JPH07207551A - 高伸縮性編地の製造方法 - Google Patents
高伸縮性編地の製造方法Info
- Publication number
- JPH07207551A JPH07207551A JP35213893A JP35213893A JPH07207551A JP H07207551 A JPH07207551 A JP H07207551A JP 35213893 A JP35213893 A JP 35213893A JP 35213893 A JP35213893 A JP 35213893A JP H07207551 A JPH07207551 A JP H07207551A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- yarn
- knitted fabric
- heat
- fiber
- polyester
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Artificial Filaments (AREA)
- Treatment Of Fiber Materials (AREA)
- Knitting Of Fabric (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 表面の風合が柔らかく、伸縮性に優れた編地
を提供する。 【構成】 熱伸長性ポリエステル系繊維よりなるA糸条
を準備する熱伸長性ポリエステル系繊維としては、主た
る繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなり、構
造一体性パラメーターが15〜45%のポリエステル高配向
未延伸繊維を、ガラス転移温度より25℃以上高い温度で
熱延伸した後、融点より25〜90℃低い温度で熱処理する
という条件で延伸処理して製造されたものを用いるのが
好ましい。一方、ポリエーテルエステル弾性繊維よりな
るB糸条を準備する。そして、添糸編によってA糸条を
編目の外側に位置せしめ、B糸条を該編目の内側に位置
せしめるようにして製編する。製編した編地に染色加工
を施して、その際、熱処理を施す。
を提供する。 【構成】 熱伸長性ポリエステル系繊維よりなるA糸条
を準備する熱伸長性ポリエステル系繊維としては、主た
る繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなり、構
造一体性パラメーターが15〜45%のポリエステル高配向
未延伸繊維を、ガラス転移温度より25℃以上高い温度で
熱延伸した後、融点より25〜90℃低い温度で熱処理する
という条件で延伸処理して製造されたものを用いるのが
好ましい。一方、ポリエーテルエステル弾性繊維よりな
るB糸条を準備する。そして、添糸編によってA糸条を
編目の外側に位置せしめ、B糸条を該編目の内側に位置
せしめるようにして製編する。製編した編地に染色加工
を施して、その際、熱処理を施す。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衣料用あるいは衣料資
材用として好適に使用しうる高伸縮性編地の製造方法に
関し、特に表面が柔らかい風合を有する高伸縮性編地の
製造方法に関するものである。
材用として好適に使用しうる高伸縮性編地の製造方法に
関し、特に表面が柔らかい風合を有する高伸縮性編地の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、高伸縮性編地の製造方法とし
ては、弾性繊維よりなる糸条を製編する方法が採用され
ている。そして、弾性繊維としては、例えばポリエーテ
ルエステル弾性繊維が使用されている。しかしながら、
弾性繊維よりなる糸条はその感触が硬く、したがってこ
の糸条を用いて得られる高伸縮性編地表面の風合が悪い
という欠点があった。このため、弾性繊維よりなる糸条
に、一般に使用されている合成繊維を混繊し、得られる
高伸縮性編地表面の風合を向上させることが行われてい
る。
ては、弾性繊維よりなる糸条を製編する方法が採用され
ている。そして、弾性繊維としては、例えばポリエーテ
ルエステル弾性繊維が使用されている。しかしながら、
弾性繊維よりなる糸条はその感触が硬く、したがってこ
の糸条を用いて得られる高伸縮性編地表面の風合が悪い
という欠点があった。このため、弾性繊維よりなる糸条
に、一般に使用されている合成繊維を混繊し、得られる
高伸縮性編地表面の風合を向上させることが行われてい
る。
【0003】しかしながら、一般に使用されている合成
繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維)を混
繊した糸条を使用すると、得られる編地の伸縮性が低下
するこということがあった。この理由は、一般に使用さ
れている合成繊維が、熱収縮性であるためと考えられ
る。即ち、このような混繊糸条を用いて製編した後、一
般には染色加工が施されるわけであるが、この際、同時
に編地に熱が付与され、一般に使用されている合成繊維
は収縮する。一方、弾性繊維は、合成繊維に比べて収縮
しにくいため、混繊糸条中において弾性繊維が弛むこと
になる。従って、この弾性繊維の弛みによって、得られ
る編地の伸縮性が低下すると考えられるのである。
繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維)を混
繊した糸条を使用すると、得られる編地の伸縮性が低下
するこということがあった。この理由は、一般に使用さ
れている合成繊維が、熱収縮性であるためと考えられ
る。即ち、このような混繊糸条を用いて製編した後、一
般には染色加工が施されるわけであるが、この際、同時
に編地に熱が付与され、一般に使用されている合成繊維
は収縮する。一方、弾性繊維は、合成繊維に比べて収縮
しにくいため、混繊糸条中において弾性繊維が弛むこと
になる。従って、この弾性繊維の弛みによって、得られ
る編地の伸縮性が低下すると考えられるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、弾性繊維と混
繊する繊維として、一般に使用されている熱収縮性の合
成繊維ではなく、熱伸長性という特殊な性質をもつ合成
繊維を使用すればよいと考えられる。本発明者等は、こ
のような発想の下に、弾性繊維と熱伸長性繊維とを混繊
した糸条を用いて、編地を製編し、高伸縮性編地を得よ
うとした。しかしながら、このようにしても、十分満足
のゆく伸縮性を実現することができなかった。この理由
は、編地に染色加工を施すと、混繊糸条に熱が付与され
て熱伸長性繊維が伸長し、その結果混繊糸条中の弾性繊
維が引っ張られて、引きつれてしまうからであると考え
られるのである。即ち、弾性繊維が引きつれると、弾性
繊維の伸びが少なくなり、高伸縮性を実現できなくなっ
てしまうのである。
繊する繊維として、一般に使用されている熱収縮性の合
成繊維ではなく、熱伸長性という特殊な性質をもつ合成
繊維を使用すればよいと考えられる。本発明者等は、こ
