JP7264552B2 - タオル地 - Google Patents

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本発明は、タオル地に関する。
近年、消費者からタオルについて風合いの多様化と高機能化が益々求められている。タオルの風合いは、使用の初期においてソフトでふんわりした肌触りを備えていても、洗濯を重ねていくうちにどんどん硬くなり初期の肌触りが損なわれるという課題があった。また、洗濯の過程で毛羽が落ちて他の洗濯物に付着するという課題、ふろ上がりや汗をかいた時に使用すると洗濯で落ちた毛羽が肌に付いて使用者に不快感を与えるという課題もあった。更に、水切り性が良くないタオルは、洗濯する場合に乾燥が非常に遅く、電気エネルギーロスも大きく問題が多い。
かかる課題の解決策として、疎水性素材の合繊を綿に混紡する方法、例えばポリエステルの短繊維を綿に混紡したタオルがあるが、確かに洗濯での寸法安定性等は改善されるが、紡績糸に起因する毛羽落ちやピリング(毛玉)が発生し根本的な解決には至らないのが実状である。
また、かかる課題に対して、ポリエステルの短繊維に替えて、ポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと略す)を用いた短繊維の製造方法及び糸、布がある(特許文献1)。また、ポリエステルのフィラメント(長繊維)では、PTTとポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)をそれぞれ半円形状に貼り合わせたポリエステルマルチフィラメント糸のバイメタル型複合繊維と綿を複合したコアヤーンがある(特許文献2)。また、同複合繊維と綿のストレッチ精紡合撚糸がある(特許文献3)。更には同複合繊維と綿の精紡合撚糸のストレッチシャツ織物がある(特許文献4)。また、同複合繊維に植物系繊維を混用したストレッチ織物が提案されている(特許文献5)。
しかし、特許文献1はPTTの短繊維紡績糸なので、前述した毛羽抜け性及び毛羽の強度が高いので、ピリング(毛玉)が発生しやすく改善ができない。特許文献2~5はいずれも、PTTとPETをそれぞれ半円形状に貼り合わせたポリエステルマルチフィラメント糸のバイメタル型複合繊維であり、織物の加工で加熱されることにより、PTTサイドが大きく収縮し、スパイラル状の捲縮が発現して、ストレッチ性のある糸、織物を得るものである。かかる複合繊維をタオル地のパイル糸に用いた場合は、大きな捲縮が発現してパイル糸の形状が不揃いとなり、表面がボコボコして滑らかな風合い、きれいな表面が得られず、課題が解決されない。
以上のように、いずれの特許文献も上記課題を解決しておらず、その結果、ピリング性に問題なく、パイル糸が均斉で、カサ高でふんわりした風合いで、洗濯の風合い変化、毛羽落ちが少なく、且つ水切り性、洗濯の乾燥が速く、吸水性を兼備するタオル地について明記したものは見当たらないのが、現状である。
特開2011-144493号公報 特開2017-141539号公報 特開2003-155636号公報 特開2006-77338号公報 特開2002-155449号公報
本発明は、上記課題を解決し、カサ高でふんわりした風合いを有し、洗濯時の風合い変化や毛羽落ちが少なく、且つ、水切り性が良好で、洗濯での乾燥が速く、吸水性を兼備するタオル地を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載のタオル地は、
パイル糸が地糸に係止されるタオル地であって、
前記パイル糸は、少なくとも非捲縮性のポリエステル系マルチフィラメント糸と植物性繊維との精紡合撚糸で構成されることを特徴とする。
請求項2に記載のタオル地は、請求項1に記載のタオル地において、
