JP4298675B2 - ポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸 - Google Patents

ポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸 Download PDF

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Description

本発明は、衣料用途に適したポリトリメチレンテレフタレート糸、それを用いた仮撚加工糸及びその製造方法に関する。更に詳しくは、衣料用途の中でもスポーツ、インナー、アウター等のストレッチ衣料に適したポリトリメチレンテレフタレートマルチルチフィラメント糸、それを用いた仮撚加工糸、及びそれを高品質に且つ長時間連続的に製造できる工業的製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)繊維は、最も衣料用途に適した合成繊維として世界中で大量に生産され、一大産業を形成している。
一方、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、PTTと略称する)繊維は、特許文献1、特許文献2,特許文献3、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6等の先行技術により公知である。しかしながら、これらの先行技術はPTT繊維の基本的性質およびPTT繊維の基本的製造方法について記述するに留まっている。即ち、これらの先行技術は、PTT繊維を工業生産するのにふさわしい水準および製造方法のレベルには達しておらず、且つ得られるPTT繊維も、工業的に編織物を生産できる物性設計および品質レベルに達していない。
例えば、特許文献6は、PTT繊維がその固体構造に起因してPET繊維に比してヤング率が小さく(柔軟性大)、伸張回復率が高い(弾性限界範囲が大きい、弾力的である)という特徴を有することを開示しているが、これらの特徴が生かされる用途に適合する物性や品質に関わる設計は未だ明らかになっていない。
ポリエステルやナイロンの溶融紡糸においては、一定時間紡糸を継続すると、ポリマー分解物などからなる汚れが紡糸口金孔周辺に付着する。これらは目白現象又は目やに現象と通称されている。そして、その汚れが円滑な繊維形成を阻害するようになり、遂にはマルチフィラメントの切断が起こり、紡糸続行が不可能になる。工業的にはこの問題を回避するために、一定周期で紡糸口金表面をワイピングして汚れを除去し、円滑な紡糸状態を保つのが普通である。ワイピングは一旦紡糸を中断して行うことが必須であるため、作業の効率及び原料ポリマーの原単位からはワイピング周期は長い方が良く、通常24時間以上が望ましい。
特許文献7には、PTTはPETに比べて熱劣化や酸化劣化が起きやすく、また、ポリマー自体が金属へ付着しやすいために、PTT繊維の紡糸ではPET繊維の紡糸に比べて紡糸口金孔周辺に汚れの堆積が激しく、ワイピング周期が短くなることが記載されている。そして、ワイピング周期の延長策として、特定の組成の離型剤を紡糸口金表面に塗布する手段と、単位時間内に紡糸口金の単一孔を通過するポリマーの表面積Aを5000〜30000mm/分に特定する手段が開示されている。なお、Aは以下の式で定義されている。
A(mm/分)=(V×M)/(ρ×S)
V:単一孔あたりのポリマー吐出量(g/分)
ρ:ポリマーの密度(g/mm
S:孔の断面積(mm
M:孔の周長(mm)
しかし、該先行技術にはストレッチ衣料に最適なPTTマルチフィラメント糸の要件については記載がない。また、ワイピング周期に与えるPTTの固有粘度の影響についての記載はなく、到達しているワイピング周期も高々36時間程度である。さらに、各単糸繊
度毎の最適な(工業的に有利な)Aの範囲は示唆されていない。
ポリウレタン繊維のような弾性繊維が出現して以来、スポーツ衣料、インナー衣料、パンティーストッキング、アウター衣料などの分野においてストレッチ衣料が急速に普及している。例えば、ポリウレタン繊維と、ナイロン繊維やPET繊維との交編衣料(インナーなど)、ポリウレタン繊維にナイロン繊維を巻いたカバリング糸からなるパンティーストッキング、或いはPET繊維との複合繊維(潜在捲縮糸)からなる編織物などである。
しかし、それらの先行品だけでは特性やコストに限界があり、未だ十分ではない。そのような現状の中で、ストレッチ衣料の多様化が求められており、ストレッチ衣料に適した新たな合成繊維の出現が期待されている。
