JP4357198B2 - ポリエステルマルチフィラメント繊維及びその織編物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、織編物のストレッチ性と良好な膨らみ感を与え、織編物製造時に工程通過性が良く、深みのある色彩が得られるポリエステルマルチフィラメント繊維及びその織編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、溶融粘度の異なる2種の熱可塑性ポリマーを同一吐出孔より吐出する複合紡糸により接合型複合繊維糸とし、熱処理によりスパイラル型クリンプを発現させ捲縮型ストレッチ糸とすることが特許文献1等で知られており、高捲縮を得るために、用いる2種の熱可塑性ポリマーの溶融粘度差を大きくすること、また高溶融粘度成分として高収縮性のポリエステルを用いることなどにより、ポリエステル系潜在捲縮性複合繊維が提案され、該繊維による織編物はストレッチ性、深みのある色彩を得ることが知られている。
【0003】
しかし、従来の潜在捲縮性複合繊維は、撚糸した後の撚止めセットの熱処理により大きな捲縮が発現しクリンプ、スナールなどが発生し、製編織工程でのガイド、筬などの糸道へ糸の引っ掛かり、擦過による糸切れなどの問題が発生しやすい。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−157941号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の欠点を解決するものであって、製編織の工程通過性に優れ、織編物としたときのストレッチ性と深みのある色彩を付与するポリエステルマルチフィラメント繊維を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の要旨は、溶融粘度の異なる2種のポリエステルポリマーがサイドバイサイド型に接合した単繊維からなり、マルチフィラメント繊維として、以下の要件(1)〜(5)を同時に満足することを特徴とするポリエステルマルチフィラメント繊維にある。
【0007】
(1)20≦捲縮率(CC)≦50(%)、
(2)25≦高温捲縮率(HC)≦60(%)、
(3)HC>CC、
(4)[η]A−[η]B>0.145、及び
(5)溶融粘度の異なる2種のポリエステルポリマーのうち高粘度成分が、第三成分を5〜15モル%共重合させた共重合ポリエチレンテレフタレートである。
ただし、捲縮率(CC)は、90℃×20分間湿熱処理条件で測定された捲縮率であり、高温捲縮率(HC)は、130℃×20分間湿熱処理条件で測定された捲縮率であり、[η]A、[η]B、はそれぞれポリエステル(A)、(B)の固有粘度を示す。
本発明の第2の要旨は、本発明のポリエステルマルチフィラメント繊維を含み、織物収縮率(LC)が20〜40%であることを特徴とする織編物にある。
ただし、織物収縮率(LC)は、130℃×30分間熱水処理条件で測定された収縮率である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について具体的に説明する。
【0009】
本発明のポリエステル複合マルチフィラメント繊維は、布帛とした際にストレッチ性を発現させるために、溶融粘度の異なる2種のポリエステルポリマーを接合した単繊維からなるマルチフィラメント繊維であることが必要である。
【0010】
該単繊維を構成するポリエステルポリマーとしては、繊維としたときに良好なストレッチ性を得るために溶融粘度の異なる組合せであれば、同一ポリマーで低粘度と高粘度の組合せでも良い。粘度の異なるの一方の成分であるポリエステル(A)は高粘度で高収縮成分として作用し、他方の成分であるポリエステル(B)は低粘度で低収縮成分として作用する。
【0011】
また捲縮発現の点から、溶融粘度の異なる2種のポリエステルポリマーのうち高粘度成分が、第三成分を5〜15モル%共重合させた共重合ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0012】
