JP4862378B2 - ポリエステル芯鞘複合繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、芯鞘断面構造を有したポリエステル複合繊維に関するものであり、布帛の発色性、ソフト性に優れ、且つ高い強度を有するカーシート用ポリエステル芯鞘複合繊維に関するものである。
テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルに代表されるテレフタル酸の低級アルキルエステルと、トリメチレンテレフタレートを重縮合させて得られるポリトリメチレンテレフタレート(以下、3GTと称する)は、低弾性率、ソフトな風合い、易染性といった特徴が注目され、近年、その需要が大きく拡大している。
しかし、3GT単独の糸では強度の弱い布帛しか得られず、製織編の際、糸に張力が加わると簡単に切れてしまうといった欠点があった。また高強度な糸を得るためには延伸倍率を高くすれば良いことは一般に知られているが、高延伸倍率では伸度が低下するため、発色性が悪くなってしまう。このように3GT単独では、発色性、ソフト性良好且つ高強度なものは得られなかった。
そこでポリトリメチレンテレフタレート単独糸の欠点を補うために、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する)と、3GTとの芯鞘型複合繊維の開発が進められており、公知技術として知られている。例えば芯部にPETを配し、鞘部に3GTを配することによる、強度及び弾性率の補強について開示している(特許文献1参照)。しかしながら、これでは強度の補強と共に弾性率もPETライクとなってしまい、このため発色性、ソフト感がPET同等のものとなり、3GT特有の発色性及びソフト性を両立しながら強度(タフネス)を後加工に良好な領域まで高めることが出来なかった。
更に遮光性良好な繊維を得るために芯部に高濃度の金属酸化物を添加したPETを使用することを開示している(特許文献2参照)。しかしこれも同様に、3GTの特性を半減させてしまい、発色性ではもの足りなくなってしまう。また、公知技術のように3GTの極限粘度がPETの極限粘度より低い場合もしくはPETと3GTの極限粘度差が小さい場合、布帛のソフト性が失われやすいという欠点があった。
また、更には公知技術にて3GT単独糸について開示している(特許文献3参照)。しかしながら、3GT単独では収縮性が高すぎ、織編地の品位低下に繋がる他、製織編の際もしくはその後に布帛のカールが発生するため、カーシート成型時の加工性が著しく低下するといった欠点もあった。
特開平11−93021号公報(特許請求の範囲) 特開平11−81048号公報(特許請求の範囲) WO00/22210号(特許請求の範囲)
本発明は、布帛の発色性、ソフト性に優れ、且つ高い強度を有するカーシート用ポリエステル芯鞘複合繊維を提供するものである。
本発明は上述した従来技術では解決できなかった課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、
(1)テレフタル酸を酸成分としエチレングリコールをグリコール成分とするポリエチレンテレフタレートを芯部に配し、テレフタル酸を酸成分とし、トリメチレングリコールをグリコール成分とするポリトリメチレンテレフタレートを鞘部に配した、長手方向に同心円芯鞘断面形状を有する複合繊維であって、芯部に配するポリエチレンテレフタレートの極限粘度に対し、鞘部に配するポリトリメチレンテレフタレートの極限粘度が高く、且つその差が0.4〜1.0であり、更に下記(A)〜(E)を満足することを特徴とするポリエステル芯鞘複合繊維。
(A)単糸繊度が0.7〜2.1dtexである。
(B)収縮応力曲線において60℃から80℃までの1℃あたりの熱応力上昇値の平均が0.008〜0.02cN/dtex・℃である。
(C)沸水収縮率が9.5〜13.0%である。
(D)総繊度が44〜100dtexである。
(E)強力が235〜295cNである。
(2)下記(F)、(G)を満足し、カーシート用であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル芯鞘複合繊維。
(F)初期引張抵抗度が20〜40cN/dtexである。
(G)繊度変動率が1.0%以下である。
本発明により、従来成し得なかった、発色性、布帛のソフト性に優れ、且つ高い強度を有するカーシート用ポリエステル芯鞘複合繊維を提供できる。
