JPH07207550A - 高密度編地の製造方法 - Google Patents

高密度編地の製造方法

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JPH07207550A
JPH07207550A JP35213993A JP35213993A JPH07207550A JP H07207550 A JPH07207550 A JP H07207550A JP 35213993 A JP35213993 A JP 35213993A JP 35213993 A JP35213993 A JP 35213993A JP H07207550 A JPH07207550 A JP H07207550A
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JP
Japan
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yarn
heat
knitted fabric
polyester
polyester fiber
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JP35213993A
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English (en)
Inventor
Seiichi Nishijima
征一 西嶋
Minoru Takami
実 高美
Yasuhiro Fujimoto
泰弘 冨路本
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面の風合が柔らかく、張り及び腰を有する
高密度編地を提供する。 【構成】 熱伸長性ポリエステル系繊維よりなるA糸条
を準備する。熱伸長性ポリエステル系繊維は、主たる繰
り返し単位がエチレンテレフタレートで、構造一体性パ
ラメーターが15〜45%のポリエステル高配向未延伸繊維
を、所定の温度で熱延伸及び熱処理することによって得
ることができる。一方、熱収縮性ポリエステル系繊維よ
りなるB糸条を準備する。熱収縮性ポリエステル系繊維
の繊度は、熱伸長性ポリエステル系繊維の繊度よりも大
きくて且つ15デニール以下である。また、熱収縮性ポリ
エステル系繊維の熱水収縮率は50%未満である。このA
糸条及びB糸条を用い、添糸編によってA糸条を編目の
外側に位置せしめ、B糸条を該編目の内側に位置せしめ
るようにして製編する。製編後、熱を与えてB糸条を収
縮させると共にA糸条を伸長させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衣料用あるいは衣料資
材用として好適に使用しうる高密度編地の製造方法に関
し、特に良好な張り及び腰を有すると共に、表面が柔ら
かい風合を有する高密度編地の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱伸長性ポリエステル系繊維
よりなる糸条を用いて製編し、編地を得ることは行われ
ている。この編地に染色仕上加工等を施すと、熱が与え
られ、熱伸長性ポリエステル系繊維は伸長する。この伸
長によって、編地には比較的柔らかい風合が実現される
のである。しかし、熱伸長性ポリエステル系繊維よりな
る糸条の伸長によって、編地の張りや腰が低下し、また
編地の密度も低下するという欠点があった。
【0003】このため、熱伸長性ポリエステル系繊維と
熱収縮性ポリエステル系繊維とを混繊した糸条を用い
て、編地に柔らかい風合と、良好な張り及び腰を与える
と共に密度を向上させようという提案がされている。そ
して、両繊維の混繊糸条としては、熱伸長性ポリエステ
ル系繊維よりなる糸条と熱収縮性ポリエステル系繊維よ
りなる糸条とを合撚した撚糸、熱収縮性ポリエステル系
繊維を熱伸長性ポリエステル系繊維で被覆したカバーリ
ング糸、あるいは両糸条をエアー処理して両繊維を交絡
させた交絡糸が使用されている。
【0004】しかし、このような混繊糸条を使用した編
地に染色仕上加工等を施して、編地に熱を与えると、両
繊維の特性が相殺されてしまい、十分満足のゆく風合、
