JP2021188175A - ポリエステル複合繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】 100℃未満における分散染料での良好な染色性と、耐久性を有するストレッチ性能に優れた高品位なポリエステル複合繊維を提供。【解決手段】 ポリエステル(A)、ポリエステル(B)がサイドバイサイド型あるいは、ポリエステル(A)を鞘成分、ポリエステル(B)を芯成分とした偏心芯鞘型のポリエステル複合繊維において、ポリエステル(A)が、主たる繰り返し成分がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、全ジオール成分に対して、側鎖を有する炭素鎖数3のジオール成分の構成比率が5〜10モル%であり、ポリエチレングリコールの含有量が2〜4質量%であるポリエステル、ポリエステル(B)が、エチレンフタレート単位よりなるポリエステルであって、該繊維横断面におけるポリエステル(A)とポリエステル(B)との配向度の差が0.5以上2.7以下であることを特徴とするポリエステル複合繊維。【選択図】なし
Description
本発明は、潜在捲縮特性に優れ、染色温度が100℃未満における分散染料による染色が可能であり、染色ムラのない、伸縮性に優れた高品位なポリエステル複合繊維に関するものである。
ポリエステルは機械的特性をはじめ様々な優れた特性を有しているため衣料用途をはじめとし各種分野で利用されている。近年、健康・快適志向の高まりからストレッチ素材が脚光を集めており、ポリエステル布帛にストレッチ性を与える方法が種々検討されている。
例えば、ポリウレタン系の繊維を混繊することにより、ストレッチ性を付与した織編物が多数用いられている。しかしながら、ポリウレタン系繊維は、ポリエステル系染料に染まり難いために染色工程が煩雑になることや、長時間の使用時に脆化し、性能が低下するなどの問題があり、特に水着用編物に展開した場合、水に含まれる塩素によりポリウレタン系繊維が脆化し、十分な機能を付与できていない。かかる課題を解決する目的で自己捲縮を有する原糸を得るべく粘度の異なるポリエチレンテレフタレート(以下PETと略記)をサイドバイサイド型にした複合長繊維が開示されている。(特許文献4参照)
一方で、PETは疎水性で分子中に反応性の官能基を持っていないこと、結晶性が高く分子構造が緻密であること等から染色されにくく、染色する際には130℃程度の高温高圧が必要となる。近年、このPETは、ナイロンやポリウレタンなどの他の合成繊維素材や、ウールや綿、絹などの天然繊維等と複合化して多く用いられるが、これら他素材とPETを複合化し100℃以上の染色温度で染色すると、強度低下や他素材への染料汚染など、品位が低下してしまう。他素材の品位を損なわないよう、染色温度を下げて(100℃未満、例えば93℃〜98℃)染色すると、強度低下や他素材への汚染は少なくなるものの、PETの染色性が劣るという問題が残されている。
一方で、PETは疎水性で分子中に反応性の官能基を持っていないこと、結晶性が高く分子構造が緻密であること等から染色されにくく、染色する際には130℃程度の高温高圧が必要となる。近年、このPETは、ナイロンやポリウレタンなどの他の合成繊維素材や、ウールや綿、絹などの天然繊維等と複合化して多く用いられるが、これら他素材とPETを複合化し100℃以上の染色温度で染色すると、強度低下や他素材への染料汚染など、品位が低下してしまう。他素材の品位を損なわないよう、染色温度を下げて(100℃未満、例えば93℃〜98℃)染色すると、強度低下や他素材への汚染は少なくなるものの、PETの染色性が劣るという問題が残されている。
かかる課題を解決すべく側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分及びPETを含有している常圧分散ポリエステルを少なくとも一部に用いた織編物が開示されている。(特許文献1参照)
また、ストレッチ性を付与すべく、側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分及びPETを含有している常圧分散ポリエステル繊維に仮撚加工を施し、加撚/解撚トルクを発現させた繊維を用いることによって、織編物にストレッチ性を付与する方法がある。(特許文献5参照)
また、同様の常圧分散可染性ポリエステルとエチレンフタレート単位よりなるポリエステルを用いた自己捲縮性を有する短繊維不織布が開示されている。(特許文献2,3参照)
また、ストレッチ性を付与すべく、側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分及びPETを含有している常圧分散ポリエステル繊維に仮撚加工を施し、加撚/解撚トルクを発現させた繊維を用いることによって、織編物にストレッチ性を付与する方法がある。(特許文献5参照)
また、同様の常圧分散可染性ポリエステルとエチレンフタレート単位よりなるポリエステルを用いた自己捲縮性を有する短繊維不織布が開示されている。(特許文献2,3参照)
特許文献5に記載の常圧分散ポリエステルは、自己捲縮性がない原糸を仮撚りして用いているため、シボが転移しやすい傾向にあり織物欠点となる問題があった。こうした欠点を改善するため、熱処理やS/Z撚りとすることでトルクバランスを取り、ストレッチ性とシボ立ちによる欠点をバランスさせることも行われているが、概ねストレッチ性が大きく低下することが問題となっている。
また、特許文献2、3に記載の常圧分散ポリエステルとエチレンフタレート単位よりなるポリエステルを用いた自己捲縮性を有する短繊維を長繊維に展開した場合、洗濯等によりストレッチ性が徐々に低下し、それに伴って着用感も劣ったものになる。
本発明の課題は、100℃未満における分散染料での良好な染色性と、耐久性を有するストレッチ性能を奏し、布帛にした際にシボ立ちがない高品位なポリエステル複合繊維を提供することにある。
上記課題は、ポリエステル(A)、ポリエステル(B)がサイドバイサイド型あるいは、ポリエステル(A)を鞘成分、ポリエステル(B)を芯成分とした偏心芯鞘型のポリエステル複合繊維において、ポリエステル(A)が、主たる繰り返し成分がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、全ジオール成分に対して、側鎖を有する炭素鎖数3のジオール成分の構成比率が5〜10モル%であり、ポリエチレングリコールの含有量が2〜4質量%であるポリエステル、ポリエステル(B)が、エチレンフタレート単位よりなるポリエステルであって、該繊維横断面におけるポリエステル(A)とポリエステル(B)との配向度の差が0.5以上2.7以下であることを特徴とするポリエステル複合繊維により達成することができる。
