JP3259840B2 - 難燃ポリエステル繊維 - Google Patents

難燃ポリエステル繊維

Info

Publication number
JP3259840B2
JP3259840B2 JP34512499A JP34512499A JP3259840B2 JP 3259840 B2 JP3259840 B2 JP 3259840B2 JP 34512499 A JP34512499 A JP 34512499A JP 34512499 A JP34512499 A JP 34512499A JP 3259840 B2 JP3259840 B2 JP 3259840B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flame
polyester fiber
retardant polyester
yarn
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP34512499A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001164423A (ja
Inventor
全央 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP34512499A priority Critical patent/JP3259840B2/ja
Priority to CN00804393A priority patent/CN1129681C/zh
Priority to EP00900377A priority patent/EP1188848B1/en
Priority to KR10-2001-7008962A priority patent/KR100537872B1/ko
Priority to DE60034449T priority patent/DE60034449T2/de
Priority to PCT/JP2000/000137 priority patent/WO2000043578A1/ja
Publication of JP2001164423A publication Critical patent/JP2001164423A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3259840B2 publication Critical patent/JP3259840B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性を有しかつ
染色性、耐光堅牢性および摩耗特性や熱安定性に優れた
ポリエステル繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は取り扱いやすく、さ
らに価格の面でも他の合成繊維に比べて有利であり極め
て広い用途を有している。しかしながら、分子構造が緻
密である上、疎水性であり、さらに繊維表面が均一であ
るために天然繊維に比べると風合い、機能面では劣る。
また、染色性に関してもポリエステルの場合、高温、高
圧の条件下でないと染料が分子内に入り込めず、十分な
色濃度まで染色しないという欠点を有する。
【0003】近年の傾向として消費者のニーズの多様化
により吸水、吸湿、発熱、蓄熱、難燃等、様々な機能を
有する新規ポリエステル繊維の開発が盛んになってきて
おり、多種多様な機能性繊維が開発されている。その中
でも難燃性を有する繊維製品は、防災に対する意識の向
上あるいは法整備に伴う難燃規制の強化等、一般、公共
を問わず関心が高まってきている。特にホテル、旅館、
病院、福祉施設等で使用されるインテリア関連商品では
ポリエステル製品が数多く使用されており、これらの製
品への難燃性の付与が必須となってきている。また、国
内だけでなく海外でも同様に、難燃性を有する繊維製品
はその需要を大幅に拡大しており、今後益々要求が増大
していくと予想される。
【0004】しかしながら、従来の難燃製品に関しては
燃焼時にシアンやハロゲン等の有害ガスが発生したり、
後加工工程で繊維表面に難燃剤を固着させたために製品
の風合いが粗硬であったり、また洗濯による難燃耐久性
に欠けるなど多くの問題点があった。
【0005】そこで、かかる欠点を解決する手段の1つ
として、ポリエステルの分子主鎖中に難燃性を付与する
原子の一つであるリン原子を導入するために、リン系化
合物を共重合する方法(主鎖型)が提案されている(特
公昭36−21050号公報、特公昭38−9447号