第三成分が5モル%未満では捲縮発現力が十分得られにくく、15モル%を超えると融点低下が著しく複合紡糸自体が困難になるだけでなく、捲縮発現力も不十分となりやすい。
【0013】
第三成分としては、テレフタル酸成分以外の芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸等の酸成分、エチレングリコール成分以外の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、芳香族ジオール等のジオール成分が挙げられ、具体的には、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物、スルホイソフタル酸金属塩、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン等が挙げられ、特にイソフタル酸、アジピン酸、スルホイソフタル酸金属塩、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンが好ましいものとして挙げられる。これらの第三成分は単独或いは2種以上の組み合わせであってもよい。
【0014】
さらに本発明の溶融粘度の異なる2種のポリエステルポリマーの接合は、複合繊維としたときに良好なストレッチ性が発現する接合であればいかなる接合でも良い。好ましくはサイドバイサイド型または偏芯芯鞘型などが用いられ、より好ましくはサイドバイサイド型が高度なストレッチ性を得るために用いられる。
【0015】
また本発明では、マルチフィラメント繊維として捲縮率(CC)が20〜50%、且つ高温捲縮率(HC)が25〜60%であることが必要である。
【0016】
捲縮率(CC)は撚糸後の撚り止めセットの際に発生する捲縮に影響し、CCの下限は20%以上、好ましくは30%以上、上限は50%以下、好ましくは45%以下が良い。20%未満であると製編織の工程通過性は良いが、布帛にした際のストレッチ性が劣る。50%を超えると、撚糸後の撚り止めセットで発現する捲縮が、製編織工程の糸切れの原因となり、また、織編物とした際の形態も安定しない。
【0017】
さらに高温捲縮率(HC)は、染色工程での熱処理により発現する捲縮率を示し、HCの下限は25%以上、好ましくは30%以上、上限は60%以下、好ましくは50%以下が良い。HCが25%未満であると織編物としたときのストレッチ性が劣り、60%を超えると染色工程で捲縮が発現する際に、著しい凹凸となり、織編物の形態が安定しない。
【0018】
また本発明では、HC>CCであることが必要である。HCがCCより大きいことにより、撚糸後の撚り止めセットで熱処理した後の、製編織後の染色工程の熱処理でも捲縮が生じ、織編物となった際のストレッチ性に優れたものとなる。
さらに本発明のマルチフィラメント繊維は、伸度(DE)の下限が好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、上限は70%以下、より好ましくは60%以下が望ましい。伸度が70%を超えると、織編物としたときに十分な捲縮が発現しにくく、満足すべきストレッチ性能が得られにくい。また20%未満では、製編織の工程にて伸度不十分なため糸切れが発生しやすく工程通過性不良となりやすい。
【0019】
次に本発明のポリエステルマルチフィラメント繊維を得る製造方法を具体的に説明する。
【0020】
本発明のポリエステルマルチフィラメント繊維は、下記の式(a)を満足するポリエステル(A)とポリエステル(B)とを、2500m/分以下の引取速度で紡糸した接合型複合繊維の未延伸糸を、下記の式(b)〜(f)を満足する条件下で加熱ローラー延伸することで得られる。
【0021】
[η]A−[η]B>0.145 (a)
1.000≦DR1 (b)
MDR×0.65≦DR2≦MDR×0.73 (c)
DR1<DR2 (d)
Tg≦TDR1≦Tc−30 (e)
Tg+20≦TDR2≦Tc (f)