本発明によれば、100℃未満における分散染料での良好な染色性と、布帛にした際にシボがなく耐久性を有するストレッチ性能に優れたポリエステル複合繊維を提供することができる。
本発明のポリエステル複合繊維は、主たる繰り返し単位としてエチレンテレフタレートからなるポリエステルである。そのポリエステルは主たる繰り返し単位としてエチレンテレフタレートが好ましくは70モル%以上からなり、さらに好ましくは80モル%以上からなるポリエステル組成物である。
本発明のポリエステル(A)は、主たる繰り返し成分がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、全ジオール成分に対し側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分を5〜10モル%、かつポリエチレングリコール2〜4質量%含む。この範囲に両成分を制御することで、100℃未満における分散染料での良好な染色性が得られ、かつ繊維構造が安定化し所望の配向度が得られる。より好ましい範囲は、全ジオール成分に対して側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分が7〜9モル%、ポリエチレングリコールが2.5〜3.5質量%である。
ポリエステル(A)に含まれるポリエチレングリコールは、ポリエステル中に共重合すると常圧における分散染料での染色性に優れる特性を持つ一方で、共重合された後もゴム弾性を有するため、繊維化した際の分子鎖の構造が不安定となる。ここで、側鎖部分を有する炭素鎖数が3のジオール成分を共重合することで、その側鎖部分がポリエチレングリコールのゴム弾性を適度に抑制することができるようになり、繊維化した際の構造が安定し所望の配向度が得られ、ポリエチレングリコールの持つ易染色性の特徴をさらに優れたものにする。すなわち、ポリエチレングリコールと側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分とを併用して共重合することで、これまで成し得なかった繊維構造安定性と、100℃未満における分散染料での良好な染色性を両立させることができるのである。
本発明でいう、ポリエステル(B)は、主たる繰り返し単位としてエチレンテレフタレートが好ましくは95モル%以上からなるポリエステル組成物である。
本発明のポリエステル複合繊維は、ポリエステル(A)とポリエステル(B)がサイドバイサイド型あるいは、ポリエステル(A)を鞘成分、ポリエステル(B)を芯成分とした偏心芯鞘型としたものである。本発明のポリエステル複合繊維は、ポリエステル(A)とポリエステル(B)の断面におけるその面積比は、80:20〜20:80が好ましく、さらには、70:30〜30〜70が、布帛にした際に十分なストレッチ性能が得られるために望ましい。
本発明のポリエステル複合繊維は、繊維横断面におけるポリエステル(A)の配向度を4.0%以上とすることにより、布帛にした際に十分なストレッチ性能が得られ、7.0%以下とすることにより十分な100℃未満における分散染料での良好な染色性が得られる。
本発明のポリエステル複合繊維は、繊維横断面におけるポリエステル(A)とポリエステル(B)の配向度の差が、0.5以上、2.7以下である。かかる範囲とすることにより布帛にした際にシボがなく肌触り感に優れ、ストレッチ性能及び耐久性を有するストレッチ性能を得ることができる。さらに好ましくは、0.6以上、2.5以下である。配向度の差が0.5未満の場合、捲縮発現性が不十分となり、布帛にした際に十分なストレッチ性能が得られないだけでなく、洗濯等の繰り返し使用によって、捲縮性が低下し、ストレッチ性能の耐久性が低下する。配向度の差が2.7より大きくなると、布帛にした際にシボが発現し肌触り感が劣るなど、布帛品位が低下する。また、特許文献1に例示されている機械的に捲縮性を付与する仮撚り糸においては、洗濯等の繰り返し使用による経年劣化により、捲縮性が低下し、ストレッチ性能の耐久性に劣ったものとなる。
本発明のポリエステル複合繊維の捲縮伸長率は、100%以上200%以下が好ましい。この数値が高いほど捲縮発現能力が高いことを示しており、100%以上とすることにより、布帛にした際に十分なストレッチ性能が得られる。200%以下とすることにより、布帛にした際にシボがなく肌触りに優れた高品位な布帛が得られる。
本発明のポリエステル複合繊維の強度は、2.5cN/dtex以上5.0cN/dtex以下、タフネスは15.0以上であることが好ましい。強度2.5cN/dtex以上あれば、布帛にした際にその強力も高く、衣料用布帛の薄地化,高密度化,軽量化に適している。強度5.0cN/dtex以下であることで、延伸倍率が高すぎることによる毛羽の発生を抑えることができ工程通過性が良好になる。また、繊維強度を高くするには製造時の延伸倍率を高くするのが一般的であるが、このようにすると強度は高くなるものの伸度が低くなり、毛羽が発生しやすく、製織などの工程通過性が悪くなる。このため、伸度を十分に保ちつつ高い強度を得るにはタフネスが15.0以上であることが好ましく、より好ましくは17.0以上であることがより好ましい。
次に、本発明のポリエステル複合繊維の好ましい製造方法について説明する。
本発明で用いるポリエステル(A)組成物は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を重縮合触媒の存在下で重縮合してポリエステル組成物を製造する方法において、ポリエステル組成物を構成する全ジオール成分に対し、側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分を5〜10モル%となるよう添加し、ポリエステル組成物に対するポリエチレングリコールの含有量を2〜4wt%となるように添加することで製造できる。
