JP2002030568A - ポリエステル系繊維構造物 - Google Patents

ポリエステル系繊維構造物

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JP2002030568A
JP2002030568A JP2000213864A JP2000213864A JP2002030568A JP 2002030568 A JP2002030568 A JP 2002030568A JP 2000213864 A JP2000213864 A JP 2000213864A JP 2000213864 A JP2000213864 A JP 2000213864A JP 2002030568 A JP2002030568 A JP 2002030568A
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polyester fiber
fiber structure
polyester
yarn
resin
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JP2000213864A
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Masayuki Hirata
正行 衡田
Isao Matsuda
勲 松田
Hidenobu Honda
秀信 本田
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れたストレッチ性と耐久性に優れた消臭、抗
菌、防汚性能を有する繊維構造物を提供する。 【解決手段】ポリトリメチレンテレフタレートを主体と
するポリエステル系繊維構造物であって、少なくとも繊
維表面上に、チタンとケイ素を含む複合酸化物と、アル
キルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素
系樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂とを有するこ
とを特徴とするポリエステル系繊維構造物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、適度なストレッチ
性を有し着用快適性に優れるとともに、洗濯耐久性に優
れた消臭性、着臭防止性、抗菌性、防カビ性、防汚性な
どの優れた機能性を有するポリエステル系繊維構造物に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル系繊維は、優れた物理的お
よび化学的特性を有しているため、衣料用途や産業用途
などに幅広く利用されている。ポリエステル系繊維構造
物により優れたストレッチ性を付与する手段として、例
えば、繊維に仮撚加工を施す方法が一般的に行われてい
るが、従来からのストレッチ性の範囲にとどまるもので
ある。また、例えば、特公昭44−2504号公報や特
開平4−308271号公報には固有粘度差あるいは極
限粘度差を有するポリエチレンテレフタレート(以下P
ETと略記する)のサイドバイサイド型複合糸、特開平
5−295634号公報にはPETとそれより高収縮性
の共重合PETのサイドバイサイド型複合糸が記載され
ている。このようなサイドバイサイド型複合繊維を用い
れば、ストレッチ性が向上するが、未だ不充分であっ
た。
【0003】一方、光触媒化合物が消臭性、抗菌性、防
カビ性および防汚性などの機能を発揮することは、既に
知られている。しかしながら、アクリル系やウレタン系
のバインダー樹脂を使って光触媒を繊維に固着させた場
合、光触媒化合物の強い酸化分解力によりバインダー樹
脂が分解して、光触媒化合物が繊維表面から脱落してし
まったり、変色したりするなどの問題があり、実用上問
題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点を解決し、優れたストレッチ性を有すると
ともに、経時的な変色や劣化が起こりにくく、持続性の
ある消臭、抗菌、防カビおよび防汚性を有するポリエス
テル系繊維構造物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。
【0006】すなわち、本発明の繊維構造物は、ポリト
リメチレンテレフタレートを主体とするポリエステル系
繊維構造物であって、少なくとも繊維表面上に、チタン
とケイ素からなる複合酸化物と、アルキルシリケート系
樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれ
た少なくとも1種の樹脂とを有することを特徴とするも
のである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、ポリトリメチレンテレ
フタレート(以下PTTと略記する)を主体とするポリ
エステル系繊維を用いる。PTT繊維は、代表的なポリ
エステル繊維であるポリエチレンテレフタレートやポリ
ブチレンテレフタレート(以下PBTと略記する)繊維
と同等の力学的特性や化学的特性を有しつつ、伸長回復
性が極めて優れている。
【0008】本発明のPTTとは、テレフタル酸を主た
る酸成分とし、1,3−プロパンジオールを主たるグリ
コール成分として得られるポリエステルである。ただ
し、20モル%、より好ましくは10モル%以下の割合
で他のエステル結合の形成が可能な共重合成分を含むも
のであってもよい。共重合可能な化合物として、例えば
イソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン
酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ルなどのジオール類を挙げることができるが、これらに
限定されるものではない。
【0009】本発明において、ポリエステル系繊維中に
不活性酸化チタンを含有することが好ましい。その不活
性酸化チタンとは、特定波長の光、特に好ましくは紫外
線に対して励起されることなく不活性である酸化チタン
が用いられる。通常のポリエステル系合成繊維の製造に
おいて艶消し剤として用いられる酸化チタンが使用可能
である。かかる不活性酸化チタンを添加することによ
り、繊維表面上に光触媒効果のあるチタンとケイ素を含
む複合酸化物を付着させた場合のポリエステル系繊維の
劣化を抑えることができる。かかる不活性酸化チタン
は、ポリエステル系繊維の重合時に添加することがで
き、製糸性や糸物性の点で、平均粒子径が0.1〜0.