のような発想の下に、弾性繊維と熱伸長性繊維とを混繊
した糸条を用いて、編地を製編し、高伸縮性編地を得よ
うとした。しかしながら、このようにしても、十分満足
のゆく伸縮性を実現することができなかった。この理由
は、編地に染色加工を施すと、混繊糸条に熱が付与され
て熱伸長性繊維が伸長し、その結果混繊糸条中の弾性繊
維が引っ張られて、引きつれてしまうからであると考え
られるのである。即ち、弾性繊維が引きつれると、弾性
繊維の伸びが少なくなり、高伸縮性を実現できなくなっ
てしまうのである。
【0005】そこで、本発明は、弾性繊維と熱伸長性繊
維との混繊糸条を使用せず、弾性繊維と熱伸長性繊維と
を独立した糸条にして使用し、且つ特殊な製編方法で編
地を得ることによって、高伸縮性を阻害せずに、表面の
風合が良好な編地を得ようというものである。
維との混繊糸条を使用せず、弾性繊維と熱伸長性繊維と
を独立した糸条にして使用し、且つ特殊な製編方法で編
地を得ることによって、高伸縮性を阻害せずに、表面の
風合が良好な編地を得ようというものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、熱伸長
性ポリエステル系繊維よりなる糸条(以下、「A糸条」
という。)と、ポリエーテルエステル弾性繊維よりなる
糸条(以下、「B糸条」という。)とを用い、添糸編に
よってA糸条を編目の外側に位置せしめ、B糸条を該編
目の内側に位置せしめるようにして製編し、その後、熱
処理を施すことを特徴とする高伸縮性編地の製造方法に
関するものである。
性ポリエステル系繊維よりなる糸条(以下、「A糸条」
という。)と、ポリエーテルエステル弾性繊維よりなる
糸条(以下、「B糸条」という。)とを用い、添糸編に
よってA糸条を編目の外側に位置せしめ、B糸条を該編
目の内側に位置せしめるようにして製編し、その後、熱
処理を施すことを特徴とする高伸縮性編地の製造方法に
関するものである。
【0007】本発明で用いるA糸条は、熱を与えると伸
長する熱伸長性ポリエステル系繊維よりなる糸条であ
る。A糸条としては、マルチフィラメント糸条や紡績糸
条等が使用される。A糸条を構成する熱伸長性ポリエス
テル系繊維の単糸繊度は、所望のものを採用すればよい
が、一般的にはポリエーテルエステル弾性繊維の単糸繊
度よりも小さいものが採用される。これは、なるべく繊
度の小さいものを採用することによって、編地表面の風
合向上を図るためである。熱伸長性ポリエステル系繊維
は、熱を与えると伸長するものであるため、その熱水収
縮率は負の値を持つものである。本発明において使用す
る熱伸長性ポリエステル系繊維の熱水収縮率は、−0.5
〜−10程度であるのが好ましい。なお、熱水収縮率の測
定方法は、以下のとおりである。即ち、即ち、繊維の一
旦を固定し、他端に1/30(g/d)の初荷重を与え、正しく5
00mmを計って2点に印を付ける。この後、初荷重をとっ
て沸騰水中に30分間浸漬した後、取り出して軽く吸取紙
又は布で水を切り、水平状態で自然乾燥する。その後、
再び初荷重を掛けて前記2点間の長さlmmを図る。以上
のlmmの測定を各10回行い、そして式〔(500−l)/5
00〕×100で収縮率を算出し、その平均値を熱水収縮率
(%)とする。
長する熱伸長性ポリエステル系繊維よりなる糸条であ
る。A糸条としては、マルチフィラメント糸条や紡績糸
条等が使用される。A糸条を構成する熱伸長性ポリエス
テル系繊維の単糸繊度は、所望のものを採用すればよい
が、一般的にはポリエーテルエステル弾性繊維の単糸繊
度よりも小さいものが採用される。これは、なるべく繊
度の小さいものを採用することによって、編地表面の風
合向上を図るためである。熱伸長性ポリエステル系繊維
は、熱を与えると伸長するものであるため、その熱水収
縮率は負の値を持つものである。本発明において使用す
る熱伸長性ポリエステル系繊維の熱水収縮率は、−0.5
〜−10程度であるのが好ましい。なお、熱水収縮率の測
定方法は、以下のとおりである。即ち、即ち、繊維の一
旦を固定し、他端に1/30(g/d)の初荷重を与え、正しく5
00mmを計って2点に印を付ける。この後、初荷重をとっ
て沸騰水中に30分間浸漬した後、取り出して軽く吸取紙
又は布で水を切り、水平状態で自然乾燥する。その後、
再び初荷重を掛けて前記2点間の長さlmmを図る。以上
のlmmの測定を各10回行い、そして式〔(500−l)/5
00〕×100で収縮率を算出し、その平均値を熱水収縮率
(%)とする。
【0008】前述した熱伸長性ポリエステル系繊維の代
表的な製造例は、以下に示すとおりである。原料として
は、主たる繰り返し単位をエチレンテレフタレートとし
たポリエステルが用いられる。即ち、エチレングリコー
ルとテレフタル酸とを縮合させたポリエステルが用いら
れるのであるが、少量の1,4-ブタンジオール,1,6-ヘキ
サンジオール等のジオール成分、アジピン酸,セバシン
酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、ビスフェノールA等の
芳香族ジオール成分、イソフタル酸等の芳香族ジカルボ
ン酸成分等を共重合させても差し支えない。また、ポリ
エステル中に、安定剤,蛍光剤,顔料,強化剤等を添加
共存させてもよい。
表的な製造例は、以下に示すとおりである。原料として
は、主たる繰り返し単位をエチレンテレフタレートとし
たポリエステルが用いられる。即ち、エチレングリコー
ルとテレフタル酸とを縮合させたポリエステルが用いら
れるのであるが、少量の1,4-ブタンジオール,1,6-ヘキ
サンジオール等のジオール成分、アジピン酸,セバシン
酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、ビスフェノールA等の
芳香族ジオール成分、イソフタル酸等の芳香族ジカルボ
ン酸成分等を共重合させても差し支えない。また、ポリ
エステル中に、安定剤,蛍光剤,顔料,強化剤等を添加
共存させてもよい。
【0009】原料であるポリエステルを溶融紡糸して、
まずポリエステル系未延伸繊維を得る。この際、構造一
体性パラメーター(ε0.2)が15〜45%となるようにす
るのが好ましい。特に、構造一体性パラメーター(ε
0.2)は20〜40%であるのが、最も好ましい。本発明で
言う構造一体性パラメーターとは、繊維の結晶化度と配
向度を総合的に決定するものであり、その値が大きいほ
ど低結晶化度で低配向度の繊維となるものである。構造
一体性パラメーターが15%未満であると、高結晶化度で
高配向度の繊維となり、後の延伸工程等で熱処理が施さ
れた場合、繊維の構造(高分子の配列等)を変化させる
ことが困難になって、所望の延伸が行いにくくなる傾向
が生じる。逆に、構造一体性パラメーターが45%を超え
ると、低結晶化度で低配向度の繊維となり、後の延伸工
程等で熱処理が施された場合、繊維自体が脆くなる傾向
が生じやすくなり、また延伸が過大になる傾向が生じ
る。なお、構造パラメーター(ε0.2)の測定方法は、
以下のとおりである。即ち、東洋紡エンジニアリング社
製εメーターを使用し、測定温度99℃,試料長20cm,処
