JP2002220738A - 高速仮撚用延伸糸及びその製造方法 - Google Patents
高速仮撚用延伸糸及びその製造方法Info
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Abstract
た、染め品位の低下、高温暴露による延伸仮撚加工性、
加工糸染め品位の低下を解消できる。 【解決手段】 極限粘度が0.7〜1.3(dl/
g)のPTTで、(1)〜(5) を満足するPTT延伸糸。
(1)結晶配向度が88〜95%、(2)破断伸度が60〜
120%、(3)乾熱収縮応力の極値温度が180℃以上
又は極値温度がなく、200℃の応力値が0.01〜
0.10cN/dtex、(4) 乾熱収縮応力の発現開始
温度が60℃以上、(5) 繊度変動値U%が1.2%以
下、繊度変動周期の変動係数が0.4%以下。 PT
Tの直接紡糸延伸法で延伸糸を製造するに際し、(a) 〜
(b) の要件を満足する製造方法。(a) 紡糸速度V(km
/分)と延伸応力T(cN/dtex)が式(1)を満足
する条件で延伸した後、 T≦−0.88・V+0.375・・(1) 但し、V=1.5〜3.5(km/分) T=0.05〜0.20(cN/dtex) (b) 熱処理ゴデットローラーにより、80〜150℃で
熱処理すること。
Description
れるポリトリメチレンテレフタレート延伸糸及びその製
造方法に関する。更に詳しくは、直接紡糸延伸法によっ
て得られる高伸度のポリトリメチレンテレフタレート延
伸糸であって、高伸度であるにもかかわらず染めの均一
性に優れ、高温暴露性に優れ、高速延伸仮撚加工に適し
たポリトリメチレンテレフタレート延伸糸及びその延伸
糸を工業的に安定に製造する製造方法に関する。
「PET繊維」と称す)は衣料用途に最も適した合成繊
維として世界中で大量に生産されて、一大産業となって
いる。ポリトリメチレンテレフタレート繊維(以下「P
TT繊維」と称す)は、(A)J.Polymer S
cience:Polymer Phisics Ed
ition Vol.14 P263ー274(197
6)及び、(B)Chemical Fibers I
nternational Vol.45,April
(1995)110ー111、(C)Chemical
Fibers International Vo
l.47,Februry(1997)P72、(D)
WO99/27168号公報、(E)特許第30739
63号公報、(F)特開2000−178828号公
報、(G)特開2000−239921号公報等の先行
技術に知られている。
維の応力ー伸長特性についての基本特性が記載され、P
TT繊維が初期モジュラスが小さく且つ弾性回復性に優
れており衣料用途やカーペット用途などに適しているこ
とが示唆されている。また、先行技術(C)にはPTT
繊維の延伸仮撚加工適した部分配向糸パッケージが提案
されている。一方、先行技術(D)〜(G)には直接紡
糸延伸法が、特に(D)には同法で得られるPTT繊維
で、適切な破断伸度,熱応力,沸水収縮率を備えたPT
T繊維とすることにより編織物に使用した際に低モジュ
ラスでソフトな風合いを発現可能なPTT繊維が提案さ
れている。このようなPTT繊維は、インナー,アウタ
ー,スポーツ,レッグ,裏地,水着等の衣料用に好適で
あることが開示されている。そして、該先行技術(E)
〜(G)には、直接紡糸延伸法で得られる延伸糸のパッ
ケージフォームに係わる課題とその解決方法や、巻取中
に生じる巻締りを回避する方法が開示されている。
断伸度が約60%以上の原糸を使用し、1.1〜2.0
倍の延伸を行いつつ仮撚加工する、いわゆる延伸仮撚加
工法が好ましい。この理由の一つは、延伸仮撚加工によ
って得られる加工糸が、延伸せずに仮撚して得られる加
工糸に比較して、捲縮伸長率や加工糸品位が良好である
ことによる。他の一つは、仮撚加工速度の高速化に容易
に対応可能であることによる。直接紡糸延伸法で得ら
れ、かかる延伸仮撚に適した提案として、(F)および
(G)には破断伸度が60%以上の高伸度延伸糸が開示
されている。
法で得られる高伸度延伸糸は、上記パッケージフォーム
や巻締りに関する問題以外に、以下のような問題がある
ことが新たに明らかになった。 a.延伸仮撚加工糸の染め品位 一方、先行技術(H)には、直接紡糸延伸法で得られる