特開昭52−5320号公報 特開昭52−8123号公報 特開昭52−8124号公報 特開昭58−104216号公報 J.PolymerScience:Polymer Physics Edition第14巻、第263頁−274頁(1976) Chemical FibersInternational 第45巻(4月号)、第110頁−111頁(1995) 特開平11−200143号公報
本発明の目的は、上記した、柔軟性が大であり弾力性に優れるというPTT繊維の特徴を最大限生かす構成のPTT繊維、即ち、ストレッチバック性に優れ、ストレッチ衣料に適した高品質のPTTマルチフィラメント糸を提供すること、及びそれを高収率で得ることのできる製造方法を提供することである。
ストレッチバック性が高いということは、繊維や布帛を引っ張るときに適度な伸びがあり、伸びと共に抵抗感が加わり、離したときに素早く元に戻るゴムのような性質を示すことと理解される。合成繊維では、ストレッチ衣料には通常仮撚加工糸のような捲縮糸が使用されることが多い。
本発明は、ストレッチ衣料として好適な仮撚加工糸を提供することも目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の構成は以下の通りである。
1.95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成されるポリトリメチレンテレフタレートからなる円形断面のマルチフィラメント糸であって、以下の(1)〜(5)の要件を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸。
(1)固有粘度=0.7〜1.1dl/g
(2)単糸繊度=3.3〜8.9デシテックス
(3)破断伸度=36〜60%
(4)繊度変動値U%≦1.0%
(5)150℃熱時伸度=25%以上
2.(5)150℃熱時伸度=25%以上、43%以下であることを特徴とする上記1記載のポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸。
3.上記1記載のポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を仮撚又は延伸仮撚して得られ、かつ、以下の(1)、(2)の要件を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート仮撚加工糸。
(1)最大捲縮伸度=150%以上
(2)最大捲縮応力=0.020cN/デシテックス以上
4.(1)最大捲縮伸度=150%以上、175%以下
(2)最大捲縮応力=0.020cN/デシテックス以上、0.031cN/デシテックス以下であることを特徴とする上記2記載のポリトリメチレンテレフタレート仮撚加工糸。
本発明の第1の発明は、95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成されるPTTからなる円形断面のマルチフィラメント糸であり、かつ、下記(1)〜(4)の要件を満足することを特徴とするPTTマルチフィラメント糸である。
(1)固有粘度=0.7〜1.1dl/g
(2)単糸繊度=3.3〜8.9デシテックス
(3)破断伸度=36〜60%
(4)繊度変動値U%≦1.2%
本発明の第2の発明は、95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成されるPTTからなる円形断面のマルチフィラメント半延伸糸であり、下記(1)〜(4)の要件を満足することを特徴とするPTTマルチフィラメント半延伸糸である。
(1)固有粘度=0.7〜1.1dl/g
(2)単糸繊度=3.9〜13.3デシテックス
(3)破断伸度=61〜120%
(4)繊度変動値U%≦1.2%
本発明の第3の発明は、第1の発明又は第2の発明のPTT糸又は半延伸糸を、仮撚又は延伸仮撚してなることを特徴とするPTT仮撚加工糸である。
本発明の第4の発明は、下記(1)〜(4)の条件下で、95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成される固有粘度[η]が0.7〜1.3dl/gである円形断面のPTTマルチフィラメント糸又は半延伸糸を製造する方法である。
(1)5mm≦紡糸口金芯間距離
(2)紡糸温度=255〜275℃
(3)紡糸口金表面温度≧255℃
(4)V×[η]=5〜12(m/分)(dl/g)
(ただし、Vは、溶融したPTTの吐出線速度(m/分)を表す。)
本発明のPTTマルチフィラメント糸及び半延伸糸は、PTT特有の風合いと優れたストレッチ特性を有する仮撚加工糸を安定的に与えることが出来、染めの均一性が高く、後加工時の糸切れ、毛羽発生が極めて少ない。また、本発明のPTT糸又は半延伸糸を用いた仮撚加工糸は、ストレッチ衣料に適し、新しいストレッチ衣料の分野を形成することが可能である。