張りと腰、及び密度を持つ編地を得ることができなかっ
た。即ち、熱伸長性ポリエステル系繊維の伸長による柔
らかい風合が、熱収縮性ポリエステル系繊維の収縮によ
る比較的硬い風合によって減殺され、また熱収縮性ポリ
エステル系繊維の収縮による良好な張りと腰及び密度の
向上が、熱伸長性ポリエステル系繊維の伸長による弛み
によって減殺されてしまうのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、混繊糸
条を使用した場合に、両繊維の特性が相殺されてしまう
原因を検討した結果、次のような一応の結論に到達し
た。即ち、一本の糸条中に、熱伸長性ポリエステル系繊
維と熱収縮性ポリエステル系繊維とが存在していると、
繊維相互間の摩擦あるいは絡みによって、両繊維が相互
に干渉し合って、両繊維の特性が十分に発揮されずに相
殺されてしまうのである。
【0006】そこで、本発明は、熱伸長性ポリエステル
系繊維と熱収縮性ポリエステル系繊維との混繊糸条を使
用せずに、熱伸長性ポリエステル系繊維よりなる糸条と
熱収縮性ポリエステル系繊維よりなる糸条とを使用し、
添糸編によって、熱伸長性ポリエステル系繊維よりなる
糸条を編目の外側に位置せしめ、一方熱収縮性ポリエス
テル系繊維よりなる糸条を編目の内側に位置せしめて、
編地を編成することにより、両繊維が相互に干渉しにく
いようにして、各繊維の特性を十分に発揮させ、もって
熱伸長性ポリエステル系繊維の伸長による柔らかい風合
と、熱収縮性ポリエステル系繊維の収縮による良好な張
りと腰及び密度の向上を実現した編地を提供しようとい
うものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、熱伸長
性ポリエステル系繊維よりなる糸条(以下、「A糸条」
と言う。)と、該熱伸長性ポリエステル系繊維の単糸繊
度よりも大きくて且つ15デニール以下の単糸繊度を持
ち、熱水収縮率が50%未満の熱収縮性ポリエステル系繊
維よりなる糸条(以下、「B糸条」と言う。)とを用
い、添糸編によってA糸条を編目の外側に位置せしめ、
B糸条を該編目の内側に位置せしめるようにして製編
し、その後、熱を与えてB糸条を収縮させると共にA糸
条を伸長させることを特徴とする高密度編地の製造方法
に関するものである。
【0008】本発明で用いるA糸条は、フリーの状態で
熱を与えると伸長する熱伸長性ポリエステル系繊維より
なる糸条である。A糸条としては、マルチフィラメント
糸条や紡績糸条等が使用される。A糸条を構成する熱伸
長性ポリエステル系繊維の単糸繊度は、熱収縮性ポリエ
ステル系繊維の単糸繊度よりも小さいものが採用され
る。これは、熱伸長性ポリエステル系繊維の単糸繊度の
方が大きいと、繊維の剛性が大きくなって、熱伸長性ポ
リエステル系繊維による柔軟な風合を実現できなくなる
からである。また、熱伸長性ポリエステル系繊維の熱水
収縮率は、負の値を持つものであり、好ましくは−0.5
〜−10%程度であるのが良い。なお、熱水収縮率の測定
方法は、以下のとおりである。即ち、即ち、繊維の一旦
を固定し、他端に1/30(g/d)の初荷重を与え、正しく500
mmを計って2点に印を付ける。この後、初荷重をとって
沸騰水中に30分間浸漬した後、取り出して軽く吸取紙又
は布で水を切り、水平状態で自然乾燥する。その後、再
び初荷重を掛けて前記2点間の長さlmmを図る。以上の
lmmの測定を各10回行い、そして式〔(500−l)/50
0〕×100で収縮率を算出し、その平均値を熱水収縮率
(%)とする。
【0009】前述した熱伸長性ポリエステル系繊維の代
表的な製造例は、以下に示すとおりである。原料として
は、主たる繰り返し単位をエチレンテレフタレートとし
たポリエステルが用いられる。即ち、エチレングリコー
ルとテレフタル酸とを重縮合させたポリエステルが用い
られるのであるが、少量の1,4-ブタンジオール,1,6-ヘ
キサンジオール等のジオール成分、アジピン酸,セバシ
ン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、ビスフェノールA等
の芳香族ジオール成分、イソフタル酸等の芳香族ジカル
ボン酸成分等を共重合させても差し支えない。また、ポ
