JPH0978345A - 高収縮繊維およびその製造方法 - Google Patents

高収縮繊維およびその製造方法

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JPH0978345A
JPH0978345A JP22629795A JP22629795A JPH0978345A JP H0978345 A JPH0978345 A JP H0978345A JP 22629795 A JP22629795 A JP 22629795A JP 22629795 A JP22629795 A JP 22629795A JP H0978345 A JPH0978345 A JP H0978345A
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JP
Japan
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polyester
fiber
shrinkage
acid
dicarboxylic acid
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JP22629795A
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English (en)
Inventor
Kenichi Yoshioka
謙一 吉岡
Shigeaki Suzuki
繁昭 鈴木
Kenji Hatanaka
憲司 畑中
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
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  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエステル繊維本来の優れた性能を損なう
ことなく、高収縮率と高収縮応力を合わせ持ったポリエ
ステル繊維を提供する。 【解決手段】 ジカルボン酸成分とジオール成分からな
るポリエステルであって、1,1−シクロヘキサンジメ
タノ−ルまたはそのエステル形成性誘導体を全ジカルボ
ン酸成分に対して2〜20モル%含有してなるポリエス
テルからなる繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高収縮性能を有し、し
かも高収縮応力をも合わせ持ったポリエステル繊維およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高収縮糸の利用方法は種々あり、例えば
高収縮糸と低収縮糸とを組み合わせ、熱処理により糸長
差を生じせしめ、布帛に膨らみ感を持たせる利用方法;
高収縮糸に単糸デニールの大きい糸、低収縮糸に単糸デ
ニールの小さい糸を組み合わせて使用し、熱処理により
糸長差を生じせしめ、布帛の表面に配置された単糸デニ
ールの小さい糸により布帛表面タッチの優しさを、糸の
芯に配置された単糸デニールの大きい糸により布帛に張
り、腰を持たせる利用方法;パイル編み物や立毛品のグ
ランド糸として使用し、ループや毛羽の密度を向上させ
る利用方法;複合紡糸の一成分として高収縮ポリマーを
用い、潜在捲縮糸を製造する方法;一体成型、立体成型
時に該糸を利用する方法等がある。
【0003】このような高収縮繊維の製造方法として
は、従来、ポリエステルを重合する際の酸成分として、
イソフタル酸等を共重合させ、酸成分を変性させること
が行われてきた。これは酸成分の変性による方法が、重
合工程におけるグリコール成分の分離回収が容易である
ためと考えられる。しかしながら、これらの酸成分の変
性において、高収縮繊維を得るためには、共重合率を高
くしなくてはならず、そのためポリエステルが本来有し
ている優れた性能を悪化させるという問題がある。そこ
で現在は、イソフタル酸等の酸成分のみの変性ではな
く、グリコール成分の変性もされるようになってきてい
る。そのなかでもよくみられるのが、1,4−シクロヘ
キサンジメタノ−ルを共重合したポリエステルがある。
このポリエステルはイソフタル酸変性等の酸変性と比較
すると、少ない変性量で同等の高収縮性能が得られる
が、それでも共重合率を高くする必要があり、熱安定性
等のポリエステルが本来有している優れた性能を悪化さ
せるという問題がある。
【0004】これに対して、ビスフェノ−ルAのエチレ
ンオキシド付加物{2,2−ビス〔4−(β−ヒドロキ
シエトキシ)フェニル〕プロパン}共重合ポリステル
や、イソフタル酸とビスフェノ−ルAのエチレンオキシ
ド付加物の共重合ポリエステルという酸成分、グリコ−
ル成分両者の変性ポリエステルがより高収縮性能を有す
る繊維として挙げられる。これらのポリステルは酸成分
変性のみの場合と比較して、少ない変性モル%で高い収
縮性能が発現しており、ポリエステルが本来有している
性能を維持した上で、高収縮、高収縮応力特性を付与す
る手段としては有効である。しかしながら、このビスフ
ェノ−ルAのエチレンオキシド付加物を共重合したポリ
エステルは耐光性に非常に劣るという問題点を有してい
る。
【0005】また、高収縮繊維を得る他の方法として、
ポリエステル繊維の延伸糸の熱処理温度を低下させ、結
晶化度を下げる方法がある。この方法では確かに高収縮
糸が得られるが、乾熱収縮時の応力が低下し、熱収縮応
力の小さい高収縮糸しか得られない。そのため、高収縮
繊維、低収縮繊維を組み合わせた糸を混繊して織編物等
の布帛にした場合、高収縮の効果があまり発現しない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリエステ
ル繊維に高収縮性および高収縮応力特性を付与するため
に検討した結果、1,1−シクロヘキサンジメタノ−ル
またはそのエステル形成性誘導体を特定量共重合させる
ことにより、高収縮性、高収縮応力特性を有するのみな
らず、ポリエステル繊維本来の優れた性能を損なうこと
なく、耐光性等の優れたポリエステル繊維が得られるこ
とを見出だしたのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ジカルボン酸