前記マルチフィラメント糸の単繊維繊度は、0.1~10.0デシテックスである。
請求項3に記載のタオル地は、請求項1又は2に記載のタオル地において、
前記マルチフィラメント糸は、少なくともポリトリメチレンテレフタレートを含む複合繊維である。
請求項4に記載のタオル地は、請求項3に記載のタオル地において、
前記複合繊維は、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとが糸の長さ方向に同心円状に複合された繊維である。
請求項5に記載のタオル地は、請求項3又は4に記載のタオル地において、
前記精紡合撚糸は、前記マルチフィラメント糸と植物性繊維との混合率が1:9~9:1である。
請求項6に記載のタオル地は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のタオル地において、
前記植物性繊維は、綿である。
本発明によれば、非捲縮性のポリエステル系マルチフィラメント糸と植物性繊維を精紡合撚糸し、これをタオル地に用いることで、上記課題を解決し、カサ高でふんわりした風合いを有し、洗濯時の風合い変化や毛羽落ちが少なく、且つ、水切り性が良好で、洗濯での乾燥が速く、吸水性を兼備する、高い機能性が付与されたタオル地を提供することができる。
本実施形態に使用するタオル地の構造図である。 図1に示す非捲縮のポリエステル系マルチフィラメント複合繊維のうち同心円型複合繊維の断面図の例を示す。 図1に示す非捲縮のポリエステル系マルチフィラメント複合繊維のうち八切型複合繊維の断面図の例を示す。 図1に示す非捲縮のポリエステル系マルチフィラメント複合繊維のうちポリマーブレンド型複合繊維の断面図の例を示す。 図1に示す実施形態のタオルのパイル立ちの実施例1の断面写真を示す。 タオルのパイル立ちの比較例1の断面写真を示す。
図1は、本実施形態に使用するタオル地の構造図である。図中、1aは生地の表のパイル糸で、1bは裏のパイル糸である。2a、2bはパイル糸を係止しているタテ糸2本の地糸であり、3はヨコ糸の地糸である。図1に示す実施形態のパイル糸1a、1bは、タオル地の表裏に大きく出ており、風合いの良し悪しを決める重要な糸である。
図2は、図1に示す実施形態に好ましく使用する非捲縮のポリエステル系マルチフィラメント複合繊維の断面図の例である。図2(a)は同心円型複合繊維、図2(b)は八切型複合繊維、図2(c)はポリマーブレンド型複合繊維である。A成分及びB成分の各々はポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のいずれか一つのポリマーが接合された複合繊維である(A成分及びB成分が同一となる組み合わせは除く)。
図3は、タオルのパイル立ちの断面写真を示す。図3(a)は実施例1であり、図3(b)は比較例1である。
本実施形態の詳細について述べる。本実施形態のタオル地は、非捲縮性のポリエステル系マルチフィラメント糸を植物性繊維と精紡合撚し、少なくともパイル糸に使用する。また、地糸にも使う場合を含む。マルチフィラメント糸は、捲縮を発現しない、いわゆる延伸糸(ナマ糸)である。この延伸糸は、JIS L1095 2010 9.24.3C法による糸の熱水収縮率(沸騰水収縮率)が13%以下のもので、且つこの熱水処理で捲縮を発現しない糸と定義する。かかる延伸糸は、タオル工程の加工熱で収縮率が13%以下であり、捲縮が発現しないので、精紡合撚する植物性繊維をしっかり補強できるため、パイル立ちがよく、カサ高の風合いが得られる。また、洗濯での風合いの変化が少ないので好ましい。更に、パイル糸にねじれが生じないので、タオル地の表面が均斉であり、好ましい。