本発明のポリエステル芯鞘複合繊維は同心円芯鞘断面形状を有しており、芯部に配するPETは90モル%以上がエチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートである。ポリエチレンテレフタレートとはテレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、10モル%以下の割合で他のエステル結合を形成可能な共重合成分を含むものであっても良い。共重合可能な化合物として、たとえばイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸などのジカルボン酸類、一方、グリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを挙げることができる。また、艶消剤として、二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤として、ヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを必要に応じて添加することができる。
また鞘部に配する3GTは90モル%以上がトリメチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリトリメチレンテレフタレートである。ポリトリメチレンテレフタレートとはテレフタル酸を主たる酸成分とし、トリメチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、10モル%以下の割合で他のエステル結合を形成可能な共重合成分を含むものであっても良い。共重合可能な化合物として、たとえばイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸などのジカルボン酸類、一方、グリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを挙げることができる。また、艶消剤として、二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤として、ヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを必要に応じて添加することができる。
芯部に配するPETの極限粘度に対し、鞘部に配する3GTの極限粘度を高くし、その極限粘度差は0.4〜1.0である。極限粘度差が0.14未満では、PETの粘度を高くした場合、一般に粘度に合わせ紡糸温度も高く設定する必要があり、高い紡糸温度では3GTの熱劣化が進み、紡糸糸切れの発生はもちろん、低強度糸や更には3GT熱劣化による発色性、ソフト性の低下が起こり、ソフト性においては例えばカーシートとした際に肌触りが悪くなるため好ましくない。また3GTの粘度を低くした場合も同様に、発色性、ソフト性といった3GTの特性が発揮されず、カーシートには適さないため好ましくない。極限粘度差としては好ましくは0.5以上である。一方、極限粘度差が1.0を超える場合は、PETの粘度を低くした場合、PETの強度補強効果が失われ、低強度糸となり、カーシートとしては耐摩擦性や破れに対し弱くなるため好ましくなく、また3GTの粘度を高くした場合には、製糸そのものが困難となるため好ましくない。極限粘度差として好ましくは0.8以下である。
単糸繊度は0.7〜2.1dtexである。単糸繊度が0.7dtexに満たない場合、ソフト性には長けるものの、PETによる強度補強効果が意味をなさず、ハリ、コシ感が失われ、肌触りが悪くなるため、カーシートには適さず好ましくない。単糸繊度として好ましくは1.0dtex以上である。また単糸繊度が2.1dtexを上回る場合、風合いが硬くなり、例えばベロア調のような嵩高性の高い布帛とした場合でも肌触りが悪く、カーシートには適さないため好ましくない。単糸繊度として好ましくは1.8dtex以下である。