本発明は、95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成されるPTTからなる円形断面マルチフィラメント糸、その製造方法及びその糸を用いた仮撚加工糸に関する。
本発明において、マルチフィラメント糸という用語は、トウを含む長繊維及びマルチフィラメント糸を切断して得られる短繊維も含むものである。
本発明におけるPTTは、その95モル%以上がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位、5モル%以下がその他のエステル繰り返し単位からなる(トリメチレンテレフタレート繰り返し単位は、テレフタール酸とトリメチレングリコールから生じるエステル単位である。)。即ち、本発明におけるPTTは、PTTホモポリマー、及び5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位を含むPTT共重合ポリマーである。
共重合成分の例は以下の如くである。
酸成分としては、イソフタール酸や5−ナトリウムスルホイソフタール酸に代表される芳香族ジカルボン酸、アジピン酸やイタコン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸等々であり、グリコール成分としては、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等々である。また、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸もその例である。複数の共重合成分を含むことを妨げない。
本発明におけるPTTは、酸化チタンなどの艶消し剤、熱安定剤、酸化防止剤、制電剤、紫外線遮蔽剤、抗菌剤、種々の顔料等々の添加剤を含有又は共重合成分として含有させても良い。
本発明におけるPTTの製造方法は公知の方法で良く、その代表例としては、一定の極限粘度までは溶融重合で重合度を上げ、続いて、固相重合で所定の極限粘度に相当する重合度まで上げる2段階法である。
以下に本発明の第1の発明について説明する。
本発明の第1の発明においては、マルチフィラメント糸を形成しているPTTの固有粘度は0.7〜1.1dl/gである。ここで、固有粘度は後述の方法により測定された値をいう。固有粘度が0.7dl/g未満では、破断強度が3.1cN/デシテックス以下
、さらには2.6cN/デシテックス以下となり、衣料用途には不向きとなり、ストレッチ衣料としては適当ではない。固有粘度が1.1dl/gを越えると、マルチフィラメント糸の熱に対する寸法安定性が悪くなり、且つ原料であるPTTの製造コストが高くなる。固有粘度の好ましい範囲は0.8〜1.1dl/g、更に好ましくは0.8〜1.0dl/gである。
第1の発明においては、単糸繊度が3.3〜8.9デシテックスである。単糸繊度は、ストレッチバック性の点から3.3デシテックス以上であることが好ましい。以下、この点について説明する。
ストレッチバック性には、図1に示されるような仮撚加工糸の応力−伸長率曲線において、捲縮が伸ばされる初期過程と繊維自体が伸ばされる後期過程の、伸びと応力が関与する。即ち、ストレッチバック性は、捲縮の伸縮特性とPTT繊維固有の弾力性の複合効果である。伸長過程での抵抗感は、捲縮の伸長応力(フックの法則におけるバネ定数の効果に相当)と繊維自体の弾力性により決定される。
PTTは、PETと比較して捲縮伸度が高く、また、繊維自体の伸長回復性が高いため、優れたストレッチバック性を示す。更に、ストレッチバック性は、前記捲縮の伸長応力と相関があり、仮撚加工糸の単糸繊度を大きくすることが有効である。単糸繊度が3.3デシテックス未満では、仮撚加工糸にしたときに加工糸の捲縮が伸長される過程での(前述の初期過程の)弾性率が小さく、その結果、図1に示す最大捲縮応力が小さく、優れたストレッチバック性が得られない。
一方、単糸繊度が8.9デシテックスを越えると、溶融紡糸過程で冷却が不十分になり、繊度変動値U%が1.2%を越える値となり、糸切れも多発する。そして、得られるマルチフィラメント糸及びそれより得られる仮撚加工糸も堅くなり、衣料用途に不向きになる。
第1の発明においては、応力−伸長率曲線の測定で得られる破断伸度が36〜60%である。破断伸度が36%未満では、マルチフィラメント糸の製造時及び仮撚加工時に糸切れ及び毛羽が多発して、正常な製造又は加工ができない。特に、仮撚加工の安定性に破断伸度が大きく影響する。仮撚加工では、ヒーター温度150〜180℃で糸を加熱するが、PTT繊維はかかる高温になると、破断伸度が急激に低下し糸切れが増加することがわかった。この現象はPETでは見られず、PTT特有の性質である。