本発明で用いるポリエステル(A)組成物は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を重縮合触媒の存在下で重縮合してポリエステル組成物を製造する方法において、ポリエステル組成物を構成する全ジオール成分に対し、側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分を5〜10モル%となるよう添加し、ポリエステル組成物に対するポリエチレングリコールの含有量を2〜4wt%となるように添加することで製造できる。
本発明で用いるポリエステル(B)組成物は、主たる成分がエチレンテレフタレートであるため、その製造方法は公知のPETの製造方法、すなわちエステル交換反応工程もしくはエステル化反応工程、および重縮合反応工程、その後のペレタイズ工程を経ることで得られる。
本発明で用いるポリエステル(A)、ポリエステル(B)ともにその製造方法において、エステル交換反応法は、そのエチレングリコールとテレフタル酸ジメチルのモル比は1.5〜2.5程度であることがエステル交換反応速度やジエチレングリコールなどの副生成を適度にコントロールすることが出来るため好ましい。またエステル交換反応触媒として、公知の触媒を用いることが出来るが、例えば、コバルトやマグネシウム、マンガンの酢酸塩、または酸化物などが好ましく使用される。
また、エステル化反応法を採用する場合は、エチレングリコールやテレフタル酸のモル比率が1.05〜1.50のスラリーをエステル反応槽に連続的に供給しながらエステル反応を行うことが出来る。またはエステル化反応開始前にエチレングリコールとテレフタル酸をエステル化反応槽に全量添加した後、エステル化反応を行っても良い。エステル化反応触媒は、コバルトやマグネシウム、マンガンの酢酸塩、または酸化物等を用いても良いが、予めエステル化反応槽に低重合体を存在させた状態でエチレングリコールとテレフタル酸のスラリーを連続的もしくは反応開始前に一括添加して行う方法が、得られるポリエステルの耐熱性を損なわない点で好ましい。
次いで重縮合反応でポリエステルを製造するに際しては、公知の重縮合触媒を用いることが出来る。例えば、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物などが好ましく使用される。
本発明のポリエステル(A)で用いる、側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分はポリエステルの重縮合反応において所定の重合度に到達するまでの任意の段階で添加することが出来るが、得られるポリエステル組成物への共重合量を安定させるため、エステル化反応もしくはエステル交換反応の反応初期に添加することが好ましく、実質的にエステル化反応もしくはエステル交換反応開始前に添加することが好ましい。
側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分とは、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−フェニル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールエチレンオキサイド付加物など、側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分が用いられるが、側鎖部分の立体障害が大きすぎると染色性や繊維構造安定性への効果が小さくなるため、側鎖の部分がメチル基を有する2−メチル−1,3−プロパンジオールもしくは2−メチル−1,3−プロパンジオールのエチレンオキサイド付加物が好ましく使用される。これらメチル基を有する炭素鎖数が3のジオール成分を用いることで、ポリエチレングリコールとの相乗効果をより発揮しやすくできる。
本発明のポリエステル(A)で用いる、側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分として、2−メチル−1,3−プロパンジオールを用いる場合は、エチレングリコールと沸点が近いため重縮合反応中にエチレングリコールとともに重縮合反応槽から留去されることがある。したがって、2−メチル−1,3−プロパンジオールを用いる場合は、エステル化反応が開始する前に添加することが好ましい。
側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分として、2−メチル−1,3−プロパンジオールのエチレンオキサイド付加物を用いる場合は、重縮合反応中に見られるエチレングリコールと共に留去されにくくなる。そのため、この2−メチル−1,3−プロパンジオールエチレンオキサイド付加物は、その添加タイミングによらず共重合量は安定する。エステル化反応の開始前に添加してもよく、エステル化反応が実質的に終了した時点から重合反応が開始する前までの間でも良く、重縮合反応中に添加しても差し支えない。
この側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分は、公知の方法で添加することが出来る。例えば加熱した状態で添加しても良いし、常温のまま添加してもよい。また側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分が常温で固体の場合はエチレングリコールなどに分散させて添加してもよく、融点以上に溶解させたのちに液体で添加してもよい。側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分が液体の場合はエチレングリコールのような溶媒に希釈して添加してもよいし、その液体のまま
添加しても良い。
添加しても良い。
本発明のポリエステル(A)で用いる、ポリエチレングリコールは、数平均分子量400〜4000のものが好ましい。また、分子量が小さいほど繊維構造を安定化できるが、常圧分散性を得るためにはある程度の分子量が必要であることから、更に好ましくは、数平均分子量600〜2000である。
潜在捲縮性を発現させる方法として、特開2016−160543(引用文献3)に、固有粘度差をつける方法が、開示されている。固有粘度差をつけることにより、潜在捲縮性を発現させ、布帛にした際にストレッチ性能を得ることはできる。しかしながら、本願発明のポリエステル複合繊維において、洗濯等の繰り返し使用により、初期の捲縮性を保持することができずに低下し、布帛のストレッチ性能が徐々に低下する。本発明者らは、鋭意検討し、ポリエステル(A)の低分子量成分の存在が原因であることを突き止めた。すなわち、この低分子量成分が、分子鎖同志の絡み合いに関与し、経年変化を起こし、配向性が、徐々に、弱まっていくことによるものであると考える。