7μm、さらには0.2〜0.4μmの範囲のものが好
ましい。
【0010】また、かかる不活性酸化チタンの添加量と
しては、繊維重量に対して好ましくは0.3〜5重量
%、より好ましくは0.5〜4重量%である。0.3重
量%未満であれば、ポリエステル系繊維の劣化を抑制す
る効果が小さくなり、5重量%を越えれば、製糸性や糸
物性に問題が出やすくなる。また、必要に応じて、滑剤
としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒ
ンダードフェノール誘導体、着色顔料などを添加しても
よい。
【0011】また、本発明に使用されるポリエステル系
繊維の単繊維繊度は、0.1〜11デシテックスが好ま
しく、より好ましくは1.1〜10デシテックスであ
る。総繊度は11〜550デシテックスのフィラメント
糸条から構成されることが好ましい。単繊維繊度を0.
1以上、11デシテックス以下とすることで、繊維構造
物の風合いをソフトなものとし、良好なストレッチ性を
得ることができる。
【0012】本発明のポリエステル系繊維は、サイドバ
イサイド型の複合繊維であることが好ましい。サイドバ
イサイド型の複合繊維は、固有粘度や共重合成分、共重
合率等が異なる重合体を貼り合わせ、それらの弾性回復
特性や収縮特性の差によって、捲縮を発現するものであ
る。サイドバイサイド型の一方を高収縮成分であるPT
Tとすることが好ましい。低収縮成分には高収縮成分で
あるPTTとの界面接着性が良好で、製糸性が安定して
いる繊維形成性ポリエステルであれば特に限定されるも
のではないが、力学的特性、化学的特性およびコスト面
を考慮すると、繊維形成能のあるPETが好ましい。
【0013】また、両成分の複合比率は、製糸性および
高ストレッチ性を得るために、高収縮成分:低収縮成分
=75:25〜35:65(重量%)の範囲が好まし
く、65:35〜45:55の範囲がより好ましい。
【0014】高ストレッチ性を得るためには、ポリエス
テル系繊維の収縮応力が高いことが好ましい。繊維構造
物の熱処理工程で捲縮発現性を高めるには、収縮応力の
極大を示す温度は110℃以上、応力の極大値は0.25cN
/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは応力
の極大値は0.28cN/dtex以上、更に好ましくは0.30cN/
dtex以上である。また、シボの抑制という点では、0.50
cN/dtex以下とすることが好ましい。
【0015】また、本発明のポリエステル系繊維は、荷
重下捲縮発現伸長率が15%以上であることが好まし
い。従来は、特開平6-322661号公報等に記載されている
ように、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を荷重フリー
に近い状態で熱処理し、そこでの捲縮特性を規定してい
たが、これでは繊維構造物中での拘束下での捲縮特性を
必ずしも反映しているとは言えない。そこで本発明者ら
は、拘束下での捲縮発現能力が重要であることに着目
し、実施例中の「測定方法」に示すような方法で熱処理
を行う荷重下捲縮発現伸長率を定義した。
【0016】この荷重下捲縮発現伸長率が高いほど捲縮
発現能力が高いことを示しており、15%以上であれば
本発明の目的とする高いストレッチ特性を特に好ましく
繊維構造物に与えることができる。捲縮伸長率は、より
好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上であ
る。
【0017】また、ポリエステル系繊維の断面形状は、
丸断面、三角断面、マルチローバル断面、扁平断面、ダ
ルマ型断面、C型断面、M型断面、H型断面、X型断
面、W型断面、I型断面、+型断面、その他公知の異形
断面であってもよく、何等限定されるものではないが、
捲縮発現性と風合いのバランスからは、丸断面の半円状
サイドバイサイド、軽量性、保温性を狙う場合は、中空
サイドバイサイド、ドライ風合いを狙う場合は、三角断
面サイドバイサイドが好ましく用いられる。
