JP2005113309A - 異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維 - Google Patents

異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】特定の異形断面を有し、ソフト性およびおよびストレッチ性に優れ、熱処理にて螺旋構造を発生してスパンライクな風合いを有し、吸水性にも優れるポリトリメチレンテレフタレート繊維を提供する。
【解決手段】ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルからなる繊維であって、繊維横断面が中心部とこれと連結した複数の突起部とからなる異形断面形状を有し、異形度が1.5以上、強度が1.2cN/dtex以上、沸水収縮率が35%以下、10%伸長弾性回復率が60%以上であり、熱処理により螺旋構造を発現する異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維。
【選択図】図1

Description

本発明は、異形断面を有するポリトリメチレンテレフタレート繊維に関し、さらに詳しくは、特定の異形断面を有し、ソフト性およびおよびストレッチ性に優れ、熱処理にて螺旋構造を発生してスパンライクな風合いを有し、吸水性にも優れる異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維に関する。
ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、ポリエステル本来の特性である優れた寸法安定性、耐光性、低吸湿性、熱セット性を維持し、弾性回復に優れた特性をもっているので、ストレッチ素材として注目され、近年、上市されている。ポリトリメチレンテレフタレートは、融点・結晶化温度・ガラス転移温度の熱的特性はポリエチレンテレフタレートとは異なるが、基本的にはポリエチレンテレフタレートの製造条件をスライドして製造することができる。このため、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、通常の延伸糸・仮撚り加工糸だけでなく、サイドバイサイド型の複合繊維、混繊糸などの差別化素材の検討もなされ、種々の提案がなされている。ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、ストレッチ性・低ヤング率に起因するソフト性・濃色性などの機能性の面ではポリエチレンテレフタレート繊維に対比して特徴ある機能を有する。反面、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、感性面ではポリエチレンテレフタレート繊維と対比して人工的なタッチとなる。このため、ファッションの多様化した現在、感性面でも優れたポリトリメチレンテレフタレート繊維が望まれている。ところで、特にポリトリメチレンテレフタレート繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維に比べてアルカリ減量速度が遅く、かつ減量品のタッチも満足できるものではないので、スパンライクな風合いを有するポリトリメチレンテレフタレート繊維の出現が望まれており、さらにその機能性の面でも吸水性などのさらなる機能性付与が望まれていた。
感性面での改善の試みとしては、特許文献1(特開平2001−200437号公報)、特許文献2(特開平11−140743号公報)などに、種々検討されている。しかしながら、これらの改善方法は、複数の異なる特性を有するポリトリメチレンテレフタレート繊維を混合する、いわゆる混繊糸の形態を有しているので、ポリマーコストが高いポリトリメチレンテレフタレートにおいては生産コストが上がり、工業的見地からするとより合理性が求められていた。また、得られる布帛の風合いは、基本的にはシルキータッチのものとなり、スパンライクな感性という見地からすると、よりスパンライク感の向上が求められていた。
一方、混繊することなく1本の糸条としてスパンライクなタッチを得る試みとしては、特許文献3(特開2002−194621号公報)、あるいは特許文献4(米国特許第3,017,739号明細書)に熱収縮および熱応力を異にする複数のポリマーを多葉断面状に配置した複合繊維の記載があり、その熱収縮差および熱応力差にてスパイラル状の形態を得る試みがある。この場合、確かにスパイラル状の形態にはなるが、複合繊維のため生産コストが高いということ、さらには、複数のポリマーを安定して多葉状に配置するという品質安定という工業生産の観点から、なお一層改善の余地があった。
