JPH06123072A - 耐光性高伸縮布帛の製造方法 - Google Patents

耐光性高伸縮布帛の製造方法

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JPH06123072A
JPH06123072A JP4297932A JP29793292A JPH06123072A JP H06123072 A JPH06123072 A JP H06123072A JP 4297932 A JP4297932 A JP 4297932A JP 29793292 A JP29793292 A JP 29793292A JP H06123072 A JPH06123072 A JP H06123072A
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elastic
yarn
fiber
cloth
fabric
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Application number
JP4297932A
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English (en)
Inventor
Seiichi Nishijima
征一 西嶋
Yoshihisa Okamoto
佳久 岡本
Toshiaki Hirai
稔秋 平井
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自然光等に曝されても伸縮性が低下しにく
い、耐光性伸縮布帛の製造方法を提供する。 【構成】 ポリエーテルエステル弾性繊維よりなる弾性
糸条Aを用いて布帛を得る。この際、弾性糸条Aのみを
用いて布帛を得ても良いが、一般的に、弾性糸条Aと通
常のポリエステル繊維等よりなる非弾性糸条Bとを交編
織して布帛を得るのが好ましい。ポリエーテルエステル
弾性繊維は、ポリエチレンテレフタレート又はポリブチ
レンテレフタレートを主体とするポリエステルをハード
セグメントとし、直鎖状ポリアルキレングリコールを主
体とするポリエーテルをソフトセグメントとするブロッ
ク共重合体を溶融紡糸して得られるものである。そし
て、この布帛に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を
付与する。そして、このベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤を布帛中の繊維に固着させるため、熱処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自然光下に長期間曝さ
れても、伸縮性が低下しにくい耐光性高伸縮布帛の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、衣料用や産業用等の高伸縮布
帛としては、弾性に富むポリウレタン系繊維を含有する
ものが用いられている。このポリウレタン系繊維を用い
て布帛を形成する際、単独で用いられることは少なく、
一般的に、以下の如き態様で用いられることが多い。即
ち、ポリウレタン系繊維よりなる糸条と、ポリアミド繊
維やポリエステル繊維等よりなる糸条とを用い、交編織
して布帛が形成されたり、ポリウレタン系繊維よりなる
糸条とポリアミド繊維等よりなる糸条とを混繊した混繊
糸条を用い、これを製編織して布帛が形成されたり、或
いはポリウレタン系繊維よりなる糸条に、ポリアミド繊
維,ポリエステル繊維,綿,アクリル系繊維等をカバリ
ング加工した被覆糸を用い、これを製編織して布帛が形
成されたりしている。
【0003】従って、例えば、ポリウレタン系繊維とポ
リエステル繊維とで構成される高伸縮布帛を染色加工す
る場合、両繊維の染色性が異なるため、染色加工がしに
くいということがあった。即ち、ポリエステル繊維を良
好に染色するため、高温高圧下で染色加工すると、ポリ
ウレタン系繊維を構成するウレタン系重合体が加水分解
を起こし、ポリウレタン系繊維が劣化して、布帛の高伸