かかるポリエステル系マルチフィラメント糸は、具体的にはPTT、PET、PBTであり、それぞれのポリマーから延伸された単独糸及び各ポリマーが複合された複合繊維のマルチフィラメント糸(長繊維)である。なお、PETではレギュラータイプの他に、スルフォン基を共重合したカチオン染料可染ポリエステルやポリエチレングリコールを共重合した易染性ポリエステル等の共重合PETを含む。
なお、本実施形態でいうマルチフィラメント糸の単繊維繊度は、紡糸の口金の1ホールから吐出された1本のフィラメント糸の単繊維の繊度(デシテックス)である。例えば、総繊度84デシテックス、36フィラメントの糸であれば、単繊維の繊度は2.3デシテックスである。この単繊維繊度は小さいものほど風合いはソフトになり、また太いものほど硬い風合いである。
本実施形態では、タオル地のソフトで腰のある良好な風合いが得られることから、単繊維の繊度は0.1~10.0デシテックスが好ましい。更には0.3~7.0デシテックスが特に好ましい。なお、0.1デシテックス未満の物は細すぎてくたくたした風合いとなり、また、10.0デシテックスを超えるものは硬すぎて、いずれも好ましくない。
具体的には、まず、単独糸(例えばPTT100%糸、PET100%糸、PBT100%糸)を植物性繊維と精紡合撚しタオルにする場合は、PTTは糸自体がソフトなので、適度なソフトと反発性が発現できることから、好ましく適用できる。この場合単繊維の繊度が1~7デシテックスのものを用いることが好適である。PETの場合は少し硬いので単繊維繊度が0.3~4デシテックスの細いものを、また、PBTの場合はソフトでし
っとりした風合いなので単繊維繊度が2~8デシテックスの中間の繊度のものを用いることが好ましい。
更にはかかる単独糸に替えて、図2に示すようなポリエステル系複合繊維を植物性繊維に精紡撚することが更に質感の高い風合いが得られるので好ましい。図2ではA成分及びB成分はPTT、PET、PBTのいずれかのポリマーが接合された複合繊維でも構わないが、中でも鞘成分(A成分)がPTTで、芯成分(B成分)がPETである、図2(a)の同心円型複合繊維が特に好ましい。この複合繊維は、ソフトなPTTを鞘に、少し硬いPETを芯に配置することで、表面がソフトで大きな反発性のある風合いが得られ、また、同時に鞘成分のPTTはPETに比べて発色性が優れるので、鮮明な深い色が得られる。なお、かかる風合いと発色性からA成分の複合比率は40~80重量%で、また複合繊維の単繊維繊度は0.4~8.0デシテックスのものが好ましく適用できる。なお、図2(b)は八つ切り型の複合繊維で、ソフトで腰が少し強目の風合いができるので、好ましい。図2(c)はA成分とB成分のポリマーブレンド型の複合繊維で、ソフトさと硬さが混ざり合った風合いで、染色性も全体に高いので好ましい。
次いで、かかるマルチフィラメント糸を植物性繊維と精紡合撚する方法は、特に制限するものではないが、植物性繊維のスライバー(粗糸)と該フィラメント糸を精紡工程で撚りをかけて単糸にすることが好ましい。この得られた単糸は糸強度が高く、毛羽落ちが少なく、タオル地の表面がきれいで、やわらかく、しなやかな風合いができるので好ましい。
更には、精紡合撚方法として、フィラメント糸を芯に、植物性繊維を鞘にカバーする、コアヤーンタイプが特に好ましい。このタイプは糸の表面は綿のタッチで、芯はフィラメントを用いているので腰のある、好ましい風合いが得られる。
なお、双糸にする場合はこの精紡合撚糸を2本引き揃えても良いし、また、例えば精紡合撚糸の単糸に従来のリング紡績糸の単糸を合撚して双糸にする方法でもよく、タオル地の風合い、外観等の目的に合わせて適宜手段を選択する。
精紡合撚糸の撚り数は特に限定するものではないが、撚り回数が少ないものはタオル地の風合いはソフトになるが、少し毛羽落ちがしやすくなる。また、撚り回数が多くなると、毛羽落ちが少なくなる反面、風合いが硬くなる傾向がある。かかる風合いと毛羽落ちを満足する、好ましい撚り数の例を挙げると、30番単糸では550~1100回/mが、16番単糸では400~900回/mが、10番単糸では320~630回/mである。