(但し、式中、[η]A、[η]B、はそれぞれポリエステル(A)、(B)の固有粘度、MDRは延伸温度85℃における未延伸糸の最大延伸倍率を表す。DR1は1段目延伸倍率、DR2は2段目延伸倍率、TDR1は1段目延伸におけるローラー温度、TDR2は2段目延伸におけるローラー温度)、Tg(℃)は未延伸糸のガラス転移温度、Tc(℃)は未延伸糸の結晶化温度を示す。なお、複合繊維の未延伸糸の結晶化温度、ガラス転移温度がそれぞれ2点測定される場合は、低い方の温度を結晶化温度、高い方の温度をガラス転移温度とする)
ポリエステル(A)とポリエステル(B)の固有粘度の差は0.145より大きいことが好ましい。固有粘度の差が0.145以下の場合、ポリエステル(A)とポリエステル(B)の収縮差が小さく、捲縮の発現が不足しストレッチ性能が得られない。
【0022】
また、複合紡糸に際してのポリエステル(A)/ポリエステル(B)の接合比(重量比)Wは、複合繊維の形態下で捲縮発現力を与えるうえで4/6<W<6/4が好ましい。接合比が上記範囲外では製糸性が低下しやすく、複合繊維の形態下での捲縮発現力も不足しやすい。
【0023】
さらに未延伸糸の延伸は、前記式(b)〜(f)を満足する条件で、加熱ローラーで2段延伸することが必要である。熱ピンによる延伸では延伸点が熱ピン上に固定され、捲縮率(CC)が高くなり、製編織の際に工程通過性が不良となり、捲縮率(CC)が高温捲縮率(HC)以上となる。
【0024】
また、DR1が1.000未満では、延伸機台上で糸が弛み製糸できず、DR2がMDR×0.65未満であると、十分に延伸されないことによるネッキングが生じ染色時に太細斑による濃色部、淡色部が発生する。MDR×0.73を超えると捲縮率(CC)が高くなり、製編織の工程で糸切れが発生し工程不安定になる。
【0025】
さらにDR1<DR2が好ましい。DR1がDR2を超える場合、1段目延伸ローラー上で予熱された繊維が冷延伸されるため、繊維に太細斑が発現することがある。
【0026】
TDR1はTg≦TDR1≦Tc−30とすることで、未延伸糸を1段目延伸ローラー上で予熱し、後の2段目延伸で十分に延伸することが可能となる。
【0027】
TDR2がTg+20℃未満では、得られる繊維の配向度が低く強度不十分となり、Tcを超えると捲縮率が高くなるため製編織の際に工程通過性不良となる。
【0028】
また本発明の製造方法により得られる織編物は、本発明のポリエステルマルチフィラメント繊維に撚りを施した糸条を用いて布帛とし、引き続き、熱セットを施すことによって、織物収縮率(LC)が20〜40%となることが必要である。LCが20%未満であると十分なストレッチ性を得ることができない。40%を超えると織編物とした際の形態が安定しない。
【0029】
なお、本発明の織編物は、例えば、本発明のポリエステルマルチフィラメント繊維を単独及び/または混繊した後、公知の方法により織編物とし、染色処理することによって得ることができる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例における特性値の評価は次の方法によって拠った。
【0031】
(捲縮率CC)
サンプル原糸を枠周1mで巻き数10回の綛を作成し、綛が乱れないように2ヶ所を束ねてくくり、8の字状にして2つ折に重ねて輪にすることを2回繰り返し、ガーゼに包み水浴に浸したときに浮かないように金網箱に入れ、90℃に調整した恒温槽に20分間浸漬する。恒温槽から金網箱を取り出し、水を切り綛が乱れない様にろ紙の上に並べる。20時間以上放置し、自然乾燥した後に捲縮を引き伸ばさない様に注意しながら、余分な絡まりをほぐす。
【0032】
表示デシテックス(1.1dtex)当り49/25000cN×20の初荷重を掛け1分後の長さ(L0)を測る。初荷重を除重後に表示デシテックス当りの49/500cN×20の測定荷重を掛けて1分後の長さ(L1)を測り、除重後2分間放置して再び初荷重を掛けて1分後の長さ(L2)を測る。捲縮率CCは下記式により算出する。
【0033】
捲縮率CC(%)=(L1−L2)/L1 × 100
(高温捲縮率(HC))
