JP2006265786A - ポリトリメチレンテレフタレート極細糸 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ソフト性、易染性、発色性に優れたポリトリメチレンテレフタレートを用い、発色性および染色の均一性に優れた極細糸を提供する。
【解決手段】 90モル%以上がトリメチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリトリメチレンテレフタレートを含む複合繊維を溶出処理して得られるポリトリメチレン
テレフタレート極細糸であって、極限粘度が0.8〜2.0、単繊維繊度が0.01〜0.5dtex、繊度変動度U%が1.0%以下、マルチフィラメント中の単繊維繊度ばらつき(繊度CV)が5%以下であることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート極細糸。
【選択図】なし
Description
(1)90モル%以上がトリメチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリトリメチレンテレフタレートを含む複合繊維を溶出処理して得られるポリトリメチレンテレフタレート極細糸であって、極限粘度が0.8〜2.0、単繊維繊度が0.01〜0.5dtex、繊度変動度U%が1.0%以下、マルチフィラメント中の単繊維繊度ばらつき(繊度CV)が3%以下であることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート極細糸。
(2)強度が3.0〜5.0cN/dtex、伸度が30〜60%であることを特徴とする上記(1)に記載のポリトリメチレンテレフタレート極細糸。
本発明の極細糸の収縮性能は、沸騰収縮率で9〜20%、160℃乾熱収縮率で12〜30%、熱収縮応力ピーク値で0.2〜0.5cN/dtexの範囲が適度なソフト感と発色性を得るうえで適当である。また、初期引張抵抗度は20〜40cN/dtexの範囲が適度なソフト感を得るうえで適当である。
引き取り速度は500〜6000m/分のいずれの速度においても可能である。2工程法と呼ばれる未延伸糸を一旦巻き取って後、延伸を行う方法においては、引き取り速度は500〜2000m/分で行うのが定法である。また、4000m/分までの領域で引き取り、部分配向糸を一旦巻き取って後、延伸を行っても良い。部分配向糸を得る際には巻き取る前に熱処理を行い、熱による結晶化を促進させた後巻き取る方法が均一な諸物性を得るうえで好ましい。一方、1工程法では、4000〜6000m/分の速度で一気に延伸糸を得る方法が挙げられる。この際も、巻き取り前に熱処理を行うことが効果的である。さらに、直接紡糸延伸法と呼ばれる方法も挙げられる。この方法は、500〜4000m/分の未延伸糸または部分配向糸領域において引き取り、一旦巻き取ることなく、予熱、延伸、熱処理を行い延伸糸とした後巻き取る方法である。以上挙げた紡糸、延伸方法においては、延伸倍率は延伸糸伸度が本件規定の範囲となるように適宜設定するのが良い。また、紡糸、延伸いずれかの工程において、巻取りまでに公知の交絡装置を用い、交絡を施すことも可能である。必要であれば複数回付与することで交絡数を上げることが可能となる。さらには巻取り直前に、追加で油剤を付与するのも良い。
(1)極限粘度
極限粘度[η]は、次の定義式に基づいて求められる値である。
(2)U%
Zellweger社製USTER TESTER 4−CXを使用し、200m/分の速度で1分間糸を給糸しながらノーマルモードで測定を行った。
(3)単繊維繊度ばらつき(繊度CV)
マルチフィラメントの全単繊維の断面写真を撮影し、断面積から単繊維繊度を計算し、マルチフィラメントの全単繊維繊度の標準偏差を平均の単繊維繊度で除した値の百分率とした。任意の点、5点について断面撮影、算出し、その平均値を単繊維繊度ばらつき(繊度CV)とした。
(4)強度、伸度
JIS L1013(1999)に従い測定した。
(5)沸騰水収縮率
沸騰水収縮率(%)={(L0−L1)/L0}×100
L0:原糸を1m×10回巻きのかせ取りをし、測定荷重0.029cN/dtexでのかせ長
L1:原糸を無荷重の状態で100℃の沸騰水にて15分間処理し、風乾後、測定荷重0.029cN/dtexを掛けたときのかせ長
(6)染色均一性
製糸開始直後(サンプルA)と製糸開始24時間後(サンプルB)のサンプルを筒編みし、染料としてテトラシールネイビーブルーSGL0.275%owf、助剤としてテトロシンPE−C5.0%owf、分散剤としてニッカサンソルト#12001.0%owfを用い、浴比1:100にて50℃15分、さらに90℃20分にて染色を行った。染色後のサンプルは染色むら、サンプルA、B間の染色差を総合的に官能検査し3段階評価した。尚、合格レベルは○以上である。
○ :優れている
× :均一性に乏しい
(7)発色性