縮性が極端に低下するということがあった。また、ポリ
ウレタン系繊維を劣化させることなく染色するため、常
圧下で染色加工すると、ポリエステル繊維を良好に染色
させることができないということがあった。
【0004】このため、弾性に富む繊維として、ポリエ
ステル繊維とその染色性が近似しているポリエーテルエ
ステル弾性繊維を使用することが行なわれている。ポリ
エステル繊維とポリエーテルエステル弾性繊維とで構成
される高伸縮布帛の場合には、高温高圧下で染色加工し
ても、ポリエーテルエステル弾性繊維が劣化しにくく、
両繊維とも良好に染色されるのである。従って、この高
伸縮布帛は染色性が良好で、均一に染色されると共にポ
リエーテルエステル弾性繊維の劣化が少なく、衣料用等
として好適に使用されるものである。しかしながら、こ
の高伸縮布帛を、衣料用等として長期間使用している
と、次第に伸縮性が低下してくるという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、ポリエ
ステル繊維とポリエーテルエステル弾性繊維とで構成さ
れた高伸縮布帛が、何故、長期間の使用によって伸縮性
の低下を来すのかを検討した。その結果、太陽光等の自
然光に高伸縮布帛がばく露されると、ポリエーテルエス
テル弾性繊維が脆化して、伸縮性の低下を来すことが判
明した。更に、本発明者等は、自然光のうちでも、どの
程度の波長の光がポリエーテルエステル弾性繊維を脆化
させるのかを検討した。この結果、紫外線領域の光によ
ってポリエーテルエステル弾性繊維が脆化し、他の波長
の光(例えば、赤外線領域の光)によっては、ポリエー
テルエステル弾性繊維は脆化しにくいことが判明した。
【0006】本発明は、以上の知見に基づいてなされた
ものであり、ポリエーテルエステル弾性繊維を含有して
いる布帛に、ある特定の紫外線吸収剤を付与することに
よって、自然光中の紫外線をこの吸収剤で吸収し、ポリ
エーテルエステル弾性繊維を形成しているブロック共重
合体への紫外線の攻撃を少なくし、もってポリエーテル
エステル弾性繊維の脆化を防止して、布帛の高伸縮性を
長期間に亙って維持させようというものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、ポリエ
チレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレート
を主体とするポリエステルをハードセグメントとし、直
鎖状ポリアルキレングリコールを主体とするポリエーテ
ルをソフトセグメントとするブロック共重合体で形成さ
れたポリエーテルエステル弾性繊維を含有する布帛に、
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を付与した後、熱処
理を施すことを特徴とする耐光性高伸縮布帛の製造方法
に関するものである。
【0008】まず、本発明で用いられるポリエーテルエ
ステル弾性繊維について説明する。このポリエーテルエ
ステル弾性繊維は、ポリエーテルとポリエステルとのブ
ロック共重合体を溶融紡糸して得られるものである。こ
のポリエーテルエステル弾性繊維が、高伸縮性を持って
いる理由は、ブロック共重合体中において、ポリエーテ
ルがソフトセグメントとなっており、ポリエステルがハ
ードセグメントとなっているため、この両セグメントに
よって高伸縮性が発揮されるのである。ここで、ポリエ
ステルとしては、ポリエチレンテレフタレート若しくは
ポリブチレンテレフタレートが使用され、又はこれらを
主体とするポリエステルが使用される。また、ポリエー
テルとしては、ポリエチレングリコール若しくはポリテ
トラメチレングリコール等の直鎖状ポリアルキレングリ
コール、又はこれらを主体とするものが使用される。特
に、高伸縮性及び耐光性を得るためには、ポリテトラメ
チレングリコールを用いるのが最も好ましい。ポリエー
テルの重量平均分子量は、500〜5000であるのが好まし
い。ポリエーテルの分子量が500より少ないと、ポリエ
ーテルエステル弾性繊維の伸縮性や耐光性が低下する傾