破断伸度が65〜73%の延伸糸の例が開示されてい
る。しかし、本発明者らの検討によれば、単に延伸糸の
破断伸度を60%以上にすると、いわゆる特開平9−2
09228号公報に開示されるようなシックアンドシン
調の染め斑が生じることや、パッケージの端面に相当す
る繊度の周期的変動などに起因する染め異常が生じるこ
とが明らかになった。このような延伸糸の染め欠点は仮
撚加工によっても解消されない。また、直接紡糸延伸法
によって破断伸度を大きくするには、延伸倍率を下げる
ことが考えられるが、単に延伸倍率を小さくするとゴデ
ットロールでの糸揺れが大きく、糸切れや毛羽の発生な
どにより工業的水準で安定した生産が困難であることが
明らかになった。
は少なく、通常1週間〜1年間保管された後に使用され
る。また、保管温度も近年のグローバル化に対応して赤
道を越えた輸送を経ることもあり、この場合には延伸糸
の温度が約50〜60℃にも達することもある。先行技
術(F)に開示される高伸度延伸糸は、高温暴露によっ
て染めの均一性が低下する問題があった。従って、かか
る高温の保管によっても染の均一性が変化しない、高伸
度延伸糸が要求される。従って、先行技術(D)〜
(G)には、PTT延伸糸の巻フォームや巻締りを改良
する方法についての開示はあるものの、染めの均一性
や、高温暴露性についての影響について、その課題の存
在及び解決法については全く記載も示唆もされていな
い。
伸度が高いPTT延伸糸の問題点であった、染め品位の
低下や、高温暴露による加工糸染め品位の低下を解消す
ることである。本発明の目的は、PTTの直接紡糸延伸
法によって得られる延伸糸であって、高伸度でありなが
ら染めの均一性や高温暴露性に優れ、高速延伸仮撚加工
性に優れ、得られる加工糸染め品位も良好であるPTT
延伸糸及びその安定な製造方法を提供することである。
を解決すべく鋭意検討した結果、PTTを直接紡糸延伸
法で得られる延伸糸の繊維構造と熱収縮特性を特定する
ことにより、前記課題が解決されることを見出し、本発
明を完成するに至った。即ち、本発明の第1の発明は;
95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し
単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位か
ら構成され、極限粘度が0.7〜1.3のPTTからな
り、以下に示す(1)〜(5)を満足することを特徴と
するポリトリメチレンテレフタレート延伸糸に関する。 (1)結晶配向度が88〜95%であり、(2)破断伸
度が60〜120%であり、(3)乾熱収縮応力の極値
温度が180℃以上かもしくは極値温度を有せず、且つ
200℃における応力値が0.01〜0.10cN/d
texであり、(4)乾熱収縮応力の発現開始温度が6
0℃以上であり、(5)繊度変動値U%が1.2%以下
で、且つ繊度変動周期の変動係数が0.4%以下である
こと。更に、上記延伸糸の破断伸度が75〜100%で
ある点にも特徴を有する。本発明の第2の発明は、;ポ
リトリメチレンテレフタレートの直接紡糸延伸法におい
て、延伸糸を製造するに際し、以下の(a)〜(c)の
要件を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレ
フタレート延伸糸の製造方法に関する。 (a)紡糸速度V(km/分)と延伸応力T(cN/d
tex)が下記式(1) を満足する条件で延伸した後、 T≦ −0.88・V + 0.375 ・・・(1) 但し、V=1.5〜3.5(km/分) T=0.05〜0.20(cN/dtex) (b)延伸温度が50〜65℃で、(c)熱処理ゴデッ
トローラーにより、80〜150℃で熱処理すること。
更に、延伸温度が50〜60℃である点にも特徴を有す
る。
第1の発明について説明する。本発明において、PTT
延伸糸を構成するPTTポリマーは、95モル%以上が
トリメチレンテレフタレート繰り返し単位からなり、5
モル%以下がその他のエステル繰り返し単位からなるこ
とを要する。即ち、本発明におけるPTT延伸糸はPT
Tホモポリマー及び5モル%以下のその他のエステル繰
り返し単位を含む共重合PTTである。共重合成分の代