本発明では、仮撚り時の糸切れを解消するために、温度150℃での熱時伸度を25%以上に保つことが好ましく、これを達成するためには、破断伸度を36%以上にすることが必要である。このことは本発明者らによって初めて見出されたことである。さらに、破断伸度を40%以上にすると、この150℃での熱時伸度を30%以上に保つことが可能となり、より安定した仮撚り加工が達成される。また、破断伸度が60%を越えると、延伸糸に太細が生じ始め、繊度変動値U%が悪化し、染め斑が顕著になる。破断伸度の好ましい範囲は40〜60%であり、さらに好ましい範囲は45〜55%である。
第1の発明においては、繊度変動値U%が1.2%以下である。U%が1.2%を越えると、マルチフィラメント糸及びこれより得られる仮撚加工糸に染め斑が生じやすくなる。特に加工糸を織物及び経編みに使用するときは使用上制約が多くなるので、U%が1.2%以下であることの意義は大きい。U%の好ましい範囲は1.0%以下である。
なお、染め斑は、後述する染め級判定で評価を行い、U%が1.2%以下であれば染め級は6級以上と合格レベルである。
以下に本発明の第2の発明について説明する。
第2の発明において、PTTの固有粘度は、第1の発明における理由と同様の理由で、
0.7〜1.1dl/gである。固有粘度の好ましい範囲は0.8〜1.1dl/g、更に好ましくは0.8〜1.0dl/gである。
第2の発明においては、PTTマルチフィラメント糸の単糸繊度は、延伸仮撚後(延伸倍率約1.2〜1.5倍)に、第1の発明で規定される単糸繊度3.3〜8.9デシテックスが得られるものでなければならない。このためには、半延伸糸の単糸繊度は3.9〜13.3デシテックスである。単糸繊度が3.9デシテックス未満では、延伸仮撚後の単糸繊度が3.3デシテックス未満となり、第1の発明の説明において述べたこと同様の理由で、優れたストレッチバック性が得られない。単糸繊度が13.3デシテックスを越えると、第一の発明と同様、溶融紡糸過程での冷却が不十分で糸切れが多発するばかりか、風合いが堅いために衣料用繊維には不適切となる場合がある。ストレッチ衣料用として好ましい半延伸糸の繊度は4.4〜11.1デシテックスである。
第2の発明においては、破断伸度は61〜120%である。破断伸度が61%未満のマルチフィラメント半延伸糸(POY)は、紡糸巻取りの際にチーズ状パッケージの巻締まりが激しく且つ巻き姿が異常となり、実質的に製造できない。破断伸度の好ましい範囲は70〜120%である。
第2の発明においては、繊度変動値U%は1.2%以下である。U%が1.2%を越えると、それだけでも染め斑の原因となる上に、延伸仮撚時の張力変動の幅が大きくなるために、加工糸の染め斑の原因となる。特に、加工糸を織物や経編みに供するときは、許容される染め斑の程度が厳しいため、U%が1.2%以下であることの意義は大きい。
以下に本発明の第3の発明について説明する。
第3の発明におけるPTTマルチフィラメント仮撚加工糸は、上記第1の発明の糸又は第2の発明の半延伸糸を、スピンドルタイプ及び摩擦タイプの仮撚機または延伸仮撚機のいずれのタイプで加工したものでも良く、いわゆる2ヒータタイプ及び1ヒータタイプの加工糸のいずれでも良い。
第3の発明の仮撚加工糸は、ストレッチバック性の点から、後述の方法により測定される最大捲縮伸度が150%以上、最大捲縮応力が0.020cN/デシテックス以上であることが好ましい。さらに好ましい範囲は、最大捲縮伸度160%以上、最大捲縮応力0.25cN/デシテックス以上である。
以下に本発明の第4の発明について説明する。
PTTの溶融紡糸では、紡糸口金孔周辺へのポリマー付着あるいは汚れ(目白現象又は目やに現象という。図2、図3参照)の程度が、PETに比較して激しい。図2、図3は、紡糸口金孔周辺の状態の一例を示す概略図であり、図2は紡糸口金孔周辺の汚れが軽微である場合を示し、図3は紡糸口金孔周辺の汚れが顕著である場合を示す。即ち、図3の場合は、図2の場合に比べて、紡糸口金孔にポリマーが多量に付着していることが判る。このような目白現象は、単糸繊度3.3デシテックス以上のPTT糸を紡糸する場合において特に顕著である。第4の発明はかかる問題点を解決するものである。
第4の発明においては、95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成される固有粘度0.7〜1.3dl/gである円形断面のPTTマルチフィラメント糸又は半延伸糸を対象とする。
第4の発明において、紡糸口金芯間距離は5mm以上である。紡糸口金芯間距離が5mm未満では、紡出されるフィラメントの冷却が時間的、空間的に不均一になる。特に単糸繊度が3.3デシテックス以上である場合にかかる現象は顕著である。その結果、繊度変動値U%が1.2%を越え、得られる糸の染色性が悪くなる。紡糸口金芯間距離は下記式を満足することが好ましい。
1.26×d+0.8(mm)≦紡糸口金芯間距離≦20(mm)