精紡合撚糸のパイル糸の混合率は特に限定するものではないが、タオル地の綿の吸水性と洗濯乾燥速度の関係から、パイル糸に使う場合はフィラメント糸の混合率は10~70%の範囲が好ましい。10%に満たないものは洗濯乾燥速度が遅くなり、また、70%を超えると綿の吸水性が失われる方向になるので、好ましくない。
また、タオル地全体のフィラメント糸と植物性繊維の混合率は綿の風合い、吸水性と洗濯乾燥速度の点から1:9~9:1の比率が好ましい。特に2~6;8~4のものが好ましい。なお、該フィラメント糸の混率が1未満の場合は洗濯の乾燥速度が遅く、また、9を超える場合は綿の風合い、吸水性が劣り、いずれも好ましくない。
なお、精紡合撚糸の糸番手は特に限定するものではないが、薄地は100~40番単糸の細いものが、中厚地は30~16番単糸が、厚地は12~8番単糸の太い物が好ましく適用できる。従って、これに伴い、精紡合撚糸の中のフィラメント糸の総繊度としては、薄地は10~30デシテックスのものが、中厚地は40~150デシテックスのものが、
厚地は150~800デシテックスのものを、それぞれ植物性繊維と精紡合撚すると所望の厚さの好ましいタオル地が得られる。
また、本実施形態で言う精紡合撚糸の中の植物性繊維はタオルとしての風合い、吸水性、吸湿性、取り扱い性の点から綿が好ましく、とくに綿100%が好ましい。なお、綿に麻、レーヨン、キュプラ、ウールの素材を少量混紡しても構わない。レーヨン、キュプラを混紡したものは吸湿性が、ウールは保温性が得られる。
次いでかかる精紡合撚糸をタオル地に製織する。この場合、前述した風合い、洗濯乾燥速度の効果から少なくとも精紡合撚糸をパイル糸に用いることが特に好ましい。なお、パイル糸と地糸に用いた場合は洗濯乾燥速度が更に速くなる。地糸のみに使う場合は生地がしっかりした風合いとなる。このように要求特性により、精紡合撚糸の使い方を適宜変えて生地設計し、製織する。
次いで織り上がった生機は綿の加工工程に準じて、精練し、漂白し仕上げる(オフホワイト仕上げ)。染色の場合は精練、漂白に続いてポリエステルサイドを分散染料で染色、続いて綿サイドを反応染料で染色する。なお、カチオン染料可染型PETの場合はカチオン染料で染色し、仕上げる。かかる染色ではポリエステルサイドと綿サイドを同色に染色する無地染めのほか、染料を使い分けて異色やシャンブレー(濃淡)にもできる。また、精練、漂白したものにプリント加工も可能であり、いずれも本実施形態は多様な色彩の商品化が図れる。
なお、本実施形態の効果をより発揮する生地の目付を例示すると、薄地は目付が100~250g/m2のものが、中厚地は目付が250~500g/m2のものが、厚地は500~1000g/m2のものが好適である。なお、100g/m2に満たないものは薄くカサがなく、また、1000g/m2を超えるものは厚すぎて重く、いずれも好ましくない
以下に、実施例に基づいて本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態は必ずしもこれらに限定されるものではない。
[測定方法]
1.ポリエステル系マルチフィラメント糸の熱水収縮率の測定
JIS L1095 2010 9.24.3C法による糸の熱水収縮率(沸騰水収縮率)を測定した。試験の概要は糸に規定の初荷重をかけて500mmのマークを付け、沸騰水で10分処理し、その後、濾紙で脱水して風乾する。風乾後は糸に当初の規定の初荷重をかけて糸にマークした長さを測定、次式で熱水収縮率を求めた。試験回数は10回でその平均値で表す。該収縮率が13%以下で、且つ捲縮がないものが本実施形態に適用できる。