向が生じる。逆に、ポリエーテルの分子量が5000を超え
ると、ハードセグメントであるポリエステルとのブロッ
ク共重合時において相溶性が低下し、得られるポリエー
テルエステル弾性繊維の均質性が低下し、ひいては伸縮
性が低下する傾向が生じる。また、ブロック共重合体中
における、ポリエーテルとポリエステルとの重量比は、
ポリエーテル/ポリエステル=0.65〜4.0/1が好まし
い。ポリエーテルのポリエステルに対する重量比が0.65
よりも少なくなると、得られるポリエーテルエステル弾
性繊維の伸縮性が低下する傾向が生じる。逆に、ポリエ
ーテルの重量比が4.0を超えると、ブロック共重合体の
融点降下が大きくなって、ポリエーテルエステル弾性繊
維の熱的特性が低下し、染色加工時若しくは熱処理時等
においてポリエーテルエステル繊維が脆化若しくは変質
する傾向が生じる。なお、ポリエーテルとポリエステル
とのブロック共重合体には、染色性等を改良するため
に、少量ならば更に他の成分が共重合されていてもよ
い。他の成分が共重合されると、ハードセグメントであ
るポリエステルによる結晶構造が乱れ、伸縮性を発現す
るための固定点が消失し、伸縮性に悪影響を及ぼす恐れ
があるため、他の成分の共重合量は5モル%以下にする
のが好ましい。
【0009】上記で説明したポリエーテルエステル弾性
繊維の具体的な製造方法としては、例えば、以下の如き
方法が挙げられる。まず、エステル化反応器にテレフタ
ル酸ジメチルと1,4-ブタンジオールとを、モル比1/1.6
で仕込み、常圧下で160〜230℃の温度で2〜5時間エステ
ル交換反応を行なって、ポリエステルを得る。得られた
ポリエステルを重合缶に移送し、必要量のポリテトラメ
チレングリコールを添加し、次いで230〜260℃の温度で
1Torr以下の減圧下で所定の極限粘度に達するまで、一
般に1〜5時間重縮合反応を行ない、ポリエステルとポリ
エーテルとのブロック共重合体を得る。重縮合反応は、
一般に重縮合触媒の存在下で行なわれる。重縮合触媒と
しては、チタン化合物,アンチモン化合物,錫化合物,
カルシウム化合物、マンガン化合物,ゲルマニウム化合
物等が用いられる。特に、好ましい重縮合触媒は、チタ
ン化合物及びアンチモン化合物である。また、ポリエー
テルエステル製造時において、必要に応じて、各種安定
剤や顔料等を添加してもよい。以上のようにして得られ
たブロック共重合体を溶融紡糸し、延伸若しくは延伸及
び熱処理して、ポリエーテルエステル弾性繊維を得る。
なお、延伸及び熱処理を施すに際し、延伸後、連続して
弛緩熱処理を行なえば、更に優れた性能を有するポリエ
ーテルエステル弾性繊維を製造することができる。
【0010】次に、このポリエーテルエステル弾性繊維
を集束した弾性糸条を用いて、製編織して布帛を得る。
一般的には、この弾性糸条のみを使用して布帛を得るこ
とは少なく、この弾性糸条とポリエステル繊維等が集束
された非弾性糸条とを、任意の形態で組み合わせて、製
編織して布帛を得る。例えば、以下の如き方法で両糸条
を混繊した混繊糸条を用い、製編織して布帛を得る。即
ち、非弾性糸条と弾性糸条とをエアーにより混繊及び交
絡して混繊糸条を得る方法、中空スピンドルにて弾性糸
条を芯とし非弾性糸条を鞘としてカバリング糸条を得る
方法、2フィードタイプの撚糸機を用いて弾性糸条に張
力を付与しながら非弾性糸条と合撚して合撚糸条を得る
方法等が採用される。そして、この混繊糸条を用いて製
編織して布帛を得るのである。製編の場合の編組織とし
ては、シングルニットやダブルニット等の丸編組織、ラ
ッセルやトリコット等の経編組織等の従来公知の任意の
編組織が採用される。また、製織の場合の織組織として
は、ツイル織組織やサテン織組織等が採用される。な
お、製織の場合は、混繊糸条を経糸及び緯糸の両方に用
いても良いし、片方のみ混繊糸条を用い他方は任意の糸
条を用いてもよい。
【0011】また、非弾性糸条と弾性糸条とを製編時に
組み合わせてもよい。例えば、非弾性糸条が表側とな
り、弾性糸条が裏側(非弾性糸条による編目の内側)と
なるように、添糸編で編地を製編してもよい。添糸編で