【0018】本発明でいう繊維構造物とは、布帛はもち
ろん、帯状物、紐状物、糸状物など、その構造、形状は
いかなるものであってもさしつかえない。好ましくは織
物、編物などの布帛である。
【0019】織物の場合、ポリトリメチレンテレフタレ
ートを主体とするポリエステル系繊維のマルチフィラメ
ント糸を経糸および緯糸の少なくとも一方に使用するこ
とが適度なストレッチ性を得るために好ましい。さら
に、該ポリエステル系繊維が前述したサイドバイサイド
型複合繊維であることが好ましい。
【0020】織物に用いる該ポリエステル系繊維は、下
記式で示す撚係数Kが3000〜15000で加撚する
ことが好ましい。 T=K×[1/D1/2 ] T:1m当たりの撚数、D:糸条の繊度(dtex)×
0.9 上記条件で加撚を施すことにより、織物にした際のシボ
の発生など、表面品位の低下を防ぎやすくすることがで
きる。
【0021】撚係数Kは、3000未満であると、シボ
を抑制することが困難である。撚係数Kが15000を
超えると、目的とするストレッチ性が減少する。
【0022】また、織密度が小さく織物組織の交錯点が
少ない場合には、撚係数Kは上記範囲内で小さい方が好
ましく、織密度が大きく交錯点が多い場合には撚係数K
は上記範囲内で大きい方が好ましい。例えば朱子織物の
ように交錯点の少ない組織においては、撚係数Kは30
00〜5000が好ましい。また、平織物のように交錯
点の多い組織においては好ましくは撚係数5000以
上、より好ましくは8000以上である。また、充分な
ストレッチ性を得るためには、撚係数Kは13000以
下が好ましい。
【0023】また、撚糸方法は特に制限するものではな
く、公知の技術で実施できる。また撚糸後、撚止めセッ
トを実施しても良いが、セット温度は捲縮発現や製織に
問題無い程度の低温が望ましい。製織する織機は、特に
制限するものではなく、ウォータージェットルーム、エ
アージェットルーム、レピアルームなどを用いることが
できる。
【0024】本発明のポリエステル系織物のストレッチ
率は、経緯の少なくとも一方について、織物伸長率が1
5%以上であることが好ましい。織物伸長率とは、実施
例中の「測定方法」にて定義されるストレッチ性のパラ
メータである。織物伸長率が15%未満である場合に
は、人体の運動時の伸縮に追随できず、満足の行く着心
地のものが得られない。
【0025】編地の場合、編地の構成糸に対する本発明
のポリエステル系繊維の混率は、10%以上であること
が好ましく、20%以上が好ましく、30%以上が更に
好ましい。この混率が10%未満の場合は、後述する編
地のタテ・ヨコ方向の平均伸長率、及び平均伸長回復率
が小さくなり、充分なストレッチ性を得にくい。該ポリ
エステル系繊維の編地への混用方法としては、他の素材
との通常の交編、交撚、引き揃え、カバーリング、混繊
等を採用することができ、用途、編地形成法、編組織等
に応じて適宜使い分ければよい。また、編地の場合にお
いても、サイドバイサイド型複合繊維を使用することが
好ましい。
【0026】他の素材としては、合成繊維であるポリエ
ステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリルニトリ
ル系繊維、ポリビニールアルコール系繊維、ポリ塩化ビ
ニール系繊維、ポリウレタン系繊維もしくは半合成繊維
であるアセテート系繊維もしくは再生繊維であるビスコ
ース・レーヨン、キュプラを含むセルロース系繊維、牛
乳蛋白繊維、大豆蛋白繊維を含む蛋白質系繊維、ポリ乳
酸系繊維、もしくはこれらのフィラメント糸条使いや紡
績糸使い、又は混紡糸使い、もしくは綿、麻を含む植物
系天然繊維、もしくは羊毛、カシミヤ、絹を含む動物系
天然繊維、または更にこれらの混紡糸使い等がある。
【0027】また、本発明のポリエステル系編地は、従
来のようにポリウレタン系弾性繊維を混用せずとも優れ
た伸長率および伸長回復率を得ることができることに特
徴があるが、もちろん更に優れた編地の特性を得るため
に風合いや染色性等を損なわない範囲でポリウレタン系
弾性繊維を混用してもよい。