単一ポリマーによる螺旋構造に関する試みは、特許文献5(米国特許第3,219,739号明細書)に、ヒレを有するフィラメントを形成させ旋回フィラメントを得る記載があるが、再現性の課題があり実用化が難しかった。
一方、異形断面繊維も例外ではなく幾つかの試みがある。例えば、特許文献6(特開昭51−17326号公報)、特許文献7(特開昭52−59723号公報)、特許文献8(特開昭51−17327号公報)には、T型異形断面糸、十字形異形断面糸により反転するコイルクリンプを得る狙いがあるが、均一性に課題があった。
さらに、特許文献9(特許第3318572号公報)、特許文献10(特公昭51−7207号公報)には、異形断面糸によるシックアンドシンにてスパイラル状の形態を得る試み記載されているが、太細糸を形成するため染着差が生じること、十分なスパイラル構造を得るためは、低速紡糸のシックアンドシン延伸を必要とするため、未延伸糸の管理および生産性に課題があった。また、これらの先行技術は、実質的にポリエチレンテレフタレート繊維に関するものであり、ストレッチ性・ソフト性・濃色性の観点から、ポリエチレンテレフタレートの範疇を超えるものではなかった。
一方、ポリトリメチレンテレフタレート繊維における異形断面繊維としての試みは、例えば特許文献11(特開2001−115334号公報)に記載されている。これは、異形中空断面にて軽量・ドライ感風合いを有する中空ポリトリメチレンテレフタレート繊維に関するものである。しかしながら、この場合は、単なる異形断面繊維であり、スパンライク感という感性的見地に立つならば、必ずしも満足が得られるものではなかった。
特開平2001−200437号公報 特開平11−140743号公報 特開2002−194621号公報 米国特許第3,017,739号明細書 米国特許第3,219,739号明細書 特開昭51−17326号公報 特開昭52−59723号公報 特開昭51−17327号公報 特許第3318572号公報 特公昭51−7207号公報 特開2001−115334号公報
本発明の目的は、熱処理により螺旋構造を発現し、優れたストレッチ性・ソフト性・染色性とともに、スパンライクな風合いを有し、吸水性にも優れた繊維が得られる異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維を提供することにある。
本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルからなる繊維であって、繊維横断面が中心部とこれと連結した複数の突起部とからなる異形断面形状を有し、異形度が1.5以上、強度が1.2cN/dtex以上、沸水収縮率が35%以下、10%伸長弾性回復率が60%以上であり、熱処理により螺旋構造を発現することを特徴とする異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維に関する。
本発明の異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維からは、これを熱処理して螺旋構造を発現し、優れたストレッチ性・ソフト性・染色性とともに、スパンライクな風合いを有し、吸水性にも優れた繊維を得ることができる。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに、特定の異形断面を有し、その物性を適正にコントロールしたとき、熱処理により螺旋構造を発現し、上記課題を解決できることを見出した。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明において、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルとは、全繰り返し単位の80モル%以上、好ましくは85モル%以上がトリメチレンテレフタレートであるポリエステルである。かかるポリエステルには、テレフタル酸および1.3−プロパンジオール以外の成分を全酸成分に対して20モル%以下、好ましくは15モル%以下共重合したものであっても良い。
好ましく用いられる共重合成分としては、酸成分としてはフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルフォイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などを例示することができる。
また、グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、2,2−ビス{4−(β―ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパンなどを例示することができる。