表例は、以下のごときものが挙げられる。酸性分として
は、イソフタール酸や5−ナトリウムスルホイソフタル
酸に代表される芳香族ジカルボン酸、アジピン酸やイタ
コン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸等々である。グ
リコール成分としては、エチレングリコール、ブチレン
グリコール、ポリエチレングリコール等々である。ま
た、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸もそ
の例である。これらの複数が共重合されていても良い。
更に、本発明のPTT延伸糸には本発明の効果を妨げな
い範囲で、酸化チタン等の艶消剤、熱安定剤、酸化防止
剤、制電剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、種々の顔料等々の
添加剤を含有又は共重合として含んでいてもよい。
は、0.7〜1.3(dl/g)の範囲であることが必
要である。固有粘度が0.7(dl/g)未満では、得
られる延伸糸の強度が低く、布帛の機械的強度が低下し
強度を要求されるスポーツ用途などへの使用が制約され
る。固有粘度が1.3(dl/g)を越えると、延伸糸
の製造段階で糸切れが生じ、安定した製造が困難とな
る。好ましい固有粘度は、0.8〜1.1(dl/g)
である。本発明におけるPTTポリマーの製造方法は、
公知のもので良く、その代表例は一定の固有粘度までは
溶融重合で重合度を上げ、続いて固相重合で所定の固有
粘度に相当する重合度まで上げる2段階法である。
8〜95%であることが必要である。結晶配向度は、後
述する測定によって得られる結晶部の配向の指標であ
る。結晶配向度が88%未満では、高温での長期間保管
で繊維構造が変化し、本発明の目的が達成されない。9
5%を越えると、高温での保管に対しては安定となる
が、仮撚加工糸に染め斑が生じ品位を低下させる。本発
明のPTT延伸糸は、破断伸度が60〜120%である
ことが必要である。破断伸度が60%未満では、仮撚加
工速度を約500m/分以上更には700m/分以上の
高速仮撚に対応できない。破断伸度が120%を越える
と、延伸時に糸切れや毛羽が発生し、また高温暴露時に
繊維構造が変化し、染めの安定性が損なわれる。好まし
い破断伸度は、75〜100%である。
が180℃以上かもしくは極値温度を有せず、且つ20
0℃における応力値が0.01〜0.10cN/dte
xであることが必要である。熱収縮極値温度が180℃
以上かもしくは極値温度を有しないことと、同時に20
0℃における応力値が0.01〜0.10cN/dte
xであることは、高速で延伸仮撚する際の仮撚加工安定
性を保証するための必要要件である。PTTの延伸仮撚
温度は、通常160〜200℃が採用される。熱収縮極
値温度が180℃未満や200℃での応力値が0.01
未満では、加工糸が仮撚ヒーターを走行する際にヒータ
ー上で周期的な糸揺れ(サージング現象)が生じ、安定
した仮撚加工が困難となる。
力曲線の一例を示す。図からも判るように、本発明のP
TT延伸糸の熱収縮曲線は従来の延伸糸には見られない
特徴を有する。仮撚加工の安定性から、200℃におけ
る応力値は高い方が好ましいが、0.10cN/dte
x以上とするには延伸糸の破断伸度を60%未満とする
必要があり、本発明の目的が達成されない。本発明のP
TT延伸糸は、乾熱収縮応力測定において、応力発現開
始温度が60℃以上であることが必要である。応力発現
開始温度は、分子鎖のミクロブラウン運動が開始する温
度とも言える。従って、PTT延伸糸の乾熱収縮応力測
定における応力発現開始温度は、長期間安定に保つため
の条件である。応力発現開始温度が60℃未満では、長
期間の保管や高温を経る輸送時に糸物性や染めが変化す
る。応力発現開始温度は、約65℃以上であることが更
に好ましい。
をある程度高速にして配向度を高めた、いわゆる前配向
糸が用いられていた。しかし、この前配向糸は熱収縮応
力の発現開始温度が約50℃未満で、しかも熱収縮極値
温度温度が、100℃未満であった。このために、延伸
仮撚の高速化のためにヒーター温度を約160℃以上に
高温化しようとすると、ヒーター上で糸切れなどが頻発
し、安定した高速延伸仮撚加工が困難であった。本発明
