JP3473890B2 - ポリエステル系複合繊維 - Google Patents
ポリエステル系複合繊維Info
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Description
合繊維に関する。さらに詳しくは、熱処理により適度な
捲縮と収縮を発現する染色性の良好なサイドバイサイド
型のポリエステル系複合繊維に関する。
の異なった重合体を繊維軸長さ方向にわたって互いに密
着させ、偏心または並列的に複合紡糸したのち、延伸
し、弛緩状態で熱処理することによって捲縮糸を得る技
術は公知である。特に、ポリエステル系複合繊維は、力
学的な性質、熱安定性、ウォッシュアンドウエアー性等
に優れているうえに、その繊維自身が捲縮性を有してい
るため、仮撚加工など捲縮を与えるための後加工が必要
ないなどの利点がある。
ては、ポリエチレンテレフタレート重合体の重合度に差
があるものからなる複合繊維、あるいはホモのポリエチ
レンテレフタレートと共重合ポリエステルとの複合繊維
などが提案されてきた。これらの複合紡糸による捲縮繊
維は、糸の状態、または織物として捲縮発現熱処理を行
い、嵩高糸または平滑な表面の嵩高織物として利用する
ためには、適切な捲縮数と共に適度な捲縮発現力、捲縮
保持率を備えなければならない。即ち、延伸糸に捲縮発
現処理を施して嵩高糸とし、編織物とする場合には製
編、製織工程で張力を受けながらも十分に保ち得る良好
な捲縮安定性を持つ必要があり、延伸糸を織物とした
後、捲縮発現処理して嵩高織物とする場合は、組織内で
糸が受ける張力に対して十分に捲縮発現し得る良好な捲
縮発現力が必要である。
を使った布帛では、大きな欠点が見られた。その一つ
は、嵩高性のものは得られるがストレッチ性は小さく、
弾性回復性も劣る場合、また、今一つは、逆にストレッ
チ性は大きいがシボ状の斑が発生し平滑性が失われる場
合である。さらに、剛性が高すぎるため風合いが硬くな
る事等である。
えば、特公昭43−19108号公報に開示されている
ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフ
タレートの組み合わせによるサイドバイサイド型複合繊
維がある。この複合繊維は、高収縮性成分として高分子
量のポリトリメチレンテレフタレートを使用しているた
め繊維の剛性が高く、堅い風合いになってしまう。ま
た、固有粘度の高いポリトリメチレンテレフタレートを
得るためにを固相重合により分子量を増大させる方法を
示しているが、これは、原料コストが非常に高くなって
しまう点で経済的に問題である。
れている非弾性ポリエステルであるポリブチレンテレフ
タレートと弾性ブロックポリエーテルエステルの組み合
わせによるサイドバイサイド型の複合繊維がある。しか
しながら、この組み合わせにより得られる布帛は、分散
染料で染色した時のドライクリーニング堅牢度が著しく
悪いため、アウター、裏地のような用途には使用できな
い。
にしたときに平滑な表面性を保ちながらソフトでふくら
み感のある風合いを示し、かつその布帛が10%程度の
ストレッチを発現することにより非常に着心地が良くな
り、さらに、分散染料に効率よく染着し、ドライクリー
ニング堅牢度も実用の範囲内である、衣料に最適なポリ
エステル系複合繊維を提供することにある。
来の問題点を解決するため種々検討した結果、熱処理に
より適切な捲縮・収縮を発現する複合繊維を得るために
は、複合ポリマーの1つの成分として弾性特性を有する
ポリマーを使用する事および適切な粘度のポリマーの組
み合わせを選ぶことが最も重要であることを突き止め、
本発明を完成させるに至った。
とのサイドバイサイド型の複合繊維において、上記第一
成分が極限粘度[η]0.4〜1であるポリトリメチレ
ンテレフタレートポリマーであり、上記第二成分が第一
成分の溶融粘度に対し200〜500ポイズ高い粘度の
ポリエステルポリマーであり、かつ第一成分と第二成分
とが繊維全長にわたって互いに密着し、配置されている
ことを特徴とするポリエステル系複合繊維、である。
フタレートポリマーは、弾性率Q(g/d)と弾性回復
率R(%)が、式(1)に示される範囲の特性を有し、
ソフト性と弾性特性とを併せ持つポリエステル系繊維が
得られること、また、染色性や染色堅牢性が良好である