製編することにより、非弾性糸条が均一に編地の表側に
配置され、弾性糸条が均一に裏側に配置されるため、紫
外線が弾性糸条を構成するポリエーテルエステル弾性繊
維をより攻撃しにくくなり、ポリエーテルエステル弾性
繊維が脆化しにくくなる。具体的に、添糸編で製編する
には、編機の二穴給糸口に、弾性糸条と非弾性糸条とを
別個に規則正しく配列し、糸条の張力や編針に対する糸
条の入角度を均一にして行なうのが好ましい。更に、非
弾性糸条と弾性糸条とを単に引き揃えて製編織すること
も可能である。また、非弾性糸条と弾性糸条とを別個の
給糸口に給糸して、別個の編目を形成するようにして製
編することも可能である。なお、弾性糸条,非弾性糸条
若しくは混繊糸条等の糸条形態としては、マルチフィラ
メント糸条、又はこのマルチフィラメント糸条が仮撚加
工された仮撚加工糸条、ニット・デ・ニット加工糸条、
エアー処理加工糸条等の形態が採用される。
【0012】ポリエーテルエステル弾性繊維よりなる弾
性糸条と、ポリエステル繊維等よりなる非弾性糸条とを
用いて布帛を得る場合、布帛中におけるポリエーテルエ
ステル弾性繊維の割合は、布帛重量に対して2〜60重量
%の範囲であるのが好ましく、特に5〜20重量%の範囲
であるのが最も好ましい。ポリエーテルエステル弾性繊
維の割合が2重量%未満であると、布帛の伸縮性が低下
する傾向が生じる。ポリエーテルエステル弾性繊維の割
合が60重量%を超えると、布帛を熱処理する際の収縮率
が大きくなりすぎたり、布帛重量が重くなりすぎたり、
或いは布帛表面にいらつきが生じたりする傾向がある。
【0013】以上のようにして得られた布帛に、ベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤を付与する。ベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤としては、チバテックスLF(チ
バガイギー社製),チバテックスLFN(チバガイギー
社製)等が使用される。本発明で使用するベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤は、サルチル酸エステル系,ベン
ゾフェノン系,ベンゾエート系等に比較して、波長290
〜400nmの紫外線を吸収する能力が極めて優れており、
それをポリエーテルエステル弾性繊維に付与しても、ポ
リエーテルエステル弾性繊維の高伸縮性が阻害されるこ
とが少なく、且つポリエーテルエステル弾性繊維を損傷
することが少ないものである。ベンゾトリアゾール系紫
外線吸収剤以外の前述の紫外線吸収剤を使用すると、ポ
リエーテルエステル弾性繊維の高伸縮性が阻害された
り、或いはポリエーテルエステル弾性繊維が損傷された
りするので、好ましくない。ベンゾトリアゾール系紫外
線吸収剤の付与は、布帛を得た後、熱処理する前であれ
ば、任意の工程で行なうことができる。特に、布帛を染
色仕上加工する際に、布帛に染料を付与すると共にベン
ゾトリアゾール系紫外線吸収剤を付与するのが好まし
い。
【0014】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、布
帛重量に対して、0.1〜8.0重量%付与するのが好まし
く、特に0.5〜5.0重量%付与するのが最も好ましい。ベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の付与量が0.1重量%
未満であると、紫外線によってポリエーテルエステル弾
性繊維が脆化しやすくなる傾向が生じる。逆に、ベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤の付与量が8.0重量%を超
えると、ポリエーテルエステル弾性繊維の高伸縮性が阻
害されやすくなったり、或いは布帛を染色しても鮮明な
色相を発現しにくくなる傾向が生じる。
【0015】布帛に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤を付与した後、熱処理を施す。この熱処理は、ベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤をポリエーテルエステル弾
