルミックスマルチフィラメ
ント糸条を得た。延伸性は不良で、延伸ロ−ラへの巻き
付きおよび単糸間の膠着が多発するトラブルが発生し、
測定可能な延伸糸は得ることができなかった。
【0047】比較例4 〔η〕=0.65のPETを用いて紡糸し、最大延伸倍
率が4.25倍の150デニ−ル/36フィラメントの
未延伸糸を得た。ついで表2に示す延伸条件で延伸して
50デニ−ル/36フィラメントの延伸糸を得た。延伸
工程性は良好であったが、この延伸糸を用いた織物の染
色評価は、太細斑の迫力に欠け、異色効果に劣るもので
あった。
【0048】比較例5 表1に示す割合で式(I)で示される化合物を共重合し
た共重合ポリエステルを用いて紡糸し、表2に示す条件
で延伸して50デニ−ル/36フィラメントの延伸糸を
得た。延伸性は不良出、延伸ロ−ラへの巻き付きが多発
するトラブルが発生した。一応得られた延伸糸を用いて
織物を作製したが、人工的で不自然であった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、異染効果、風合改良に
極めて優れたポリエステルマルチフィラメント糸条を工
程性良く、安定に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中務 茂樹 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内 審査官 澤村 茂実 (56)参考文献 特開 平3−200830(JP,A) 特開 平5−5026(JP,A) 特開 平7−70871(JP,A) 特開 平5−17560(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 6/62 301 - 303 D01F 6/84 301 - 311 C08G 63/199

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テレフタル酸を主たるジカルボン酸成分と
    し、エチレングリコ−ルを主たるジオ−ル成分とするポ
    リエステルであり、下記式(I)で表される化合物を全
    ジオ−ル成分に対して1〜20モル%、および/または
    下記式(II)で表される化合物を全ジカルボン酸成分に
    対して1〜20モル%共重合してなるポリエステルから
    なるマルチフィラメント糸条であって、該糸条を構成す
    る各フィラメントは長さ方向に繊度斑を有し、該フィラ
    メントの最大断面の断面積と最小断面の断面積との比が
    最大/最小=1.1〜3.0であり、かつ該フィラメン
    トの細部から太部に変位する角度θがtanθ≦1であ
    ることを特徴とするポリエステルマルチフィラメント糸
    条。 【化1】 (式中、mは0、1または2を表す。) 【化2】 (式中、Rは水素原子または低級アルキル基を表し、n
    は0、1または2を表す。)
  2. 【請求項2】テレフタル酸を主たるジカルボン酸成分と
    し、エチレングリコ−ルを主たるジオ−ル成分とするポ
    リエステルであり、下記式(I)で表される化合物を全
    ジオ−ル成分に対して1〜20モル%、および/または
    下記式(II)で表される化合物を全ジカルボン酸成分に
    対して1〜20モル%共重合してなるポリエステルから
    なるマルチフィラメント未延伸糸条を、該ポリエステル
    のガラス転移点温度以下の温度で予熱し、該未延伸糸の
    有する最大延伸倍率の0.55〜0.75倍の延伸倍率
    で延伸することを特徴とするポリエステルマルチフィラ
    メント糸条の製造方法。 【化3】 (式中、mは0、1または2を表す。) 【化4】 (式中、Rは水素原子または低級アルキル基を表し、n
    は0、1または2を表す。)
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