本発明で用いるポリエステル(A)において、分子量分布の最大ピーク分子量が、30000〜42000に存在し、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が、4.0以下であることが必要である。分子量分布の最大ピーク分子量が30000未満の場合、ポリエステル(A)の配向度、配向度差が低くなり、配向度差は0.5未満となる。すなわち、捲縮発現性が不十分となり、洗濯等の繰り返し使用によって、捲縮性が低下し、ストレッチ性能の耐久性が低下する。また、分子量分布の最大ピーク分子量が42000を超えると、ポリエステルの粘性が増し、製糸困難となる。
また、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が小さい程、低分子量成分が少ないことを示している。分子量分布の最大ピーク分子量が大きくなるほど、配向度差も大きくなるが、低分子量成分も増大する。分子量分布の最大ピーク分子量が42000を超え、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が4.0を超えると、配向度は2.7を超え、シボによる布帛品位が低下する。かかる範囲とすることで、配向度差を0.5以上2.7以下に制御することができ、シボのない布帛品位の良好な耐久性を有するストレッチ性能を持つポリエステル複合繊維を得ることができる。好ましくは、分子量分布の最大ピーク分子量が、35000〜38000に存在し、量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が、3.0以下である。
また、本発明で用いるポリエステル(B)において、分子量分布の最大ピーク分子量が、6000〜12000に存在し、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が、4.0以下であることが好ましい。かかる範囲とすることで、配向度差を所望の範囲とすることができる。
次に、本発明の好ましい製造方法について説明する。
本発明のポリエステル複合繊維の製造方法は、公知の溶融紡糸、複合紡糸により得ることができる。
上述したポリエステル(A)、ポリエステル(B)をそれぞれ溶融し押出し、複合紡糸機にて、複合紡糸パックに送り、複合紡糸口金でサイドバイサイド型または偏心芯鞘型形態となって吐出される。複合紡糸口金から吐出された糸条を未延伸糸として一旦巻き取った後に延伸する2工程法のほか、紡糸および延伸工程を連続して行う直接紡糸延伸法(以下、DSD法と称する)など、いずれのプロセスにおいても製造することができる。以下、その製造方法を詳しく説明する。
本発明のポリエステル複合繊維の製造方法は、公知の溶融紡糸、複合紡糸により得ることができる。
上述したポリエステル(A)、ポリエステル(B)をそれぞれ溶融し押出し、複合紡糸機にて、複合紡糸パックに送り、複合紡糸口金でサイドバイサイド型または偏心芯鞘型形態となって吐出される。複合紡糸口金から吐出された糸条を未延伸糸として一旦巻き取った後に延伸する2工程法のほか、紡糸および延伸工程を連続して行う直接紡糸延伸法(以下、DSD法と称する)など、いずれのプロセスにおいても製造することができる。以下、その製造方法を詳しく説明する。
溶融工程において、プレッシャーメルターによる方法およびエクストルーダーによる方法が挙げられるが、均一溶融と滞留防止の観点からエクストルーダーによる溶融が好ましい。また、溶融温度は、ポリエステル(A)は240〜280℃、ポリエステル(B)は270〜290℃で溶融することが好ましい。別々に溶融されたポリマーは別々の配管を通って計量された後、複合紡糸パックへ流入する。この際、ポリマーの熱劣化を抑制するために、配管通過時間はいずれも30分以内であることが好ましい。また、紡糸温度は、260〜290℃が適当である。この範囲であれば、ポリエステル(A)の熱劣化を抑えて糸切れの少ない複合繊維が製造できる。
図1は、本発明のポリエステル複合繊維の製造方法に好ましく用いる直接紡糸延伸装置の概略を示すものである。
紡糸工程において、複合紡糸口金1より吐出された糸条は、チムニー等の糸条冷却送風装置2によって糸条を室温まで冷却する。その後、油剤付与装置3で油剤を付与、交絡装置4にて交絡を付与する。次いで、第1ホットロール5で予熱された後、第2ホットロール6との間で延伸される。更に、第2ホットロール6上で熱セットが為され、交絡装置7を経て、テンションコントロールロール(TCR)8、9を介して、巻取機11にて巻き取る。
紡糸工程において、複合紡糸口金1より吐出された糸条は、チムニー等の糸条冷却送風装置2によって糸条を室温まで冷却する。その後、油剤付与装置3で油剤を付与、交絡装置4にて交絡を付与する。次いで、第1ホットロール5で予熱された後、第2ホットロール6との間で延伸される。更に、第2ホットロール6上で熱セットが為され、交絡装置7を経て、テンションコントロールロール(TCR)8、9を介して、巻取機11にて巻き取る。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
(1)繊度、強度、伸度、タフネス
JIS L1013(2010、化学繊維フィラメント糸試験方法)に従い測定した。タフネスは以下の式にて算出した。
(タフネス)=(強度)×(伸度)0.5 。
(1)繊度、強度、伸度、タフネス
JIS L1013(2010、化学繊維フィラメント糸試験方法)に従い測定した。タフネスは以下の式にて算出した。
(タフネス)=(強度)×(伸度)0.5 。
(2)配向度
レーザーラマン分光法により、測定した。 装置・条件は、以下に示す。
装 置:T−64000(Jobin Yvon/愛宕物産)
条 件:
測定モード:顕微ラマン
対物レンズ:×100
ビーム径 :1 _m
光 源 :Ar+レーザー/514.5nm
レーザーパワー:30mW
回折格子 :Single 1800 gr/mm
スリット :100 _m
検出器 :CCD/Jobin Yvon 1024×256 。
レーザーラマン分光法により、測定した。 装置・条件は、以下に示す。
装 置:T−64000(Jobin Yvon/愛宕物産)
条 件:
測定モード:顕微ラマン
対物レンズ:×100
ビーム径 :1 _m
光 源 :Ar+レーザー/514.5nm
レーザーパワー:30mW
回折格子 :Single 1800 gr/mm