では、パッケージからPTT延伸糸を解じょして測定さ
れる繊度変動値U%が1.2%以下で、且つ繊度変動周
期の変動係数が0.4%以下であることが必要である。
繊度変動値U%は、公知の繊度変動測定で得られる測定
値である。本発明では、この繊度変動値U%が1.2%
以下でなければならない。1.2%を越えると、仮撚加
工糸の染め品位が低下する。具体的には、1.2%以下
であれば、仮撚加工糸を編物などに使用しても工業的に
使用可能な品位が得られるが、1.2%を越えると品位
が不良となりこの分野での使用が不可能となる。繊度変
動値U%は、小さいほど布帛の品位が良好となる。好ま
しい繊度変動値U%は1.0%以下、更に好ましくは
0.9%以下である。
%以下であるとともに、繊度変動周期解析による繊度変
動周期の変動係数が0.4%以下であることが必要であ
る。繊度変動値U%が1.2%以下であっても、繊度変
動周期の変動係数が0.4%以上であると、仮撚加工糸
を編織物に使用した際に延伸糸パッケージの耳部に起因
する染め異常が発生し、良好な品位の布帛が得られな
い。具体的には、仮撚加工糸を織物の経糸や緯糸のよう
に組織が密に製織される場合に、この問題が顕在化す
る。変動係数(Coefficient of Var
iation)は、後述するように繊度変動測定に付属
して設置される繊度変動の周期解析により測定すること
によって求められる。この繊度変動周期解析において、
延伸糸パッケージの一方の耳部から他方の耳部までの糸
長に対応する周期長に着目する。この糸長は、延伸糸パ
ッケージを形成する際のトラバース幅によって異なる
が、通常は約0.5〜10mである。耳部の繊度変動に
起因するシグナルは、この周期長において変動係数に特
異なピークとして認識される。変動係数が0.4%を越
えると、耳部に起因する繊度変動が布帛の品位欠点とし
て顕在化する。変動係数は小さいほど好ましいが、0.
2%以下であれば布帛の品位は極めて良好となる。
繊度は、特に限定されないが、繊度は20〜300dt
ex、単糸繊度は0.5〜20dtexが使用される。
また、PTT延伸糸の単糸断面形状は、丸,Y,W字状
の異型断面や、中空断面形状など特に限定されない。制
電性を付与する目的で、仕上げ剤を0.2〜2重量%付
与していることが好ましい。更に、解じょ性や仮撚加工
時の集束性を一層向上させる目的で、50ヶ/m以下の
単糸交絡を付与していても良い。
の製造方法について説明する。本発明の製造法には、公
知の直接紡糸延伸設備が用いられる。本発明において、
PTT延伸糸の製造方法を図2を用いて詳述する。図2
において、ポリマーチップ乾燥機1で30ppm以下の
水分率に乾燥されたPTTペレットを255〜265℃
の温度に設定された押出機2に供給し溶融する。溶融P
TTは、その後ベンド3を経て250〜265℃に設定
されたスピンヘッド4に送液され、ギヤポンプで計量さ
れる。その後、スピンパック5に装着された複数の孔を
有する紡糸口金6を経て、マルチフィラメント7として
紡糸チャンバー内に押出される。押出機2及びスピンヘ
ッド4の温度は、PTTペレットの固有粘度や形状によ
って上記範囲から最適なものを選ぶ。紡糸チャンバー内
に押出されたPTTマルチフィラメントは、冷却風8に
よって室温まで冷却固化され、仕上剤を付与した後、所
定の速度で回転する引取ゴデットロール兼延伸ロール1
0によって引取られ、一旦巻取ることなく、次いで延伸
ロール(本図では、最終ゴデットロール)11との間で
連続的延伸した後、巻取機によって所定の繊度の延伸糸
パッケージ12として巻取られる。固化したマルチフィ
ラメント7には、引取ゴデットロール10に接する前
に、仕上げ剤付与装置9によって仕上げ剤が付与され
る。付与する仕上げ剤は、水系エマルジョンタイプが使
用される。仕上剤の水系エマルジョンの濃度は、10重
量%以上、好ましくは15〜30重量%が採用される。
ゴデットロールの数は2対以上が用いられる。例えば図
2において、引取ゴデットロールの前に1対のプレテン
ションロールを設けても良い。
伸応力を下記式(1) の範囲とすることが必要である。 (a) 紡糸速度V(km/分)と延伸応力T(cN/dt
ex)が下記式(1)を満足する条件で延伸した後、以下