公報、特公昭53−13479号公報、特開昭50−5
3354号公報)。しかしながら、それら主鎖型はいず
れもポリエステル主鎖中にリン原子が存在するために耐
加水分解性に劣る、さらには結晶性が高いが故に染色性
に劣り、布帛とした時の風合い劣る等の問題があった。
一方、ポリエステル分子の側鎖にリン原子を導入した難
燃性共重合ポリエステル繊維(側鎖型)も知られている
(特公昭60−38417号公報、等)。この側鎖型リ
ン共重合ポリエステル繊維は、染色性の点で主鎖型のも
のと比較して優れているものの十分とは言えない。しか
も側鎖型リン共重合ポリエステル繊維の染色性を改良す
る場合、他方耐摩耗特性や熱安定性が低下する傾向にあ
り、従って染色性及び耐摩耗特性や熱安定性、等の機械
的特性の両面で優れた難燃性ポリエステル繊維が得られ
ていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を克服し、従来の方法では達成し得なかった優れた染色
性及び耐摩耗特性や熱安定性、等の機械的特性を具備し
たしなやかな風合いを有し、かつ長期に安定した難燃性
をも有する難燃ポリエステル繊維を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達し
た。即ち本発明は、下記物性を満足するリン原子の含有
量が500〜50,000ppmのリン化合物共重合ポ
リエステルからなり、糸摩耗試験において0.098N
/texの荷重下での摩耗切断までの回数が6500回
以上であることを特徴とする難燃ポリエステル繊維であ
る。 tanδmax≧0.250 Tα≦132℃ 1.730≦1.358×SG−Δn≦1.770 (ここで、tanδmaxは動的粘弾性測定における損失
正接の最大値を、Tαは損失正接が最大となる温度を表
し、SGは比重を、Δnは複屈折をそれぞれ表す。)
【0008】
【補正の内容】そして具体的には、下記一般式(1)で
示されるリン化合物を添加して得られる共重合ポリエス
テルを用いたことを特徴とする上記記載の難燃ポリエス
テル繊維、引張破断伸度(DE)が20〜50%である
ことを特徴とする上記記載の難燃ポリエステル繊維、及
び沸水収縮率(SHW)が10%以下であることを特徴
とする上記記載の難燃ポリエステル繊維である。
【0009】
【化2】
【0010】(式中、R1は1価のエステル形成性官能
基であり、R2、R3は同じか又は異なる基であって、そ
れぞれハロゲン原子、炭素原子数1〜10個の炭化水素
基、R 1より選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基
を表す。また、n1は1又は2であり、n2、n3はそれ
ぞれ0〜4の整数を表す。)
【0011】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明におけるポリエステルとは、主たる酸成分がテレフ
タル酸またはそのエステル誘導体、主たるグリコール成
分がエチレングリコールからなるものであるが、酸成分
として20モル%以下の脂肪族ジカルボン酸またはこれ
らのエステル形成誘導体、芳香族ジカルボン酸またはこ
れらのエステル形成性誘導体を共重合成分として含むこ
とができる。また、酸成分の20モル%以下のオキシカ
ルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を含むことも
できる。グリコール成分としては20モル%以下のプロ
ピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
1,10−デカメチレングリコール、4,4−ジヒドロ
キシビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエ
トキシ)ベンゼン、2,5−ナフタレンジオール、これ
らのグリコールにエチレンオキサイドが付加したグリコ
ール、ポリエチレングリコール等を含むことができる。
【0012】また、これらポリエステル繊維中には少量
の他の任意の重合体や酸化防止剤、制電剤、染色改良
剤、染料、顔料、艶消し剤その他の添加剤が含有されて
いても良い。
【0013】本発明の難燃性ポリエステル繊維に用いる
ポリマーは、リン原子を含有するリン化合物が共重合さ
れたポリエステルであり、リン化合物とは、ポリエステ
ルの構成成分であるジカルボン酸やジオールと反応して
ポリエステルに共重合することができる化合物である。
このリン化合物のなかで好ましい化合物は、ポリエステ
ルの側鎖及び/又は末端にリン原子を導入することがで
きる化合物であり、結晶性および非晶分子の配向性を乱
