JP4059681B2 - ポリトリメチレンテレフタレート前配向糸の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート前配向糸の製造方法に関する。更に詳しくは、長期間にわたって高温に暴露されても仮撚加工が可能であり、しかも加工糸の染着性が安定な、衣料用に適したポリトリメチレンテレフタレート前配向糸を製造するに際し、加熱ロールでの糸切れを解消し、安定した紡糸を可能とするポリトリメチレンテレフタレート前配向糸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリトリメチレンテレフタレート(以下「PTT」という)繊維は、ヤング率が低く、編織物等の衣料用途に用いた場合にソフトな風合いを有することから、近年その需要が大きく拡大しつつある。なかでも、PTT繊維を仮撚加工すると、ソフトな風合いと高いストレッチバック性が得られることから、スポーツ衣料分野への利用が見込まれている。仮撚加工としては、PTTを高速で紡糸して得られる前配向糸を延伸仮撚するのが一般的である。
【0003】
前配向PTT繊維の先行技術として、(A)特表平9−509225号公報、(B)特開昭58−104216号公報、(C)「Chemical Fibers International」47巻、1997年2月発行、p.72〜74、(D)特開2000−239921号公報、(E)特開2001−20136号公報、(F)特開2001−64824号公報等が挙げられる。
先行技術(A)には、紡糸速度2000〜5000m/分で巻き取られた糸が、(B)には、紡糸速度2000m/分以上で得られる、複屈折率が0.035以上の延伸のための前配向糸が示されている。先行技術(C)には、ゴデットロールを用いず、または冷たいゴデットロールを介した後、3000〜6000m/分で巻取った仮撚加工のための部分配向糸が開示されている。
【0004】
PTTの前配向糸は、従来のポリエチレンテレフタレートの前配向糸と大きく異なり、巻取り過程や巻取り後に繊維の収縮が生じるという特性がある。このために、巻取り過程の問題として、例えば、数kgの前配向糸を巻いたパッケージが巻取機から抜けなくなるというトラブルが生じる。更に、パッケージを長期間保管すると、巻形状の変形やパッケージ端部に起因する糸質の変化が生じる。先行技術(D)には、巻取り時のパッケージ抜き取りトラブルを解消する目的で、前配向糸の放縮率を0.2〜1.5%となるように、巻取り過程で前配向糸を加熱処理する方法が提案されている。先行技術(E)及び(F)には、パッケージの経時的な変形を解消する目的で、前配向糸の沸水収縮率を3〜15%となるように前配向糸を巻き取る過程で熱処理を施すことが提案されている。
【0005】
更に、パッケージの端面に起因する染着率の周期的斑の解消に関しては、本発明者らが既に、特願2000−139456号において提案を行っている。
しかしながら、これらの課題とは別に、PTT前配向糸パッケージは、予測されない程の高温下に晒されたり、赤道を越えた輸送等を行うと、糸質の変化が生じる問題があることが明らかになった。すなわち、PTT前配向糸パッケージを高温に曝露すると、前配向糸を仮撚加工する際に仮撚ヒーター上を走行する糸の張力(以下、仮撚張力という)が、曝露されていない前配向糸の仮撚張力よりも低くなり、仮撚加工に際し糸切れが増加することが明らかになった。しかも、得られた仮撚加工糸を布帛にして染色すると、曝露条件の相違によって染着率に差が生じることが明らかになった。
【0006】
前配向糸が、曝露条件の相違によって染着率に差が生じると、製造日が異なる前配向糸を混合して仮撚加工に供することができなくなり、製造ロットごとに区分して加工および布帛への投入行うことが必要となり、煩雑な作業を要し、工業的には極めて重要な問題が生じる。
先行技術(D)、(E)および(F)に開示されるた方法で熱処理することによっても、予測されない程の高温暴露による染着率差を解決することは不可能であった。