ことが知られている。 0.2≦Q/R≦0.45 …(1) このような弾性的特性を有するポリトリメチレンテレフ
タレートポリマーを複合ポリマーの一成分として使用す
ることにより、従来の二つの成分間の大きな収縮率差を
利用して捲縮・収縮を得るサイドバイサイド糸に比較し
て、捲縮数・収縮率は劣るものの、織物などの拘束下で
も布帛に10%程度のストレッチ性を付与することがで
きることを見出した。
フタレートは、実質的にテレフタル酸と1、3−プロパ
ンジオールを重縮合せしめて得られるポリトリメチレン
テレフタレートである。本発明において実質的にとは、
ポリトリメチレンテレフタレートホモポリマーであって
も以下に示すポリトリメチレンテレフタレートコポリマ
ーであってもよいことを示す。すなわち、本発明の効果
を損なわない範囲で、イソフタル酸、コハク酸、アジピ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−スルホイ
ソフタル酸テトラブチルポスホニウム塩等の酸成分や、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
シクロヘキサンジメタノール等のグリコール成分、ε−
カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸、ポリオキシ
エチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等
が10重量%未満共重合されていてもよい。
ば、艶消し剤、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍
光増白剤などを共重合、または混合してもよい。本発明
に用いるポリトリメチレンテレフタレートポリマーは、
極限粘度[η]0.4〜1.0であり、好ましくは0.
5〜0.8である。さらに好ましくは0.6〜0.7で
ある。この範囲では、ポリマーの溶融粘度が100〜3
00ポイズとなり、低粘度のポリトリメチレンテレフタ
レートが、高粘度の第二成分を包み込む形態となり、適
度な捲縮と収縮を与えることができる。極限粘度が0.
4未満の場合は、ポリマーの分子量が低すぎるため強度
発現が困難となり、逆に、極限粘度が1.0を越える場
合は、流動性が低いため低粘度のポリトリメチレンテレ
フタレートに変形が起こらず捲縮、収縮発現力が弱く、
好ましくない。
み感のある布帛を得るためには、粘度差により発現する
適度な捲縮・収縮が必要である。第一成分と第二成分と
の粘度差は、200〜500ポイズである。好ましくは
250〜450ポイズ、さらに好ましくは300〜40
0ポイズであり、適度な大きさの捲縮と収縮が得られ
る。粘度差200ポイズ以下では捲縮の発現が見られ
ず、500ポイズ以上では、吐出孔直下において、溶融
粘度の異なる二つの成分を複合紡糸する場合、吐出孔直
下において糸条が溶融粘度の大きい方へ偏曲するニーイ
ング現象により操業性に問題が生じるので好ましくな
い。
エステルポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテ
レフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートなど
のポリエステル系重合体及びこれらの共重合体からなる
もの、また、これらの重合体及びこれらの共重合体から
なるものが挙げられる。これらの重合体または共重合体
に制電剤、難燃剤、耐熱剤、耐候剤、酸化チタン等の添
加剤を加えることは何ら差し支えない。
成分と第二成分のポリマーが繊維全長にわたって互いに
密着し、配置されていることが必要である。二つの成分
の配置のされ方は特に限定されないが、低粘度のポリト
リメチレンテレフタレートポリマーが、高粘度の第二成
分ポリエステルポリマーを包み込む形態をとるのが好ま
しい。この場合、繊維の断面を見ると、低粘度のポリト
リメチレンテレフタレートポリマーが三日月状に、高粘
度の第二成分ポリエステルポリマーを包み込んだ形態を
とっている。このように二つの成分が配置されているこ
とにより、繊維に適度な捲縮と収縮を与えることができ
る。
類の極限粘度の違うポリエステル系成分が繊維の全長に
わたって互いに密着し、配置される様に共通の紡糸孔よ
り押し出し得るような、従来公知の複合紡糸方法により