リエステル中に、安定剤,蛍光剤,顔料,強化剤等を添
加共存させてもよい。
【0010】原料であるポリエステルを溶融紡糸して、
まずポリエステル系未延伸繊維を得る。この際、構造一
体性パラメーター(ε0.2)が15〜45%となるようにす
るのが好ましい。特に、構造一体性パラメーター(ε
0.2)は20〜40%であるのが、最も好ましい。本発明で
言う構造一体性パラメーターとは、繊維の結晶化度と配
向度を総合的に決定するものであり、その値が大きいほ
ど低結晶化度で低配向度の繊維となるものである。構造
一体性パラメーターが15%未満であると、高結晶化度で
高配向度の繊維となり、後の延伸工程等で熱処理が施さ
れた場合、繊維の構造(高分子の配列等)を変化させる
ことが困難になって、所望の延伸が行いにくくなる傾向
が生じる。逆に、構造一体性パラメーターが45%を超え
ると、低結晶化度で低配向度の繊維となり、後の延伸工
程等で熱処理が施された場合、繊維自体が脆くなる傾向
が生じやすくなり、また延伸が過大になる傾向が生じ
る。なお、構造パラメーター(ε0.2)の測定方法は、
以下のとおりである。即ち、東洋紡エンジニアリング社
製εメーターを使用し、測定温度99℃,試料長20cm,処
理時間2分にて、沸水中で試料に0.2g/デニールの荷重
をかけて測定した。そして、処理後の試料長L1を測
り、ε0.2=[(L1−L0)/L0]×100なる式で算出
する[ここで、L0は処理前の試料長(20cm)であ
る。]。
【0011】構造パラメーターを上記した一定の範囲内
にする方法としては、紡糸速度を変更する方法、原料ポ
リエステルの溶融粘度を変える方法、未延伸繊維を熱処
理する方法等があるが、紡糸速度を変える方法が最も一
般的である。通常の衣料用ポリエステル繊維を得る際に
用いられる原料ポリエステルの場合、紡糸速度をおおよ
そ2500〜4500m/分とすることによって得られる。
【0012】以上のようにして得られた、構造一体性パ
ラメーターが15〜45%のポリエステル高配向未延伸繊維
に、熱延伸を施す。熱延伸の方法は、通常の延伸機を用
いればよく、その時の加熱ローラーの温度は、ポリエス
テル高配向未延伸繊維のガラス転移温度よりも25℃以上
高くするのが好ましい。この温度よりも低いと、延伸時
において、未延伸繊維中の分子流動が十分に進行せず、
安定な繊維とならず、所望の熱伸長性ポリエステル系繊
維が得られにくくなる傾向が生じる。その後、熱延伸し
たポリエステル系繊維の融点より25〜90℃低い温度で、
熱処理するのが好ましい。この熱処理は、一般的に接触
式熱処理ヒーターを使用して行われる。ポリエステル系
繊維の融点より25℃低い温度を超える高い温度で熱処理
を施すと、ポリエステル系繊維が軟化あるいは溶融する
恐れがあり、実質的に捲取りが不可能になる。逆に、融
点より90℃低い温度よりも低い温度で熱処理を施すと、
熱処理の効果を望めず、熱伸長性ポリエステル系繊維が
得られにくくなる傾向が生じる。なお、ポリエステル高
配向未延伸繊維のガラス転移温度及びポリエステル系繊
維の融点は、パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC-
2型にて、昇温速度10℃/分で測定したものである。
【0013】本発明で用いるB糸条は、熱を与えると収
縮する熱収縮性ポリエステル系繊維よりなる糸条であ
る。このB糸条としても、マルチフィラメント糸条や紡
績糸条等が使用される。
【0014】B糸条を構成する熱収縮性ポリエステル系
繊維は、熱伸長性ポリエステル系繊維の単糸繊度よりも
大きくて且つ15デニール以下の単糸繊度を持つものであ
る。一般的には、熱収縮性ポリエステル系繊維の単糸繊
度は、2〜15デニールのものが採用される。熱収縮性ポ
リエステル系繊維の単糸繊度が、熱伸長性ポリエステル
系繊維の単糸繊度よりも大きいのは、熱収縮性ポリエス
テル系繊維の剛性を高めて、得られる編地に張り及び腰
を付与するためである。熱伸長性ポリエステル系繊維の
単糸繊度よりも小さいと、得られる編地に所望の張り及
び腰を付与できないので、好ましくない。しかし、熱収
縮性ポリエステル系繊維の単糸繊度は15デニール以下で
なければならない。単糸繊度が15デニールを超えると、