本発明に用いられるポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度(o−クロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定)は、通常の衣料用布帛素材用として用いられているポリトリメチレンテレフタレートと同じ範疇の固有粘度である0.70〜1.5dl/gのものが好ましい。
また、本発明に用いられるポリトリメチレンテレフタレートには、公知の添加剤、例えば、顔料・染料・艶消し剤・防汚剤・蛍光増白剤・難燃剤・安定剤・紫外線吸収剤・滑剤などを配合しても良い。
本発明の異形断面繊維は、繊維横断面が中心部とこれと連結した複数の突起部とからなる異形断面形状を有する。この異形断面形状は、例えば、第2図の如き形状の異形断面のものを例示することができる。すなわち、例えば、複数の扁平状の突起にて構成された形状[図2(ア)]、あるいは、複数の扁平状の突起と略円形状の部分とが連結した形態のもの[図2(イ)]を用いることができる。
突起の数は、好ましくは3〜5、より好ましくは4である。突起の数が3未満では、熱処理によりワカメ状の形態になり易く、目的とする螺旋構造が得られ難くなる傾向にあるので好ましくない。一方、突起の数が5を超えても、冷却による断面の異方性を付与し難くなり、目的の螺旋構造が得られ難くなる傾向にあるので好ましくない。
なお、図2の(ア)の形状を有する異形断面繊維は図3(ア)の断面形状を有する紡糸口金を用いて、また、図2の(イ)の形状を有する異形断面繊維は図3の(イ)の断面形状を有する紡糸口金を用いて、それぞれ、ポリトリメチレンテレフタレートを溶融紡糸することにより得られる。
この際、異形断面繊維の異形度を1.5以上、好ましくは1.8以上、より好ましくは2.2以上、特に好ましくは2.5〜5.0とする必要がある。上記繊維の異形度が1.5未満の場合は、ポリトリメチレンテレフタレート繊維においても、有用な断面方向の収縮差を付与することができず、螺旋構造が発生しない。このため、目的とするスパンライクな風合いを有する布帛を得ることができない。繊維の異形度は大きき方が螺旋構造発生の面で好ましいが、異形度が5.0を超えると、製糸性が大きく低下すること、さらには得られる繊維の強度、伸度が大きく低下する傾向にあり好ましくない。
なお、本発明でいう異形度とは、例えば、図2の(ア)〜(イ)において提示する、a/b比をいう。
本発明の異形断面トリメチレンテレフタレート繊維の強度は、少なくとも1.2cN/dtex以上、好ましくは1.4cN/dtex以上、さらに好ましくは1.6〜2.2cN/dtexである。この理由は、強度が1.2cN/dtex未満の場合は、得られる布帛の引裂き強力が大きく低下するため実用上問題になることが多くなるためである。
また、本発明の異形断面繊維の沸水収縮率は、35%以下とする必要がある。沸水収縮率が35%を超える場合は、風合いが硬くなる。沸水収縮率は、好ましくは30%以下、さらに好ましくは18〜28%である。
本発明の異形断面繊維は、断面形状が非円形で、10%伸張弾性回復率が60%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは72%以上、特に好ましくは74〜85%である。10%伸張弾性回復率が60%未満の場合は、得られる布帛のストレッチバック性が低下する。
本発明において、異形断面繊維が熱処理により螺旋構造を発現することが肝要である。すなわち、1本のフィラメント内に螺旋的な形態を持たせることにより、ポリエチレンテレフタレート繊維に対比して、人工的な感性を有するポリトリメチレンテレフタレート繊維に対してもイレギュラーな風合いを付与することができる。このため、特性を異にする複数のポリトリメチレンテレフタレート繊維を混繊することをしなくても、1本のポリトリメチレンテレフタレート繊維によりスパンライクな風合いの布帛を得ることができるのである。この螺旋構造とは、例えば第1図に示す如き形状のものを指摘している。この現象は、1本の繊維内に存在する収縮差にて発現するものである。
このような現象については、ポリエチレンテレフタレート繊維の場合にも多少存在はするが、ポリエチレンテレフタレート繊維の断面方向の収縮差はそれ程有用ではなく、繊維自体を例えば45%以上の高収縮率を有すること、あるいは、収縮時の拘束がかからない状態にて初めて発現する。
そのため、現実の布帛に適用した場合、収縮にて布帛が大きく縮み極めて硬い布帛になること、さらには高収縮にて繊維自体の配向性が大きく低下するため、得られる布帛は外部からの低応力にても容易に変形してしまうため、実用上使用が全く困難な状況となること、一方、沸水収縮率が実用的な35%以下の場合およびさらには布帛にした時の組織の拘束力にて打ち勝って縮むことはできなく、例えば2mg/deという比較的軽い荷重下でもその螺旋構造が発生しなため実用化に到っていなかった。