紡糸し製造することができる。また二種類のポリエステ
ルを等容量比で押し出してもよく、各成分の比を適当に
変えることもできる。複合紡糸する両成分の比率は、3
0〜70/70〜30の範囲が好適である。更に好まし
くは40〜60/60〜40である。ポリトリメチレン
テレフタレート成分が70%以上の場合は、捲縮性は向
上するが、複合繊維としての強度が低下する。一方、3
0%未満の場合は、捲縮性が不足する。
る場合、吐出孔直下において糸条が溶融粘度の大きい方
へ偏曲するニーイング現象が生じ、これが糸質を劣化さ
せるのみならず、紡糸性を妨げ、ときには紡糸口金板に
粘着して生産を不可能にすることがある。ニーイングを
防止する方法として紡糸口金孔の細工による方法がある
が、例えば英国特許第965729号明細書に示されて
いるように、ニーイングする方向と逆の方向に、予め、
口金孔を曲げておいて口金面からポリマーを垂直に吐出
する方法が、本発明のポリエステル系複合繊維の製造に
おいても有効である。
下での熱処理でも適度な捲縮と収縮を発現するものとな
り、通常の織編物で平滑な表面性を保ちながらソフトで
ふくらみ感のある風合いを示す布帛が得られ、かつその
布帛が10%程度のストレッチを発現する。また、通常
のポリエステル分散染料を用いて染色することができ
る。本発明のポリエステル系複合繊維を用いた布帛は、
肘、膝を曲げた時や腕を伸ばした時の突っ張り感がなく
なり、非常に着心地のよい衣料となる。従って、アウタ
ー、裏地、スポーツ等の用途に極めて有用である。
り詳細に説明する。なお、実施例中の主な測定値は以下
の方法で測定した。 (1)極限粘度 この極限粘度[η]は次の定義式に基づいて求められる
値である。
ロフェノールで溶解したポリエステルポリマーの希釈溶
液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自
体の粘度で割った値であり、相対粘度と定義されている
ものである。またCは、上記溶液100ml中のグラム
単位による溶質重量値である。 (2)溶融粘度 キャピログラフ〔東洋精機(株)製、キャピログラフ1
B〕の装置を使用し290℃、剪断速度7780cm-1
で測定したときの値である。 (3)破断伸度、弾性率 島津製作所製オートグラフ引張試験機を用い、糸長20
0mm、引張速度200mm/分、N=5で、破断伸
度、初期弾性率を測定した。 (4)捲縮数 130℃でフリーの乾熱処理した長さ約20cmの糸を
2mg/dの張力下におき、糸の1インチあたりの捲縮
数を数える。 (5)乾熱収縮率 1m長の10回巻き綛を作成し、一定重量の錘を下げて
初期長L0を測定する。錘の水準は、5mg/d、50
mg/dとする。加重状態で130℃×30分乾熱処理
を実施する。その後、標準状態で一昼夜放置した後、加
重状態で長さLを測定し、収縮率を算出した。
ロール400を2g/リットルで含む温水を用いて70
℃、20分間精錬処理し、タンブラー乾燥機で乾燥さ
せ、次いでピンテンターを用いて、180℃、30秒の
熱セットを行ったものを使用した。吸尽率は、40℃か
ら95℃に昇温後、さらにそのまま1時間保持した後の
吸尽率で評価した。染料は、カヤロンポリエステルブル
ー3RSF(日本化薬(株)製)を使用し、6%ow
f、浴比1:50で染色した。分散剤はニッカサンソル
ト7000(日華化学(株)製)を0.5g/リットル
使用し、酢酸0.25ミリリットル/リットルと酢酸ナ
トリウム1g/リットルを加え、pHを5に調製した。
染液の吸光度yを分光光度計から求め、以下の式に代入
して求めた。吸光度は当該染料の最大吸収波長である5
80nmでの値を採用した。 吸尽率=(x−y)/x×100 (%) (7)DC染色堅牢度 上記(6)の方法で染色した一口編地500mgを用い
てDC染色堅牢度の評価を行った。ドライクリーニング
堅牢性はJIS−L−0860に準じて行った。
cm×20cmの織物を引張速度が0.2mm/秒で緯
方向に伸長し、500g/cmの応力下での緯伸びS
(%)を次式によって求めた。 S=(M−N/20)×100 M:500g/cmの応力下で伸びた長さ(cm) N:織物の元の長さ=20cm
ジオールを1:2のモル比で仕込み、テレフタル酸ジメ
チルの0.1重量%に相当するチタンテトラブトキシド