前配向糸の高温暴露による染着率差を解決するために、先行技術に開示されている熱処理を更に強化して解決しようとすると、前配向糸の繊維構造変化、およびそれに伴う前配向糸の伸張が起こる。前配向糸の伸張は加熱ロール上での前配向糸の張力の低下をもたらし、その結果、加熱ロール上での前配向糸の走行が不安定となり糸切れを起こすために、前配向糸の連続した巻取りが困難になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、PTT前配向糸の加熱ロールでの糸切れを解消する製造方法を提供することである。
本発明の目的は、PTTを高速で巻き取って得られるPTT前配向糸であって、長期間にわたって高温に暴露されても仮撚加工が可能で、しかも加工糸の染着性が安定な、衣料用に適したPTT前配向糸の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、PTTを紡糸し、延伸することなく巻取るに際し、前配向糸の巻取条件とパッケージの熱処理を特定の条件で行うことにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
1)95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位を有し、極限粘度が0.7〜1.3dl/gのポリトリメチレンテレフタレートを溶融紡糸して延伸することなく巻き取るに際し、紡糸速度が2500〜3500m/分、かつ、第1加熱ロール又は第2加熱ロールとして、ロールの直径が糸導入部の直径よりも糸出口部の直径が2〜7%漸次大きくなるテーパーロールを用い、かつ、加熱ロール温度が80〜180℃で熱処理することにより前配向糸の沸水収縮率を2.4〜8.0%とすることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート前配向糸の製造方法。
【0010】
2)第1加熱ロール又は第2加熱ロールとして、ロールの直径が糸導入部の直径よりも糸出口部の直径が2〜5%漸次大きくなるテーパーロールを用いることを特徴とする上記1)記載のポリトリメチレンテレフタレート前配向糸の製造方法。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、PTT前配向糸の製造方法である。以下、図1を用いて説明する。図1において、ポリマーチップ乾燥機1で30ppm以下の水分率までに乾燥されたPTTペレットを255〜265℃の温度に設定された押出機2に供給し溶融する。溶融PTTは、その後、ベンド3を経て250〜265℃に設定されたスピンヘッド4に送液され、ギヤポンプで計量される。その後、スピンパック5に装着された複数の孔を有する紡糸口金6を経て、マルチフィラメント7として紡糸チャンバー内に押し出される。押出機及びスピンヘッドの温度は、PTTペレットの極限粘度や形状によって上記範囲から最適なものを選ぶ。
【0012】
紡糸チャンバー内に押し出されたPTTマルチフィラメントは、冷却風8によって室温まで冷却固化され、仕上げ剤付与装置9で仕上げ剤を付与された後、所定の速度で回転する引取ゴデットロール兼加熱ゴデットロール(以下、加熱ロール、という)10、11によって引き取られると共に熱処理されて、所定の繊度の前配向糸パッケージ12として巻き取られる。この時、前配向糸は、加熱ロールに2〜10回周回して加熱され、熱処理を行われるので、加熱ロールの表面温度が前配向糸の熱処理温度とほぼ等しくなる。
【0013】
前配向糸12は、第1加熱ロール10に接する前に、仕上げ剤付与装置9によって仕上げ剤が付与される。前配向糸に付与する仕上げ剤は、通常、水系エマルジョンタイプが使用される。仕上げ剤の水系エマルジョンの濃度は、通常、5質量%以上、好ましくは10〜30質量%である。
仕上げ剤の付与率は、平滑性、収束性、制電性等を付与する目的で、前配向糸に対して0.2〜2質量%付与することが好ましい。
前配向糸には、解舒性や仮撚加工時の集束性を向上させる目的で、仕上げ剤付与装置9と第1加熱ロール10との間及び/又は第2加熱ロール11と巻取の間で交絡付与装置により、50ヶ/m以下の単糸交絡を付与してもよい。
上記方法により製造された前配向糸は、長期間にわたって高温に暴露されても、一定の仮撚条件下で加工が可能であり、この前配向糸から染着性が安定した仮撚加工糸を製造することができる。
【0014】
本発明において、PTT前配向糸は、以下の条件を満足することが必要である。
1)ポリマー組成