すという観点から側鎖にリン原子を導入できる化合物が
特に好ましい。
【0014】このリン化合物の例としては、一般式
(1)で示される化合物が挙げられる。
【0015】
【化3】
【0016】(式中、R1は1価のエステル形成性官能
基であり、R2、R3は同じか又は異なる基であって、そ
れぞれハロゲン原子、炭素原子数1〜10個の炭化水素
基、R 1より選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基
を表す。また、n1は1又は2であり、n2、n3はそれ
ぞれ0〜4の整数を表す。)
【0017】一般式(1)の化合物の具体的な化合物と
しては下記a〜βの化合物が挙げられる。
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】本発明における難燃性ポリエステル繊維の
製造に用いられる共重合ポリエステルは、基本的には例
えば特公昭55−41610号公報に記載されるような
公知の方法で重合することができるが、該共重合ポリエ
ステルを溶融押出機を用いて紡糸口金より吐出し、引取
り速度1000m/分〜4500m/分、好ましくは1
500〜4000m/分の範囲で溶融紡糸することによ
り得ることができる。完成糸を得る方法としては、紡糸
と延撚を2ステップで行う方式あるいは1ステップで行
うスピンドロー方式のいずれでも構わない。この際重要
な製造条件として、紡糸口金面の温度は、通常のポリエ
チレンテレフタレートの溶融紡糸で設定される温度より
も10℃〜30℃低く設定することが肝要である。一般
に、紡糸温度を下げると紡糸張力が高くなるが、本発明
における難燃繊維を製造する上ではポリマーの固有粘度
を0.58〜0.62dl/gとし、溶融時の粘度を低
減することで紡糸張力を適切な領域に設定することが重
要となる。即ち、通常のポリエチレンテレフタレートと
同様の設定温度で紡糸するとポリマー粘度の低下および
重合度の低下が顕著となり紡糸張力が極端に低下し得ら
れた繊維の強度は低く、耐摩耗特性に劣るものとなる。
また、固有粘度を0.62dl/gよりも高くすると溶
融時の粘度が高く、紡糸時の張力も上昇するため分子の
配向が進行し、染色性が低下し、逆に0.58dl/g
以下にすると紡糸張力が極端に低下し、それに伴い強度
も著しく低下するため、本発明の所期の目的を達成する
ことが困難となる。
【0025】さらに、吐出ポリマーのせん断速度は分子
配向制御および糸切れ抑制の観点から3000〜900
0s-1にすることが肝要である。即ち3000s-1未満
であると溶融状態での分子配向が十分では無く、得られ
た繊維は強度が低く、耐摩耗性に劣るものとなる。ま
た、これらの欠点を解消すべく延伸倍率を上げると得ら
れた繊維の染色性が低下することになる。逆に9000
-1を超えると紡糸口金面、特にオリフィス周辺の汚れ
がひどくなるため、糸切れが発生し易く、いずれの場合
も本発明の目的を達成することが困難となる。好ましく
は3500〜8500s-1である。また紡糸口金面から
冷却風の吹出し開始までの距離は80mm以下、好まし
くは70mm以下にすることが肝要である。これはポリ
マーが吐出されてからできるだけ早い段階で冷却するこ
とで紡糸張力を高め、紡糸での高変形速度下での延伸を
出来るだけ進行させ、後の延伸工程での低変形速度下で
の延伸倍率を少なくする方が完成糸の分子配列は低くな
るという点で好ましいからであり、80mmを超えると
糸条の冷却が遅れるため紡糸張力が低下し、紡糸での延
伸が進まないため、延伸工程での延伸倍率が高くなるた
め、結果として分子配向が高くなり染色性の観点で劣る
ものとなり、ひいては繊維のtanδmaxは0.250
未満となり本発明の目的とする繊維を得る事が困難とな
る。さらに、延伸工程でのセット温度は155℃以上が
好ましく、155℃未満ではセットが不十分であり、熱
安定性に劣る。このように、従来の難燃性ポリエステル
繊維では到達が困難であった染色性と機械的特性を具備
した繊維を得るには、上述の特定の製造条件、等を採用
することによりはじめて達成することができるのであ
る。
【0026】本発明における難燃ポリエステル繊維に用
いられている共重合ポリエステルのリン原子の含有量は
500〜50,000ppmであることが望ましく、5
00ppm未満であると難燃性能に劣るばかりか、常圧
での分散染色が困難となる。また、50,000ppm
を超えるとリン原子を含有するリン化合物の共重合量を
多くする必要があり、その結果、ポリマーの融点が著し
く低下し、紡糸が困難となるばかりか、得られた繊維の