成分とジオール成分からなるポリエステルであって、全
ジカルボン酸に対して1,1−シクロヘキサンジメタノ
−ルまたはそのエステル形成性誘導体を2〜20モル%
含有してなるポリエステル繊維である。
【0008】本発明において、1,1−シクロヘキサン
ジメタノ−ルまたはそのエステル形成性誘導体がポリエ
ステルに共重合されていることが必要である。本発明に
おけるポリエステルとは、テレフタル酸を主たるジカル
ボン酸成分とし、グリコール、好ましくはエチレングリ
コール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリ
コールから選択された少なくとも1種のアルキレングリ
コールを主たるグリコール成分とするポリエステルであ
る。ただし、本発明の目的を損なわない範囲内で1,1
−シクロヘキサンジメタノ−ルまたはそのエステル形成
性誘導体以外の第3成分を共重合させてもよい。
【0009】共重合可能な第3成分としては、イソフタ
ル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル
ー2,2’ジカルボン酸以外のビフェニルジカルボン
酸、4,4’ージフェニルエーテルジカルボン酸、4,
4’ージフェニルメタンジカルボン酸、4,4’ージフ
ェニルスルホンジカルボン酸、4,4’ージフェニルイ
ソプロピリデンジカルボン酸、1,2ージフェノキシエ
タンー4’,4”ージカルボン酸、アントラセンジカル
ボン酸、2,5ーピリジンジカルボン酸、ジフェノキシ
ケトンジカルボン酸、5ーナトリウムスルホイソフタル
酸、ジメチル5ーナトリウムスルホイソフタレート、5
ーテトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等の芳
香族ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸;デ
カリンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の
脂環族ジカルボン酸;βーヒドロキシエトキシ安息香
酸、p−オキシ安息香酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒ
ドロキシアクリル酸等のヒドロキシカルボン酸;またこ
れらのエステル形成性誘導体から誘導されたカルボン
酸、εーカプロラクトン等の脂肪族ラクトン、トリメチ
ラングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメ
チレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール等の脂肪族ジオ
ール;ヒドロキノンカテコール、ナフタレンジオール、
レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエ
チレンオキサイド付加物、ビスフェノールS、ビスフェ
ノールSのエチレンオキサイド付加物{2,2−ビス
〔4−(β−ヒドロキシ)フェニル〕スルホン}等の芳
香族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等
の脂肪族ジオールなどを挙げることができる。これらの
第3成分は1種のみまたは2種以上共重合されていても
よい。
【0010】さらに本発明に係わるポリエステルには、
ポリエステルが実質的に線状である範囲内でトリメリッ
ト酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル
酸等の多価カルボン酸;グリセリン、トリメチロールエ
タン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール
等の多価アルコールが含まれていてもよい。
【0011】本発明において1,1−シクロヘキサンジ
メタノ−ルまたはそのエステル形成性誘導体の共重合量
はポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分に対して
2〜20モル%、好ましくは3〜18モル%の範囲であ
る。1,1−シクロヘキサンジメタノ−ルまたはそのエ
ステル形成性誘導体該化合物の共重合量が2モル%未満
の場合、ポリエステルの結晶化度の低下、該化合物を分
子鎖に導入することによる繊維の収縮率の上昇が不十分
であり、目的とする効果が奏されない。一方、該化合物
またはそのエステル形成性誘導体の共重合量が20モル
%を越える場合、結晶性のポリエステルが得られにくく
なり、たとえ得られたとしてもその融点は低くなり、ポ
リエステル繊維に要求される耐熱性を満足するものでは
ない。また、該化合物またはそのエステル形成性誘導体
の共重合量が増すほど、ポリエステルの結晶化度および
融点は低下するが、該ポリエステルからなる繊維の収縮
率は向上するので、繊維各用途に要求される耐熱性、収
縮性能、染色性等を考慮して本発明の範囲内でその共重
合量を変化させればよい。
【0012】本発明に係わるポリエステルは、通常の方
法で重合することができる。たとえば、テレフタル酸と
アルキレングリコールとを直接エステル化させるか、テ
レフタル酸ジメチル等のテレフタル酸の低級アルキルエ
ステルとアルキレングリコールとをエステル交換反応さ
せるか、またはテレフタル酸とアルキレンオキシドとを
反応させるかしてテレフタル酸のアルキレングリコール
エステルおよび/またはその低重合体を生成させる第一
段階の反応、そして第一段階で得られた反応生成物を減
圧下で加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させ
る第二段階の反応によって製造される。その際、1,1
−シクロヘキサンジメタノ−ルまたはそのエステル形成
性誘導体の所望量を重縮合反応が終了するまでの任意の
段階、たとえばポリエステルの出発原料に添加したり、
エステル交換反応後で重縮合反応前に添加したりするこ
とができる。また、重合度を高めるために、液相で重合
を行った後、固相重合することもできる。
【0013】本発明に係わるポリエステルは、固有粘度
〔フェノール/テトラクロロエタン(重量比50/5
0)の混合溶媒を用い、30℃で測定〕が0.4〜1.