理時間2分にて、沸水中で試料に0.2g/デニールの荷重
をかけて測定した。そして、処理後の試料長L1を測
り、ε0.2=[(L1−L0)/L0]×100なる式で算出
する[ここで、L0は処理前の試料長(20cm)であ
る。]。
まずポリエステル系未延伸繊維を得る。この際、構造一
体性パラメーター(ε0.2)が15〜45%となるようにす
るのが好ましい。特に、構造一体性パラメーター(ε
0.2)は20〜40%であるのが、最も好ましい。本発明で
言う構造一体性パラメーターとは、繊維の結晶化度と配
向度を総合的に決定するものであり、その値が大きいほ
ど低結晶化度で低配向度の繊維となるものである。構造
一体性パラメーターが15%未満であると、高結晶化度で
高配向度の繊維となり、後の延伸工程等で熱処理が施さ
れた場合、繊維の構造(高分子の配列等)を変化させる
ことが困難になって、所望の延伸が行いにくくなる傾向
が生じる。逆に、構造一体性パラメーターが45%を超え
ると、低結晶化度で低配向度の繊維となり、後の延伸工
程等で熱処理が施された場合、繊維自体が脆くなる傾向
が生じやすくなり、また延伸が過大になる傾向が生じ
る。なお、構造パラメーター(ε0.2)の測定方法は、
以下のとおりである。即ち、東洋紡エンジニアリング社
製εメーターを使用し、測定温度99℃,試料長20cm,処
理時間2分にて、沸水中で試料に0.2g/デニールの荷重
をかけて測定した。そして、処理後の試料長L1を測
り、ε0.2=[(L1−L0)/L0]×100なる式で算出
する[ここで、L0は処理前の試料長(20cm)であ
る。]。
【0010】構造パラメーターを上記した一定の範囲内
にする方法としては、紡糸速度を変更する方法、原料ポ
リエステルの溶融粘度を変える方法、未延伸繊維を熱処
理する方法等があるが、紡糸速度を変える方法が最も一
般的である。通常の衣料用ポリエステル繊維を得る際に
用いられる原料ポリエステルの場合、紡糸速度をおおよ
そ2500〜4500m/分とすることによって得られる。
にする方法としては、紡糸速度を変更する方法、原料ポ
リエステルの溶融粘度を変える方法、未延伸繊維を熱処
理する方法等があるが、紡糸速度を変える方法が最も一
般的である。通常の衣料用ポリエステル繊維を得る際に
用いられる原料ポリエステルの場合、紡糸速度をおおよ
そ2500〜4500m/分とすることによって得られる。
【0011】以上のようにして得られた、構造一体性パ
ラメーターが15〜45%のポリエステル高配向未延伸繊維
に、熱延伸を施す。熱延伸の方法は、通常の延伸機を用
いればよく、その時の加熱ローラーの温度は、ポリエス
テル高配向未延伸繊維のガラス転移温度よりも25℃以上
高くするのが好ましい。この温度よりも低いと、延伸時
において、未延伸繊維中の分子流動が十分に進行せず、
安定な繊維とならず、所望の熱伸長性ポリエステル系繊
維が得られにくくなる傾向が生じる。その後、熱延伸し
たポリエステル系繊維の融点より25〜90℃低い温度で、
熱処理するのが好ましい。この熱処理は、一般的に接触
式熱処理ヒーターを使用して行われる。ポリエステル系
繊維の融点より25℃低い温度を超える高い温度で熱処理
を施すと、ポリエステル系繊維が軟化あるいは溶融する
恐れがあり、実質的に捲取りが不可能になる。逆に、融
点より90℃低い温度よりも低い温度で熱処理を施すと、
熱処理の効果を望めず、熱伸長性ポリエステル系繊維が
得られにくくなる傾向が生じる。なお、ポリエステル高
配向未延伸繊維ガラス転移温度及びポリエステル系繊維
の融点は、パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC-2
型にて、昇温速度10℃/分で測定したものである。
ラメーターが15〜45%のポリエステル高配向未延伸繊維
に、熱延伸を施す。熱延伸の方法は、通常の延伸機を用
いればよく、その時の加熱ローラーの温度は、ポリエス
テル高配向未延伸繊維のガラス転移温度よりも25℃以上
高くするのが好ましい。この温度よりも低いと、延伸時
において、未延伸繊維中の分子流動が十分に進行せず、
安定な繊維とならず、所望の熱伸長性ポリエステル系繊
維が得られにくくなる傾向が生じる。その後、熱延伸し
たポリエステル系繊維の融点より25〜90℃低い温度で、
熱処理するのが好ましい。この熱処理は、一般的に接触
式熱処理ヒーターを使用して行われる。ポリエステル系
繊維の融点より25℃低い温度を超える高い温度で熱処理
を施すと、ポリエステル系繊維が軟化あるいは溶融する
恐れがあり、実質的に捲取りが不可能になる。逆に、融
点より90℃低い温度よりも低い温度で熱処理を施すと、
熱処理の効果を望めず、熱伸長性ポリエステル系繊維が
得られにくくなる傾向が生じる。なお、ポリエステル高
配向未延伸繊維ガラス転移温度及びポリエステル系繊維
の融点は、パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC-2
型にて、昇温速度10℃/分で測定したものである。
【0012】本発明で用いるB糸条は、ポリエーテルエ
ステル弾性繊維よりなる糸条である。このB糸条として
も、マルチフィラメント糸条等が使用される。
ステル弾性繊維よりなる糸条である。このB糸条として
も、マルチフィラメント糸条等が使用される。
【0013】B糸条を構成するポリエーテルエステル弾
性繊維は、ポリエーテルとポリエステルとのブロック共
重合体を溶融紡糸して得られるものである。このポリエ
ーテルエステル弾性繊維が、高伸縮性を持っている理由
は、ブロック共重合体中において、ポリエーテルがソフ
トセグメントとなっており、ポリエステルがハードセグ
メントとなっているため、この両セグメントによって高
伸縮性が発揮されるのである。ここで、ポリエステルと
しては、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリブチ
レンテレフタレートが使用され、又はこれらを主体とす
るポリエステルが使用される。また、ポリエーテルとし
ては、ポリエチレングリコール若しくはポリテトラメチ
レングリコール等の直鎖状ポリアルキレングリコール、
又はこれらを主体とするものが使用される。特に、高伸
縮性及び耐光性を得るためには、ポリテトラメチレング
リコールを用いるのが最も好ましい。ポリエーテルの重
量平均分子量は、500〜5000であるのが好ましい。ポリ
エーテルの分子量が500より少ないと、ポリエーテルエ
ステル弾性繊維の伸縮性や耐光性が低下する傾向が生じ
る。逆に、ポリエーテルの分子量が5000を超えると、ハ
ードセグメントであるポリエステルとのブロック共重合
時において相溶性が低下し、得られるポリエーテルエス
テル弾性繊維の均質性が低下し、ひいては伸縮性が低下
する傾向が生じる。また、ブロック共重合体中におけ
る、ポリエーテルとポリエステルとの重量比は、ポリエ
ーテル/ポリエステル=0.65〜4.0/1が好ましい。ポリ
エーテルのポリエステルに対する重量比が0.65よりも少
なくなると、得られるポリエーテルエステル弾性繊維の
伸縮性が低下する傾向が生じる。逆に、ポリエーテルの