収縮応力曲線において60℃から80℃までの1℃あたりの熱応力上昇値の平均が0.008〜0.02cN/dtex・℃である。従来の3GT繊維もしくは3GT系複合繊維では、カーシート、例えばトリコットベロアのような組織とした場合には、3GTの高い収縮性により布帛のカールが発生してしまうという問題があった。この問題については、布帛から不純物を取り除く、いわゆる精練の工程がカールの発生に大きく起因していることが今回初めてわかった。精練工程における温度は約80℃であり、この温度に到達するまでの20℃間、つまりは60℃から80℃における熱応力の上昇値が、布帛のカール発生に対し非常に重要、且つ大きな影響を与えていることがわかった。熱応力上昇値が0.008cN/dtex・℃に満たない、例えばPET単独糸では、この熱応力上昇値が低いため、カールの発生は無いが、風合いが硬くなりソフト性が失われるため、カーシートとしては適さず好ましくない。熱応力上昇値として好ましくは0.010cN/dtex・℃以上である。また熱応力上昇値が0.02cN/dtex・℃を上回る、例えば3GT単独糸のような80℃以下での熱応力上昇値が高い繊維では、布帛のソフト性には長けるものの、精練の工程において急激な収縮が起こり、布帛のカールやシワが発生、それによる成形時の加工性低下も起こるため好ましくない。熱応力上昇値として好ましくは0.018cN/dtex・℃以下である。
沸水収縮率は9.5〜13.0%である。沸水収縮率が9.5%に満たない低収縮の場合、ソフト性が低下し、例えばカーシートとした際に肌触りが悪くなるため好ましくない。沸水収縮率として好ましくは10.0%以上である。また沸水収縮率が13.0%を上回る高収縮の場合、カーシート用素材として例えばトリコットベロアのような組織とした場合には、布帛のカールによる品位の低下、それに伴う成形時の加工性低下が発生するため好ましくない。沸水収縮率として好ましくは12.0%以下である。
総繊度は44〜100dtexである必要がある。総繊度が44detx以上であると、PETによる強度補強がより効果的になり、耐摩擦性や破れに強いカーシートが得られるため好ましい。より好ましくは56dtex以上である。また総繊度が100dtex以下であると、3GT特有のソフト性がより発揮され、より肌触りの良好なカーシートが得られるため好ましい。より好ましくは84dtex以下である。
強力は235〜295cNである必要がある。強力が235cN以上であると、PETによる強度補強がより効果的になり、耐摩擦性や破れに強いカーシートが得られるため好ましい。より好ましくは250cN以上である。また強力が295cN以下であると、3GT特有のソフト性がより発揮され、より肌触りの良好なカーシートが得られるため好ましい。より好ましくは280以下である。
初期引張抵抗度は20〜40cN/dtexであることが好ましい。初期引張抵抗度が20cN/dtex以上であると、PETによる強度補強がより効果的になり、耐摩擦性や破れに強いカーシートが得られるため好ましい。より好ましくは25cN/dtex以上である。また初期引張抵抗度が40cN/dtex以下であると、3GT特有のソフト性がより発揮され、より肌触りの良好なカーシートが得られるため好ましい。より好ましくは38cN/dtex以下である。
繊度変動率は1.0%以下であることが好ましい。繊度変動率が1.0%以下であると、染色斑等、品位の低下が抑えられるため好ましい。より好ましくは0.7%以下である。
また、本発明のポリエステル芯鞘複合繊維はカーシート用途として使用することが好ましい。
本発明のポリエステル芯鞘複合繊維において、3GT特有の発色性及びソフト性を損なわないためには、芯部と鞘部の重量比が20:80〜55:45、PETの極限粘度が0.40〜0.68、3GTの極限粘度が0.80〜1.68の範囲が適当である。また本発明のポリエステル芯鞘複合繊維の収縮特性においては、160℃乾熱収縮率で10〜20%、熱収縮応力ピーク値で0.1〜0.4cN/dtexの範囲が適当である。
本発明のポリエステル芯鞘複合繊維は、公知の方法において製造できるが、複合構造の安定性、生産性を考慮すると、溶融紡糸法が最も優れている。該芯鞘複合繊維を溶融紡糸する上では、芯部となるPETは、260〜300℃にて溶融されるのが好ましい。溶融するに際し、プレッシャーメルター法およびエクストルーダー法が挙げられるが、均一溶融及び滞留防止の観点からエクストルーダー法による溶融が好ましい。