性繊維又はポリエステル繊維等に強固に吸着させるため
に行なわれる。この熱処理は、染色仕上加工後において
通常行なわれる仕上セットの工程で行なうことができ
る。熱処理条件は、一般的に100℃以上の温度で数秒〜
数分程度の時間行なわれる。以上のようにして、長期間
に亙って良好な伸縮性を示す、耐光性高伸縮布帛が得ら
れるのである。
【0016】
【実施例】
実施例 まず、以下のようにしてポリエーテルエステル弾性繊維
を得た。エステル化反応器にテレフタル酸ジメチル19.4
kg及び1,4-ブタンジオール9.0kgを仕込んで、テトラブ
チルチタネート10gを触媒として、常圧下210℃で2時間
30分エステル交換反応を行なった。得られたポリブチレ
ンテレフタレートを重合缶に移送し、ポリテトラメチレ
ングリコール(重量平均分子量2000)33kgと酸化防止剤
(チバガイギー社製、イルガノックス1010)50gを添加
し、250℃の温度で3時間、減圧下で重縮合反応を行なっ
た。このようにして得られたポリエステルとポリエーテ
ルのブロック共重合体の極限粘度[η]は2.25であっ
た。このブロック共重合体を減圧乾燥後、溶融紡糸機で
紡糸温度230℃及び吐出量40g/分で溶融紡糸した後、
紡出糸条にシリコーン系油剤をローラ給油方式で付着さ
せ、1000m/分の速度で引き取り、未延伸糸を巻き取っ
た。次に、この未延伸糸を延伸熱処理機に導入し、延伸
速度200m/分,延伸倍率は延伸域で2.50倍及び弛緩熱
処理域で0.70倍,熱処理板温度140℃,巻き取り張力1g
の条件でポリエーテルエステル弾性繊維よりなる弾性糸
条を得た。この弾性糸条は、50デニール/3フィラメン
トであり、弾性回復率は96%であった。また、このポリ
エーテルエステル繊維の熱水収縮率は、33%であった。
【0017】一方、非弾性糸条として、通常のポリエス
テル繊維よりなる75デニール/36フィラメントのマルチ
フィラメント糸条を、仮撚加工した仮撚加工糸条を準備
した。この非弾性糸条の熱水収縮率は5%であった。な
お、ここで用いた極限粘度,弾性回復率及び熱水収縮率
は、以下に示す方法で測定したものである。 [極限粘度]:フェノールと四塩化エタンとの等重量混
合物を溶媒として、温度20℃で測定した。 [弾性回復率]:オリエンティック社製テンシロンUTM-
4-100型を用い、長さ10cmの弾性糸条を引張速度10cm/
分で100%伸長する。伸長した後、同速度で弾性糸条を
元の長さに戻す。そして、再度伸長し、応力が観測され
た時点における弾性糸条の伸びの長さを求め、次式によ
って弾性回復率を求めた。なお、この弾性回復率は、10
回測定した平均値を示している。弾性回復率=[(E0
−E1)/E0]×100である。但し、E0は弾性糸条を10
0%延ばしたときの伸びの長さであり、弾性糸条が10cm
の場合には10となる。また、E1は再度伸長した際、応
力が観測された時点における弾性糸条の伸びの長さであ
る。 [熱水収縮率]:糸条の一旦を固定し、他端に1/10g/
dの初荷重を与え、正しく 500mmを計って2点に印を付
ける。この後、初荷重をとって沸騰水中に30分間浸漬し
た後、取り出して軽く吸取紙又は布で水を切り、水平状
態で自然乾燥する。その後、再び初荷重を掛けて前記2
点間の長さlmmを図る。以上のlmmの測定を各10回行
い、そして式〔( 500−l)/500 〕×100 で収縮率を
算出し、その平均値を熱水収縮率(%)とする。
【0018】上記した弾性糸条と非弾性糸条とを用い、
図1に示す編組織で製編した。図1に示した編組織図
は、8給糸口が1リピートとして繰り返され、編地表面
が無地調で裏面が凹凸のある鹿の子調となる。図1中、
(ac)及び(bc)は、各々バット位置が異なる2種のシリン
ダー針を示し、(ad)及び(bd)は、各々バット位置が異な
る2種のダイヤル針を示す。そして、弾性糸条を点線で
示し、非弾性糸条を実線で示した。図2は、添糸編に用
いる給糸口の概略図であり、(α),(β)は各々給糸