熱収縮性ポリエステル系繊維の剛性が高くなりすぎて、
得られる編地が硬くなりすぎるので、好ましくない。ま
た、熱収縮性ポリエステル系繊維の熱水収縮率は50%未
満であることが必要である。熱水収縮率が50%を超える
と、B糸条が収縮しすぎて、得られる編地に皺が発生し
たり、編地重量が重くなりすぎるので、好ましくない。
特に、熱収縮性ポリエステル系繊維の熱水収縮率は、20
〜30%であるのが好ましい。熱水収縮率が20%未満であ
ると、熱収縮が少なすぎて、得られる編地に張り及び腰
を付与しにくくなる傾向が生じ、また得られる編地の密
度が十分向上しない傾向が生じる。なお、熱水収縮率の
測定方法は、前述した熱伸長性ポリエステル系繊維の熱
水収縮率の測定方法と同様である。
【0015】熱収縮性ポリエステル系繊維は、従来公知
のポリエステル樹脂を用い、溶融紡糸して、所望の熱収
縮性を持たせる条件で延伸処理し、容易に得ることがで
きる。本発明においては、特に、第三成分としてイソフ
タル酸を共重合させて得られるポリエステル共重合体
を、溶融紡糸して熱収縮性ポリエステル系繊維を得るの
が好ましい。これは、所望の熱水収縮率を持つポリエス
テル系繊維を容易に得ることができるからである。この
際、イソフタル酸の共重合量は、全酸成分中の5〜10モ
ル%であるのが好ましい。イソフタル酸の共重合量が5
モル%未満であると、熱水収縮率が20%以上であるポリ
エステル系繊維が得られにくくなる傾向が生じる。ま
た、10モル%を超えると、得られる熱収縮性ポリエステ
ル性繊維の剛性が大きくなる傾向が生じ、得られる編地
の風合が粗硬となったりあるいは柔軟性が低下する傾向
が生じる。
【0016】次に、前記したA糸条とB糸条とを用い、
A糸条が表側となり、B糸条が裏側(A糸条による編目
の内側)となるように添糸編で編成する。添糸編で編成
することにより、A糸条が均一に表面に配置され、B糸
条が均一に内側に配置されるのである。具体的に添糸編
で編成するには、編機の2穴給糸口にA糸条とB糸条と
を別個に規則正しく配列し、糸条の張力や編針に対する
糸条の入角度を均一にして行なう。添糸編の組織として
は、両面編と平編を組み合わせたモックロディー,モッ
クミラノリブ,ミラノリブ,ダブルピッケ,タックリバ
ーシブル等の組織が好適に用いられる。一般的には、両
面編部位にA糸条を、平編部位にA糸条とB糸条を添糸
編で給糸する。なお、編地の表側を形成する平編部位に
おいて添糸編を行う場合と、編地の裏側を形成する平編
部位において添糸編を行う場合とでは、糸条の給糸方法
を変更する必要がある。即ち、図2を用いて説明する
と、編地の表側の平編部位で添糸編を行う場合には、図
2の給糸口穴αにA糸条を、給糸口穴βにB糸条を給糸
する。逆に、編地の裏側の平編部位で添糸編を行う場合
には、給糸口穴αにB糸条を、給糸口穴βにA糸条を給
糸するのである。
【0017】本発明の如く添糸編で編成せずに、A糸条
とB糸条とを単に引き揃えて編成した場合には、反転現
象が生じ、A糸条が均一に表面に配置されにくくなるの
で、好ましくない。また、B糸条を単独に用いて、両タ
ック編で編地の表裏を結節する部分に使用して、編地の
内側に編込む方法、あるいはインレイ方式により編地の
中に挿入する方法等によって、B糸条が編地の表面に現
われない方法を採用することも考えられるが、いずれの
場合も添糸編を採用した場合に比較して、B糸条が編地
の表面に飛び出しやすいものである。
【0018】前述した方法で得られた編地には、多くの
場合、従来公知の染色加工が施される。この染色加工の
際、編地は高温下に置かれるため、A糸条は伸長しB糸
条は収縮する。編地の表面を形成していA糸条の伸長に
よって、得られる編地表面には柔軟な風合が実現され
る。一方、編地の内側を形成しているB糸条の収縮によ
って、得られる編地には張り及び腰が付与され、その密
度が向上するのである。なお、編地の熱処理は、染色加
工時において編地が高温下に置かれるのを利用すること
によって行ってもよいし、染色加工とは別個に特別に加
熱して行ってもよい。
【0019】以上のようにして、表面が柔軟な風合を示
し、張り及び腰のある高密度編地を得ることができるの
である。以下、更に詳細に、実施例に基づいて説明す
る。
