JPH11269740A - パイル布帛 - Google Patents

パイル布帛

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JPH11269740A
JPH11269740A JP10088263A JP8826398A JPH11269740A JP H11269740 A JPH11269740 A JP H11269740A JP 10088263 A JP10088263 A JP 10088263A JP 8826398 A JP8826398 A JP 8826398A JP H11269740 A JPH11269740 A JP H11269740A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 深色性を有する外観品位の高いパイル布帛を
提供する。 【解決手段】 パイル糸がポリトリメチレンテレフタレ
ート繊維フイラメント原糸よりなり、パイル糸のパイル
角度が70−90度であることを特徴とするパイル布
帛。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パイル布帛に関す
る。より詳細には、本発明は、深色性を有する外観品位
の高いパイル布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ベロア、ベルベットなどのパイル
布帛は婦人の高級アウター衣料として供されている。し
かしながら、立体的な布帛構造であるが故、パイルの形
状が変化して、部分的に色合いが白らけたりするなどし
て、深い色合いで高級感のあるパイル布帛は得難く、そ
の目的を達成しようとして、例えばレーヨンベルベット
のように樹脂加工を施すと風合いが粗硬になるなど、深
色性を有し、しなやかなタッチでかつ外観品位の高いパ
イル布帛は得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、深色
性を有する外観品位の高いパイル布帛を提供するもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、パイル布帛
の外観品位を高めることについて研究した結果、パイル
先端の形状やパイルの直立性と外観品位が密接な関係に
あることが分かり、更に鋭意研究した結果、本発明を完
成するに至った。即ち、本発明は、パイル糸がポリトリ
メチレンテレフタレート繊維フイラメント原糸よりな
り、パイル糸のパイル角度が70−90度であることを
特徴とするパイル布帛であり、好ましくは、パイル布帛
が織物では、地組織の経密度50−70本/吋、緯密度
が100−140本/吋であること、又、編物ではコー
ス数60−120コース/吋、ウエル数40−80ウエ
ル/吋であるとより効果的である。
【0005】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明におけるポリトリメチレンテレフタレート繊維フィラ
メントとは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる
繰り返し単位とするポリエステル繊維をいい、トリメチ
レンテレフタレート単位を約50モル%以上、好ましく
は70モル%以上、更には80モル%以上、更に好まし
くは90モル%以上のものをいう。従って、第三成分と
して他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が、
約50モル%以下、好ましくは30モル%以下、更には
20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下の範囲
で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含す
る。
【0006】ポリトリメチレンテレフタレートは、テレ
フタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコ
ール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当
な反応条件下に縮合せしめる事により製造される。この
製造過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分
を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、ポ
リエチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフ
タレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチ
レンテレフタレートを別個に製造した後、ブレンドした