熱水収縮率(%)=(熱水処理前の糸長(L0))-(熱水処理後の糸長(L1))/(熱水処理前の糸長(L0))×100
2.タオル地の風合いの評価
(1)パイル立ち性
タオル地のヨコ糸断面写真でパイル糸の直立性(接触角)をマイクロスコープ((株)キーエンス社製)で30倍で撮影した。接触角の測定は写真のタオルの地糸の水平面からパイル糸が右或いは左から立ち上がった角度(90°までの角度)を測定、これを接触角と定義した。これを20か所測定、平均値を求めた。接触角が90°に近いほどパイル立ちがよく、厚みがあり、カサ高でふんわりした風合いになり、良好。図3(a)は実施例
1であり、図3(b)は比較例1の写真である。
(2)カサ高性
カサ高性はタオル織物1g当たりの体積で表す、次式のカサ高度(cm3/g)で評価
した。値が大きいほど高いほどカサが高く、良好である。なお、厚みはJIS L-1096法に従って測定、目付は1m角の重さを精秤した。
カサ高度(cm3/g)=厚み(mm)/目付(g/m2)×1000
(3)ふんわりした風合いの評価
タオル地を圧縮測定器:KES-FB3-A(カトーテック社製)を用い、タオル地を一定の速度で圧縮させてその圧縮仕事量(WC)(gf.cm2)を求めた。測定個所は
5ヶ所でその平均値で表した。WC値は生地に圧縮させた時の(エネルギー)で、値が大きいほどタオルがよく圧縮され、大きな膨らみ、ふんわり感が高いことを示す。
(4)洗濯での風合い変化
タオル地を洗濯機でJIS L-0217、103法に従って20回洗濯した。また、洗濯後の乾燥はエアコンがある室内にタオル地を吊り下げて乾燥した。乾燥条件は、温度20℃、湿度65%、風量12,8m3/分である。乾燥後は圧縮仕事量(WC)(gf
.cm2)を測定、測定個所は5ヶ所でその平均値で表した。洗濯後のWC値が大きいも
のほどふんわりした風合いで良く、且つ洗濯前後の差が小さいほど、洗濯によるふんわりした風合いの低下が少なく、良好である。
3.タオル地の毛羽落ち性の評価
(1)タオル地の洗濯による毛羽落ち性
洗濯による毛羽落ちはJIS L2017 103法に従って測定した。毛羽落ち率(%)は次式で求め、値が小さいほど毛羽落ちが少なく、良好である。
毛羽落ち率(%)=(洗濯後に脱落した毛羽の重さ(g1))/(洗濯前のタオルの重さ
(g0))×100
(2)タオル地のセロハンテープによる毛羽抜け性の評価
QTEC試験法(QTEC-NTM1)の毛羽付着試験方法に従って、セロハンテープによる毛羽抜け性を評価した。試験の概要は4.0Kpaの重錘(重り)の下部にセロハンテープを貼り、テープの接着面をタオル地の表面にあて、5秒間乗せる。これをタオル地から剥がし、テープについている毛羽の少なさ~多さ(毛抜け性)を次の5段階で、視感判定した。5級(毛羽抜けがなく、優れている)、4級(毛羽抜けが少なく、良好)、3級(毛羽抜けが普通)、2級(毛羽抜けがあり、良くない)1級(毛羽抜けが多く、不良)である。
4.タオル地の水切り性の評価
(1)残留水分率
タオル地20cm角の重さを精秤し、水に20分浸漬した。その後濡れたタオル地を取り上げて、洗濯機の脱水槽で4分間、遠心脱水し、重さを精秤、次式でタオル地の残留水分率(%)を求めた。値が小さいほど水切り性が良好である。水切り性が良いほどその後の乾燥速度が速くなる傾向を示す。
生地の残留水分率(%)=(水に浸漬し、脱水した後の生地の重さ(W1))-(水に浸漬する前の生地の重さ(W0))/(水に浸漬する前の生地の重さ(W0))×100
5.タオル地の洗濯早乾き性の評価
(1)洗濯乾燥時間
水に浸漬し、脱水したタオル地をエアコンがある室内にタオル地を吊り下げて乾燥した
。乾燥条件は、温度20℃、湿度65%、風量12,8m3/分であり、乾燥は20分毎