重量比が4.0を超えると、ブロック共重合体の融点降下
が大きくなって、ポリエーテルエステル弾性繊維の熱的
特性が低下し、染色加工時若しくは熱処理時等において
ポリエーテルエステル繊維が脆化若しくは変質する傾向
が生じる。なお、ポリエーテルとポリエステルとのブロ
ック共重合体には、染色性等を改良するために、少量な
らば更に他の成分が共重合されていてもよい。他の成分
が共重合されると、ハードセグメントであるポリエステ
ルによる結晶構造が乱れ、伸縮性を発現するための固定
点が消失し、伸縮性に悪影響を及ぼす恐れがあるため、
他の成分の共重合量は5モル%以下にするのが好まし
い。
性繊維は、ポリエーテルとポリエステルとのブロック共
重合体を溶融紡糸して得られるものである。このポリエ
ーテルエステル弾性繊維が、高伸縮性を持っている理由
は、ブロック共重合体中において、ポリエーテルがソフ
トセグメントとなっており、ポリエステルがハードセグ
メントとなっているため、この両セグメントによって高
伸縮性が発揮されるのである。ここで、ポリエステルと
しては、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリブチ
レンテレフタレートが使用され、又はこれらを主体とす
るポリエステルが使用される。また、ポリエーテルとし
ては、ポリエチレングリコール若しくはポリテトラメチ
レングリコール等の直鎖状ポリアルキレングリコール、
又はこれらを主体とするものが使用される。特に、高伸
縮性及び耐光性を得るためには、ポリテトラメチレング
リコールを用いるのが最も好ましい。ポリエーテルの重
量平均分子量は、500〜5000であるのが好ましい。ポリ
エーテルの分子量が500より少ないと、ポリエーテルエ
ステル弾性繊維の伸縮性や耐光性が低下する傾向が生じ
る。逆に、ポリエーテルの分子量が5000を超えると、ハ
ードセグメントであるポリエステルとのブロック共重合
時において相溶性が低下し、得られるポリエーテルエス
テル弾性繊維の均質性が低下し、ひいては伸縮性が低下
する傾向が生じる。また、ブロック共重合体中におけ
る、ポリエーテルとポリエステルとの重量比は、ポリエ
ーテル/ポリエステル=0.65〜4.0/1が好ましい。ポリ
エーテルのポリエステルに対する重量比が0.65よりも少
なくなると、得られるポリエーテルエステル弾性繊維の
伸縮性が低下する傾向が生じる。逆に、ポリエーテルの
重量比が4.0を超えると、ブロック共重合体の融点降下
が大きくなって、ポリエーテルエステル弾性繊維の熱的
特性が低下し、染色加工時若しくは熱処理時等において
ポリエーテルエステル繊維が脆化若しくは変質する傾向
が生じる。なお、ポリエーテルとポリエステルとのブロ
ック共重合体には、染色性等を改良するために、少量な
らば更に他の成分が共重合されていてもよい。他の成分
が共重合されると、ハードセグメントであるポリエステ
ルによる結晶構造が乱れ、伸縮性を発現するための固定
点が消失し、伸縮性に悪影響を及ぼす恐れがあるため、
他の成分の共重合量は5モル%以下にするのが好まし
い。
【0014】上記で説明したポリエーテルエステル弾性
繊維の具体的な製造方法としては、例えば、以下の如き
方法が挙げられる。まず、エステル化反応器にテレフタ
ル酸ジメチルと1,4-ブタンジオールとを、モル比1/1.6
で仕込み、常圧下で160〜230℃の温度で2〜5時間エステ
ル交換反応を行なって、ポリエステルを得る。得られた
ポリエステルを重合缶に移送し、必要量のポリテトラメ
チレングリコールを添加し、次いで230〜260℃の温度で
1Torr以下の減圧下で所定の極限粘度に達するまで、一
般に1〜5時間重縮合反応を行ない、ポリエステルとポリ
エーテルとのブロック共重合体を得る。重縮合反応は、
一般に重縮合触媒の存在下で行なわれる。重縮合触媒と
しては、チタン化合物,アンチモン化合物,錫化合物,
カルシウム化合物、マンガン化合物,ゲルマニウム化合
物等が用いられる。特に、好ましい重縮合触媒は、チタ
ン化合物及びアンチモン化合物である。また、ポリエー
テルエステル製造時において、必要に応じて、各種安定
剤や顔料等を添加してもよい。以上のようにして得られ
たブロック共重合体を溶融紡糸し、延伸若しくは延伸及
び熱処理して、ポリエーテルエステル弾性繊維を得る。
なお、延伸及び熱処理を施すに際し、延伸後、連続して
弛緩熱処理を行なえば、更に優れた性能を有するポリエ
ーテルエステル弾性繊維を製造することができる。
繊維の具体的な製造方法としては、例えば、以下の如き
方法が挙げられる。まず、エステル化反応器にテレフタ
ル酸ジメチルと1,4-ブタンジオールとを、モル比1/1.6
で仕込み、常圧下で160〜230℃の温度で2〜5時間エステ
ル交換反応を行なって、ポリエステルを得る。得られた
ポリエステルを重合缶に移送し、必要量のポリテトラメ
チレングリコールを添加し、次いで230〜260℃の温度で
1Torr以下の減圧下で所定の極限粘度に達するまで、一
般に1〜5時間重縮合反応を行ない、ポリエステルとポリ
エーテルとのブロック共重合体を得る。重縮合反応は、
一般に重縮合触媒の存在下で行なわれる。重縮合触媒と
しては、チタン化合物,アンチモン化合物,錫化合物,
カルシウム化合物、マンガン化合物,ゲルマニウム化合
物等が用いられる。特に、好ましい重縮合触媒は、チタ
ン化合物及びアンチモン化合物である。また、ポリエー
テルエステル製造時において、必要に応じて、各種安定
剤や顔料等を添加してもよい。以上のようにして得られ
たブロック共重合体を溶融紡糸し、延伸若しくは延伸及
び熱処理して、ポリエーテルエステル弾性繊維を得る。
なお、延伸及び熱処理を施すに際し、延伸後、連続して
弛緩熱処理を行なえば、更に優れた性能を有するポリエ
ーテルエステル弾性繊維を製造することができる。
【0015】次に、前記したA糸条とB糸条とを用い、
A糸条が表側となり、B糸条が裏側(A糸条による編目
の内側)となるように添糸編で編成する。添糸編で編成
することにより、A糸条が均一に表面に配置され、B糸
条が均一に内側に配置されるのである。具体的に添糸編
で編成するには、編機の2穴給糸口にA糸条とB糸条と
を別個に規則正しく配列し、糸条の張力や編針に対する
糸条の入角度を均一にして行なう。添糸編の組織として
は、両面編と平編を組み合わせたモックロディー,モッ
クミラノリブ,ミラノリブ,ダブルピッケ,タックリバ
ーシブル等の組織を使用し、主に両面編部位にA糸条
を、平編部位にA糸条とB糸条を添糸編で給糸する。な
お、編地の表側を形成する平編部位において添糸編を行
う場合と、編地の裏側を形成する平編部位において添糸
編を行う場合とでは、糸条の給糸方法を変更する必要が
ある。即ち、図2を用いて説明すると、編地の表側の平
編部位で添糸編を行う場合には、図2の給糸口穴αにA
糸条を、給糸口穴βにB糸条を給糸する。逆に、編地の
裏側の平編部位で添糸編を行う場合には、給糸口穴αに
B糸条を、給糸口穴βにA糸条を給糸するのである。
A糸条が表側となり、B糸条が裏側(A糸条による編目
の内側)となるように添糸編で編成する。添糸編で編成