5の範囲であることが望ましい。該ポリエステルの固有
粘度が0.4未満の場合、繊維強度、熱収縮率、熱収縮
応力が不十分となり、目的とするものが得られにくい。
一方、該ポリエステルの固有粘度が1.5を越えると、
溶融粘度が高くなりすぎ、紡糸、延伸等の製糸性が悪化
していく傾向があるので好ましくない。
【0014】上述のポリエステルには、必要に応じ、本
発明を損なわない範囲内で、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、蛍光増白剤、艶消し剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃
補助剤、潤滑剤、着色剤、可塑剤、無機充填剤等の添加
剤が配合されていてもよい。
【0015】本発明のポリエステル繊維の特徴は、18
0℃における乾熱収縮率が20%以上、乾熱最大収縮応
力が250mg/デニール以上、かつ98℃における湿
熱収縮率が15%以上であることにある。乾熱収縮率、
乾熱最大収縮応力および湿熱収縮率の3者が該範囲内を
同時に満足することにより、たとえば構造加工糸の芯糸
として本発明の繊維を使用した場合、風合が良好で、後
加工により適度な張り、腰と反発感、膨らみ感を有する
織編物等の布帛を得ることができる。
【0016】180℃における乾熱収縮率が20%未満
の繊維は、たとえば該繊維を構造加工糸の芯糸として利
用し、織編物に形成したものは十分な収縮が起こらず、
嵩高性が不満足なものとなる。乾熱収縮率の上限につい
ては特に限定はないが、糸質の劣化を考慮すると80%
以下であることが好ましい。乾熱収縮率はとくに20〜
75%であることが好ましい。また、98℃における湿
熱収縮率が15%未満の繊維は、上述の乾熱収縮率との
差が大きくなり、該繊維を用いた織編物の加工時、たと
えば熱水処理、染色等の湿熱処理後の熱セット等の乾熱
処理での収縮が大きすぎるために形態安定性、形態均質
性に欠けたものとなってしまう場合が多い。湿熱収縮率
の上限については特に限定はないが、繊維物性、特にへ
たり等を考慮すると、75%以下であることが好まし
い。湿熱収縮率はとくに15〜70%であることが好ま
しい。そして、乾熱収縮率と湿熱収縮率の差についても
とくに限定はないが、上述の理由により、1〜30%の
範囲であることが好ましい。収縮応力は、拘束下にある
糸や織編物の収縮の起こりやすさを左右するため、収縮
応力が大きい程拘束下でも収縮しやすい。本発明の繊維
は180℃での乾熱収縮応力が250mg/デニール以
上であるため、該繊維を使用した糸または織編物は拘束
下にあっても十分に収縮する。乾熱最大収縮応力が25
0mg/デニール未満の場合、拘束下にある糸または織
編物で十分な収縮が生じない。
【0017】上述のような熱収縮特性を有するために
は、前述のように1,1−シクロヘキサンジメタノ−ル
またはそのエステル形成性誘導体をポリエステルの分子
鎖に導入することに特徴がある。従来、高収縮特性を有
する糸を得るために、1、1−シクロヘキサンジメタノ
−ルまたはそのエステル形成性誘導体のような化合物以
外に、たとえば、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジ
カルボン酸、1,4ーブタンジオール、1,5ーペンタ
ンジオール、1,6ーヘキサンジオール等の脂肪族ジオ
ール、イソフタル酸をポリエステルに含有させてはいる
が、その場合、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、
イソフタル酸等の化合物の含有量を高くする必要があ
り、必然的にポリエステルの二次転移温度が低下して繊
維としての耐熱性が不良となったり、重合、紡糸、延伸
等の工程が不良となることが多い。さらに染色物の染色
堅牢度が低下し、繊維製品としての品質が低下する問題
がある。しかも高収縮糸は得られても、収縮応力は低
く、高収縮率および高収縮応力の両者を合わせ持った高
収縮糸は得られないのである。
【0018】本発明は従来のこのような問題点を解決し
たものである。すなわち、1,1−シクロヘキサンジメ
タノ−ルまたはそのエステル形成性誘導体を特定量ポリ