強度も低下するため好ましくない。より好ましくは1,
500〜30,000ppmである。
【0027】また、本発明における難燃ポリエステル繊
維はtanδmaxが0.250以上であることが望まし
い。0.250未満であると非晶部分の領域が少なくか
つモビリティーが低いために、染料が十分吸尽さず、し
かも耐摩耗特性が低下する。より好ましくは0.260
以上である。tanδmaxの上限は特に限定はされない
が、あまり高すぎると結晶性が大きく崩れるため、糸の
強力に影響を及ぼす恐れがある。また、tanδmaxを
示す温度は132℃以下であることが重要であり、13
2℃を超えると染色性が著しく低下する。より好ましく
は130℃以下である。tanδmaxを示す温度につい
ても特に下限は限定されないが低すぎると耐熱性に劣
る。
【0028】さらに、本発明における難燃ポリエステル
繊維は下記式を満足することが望ましく、 1.730≦1.358×SG−Δn≦1.770 1.358×SG−Δn<1.730の範囲では結晶化
度に対する分子配向度が高く、非晶部の緻密性が増し、
染色性及び耐摩耗特性に劣る。逆に、1.358×SG
−Δn>1.770の範囲では結晶化度に対する分子配
向度が低くなりすぎ、染色性には優れるが繊維強度が低
下するとともに、沸水収縮率が大きくなり熱安定性が低
下する。より好ましくは以下の範囲である。 1.735≦1.358×SG−Δn≦1.765
【0029】さらに、破断伸度(DE)は20%〜50
%であることが好ましい。20%未満であると、耐摩耗
特性が低下し、後加工通過時に毛羽が発生しする。逆に
50%を超えると繊維の熱安定性が低下するとともに製
編織工程における張力で糸が不用に伸ばされ寸法安定性
に問題が発生する。より好ましくは25%〜45%であ
る。
【0030】また、本発明における難燃ポリエステル繊
維は、摩耗強さが摩擦子の往復運動回数にして6500
回以上であることが好ましい。6500回未満であると
後加工工程での毛羽立ち、白化などの問題が生じ、本発
明の所期の目的を達成することが困難となる。より好ま
しくは6700回以上である。
【0031】さらに、本発明における難燃ポリエステル
繊維は、沸水収縮率(SHW)が10%以下、更には
9%以下であることが好ましい。SHWが10%を超え
ると熱的安定性に劣り、後工程での寸法変化が著しく、
布帛の風合いも粗硬なものとなり本発明の目的を達成す
ることは困難となる。
【0032】以上、本発明の難燃ポリエステル繊維は織
編物や不織布として使用され、一般衣料、カーペット、
カーテン、等の各種インテリア、スエードや車両用座席
シート、或いは安全ネット、養生シート、工事用メッシ
ュシート、等の工業資材、布団綿や布団側地、ミシン
糸、等各種用途に使用することができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。な
お、本発明の評価に用いた方法は以下の通りである。
【0034】(動的粘弾性特性)レオバイブロン(オリ
エンテック社製)を用いて、110Hzの周波数下で2
0℃より1℃/分の速度で230℃まで昇温しながら、
損失正接(tanδ)を測定し、その最大値をtanδ
maxとし、最大値を示す温度をTαとして評価した。
【0035】(比重;SG)硝酸カルシウム4水和物と
純水の混合液からなる密度勾配管により30℃で測定し
たn=3の平均値とした。
【0036】(複屈折;Δn)ベレックコンペンセータ
ーを装着した偏向顕微鏡によりレターデーションと繊維
径により求めたn=5の平均値とした。
【0037】(強度、伸度;DE)テンシロン(オリエ
ンテック社)によりゲージ長200mm、クロスヘッド
スピード200mm/分の条件で強度および伸度をそれ
ぞれ5回測定しその平均値で評価した。
【0038】(摩耗強さ試験)基本的にはJIS−L1
095(7.10.2 B法)に準拠し、糸摩耗試験機を
用いて荷重を0.098N/tex、摩擦速度を115
回/分として摩擦子を往復運動させ、破断するまでの往
復回数を測定し、n=10の平均値で評価した。
【0039】(沸水収縮率)繊度(dtex)×1/3
3.3gに相当する荷重を加え、原糸50.0cmの長
さに予め印を付けておきガーゼに包んだ後、沸水中に3
0分間浸漬し、風乾した後同荷重を加えて印間の長さ
(L)を測定し、以下の式で算出した。 SHW(%)=(50−L)/50×100
【0040】(難燃性評価)消防安第65号に準拠して
限界酸素指数(LOI)で評価した。
【0041】(L*;明度)分光測色計(ミノルタCM
−3700D)により測定径8mmφ、光源D65、視