PTT前配向糸を構成するPTTは、95〜100モル%がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位からなり、5〜0モル%がその他のエステル繰り返し単位からなる。すなわち、本発明におけるPTT前配向糸は、PTTのホモポリマー、及び5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位を含む共重合ポリトリメチレンテレフタレートを含む。
【0015】
共重合成分の代表例として、以下のものがあげられる。
酸性分としては、イソフタール酸や5−ナトリウムスルホイソフタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸、アジピン酸やイタコン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸等である。グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等である。ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸もその例である。これらの複数が共重合されていてもよい。
本発明において、PTT前配向糸を構成するPTTには、本発明の効果を妨げない範囲で、酸化チタン等の艶消し剤、熱安定剤、酸化防止剤、制電剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、種々の顔料等々の添加剤を含有又は共重合として含んでいてもよい。
【0016】
2)極限粘度
PTT前配向糸の極限粘度は、0.7〜1.3dl/gであることが必要であり、好ましくは0.8〜1.1dl/gである。極限粘度が0.7dl/g未満では、前配向糸を仮撚加工して得られる仮撚加工糸の強度が低く、この仮撚加工糸を用いた布帛の機械的強度が低下し、強度を要求されるスポーツ用途等への使用が制約される。極限粘度が1.3dl/gを越えると、前配向糸を仮撚加工に使用した際に、仮撚張力が高くなりすぎることによる糸切れが多発し、仮撚加工糸を安定して製造することが困難となる。
本発明において、PTTポリマーの製造方法は、公知の方法でよく、その代表例は、一定の極限粘度までは溶融重合で重合度を上げ、続いて固相重合で所定の極限粘度に相当する重合度まで上げる2段階法である。
【0017】
本発明のPTT前配向糸の製造方法においては、紡糸速度、加熱ロール温度、加熱ロールの形状が重要である。
3)紡糸速度
本発明のPTT前配向糸の製造方法においては、紡糸速度を2500〜3500m/分とすることが必要であり、好ましくは2500〜3200m/分、より好ましくは2700〜3200m/分である。紡糸速度とは、第1加熱ロール10の周速度である。
紡糸速度が2500m/分未満では、前配向糸の配向度が低いために、加熱ロール10または11による熱処理中に糸切れが生じ易くなり、本発明の前配向糸を工業的に安定して製造することは困難である。
紡糸速度が3500m/分を越えると、前配向糸の配向度が高いために、仮撚加工速度が700m/分以上の高速仮撚に対応できない為に、仮撚工程でのコスト上、不利である。
【0018】
4)加熱ロール温度と形状
本発明のPTT前配向糸の製造方法においては、第1加熱ロール及び/又は第2加熱ロールとして、ロールの直径が糸導入部の直径よりも糸出口部の直径が2〜7%漸次大きくなるテーパーロールを用い、かつ、加熱ロール温度が80〜180℃であることが必要である。
PTT前配向糸を加熱ロールで熱処理する場合、前配向糸の繊維構造変化、およびそれに伴う前配向糸の伸張が起こる。前配向糸の伸張は加熱ロール上での前配向糸の張力の低下をもたらし、その結果、加熱ロール上での前配向糸の走行が不安定となり、いわゆる“糸揺れ”現象を生じるために、前配向糸の連続した巻取りが困難になる。
【0019】
糸揺れを抑制するために、ロールの直径が糸導入部の直径よりも糸出口部の直径が漸次大きくなる、すなわち、周速度が漸次速くなることによりロール上の張力を維持する、テーパーロールが必要である。