エステルの分子鎖に導入することにより、該化合物の共
重合割合が低くても非晶性が増し、二次転移点温度(以
下、Tgと称する)の低下が抑制され、熱を受けて繊維
が収縮する際、繊維内部の緩和時の応力が蓄積されるた
め、高収縮率、高収縮応力の両者を合わせ持った繊維が
得られ、さらに耐熱性に優れた繊維が得られるのであ
る。さらに、1,1−シクロヘキサンジメタノ−ルまた
はそのエステル形成性誘導体はエーテル結合を有してい
ないので、該化合物を含有するポリエステルの耐光性が
低下することがない。
【0019】次に本発明のポリエステル高収縮繊維の製
造方法について詳述する。まず、1,1−シクロヘキサ
ンジメタノ−ルまたはそのエステル形成性誘導体を含有
したポリエステル繊維を溶融紡糸し、紡出糸条を、通常
900m/分以上の引き取り速度で引き取る。ついで引
き取った未延伸糸をいったん巻き取った後、あるいは巻
き取ることなく連続して延伸に供する。延伸は熱延伸で
行われる。延伸ゾーンに供給される前に未延伸糸は該未
延伸糸を構成するポリエステルのTg〜(Tg+20)
℃程度の温度の加熱ローラーで余熱されることが好まし
い。そして、130℃以下の温度で切断延伸倍率の0.
68倍以上の延伸倍率で延伸することが必要である。延
伸温度が130℃を越えると繊維の収縮率が低下し、延
伸倍率が切断延伸倍率の0.68倍未満の場合、十分な
熱収縮応力を有する繊維が得られないばかりか、残留伸
度が大きすぎ衣料用繊維としては使用できない。好まし
い延伸倍率は切断延伸倍率の0.7倍以上、延伸温度は
120℃以下である。熱延伸は、一段で行っても二段以
上で行ってもよく、熱延伸に先だってプリテンション付
与のための予備延伸を行ってもよい。
【0020】なお、本発明の繊維の断面形状は、円形断
面、三〜八角形、偏平等の異形断面などから適宜選択す
ることができる。本発明のポリエステル繊維は乾熱収縮
率、乾熱収縮応力、ならびに湿熱収縮率が大きいので、
織編物中で高収縮糸としての使用に非常に好適である。
また低収縮糸と組み合わせることにより、布帛の表面に
やさしさを付与することができる。その他、パイル編物
や立毛品のグランド糸として、ループや毛羽の密度を向
上させる目的として利用できる。さらに、本発明のポリ
エステル繊維は長繊維のみならず、短繊維としても利用
できる。また織物、編物、不織布等広範囲の繊維製品に
利用可能である。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例により何等限定されるもの
ではない。なお、実施例中における各物性は以下の方法
により測定した。 (1)ポリエステルの固有粘度(dl/g) フェノール/テトラクロロエタン(重量比50/50)
の混合溶媒を用い、30℃で測定した。 (2)ポリエステルの融点(Tm℃)、二次転移温度
(Tg℃)および結晶化度(J/g) Differential Scanning Calorimeter (メトラーTA3
000、パーキンエルマー社製)を使用し、試料10m
g、昇温および降温速度10℃/分の条件で窒素置換を
行いながら測定し、同じ試料でこの操作を2回繰り返し
て2回目の値を実測値とした。なお、結晶化度は結晶融
解熱量で示した。
【0022】(3)ポリエステル繊維の乾熱収縮率(D
sr%) 初荷重1mg/デニール下で試料に50cm間隔の印を
つけ、次いで試料を180℃に昇温された乾熱雰囲気中
に5mg/デニールの荷重下10分間放置し、その後取
りだして1mg/デニールの荷重下で印の間隔Lcmを
測定し、次式により算出した。 乾熱収縮率(%)=〔(50ーL)/50〕×100 (4)ポリエステル繊維の乾熱収縮応力(mg/デニー
ル) オートグラフに20cmのヤーンを取り付け、50mg
/デニールの初荷重をかけた後、1℃/分の昇温速度で
昇温し、収縮により発現する力を測定する。 (5)ポリエステル繊維の湿熱収縮率(Wsr%) 初荷重1mg/デニール下で試料に50cm間隔の印を
つけ、次いで試料を98℃の熱水中に5mg/デニール
の荷重下30分間放置し、その後取りだして1mg/デ
ニールの荷重下で印の間隔L’cmを測定し、次式によ
り算出した。 乾熱収縮率(%)=〔(50ーL’)/50〕×100 (6)耐光堅牢度 カーボンフェードを用いてJIS L 0842ー19