野2°の条件でL*値を3回測定し、その平均値で評価
した。
【0042】(耐光堅牢度)試料を紫外線ロングライフ
フェード・オ・メーター(FAL-AU/H/BR)を使用して、
照射温度(BPT);63±3℃。照射時間40時間の条
件で光退色させ、グレースケール基準にて級判定した。
【0043】(実施例1)テレフタル酸をカルボン酸成
分とし、エチレングリコールをグリコール成分とし、前
記のリン含有化合物(s)をリン原子含有量が6000
ppmとなるよう共重合させたリン原子含有共重合ポリ
エステルを用いて紡糸温度262℃、せん断速度601
0s-1、引取り速度1450m/分で、紡糸口金面から
冷却風の吹出し開始までの距離を65mmとして溶融紡
糸した後、通常の条件にて2.79倍に延伸し、167
デシテックス48フィラメントの完成糸を得た。得られ
た糸を筒編地とした後精練を行い風乾の後、分散染料
(Dianix Black BG-FS200%;ダイスタージャパン製)に
より浴比1:50、染料濃度20%owfの条件の下、
130℃で60分間、染色を行い、乾燥後、測色計によ
り明度(L*)を測定すると共に耐光堅牢性についても
評価した。得られた布帛は、難燃性はもちろんのこと染
色性、耐光堅牢性共に優れていた。また、糸での耐摩耗
特性にも優れていた。
【0044】(実施例2)せん断速度4307s-1、引
取り速度を1300m/分、延伸倍率を2.88倍とし
て、56デシテックス24フィラメントの完成糸を得た
以外は実施例1と同法にて布帛を得た。得られた布帛
は、難燃性はもちろんのこと染色性、耐光堅牢性共に優
れていた。また、糸での耐摩耗特性にも優れていた。
【0045】(実施例3)せん断速度3676s-1、引
取り速度を3000m/分、口金面から冷却風の吹出し
開始までの距離を35mm、延伸倍率を1.67倍とし
てスピンドロー方式にて84デシテックス24フィラメ
ントの完成糸を得た以外は実施例1と同法にて布帛を得
た。得られた布帛は、難燃性はもちろんのこと染色性、
耐光堅牢性共に優れていた。また、糸での耐摩耗特性に
も優れていた。
【0046】(実施例4)リン原子の含有量を3500
ppmとし、紡糸温度を265℃とした以外は実施例1
と同法にて167デシテックス48フィラメントの完成
糸を得た。得られた布帛は、難燃性はもちろんのこと染
色性、耐光堅牢性共に優れていた。また、糸での耐摩耗
特性にも優れていた。
【0047】(実施例5)延伸時の延伸倍率を3.4倍
とした以外は実施例1と同法にて完成糸を得た。得られ
た糸は難燃性、染色性、および耐光堅牢性には優れてい
るものの摩耗特性に劣っており、さらに編み立て時に毛
羽が発生し、製編が困難であるといった課題が残った。
【0048】(実施例6)延伸時の延伸倍率を2.1倍
とした以外は実施例1と同法にて完成糸を得た。得られ
た糸は難燃性、染色性、摩耗特性および耐光堅牢性には
優れているものの製編時のテンションにより寸法変化が
生じ編立て性に劣るといった課題が残った。
【0049】(実施例7)延伸工程でのセット温度を1
45℃として完成糸を得た以外は実施例1と同法にて布
帛を得た。得られた布帛は難燃性、染色性、摩耗特性お
よび耐光堅牢性には優れているものの熱による寸法安定
性が低く、染色後は粗硬な風合いとなった点で課題が残
った。
【0050】(比較例1)リン原子含有量が300pp
mとなるよう共重合させたリン原子含有共重合ポリエス
テルを用い、紡糸温度を269℃として完成糸を得た以
外は実施例1と同法にて完成糸を得た。得られた糸は染
色性および難燃性に劣っていた。
【0051】(比較例2)リン原子含有量が60000
ppmとなるよう共重合させたリン原子含有共重合ポリ
エステルを用い、紡糸温度を260℃とした以外は実施
例1と同法にて完成糸を得た。紡糸、延伸時の糸切れが
多く、操業性に問題があった。また、得られた糸は染色
性および難燃性に優れていたが、強力および摩耗特性に
劣っていた。
【0052】(比較例3)紡糸口金面から冷却風の吹出
し開始までの距離を120mmとし、延伸倍率を2.9
2として完成糸を得た以外は実施例1と同法にて布帛を
得た。得られた繊維のtanδmaxは0.237と低
く、得られた布帛は染色性に劣っていた。
【0053】(比較例4)せん断速度を2161s-1
した以外は実施例1と同法にて完成糸を得た。得られた
繊維のtanδmaxは0.231と低く、しかも強度及
び耐摩耗性に劣っていた。
【0054】(比較例5)せん断速度を12603s-1
とした以外は実施例1と同法にて紡糸を試みたが、紡糸
時に糸切れが多発し、繊維が得られなかった。