(b)、(c) で示す条件で延伸、熱処理する必要がある。 T≦ −0.88・V + 0.375 ・・・(1) 但し、V=1.5〜3.5(km/分) T=0.04〜0.20(cN/dtex) 本発明の製造方法においては、紡糸速度と延伸応力の関
係を上記範囲に特定することにより、60%以上の高い
破断伸度を有するにもかかわらず、染めの均一性が良好
な延伸糸を得ることが初めて可能となった。
の範囲を示す。図3の線A−B−C−D−E−Aで囲ま
れる斜線部が本発明の範囲である。延伸応力は図2に例
示される2対のゴデットロール10、11間で、両者の
ゴデットロールの周速度比および引取ゴデットロール1
0の温度を調整することにより設定することができる。
延伸応力が0.04cN/dtex未満では、延伸時に
ゴデットロール上での糸揺れが大きく、糸切れや毛羽が
発生する。延伸応力が0.20cN/dtexを越える
と、PTT延伸糸の破断伸度が60%未満となり、本発
明の目的が達成できない。好ましい延伸応力は、0.0
5〜0.15cN/dtexである。紡糸速度は、1.
5km/分〜3.5km/分であることが必要である。
紡糸速度は、引取ゴデットロールの速度で設定される。
紡糸速度が1.5km/分未満では、いかに延伸応力を
調整しても、延伸糸にThick & Thin調の染
め斑が生じ、本発明の目的が達成されない。紡糸速度が
3.5km/分では、延伸糸の伸度が60%未満とな
り、本発明の目的が達成されない。好ましい紡糸速度
は、1.8〜3.0km/分である。
が50〜65℃であることが必要である。延伸温度は、
引取ゴデットロールの温度で設定される。延伸温度が5
0℃未満では、延伸糸の繊度変動値U%が1.2%を越
えるか、もしくは繊度の周期的変動が発生し、糸長方向
に不規則な濃染斑が生じ、染め品位が低下する。65℃
を越えると、延伸応力が著しく低下し、安定した延伸が
継続できなくなる。好ましい延伸温度は、50〜60℃
である。
温度が80〜150℃であることが必要である。延伸後
の糸熱処理は、最終ゴデットロールで必要な熱処理を施
される。熱処理温度が80℃未満では、乾熱収縮応力の
極値温度が180℃未満となり、本発明の目的が達成で
きない。熱処理温度が150℃を越えると、最終ゴデッ
トロール上での糸揺れが大きく、延伸時の糸切れや毛羽
が生じ安定した延伸が困難となる。好ましい熱処理温度
は、90〜120℃である。
仮撚加工して得られる布帛は、染めスジやヒケなどの欠
点のない良好な品位と、ソフトな風合いを呈する編織物
が得られる。編織物には、全て本発明で得られる延伸仮
撚加工糸を使用してもよく、または他の繊維と混合して
一部に使用てもよい。混繊複合する他の繊維としては、
ポリエステル、セルロース、ナイロン6、ナイロン6
6、アセテート、アクリル、ポリウレタン弾性繊維、ウ
ール、絹等の長繊維及び短繊維などがあげられるが、こ
ろらに限定されるものではない。または、仮撚加工糸と
他の繊維とを混繊複合した編織物とするには、混繊複合
糸は、他の繊維をインターレース混繊、インターレース
混繊後延伸仮撚、どちらか一方のみ仮撚しその後インタ
ーレース混繊、両方別々に仮撚後インターレース混繊、
どちらか一方をタスラン加工後インターレース混繊、イ
ンターレース混繊後タスラン加工、タスラン混繊、等の
種々の混繊方法によって製造することができる。かかる
方法によって得た混繊複合糸には、交絡が10個/m以
上、好ましくは15〜50個/m付与することが好まし
い。
施すことなく、そのまま編織物に供することも可能であ
る。この場合にも本発明のPTT延伸を単独で使用して
もよく、また他の繊維と混繊複合して使用してもよい。
延伸仮撚加工を施すことなく、編織物に用いる利点は、
優れた易染性が得られることである。
詳細に説明するが、言うまでもなく本発明は実施例によ
り限定されるものではない。なお、実施例において行っ
た物性の測定方法及び測定条件を説明する。 (1) 極限粘度 極限粘度[η]は、次式の定義に基づいて求められる値
である。 定義中のηrは純度98%以上の0−クロロフェノール
溶媒で溶解したPTTポリマーの稀釈溶液の35℃での
粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値
であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg
/100mlで現されるポリマー濃度である。
以下の条件で回折角2θが7度から35度までの回折強
度曲線を描いた。測定条件は、30KV、80A、スキ
ャンニング速度1度/分、チャート速度10mm/分、
タイムコンスタント1秒、レシービングスリット0.3
mmとした。2θ=16度及び22度に描かれる反射を
各々(010)、(110)とする。更に、(010)
面を−180度〜+180度方位角方向に回折強度曲線
を描く。±180度で得られる回折強度曲線の平均値を
とり、水平線を引きベースラインとする。ピークの頂点
からベースラインに垂線を下ろし、その高さの中点を求
める。中点を通る水平線を引き、これと回折強度曲線と
の2つの交点間の距離を測定し、この値を角度に換算し
た値を配向角Hとする。結晶配向度は、次式(2)で与え
られる。 結晶配向度(%)=(180−H)×180/180 ・・・(2)
製 商品名KE−2)を用いて測定する。延伸糸を20
cmの長さに切り取り、これの両端を結んで輪を作り測
定器に装填する。初荷重0.044cN/dtex、昇
温速度100℃/分の条件で測定し、熱収縮応力の温度
変化をチャートに書かせる。測定されたチャートで、熱
収縮応力が発現開始する温度を応力発現開始温度とす
る。熱収縮応力は高温域で山型の曲線を描くが、このピ
ーク値を発現する温度を極値温度、またこの応力を極値
応力とする。
am Mass)を求めると同時にU%を測定する。 測定器 イブネステスター(ツエルベガーウースター社製 ウースターテスタ ー UT−3) 測定条件 糸速度 100m/分 デイスクテンション強さ(Tension force)12.5% テンション設定(Tension) 1.0 入力圧力(Entry Pressure) 2.5 hp 撚り(Twist) Z1.5 測定糸長 250m/分 スケール 糸の繊度変動に応じて設定 繊度変動値U% 変動チャート及び表示される変動値を直読した。 繊度変動係数 測定器付属の繊度変動周期解析ソフトを利用して、周期
解析図、即ち繊度変動の分散CVの周期性図を得て、山
状突出シグナルの高さ、即ち変動係数を測定した。
伸機を用いて、各実施例ごとに2日間の溶融紡糸―連続
延伸を行った。この期間中の糸切れの発生回数と、得ら
れた延伸糸パッケージに存在する毛羽の発生頻度(毛羽
発生パッケージの数の比率)から、以下のように判定し
た。 ◎ ; 糸切れ0回、毛羽発生パッケージ比率 5%以下 ○ ; 糸切れ2回以内、毛羽発生パッケージ比率 10%未満 × ; 糸切れ3回以上、毛羽発生パッケージ比率 10%以上
定した。 ◎ ;染め斑などの欠点なく、極めて良好 ○ ;染め斑などの欠点なく、良好 × ;染め斑があり、不良 (9) 総合評価 ◎ ;紡糸安定性、仮撚加工安定性、加工糸品位共に極
めて良好 ○ ;紡糸安定性、仮撚加工安定性、布帛品位共に良好 × ;紡糸安定性、仮撚安定性、布帛品位のいずれかが
不良
は、紡糸速度と延伸応力の効果について説明する。酸化
チタンを0.4重量%含む固有粘度0.91のPTTペ
レットを図2のような紡糸機及び延伸機と巻取機が一体
となった直接紡糸延伸設備を用いて、紡糸ー連続延伸を
行った。巻取に際して、紡糸速度は引取ゴデットロール
(図2では、10)の速度で設定し、延伸応力は最終ゴ
デットロール(図2では、11)との速度比を異ならせ
た。紡糸速度と延伸応力を表1に示すように異ならせ
て、延伸後84dtex/36フィラメントPTT延伸
糸を製造した。本実施例及び比較実施例における紡糸条
件は、以下のごとくである。
力で製造されたPTT延伸糸は、破断伸度60%以上で
ありながら、良好な紡糸―延伸安定性と、高速延伸仮撚
加工性および加工糸品位を有していた。
では、延伸温度の効果について説明する。引取ゴデット
ロールの温度により延伸温度を表2のごとく異ならせた
以外は、実施例2と同一条件で延伸を行い、PTT延伸
糸を得た。表2から明らかなように、延伸温度が本発明
の範囲であれば、繊度変動が小さく、染め品位の良好な
PTT延伸糸および、それからの仮撚加工糸が得られ
た。
例では、熱処理温度の効果について説明する。実施例2
と同様な溶融紡糸―延伸を行い、延伸糸パッケージを得
るにあたり最終ゴデットロール温度を表3のように異な
らせて巻取を行った。表3から明らかなように、熱処理