そこで、本発明者は、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の挙動はポリエチレンテレフタレート繊維の挙動と大きく異なることに着目した。そして、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、前述した異形断面として断面方向の異方向(収縮差)を大きく発現すること、その結果、収縮の程度を大きくしなくても、例えば35%以下の収縮でも有効な螺旋構造を発現すること、さらには、収縮時の拘束があっても、有用な螺旋構造を有することを見出したのである。
さらに、熱処理の際の弛緩の程度も、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維に対比して大きくすることができ、より有効な螺旋構造を得られることもわかった。
螺旋の数であるが、少なくとも1個/mm、好ましくは3個/mm、より好ましくは5個/mm以上、特に好ましくは10〜100個/mmであることが好ましい。
以上に説明した異形断面繊維は、上記異形度となるようにポリトリメチレンテレフタレートポリマーを、任意の異形断面紡糸口金を用いて吐出孔から溶融して押し出すほか、該溶融ポリマーに対して、口金直下にて一方方向から冷却風を当て、冷却差にて断面方向の配向差を付与して捲縮糸を得る異方冷却紡糸技術を用いるとともに、紡糸速度を適正な条件に設定することにより得ることができる。紡糸速度としては、2,500m/分以上、好ましくは3,000m/分以上、5,500m/分以下が好ましい結果を与える。紡糸速度が2,500m/分未満の場合は、異方冷却効果が出にくく、目的の螺旋構造を有するポリトリメチレンテレフタレート繊維を得られにくくなるだけでなく、沸水収縮率を35%以下、10%弾性回復率を60以上とするのが難しくなる。一方、紡糸速度が5,500m/分を超えると、糸切れが多発し紡糸性が大きく低下し、1.2cN/dtex以上の強度が得られなくなる傾向にある。
本発明において重要なことは、その断面方向の異方性を付与させる目的で行う紡糸過程での糸条の冷却は、それほど急激に実施する必要がないということである。すなわち、本発明の螺旋構造を有するポリトリメチレンテレフタレート繊維は、通常のポリトリメチレンテレフタレート繊維の製造と同じ程度の冷却にて十分目的を達成することができる。衣料用繊維の冷却は、通常は冷却風の風量・風速にて設定され、その値は例えば冷却風が吹き出す点から下部方向10cmで40〜60cm/sec程度の風速でも十分に断面方向の異方性の効果が発現する。
なお、本発明の異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、単独糸として使用できるが、例えば、他の高収縮繊維との混繊の形態でも使用することができる。
本発明の異形断面繊維は、熱処理によって螺旋構造を発現することができる。その熱処理条件は必ずしも限定はされなく、例えば、沸騰水中にて処理しても良く、さらに80〜200℃の乾熱中で処理することにても得ることができる。熱処理時間は、沸騰水中の場合は、5〜60分、好ましくは10〜30分、乾熱中の場合は、温度にもよるが、通常、5〜60分、好ましくは10〜30分程度である。
混繊糸にして使用する場合は、上記熱処理温度で、1〜20%の弛緩熱処理を施した後他の高収縮成分の糸と混繊して巻き取り、使用することができる。
なお、本発明の異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維の総繊度は特に限定はされないが、通常の衣料用素材として用いられているのは40〜200dtex、単繊度は1〜5dtexのものを用いることができる。なお、必要に応じて、交絡処理を施しても良い。
このようにして得られた本発明の異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、製織または製編され、精錬、染色、仕上げ加工処理を経てスパンライクな風合いを有する螺旋構造を有するストレッチ織編物となる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例は本発明の一対応を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例における各項目は、次の方法で測定した。
(1)ポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定した。
(2)強度(cN/dtex)、伸度(%)
繊維試料を気温25℃、湿度60%の恒温恒湿に保たれた部屋に一昼夜放置したのち、サンプルの長さ100mmを(株)島津製作所製引っ張り試験機テンシロンにセットし、200mm/minの速度にて伸張し、破断時の強度、伸度を測定した。