を加え、徐々に昇温し240℃でエステル交換反応を完
結させた。得られたエステル交換物にチタンテトラブト
キシドを更に理論ポリマー量の0.1重量%添加し、2
70℃で3時間反応させた。得られたポリマーの極限粘
度は0.7であった。このポリマーを水冷後、チップ状
にカットしポリトリメチレンテレフタレートのポリマー
(A)を得た。このポリマーの290℃における溶融粘
度は280ポイズであった。
テレフタレートのポリマー(B)を得た。このポリマー
の極限粘度は0.5で、290℃における溶融粘度は、
630ポイズであった。ポリマー(A)とポリマー
(B)をそれぞれ複合紡糸機に供給し、同一の口金より
量比1:1、温度290℃で紡糸して、並列関係に密着
している256d/24fの未延伸糸を得た。この未延
伸糸を80℃に延伸しポリエステル系複合繊維の糸条
(原糸)を得た。得られたポリエステル系複合繊維の糸
条の物性および乾熱処理糸の捲縮・収縮特性を表1に示
す。また、染色特性を表1に示す。
用いてタテ密度100本/インチ、ヨコ密度81本/イ
ンチ、目付50g/m2、生機幅131.5cmの織物
を製織した。得られた織物をピンテンターにより、19
0℃×30秒の条件で生機幅に対し15%の幅入れを行
った。次に2g/リットルの炭酸ソーダと2g/リット
ルのスコアロール(花王(株)製)を投入した液で、液
流染色機によって130℃×10分の精錬を行った。こ
の布帛の物性測定結果を、表2示す。
溶融粘度735ポイズのポリエチレンテレフタレート
(C)と溶融粘度220ポイズのポリエチレンテレフタ
レート(D)を複合紡糸し未延伸糸を得た。これを80
℃のホットプレート上で3.2倍に延伸し80d/24
fの延伸糸(原糸)を得た。物性を表1に示す。延伸糸
では、26山/inchの捲縮が見られたが、荷重下で
の乾熱処理により捲縮が無くなってしまった。さらに、
荷重下での収縮率は小さかった。実施例1と同様に布帛
を製織し、熱セット、精錬処理を行った結果を表2に示
す。緯伸びは小さくストレッチ性は見られなかった。
まで増大させた、ポリトリメチレンテレフタレート
(E)をつくった。このポリマーの溶融粘度は600ポ
イズであった。また、比較例1と同様に従来の方法で重
合した溶融粘度630ポイズのポリエチレンテレフタレ
ート(F)を作った。この2つのポリマーを実施例1と
同様に複合紡糸し、ホットプレート80℃、延伸倍率
3.5倍で延伸し、80d/24fの延伸糸(原糸)を
得た。物性を表1に示す。延伸糸では全く捲縮がなかっ
たが、130℃乾熱処理により捲縮が発現した。しか
し、実施例1に比べて弾性率が高い。実施例1と同様に
布帛を製織し評価した結果を表2に示す。良好な緯伸び
性が見られるが、しぼ状の斑が表面に見られ、また風合
いも堅い。
処理により適度な捲縮と収縮を発現する結果、平滑な表
面性を保ちながらソフトでふくらみ感のある風合いを示
す布帛が得られ、かつその布帛が10%程度のストレッ
チを発現するため、肘、膝を曲げた時や腕を伸ばした時
の突っ張り感がなくなり、非常に着心地のよい衣料が得
られる。さらに、分散染料に効率よく染着し、ドライク
リーニング堅牢度も実用の範囲内である。
途に極めて有用である。
Claims (3)
- 【請求項1】 第一成分と第二成分とのサイドバイサイ
ド型の複合繊維において、上記第一成分が極限粘度
[η]0.4〜1.0であるポリトリメチレンテレフタ
レートポリマーであり、上記第二成分が第一成分より極
限粘度[η]が低く、かつ第一成分の溶融粘度に対し2
00〜500ポイズ高い粘度のポリエチレンテレフタレ
ートポリマーであり、かつ第一成分と第二成分とが繊維
全長にわたって互いに密着し、配置されていることを特
徴とするポリエステル系複合繊維糸条。(但し、溶融粘
度は温度290℃、せん断速度7780cm -1 で測定し
たときの値である) - 【請求項2】 繊維の断面が、第一成分が第二成分を三
日月状に包みこんだ断面形態からなることを特徴とする
請求項1に記載のポリエステル系複合繊維糸条。 - 【請求項3】 請求項1に記載のポリエステル系複合繊
維を一部に用いた布帛であって、布帛表面が平滑でかつ
ストレッチ率が10%以上を有する織物。
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