り、複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド等)しても良
い。
【0007】添加する第三成分としては、脂肪族ジカル
ボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン
酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボ
ン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸
等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール
等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジオール
等)、芳香族ジオキシ化合物(ハイドロキノンビスフェ
ノールA等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4
−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリ
エーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω
−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P
−オキシ安息香酸等)等が挙げられる。又、1個又は3
個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香
酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である
範囲内で使用することが出来る。
【0008】さらに、二酸化チタン等の艶消剤、リン酸
等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外
線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑
剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃
剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤
等が含有されていても良い。本発明においてポリトリメ
チレンテレフタレート繊維の紡糸については、1500
m/分程度の巻取り速度で紡糸して未延伸糸を得た後、
2〜3.5倍程度で延撚する方法、紡糸−延撚工程を直
結した直延法、巻取り速度5000m/分以上の高速紡
糸法(スピンドロー又はスピンテイクアップ法)の何れ
を採用しても良い。特にしなやかなタッチを得るには弾
性率20〜40g/dが好ましく、20g/d未満では
パイルの回復性が悪く、40g/dを越えるとパイル布
帛の風合が粗硬になる。
【0009】単糸デニールとしては0.1〜5デニール
程度、トータルデニールとしては20d〜150d、好
ましくは50d〜120dである。単糸デニール及びト
ータルデニールが当該範囲であることによってパイル布
帛としてのしなやかな(柔軟性に富む)タッチが達成さ
れる。本発明においては、ポリトリメチレンテレフタレ
ート繊維がフィラメント原糸である点に特徴があり、ス
パン糸や捲縮糸では本発明の目的が達成されない。パイ
ル糸にフィラメント原糸を用いることにより、パイル先
端のカット形状が均一になる。即ち、パイル布帛製造に
おいて、予め、二重構造布帛を作成し、パイル糸になる
連結糸をカットし、さらに所望のパイル長さにするた
め、スパイラルカッターにより、パイル糸の先端をカッ
トする(以下、「シャーリング」と称する)際に、パイ
ル糸の先端が非常にスムースにカットされ、糸のカット
面が均一になる。これは、弾性率が20〜40g/dで
あるポリトリメチレンテレフタレート繊維フィラメント
原糸ならではの作用効果であり、パイル糸を形成する単
糸の絡みも殆どなく、パイル糸の直立性も著しく向上す
るものである。弾性率が40g/dを越えるとパイル糸
のカット面が不均一になる。
【0010】本発明におけるパイル角度とは、後にその
測定方法を説明するとおり、パイル布帛を形成するパイ
ル糸と布帛地組織とが交差してなる角度の鋭角側の角度
平均値であり、該角度が70〜90度であることが好ま
しく、更に好ましくは75〜85度である。パイル角度
が70度未満では、深色性が得られない。更に、パイル
布帛が織物の場合、地組織の経密度50−70本/吋、
緯密度が100−140本/吋が好ましく、この密度未
満ではパイル糸の形態保持性が悪く、この密度を超える
と粗硬なタッチになりやすく好ましくない。又、パイル
布帛が編物の場合、コース数が60−120コース/
吋、ウエル数が40−80ウエル/吋が好ましく、この