(3)沸水収縮率:下記式で算出した。
3,000デニール(3,333dtex相当)のカセを作成し、荷重200mg/deとして、荷重をかけたときの長さ(L0)を読む。
軽荷重2.0mg/de下で上記カセを30分間沸騰水中で処理し、荷重を外して24時間風乾させる。荷重200mg/deの荷重をかけたときの長さ(L1)を読む。
沸水収縮率(%)=[(L0−L1)/L0]×100
(4)異形度(%)
倍率1,000倍にて撮った断面写真を300%に拡大し、外接円の直径(a)と内接円の直径(b)の比[(a/b)×100]にて求めた。
(5)螺旋構造
上記沸水収縮率を測定したサンプル200倍の側面電顕写真を3倍に拡大し、螺旋構造を調査した。
(6)10%伸張弾性回復率
試料繊維に0.03cN/dtex(1/30g/de)の荷重をかけて伸びきった状態で、島津製作所引っ張り試験機テンシロンにセットし、初期サンプル長200mm、引っ張り速度200mm/minで10%伸張後、直ちに同速度で回復させて伸張回復曲線を記録し、回復時の初荷重と同じになった時のサンプル初期長に対する伸び率を読み取りB(%)とし、下記式で10%伸張弾性回復率を求めた。
10%弾性回復率(%)={(10−B)/10}×100
(7)風合い評価
ポリトリメチレンテレフタレート繊維を28ゲージ丸編機で20cm長の筒編みとし、100℃の熱水中で精錬したあと、160℃でプリセットしたあと、該生機を布帛重量ベース(owf)で2重量%の分散染料(スミカロン ネイビーブルー)を用い、130℃で染色し、170℃にてファイナルセットし、風合いおよび染色性評価用布帛とした。
(ストレッチ性)
レベル−1:両手で引っ張り戻したとき、布帛が完全に戻り、皺や変形が見られない。
レベル−2:両手で引っ張り戻したとき、一部皺や変形が見られる。
(ソフト性)
レベル−1:布帛を握ったとき、粗硬感がなくしなやかなタッチである。
レベル−2:布帛を握ったとき、粗硬感が残り硬いタッチである。
(スパン感)
レベル−1:布帛を握ったとき、サラットした感触であった。
レベル−2:布帛を握ったとき、ヌメリ感の強い感触であった。
(染色性)
レベル−1:均一に染色されていて、濃淡の染色差が見られない。
レベル−2:一部濃淡差が存在し均一な染色性ではない。
(8)吸水性評価
上記風合い評価用の筒編み布帛において、筒編み長を50cmのものを作成し、その一端を水に浸漬し、5分後の水の水面からの上昇長を測定した。
レベル−1:上昇長が20cm以上で吸水速度が大変速い。
レベル−2:上昇長が20cm未満で吸水速度が遅い。
実施例1
図3(ア)に示す十字形態(スリット幅S:0.12mm、スリット長L:0.48mm)の口金(ホール数:24H)を用い、酸化チタンを0.3重量%含有した固有粘度〔η〕0.95dl/gのポリトリメチレンテレフタレートを250℃にて溶融し、吐出量35.0g/分にて押し出し、冷却固化後、3,500m/分の速度で巻き取り、第2図(ア)の如き断面形状を有する100dtex/24filの未延伸糸を得た。紡糸性は良好で、1時間紡糸しても糸切れは発生しなかった。得られた未延伸糸の特性を表1に記す。

得られた未延伸糸は、強度および伸度の力学特性および収縮率の寸法安定性から、そのまま実用可能なレベルであった。また、その収縮率の測定後サンプルの側面について、電顕写真にて調査したところ、図1に示す如き螺旋構造が存在していた。その螺旋形態の数を調査したところ10個/mmと非常細かい状態にて存在していた。
次いで、上記中空繊維を筒編みし染色後、風合いおよび染色性の評価を実施した。
結果を表2に記す。
その風合いは、極めてソフトでやわらかく膨らみがあり、スパンライク性にも優れ、ストレッチ性に富み、濃淡の染色差もない均一な染色性を有していた。
上記資料について、吸水性を調査した。水面からの上昇長は30cmと優れた吸水性を示した。
比較例1
実施例1での未延伸糸の製造において、紡糸温度を280℃にした以外は、全て実施例1と同じ要領にて紡糸し、100dtex/24filの未延伸糸を得た。紡糸性は良好で、1時間紡糸しても糸切れは発生しなかった。得られた未延伸糸の特性を表3に記す。
得られた未延伸糸は、伸度がおよび沸水収縮率が大きかった。また、その収縮率の測定後サンプルの側面について、電顕写真にて調査したところ実施例1で見られた螺旋構造が存在していなかった。
次いで、上記異形断面繊維を筒編みし染色後、風合いおよび染色性の評価を実施した。
結果を表4に記す。




染色性は優れていたが、ストレッチ性がなく、また、風合いも硬くスパンライク感は全くなかった。
上記資料について、吸水性を調査した。水面からの上昇長は12cmと吸水性は優れたものではなかった。