スリット :100 _m
検出器 :CCD/Jobin Yvon 1024×256 。
繊維は表面から見て、成分間の界面が中央となるようにサンプリングし、各成分の径方向中央部にレーザーの焦点を合わせ、測定を行った。繊維表面から各成分の径方向中央部にレーザーの焦点を合わせて測定を行った。配向の測定は偏光条件下で行った。偏光方向が繊維軸と一致する場合を平行条件、直交する場合を垂直条件とし、それぞれ得られるラマンバンド強度の比から、配向の程度を評価した。各水準について、任意に選択した3本の単糸について測定を行った。
ポリエステル(A)、ポリエステル(B)の1615cm−1付近のラマンバンドはC=Cの伸縮振動モードに帰属される。振動方向は分子鎖に対して平行なモードである。ラマン散乱は、分子鎖の振動方向と入射光の偏光方向が一致する場合に強く得られることから、この振動モードの散乱強度は配向度と相関して変化する。
本願発明における配向度評価のパラメーターを、下記式(a)に示した。
繊維軸と平行な偏光条件における強度(I1615 平行)と垂直な偏光条件における強度(I1615 垂直)の比
配向度=繊維軸と平行な偏光条件における強度(I1615 平行)/繊維軸と垂直な偏光条件における強度(I1615 垂直) ・・・ 式(a) 。
繊維軸と平行な偏光条件における強度(I1615 平行)と垂直な偏光条件における強度(I1615 垂直)の比
配向度=繊維軸と平行な偏光条件における強度(I1615 平行)/繊維軸と垂直な偏光条件における強度(I1615 垂直) ・・・ 式(a) 。
(3)捲縮伸長率
温度20℃、相対湿度65%の雰囲気中に繊維パッケージを24時間以上保管した後、該雰囲気下にて検尺機を用いてカセを作成した。
温度20℃、相対湿度65%の雰囲気中に繊維パッケージを24時間以上保管した後、該雰囲気下にて検尺機を用いてカセを作成した。
捲縮伸長率は、沸水100℃に、かせを15分間つけた後、0.01g/dtex荷重を吊した時のかせ長を測定し(L0)、直ちに荷重を0.2g/dtexに切り替え、かせ長を測定し下記式にて算出した。
捲縮伸長率(%)=[(L1−L01)/L01]×100
L01:100℃×15分、繊維かせに0.01g/dtex荷重を吊した時のかせ長
L1;100℃×15分、繊維かせに0.2g/dtex荷重を吊した時のかせ長 。
捲縮伸長率(%)=[(L1−L01)/L01]×100
L01:100℃×15分、繊維かせに0.01g/dtex荷重を吊した時のかせ長
L1;100℃×15分、繊維かせに0.2g/dtex荷重を吊した時のかせ長 。
(4)分子量分布の測定 (Mw,Mn)
試料(チップ)を90℃の熱水で30分間洗浄した後、90℃で真空乾燥して水分率を1000ppmとし、ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解して測定溶液とした。これをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、PMMA換算で重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め、Mw/Mnを求めた。測定条件は下記の通りである。
・GPC装置:Waters510
・カラム:Shodex GPC HFIP−806Mを2本連結して使用
・溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール
・温度:30℃
・流速:0.5ml/分
・試料濃度:2mg/4ml
・濾過:0.45μm−DISMIC 13HP(東洋濾紙)
・注入量:100μl
・検出器:示差屈折計RI(Waters 410)
・スタンダード:PMMA(濃度:サンプル0.25mg/溶媒1ml) 。
試料(チップ)を90℃の熱水で30分間洗浄した後、90℃で真空乾燥して水分率を1000ppmとし、ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解して測定溶液とした。これをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、PMMA換算で重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め、Mw/Mnを求めた。測定条件は下記の通りである。
・GPC装置:Waters510
・カラム:Shodex GPC HFIP−806Mを2本連結して使用
・溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール
・温度:30℃
・流速:0.5ml/分
・試料濃度:2mg/4ml
・濾過:0.45μm−DISMIC 13HP(東洋濾紙)
・注入量:100μl
・検出器:示差屈折計RI(Waters 410)
・スタンダード:PMMA(濃度:サンプル0.25mg/溶媒1ml) 。
(5)ポリエステル組成物中の側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール含有量
試料(チップ)をモノメタノールアミンで加水分解後、1,6−ヘキサンジオール/メタノールで希釈し、テレフタル酸で中和した後、ガスクロマトグラフィーのピーク面積から求めた。
試料(チップ)をモノメタノールアミンで加水分解後、1,6−ヘキサンジオール/メタノールで希釈し、テレフタル酸で中和した後、ガスクロマトグラフィーのピーク面積から求めた。
(6)洗濯耐久性;ストレッチ性耐久試験
実施例記載の方法により得た繊維を、10cm×10cmの布帛(平織)をドラム染色機にて、花王(株)製洗剤“アタック”2g/l、過酸化水素水(35%工業用)3cc/l、過炭酸ナトリウム1.5g/l、温度85±2℃、浴比1:20で15分間洗濯し、その後排液、脱水後、オーバーフロー水洗を10分間実施し、脱水を行い、これを洗濯1回とした。この洗濯を20回繰り返して、最後にタンブラー・ドライヤーを用い20分間で乾燥させたのち、面積から収縮率を算出し以下に示した基準で判定した。
5%以内 ◎ 実用可
6%以上〜10%以内 〇 実用化
11%以上〜15% × 実用不可 。