コース数又はウエル数未満ではパイル糸の形態保持性が
悪く、このコース数又はウエル数を超えると粗硬なタッ
チになりやすく好ましくない。ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維のフィラメント原糸からなるパイル糸が用
いられていることにより、本発明のパイル布帛は、パイ
ル糸先端のカット面が均一でパイル糸を形成する単糸の
絡みもなく、パイル糸の直立性が向上するため、特定の
パイル角度に設定し易く、その結果、優れた染色性とし
なやかなタッチが得られるものである。
【0011】本発明のパイル布帛の製造方法について詳
説する。パイル布帛の出発原料である二重構造布帛とし
ては例えば、ビロードなどの緯二重組織を用いた緯パイ
ル織物(コール天を含まず)、ベルベットなどの経緯二
重組織を用いた経パイル織物、ダブルラッセル編物など
がある。特に経パイル織物が好ましい。二重構造布帛を
形成する繊維としては、連結糸(パイル糸)は、ポリト
リメチレンテレフタレート系フィラメント原糸であり、
地組織を形成する繊維は、本発明の目的を達成するに至
れば、綿、キュプラ、レーヨン、精製セルロース繊維、
ポリエステル、ポリアミド、ポリトリメチレンテレフタ
レート系繊維などの天然繊維、合成繊維など、何れの繊
維であっても良く、その形態がフィラメントあるいはス
テープルであっても良く、原糸、混繊糸、混紡糸、仮撚
糸など何れの形態であってもよい。
【0012】以下、ベルベットを例に挙げて説明する。
通常、ベルベットはベルベット織機と呼称されている経
緯二重織機を用いて二重構造織物を製織(織機上で織物
組織を形成)した後、パイル糸となる上下の地組織を連
結している連結糸の中央部で切断され、二枚のベルベッ
トが同時に作成される。続いて、シャーリングにより所
望のパイル長さを得る。本発明の言うパイル糸がポリト
リメチレンテレフタレート繊維フィラメント原糸であれ
ば、その力学特性より、パイル先端部分が斑なく均一に
カットされる。例えば、ビスコースレーヨン繊維など
は、まるでパイル先端部が欠けるように切断されて不揃
いになり、これを調整するために何度もシャーリングを
施しているが、均一にはなりがたい。
【0013】又、パイル糸がフィラメント原糸であるこ
とが重要である。ステープルやフィラメントであっても
ウーリー糸などの捲縮を付与したものであってはならな
い。これらは、パイル先端の乱れを起こしやすく、かつ
パイルの直立性をも阻害するので好ましくない。ベルベ
ットの染色加工にあっては、通常のパイル布帛の染色で
良く、精練、染色には、スター染色機や連続式のもの
(連続精練機、パッド染色機)を使用する。パイル角度
の設定は、染色後の乾燥工程で行われる。即ち、染色
後、必要に応じて、柔軟剤、撥水剤などを付与し、オー
プンテイター上にて水分を蒸散させながら、針布や獣毛
によるブラッシングによってパイルの毛裁き(パイル糸
を形成する単糸の絡みをなくし、単糸間をできるだけ平
行にする)を行い、最終的なパイル角度を決定した後、
温度が150〜210℃の熱ブラシや熱ポリッシャーな
どを用いて、パイル糸をセットする。これによりパイル
角度が固定される。本発明のパイル布帛は、このブラッ
シング工程において、パイル糸の力学特性より、極めて
優れた毛裁きの効果が発揮され、パイル糸を形成する単
糸のからみが殆どなく、パイルの直立性に優れている。
【0014】なお、パイル布帛の外観品位の観察につい
ては、以下のようにする。パイル布帛をテーブルの上に
設置し、観察方向より、ライトで照射し、パイル布帛に
対して45度の角度より観察すると、パイル糸の先端カ
ット不揃い及び不均一なものはその先端で光が乱反射し
て部分的に白けて見え、深色性がない。パイル糸の直立
性については、パイル側面を電子顕微鏡で観察・撮影
し、その角度を測定する。更に外観品位については、パ
イル布帛の上面より観察すると、パイル糸の直立性及び
パイル糸を構成する単糸間の平行性に優れたものは、パ
イル布帛の外観品位の指標となるバイアスライン(布帛
の幅方向に対して現れる約45度の筋)がはっきりと観
察される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例で具体的に
説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものでは
ない。尚、物性等の評価は以下の方法で行った。 (1)糸の強伸度;JIS−L−1013に従い測定し
た。 (2)熱応力;JISーLー1096に従い測定した。 (3)沸水収縮率;JISーLー1013−Aに従い測
定した。 (4)パイル角度測定:パイル布帛を地組織の緯糸方向
に沿ってカッターにて切断し、パイル側面の5ケ所を電
子顕微鏡50倍で観察・撮影し、地組織とパイル糸の交