比較例2
実施例1において、吐出量を56.0g/分、巻き取り速度を5,600m/分に変更した以外は、実施例1と同じように紡糸を行った。糸切れが多発して、未延伸糸の採取ができなかった。
比較例3
実施例1において、紡糸温度を238℃に変更した以外は、全て実施例1と同じ要領にて紡糸し、100dtex/24filの未延伸を得た。紡糸性は極めて悪く、1時間の連続紡糸にて糸切れが20回発生し、得られた未延伸糸の外観は極めて毛羽が多く存在していた。得られた未延伸糸の特性を表5に記す。
得られた未延伸糸は、異形度が大きく、沸水収縮率も低いものであったが、強度が著しく低下しており、強度および伸度測定において糸斑が多数存在していた。
なお、収縮率測定後のサンプルの螺旋構造の数は、15個/mmと極めて多く存在していた。
次いで、上記異形断面繊維を筒編みし染色後、風合いおよび染色性の評価を実施した。
結果を表6に記す。
水面からの上昇長は45cmと吸水性は優れたものであり、ストレッチ性およびソフトな風合いが得られたが、染色斑が多数存在しており均一なものではなかった。
比較例4〜6、実施例2〜7
吐出量および紡糸速度を変更し、実施例1の要領にて紡糸し、100dtex/24filの未延伸糸を得た。結果を表7に記す。
螺旋構造の数、染色および風合いおよび吸水性の評価結果を表8に記す。
比較例7
実施例1において、酸化チタンを0.3重量%含有した〔η〕0.64dl/gのポリエチレンテレフタレートを290℃にて溶融し、吐出量30.0g/分にて押し出し、冷却固化後、3,000m/分の速度で巻き取り、第2図(ア)の如き断面形状を有する100dtex/24filの未延伸糸を得た。紡糸性は良好で、1時間紡糸しても糸切れは発生しなかった。
得られた未延伸糸の特性を表9に記す。
螺旋構造の状況・染色および風合いおよび吸水性を表10に記す。
2mmg/deの荷重下では螺旋構造は殆どなく、収縮率が極めて高く風合いが極めて硬いものであった。また、ストレッチ性は全く無く、収縮斑に起因する染め斑が多数存在し、均一な染色物が得られなかった。
また、極めて収縮がおおきので吸水性能が不十分であった。
本発明の異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、特定の繊維断面形状を有し、熱処理により螺旋形状を発現するので、発生する繊維によって、細かな螺旋構造が付与されたスパンライクな風合いと優れた吸水性を有する、ソフトでストレッチ性および染色性に優れストレッチ織編物となる。したがって、本発明の異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、感性面および機能面でも優れた特性を有するものであり、かつ、高速紡糸の1ステップだけでも製造できるので、産業上の面からも極めて有用である。
本発明の螺旋構造を有する繊維の側面の電子顕微鏡写真(200倍)である。 (ア),(イ)はいずれも、本発明に用いられる異形断面繊維の断面の一例を示す拡大模式図である。 (ア),(イ)はいずれも、本発明の紡糸に使用される紡糸口金の断面の一例を示す拡大模式図である。
符号の説明
1 : 外接円
2 : 内接円
a :外接円直径
b :内接円直径
S :スリット状口金のスリット幅
L:スリット状口金のスリット長

Claims (3)

  1. ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルからなる繊維であって、繊維横断面が中心部とこれと連結した複数の突起部とからなる異形断面形状を有し、異形度が1.5以上、強度が1.2cN/dtex以上、沸水収縮率が35%以下、10%伸長弾性回復率が60%以上であり、熱処理により螺旋構造を発現することを特徴とする異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維。
  2. 突起部の数が3〜5である請求項1記載の異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維。
  3. 請求項1または2記載の異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維を熱処理して得られた、螺旋構造を有する異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維。
JP2003348175A 2003-10-07 2003-10-07 異形断面ポリトリメチレンテレフタレート繊維 Pending JP2005113309A (ja)

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