穴を示し、(A)は弾性糸条,(B)は非弾性糸条を示
す。なお、(N)は編針を示す。
【0019】図1の編組織図における弾性糸条と非弾性
糸条の給糸と製編方法を更に詳しく述べると、以下のと
おりである。即ち、第1給糸口(以下、給糸口のことを
「F」と表現する。)でシリンダー(ac)針のタック編及
びダイヤル(ad),(bd)針のニット編により、編地の表裏
を結節する。第3Fは、第1Fと同作用で、第5F及び
第7Fではシリンダー(bc)針のタック編及びダイヤル(a
d),(bd)針のニット編を行なう。なお、前述の各給糸口
には、非弾性糸条を給糸した。一方、第2F,第4F,
第6F及び第8Fにおいては、図2に示す給糸口を用
い、β穴に弾性糸条を、α穴に非弾性糸条を給糸し、シ
リンダー(ac)及び(bc)針でニット編を行なう。以上の編
組織及び編組法で、福原精機製ダブルニット機LPJ-H 型
を用い、釜径33”,ゲージ28Gで編成して編地(布帛)
を得た。
【0020】以上のようにして得られた編地に、株式会
社日阪製作所製のサーキュラー液流染色機を用い、日華
化学株式会社製の界面活性剤「サンモールFL」を1g
/l含む水溶液で80℃で10分間の条件でリラックス精練
を施し、脱水,乾燥した。この後、下記組成の分散染料
液を使用し、株式会社日阪製作所製のサーキュラー液流
染色機を用いて、湿熱130℃で時間30分間の条件で染色
加工を施した。 記 ダイアニックスレッドU-SE(三菱化成株式会社製分散染料) 1.0%o.w.f. サンソルトRZ-8(日華化学株式会社製均染剤) 0.5g/l 酢酸(48%) 0.2cc/l チバテックスLF(チバガイギー社製紫外線吸収剤) 2.0%o.w.f.
【0021】染色加工を行なった後、株式会社市金工業
社製のヒートセッターを用い、温度160℃で時間30秒間
の条件で、仕上セットを兼ねて熱処理を行なった。以上
のようにして得られた高伸縮布帛は、幅が130cmで目付
が390g/mのものであった。この高伸縮布帛の伸縮
性、即ち伸長率及び回復率を、自然光にばく露する前後
において測定し、その結果を表1に示した。また、カー
ボンアークフェードメーターに照射する前後における高
伸縮布帛を解編して、ポリエーテルエステル弾性繊維よ
りなる弾性糸条を取り出し、この弾性糸条の強力及び伸
度を測定した。また、得られた高伸縮布帛に繰り返し洗
濯を施し、その後高伸縮布帛を解編して、ポリエーテル
エステル弾性繊維よりなる弾性糸条を取り出し、この弾
性糸条の強力及び伸度を測定した。これらの結果も併せ
て表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】なお、表1中の各項目は、以下のとおりで
ある。 1)未処理の高伸縮布帛:得られた高伸縮布帛を、自然光
にばく露することなく、そのまま使用したものである。 2)自然光にばく露後の高伸縮布帛:得られた高伸縮布帛
をダイレクトばく露台に取り付けて、ばく露面を南側に
向け、仰角45°で30日間放置した後のものである。 3)未処理の高伸縮布帛から解編した弾性糸条:得られた
高伸縮布帛を、自然光にばく露する前に、解編して取り
出した弾性糸条である。 4)カーホ゛ンアーク照射後の高伸縮布帛から解編した弾性糸条:
JIS L 0842で用いるカーボンアークフェードメーターを
用いて、得られた高伸縮布帛を温度63℃で時間40時間の
条件で照射処理した後、解編して取り出した弾性糸条で
ある。 5)繰り返し洗濯後の高伸縮布帛から解編した弾性糸条:
家庭用洗濯機を用いて、合成洗剤(液体)を0.9g/l
使用し、浴比1:40,水温40℃の条件で、得られた高伸
縮布帛に次のサイクルの洗濯を10分間施した。洗濯のサ
イクルは、給水→洗剤投入→洗濯→排水→脱水→給水→
すすぎ→排水→給水→すすぎ・排水→給水→すすぎ→排
水→脱水である。このサイクルを100回繰り返した後の
高伸縮布帛を解編し、取り出した弾性糸条である。 6)伸長率:JIS L-1018の定速伸長法により測定した。 7)回復率:JIS L-1018の定速伸長法により測定した。 8)強度及び伸度:オリエンティック社製テンシロンUTM-