加熱ロールの糸出口部の直径と糸導入部の直径の比率(以降、テーパー率、という)が2%未満であると、糸導入部から糸出口部にかけての周速度勾配が小さいために、テーパーロールを使用する最大の目的であるロール上でのPTT前配向糸の糸揺れを抑制する効果が不足する。
加熱ロールのテーパー率が7%を越えると、加熱ロール上での前配向糸の延伸が顕著となり、その結果、糸長方向での繊度変動が顕著となったり、加熱ロール上での延伸による糸切れが増加する。その上、テーパー率が7%を越えることは、糸導入部から糸出口部にかけての周速度勾配が大きいことを意味し、1つのロールに複数本同時に前配向糸を熱処理する場合には、それぞれの前配向糸の糸走違いによる物性差が顕著となる。テーパー率のより好ましい範囲は、2〜5%である。
【0020】
テーパーロールが加熱ロール上での糸揺れを抑制する効果は、加熱ロール温度が高いほど、またロール表面の粗度が小さいほど大きい傾向がある。そのため、第1又は第2加熱ロールそれぞれの温度およびロール粗度に応じて、テーパーロールを用いる加熱ロール位置を選択することができる。
加熱ロール温度が70℃未満では、熱処理温度としては不十分であり、長期間にわたって高温に暴露された際に、加工糸の染着性が不安定となる。
好ましい使用法として例えば、第1加熱ロール温度が80℃〜180℃であればテーパー率2〜7%の鏡面ロールを用い、一方、第2加熱ロール温度が80℃〜180℃であればテーパー率2〜7%の鏡面ロールを用いることが挙げられる。
加熱ロールが180℃を越えると、第2加熱ロール温度が高すぎるために、前配向糸の単糸同士が局部的に融着することにより糸切れが生じるため、本発明の目的である、PTT前配向糸を工業的に安定して製造することはできない。加熱ロール温度のより好ましい範囲は、80℃〜120℃である。
【0021】
本発明において製造されるPTT前配向糸は、繊度や単糸繊度は限定されない。通常、繊度は20〜300dtex、単糸繊度は0.5〜20dtexのものを使用するが、この範囲に限定されるものではない。
本発明において製造されるPTT前配向糸は、95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位を有し、極限粘度が0.7〜1.3dl/gのポリトリメチレンテレフタレートを溶融紡糸した前配向糸であればよく、その他のエステル繰り返し単位として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステルを別個に合成した後、ブレンドしたり、複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド等)してもよい。
【0022】
本発明において製造されるPTT前配向糸の断面形状は特に限定されるものではなく、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
本発明において製造されるPTT前配向糸は、原糸を延伸することなくそのまま編織物に用いてもよいし、撚糸や仮撚加工およびタスラン加工を施して使用してもよい。編織物には、全て本発明の前配向糸パッケージからの糸を使用してもよく、他の繊維と混合して使用してもよい。混繊複合する他の繊維としては、ポリエステル系繊維、セルロース系繊維、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維、アセテート繊維、アクリル系繊維、ポリウレタン弾性繊維、ウール、絹等の、長繊維及び短繊維等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本発明において製造されるPTT前配向糸と他の繊維との混繊複合糸は、他の繊維をインターレース混繊、インターレース混繊後延伸仮撚、どちらか一方のみ仮撚し、その後インターレース混繊、両方別々に仮撚後インターレース混繊、どちらか一方をタスラン加工後インターレース混繊、インターレース混繊後タスラン加工、タスラン混繊、等の種々の混繊方法によって製造することができる。かかる方法によって得た混繊複合糸には、交絡が10個/m以上付与することが好ましい。
【0024】