また、鞘部となる3GTは、PETと同様にエクストルーダーを用い、240〜280℃での溶融が好ましい。別々に溶融されたポリマーは別々の配管を通り、計量された後、パックへ流入する。この際、ポリマー熱劣化抑制の観点から、配管通過時間を5〜30分とすることが好ましい。パックへ流入したポリマーは口金にて合流した後、公知の技術により同心円芯鞘型の形態に複合され吐出される。この際のポリマー温度は、263〜280℃が適当である。この範囲であれば、ポリマー熱劣化による生産性低下、発色性及びソフト感の低下を防止できる。
口金から吐出されたポリマーは冷却、固化され、油剤が付与された後、引き取られる。引き取り速度は500〜6000m/分のいずれの速度においても可能である。2工程法と呼ばれる未延伸糸を一旦巻き取った後、延伸を行う方法においては、引き取り速度は500〜2000m/分で行うのが定法である。一方、1工程法では、4000〜6000m/分の速度で一気に延伸糸を得る方法が挙げられる。この際、巻き取る前に、加熱ロールを介し熱セットを行い、結晶化を促進させた後、巻き取る方法が均一な諸物性を得るうえで好ましい。さらに、直接紡糸延伸法と呼ばれる方法も挙げられる。この方法は、500〜4000m/分の第1ホットローラーにて未延伸糸または部分配向糸領域において引き取った後、一旦巻き取ることなく、第2ホットローラーを介して、延伸、熱セットを行い延伸糸とした後巻き取る方法であるが、熱セットの後に糸条にリラックスを与えることが好ましく、この、リラックスを与えた状態での糸条の張力は0.05〜0.2cN/dtexが適当である。この範囲であれば、本発明の狙いとする熱応力上昇値を有した、ポリエステル芯鞘複合繊維を得ることができる。また、120〜180℃に加熱された第2ホットローラーに糸条を5〜10回巻き付けて熱セットすることが適当である。この範囲であれば、本発明の狙いとする熱応力上昇値を有した、ポリエステル芯鞘複合繊維を得ることができる。以上挙げた紡糸、延伸方法においては、延伸倍率は延伸糸伸度が目標とした値となるように適宜設定するのが良い。また、紡糸、延伸いずれかの工程において、巻取りまでで公知の交絡装置を用い、交絡を施すことも可能である。必要であれば複数回付与することで交絡数を上げることが可能となる。さらには、巻取直前に、追加で油剤を付与するのも良い。
図1は、本発明のポリエステル芯鞘複合繊維の製糸工程を例示説明するための概略工程図である。本発明のポリエステル芯鞘複合繊維は、図1に示すような工程を経て好ましく製造することができる。
図1は、口金1から溶融ポリマーを吐出した後、糸条冷却送風装置2にて糸条を冷却、油剤付与装置3にて糸条に油剤を付与した後、糸条を収束させるため交絡装置4にて交絡を付与し、第1ローラー5にて引き取り、第1ローラー、第2ローラー6の何れか、もしくは両方にて熱処理を施した後、交絡装置7にて糸条に交絡を付与し、第3ローラー8、第4ローラー9を介して工程張力をコントロールし、コンタクトローラー10を介して巻き取りパッケージ11とする工程であり、糸条の冷却に効果的な工程である。但し、製造工程がこれに限定されるものではなく、例えば、巻き取りまでに介するローラーの数を必要に応じて変更することも可能である。
以下、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例の主な測定値は以下の方法で測定した。
(1)極限粘度
極限粘度[η]は、純度98%以上のo−クロロフェノールで溶解した温度25℃の3GT及びPET希釈溶液の粘度を測定し得られるものであり、次の定義式に基づいて求められる値である。
Figure 0004862378
定義式のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノールで溶解した3GT及びPETの希釈溶液の温度25℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自体の粘度で割った値であり、相対粘度と定義されているものである。また、cは上記溶液100ml中のグラム単位による溶質重量値である。
(2)初期引張抵抗度、強力
JIS L1013(1999)に従い測定した。
(3)熱応力上昇値
鐘紡エンジニアリング社製のKE−2を用い、初期過重0.044cN/dtex、昇温速度100℃/分にて測定し、横軸に温度、縦軸に熱応力値をプロットした。該測定方法にて得られた収縮応力曲線において、60℃から80℃までの1℃毎の熱応力上昇値20個を平均化し、熱応力上昇値とした。
(4)沸水収縮率
沸騰水収縮率(%)=((L0−L1)/L0)×100
L0:原糸をかせ取りし、測定荷重0.029cN/dtexでのかせ長