88に準拠して測定した。 (7)風合い、伸縮性 試料の膨らみ、張り、腰、きしみ感の風合い、または試
料の伸縮性を一対比較による官能評価を行った。
【0023】参考例1 1,1−シクロヘキサンジメタノ−ル4.2モル%、エ
チレングリコ−ル95.8モル%からなるジオ−ル原料
とテレフタル酸とを、ジオ−ル原料:テレフタル酸のモ
ル比が1.1:1となるように調整してスラリーを形成
し、このスラリーを加圧下(絶対圧2.5kg/c
2 )、温度250℃でエステル化率が95%になるま
でエステル化反応を行い、低重合体を製造した。次に触
媒として350ppmの三酸化アンチモンを添加し、絶
対圧1torrの減圧下に280℃で1.5時間低重合
体を重縮合し、固有粘度[η]が0.70dl/gのポ
リエステルを製造した。このポリエステルをノズルから
ストランド状に押しだして切断し、直径2.8mm、長
さ3.2mmの円柱状チップを製造した。得られたポリ
エステルチップを1 HーNMRにより分析したところ、
該ポリエステルには1,1−シクロヘキサンジメタノ−
ルが全ジカルボン酸単位に対し5モル%共重合されてい
ることが確認された。さらに得られたポリエステルチッ
プの熱的物性は表1に示したように、Tgは75℃、T
mは240℃、結晶化処理をした後の結晶融解熱は38
J/gであった。
【0024】参考例2〜10 参考例1において、1,1−シクロヘキサンジメタノ−
ルの含有量を代える(参考例2〜6)以外、1,1−シ
クロヘキサンジメタノ−ルに代えてイソフタル酸、ビス
フェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物を用いる(参
考例7〜10)以外は参考例1と同様にしてポリエステ
ルを重合し、円形状のチップを製造した。各チップの各
物性を表1に示す。
【0025】実施例1〜2、比較例1〜2 参考例1のポリエステルチップを押出機により溶融押し
出しし、290℃で0.25φ×24ホールの丸孔ノズ
ルから吐出し、900m/分で巻き取った。ついで80
℃のホットローラ、100℃(実施例1)、120℃
(実施例2)のホットプレートを用い、500m/分の
速度で延伸を行い、75デニール/24フィラメントの
マルチフィラメントを得た。延伸倍率はそれぞれ3.8
倍であり、切断延伸倍率の0.75倍であった。一方、
固有粘度[η]が0.70のポリエチレンテレフタレー
トを用い、実施例1と同様にして75デニール/24フ
ィラメントのマルチフィラメントを得た。ホットプレー
ト温度を100℃で延伸したマルチフィラメントを比較
例1、120℃で延伸したマルチフィラメントを比較例
2として示した。各マルチフィラメントの各物性を表2
に示す。1,1−シクロヘキサンジメタノ−ルを特定量
共重合することによって、ポリエチレンテレフタレート
と同じレベルの最大熱収縮応力を有しながら、高い乾熱
収縮率および湿熱収縮率を有していることがわかる。
【0026】実施例1および比較例1で得られたマルチ
フィラメントを編地のグランド糸として使用し、立毛編
物を試作したところ、実施例1で得られたマルチフィラ
メントを使用した編物は毛羽密度が高く、著しく高級感
のあるものであったが、比較例1で得られたマルチフィ
ラメントを使用した編物は毛羽密度が疎で高級感に欠け
たものであった。また、実施例1および比較例1で得ら
れた編物を以下の処方で染色したが、染色堅牢度はいず
れも良好で全く問題がなかった。 染色条件 染料:Sumikaron Red S-BL (住友化学社製) 0.1% 分散剤:Disper TL (明成化学社製) 1g/リットル pH調整剤:酢酸 0. 5cc/リットル 染色時間: 60分 染色温度: 130℃ 浴比: 1:50 アルカリ還元洗浄 水酸化ナトリウム 1g/リットル アミラジンD(第一工業製薬社製) 1g/リットル ハイドロサルファイド 1g/リットル 洗浄時間: 20分 洗浄温度: 80℃ 浴比: 1:50
【0027】実施例3〜6 参考例2および参考例3で得られたポリエステルチップ
を用いて実施例1と同様にして紡糸、延伸を行い、75
デニール/24フィラメントのマルチフィラメントを得