4-100型を用い、長さ10cmの弾性糸条を引張速度10cm/
分で引っ張って測定した。なお、強度及び伸度は、10回
測定した平均値を示している。
【0024】比較例 染色加工時においてチバテックスLF(チバガイギー社製
紫外線吸収剤)を全く用いない以外は、実施例と同様に
して高伸縮布帛を得た。この高伸縮布帛の伸縮性等を実
施例と同様にして測定し、その結果を表1に示した。
【0025】実施例に係る高伸縮布帛と比較例に係る高
伸縮布帛とを比較すれば明らかなように、自然光やカー
ボンアークにばく露する前においては、高伸縮布帛及び
これを構成する弾性糸条は、両者共に同等の伸長率,回
復率,強度及び伸度を持っている。しかし、自然光やカ
ーボンアークにばく露した後においては、実施例に係る
高伸縮布帛若しくはこれを構成する弾性糸条は、その伸
長率,回復率,強度及び伸度が低下しにくいのに対し、
比較例に係る高伸縮布帛等は、その伸長率等が大幅に低
下する。従って、実施例に係る高伸縮布帛は、自然光等
に曝されても、その伸縮性が低下しにくく、長期間に亙
って良好な伸縮性を維持することが分かる。また、実施
例に係る高伸縮布帛は、洗濯を繰り返した後において
も、その布帛を構成する弾性糸条の強伸度の低下が少な
く、実用的にも問題が少ないことが分かる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、ポリエ
ーテルエステル弾性繊維を含有している布帛に、ベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤を付与するという方法であ
る。従って、得られた高伸縮布帛中のポリエーテルエス
テル弾性繊維やポリエステル繊維等の他種繊維には、ベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が固着されている。依
って、この高伸縮布帛が自然光等に曝されても、紫外線
をポリエステル繊維等に固着している紫外線吸収剤が吸
収し、紫外線によって脆化しやすいポリエーテルエステ
ル弾性繊維を紫外線が攻撃しにくくなる。この結果、本
発明に係る方法で得られた高伸縮布帛は、自然光等によ
って伸縮性が低下しにくく、長期間に亙って耐光性に優
れた伸縮性を維持し、衣料用や産業用等に好適に使用し
うるという効果を奏する。
【0027】また、本発明において、ポリエーテルエス
テル弾性繊維よりなる弾性糸条とポリエステル繊維より
なる非弾性糸条とを用い、且つ非弾性糸条が表面に偏在
した布帛を用いた場合、紫外線は主としてポリエステル
繊維に固着した紫外線吸収剤によって吸収され、紫外線
がポリエーテルエステル弾性繊維を攻撃しにくくなる。
従って、この場合、高伸縮布帛は自然光等によって伸縮
性が更に低下しにくく、長期間に亙ってより耐光性に優
れた伸縮性を維持するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる布帛を得る際の編組織の一例を
示した図である。
【図2】本発明に用いる布帛を得るための製編法の一例
を示した図である。
【符号の説明】
A 弾性糸条 B 非弾性糸条
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D06M 101:32

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート又はポリブ
    チレンテレフタレートを主体とするポリエステルをハー
    ドセグメントとし、直鎖状ポリアルキレングリコールを
    主体とするポリエーテルをソフトセグメントとするブロ
    ック共重合体で形成されたポリエーテルエステル弾性繊
    維を含有する布帛に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収
    剤を付与した後、熱処理を施すことを特徴とする耐光性
    高伸縮布帛の製造方法。
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