することにより、A糸条が均一に表面に配置され、B糸
条が均一に内側に配置されるのである。具体的に添糸編
で編成するには、編機の2穴給糸口にA糸条とB糸条と
を別個に規則正しく配列し、糸条の張力や編針に対する
糸条の入角度を均一にして行なう。添糸編の組織として
は、両面編と平編を組み合わせたモックロディー,モッ
クミラノリブ,ミラノリブ,ダブルピッケ,タックリバ
ーシブル等の組織を使用し、主に両面編部位にA糸条
を、平編部位にA糸条とB糸条を添糸編で給糸する。な
お、編地の表側を形成する平編部位において添糸編を行
う場合と、編地の裏側を形成する平編部位において添糸
編を行う場合とでは、糸条の給糸方法を変更する必要が
ある。即ち、図2を用いて説明すると、編地の表側の平
編部位で添糸編を行う場合には、図2の給糸口穴αにA
糸条を、給糸口穴βにB糸条を給糸する。逆に、編地の
裏側の平編部位で添糸編を行う場合には、給糸口穴αに
B糸条を、給糸口穴βにA糸条を給糸するのである。
【0016】本発明の如く添糸編で編成せずに、A糸条
とB糸条とを単に引き揃えて編成した場合には、反転現
象が生じ、A糸条が均一に表面に配置されにくくなるの
で、好ましくない。また、B糸条を単独に用いて、両タ
ック編で編地の表裏を結節する部分に使用して、編地の
内側に編込む方法、あるいはインレイ方式により編地の
中に挿入する方法等によって、B糸条が編地の表面に現
われない方法を採用することも考えられるが、いずれの
場合も添糸編を採用した場合に比較して、B糸条が編地
の表面に飛び出しやすいものである。
とB糸条とを単に引き揃えて編成した場合には、反転現
象が生じ、A糸条が均一に表面に配置されにくくなるの
で、好ましくない。また、B糸条を単独に用いて、両タ
ック編で編地の表裏を結節する部分に使用して、編地の
内側に編込む方法、あるいはインレイ方式により編地の
中に挿入する方法等によって、B糸条が編地の表面に現
われない方法を採用することも考えられるが、いずれの
場合も添糸編を採用した場合に比較して、B糸条が編地
の表面に飛び出しやすいものである。
【0017】前述した方法で得られた編地には、多くの
場合、従来公知の染色加工が施される。この染色加工の
際、編地は高温下に置かれるため、熱処理されたことな
って、A糸条は伸長する。編地の表面を形成しているA
糸条の伸長によって、得られる編地表面には柔軟な風合
が実現される。一方、編地の内側を形成しているB糸条
は、得られる編地には高伸縮性を与えるのである。な
お、編地の熱処理は、染色加工時において編地が高温下
に置かれるのを利用することによって行ってもよいし、
染色加工とは別個に特別に加熱して行ってもよい。
場合、従来公知の染色加工が施される。この染色加工の
際、編地は高温下に置かれるため、熱処理されたことな
って、A糸条は伸長する。編地の表面を形成しているA
糸条の伸長によって、得られる編地表面には柔軟な風合
が実現される。一方、編地の内側を形成しているB糸条
は、得られる編地には高伸縮性を与えるのである。な
お、編地の熱処理は、染色加工時において編地が高温下
に置かれるのを利用することによって行ってもよいし、
染色加工とは別個に特別に加熱して行ってもよい。
【0018】以上のようにして、表面が柔軟な風合を示
し、且つ高伸縮性の編地を得ることができるのである。
以下、更に詳細に、実施例に基づいて説明する。
し、且つ高伸縮性の編地を得ることができるのである。
以下、更に詳細に、実施例に基づいて説明する。
【実施例】実施例 まず、以下に示した方法によってA糸条を得た。即ち、
[η]0.70,ガラス転移温度71℃,融点256℃のポリエ
チレンテレフタレートを、紡糸温度295℃,紡糸速度350
0m/分の条件で通常の紡糸装置を使用して溶融紡糸
し、80デニール/36フィラメントの高配向未延伸繊維か
らなる未延伸糸条を得た。この高配向未延伸繊維の構造
一体性パラメーター(ε0.2)は、31%であった。次い
で、この未延伸糸条を、延伸倍率0.94(94%),リラッ
クス率6.0%,加熱ローラーの温度110℃,熱処理ヒータ
ー温度200℃,延伸速度300m/分の条件で、熱延伸及び
熱処理を行って、熱伸長性ポリエステル系繊維よりなる
41デニール/36フィラメントのマルチフィラメント糸条
を得た。この熱伸長性ポリエステル系繊維の熱水収縮率
は−1.5%であった。また、乾熱で160℃における収縮率
は−4.0%であった。
[η]0.70,ガラス転移温度71℃,融点256℃のポリエ
チレンテレフタレートを、紡糸温度295℃,紡糸速度350
0m/分の条件で通常の紡糸装置を使用して溶融紡糸
し、80デニール/36フィラメントの高配向未延伸繊維か
らなる未延伸糸条を得た。この高配向未延伸繊維の構造
一体性パラメーター(ε0.2)は、31%であった。次い
で、この未延伸糸条を、延伸倍率0.94(94%),リラッ
クス率6.0%,加熱ローラーの温度110℃,熱処理ヒータ
ー温度200℃,延伸速度300m/分の条件で、熱延伸及び
熱処理を行って、熱伸長性ポリエステル系繊維よりなる
41デニール/36フィラメントのマルチフィラメント糸条
を得た。この熱伸長性ポリエステル系繊維の熱水収縮率
は−1.5%であった。また、乾熱で160℃における収縮率
は−4.0%であった。
【0019】なお、ここで用いたポリエチレンテレフタ
レートの極限粘度,ガラス転移温度,融点及び乾熱で16
0℃における伸長性ポリエステル系繊維の収縮率は、以
下に示す方法で測定したものである。 [極限粘度]:フェノールと四塩化エタンとの等重量混
合物を溶媒として、温度20℃で測定した。 [ガラス転移温度及び融点]:パーキンエルマー社製示
差走査熱量計DSC-2型にて昇温速度10℃/分にて測定し
た。 [乾熱160℃における収縮率]:試料を無荷重状態で160
℃のオーブン中に15分間保持し、処理前後の長さを測定
して、熱水収縮率の場合と同様にして算出した。
レートの極限粘度,ガラス転移温度,融点及び乾熱で16
0℃における伸長性ポリエステル系繊維の収縮率は、以
下に示す方法で測定したものである。 [極限粘度]:フェノールと四塩化エタンとの等重量混
合物を溶媒として、温度20℃で測定した。 [ガラス転移温度及び融点]:パーキンエルマー社製示
差走査熱量計DSC-2型にて昇温速度10℃/分にて測定し
た。 [乾熱160℃における収縮率]:試料を無荷重状態で160
℃のオーブン中に15分間保持し、処理前後の長さを測定
して、熱水収縮率の場合と同様にして算出した。
【0020】次に、以下に示した方法によってB糸条を
得た。即ち、エステル化反応器にテレフタル酸ジメチル
19.4kg及び1,4-ブタンジオール9.0kgを仕込んで、テト
ラブチルチタネート10gを触媒として、常圧下210℃で2
時間30分エステル交換反応を行なった。得られたポリブ
チレンテレフタレートを重合缶に移送し、ポリテトラメ
チレングリコール(重量平均分子量2000)33kgと酸化防
止剤(チバガイギー社製、イルガノックス1010)50gを
添加し、250℃の温度で3時間、減圧下で重縮合反応を行
なった。このようにして得られたポリエステルとポリエ