実施例記載の方法により得た繊維を、10cm×10cmの布帛(平織)をドラム染色機にて、花王(株)製洗剤“アタック”2g/l、過酸化水素水(35%工業用)3cc/l、過炭酸ナトリウム1.5g/l、温度85±2℃、浴比1:20で15分間洗濯し、その後排液、脱水後、オーバーフロー水洗を10分間実施し、脱水を行い、これを洗濯1回とした。この洗濯を20回繰り返して、最後にタンブラー・ドライヤーを用い20分間で乾燥させたのち、面積から収縮率を算出し以下に示した基準で判定した。
5%以内 ◎ 実用可
6%以上〜10%以内 〇 実用化
11%以上〜15% × 実用不可 。
(7)染色性
実施例記載の方法により得た繊維を筒編み地とし、Dianix Black S−Rの5%owf、均染剤1g/L、酢酸1g/Lからなる浴比1:20の95℃熱水溶液中で60分間染色を行い、色差計(スガ試験機製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、色調L値を測定し、以下の基準で判定した。◎、〇、○△を合格とした。
10.0未満 ◎ 実用可
10.0以上14.0未満 〇 実用可
14.0 以上16.5未満 ○△ 実用可
16.5以上19.0未満 △ 実用不可
19.0以上 × 実用不可 。
実施例記載の方法により得た繊維を筒編み地とし、Dianix Black S−Rの5%owf、均染剤1g/L、酢酸1g/Lからなる浴比1:20の95℃熱水溶液中で60分間染色を行い、色差計(スガ試験機製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、色調L値を測定し、以下の基準で判定した。◎、〇、○△を合格とした。
10.0未満 ◎ 実用可
10.0以上14.0未満 〇 実用可
14.0 以上16.5未満 ○△ 実用可
16.5以上19.0未満 △ 実用不可
19.0以上 × 実用不可 。
(8)布帛外観検査
実施例記載の方法により得た繊維を、布帛(平織)を作製し、目視による外観検査により判定。
シボ無し〇
シボ有り× 。
実施例記載の方法により得た繊維を、布帛(平織)を作製し、目視による外観検査により判定。
シボ無し〇
シボ有り× 。
[実施例1]
I.ポリエステル(A)の製造
(エステル交換反応)
精留塔を備えた反応槽に、エチレングリコール/テレフタル酸ジメチルのモル比率が2.0となるよう、エチレングリコールとテレフタル酸ジメチルを添加し、2−メチル−1,3−プロパンジオールを得られる低重合体に8.0モル%となるように添加し、酢酸コバルト・4水和物を得られる低重合体中に400ppm含有するよう添加した。その後、反応槽の温度を140℃から235℃まで昇温させながら、メタノールを留去させエステル交換反応を行い1750kgの低重合体を得た。この時のエステル交換反応率は98%だった。
I.ポリエステル(A)の製造
(エステル交換反応)
精留塔を備えた反応槽に、エチレングリコール/テレフタル酸ジメチルのモル比率が2.0となるよう、エチレングリコールとテレフタル酸ジメチルを添加し、2−メチル−1,3−プロパンジオールを得られる低重合体に8.0モル%となるように添加し、酢酸コバルト・4水和物を得られる低重合体中に400ppm含有するよう添加した。その後、反応槽の温度を140℃から235℃まで昇温させながら、メタノールを留去させエステル交換反応を行い1750kgの低重合体を得た。この時のエステル交換反応率は98%だった。
(エステル化反応・重縮合反応)
前記の低重合体が存在するエステル反応槽に、2−メチル−1,3−プロパンジオールを得られるポリエステル組成物中に8.0モル%(添加時の2−メチル−1,3−プロパンジオール量は9.2モル%。重縮合反応中に2−メチル−1,3−プロパンジオールが1.2モル%相当、重縮合反応中に留去された。添加した2−メチル−1,3−プロパンジオールの15wt%に相当。)となるよう添加し、エチレングリコール/テレフタル酸のモル比が1.15であるスラリーを約3時間かけ添加した。発生する水を系外に留去しながら反応槽の温度を245℃一定にコントロールし、エステル化反応を行った。この反応時間は4時間であり、エステル化反応率は98%であった。得られた低重合体のうち1,750kgはエステル反応槽に残したまま、1,000kgを重縮合反応槽に移送した。低重合体の移送完了後、リン酸を得られるポリエステル組成物に対しリン換算で50ppmとなるように添加して、7分後に三酸化アンチモンを得られるポリエステル組成物に対しアンチモン換算で330ppm、酢酸コバルトを得られるポリエステル組成物に対し90ppm、IR1010を得られるポリエステル組成物に対し1000ppmになるよう添加した。さらに5分後、数平均分子量1000のポリエチレングリコールを得られるポリエステル組成物に対し3.0wt%となるように添加し、さらに5分後、酸化チタンを得られるポリエステル組成物に対し0.3wt%となるように添加した。各添加物の添加が終了した時点の重縮合反応槽の温度は230℃であった。その後、スチームエゼクターを稼働させ重縮合反応槽内部の減圧を開始し、重縮合反応を開始した。約55分経過後に約1.5mmHgまで減圧し、その圧力状態を保持した。重縮合反応開始から約2時間後に重縮合反応温度が285℃に到達し、その温度状態を重縮合反応終了まで保持した。重縮合反応を終了し、重縮合反応槽に窒素を注入し減圧を終了した。その際の重縮合反応時間は3時間0分であった。その後、重縮合反応槽内部にあるポリマーを窒素にてストランド状に吐出して冷却後、直ちにカッティングしてポリエステルのペレットを得た。
前記の低重合体が存在するエステル反応槽に、2−メチル−1,3−プロパンジオールを得られるポリエステル組成物中に8.0モル%(添加時の2−メチル−1,3−プロパンジオール量は9.2モル%。重縮合反応中に2−メチル−1,3−プロパンジオールが1.2モル%相当、重縮合反応中に留去された。添加した2−メチル−1,3−プロパンジオールの15wt%に相当。)となるよう添加し、エチレングリコール/テレフタル酸のモル比が1.15であるスラリーを約3時間かけ添加した。発生する水を系外に留去しながら反応槽の温度を245℃一定にコントロールし、エステル化反応を行った。この反応時間は4時間であり、エステル化反応率は98%であった。得られた低重合体のうち1,750kgはエステル反応槽に残したまま、1,000kgを重縮合反応槽に移送した。低重合体の移送完了後、リン酸を得られるポリエステル組成物に対しリン換算で50ppmとなるように添加して、7分後に三酸化アンチモンを得られるポリエステル組成物に対しアンチモン換算で330ppm、酢酸コバルトを得られるポリエステル組成物に対し90ppm、IR1010を得られるポリエステル組成物に対し1000ppmになるよう添加した。