温度が本発明の範囲であれば、結晶配向度が好適な範囲
となり、高速延伸仮撚加工性と染めの良好な延伸糸であ
った。
温度の効果について説明する。実施例2の延伸糸を、表
4に示す保管温度に各々10日間静置し保管した。各温
度に保管した延伸の物性および延伸仮撚加工性を表4に
示す。表4からも明らかなように、本発明のPTT延伸
糸は、高温の保管にもかかわらず良好な仮撚加工性およ
び品位を有していた。一方、比較例6のPTT延伸糸を
40℃以上に保管したものは、バッケージ形状が樽状に
変形し、延伸仮撚加工に供することができなかった。
フタレートの直接紡糸延伸法によって得られる延伸糸で
あって、高伸度でありながら染めの均一性に優れ、且つ
高温暴露性に優れ、得られる加工糸染め品位も良好であ
るポリトリメチレンテレフタレート延伸糸及びその安定
な製造方法を提供することができる。
概略図である。
延伸設備の概略図を示す。
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 95モル%以上のトリメチレンテレフタ
レート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル
繰り返し単位から構成され、極限粘度が0.7〜1.3
(dl/g)のポリトリメチレンテレフタレートからな
り、以下に示す(1)〜(5)を満足することを特徴と
するポリトリメチレンテレフタレート延伸糸。 (1)結晶配向度が88〜95%であり、 (2)破断伸度が60〜120%であり、 (3)乾熱収縮応力の極値温度が180℃以上かもしく
は極値温度を有せず、且つ200℃における応力値が
0.01〜0.10cN/dtexであり、 (4)乾熱収縮応力の発現開始温度が60℃以上であ
り、 (5)繊度変動値U%が1.2%以下で、且つ繊度変動
周期の変動係数が0.4%以下であること。 - 【請求項2】 延伸糸の破断伸度が75〜100%であ
ることを特徴とする請求項1のポリトリメチレンテレフ
タレート延伸糸。 - 【請求項3】 ポリトリメチレンテレフタレートの直接
紡糸延伸法において、延伸糸を製造するに際し、以下の
(a)〜(c)の要件を満足することを特徴とするポリ
トリメチレンテレフタレート延伸糸の製造方法。 (a)紡糸速度V(km/分)と延伸応力T(cN/d
tex)が下記式(1) を満足する条件で延伸した後、 T≦ −0.88・V + 0.375 ・・・(1) 但し、V=1.5〜3.5(km/分) T=0.05〜0.20(cN/dtex) (b)延伸温度が50〜65℃で、 (c)熱処理ゴデットローラーにより、80〜150℃
で熱処理すること。 - 【請求項4】 延伸温度が50〜60℃であることを特
徴とする請求項3のポリトリメチレンテレフタレート延
伸糸の製造方法。
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---|---|---|---|
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6672047B2 (en) * | 2000-03-03 | 2004-01-06 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Processes of preparing partially oriented and draw textured poly(trimethylene terephthalate) yarns |
JP2008069479A (ja) * | 2006-09-14 | 2008-03-27 | Toray Ind Inc | ポリエステル繊維、織編物、カーシートおよびポリエステル繊維の製造方法 |
KR101042436B1 (ko) * | 2002-12-19 | 2011-06-16 | 이 아이 듀폰 디 네모아 앤드 캄파니 | 향상된 안정성을 갖는 성형체 |
-
2001
- 2001-01-25 JP JP2001016879A patent/JP4036617B2/ja not_active Expired - Fee Related
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