ただし、上記式中のdは延伸糸又は半延伸糸の単糸デシテックスを表す。紡糸口金芯間距
離が20mmを越えると、紡糸口金芯間距離を広げる効果が出ないばかりか、紡糸口金芯間のデッドスペースが大きくなるため糸切れが増加する傾向にある。
第4の発明においては、紡糸温度が255〜275℃である。紡糸温度は、紡糸直前のPTT溶融体の温度であるスピンパック5(図4参照)内の温度のことである。
一般に、PTTはPETに比べて熱分解性及び酸化分解性が高いために、PETで行われるような275℃を越える紡糸温度は工業的には採用不可能である。紡糸温度が255℃未満では、その他の要件を如何に整えてもメルトフラクチャー等のため順調な紡糸ができない。これは紡糸温度がPTTの融点に近くなるためである。紡糸温度が275℃を越えると、PTTの熱分解が激しく、糸曲がりや気泡発生のために順調な紡糸ができないばかりか、得られる繊維の物性も劣ったものになる。紡糸温度の好ましい範囲は、メルトフラクチャー及び熱分解共に問題ない255〜270℃である。
第4の発明においては、V×[η]=5〜12(m/分)(dl/g)である。Vは紡糸口金からのポリマーの吐出線速度であり、下記式で表される。
V(m/分)=4F/πρR
(式中、Fは単一孔の吐出量(g/分)、ρはポリマーの密度(g/cm)、Rは紡糸口金孔径(mm)を表す。)
V×[η]が12(m/分)(dl/g)を越えると、目白現象が顕著で、ワイピング周期が48時間未満、更には36時間以下と短くなる。V×[η]が5(m/分)(dl/g)未満では、マルチフィラメント糸の均一性が悪くなり、繊度変動値U%が1.2%を越える値となる。V×[η]の好ましい範囲は5〜10(m/分)(dl/g)、更に好ましい範囲は5〜8(m/分)(dl/g)である。
第4の発明においては、紡糸口金表面温度が255℃以上である。PTTでは、紡糸口金表面温度が低いほど、孔周辺へのポリマー付着による目白現象が起きやすいという傾向があることが、本発明者らの検討により初めて分かった。紡糸口金表面温度が255℃未満では、目白現象が顕著で連続した紡糸が不可能である。紡糸口金表面温度が紡糸温度を越える範囲では、複数装着した紡糸口金の表面温度にバラツキが生じやすくなる。そのバラツキは、得られるマルチフィラメント糸の染色性のバラツキの原因となる。紡糸口金表面温度の好ましい範囲は255℃〜紡糸温度である。
図4から分かるように、通常、スピンパックがスピンヘッド内に装着されているので、紡糸口金表面温度は紡糸温度(スピンヘッド温度)と連動して変化し、それより15〜20℃低いのが普通である。紡糸口金表面温度を本発明の範囲に設定するために、必要に応じて紡糸口金及び/または紡糸口金直下の雰囲気を積極的に加熱する手段(紡糸口金ヒーター7など)を用いるのが好ましい。
第4の発明においては、ガイド等による紡糸口金下集束位置を下記式を満足する範囲にすることが好ましい。
13.5×d+60≦紡糸口金下集束位置(cm)
(ただし、dは延伸糸の単糸デシテックスを表す。)
また、紡糸口金下の冷却風速度は0.6〜1.2m/秒が好ましい。
第4の発明において、紡糸速度は特に限定されない。また、延伸は、未延伸糸を紡糸後一旦巻取った後に行っても、あるいは、直接連続して行ってもよい。
第4の発明における好ましい態様は、固有粘度を0.7〜1.1dl/gに特定し、単糸繊度を3.3デシテックス以上に特定し、紡糸速度及び延伸の有無を選択することである。これにより、前記第1及び第2の発明で規定されるマルチフィラメント糸及び半延伸糸が一層効果的に得られる。即ち、第1の発明は、概ね500〜2500m/分の紡糸速度で紡糸した後、延伸して得られる延伸マルチフィラメント糸に相当し、第2の発明は、
概ね2500m/分を越える紡糸速度で紡糸して得られる、半延伸マルチフィラメント糸(POY)に相当する。
第1の発明のマルチフィラメント糸は、紡糸された未延伸糸を一旦パッケージとして巻き取り、次いで延伸機で延伸する2段階法でも、紡糸後、連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法でも製造することが出来る。
以下に、本発明のPTTマルチフィラメント糸の製造方法の一例(紡糸−低速延伸法)について、図4及び図5に従って詳述する。