【実施例】実施例 まず、以下に示した方法によってA糸条を得た。即ち、
[η]0.70,ガラス転移温度71℃,融点256℃のポリエ
チレンテレフタレートを、紡糸温度295℃,紡糸速度350
0m/分の条件で通常の紡糸装置を使用して溶融紡糸
し、80デニール/36フィラメントの高配向未延伸繊維か
らなる未延伸糸条を得た。この高配向未延伸繊維の構造
一体性パラメーター(ε0.2)は、31%であった。次い
で、この未延伸糸条を、延伸倍率0.94(94%),リラッ
クス率6.0%,加熱ローラーの温度110℃,熱処理ヒータ
ー温度200℃,延伸速度300m/分の条件で、熱延伸及び
熱処理を行って、熱伸長性ポリエステル系繊維よりなる
41デニール/36フィラメントのマルチフィラメント糸条
を得た。この熱伸長性ポリエステル系繊維の熱水収縮率
は−1.5%であった。また、乾熱で160℃における収縮率
は−4.0%であった。なお、乾熱160℃における収縮率
は、試料を無荷重状態で160℃のオーブン中に15分間保
持し、処理前後の長さを測定して、熱水収縮率の場合と
同様にして算出されるものである。
【0020】次に、以下に示した方法によってB糸条を
得た。即ち、ポリエチレンテレフタレートの製造時、エ
ステル化反応の工程で全酸成分に対して、第三成分であ
るイソフタル酸が8モル%となるように添加して、ポリ
エステル共重合体を準備した。これを溶融紡糸した後、
延伸処理して30デニール/12フィラメントのマルチフィ
ラメント糸条を得た。マルチフィラメント糸条を構成し
ている熱収縮性ポリエステル系繊維の熱水収縮率は25%
であった。
【0021】前記のA糸条とB糸条を用いて、図1に示
す編組織で製編した。図1に示した編組織図は、8給糸
口が1リピートとして繰り返され、編地表面が無地調で
裏面が凹凸のある鹿の子調となる。図1中、(ac)及び(b
c)は、各々バット位置が異なる二種のシリンダー針を示
し、(ad)及び(bd)は、各々バット位置が異なる二種のダ
イヤル針を示す。そして、A糸条を実線で示し、B糸条
を点線で示した。図2は、添糸編に用いる給糸口の概略
図であり、α及びβは、各々給糸口穴を示している。本
実施例では、給糸口穴αにA糸条を給糸し、給糸口穴β
にB糸条を給糸した。
【0022】図1の編組織図におけるA糸条とB糸条の
給糸方法と製編方法を、更に詳細に説明すると、以下の
とおりである。即ち、第1給糸口(以下、給糸口のこと
を「F」と表現する。)でシリンダー(ac)針のタック編
及びダイヤル(ad),(bd)針のニット編によって、編地の
表裏を結節する。第3Fは第1Fと同仕様で、第5F及
び第7Fでは、シリンダー(bc)針のタック編及びダイヤ
ル(ad),(bd)針のニット編を行う。なお、前述の各給糸
口には、A糸条のみを給糸した。一方、第2F,第4
F,第6F及び第8Fにおいては、図2に示す給糸口を
用い、給糸口穴αにA糸条を給糸し、給糸口穴βにB糸
条を給糸し、シリンダー(ac)及び(bc)針でニット編を行
う。以上の編組織、給糸方法及び製編方法で、福原精機
製ダブルニット機LPJ-H 型を用い、釜径33",ゲージ28G
で編成した。
【0023】このようにして得られた編地に、株式会社
日阪製作所製のサーキュラー液流染色機を用い、日華化
学株式会社製の界面活性剤「サンモールFL」を1g/
l含む水溶液で80℃で10分間の条件でリラックス精練を
施し、脱水,乾燥した。この後、下記組成の分散染料液
を使用し、株式会社日阪製作所製のサーキュラー液流染
色機を用いて、湿熱130℃で時間30分間の条件で染色加
工を施した。記 ダイアニックスレッドU-SE(三菱化成株式会社製分散染料) 1.0%o.w.f. サンソルトRZ-8(日華化学株式会社製均染剤) 0.5g/l 酢酸(48%) 0.2cc/l
【0024】染色加工を行った後、株式会社市金工業社
製のヒートセッターを用い、温度170℃で時間30秒間の
条件で仕上セットを兼ねて、熱処理を行った。以上のよ
うにして得られた、高密度編地は巾が150cmで目付が390
g/mであった。そして、編地の表裏全面がA糸条で覆
われたもので柔らかい風合を有し、極めて高密度の編地