【0055】(比較例6)リン原子含有化合物を(2−
カルボキシエチル)メチルホスフィン酸として完成糸を
得た以外は実施例1と同法にて布帛を得た。得られた繊
維のtanδmaxは0.230と低く、布帛は染色性に
劣っており、さらに糸の耐摩耗性にも劣っていた。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、長期に安定した難燃性
を有しながら、染色性および耐摩耗性と熱安定性に優れ
た難燃ポリエステル繊維を経済的かつ効率良く得ること
ができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記物性を満足するリン原子の含有量が
    500〜50,000ppmのリン化合物共重合ポリエ
    ステルからなり、糸摩耗試験において0.098N/t
    exの荷重下での摩耗切断までの回数が6500回以上
    であることを特徴とする難燃ポリエステル繊維。 tanδmax≧0.250 Tα≦132℃ 1.730≦1.358×SG−Δn≦1.770 (ここで、tanδmaxは動的粘弾性測定における損失
    正接の最大値を、Tαは損失正接が最大となる温度を表
    し、SGは比重を、Δnは複屈折をそれぞれ表す。)
  2. 【請求項2】 下記一般式(1)で示されるリン化合物
    を添加して得られる共重合ポリエステルを用いたことを
    特徴とする請求項1記載の難燃ポリエステル繊維。 【化1】 (式中、R1は1価のエステル形成性官能基であり、
    2、R3は同じか又は異なる基であって、それぞれハロ
    ゲン原子、炭素原子数1〜10個の炭化水素基、R1
    り選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基を表す。ま
    た、n1は1又は2であり、n2、n3はそれぞれ0〜4
    の整数を表す。)
  3. 【請求項3】引張破断伸度(DE)が20〜50%であ
    ることを特徴とする請求項1記載の難燃ポリエステル繊
    維。
  4. 【請求項4】沸水収縮率(SHW)が10%以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の難燃ポリエステル繊
    維。
JP34512499A 1999-01-19 1999-12-03 難燃ポリエステル繊維 Expired - Lifetime JP3259840B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34512499A JP3259840B2 (ja) 1999-12-03 1999-12-03 難燃ポリエステル繊維
CN00804393A CN1129681C (zh) 1999-01-19 2000-01-13 阻燃聚酯纤维、其机织或针织物、无纺布和仿麂皮织物
EP00900377A EP1188848B1 (en) 1999-01-19 2000-01-13 Flame-retardant polyester fiber, woven or knitted flame-retardant polyester fiber fabric, nonwoven flame-retardant polyester fiber fabric, and woven or knitted suede fabric
KR10-2001-7008962A KR100537872B1 (ko) 1999-01-19 2000-01-13 난연 폴리에스테르 섬유, 난연 폴리에스테르 섬유 직편물,난연 폴리에스테르 섬유 부직포 및 스웨이드 느낌의 기모직편물
DE60034449T DE60034449T2 (de) 1999-01-19 2000-01-13 Flammverzögernde polyesterfasern, gewebe, strickwaren, vliesstoffe und wildlederartige gewebte oder gestrickte textilware aus diesen fasern
PCT/JP2000/000137 WO2000043578A1 (fr) 1999-01-19 2000-01-13 Fibre de polyester anti-feu, tissu en fibre de polyester anti-feu tisse ou maille, tissu de ce type non tisse, et tissu suede tisse ou maille