本発明において製造されるPTT前配向糸の仮撚加工としては、一般に用いられているピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エアー仮撚タイプ等の加工方法が採用される。仮撚ヒーターは、1ヒーター仮撚、2ヒーター仮撚のいずれであってもよいが、高いストレッチ性を得るためには1ヒーター仮撚の方が好ましい。仮撚加工は、延伸仮撚および非延伸仮撚のいずれであってもよい。仮撚ヒーター温度は、第1ヒーターの出口直後の糸温度が、好ましくは130〜200℃、より好ましくは150〜180℃、最も好ましくは160〜180℃になるようにヒーター温度を設定する。
仮撚加工における延伸比は、加工糸の伸度が35%〜55%となるように、1.1〜1.5に設定することが好ましい。
【0025】
1ヒーター仮撚によって得られる仮撚加工糸の伸縮伸長率は100〜300%、伸縮弾性率は80%以上であることが好ましい。
必要に応じて第2ヒーターで熱セットして、2ヒーター仮撚加工糸としてもよい。第2ヒーターの温度は、100〜210℃、好ましくは第1ヒーター出口直後の糸温度に対して−30℃〜+50℃の範囲とするのが好ましい。第2ヒーター内のオーバーフィード率(第2オーバーフィード率)は+3%〜+30%とするのが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、実施例などにより本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
本発明で用いられる物性の測定方法及び測定条件は以下の通りである。
(1)極限粘度
極限粘度[η]は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr −1)/C
C→0
定義式中のηr は、純度98%以上のo−クロロフェノールで溶解したPTTの稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶液の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表わされるポリマー濃度である。
【0027】
(2)破断伸度、沸水収縮率
JIS−L−1013に基づいて測定する。
(3)紡糸安定性
1錘当たり8エンドの紡口を装着した溶融紡糸−連続延伸機を用いて、7日間の溶融紡糸を行う。この期間中の糸切れの発生回数と、得られた延伸糸パッケージに存在する毛羽の発生頻度(毛羽発生パッケージの数の比率)から、以下のように判定する。
◎; 糸切れ3回以内、 毛羽発生パッケージ比率;2%以下
○; 糸切れ3回〜6回、 毛羽発生パッケージ比率;5%未満
×; 糸切れ7回以上、 毛羽発生パッケージ比率;5%以上
【0028】
(4)仮撚加工性
下記条件で、前配向糸を12パッケージ、各実施例毎、及び保管日数毎に1日間、仮撚加工を行なう。
Figure 0004059681
この期間中の糸切れの発生回数から、以下のように判定する。
◎; 糸切れ0回
○; 糸切れ2回以内
×; 糸切れ3回以上
【0029】
(5)加工糸染着差
紡糸及び熱処理終了直後の前配向糸から得られる加工糸と、紡糸及び熱処理終了後35℃で30日間保管した前配向糸から得られる加工糸との染着差で評価する。
仮撚加工糸を一口編みした後、精練・染色して品位を判定する。加工糸の染着率差の判定は、熟練したモニターが行う。
◎; 染着差なし
○; 染着差微少、許容範囲内
×; 染着差有り
【0030】
【実施例1〜3、比較例1〜2】
本実施例では、前配向糸の紡糸速度が前配向糸パッケージの物性、紡糸性及び加工性に及ぼす影響について説明する。
酸化チタンを0.4質量%含む、極限粘度0.91dl/gのPTTペレットを図1に示すような紡糸機及び巻取機を用いて、98dtex/36フィラメントPTT前配向糸パッケージを製造した。
【0031】
本実施例、比較例における紡糸条件は、以下の通りである。
(紡糸条件)
Figure 0004059681
【0032】
(巻取条件)
Figure 0004059681
巻取にあたり、図1に示す2対の引取ゴデットロール兼加熱ゴデットロールを使用して、第1加熱ロールの周速度を調整して設定した。第1加熱ロールには鏡面ロールを、第2加熱ロールには梨地ロール(粗度3S)を用いた。その他の紡糸条件は、表1に記載の通りに設定した。
【0033】
(前配向糸パッケージ)
繊度 98デシテックス
水分含有率 0.6質量%