さらに5分後、数平均分子量1000のポリエチレングリコールを得られるポリエステル組成物に対し3.0wt%となるように添加し、さらに5分後、酸化チタンを得られるポリエステル組成物に対し0.3wt%となるように添加した。各添加物の添加が終了した時点の重縮合反応槽の温度は230℃であった。その後、スチームエゼクターを稼働させ重縮合反応槽内部の減圧を開始し、重縮合反応を開始した。約55分経過後に約1.5mmHgまで減圧し、その圧力状態を保持した。重縮合反応開始から約2時間後に重縮合反応温度が285℃に到達し、その温度状態を重縮合反応終了まで保持した。重縮合反応を終了し、重縮合反応槽に窒素を注入し減圧を終了した。その際の重縮合反応時間は3時間0分であった。その後、重縮合反応槽内部にあるポリマーを窒素にてストランド状に吐出して冷却後、直ちにカッティングしてポリエステルのペレットを得た。
得られたポリマーの分子量分布の最大ピーク分子量が35000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.9であった。b値は5.5、2−メチル−1,3−プロパンジオールの含有量は8.0モル%、ポリエチレングリコール3質量%であった。重縮合反応中の圧力変動もなく、重縮合反応が安定して行われ、ポリマー品質に優れていた。
II.ポリエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステル(B)の製造
ポリエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステル(B)において、高純度テレフタル酸(三井化学製)78kgとエチレングリコール(日本触媒製)35kgのスラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約250kgが仕込まれた、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて供給した。次に、このエステル化反応生成物のうち90kgを重縮合槽に移送した。引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合槽に、リン酸36gを添加し、酢酸コバルト4水和物を50g及び重合触媒として三酸化2アンチモン230gを加えたのちに二酸化チタン360g100Paの減圧下で290℃の条件下で重縮合を行った。その後、155分間重縮合反応を行い、その後冷水中にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリエステル樹脂のチップを得た。
ポリエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステル(B)において、高純度テレフタル酸(三井化学製)78kgとエチレングリコール(日本触媒製)35kgのスラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約250kgが仕込まれた、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて供給した。次に、このエステル化反応生成物のうち90kgを重縮合槽に移送した。引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合槽に、リン酸36gを添加し、酢酸コバルト4水和物を50g及び重合触媒として三酸化2アンチモン230gを加えたのちに二酸化チタン360g100Paの減圧下で290℃の条件下で重縮合を行った。その後、155分間重縮合反応を行い、その後冷水中にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリエステル樹脂のチップを得た。
得られたポリマーの分子量分布の最大ピーク分子量が9000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は1.2であった。
III.紡糸
得られたポリエステル(A)、ポリエステル(B)を、それぞれエクストルーダーを用いてそれぞれ265℃、285℃で溶融し、紡糸温度275℃、サイドバイサイド型複合紡糸口金を用い、複合比(重量%)50:50で吐出した。図1に示す態様の紡糸機を用いて紡糸した。複合紡糸口金から吐出された糸条は、糸条冷却送風装置2を用いて0.35m/秒、約20℃の冷却風で糸条を冷却・固化し、油剤付与装置3で油剤を付与した後、交絡装置7にて圧空0.03MPaで前交絡を付与し、第1ホットロール5(温度87℃、1400m/分)、第2ホットロール6(温度135℃)、延伸倍率2.73倍で延伸、熱セットを行った。さらに、交絡装置7にて圧空0.3MPaで本交絡を付与し、第2ホットロール6より0.5%速い速度で回転するTCR8、9を介し、巻取速度3800m/分でパッケージに巻き取り、56dtex、18フィラメントのポリエステル複合繊維糸条を得た。得られた特性評価結果を表1に示す。
得られたポリエステル(A)、ポリエステル(B)を、それぞれエクストルーダーを用いてそれぞれ265℃、285℃で溶融し、紡糸温度275℃、サイドバイサイド型複合紡糸口金を用い、複合比(重量%)50:50で吐出した。図1に示す態様の紡糸機を用いて紡糸した。複合紡糸口金から吐出された糸条は、糸条冷却送風装置2を用いて0.35m/秒、約20℃の冷却風で糸条を冷却・固化し、油剤付与装置3で油剤を付与した後、交絡装置7にて圧空0.03MPaで前交絡を付与し、第1ホットロール5(温度87℃、1400m/分)、第2ホットロール6(温度135℃)、延伸倍率2.73倍で延伸、熱セットを行った。さらに、交絡装置7にて圧空0.3MPaで本交絡を付与し、第2ホットロール6より0.5%速い速度で回転するTCR8、9を介し、巻取速度3800m/分でパッケージに巻き取り、56dtex、18フィラメントのポリエステル複合繊維糸条を得た。得られた特性評価結果を表1に示す。
得られたポリエステル複合繊維は、100℃未満における分散染料での良好な染色性と、耐久性を有するストレッチ性能に優れていた。
[実施例2〜6]
表1に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整した。いずれのポリエステル組成物も重縮合反応時の圧力が安定しておりポリマー品質に優れていた。また、得られた繊維品質も優れていた。