まず、本発明で規定するPTTのペレットを連続的にポリマー乾燥機1に投入して、熱風を用いて水分率が30ppmになるように乾燥する。乾燥されたペレットは引き続き255〜265℃に設定された押出機2に供給され、PTTの融点以上の温度に加熱されて溶融される。溶融PTTは、ベンド3を経て所定の紡糸温度に保たれたスピンヘッド4に供給され、スピンパック5内で紡糸温度に調整され且つ濾過される。その後、溶融PTTは、スピンパック5内に装着された紡糸口金6を通して、マルチフィラメント糸となるべく冷却ゾーンに吐出される。紡糸口金表面温度は、口金周辺に設けられた紡糸口金ヒーター7によって所定の温度に保たれている。冷却ゾーンに導入された吐出PTTフィラメント8は、冷却風9によって室温まで冷却されつつ、1000〜1900m/分の周速で回転している引き取りゴデットロール12の力によって、所定の繊度まで細化され、オイリングノズル10によって仕上げ剤が付与され、マルチフィラメント糸の未延伸糸11となる。ゴデットロール12に引き取られた後に、巻取機13で巻取られ未延伸糸パッケージ14が形成される。
次いで、この未延伸糸パッケージ14は、図5に示す延伸機に送られる。未延伸糸11は供給ロール15で45〜65℃に加熱された後、所定の延伸比で延伸され、100〜150℃に設定されたホットプレート16で熱処理された後、延伸糸17となる。延伸比は供給ロール15と延伸ロール18との速度比で設定される。必要に応じて有撚のパーン19の形状あるいは無撚のチーズ形状(図示せず)に巻き取られる。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
物性の測定方法及び紡糸口金表面の観察方法等は、下記の通りである。
(a)固有粘度
固有粘度[η]は、次式の定義に基づいて求められる値である。
Figure 0004298675
なお、上記式中、ηrは、純度98%以上のo−クロロフェノールに溶解したPTTポリマーの溶液を、所定のポリマー濃度C(g/100ml)に希釈し、その希釈溶液の35℃で測定した粘度を、同一条件で測定した上記溶剤の粘度で除した値であり、相対粘度と呼ばれるものである。数点のCについて相対粘度を測定し、Cを0に外挿して固有粘度を求める。
(b)単糸繊度
JIS−L−1013に従ってマルチフィラメント糸の繊度を測定し、その値をマルチフィラメント糸の単糸数で除する。
(c)破断伸度、150℃熱時伸度
JIS−L−1013に従って応力−伸長率曲線を測定し、その図上から求める。5回
の測定値の平均をもってマルチフィラメント糸の破断伸度とする。
また、150℃の加熱炉中に糸を保持して破断伸度を測定したものを、150℃熱時伸度とした。
(d)繊度変動値U%
USTER TESTER 3(Zellweger社製)にて以下の測定条件で測定する。
測定条件:ハイパスフィルター:有り
測定速度:50m/分
Measuring Slot:3
測定時間:5分
Tensional force:1.25
Tensional Pressure:2.5bar
撚り:1500t/m、S撚り
(e)仮撚加工糸の最大捲縮応力及び捲縮最大伸度
仮撚加工糸の応力−伸長率曲線を、以下の方法・条件で測定する。
仮撚加工糸を沸騰水で30分間処理した後、乾燥する。JIS−L−1013(引張試験法)に準じて、Full応力が0.882cN/デシテックスまでの応力−伸長率曲線を描く。
上記の方法・条件で測定して得た応力−伸長率曲線上で、図1に示すように、捲縮が伸ばされる過程(初期)の曲線の接線と、繊維自体が伸ばされる過程の曲線の接線との交点を求める。この交点に対応する応力を加工糸の繊度で除した値を最大捲縮応力とし、これを以て仮撚加工糸の伸長応力とする。また、この交点に対応する伸度を最大捲縮伸度とする。
(f)仮撚加工糸柔軟度
加工糸を一口編み機で筒編み地を作製し、熟練者が、下記の5段階で判定を行う。
5:極めて柔軟
4:十分に柔軟
3:衣料用としてぎりぎり使用可能な程度に柔軟
2、1;粗硬(衣料用には使用不可)
(g)紡糸口金孔周辺のポリマー汚れ観察
QUESTAR社製の望遠顕微鏡(型式:QM−1型)により、紡糸口金孔周辺を拡大し、汚れを観察した。ワイピング後36時間経過した時の汚れ状態を観察し、下記の基準で評価した。
◎:ほとんど汚れなし
○:孔の一部に汚れが見られるが問題ない程度
×:孔の全面に汚れが見られる。
(h)仮撚加工糸のストレッチバック性
仮撚加工糸を一口編み機で編成し、筒編み地を得る。この筒編み地を30分間沸騰水処理し、乾燥後、熟練者が、下記の基準で官能評価する。
◎:ストレッチバック性が非常に良好(合格)
○:ストレッチバック性が良好(合格)
×:ストレッチバック性が不良(不合格)
(i)染め斑評価(染め級)
延伸糸を一口編み機で編成し、筒編み地を得る。この筒編み地を以下の条件で染色した
後、熟練者が限度見本に合わせて10段階で官能評価する(数字が大きいほど良好である。)。
染色条件:染料:ホロンネイビーS−2GL グラン200% (オー・ジー株式会社)
染料濃度:1.5%
分散剤:ディスパーTL(明成化学工業株式会社)
分散剤濃度:2g/l
浴比: 1:18
染色温度:97℃
染色時間:30分
判定基準: 10級:染め筋、染め斑なし(合格)
8〜9級:染め筋、染め斑小(合格)