差角度を測定し、その平均値をパイル角度とした。 <ポリトリメチレンテレフタレート繊維の製法>ηsp
/c=0.8のポリトリメチレンテレフタレートを紡糸
温度265℃、紡糸速度1200m/分で紡糸して未延
伸糸を得、次いで、ホットロール温度60℃、ホットプ
レート温度140℃、延伸倍率3倍、延伸速度800m
/分で延撚して、100d/60fの延伸糸を得た。延
伸糸の強度、伸度、弾性率並びに10%伸長時の弾性回
復率は、各々3.2g/d、46%、30g/d並びに
98%であった。
【0016】尚、10%伸長時の弾性回復率は、試料に
0.01g/dの初荷重をかけ、毎分20%の伸びの一
定割分の速度で伸ばし、伸度10%になったところで今
度は逆に同じ速度で収縮させて、応力−歪曲線を画く。
収縮中、応力が初荷重と等しい、0.01g/dにまで
低下した時の残留伸度をLとすると、下記式で算出した
値である。 10%伸長時の弾性回復率=〔(10−L)/10〕×
100(%)
【0017】
【実施例1】パイル糸が上記のポリトリメチレンテレフ
タレート繊維フィラメント原糸120d/60f、地組
織経糸がキュプラ・レーヨンフィラメント原糸(商品名
ベンベルグ:旭化成工業社製)75d/45f、緯糸が
キュプラ・レーヨンフィラメント原糸(商品名ベンベル
グ:旭化成工業社製)100d/60fよりなる6越ベ
ルベットを経緯二重織機を用いて製織した。(経密度6
0本/吋、緯密度120本/吋) 続いて、シャーリング機により、パイル長さ1.7mm
に調整した。該ベルベットを高圧スター染色機を用い
て、常法により精練・湯洗いを行った後、分散染料と直
接染料を用い、一浴二段染色法にて、120℃で黒色に
染色し、続いて、洗浄した。
【0018】次に、脱水した後、柔軟剤をディップ・ニ
ップ法にて付与した後、オープンテンター上にて、針布
製の経ブラシ5本を用いて、パイル糸の毛裁きを行った
後、熱ブラシを用いて、ブラシ温度170℃にて、パイ
ル糸を熱セットし、黒色ベルベットを得た。 精練条件:スコアロールFC−250 0.5cc/L 炭酸ナトリウム 0.5g/L 80℃×10分、浴比 1:20 水洗: 20℃×10分 2回 染色: 分散染料:Dianix Black SPH extra conc liq (ダイスター社製)3.0 %owf 直接染料:Kayarus Black B (化薬社製)3.5%owf ディスパーTL(明成化学社製:タモール型分散剤)1cc/L 硫酸ナトリウム 50g/L pH=6.5、 浴比 1:20 120℃×60分 湯洗: 50℃×10分 フィックス:センカフィックスNFC (センカ社製:ポリアミン系) 0.5%owf 40C×5分 柔軟処理:ニッカシリコンAMZ (日華化学社製:アミノシリコン系柔軟剤)2重量%
【0019】
【比較例1】実施例1において、パイル糸が上記ポリト
リメチレンテレフタレート繊維フィラメント原糸120
d/60fを仮撚加工した加工糸を用いた以外は、実施
例1同様にベルベットを得た。 <仮撚加工糸>三菱工業社製LS−2仮撚加工機を用い
て、スピンドル回転数275000rpm、仮撚数36
50T/m、オーバーフィード4.1%の条件で、仮撚
ヒーター温度150℃で得られた仮撚加工糸。
【0020】
【比較例2】実施例1において、パイル糸がポリエチレ
ンテレフタレート繊維フィラメント原糸(旭化成工業社
製)120d/60fであること、染色温度が130℃
であること、熱ブラシ温度が180℃であること以外は
実施例1と同様にベルベツトを得た。実施例1で得られ
たベルベットは、パイル角度が85度でパイル直立性が
良く、バイアスラインが観察された。これに対し、比較
例1、比較例2はパイル角度が85度あるにも係わら
ず、パイル先端に乱れがあり、パイル表面が白け、品位
の低いものであった。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、深色性を有する外観品
位の高いパイル布帛を提供する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パイル糸がポリトリメチレンテレフタレ
    ート繊維のフイラメント原糸よりなり、該パイル糸のパ
    イル角度が70−90度であることを特徴とするパイル
    布帛。
  2. 【請求項2】 パイル布帛が、地組織の経密度50−7
    0本/吋、緯密度100−140本/吋のパイル織物で
    あることを特徴とする請求項1記載のパイル布帛。
  3. 【請求項3】 パイル布帛が、地組織のコース数60−
    120コース/吋、ウエル数40−80ウエル/吋のパ
    イル編物であることを特徴とする請求項1記載のパイル
    布帛。
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