ーテルのブロック共重合体の極限粘度[η]は2.25であ
った。このブロック共重合体を減圧乾燥後、溶融紡糸機
で紡糸温度230℃及び吐出量40g/分で溶融紡糸した
後、紡出糸条にシリコーン系油剤をローラ給油方式で付
着させ、1000m/分の速度で引き取り、未延伸糸を巻き
取った。次に、この未延伸糸を延伸熱処理機に導入し、
延伸速度200m/分,延伸倍率は延伸域で2.50倍及び弛
緩熱処理域で0.70倍,熱処理板温度140℃,巻き取り張
力1gの条件でポリエーテルエステル弾性繊維よりなる
B糸条を得た。このB糸条は、50デニール/3フィラメ
ントであり、弾性回復率は96%であった。また、このポ
リエーテルエステル繊維の熱水収縮率は、10%であっ
た。
得た。即ち、エステル化反応器にテレフタル酸ジメチル
19.4kg及び1,4-ブタンジオール9.0kgを仕込んで、テト
ラブチルチタネート10gを触媒として、常圧下210℃で2
時間30分エステル交換反応を行なった。得られたポリブ
チレンテレフタレートを重合缶に移送し、ポリテトラメ
チレングリコール(重量平均分子量2000)33kgと酸化防
止剤(チバガイギー社製、イルガノックス1010)50gを
添加し、250℃の温度で3時間、減圧下で重縮合反応を行
なった。このようにして得られたポリエステルとポリエ
ーテルのブロック共重合体の極限粘度[η]は2.25であ
った。このブロック共重合体を減圧乾燥後、溶融紡糸機
で紡糸温度230℃及び吐出量40g/分で溶融紡糸した
後、紡出糸条にシリコーン系油剤をローラ給油方式で付
着させ、1000m/分の速度で引き取り、未延伸糸を巻き
取った。次に、この未延伸糸を延伸熱処理機に導入し、
延伸速度200m/分,延伸倍率は延伸域で2.50倍及び弛
緩熱処理域で0.70倍,熱処理板温度140℃,巻き取り張
力1gの条件でポリエーテルエステル弾性繊維よりなる
B糸条を得た。このB糸条は、50デニール/3フィラメ
ントであり、弾性回復率は96%であった。また、このポ
リエーテルエステル繊維の熱水収縮率は、10%であっ
た。
【0021】なお、ポリエーテルエステル弾性繊維より
なるB糸条の弾性回復率は、以下のようにして測定した
ものである。 [弾性回復率]:オリエンティック社製テンシロンUTM-
4-100型を用い、長さ10cmの弾性糸条を引張速度10cm/
分で100%伸長する。伸長した後、同速度で弾性糸条を
元の長さに戻す。そして、再度伸長し、応力が観測され
た時点における弾性糸条の伸びの長さを求め、次式によ
って弾性回復率を求めた。なお、この弾性回復率は、10
回測定した平均値を示している。弾性回復率=[(E0
−E1)/E0]×100である。但し、E0は弾性糸条を10
0%延ばしたときの伸びの長さであり、弾性糸条が10cm
の場合には10となる。また、E1は再度伸長した際、応
力が観測された時点における弾性糸条の伸びの長さであ
る。
なるB糸条の弾性回復率は、以下のようにして測定した
ものである。 [弾性回復率]:オリエンティック社製テンシロンUTM-
4-100型を用い、長さ10cmの弾性糸条を引張速度10cm/
分で100%伸長する。伸長した後、同速度で弾性糸条を
元の長さに戻す。そして、再度伸長し、応力が観測され
た時点における弾性糸条の伸びの長さを求め、次式によ
って弾性回復率を求めた。なお、この弾性回復率は、10
回測定した平均値を示している。弾性回復率=[(E0
−E1)/E0]×100である。但し、E0は弾性糸条を10
0%延ばしたときの伸びの長さであり、弾性糸条が10cm
の場合には10となる。また、E1は再度伸長した際、応
力が観測された時点における弾性糸条の伸びの長さであ
る。
【0022】前記のA糸条とB糸条を用いて、図1に示
す編組織で製編した。図1に示した編組織図は、8給糸
口が1リピートとして繰り返され、編地表面が無地調で
裏面が凹凸のある鹿の子調となる。図1中、(ac)及び(b
c)は、各々バット位置が異なる二種のシリンダー針を示
し、(ad)及び(bd)は、各々バット位置が異なる二種のダ
イヤル針を示す。そして、A糸条を実線で示し、B糸条
を点線で示した。図2は、添糸編に用いる給糸口の概略
図であり、α及びβは、各々給糸口穴を示している。本
実施例では、給糸口穴αにA糸条を給糸し、給糸口穴β
にB糸条を給糸した。
す編組織で製編した。図1に示した編組織図は、8給糸
口が1リピートとして繰り返され、編地表面が無地調で
裏面が凹凸のある鹿の子調となる。図1中、(ac)及び(b
c)は、各々バット位置が異なる二種のシリンダー針を示
し、(ad)及び(bd)は、各々バット位置が異なる二種のダ
イヤル針を示す。そして、A糸条を実線で示し、B糸条
を点線で示した。図2は、添糸編に用いる給糸口の概略
図であり、α及びβは、各々給糸口穴を示している。本
実施例では、給糸口穴αにA糸条を給糸し、給糸口穴β
にB糸条を給糸した。
【0023】図1の編組織図におけるA糸条とB糸条の
給糸方法と製編方法を、更に詳細に説明すると、以下の
とおりである。即ち、第1給糸口(以下、給糸口のこと
を「F」と表現する。)でシリンダー(ac)針のタック編
及びダイヤル(ad),(bd)針のニット編によって、編地の
表裏を結節する。第3Fは第1Fと同仕様で、第5F及
び第7Fでは、シリンダー(bc)針のタック編及びダイヤ
ル(ad),(bd)針のニット編を行う。なお、前述の各給糸
口には、A糸条のみを給糸した。一方、第2F,第4
F,第6F及び第8Fにおいては、図2に示す給糸口を
用い、給糸口穴αにA糸条を給糸し、給糸口穴βにB糸
条を給糸し、シリンダー(ac)及び(bc)針でニット編を行
う。以上の編組織、給糸方法及び製編方法で、福原精機
製ダブルニット機LPJ-H 型を用い、釜径33",ゲージ28G
で編成した。
給糸方法と製編方法を、更に詳細に説明すると、以下の
とおりである。即ち、第1給糸口(以下、給糸口のこと
を「F」と表現する。)でシリンダー(ac)針のタック編
及びダイヤル(ad),(bd)針のニット編によって、編地の
表裏を結節する。第3Fは第1Fと同仕様で、第5F及
び第7Fでは、シリンダー(bc)針のタック編及びダイヤ
ル(ad),(bd)針のニット編を行う。なお、前述の各給糸
口には、A糸条のみを給糸した。一方、第2F,第4
F,第6F及び第8Fにおいては、図2に示す給糸口を
用い、給糸口穴αにA糸条を給糸し、給糸口穴βにB糸
条を給糸し、シリンダー(ac)及び(bc)針でニット編を行
う。以上の編組織、給糸方法及び製編方法で、福原精機
製ダブルニット機LPJ-H 型を用い、釜径33",ゲージ28G
で編成した。
【0024】このようにして得られた編地に、株式会社
日阪製作所製のサーキュラー液流染色機を用い、日華化
学株式会社製の界面活性剤「サンモールFL」を1g/
l含む水溶液で80℃で10分間の条件でリラックス精練を
施し、脱水,乾燥した。この後、下記組成の分散染料液
を使用し、株式会社日阪製作所製のサーキュラー液流染
色機を用いて、湿熱130℃で時間30分間の条件で染色加