に生地の重さを測定した。生地の残留水分率が30%(乾燥率が70%)になった時の乾燥時間(分)および生地の残留水分率が10%(乾燥率が90%)になった時の乾燥時間(分)をそれぞれ測定した。時間が短いほど乾燥が速く良好である。
6.タオル地の吸水性の評価
(1)吸水速度
タオル地の吸水速度の測定はJIS L 1907滴下法;ヴューレット法に基づいて評価した。試験の概要は水滴1滴を10cmの高さからタオル地に滴下し、水滴の鏡面が消失する吸水時間(秒)を測定した。時間が短いほど吸水性が良好である。
(実施例1)
(1)タオル地の製造方法と評価方法
A.精紡合撚糸
ポリエステル系マルチフィラメント糸として図2(a)に示す、A成分PTTとB成分PETが糸の長さ方向に同心円状に複合された繊維で、複合比率はA成分70%、B成分30%のものを用いた。総繊度84デシテックス、48フィラメント、単繊維繊度1.75デシテックスの延伸糸(ナマ糸)で、熱水収縮率は7.8%であり、この熱水処理での捲縮発現はないことを確認した。
次いでこのフィラメント糸を綿のスライバー(粗糸)と精紡合撚し、芯:ポリエステル、鞘:綿のコアヤーンタイプの精紡合撚糸の16番単糸を得た。混合比率はポリエステル23%、綿73%で、撚り数は600回/m、撚り方向はZ撚りである。
B.タオル地の製織、加工仕上げ
かかる精紡合撚糸16番単糸をパイル糸に用い、タテ糸地糸2本およびヨコ糸地糸にそれぞれ綿100%の16番単糸を用い、タオルに製織した。パイル長は10mmで、パイル糸の混率はポリエステル23%、綿77%であった。また、タオル地の全体の混率はポリエステル16%、綿84%であった。
次いでこの生機を綿の加工に準じて、95℃のアルカリ浴で精練し、過酸化水素で漂白し、150℃でテンターでセットし、仕上げた(オフホワイト仕上げ)。仕上げたタオル地の厚みは3.53mm、目付は422g/m2であった。また、パイル立ちの状態を写
真撮影した(図3(a))。評価結果を表1に記載する。
(実施例2)
精紡合撚糸をポリエステル系マルチフィラメントのPET単独糸で、総繊度66デシテックス、48フィラメント、単繊維繊度が1.38デシテックスで、延伸糸(ナマ糸)を用いた。この延伸糸の熱水収縮率は5.1%で、この熱水収縮では捲縮のない糸であることを確認した。これを綿に精紡合撚し、芯:前記フィラメント、鞘:綿のコアヤーンタイプの精紡合撚糸30番単糸を得た。なお、撚り数は840回/m、撚り方向はZ撚りである。更にこれを2本合糸し、30番双糸にした。これ以外は実施例1に従って、パイル糸に用いて、タオル地に製織、精練、漂白、セットして仕上げた。なお、パイル糸の混率はポリエステル17%、綿83%、タオル地の全体の混率はポリエステル12%、綿88%であった。また、仕上げたタオル地の厚みは3.34mm、目付は411g/m2であっ
た。評価は実施例1に従って評価し、結果を表1に併記した。
(比較例1)
リング紡績した綿の16番単糸をパイル糸とした以外は実施例1に従ってタオル地に製織し、精練、漂白、セットして仕上げた。タオル地の全体の混率は綿100%である。ま
た、仕上げたタオル地の厚みは3.02mm、目付は426g/m2であった。また、パ
イル立ちの状態を写真撮影した(図3(b))。仕上げタオル地の他の評価結果を表1に併記する。
(2)評価結果
Figure 0007264552000001
(3)評価結果
表1から明らかなように、実施例1のタオル地は、パイル立ちが良く、カサ高でふんわりした風合いで、洗濯の風合い変化、毛羽落ちが少なく、且つ水切り性、洗濯の乾燥が速く、吸水性を兼備する素晴らしい漂白されたオフホワイトのタオル地であった。詳細には、図3(a)の断面写真に示すようにパイル糸の接触角は85°であり、非常にパイル立ちに優れていた(比較例1は58°)。また、比較例1に対し、カサ高度は8.36cm3/gで、18%カサが高い。また、圧縮仕事量は34%アップしており、ふんわりした