巻径 31 cm
巻幅 10 cm
巻質量 6.0kg/1ボビン
(仮撚加工糸物性)
繊度 84.5デシテックス
破断強度 3.3cN/dtex
破断伸度 42%
伸縮伸長率 192%
伸縮弾性率 88%
得られたPTT前配向糸パッケージからの加工糸を織物の緯糸として使用して、織物の品位を評価した。
その結果を表1に示す。表1から明らかなように、紡糸速度が本発明の範囲であれば、紡糸性も良好で、かつ、仮撚に使用しても工業的に問題のない前配向糸を得ることができた。
【0034】
【実施例7,8、比較例5〜6】
本実施例では、加熱ロールにテーパーロールを使用する効果について説明する。
紡糸条件を、実施例2と同様にして前配向糸パッケージを巻取する際、第1加熱ロールのテーパー率を0〜10%と変更した際の紡糸性を確認した(実施例7、比較例5,6)。また、第1加熱ロールに梨地ロール(3S)を、第2加熱ロールには鏡面ロールを用いた例を、実施例8に示す。
その結果を表1に示す。表1から明らかなように、加熱ロール温度範囲及びテーパー率が本発明の範囲であれば良好な紡糸性が得られた。
【0035】
【実施例9】
酸化チタンを0.4質量%含む、極限粘度0.91dl/gのPTTペレットと1.15dl/gのPTTペレットを図2のような紡糸機及び巻取機を用いて、98dtex/36フィラメントPTT前配向糸パッケージを製造した。
本実施例における紡糸条件は、以下の通りである。
(紡糸条件)
Figure 0004059681
【0036】
(巻取条件)
Figure 0004059681
巻取にあたり、図2に示す2対の引取ゴデットロール兼加熱ゴデットロールを使用して、第1加熱ロールの周速度を調整して設定した。第1加熱ロールには鏡面ロールを、第2加熱ロールには梨地ロール(粗度3S)を用いた。その他の紡糸条件は、表1に記載の通りに設定した。
得られたPTT前配向糸パッケージからの加工糸を織物の緯糸として使用して、織物の品位を評価した。その結果を表1に示す。
表1から明らかなように、紡糸速度が本発明の範囲であれば、サイドバイサイド糸であっても、紡糸性も良好で、かつ、仮撚に使用しても工業的に問題のない前配向糸を得ることができた。
【0037】
【表1】
Figure 0004059681
【0038】
【発明の効果】
本発明のPTT前配向糸の製造方法により、長期間にわたって高温で暴露されても仮撚加工が可能で、しかも加工糸の染着性が安定な衣料用に適したPTT前配向糸を安定して生産することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の前配向糸製造プロセスの概略図である。
【図2】本発明のサイドバイサイド型前配向糸製造プロセスの概略図である。
【符号の説明】
1、13、15:ポリマーチップ乾燥機
1、14、16:押出機
3、17、18:ベンド
4、19:スピンヘッド
5、20:スピンパック
6、21:紡糸口金
7、22:マルチフィラメント
8、24:冷却風
9、28:仕上げ剤付与装置
10、25:第1加熱ロール
11、26:第2加熱ロール
12、27:前配向糸パッケージ

Claims (2)

  1. 95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位を有し、極限粘度が0.7〜1.3dl/gのポリトリメチレンテレフタレートを溶融紡糸して延伸することなく巻き取るに際し、紡糸速度が2500〜3500m/分、かつ、第1加熱ロール又は第2加熱ロールとして、ロールの直径が糸導入部の直径よりも糸出口部の直径が2〜7%漸次大きくなるテーパーロールを用い、かつ、加熱ロール温度が80〜180℃で熱処理することにより前配向糸の沸水収縮率を2.4〜8.0%とすることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート前配向糸の製造方法。
  2. 第1加熱ロール又は第2加熱ロールとして、ロールの直径が糸導入部の直径よりも糸出口部の直径が2〜5%漸次大きくなるテーパーロールを用いることを特徴とする請求項1記載のポリトリメチレンテレフタレート前配向糸の製造方法。
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