(6)と同様の染色後サンプルを用い、官能検査により3段階評価した。尚、合格レベルは○以上である。
○ :優れている
× :ポリエチレンテレフタレート繊維同等
実施例1
光学純度98.0%のポリ−L−乳酸と極限粘度1.1のホモ3GTをそれぞれエクストルーダーを用い、それぞれ210℃、250℃にて溶融後、ポンプによる計量を行い、250℃にて図1に示すような海島型複合形態を形成すべく公知の口金に流入させた。複合重量比はポリ乳酸3に対し、3GT7の割合とした。各ポリマーの配管通過時間は、ポリ乳酸が20分、3GTは11分であった。口金から吐出された糸条は、冷却、油剤付与後、2700m/分の速度で55℃に加熱されたホットローラーに引き取られ、一旦巻き取ることなく、4300m/分の速度で150℃に加熱されたホットローラーに引き回し、延伸、熱セットを行った。さらに、4200m/分にて2個のゴデットローラーを引き回した後、4080m/分にて巻き取り、72dtex−36フィラメントの8島の海島型複合糸を得た。巻取機入口での張力は0.13cN/dtexであった。得られた複合糸を25℃の3%水酸化ナトリウム水溶液中にてポリ乳酸が完全に溶出するまで処理し極細糸とした。極細糸の物性および風合評価の結果は表1の通りであり、染色均一性、発色性に優れたものであった。
70島の海島型複合繊維用の口金を用い、4070m/分で巻き取った以外は、実施例1と同様の条件にて製糸し、72dtex−9フィラメントの70島の海島型複合繊維を得た。実施例1と同様に溶出処理を行い、極細糸を得た。染色均一性、発色性に優れたものであった。
140島の海島型複合繊維用の口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件にて製糸し、
56dtex−12フィラメントの140島の海島型複合繊維を得た。実施例1と同様に溶出処理を行い、極細糸を得た。超極細糸であったが染色均一性、発色性は良好であった。
7島の海島型複合繊維用の口金を用い、複合重量比をポリ乳酸2に対し3GT8とした以外は、実施例1と同様の条件にて製糸し、84dtex−24フィラメントの7島の海島型複合繊維を得た。実施例1と同様に溶出処理を行い、極細糸を得た。染色均一性、発色性に優れたものであった。
表1に示すように、3GTの極限粘度をそれぞれ0.9、1.5とした以外は実施例1と同様の条件にて製糸し、72dtex−36フィラメントの8島の海島型複合糸を得た。染色均一性、発色性に優れたものであった。
口金を変更し図2に示すような6分割型の割繊型複合繊維とした以外は、実施例1と同様に製糸し複合糸を得た。実施例1と同様に溶出処理を行い、極細糸とした。染色均一性、発色性とも優れており、丸断面では見られない独特の表面感を持った布帛を得た。
極限粘度1.1のホモ3GTを用い、260℃でエクストルーダーにて溶融した後、ポンプにて計量を行い、260℃の温度で口金から吐出させた。冷却後、油剤を付与し、1200m/分の速度で一旦巻取り、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を50℃にてホットロール予熱し、延伸倍率2.5倍、ホットロール熱処理120℃にて延伸、熱処理を行い、800m/分にて巻取り、56dtex−140フィラメントの極細糸を得た。得られた極細糸の物性および風合い評価の結果は表2に示す通りであり、U%が悪く、経時での単繊維ばらつきが大きいため、染色の均一性が悪く、伸度が低く、発色性にも劣るものであった。
56dtex−180フィラメントの極細糸を比較例1と同様の条件にて得ようとしたが、製糸性、延伸性が悪く、サンプル採取ができなかったため評価不可であった。
極限粘度0.6の3GTを使用した以外は比較例1と同様の条件にて製糸し極細糸を得た。強度、伸度が低く、染色均一性、発色性に劣るものであった。
実施例1と同様の条件にて製糸したが、冷却ゾーンにおいて、強制的に外乱風を当てた。得られた極細糸は、U%が悪く、スジ状に染色ムラが確認された。
2 易溶出ポリマーからなる領域(溶出成分)
Claims (2)
- 90モル%以上がトリメチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリトリメチレンテレフタレートを含む複合繊維を溶出処理して得られるポリトリメチレンテレフタレート極細糸であって、極限粘度が0.8〜2.0、単繊維繊度が0.01〜0.5dtex、繊度変動度U%が1.0%以下、マルチフィラメント中の単繊維繊度ばらつき(繊度CV)が5%以下であることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート極細糸。
- 強度が3.0〜5.0cN/dtex、伸度が30〜60%であることを特徴とする請求項1記載のポリトリメチレンテレフタレート極細糸。
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