サンプル原糸を枠周1mで巻き数10回の綛を作成し、綛が乱れないように2ヶ所を束ねてくくり、8の字状にして2つ折に重ねて輪にすることを2回繰り返す。水温40℃に調整したポットに該綛を投入し、昇温速度4℃/分で70℃まで昇温後、昇温速度2℃/分で130℃まで昇温する。130℃で20分キープした後、降温速度4℃/分で60℃にした後、該綛を取り出し、水を切り綛が乱れない様にろ紙の上に並べる。
【0034】
20時間以上放置し、自然乾燥した後に捲縮を引き伸ばさない様に注意しながら、余分な絡まりをほぐす。表示デシテックス(1.1dtex)当り49/25000cN×20の初荷重を掛け1分後の長さ(H0)を測る。初荷重を除重後に表示デシテックス当りの49/500cN×20の測定荷重を掛けて1分後の長さ(H1)を測り、除重後2分間放置して再び初荷重を掛けて1分後の長さ(H2)を測る。高温捲縮率(HC)は下記式により算出する。
【0035】
高温捲縮率HC(%)=(H1−H2)/H1×100
(伸度(DE))
島津製作所(株)製オートグラフシステムSD−100−Cを用い、サンプル長20cm、引張速度20m/分の条件で測定した。
【0036】
(織物収縮率(LC))
サンプル原糸を撚係数K=100(T=K×√D Tは1m当りの撚数、Dはサンプル原糸の繊度)の条件で撚糸を施し、温度70℃、湿度90%RHの条件下で40分間セットした糸を緯糸として、該サンプル糸の繊度(D)から打ち込み本数(本/cm)=311.1/√Dで算出される打ち込み本数で、縦糸密度39.6本/cmに設定された56dtex18フィラメントの原糸を経糸として製織した後、織物緯糸方向に長さ1mの間隔で印を付け(M0)緯糸に平行に10cm幅のサンプル布を切り出し、130度℃×30分間、熱水処理する。熱水処理したサンプル布を風乾後、片端を固定して垂直に垂らし、下方の他端に0.45g/dtexの荷重をかけ、先に付けた印の間隔(M1)を測定し、織物収縮率(LC)=(M0−M1)/M0×100で算出した。
【0037】
(固有粘度[η])
ポリマーをフェノールとテトラクロロエタンの1:1の混合溶媒に溶解し、ウベローデ粘度計を用いて25℃で測定した。
【0038】
(織物風合)
サンプル原糸による織物を作成し、サンプル織物の引っ張り弾性を触感による官能テストにより次の基準で評価した。
【0039】
○:伸長、反発弾性が共に非常に良好
△:伸長、反発弾性が共に良好
×:伸長、反発弾性が共に不十分
(実施例1)
イソフタル酸(IPA)8モル%をポリエチレンテレフタレートに共重合した固有粘度0.647の共重合ポリエチレンテレフタレートをポリマー(A)、固有粘度0.484のポリエチレンテレフタレートをポリマー(B)とし、紡糸温度を290℃とし、紡糸吐出孔の上流で2種のポリマー流を面対称に合流させ、接合比(重量比)5/5で、孔径0.6mm、長さ1.5mmの細孔の吐出孔を24個有する複合紡糸口金より紡出した。この紡出糸条を冷却、オイリング後、2100m/分の引取速度で巻き取り、228dtex/24フィラメントのの未延伸糸を得た。Tgは70℃。Tcは145℃であった。
【0040】
該未延伸糸を表1に示す条件で延伸して109dtex/24フィラメントのポリエステルマルチフィラメント繊維を得た。
【0041】
該延伸糸を加撚糸条にした後に、70℃にて湿熱セットし、経糸及び緯糸に使用して、表1に示す条件の生機密度でポプリンを製織した。この生機を小野森鉄工所製の液流染色機にて、ソーダ灰1g/l、界面活性剤0.5g/lを併用した溶液を用いて、120℃、20分間、リラックス精練を行い乾燥した。次いで、市金工業株式会社製のピンテンターにて、織物の経及び緯方向に張力をかけずに、乾熱180℃,30秒にてヒートセットを行なった。
【0042】
次いで、液流染色機を用いアルカリ減量処理を施して、20質量%減量した。この後、小野森鉄工所製の液流染色機にて分散染料Dianix Black BG−FS 200を15o.w.f%、染色温度130℃、時間30分にて染色した後、織物のL値を測定した。
【0043】