工を施した。 記 ダイアニックスレッドU-SE(三菱化成株式会社製分散染料) 1.0%o.w.f. サンソルトRZ-8(日華化学株式会社製均染剤) 0.5g/l 酢酸(48%) 0.2cc/l
日阪製作所製のサーキュラー液流染色機を用い、日華化
学株式会社製の界面活性剤「サンモールFL」を1g/
l含む水溶液で80℃で10分間の条件でリラックス精練を
施し、脱水,乾燥した。この後、下記組成の分散染料液
を使用し、株式会社日阪製作所製のサーキュラー液流染
色機を用いて、湿熱130℃で時間30分間の条件で染色加
工を施した。 記 ダイアニックスレッドU-SE(三菱化成株式会社製分散染料) 1.0%o.w.f. サンソルトRZ-8(日華化学株式会社製均染剤) 0.5g/l 酢酸(48%) 0.2cc/l
【0025】染色加工を行った後、株式会社市金工業社
製のヒートセッターを用い、温度160℃で時間30秒間の
条件で仕上セットを兼ねて、熱処理を行った。以上のよ
うにして得られた、高伸縮性編地は巾が150cmで目付が3
90g/mであった。そして、編地の表裏全面がA糸条で
覆われたもので柔らかい風合を有し、さらに編地の伸長
率は、1.5kg荷重において経方向が120%,緯方向が130
%の優れた伸びのあるものであった。また、前述したよ
うに、編地の有効巾が広く軽量なる編地であった。な
お、編地の伸長率は、JIS L-1018の定速伸長法により測
定した。
製のヒートセッターを用い、温度160℃で時間30秒間の
条件で仕上セットを兼ねて、熱処理を行った。以上のよ
うにして得られた、高伸縮性編地は巾が150cmで目付が3
90g/mであった。そして、編地の表裏全面がA糸条で
覆われたもので柔らかい風合を有し、さらに編地の伸長
率は、1.5kg荷重において経方向が120%,緯方向が130
%の優れた伸びのあるものであった。また、前述したよ
うに、編地の有効巾が広く軽量なる編地であった。な
お、編地の伸長率は、JIS L-1018の定速伸長法により測
定した。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る高伸
縮性編地の製造方法は、熱伸長性ポリエステル系繊維と
ポリエーテルエステル弾性繊維とが混繊された糸条を使
用するのではなく、両繊維を別個の糸条として使用し、
製編するものであるから、編地に染色加工等を施すこと
によって、編地に熱処理が施されても、熱伸長性ポリエ
ステル系繊維の伸長によるポリエーテルエステル弾性繊
維の引きつれが起こりにくく、得られる編地の高伸縮性
が低下することを防止できる。また、本発明に係る製造
方法においては、添糸編によって、編目の外側に熱伸長
性ポリエステル系繊維よりなる糸条を配し、編目の内側
にポリエーテルエステル弾性繊維よりなる糸条を配した
ため、後者の糸条が編地の表面に現われにくく、熱伸長
性ポリエステル系繊維による良好な風合が実現できると
いう効果を奏する。更に、編目の内側に熱収縮しやすい
ポリエーテルエステル弾性繊維を配した場合には、この
効果の更なる向上を図ることができる。
縮性編地の製造方法は、熱伸長性ポリエステル系繊維と
ポリエーテルエステル弾性繊維とが混繊された糸条を使
用するのではなく、両繊維を別個の糸条として使用し、
製編するものであるから、編地に染色加工等を施すこと
によって、編地に熱処理が施されても、熱伸長性ポリエ
ステル系繊維の伸長によるポリエーテルエステル弾性繊
維の引きつれが起こりにくく、得られる編地の高伸縮性
が低下することを防止できる。また、本発明に係る製造
方法においては、添糸編によって、編目の外側に熱伸長
性ポリエステル系繊維よりなる糸条を配し、編目の内側
にポリエーテルエステル弾性繊維よりなる糸条を配した
ため、後者の糸条が編地の表面に現われにくく、熱伸長
性ポリエステル系繊維による良好な風合が実現できると
いう効果を奏する。更に、編目の内側に熱収縮しやすい
ポリエーテルエステル弾性繊維を配した場合には、この
効果の更なる向上を図ることができる。
【0027】また、本発明においては、編地の表面が熱
伸長性ポリエステル系繊維よりなる糸条で覆われた状態
となって、ポリエーテルエステル弾性繊維よりなる糸条
が表面に現われにくくなっているため、染色加工を施し
た場合には、両繊維共に分散染料で染色でき色相差も少
ないことと相俟って、イラツキ現象の少ない良好な色相
を有する高伸縮性編地が得られるという効果も奏する。
伸長性ポリエステル系繊維よりなる糸条で覆われた状態
となって、ポリエーテルエステル弾性繊維よりなる糸条
が表面に現われにくくなっているため、染色加工を施し
た場合には、両繊維共に分散染料で染色でき色相差も少
ないことと相俟って、イラツキ現象の少ない良好な色相
を有する高伸縮性編地が得られるという効果も奏する。
【図1】本発明に用いる編組織の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る編成において使用する給糸口の一
例を示した概略図である。
例を示した概略図である。
A A糸条 B B糸条
Claims (2)
- 【請求項1】 熱伸長性ポリエステル系繊維よりなる糸
条(以下、「A糸条」という。)と、ポリエーテルエス
テル弾性繊維よりなる糸条(以下、「B糸条」とい
う。)とを用い、添糸編によってA糸条を編目の外側に
位置せしめ、B糸条を該編目の内側に位置せしめるよう
にして製編し、その後、熱処理を施すことを特徴とする
高伸縮性編地の製造方法。 - 【請求項2】 熱伸長性ポリエステル系繊維は、主たる
繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなり、構造
一体性パラメーターが15〜45%のポリエステル高配向未
延伸繊維を、ガラス転移温度より25℃以上高い温度で熱
延伸した後、融点より25〜90℃低い温度で熱処理すると
いう条件で延伸処理して製造されたものを用いる請求項
1記載の高伸縮性編地の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35213893A JPH07207551A (ja) | 1993-12-31 | 1993-12-31 | 高伸縮性編地の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35213893A JPH07207551A (ja) | 1993-12-31 | 1993-12-31 | 高伸縮性編地の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07207551A true JPH07207551A (ja) | 1995-08-08 |
Family
ID=18422038