で且つ張り及び腰に優れたものであった。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る高密
度編地の製造方法は、熱伸長性ポリエステル系繊維で構
成されたA糸条を編地の表面に配し、熱収縮性ポリエス
テル系繊維で構成されたB糸条を編地の内側に配するよ
うに、添糸編で製編し、その後熱処理して、A糸条を伸
長させ、B糸条を収縮させるというものである。従っ
て、編地表面は熱によって伸長したA糸条で覆われ、編
地表面の風合が柔らかくなるという効果を奏する。一
方、編地の内側には熱によって収縮したB糸条が存在し
ているため、編地が高密度になると共に、編地に十分な
張り及び腰を付与しうるという効果を奏する。依って、
本発明に係る方法で得られた編地は、表面が柔らかい風
合でありながら、十分な張り及び腰を持ち、更に高密度
であるという、従来実現できなかった特性を兼ね備えて
おり、衣料用や衣料資材用として好適に使用しうるもの
である。
【0026】また、本発明に係る高密度編地の製造方法
においては、熱伸長性繊維及び熱収縮性繊維の両者共
に、ポリエステル系繊維が採用されている。従って、染
色加工を施した場合、熱伸長性繊維と熱収縮性繊維の両
者共に、分散染料で同程度に染着しうるものである。依
って、染色加工して得られた編地には、色相差によるい
らつき現象が起こりにくく、良好な色相を有する編地が
得られるという効果も奏しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる編組織の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る編成において使用する給糸口の一
例を示した概略図である。
【符号の説明】
A A糸条 B B糸条

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱伸長性ポリエステル系繊維よりなる糸
    条(以下、「A糸条」と言う。)と、該熱伸長性ポリエ
    ステル系繊維の単糸繊度よりも大きくて且つ15デニール
    以下の単糸繊度を持ち、熱水収縮率が50%未満の熱収縮
    性ポリエステル系繊維よりなる糸条(以下、「B糸条」
    と言う。)とを用い、添糸編によってA糸条を編目の外
    側に位置せしめ、B糸条を該編目の内側に位置せしめる
    ようにして製編し、その後、熱を与えてB糸条を収縮さ
    せると共にA糸条を伸長させることを特徴とする高密度
    編地の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱伸長性ポリエステル系繊維は、主たる
    繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなり、構造
    一体性パラメーターが15〜45%のポリエステル高配向未
    延伸繊維を、ガラス転移温度より25℃以上高い温度で熱
    処理した後、融点より25〜90℃低い温度で熱処理して製
    造されたものを用い、熱収縮性ポリエステル系繊維は、
    第三成分としてイソフタル酸が共重合されているポリエ
    ステル共重合体で形成されているものを用いる請求項1
    記載の高密度編地の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016160551A (ja) * 2015-03-02 2016-09-05 ユニチカトレーディング株式会社 編地及びワイピングクロス
CN115012101A (zh) * 2022-07-12 2022-09-06 广东溢达纺织有限公司 一种纬向增密针织物
CN115012101B (zh) * 2022-07-12 2024-04-30 广东溢达纺织有限公司 一种纬向增密针织物

Cited By (3)

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JP2016160551A (ja) * 2015-03-02 2016-09-05 ユニチカトレーディング株式会社 編地及びワイピングクロス
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