【0028】本発明のポリエステル系編地は、緯編地又
は経編地からなる。緯編地としては、丸編地であるシン
グル丸編地やダブル丸編地、横編地、靴下編地、成型編
地があり、各々の専用編機にて製編することができる。
また、経編地としてはトリコット編地であるシングルト
リコット編地やダブルトリコット編地、ラッシェル編地
であるシングルラッシェル編地やダブルラッシェル編
地、ミラニーズ編地である平型ミラニーズ編地や円形ミ
ラニーズ編地があり、これらも各々の専用編機にて製編
することができる。
【0029】また、製編における編成条件は、通常糸使
いの編成条件よりもループ長やランナー長を若干大きめ
に取り、編密度を粗くすることが好ましい。このことに
より、編地が染色加工工程を通過する際、その捲縮発現
性が十分に発揮され、優れたストレッチ性とソフト感、
ふくらみ感、風合いを得ることができる。
【0030】本発明のポリエステル系編地は、タテ・ヨ
コ方向の平均伸長率が55%以上、タテ・ヨコ方向の平
均伸長回復率が60%以上であることが好ましい。
【0031】平均伸長率および平均伸長回復率は実施例
に示す方法で測定することができるが、伸長率とは、編
地の伸びの程度を表すものであり、この数値が大きい
程、ウエアにして着用した時、スポーツ等の激しい動き
にも編地が追従し易い。また、伸長回復率とは、身体の
動きによって伸長した編地が、素早く元の状態に戻ろう
とする回復程度を表すものであり、この数値が大きい
程、ウエアにして着用した時、よりフィット性に富み、
動き易い。
【0032】この伸長率と伸長回復率は編地のタテ方向
とヨコ方向の各々の数値を平均して考える必要がある。
これは、ウエアにして実際に着用して動く場合、編地の
タテ方向あるいはヨコ方向の一方向のみ伸長されるわけ
ではなく、人間の身体の丸みに応じて三次元的に編地が
伸長されるためである。この三次元的な伸長特性が編地
のタテ方向とヨコ方向の平均した伸長率である平均伸長
率、及び、平均伸長回復率と相関し、よく一致するもの
である。
【0033】本発明の編地の平均伸長率は、55%以上
が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が
更に好ましい。55%未満であるとウエアにて着用し、
スポーツ等の激しい運動を行った場合、身体の動きにウ
エアが追従し難く、また、疲れ易いものとなる傾向があ
る。
【0034】平均伸長回復率は、60%以上が好まし
く、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ま
しい。60%未満であると運動などにより伸長された編
地が伸ばされた状態となり、身体へのフィット感に劣る
ことから身体の動きに追従しにくくなる。また、ウエア
としての見映えにも劣ることになる。
【0035】本発明において、チタンとケイ素を含む複
合酸化物は、主に光触媒としての作用効果を発揮する。
ここで、光触媒とは、紫外線により励起され、強い酸化
力によって有機物を酸化分解する特性を有するものであ
り、具体的には、アナターゼ型、ルチル型と呼ばれる結
晶型の構造をもつものが含まれる。
【0036】本発明は、かかる光触媒機能を発揮するチ
タンとケイ素を含む複合酸化物が、消臭性、着色物分解
除去性(防汚性)、殺菌性(抗菌、防カビ)を有すると
いう事実に着目し、これを繊維構造物に付与したもので
ある。
【0037】本発明のチタンとケイ素を含む複合酸化物
を用いた場合、これまで困難とされてきたタバコ臭や汗
臭などの体臭をバランスよく消臭し、しかも、かかる臭
気を酸化分解する機能も有するので、着臭防止という効
果も達成するものである。また、タバコのヤニなどの着
色物を分解除去する機能を有するので、着色物に対する
防汚効果も達成することができる。さらに、本発明のチ
タンとケイ素を含む複合酸化物は、その酸化力により、
MRSA菌、大腸菌、黄色ブドウ状球菌などに対する殺
菌力を有するので、抗菌、防カビ効果も達成することが
できるものである。
【0038】かかる複合酸化物の形状としては、消臭の
効果を効率的にする等の点で、粒子状であることが好ま