表1に得られたポリエステルマルチフィラメント繊維及び織物の評価結果を示した。
【0044】
(実施例2)
実施例1と同様のポリマーを用い、同様の紡糸条件で、吐出孔を12個有する複合紡糸口金で、115dtex/12フィラメントの未延伸糸を得た。
【0045】
該未延伸糸を、表1に示す条件で延伸して55dtex/12フィラメントのポリエステルマルチフィラメント繊維を得た。また該繊維を用いて実施例1と同様に織物を得た。
【0046】
表1に得られたポリエステルマルチフィラメント繊維及び織物の評価結果を示した。
【0047】
(実施例3)
実施例2と同様のポリマーを用い、同様の紡糸条件で、吐出孔を12個有する複合紡糸口金で、62dtex/12フィラメントの未延伸糸を得た。
【0048】
得られた未延伸糸を、表1に示す条件で延伸して33dtex/12フィラメントのポリエステルマルチフィラメント繊維を得た。また該繊維を用いて実施例1と同様に織物を得た。
【0049】
表1に得られたポリエステルマルチフィラメント繊維及び織物の評価結果を示した。
【0050】
(比較例1)
実施例1において得られた未延伸糸を1対の熱ピンを介して、第1摩擦抵抗ピンを80℃、第2摩擦抵抗ピンを150℃で延伸倍率2.11倍(MDR×0.71)で延伸して109dtex/24フィラメントのポリエステルマルチフィラメント繊維を得て、該繊維を用いて実施例1と同様に織物を得た。
【0051】
表1に得られたポリエステルマルチフィラメント繊維及び織物の評価結果を示した。製織の際に毛羽、糸切れが発生し工程通過性が劣るものであった。
【0052】
(比較例2)
実施例2において得られた未延伸糸を1対の熱ピンを介して、第1摩擦抵抗ピンを80℃、第2摩擦抵抗ピンを150℃で延伸倍率2.11倍(MDR×0.71)で延伸して55dtex/12フィラメントのポリエステルマルチフィラメント繊維を得て、該繊維を用いて実施例1と同様に織物を得た。
【0053】
表1に得られたポリエステルマルチフィラメント繊維及び織物の評価結果を示した。製織の際に毛羽、糸切れが発生し工程通過性が劣るものであった。
【0054】
(比較例3)
実施例3において得られた未延伸糸を、表1に示す条件で延伸して33dtex/12フィラメントのポリエステル複合マルチフィラメント繊維を繊維を得て、該繊維を用いて実施例1と同様に織物を得た。
【0055】
表1に得られたポリエステルマルチフィラメント繊維及び織物の評価結果を示した。製織の際に毛羽、糸切れが発生し工程通過性が劣るものであった。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】
本発明は、織編物製造時に工程通過性がよく、深みのある色彩が得られ、十分な膨らみ感とストレッチ性を付与するポリエステル複合マルチフィラメント繊維及びその織編物が得られる。
Claims (2)
- 溶融粘度の異なる2種のポリエステルポリマーがサイドバイサイド型に接合した単繊維からなり、マルチフィラメント繊維として、以下の要件(1)〜(5)を同時に満足することを特徴とするポリエステルマルチフィラメント繊維。
(1)20≦捲縮率(CC)≦50(%)、
(2)25≦高温捲縮率(HC)≦60(%)、
(3)HC>CC、
(4)[η]A−[η]B>0.145、及び
(5)溶融粘度の異なる2種のポリエステルポリマーのうち高粘度成分が、第三成分を5〜15モル%共重合させた共重合ポリエチレンテレフタレートである。
ただし、捲縮率(CC)は、90℃×20分間湿熱処理条件で測定された捲縮率であり、高温捲縮率(HC)は、130℃×20分間湿熱処理条件で測定された捲縮率である。[η]A、[η]B、はそれぞれポリエステル(A)、(B)の固有粘度を示す。 - 請求項1記載のポリエステルマルチフィラメント繊維に撚りを施した糸条を用いて織編物を得たのち、引き続き、熱セットを施し、130℃×30分間熱水処理条件で測定された織物収縮率(LC)が20〜40%である織編物の製造方法。
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