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34512499A JP3259840B2 (ja) 1999-12-03 1999-12-03 難燃ポリエステル繊維

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001164423A JP2001164423A (ja) 2001-06-19
JP3259840B2 true JP3259840B2 (ja) 2002-02-25

Family

ID=18374456

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34512499A Expired - Lifetime JP3259840B2 (ja) 1999-01-19 1999-12-03 難燃ポリエステル繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3259840B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5662643B2 (ja) * 2009-01-22 2015-02-04 旭化成せんい株式会社 耐摩耗性ポリエステル繊維及びその製造方法
JP5700708B2 (ja) 2010-07-29 2015-04-15 旭化成せんい株式会社 耐摩耗性ポリエステル繊維及び織編物
JP5882435B2 (ja) * 2014-10-29 2016-03-09 旭化成せんい株式会社 耐摩耗性ポリエステル繊維及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001164423A (ja) 2001-06-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100901325B1 (ko) 폴리유산 섬유
US5567796A (en) Polyester fiber
JP2014189933A (ja) 常圧分散可染性ポリエステル極細繊維
KR100537872B1 (ko) 난연 폴리에스테르 섬유, 난연 폴리에스테르 섬유 직편물,난연 폴리에스테르 섬유 부직포 및 스웨이드 느낌의 기모직편물
JP3630662B2 (ja) 共重合ポリトリメチレンテレフタレート
JPH06192929A (ja) 高強度ポリエステル材料のコアを有するコアヤーン、その製造方法及びコアヤーンを製造するために選択されたポリエステル材料の使用
JP3259840B2 (ja) 難燃ポリエステル繊維
JPH06173114A (ja) 完全配向ポリエステルヤーンとその製造方法
JPS6059120A (ja) 刺しゆうミシン糸用改質ポリエステルフイラメント
JP2973645B2 (ja) ポリエステル繊維
JP3583402B2 (ja) ポリエステル繊維
JPH08113826A (ja) 高収縮繊維およびその製造法
JP2001226820A (ja) 易染性ポリエステル繊維
JPH09302545A (ja) 多層構造紡績糸とそれから得られる中空紡績糸及びその製造方法と織編物
JP3998672B2 (ja) 共重合ポリトリメチレンテレフタレート繊維
JPS6015725B2 (ja) 染色ポリエステル繊維の製造法
JP2023184004A (ja) ポリエステル繊維
JP2021188175A (ja) ポリエステル複合繊維
JP2001073251A (ja) 難燃性に優れたポリエステル織編物
JP3680986B2 (ja) 難燃性ポリエステル加工糸の製造方法
JP2023170756A (ja) ポリエステル繊維
KR100523946B1 (ko) 파일 편지의 제조방법.
JP2003129339A (ja) ポリエステル繊維の製造方法
JP2003020520A (ja) 脂肪族ポリエステル太細糸およびその製造方法
JPH0770871A (ja) 発色性良好な極細繊維布帛

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 3259840

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071214

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081214

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081214

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091214

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091214

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101214

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101214

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111214

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111214

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121214

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121214

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131214

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term