表1に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整した。いずれのポリエステル組成物も重縮合反応時の圧力が安定しておりポリマー品質に優れていた。また、得られた繊維品質も優れていた。
[比較例1]
表2に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整したが、洗濯後ストレッチ耐久性が劣位であった。
表2に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整したが、洗濯後ストレッチ耐久性が劣位であった。
[比較例2]
表2に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整したが、染色性が劣位であった。
表2に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整したが、染色性が劣位であった。
[比較例3]
表2に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整したが、洗濯後ストレッチ耐久性が劣位であり、強度低下を確認した
[比較例4]
表2に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整したが、洗濯後ストレッチ耐久性が劣位であり、強度低下を確認した。
表2に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整したが、洗濯後ストレッチ耐久性が劣位であり、強度低下を確認した
[比較例4]
表2に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整したが、洗濯後ストレッチ耐久性が劣位であり、強度低下を確認した。
[比較例5]
表2に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整したが、洗濯後ストレッチ耐久性が劣位であり、布帛品位(シボ)の低下を確認した。
表2に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整したが、洗濯後ストレッチ耐久性が劣位であり、布帛品位(シボ)の低下を確認した。
[比較例6]
表2に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整したが、洗濯後ストレッチ耐久性が劣位であった。
表2に記載の組成で実施例1と同じ製造装置を使いプロセス条件を調整したが、洗濯後ストレッチ耐久性が劣位であった。
[比較例7]
表2に記載の組成で単成分の仮撚り加工糸を製造したが、洗濯後ストレッチ耐久性が劣位であった。
表2に記載の組成で単成分の仮撚り加工糸を製造したが、洗濯後ストレッチ耐久性が劣位であった。
1 口金
2 糸条冷却送風装置
3 油剤付与装置
4 交絡装置
5 第1ホットロール
6 第2ホットロール
7 交絡装置
8 テンションコントロールロール(TCR)
9 テンションコントロールロール(TCR)
10 コンタクトローラー
11 巻取機
2 糸条冷却送風装置
3 油剤付与装置
4 交絡装置
5 第1ホットロール
6 第2ホットロール
7 交絡装置
8 テンションコントロールロール(TCR)
9 テンションコントロールロール(TCR)
10 コンタクトローラー
11 巻取機
Claims (3)
- ポリエステル(A)、ポリエステル(B)がサイドバイサイド型あるいは、
ポリエステル(A)を鞘成分、ポリエステル(B)を芯成分とした偏心芯鞘型のポリエステル複合繊維において、
ポリエステル(A)が、主たる繰り返し成分がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、全ジオール成分に対して、側鎖を有する炭素鎖数3のジオール成分の構成比率が5〜10モル%であり、ポリエチレングリコールの含有量が2〜4質量%であるポリエステル、
ポリエステル(B)が、エチレンフタレート単位よりなるポリエステルであって、
繊維横断面におけるポリエステル(A)とポリエステル(B)との配向度の差が0.5以上2.7以下であることを特徴とするポリエステル複合繊維。 - ポリエステル(A)の配向度が4.0以上7.0以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル複合繊維。
- 捲縮伸長率が、100%以上200%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル複合繊維。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020094345A JP2021188175A (ja) | 2020-05-29 | 2020-05-29 | ポリエステル複合繊維 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2020094345A JP2021188175A (ja) | 2020-05-29 | 2020-05-29 | ポリエステル複合繊維 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2021188175A true JP2021188175A (ja) | 2021-12-13 |
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Family Applications (1)
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JP2020094345A Pending JP2021188175A (ja) | 2020-05-29 | 2020-05-29 | ポリエステル複合繊維 |
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- 2020-05-29 JP JP2020094345A patent/JP2021188175A/ja active Pending
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