しく、特に、多孔質である場合、その消臭などの効果を
効率的に発揮するため好ましい。その粒子径が大きすぎ
たり、比表面積が小さすぎたりすると、有機物、特に細
菌に対する分解速度が低下する傾向がある。また消臭反
応は、悪臭成分が触媒に吸着し、その後紫外線酸化分解
を受ける過程を経ると考えられ、悪臭成分の吸着の良し
悪しが消臭効率に大きく影響を与えると考えられるの
で、一次粒子径としては、20nm以下で、比表面積が
100〜300m 2 /gであるものが好ましく使用され
る。ここで、比表面積は、QUANTACHROME社
製 QUANTA SORB OS−8の装置を用い比
表面積測定方法に従い測定する。
【0039】かかる複合酸化物の繊維構造物に対する付
着量は、少なすぎると十分な性能が得られない。また多
すぎると、繊維布帛の複合酸化物による劣化を起こした
り、風合いが硬化なものになったりする。従って、繊維
構造物に対する光触媒の付着量は0.05〜30重量%
が好ましく、0.05〜20重量%がより好ましく、
0.08〜10重量%がさらに好ましい。
【0040】本発明においてチタンとケイ素とを含む複
合酸化物の製造方法としては、例えば、特公平5−55
184号公報に記載された方法が挙げられる。一般に、
チタンとケイ素からなる二元系複合酸化物は、例えば、
触媒(第17巻,No.3、72頁1975年)に記載されて
いるように、固体酸として知られ、構成するおのおの単
独の酸化物には見られない顕著な酸性を示し、また、高
表面積を有する。すなわち、チタンとケイ素とを含む複
合酸化物は、酸化チタンと酸化ケイ素を単に混合したも
のではなく、チタンとケイ素がいわゆる二元系酸化物を
形成することにより、その特異な特性が発現するものと
認めることのできるものである。さらに、複合酸化物
は、消臭の効果を効率的にする点で、X線回析による分
析で、非晶質もしくはほぼ非晶質に近い微細構造を有し
ていることが好ましい。チタンとケイ素の割合は、モル
比でチタンが20〜95モル%、ケイ素が5〜80モル
%の範囲にあることが好ましい。酸化ケイ素の割合が多
くなると、酸化チタンの光触媒活性力が弱まる傾向で、
使用目的により最適割合を決めればよい。
【0041】チタンとケイ素を含む複合酸化物の好まし
い製造方法として、四塩化チタンをシリカゾルと共に混
合し、その中にアンモニア水を滴下添加して、沈殿を生
成せしめ、この沈殿物を濾過、洗浄、乾燥後300〜6
50℃で焼成する。一般的に知られている酸化チタン光
触媒と比較して、有機物の酸化分解特性に優れており、
前記如き抗菌、消臭、着臭防止、防汚性に優れていると
いう特徴を有するものである。
【0042】本発明においては、チタンとケイ素とを含
む複合酸化物をアルキルシリケート系樹脂、シリコーン
系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種
の樹脂とともに少なくとも繊維表面上に付与する。チタ
ンとケイ素とを含む複合酸化物は、強烈な酸化力を有し
ており、紫外線の照射で有機物の分解がおこり、繊維構
造物やバインダー等の樹脂が分解着色を起こすことがあ
り、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などとともに
共存させ、紫外線照射を行うと、有機物の分解による着
色や臭気が発生する。
【0043】本発明においては、アルキルシリケート系
樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれ
た少なくとも1種の樹脂を用いることにより、有機系樹
脂特有の光触媒の酸化による分解、着色、臭気の発生を
防止することができる。
【0044】本発明に用いられるアルキルシリケート
は、下記に示される構造を有する。
【0045】R1−(SiO2n−R2−OH R1は直鎖状又は分岐のある飽和アルキル基、R2はアル
キレン基またはスルホン酸アルキレン基、nは1以上の
整数であり、1000〜10000の範囲が好ましい。
【0046】アルキルシリケートは、水溶性であり、繊