L1:原糸を無荷重の状態で100℃の沸騰水にて15分間処理し、風乾後、測定荷重0.029cN/dtexを掛けたときのかせ長
(5)繊度変動率
繊度変動率はツェルベガーウスター株式会社製USTER・TESTER−4を用い、下記条件にて測定した。
測定速度:200m/分
測定時間:1分
撚り :S撚り12000/分
(6)発色性
本発明のポリエステル芯鞘複合繊維(サンプルA)とPET単独糸(サンプルB)のサンプルをそれぞれ生糸100%使いにて、36ゲージのトリコットベロア布帛を作製し、80℃で精練した後、染料として長瀬産業(株)製テトラシールネイビーブルーSGL0.275%owf、助剤として正研化工(株)製テトロシンPE−C5.0%owf、分散剤として日華化学(株)製ニッカサンソルト#12001.0%owfを用い、浴比1:100にて50℃15分、さらに90℃20分にて染色を行った。染色後の、サンプルA、B間の染色差を総合的に官能検査し3段階評価した。尚、○以上を合格とした。該評価には本発明のポリエステル芯鞘複合繊維及びPET単独糸については84dtex−60フィラメント(フィラメント(以下fと略す))のものを使用した。
○○ :非常に優れている
○ :優れている
× :PET同等(発色性向上は無し)
(7)染色均一性
(6)にて得られた布帛サンプルA、Bを、(6)と同様の方法にて染色した後、乾燥させものについて染色の均一性を評価した。染色均一性の判断基準は染色後の布帛に斑が無いのものを基準の0点とし、0〜50点の点数評価を実施、下記評価基準にて3段階評価とした。尚、○以上を合格とした。
○○ :0〜10点
○ :11〜30点
× :31点以上
(8)ソフト性
(6)にて得られた布帛サンプルA、Bを、10人のパネラーに触らせ、ソフト性良好か否かを評価した。なお、評価基準は下記の通りとした。尚、○以上を合格とした。
○○ :非常に良好
○ :良好
× :PET同等
(9)耐カール性
(6)にて得られた布帛を、30cm×50cmに切り取り、布帛短辺の片側を固定、その他は負荷を掛けないフリーな状態で、水平なテーブルの上に置き、その際の布帛の接地面積を測定、布帛全面に対する接地面の比率を求め、下記評価基準にて3段階評価とした。尚、○以上を合格とした。
○○ :100%(カール無し)
○ :95%以上100%未満
× :95%未満
実施例1
極限粘度0.51のPETと極限粘度1.13の3GTをそれぞれエクストルーダーを用い、それぞれ285℃、260℃にて溶融後、ポンプによる計量を行い、ポリマー温度270℃にて同心円芯鞘断面形状を形成すべく公知の口金に流入させた。複合比はPET:3GT=30:70の割合とした。各ポリマーの配管通過時間は、PETが12分、3GTは5分であった。口金から吐出された糸条は、冷却、油剤付与後、1600m/分の速度で55℃に加熱された第1ホットローラーに引き取られ、一旦巻き取ることなく、155℃に加熱し、延伸糸伸度が45%となるよう速度を設定した第2ホットローラーに引き回し、延伸し、その際糸条を6.5回巻き付け熱セットを行った。その後、第2ホットローラーとの間の張力が0.07cN/dtexとなるよう速度を設定した非加熱の第3ゴデットローラーと、第3ゴデットローラーと同速度の第4ゴデットローラーに引き回し、0.15cN/dtexの張力にて巻き取り、84dtex−60f、単糸繊度1.4dtexのポリエステル芯鞘複合糸を得た。物性および風合い評価の結果は表1の通りであり、発色性、ソフト性に優れ、染色性、耐カール性においても良好であり、カーシートに適したものであった。
Figure 0004862378
実施例2
複合比をPET:3GT=50:50の割合とし、第2ホットローラーと第3ゴデットローラー間の張力を0.05cN/dtexとした以外は、実施例1と同様の条件にて製糸し、84dtex−60f、単糸繊度1.4dtexのポリエステル芯鞘複合糸を得た。物性および風合い評価の結果は表1の通りであり、実施例1にはやや劣るものの、発色性、ソフト性に優れ、染色性、耐カール性においても良好であり、カーシートに適したものであった。
実施例3
単糸繊度を0.9dtex、総繊度を56dtexとし、第2ホットローラー温度を135℃、第2ホットローラーと第3ゴデットローラー間の張力を0.15cN/dtexとした以外は、実施例1と同様の条件にて製糸し、56dtex−60fのポリエステル芯鞘複合糸を得た。物性および風合い評価の結果は表1の通りであり、実施例1にはやや劣るものの発色性、ソフト性に優れ、染色性、耐カール性においても良好であり、カーシートに適したものであった。