6〜7級:染め筋、染め斑中(合格)
4〜5級:染め筋、染め斑大(不合格)
1〜3級:未延伸部が存在(不合格)
(6級以上が合格)
〔実施例1〜3及び比較例1〜3〕
これらの例では、PTTマルチフィラメント糸の単糸繊度がストレッチバック性に与える影響、即ち、単糸繊度が仮撚加工糸の応力−伸長率特性(最大捲縮応力)に与える影響、及び単糸繊度が柔軟性に与える影響について調べた。
酸化チタンを0.4wt%含む固有粘度0.92dl/gのPTTペレットを、図4及び図5に示すような紡糸機及び延伸機(延撚機)を用いて、紡糸口金の孔径を変えて、下記の紡糸条件、延伸条件で、円形断面の83.3デシテックス/10フィラメント(実施例1)、83.3デシテックス/12フィラメント(実施例2)、83.3デシテックス/24フィラメント(実施例3)、83.3デシテックス/36フィラメント(比較例1)及び83.3デシテックス/72フィラメント(比較例2)のPTT糸を製造した。
次いで、得られた糸を用いて下記の条件で仮撚加工糸を製造した。
(1)紡糸条件 ポリマー水分率:20ppm
押出温度(押出機ヒーター温度):260℃
紡糸温度(スピンヘッド温度):265℃
紡糸口金表面温度:258℃(紡糸口金ヒーターで調節)
紡糸口金条件:表1に示す
ポリマー吐出量:表1に示す
紡糸口金下集束位置:170cm
冷却風条件;速度:0.8m/秒
温湿度:22℃、90%RH
仕上げ剤付着率:0.8wt%
紡糸速度:1500m/分
巻取速度:1470m/分
巻取機周辺の温湿度:22℃、90%RH
(2)延伸条件
ラグタイム:50時間以内
クリール部の温湿度:22℃、90%RH
延伸比:破断伸度が約45%になるように設定。
供給ロール温度:55℃
ホットプレート温度:130℃
延伸ロール温度:非加熱
延伸ロール速度(延伸速度):800m/分
(3)仮撚条件
仮撚機のタイプ:三菱重工業社製LS−2(ピン仮撚方式)
スピンドル回転数:27500rpm
仮撚数:3840T/m
第1フィード率:±0%
第1ヒーター温度(接触式):160℃
第2ヒーター温度(非接触式):150℃
第2フィード率:+15%
また、PETを用いて、前記PTTの場合と同様な工程で、条件をPETに最適化して83.3デシテックス/12フィラメントの延伸糸を得た。仮撚りは、同じ仮撚機を用い同一仮撚り数で、第1、第2ヒーター温度をそれぞれ220、230℃で実施した(比較例3)。
実施例1〜3、比較例1〜3で得られた糸(原糸)及び仮撚加工糸の物性を表2に示す。
表2から、単糸繊度3.3〜8.9デシテックスのPTTマルチフィラメント糸(実施例1〜3)は、仮撚加工糸の最大捲縮応力が突出して高く、上記範囲外の比較例1、2に比べて優れていることが明らかである。
また、PETを用いた比較例3は、最大捲縮応力は高いものの、最大捲縮伸度が低いこと及び繊維自体に伸長回復性がないため、伸びが小さくストレッチバック性は劣るものとなった。また、PETは柔軟度が硬いものとなった。
〔実施例4〜6及び比較例4、5〕
これらの例では、PTTの固有粘度を一定にしたとき、紡糸口金孔からのポリマー吐出線速度、即ちV×[η]が、目白現象の程度即ちワイピング周期に与える影響を調べた。
83.3デシテックス/12フィラメントのマルチフィラメント糸を得るに際し、紡糸口金孔径と吐出線速度Vとを変化させて紡糸を行い、ワイピング周期を評価した。
ワイピング周期は以下の方法で求めた。
紡糸口金が同時に16個装着可能な紡糸機を用いて、同時に16本の未延伸糸を得た後、多錘の延伸を行うことができる延伸機を用いて、16本の未延伸糸の延伸テストを同時に行った。
その間、5kg巻き20切り替えの未延伸糸巻き取りを行なうプログラムで紡糸テストを行った。これは途中で糸切れが起こらなければ60時間の連続紡糸となる。これに続いて、20切り替え分の未延伸糸について逐次延伸テストを行なった。同一切り替えの16本の未延伸糸パッケージを同時に延伸機にかけ、各未延伸糸当たり2.5kg巻き2切り替えの延伸を行なう方法を採った。未延伸糸は温度22℃、湿度90%RHの条件下に保持し、紡糸後100時間以内に延伸を終了した。延伸収率は以下の式で各切替毎に求めた。
延伸収率(%)=100×{16−(糸切れ数)}/16
また、ワイピング周期は、延伸収率が81.3%以上を保ちつづける最大の時間とした。
テストに用いた紡糸口金および吐出条件は、表3に示す通りである。紡糸口金以外の条件は実施例2の場合と同様である。
表4にテスト結果を示す。表3、4から明らかなように、V×[η]が12(m/分)(dl/g)以下(実施例4〜6、比較例5)では、ワイピング周期が48時間以上に達している。なお、比較例5は、5(m/分)(dl/g)未満であるためU%が1.2%を越えている。