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35213893A Pending JPH07207551A (ja) | 1993-12-31 | 1993-12-31 | 高伸縮性編地の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07207551A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001044550A1 (en) * | 1999-12-16 | 2001-06-21 | Kolon Industries, Inc. | A warp knit having an excellent touch, and a process of preparing the same |
WO2002024995A1 (en) * | 2000-09-19 | 2002-03-28 | Kolon Industries, Inc. | A warp knit having an excellent touch, and a process of preparing the same |
WO2020158898A1 (ja) * | 2019-02-01 | 2020-08-06 | 旭化成株式会社 | 緯編地 |
EP3808883A4 (en) * | 2018-06-15 | 2022-03-30 | Jeongsan International Co., Ltd. | ENHANCED TRANSPARENCY FABRIC USING POLYESTER-ETHER BLOCK COPOLYMER YARN, AND METHOD OF MAKING IT |
-
1993
- 1993-12-31 JP JP35213893A patent/JPH07207551A/ja active Pending
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001044550A1 (en) * | 1999-12-16 | 2001-06-21 | Kolon Industries, Inc. | A warp knit having an excellent touch, and a process of preparing the same |
CN100398715C (zh) * | 1999-12-16 | 2008-07-02 | 株式会社可隆 | 手感优良的经编织物及其制造方法 |
WO2002024995A1 (en) * | 2000-09-19 | 2002-03-28 | Kolon Industries, Inc. | A warp knit having an excellent touch, and a process of preparing the same |
EP3808883A4 (en) * | 2018-06-15 | 2022-03-30 | Jeongsan International Co., Ltd. | ENHANCED TRANSPARENCY FABRIC USING POLYESTER-ETHER BLOCK COPOLYMER YARN, AND METHOD OF MAKING IT |
US11781266B2 (en) | 2018-06-15 | 2023-10-10 | Jeongsan International Co., Ltd. | Transparency-enhanced fabric using polyester-ether block copolymer yarn, and manufacturing method therefor |
WO2020158898A1 (ja) * | 2019-02-01 | 2020-08-06 | 旭化成株式会社 | 緯編地 |
JP6759490B1 (ja) * | 2019-02-01 | 2020-09-23 | 旭化成株式会社 | 緯編地 |
JP2020193430A (ja) * | 2019-02-01 | 2020-12-03 | 旭化成株式会社 | 緯編地 |
CN113474501A (zh) * | 2019-02-01 | 2021-10-01 | 旭化成株式会社 | 纬编针织物 |
CN115287810A (zh) * | 2019-02-01 | 2022-11-04 | 旭化成株式会社 | 纬编针织物 |
US11535964B2 (en) | 2019-02-01 | 2022-12-27 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Weft knit fabric |
CN115287810B (zh) * | 2019-02-01 | 2024-04-19 | 旭化成株式会社 | 纬编针织物 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100901325B1 (ko) | 폴리유산 섬유 | |
EP0664351B1 (en) | Polyester fiber | |
JP2010216019A (ja) | 共重合ポリエステル繊維布帛の製造方法および共重合ポリエステル繊維布帛およびスポーツ衣料 | |
JPH07207551A (ja) | 高伸縮性編地の製造方法 | |
JPS6117946B2 (ja) | ||
KR970001080B1 (ko) | 고탄성을 갖는 직물 또는 편성물의 제조방법 | |
JPH07207550A (ja) | 高密度編地の製造方法 | |
KR102274423B1 (ko) | 터치감이 우수한 고발색성 폴리에스테르 섬유 및 이의 제조방법. | |
KR100804044B1 (ko) | 신축성 폴리에스테르 복합섬유 및 그의 제조방법 | |
JP3123027B2 (ja) | 高伸縮性ピーチ調布帛の製造方法 | |
JP3693552B2 (ja) | ポリエステル繊維の製造方法 | |
JPH06123072A (ja) | 耐光性高伸縮布帛の製造方法 | |
JP3259840B2 (ja) | 難燃ポリエステル繊維 | |
JP3583402B2 (ja) | ポリエステル繊維 | |
KR20050007878A (ko) | 잠재권축성이 우수한 폴리에스테르계 복합섬유 및 그제조방법 | |
KR20180108248A (ko) | 발색성 및 신축성이 우수한 폴리에스테르계 복합가연사, 이를 포함하는 직물 및 이의 제조방법. | |
KR100839516B1 (ko) | 신축성 폴리에스테르 복합섬유 및 그의 제조방법 | |
JPH08113826A (ja) | 高収縮繊維およびその製造法 | |
JPH08209443A (ja) | ポリエステル系異収縮混繊糸 | |
JP2003227037A (ja) | ストレッチ性織編物用ポリエステル複合中空繊維 | |
KR100270440B1 (ko) | 폴리에테르에스테르 탄성섬유의 제조방법 | |
JP2003020520A (ja) | 脂肪族ポリエステル太細糸およびその製造方法 | |
JPH08188925A (ja) | 特殊斑糸 | |
JP3285685B2 (ja) | ポリエステルマルチフィラメント糸条およびその製造方法 | |
JPH08325843A (ja) | ポリエーテルエステル系弾性糸 |