比較例1
第2ホットローラーへの糸条巻き付け回数を12.5回にした以外は、実施例1と同様に第2ホットローラーと第3ゴデットローラー間の張力が0.07cN/dtexとなる条件にて製糸し、84dtex−60f、単糸繊度1.4dtexのポリエステル芯鞘複合糸を得た。物性および風合い評価の結果は表1の通りであり、ポリマー構成等、実施例1と同条件であっても熱セット時間延長により結晶化が促進され、耐カール性には効果的であったが、染色性、発色性、ソフト性は満足できるものではなく、カーシートに適するものではなかった。
比較例2
極限粘度0.62のPET、極限粘度0.75の3GTを用い、ポリマー温度を275℃とした以外は、実施例1と同様に第2ホットローラーと第3ゴデットローラー間の張力が0.07cN/dtexとなる条件にて製糸し、84dtex−60f、単糸繊度1.4dtexのポリエステル芯鞘複合糸を得た。物性および風合い評価の結果は表1の通りであり、染色性、耐カール性は良好であったものの、発色性、ソフト性は満足できるものではなく、カーシートに適するものではなかった。
比較例3
複合比をPET:3GT=70:30の割合とした以外は、実施例1と同様に第2ホットローラーと第3ゴデットローラー間の張力が0.07cN/dtexとなる条件にて製糸し、84dtex−60f、単糸繊度1.4dtexのポリエステル芯鞘複合糸を得た。物性および風合い評価の結果は表1の通りであり、染色性、耐カール性は良好ではあったものの、発色性、ソフト性は満足できるものではなく、カーシートに適するものではなかった。
比較例4
極限粘度1.13の3GTを単独で紡出した以外は、実施例1と同様に第2ホットローラーと第3ゴデットローラー間の張力が0.07cN/dtexとなる条件にて製糸し、84dtex−60fの3GT単独糸を得た。物性および風合い評価の結果は表1の通りであり、初期引張抵抗度が低く、ソフト性に長け、染色性、発色性も良好ではあったが、耐カール性においては最も劣位であり、カーシートに適するものではなかった。
本発明にて得られたポリエステル芯鞘複合繊維は、布帛のカールが発生しにくく、カーシート成型時の加工性が良好である。また、3GT特有のソフト感や発色性、均一な染色性が生み出す均一な表面感が得られる。
カーシートとして、適用方法はこれに限ったことではなく、綿などの天然繊維との交織、交編が可能である。
本発明の製糸工程(直接紡糸延伸法)の一例を示す図である。
符号の説明
1 口金
2 糸条冷却送風装置
3 油剤付与装置
4 交絡装置
5 第1ホットローラー
6 第2ホットローラー
7 交絡装置
8 第3ゴデットローラー
9 第4ゴデットローラー
10 コンタクトローラー
11 パッケージ

Claims (2)

  1. テレフタル酸を酸成分としエチレングリコールをグリコール成分とするポリエチレンテレフタレートを芯部に配し、テレフタル酸を酸成分とし、トリメチレングリコールをグリコール成分とするポリトリメチレンテレフタレートを鞘部に配した、長手方向に同心円芯鞘断面形状を有する複合繊維であって、芯部に配するポリエチレンテレフタレートの極限粘度に対し、鞘部に配するポリトリメチレンテレフタレートの極限粘度が高く、且つその差が0.4〜1.0であり、更に下記(A)〜(E)を満足することを特徴とするポリエステル芯鞘複合繊維。
    (A)単糸繊度が0.7〜2.1dtexである。
    (B)収縮応力曲線において60℃から80℃までの1℃あたりの熱応力上昇値の
    平均が0.008〜0.02cN/dtex・℃である。
    (C)沸水収縮率が9.5〜13.0%である。
    (D)総繊度が44〜100dtexである。
    (E)強力が235〜295cNである。
  2. 下記(F)、(G)を満足し、カーシート用であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル芯鞘複合繊維。
    F)初期引張抵抗度が20〜40cN/dtexである。
    (G)繊度変動率が1.0%以下である。
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