また、U%が1.2%以下である実施例4〜6は、染め級が8〜9級と良好であるのに対し、U%が1.2%を越えている比較例4、5は、染め級が4〜5級と不良であった。
〔実施例7、8及び比較例6〕
これらの例では紡糸口金芯間距離が、PTTマルチフィラメント糸の繊度変動値U%に与える影響について調べた。
紡糸口金芯間距離を表5に示すように変えたこと以外は、実施例3と同様にして紡糸延伸テストを行い、83.3デシテックス/24フィラメントのマルチフィラメント糸を得た。
表6に、得られたマルチフィラメント糸の物性及び繊度変動値U%の値を示す。表6から明らかなように、紡糸口金芯間距離が5mm未満、1.26×d+0.8mm(dは延伸糸の単糸デシテックスを表す。)未満である比較例6は、U%の値が1.2%を越えている。
また、U%が1.2%以下である実施例7、8は、染め級が7〜8級と良好であるのに対し、U%が1.2%を越えている比較例6は、染め級が5級と不良であった。
〔実施例9〜12及び比較例7〕
これらの例では、延伸糸の破断伸度と仮撚り加工性の関係を調べた。
延伸比と吐出量を変えたこと以外は実施例2と同様にして、83.3デシテックス/12フィラメントのマルチフィラメント糸を得た。破断伸度は表7に示す通りである。
得られた糸について、それぞれ24本をピン仮撚り機で実施例1〜3に記載の条件を基本にして、フィード率を各条件に応じて最適化し、2日間仮撚りをおこない、1日当たりの切れ糸数を調べた(糸切れ回数は、3回/日・24sp以下が生産可能なレベルである)。
その結果、表7に示すように、破断伸度が36%以上の実施例9〜12は糸切れ数が少なく生産可能なレベルであったが、36%未満の比較例7は糸切れが多く生産できないレベルであった。
Figure 0004298675
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本発明のPTTマルチフィラメント糸及び半延伸糸は、PTT特有の風合いと優れたストレッチ特性を有する仮撚加工糸を安定的に与えることが出来、染めの均一性が高く、後加工時の糸切れ、毛羽発生が極めて少ない。また、本発明のPTT糸又は半延伸糸を用いた仮撚加工糸は、ストレッチ衣料に適し、新しいストレッチ衣料の分野を形成することが可能である。
本発明のPTTマルチフィラメント糸の製造方法によれば、紡糸口金孔周辺の目白現象が大きく軽減され、従来技術では問題の大きかった単糸3.3〜8.9デシテックスの場合においても、紡糸口金のワイピング周期48時間以上を達成できる。また、得られたPTTマルチフィラメント糸は、染めの均一性が高く、仮撚加工など後加工時での糸切れ、毛羽発生が極めて少ない。
PTT仮撚加工糸の応力−伸長率曲線の例を示す図である。 目白現象が軽微である紡糸口金孔周辺の状態の例を示す概略図である。 目白現象が顕著である紡糸口金孔周辺の状態の例を示す概略図である。 本発明で用いる紡糸機の一例の概略図である。 本発明で用いる延伸機の一例の概略図である。 (なお、図2及び図3は、デジタルカメラによるデジタル画像をもとにして描いた概略図である。)

Claims (4)

  1. 95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成されるポリトリメチレンテレフタレートからなる円形断面のマルチフィラメント糸であって、以下の(1)〜(5)の要件を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸。
    (1)固有粘度=0.7〜1.1dl/g
    (2)単糸繊度=3.3〜8.9デシテックス
    (3)破断伸度=36〜60%
    (4)繊度変動値U%≦1.0%
    (5)150℃熱時伸度=25%以上
  2. (5)150℃熱時伸度=25%以上、43%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸。
  3. 請求項1記載のポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を仮撚又は延伸仮撚して得られ、かつ、以下の(1)、(2)の要件を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート仮撚加工糸。
    (1)最大捲縮伸度=150%以上
    (2)最大捲縮応力=0.020cN/デシテックス以上
  4. (1)最大捲縮伸度=150%以上、175%以下
    (2)最大捲縮応力=0.020cN/デシテックス以上、0.031cN/デシテックス以下であることを特徴とする請求項3記載のポリトリメチレンテレフタレート仮撚加工糸。
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