た。得られた各マルチフィラメントは表2に示したよう
に、比較例1で得られたポリエチレンテレフタレート繊
維と同じレベルの高い乾熱収縮応力を有しているのみな
らず、高い乾熱収縮率および高い湿熱収縮率を有してい
た。ついで実施例1と同様にして編地を作製し、染色を
施したが、各マルチフィラメントは染色堅牢度に問題な
く、高級感のあるものが得られた。
【0028】比較例3〜4 参考例4で得られたポリエステルチップを用いて実施例
1と同様にして紡糸、延伸を行い、75デニール/24
フィラメントのマルチフィラメントを得た。得られた各
マルチフィラメントは表2に示したように乾熱収縮応力
はポリエチレンテレフタレートと同じレベルであった
が、共重合量が少ないため、実施例に比較し乾熱収縮率
および湿熱収縮率が低いものしか得られなかった。
【0029】比較例5 参考例5で得られたポリエステルチップを用いて実施例
1と同様にして繊維化を試みたが、ポリマーが非晶性で
あるため、延伸時に糸切れが多発し、実用化に至らなか
った。
【0030】比較例6〜7 参考例7で得られたポリエステルチップを用いて実施例
1と同様にして紡糸、延伸を行い、75デニール/24
フィラメントのマルチフィラメントを得た。得られたマ
ルチフィラメントは表2に示したように、乾熱収縮率お
よび湿熱収縮率は実施例とほぼ同レベルであったが、乾
熱収縮応力が実施例に比較し低いものしか得られなかっ
た。得られた各マルチフィラメントを使用した編物は収
縮力が低いために十分な収縮が得られず、毛羽密度が疎
で高級感に欠けたものであった。
【0031】比較例8〜13 参考例8、参考例9および参考例10で得られた各ポリ
エステルチップを用いて実施例1と同様にして紡糸、延
伸を行い、75デニール/24フィラメントのマルチフ
ィラメントを得た。得られた各マルチフィラメントは表
2に示したように、乾熱収縮率、乾熱収縮応力、および
湿熱収縮率ともに実施例とほぼ同レベルの高いものであ
った。ついで実施例1と同様にして編地を作製、染色を
施し染色堅牢度を測定したところ、耐光堅牢度が1級と
非常に低いものしか得られなかった。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】本発明の繊維は、高収縮性能を有し、か
つ高収縮応力性能を合わせ持ったポリエステル繊維であ
り、しかも耐熱性に優れ、染色堅牢度も良好であり、従
来のポリエステル繊維にはない特徴を有し、各種繊維製
品に応用が可能である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジカルボン酸成分とジオール成分からなる
    ポリエステルであって、1,1−シクロヘキサンジメタ
    ノ−ルまたはそのエステル形成性誘導体を全ジカルボン
    酸成分に対して2〜20モル%含有してなるポリエステ
    ルからなる高収縮繊維。
  2. 【請求項2】ジカルボン酸成分とジオール成分からなる
    ポリエステルであって、1,1−ジシクロヘキサンジメ
    タノ−ルまたはそのエステル形成性誘導体を全ジカルボ
    ン酸成分に対して2〜20モル%含有してなるポリエス
    テルを溶融紡糸、冷却固化した後、切断延伸倍率の0.
    68倍以上の延伸倍率、130℃以下の延伸温度で延伸
    することを特徴とする高収縮繊維の製造方法。
JP22629795A 1995-09-04 1995-09-04 高収縮繊維およびその製造方法 Pending JPH0978345A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1294176C (zh) * 2003-07-09 2007-01-10 中国石化上海石油化工股份有限公司 一种用于制造改性聚酯的复合催化剂

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CN1294176C (zh) * 2003-07-09 2007-01-10 中国石化上海石油化工股份有限公司 一种用于制造改性聚酯的复合催化剂

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