風合いであり、20回洗濯後の風合いの低下も少ない。また、洗濯での毛羽落ちが約1/4で少なく、且つセロハンテープ法での毛羽抜け性4級であり、優れていた。更には洗濯/脱水での生地の残留水分率が50%で水切り性が良い。また、洗濯後の乾燥速度は乾燥率70%の時点では3.0倍速く、また、乾燥率90%時では1.5倍速く乾燥している。なお、吸水性は1秒未満であり、優れていた。
この仕上がったタオルをハンドタオルに縫製し、実用テストを行った。風合いはカサ高でふんわりした風合いが心地よく、洗濯しても風合いの低下は感じられなかった。また、洗濯した場合のタオルの毛羽落ちは殆どなく、セーターなどの他の衣服にも毛羽が付きにくかった。また、洗濯の乾燥が速く、吸水性もあり、極めて実用快適性に優れたハンドタオルであった。
一方、比較例1は実施例1に比べてパイル立ち、風合いが劣り、特に洗濯後は硬い風合いであった。また、毛羽落ち、毛羽抜けが多いこと、水切り性が悪く洗濯後の乾燥が遅く、平凡なタオル地であった。
実施例2は実施例1に対して、カサ高性、ふっくらした風合い、毛羽落ち性、吸水性は同等で、水切り性と乾燥速度が少し劣るが、比較例1に対しては全評価項目で極めて優位なタオル地であった。
(実施例3)
精紡合撚糸をパイル糸の他にヨコ地糸にも用いて製織した(パイル糸とヨコ地糸:精紡合撚糸16番単糸、タテ地糸2本は綿16番単糸)。次いでこれを精練、漂白後に染色した以外を除いて実施例1に従って仕上げた。なお、染色はポリエステルサイドを130℃
で45分間でブルーの分散染料を用いて染色し、次いで綿サイドを80℃で40分間でブルーの反応染料を用いて無地染め染色し、150℃でテンターでセットし、仕上げた。なお、タオル地の全体の混率はポリエステル18.5%、綿81.5%であった。また、仕上げたタオル地の厚みは3.41mm、目付は422g/m2、カサ高度は8,03cm3/gであった。この仕上げ品はパイル立ちが良く、カサ高度は8,03cm3/gでカサ
が高く、ふっくらした風合いで、20回洗濯でもこの風合いの低下は極く小さいものであった。また、洗濯での毛羽落ち、他の衣類への毛羽付着も少なかった。特に洗濯での乾燥速度は70%乾燥時では、55分で、90%乾燥時では、134分で乾燥し、非常に乾燥が速いブルー色のタオル地であった。
以上のように、本実施形態のタオル地は従来技術では得られなかった、カサ高でふんわりした風合いで、洗濯の風合い変化、毛羽落ちが少なく、且つ水切り性、洗濯の乾燥が速く、吸水性を兼備するタオル地が得られた。
1a:生地の表のパイル糸、1b:生地の裏のパイル糸、2a、2b:タテ糸の地糸、3:ヨコ糸の地糸、
A:鞘成分:B:芯成分

Claims (4)

  1. パイル糸が地糸に係止されるタオル地であって、
    前記パイル糸は、非捲縮性のポリエステル系マルチフィラメント糸を芯に、植物性繊維を鞘にカバーする、コアヤーンタイプの精紡合撚糸で構成され、
    前記マルチフィラメント糸は、熱水収縮率13%以下であ
    前記マルチフィラメント糸は、鞘部分をポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とし、芯部分をポリエチレンテレフタレート(PET)として糸の長さ方向に同心円状に複合された、芯鞘型繊維である、タオル地。
  2. 前記マルチフィラメント糸の単繊維繊度は、0.1~10.0デシテックスである、請求項1に記載のタオル地。
  3. 前記精紡合撚糸は、前記マルチフィラメント糸と植物性繊維との混合率が1:9~9:1である、請求項1又は2に記載のタオル地。
  4. 前記植物性繊維は、綿である、請求項1乃至のいずれか一項に記載のタオル地。
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