維構造物をこの水溶液に含浸させた後、マングルロール
で絞り、200℃以下で処理すると、脱水反応を起こし
て、繊維表面上に薄い被膜を形成するものである。
【0047】かかるアルキルシリケートとチタンとケイ
素とを含む複合酸化物を直接繊維構造物の表面上に付着
させることも可能である。
【0048】また、シリコーン系樹脂やフッ素系樹脂を
混合させ、付着させてもよい。これらの樹脂は、上記し
たように、耐熱性、耐光性、耐薬品性に優れており、本
発明の複合酸化物による酸化力に対しても、優れた耐久
性を有する。
【0049】ここでいうシリコーン樹脂としては、シリ
コーンレジンもしくはシリコーンワニスという分類に属
する縮合架橋型樹脂を使用することができ、かかる樹脂
は、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン
などの縮合架橋型樹脂を、単独または数種の配合物を縮
合して得ることができるものが含まれる。これらは、3
次元構造の樹脂を形成し、シリコーン樹脂の中でも、最
も耐熱性や耐薬品性に優れたものである。また、テトラ
イソプロポキシシランやテトラエトキシシランをアルコ
ール/水混合溶剤中で強酸により加水分解して得られる
酸化ケイ素のゾルを乾燥したものも好ましく用いられ、
ガラス質の被膜が得られる。このようなゾル/ゲル法で
得られる構造物は無機質に近いもので、本発明にはより
好ましい構造物である。
【0050】また、フッ素系樹脂としては、中でも、ビ
ニルエーテルおよび/またはビニルエステルと、フルオ
ロオレフィン重合性化合物が、耐熱性、耐薬品性の点で
非常に優れた特性を持っていて好ましく使用される。例
えば、ポリフッ化ビニルやポリ四フッ化エチレン、四フ
ッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエステルや
ビニルエステル−フルオロオレフィンなどが分解、劣化
が少ないので好ましく使用される。
【0051】かかるシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂
と、通常よく使用されるアクリル樹脂、ウレタン樹脂、
エポキシ樹脂などの有機樹脂との違いは、熱や薬品の作
用で分解されやすい炭化水素基をほとんど含まず、シリ
コーン系樹脂は、Si−O結合、フッ素系樹脂は、F−
C結合を主体に構成されており、末端基や側鎖に少量の
メチル基やフェニル基が炭化水素として含まれる程度で
あるところにある。
【0052】かかる樹脂またはこれを付与されて成る繊
維構造物全体が吸水性を有することが好ましく、吸水性
を付与する方法としては、親水性を有する水酸基(−O
H)、カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−N
2)およびアミド基(−CONH2)から選ばれた少な
くとも1種をもつ吸水性シリコーン系樹脂や、エチレン
グリコールを多数付加した吸水性シリコーン系樹脂や、
ポリエチレンオキサイド基含有化合物や、セルロース系
化合物などの親水化加工剤を、バインダーに混合した
り、該布帛全体に付与する手段を採用することができ
る。後者の親水化加工剤の中では、好ましくはポリアル
キレングリコール−ポリエステルブロック共重合体を主
成分とする親水性ポリエステル樹脂がよい。また、前者
の吸水性シリコーン系樹脂は、それ単独をバインダーと
して使用することができる。
【0053】かかる親水化加工剤を吸水剤として用いる
ことで、シリコーン系樹脂により例えば、セルロース系
繊維含有布帛などの特有の吸水性が阻害されたのを回復
することが可能となる。有機系吸水剤樹脂または親水化
加工剤の使用に際しては、該本発明複合酸化物による酸
化に起因する分解、着色、臭気が惹起しない範囲で使用
するのが好ましい。
【0054】次に、本発明の樹脂にカップリング剤をさ
らに添加することにより、無機物と有機物の接着力を向
上でき、好ましい。これにより繊維、樹脂、複合酸化物
の相互間に化学的結合力が働き、洗濯耐久性の向上につ
ながる。
【0055】また、ゼオライトをさらに添加すること
は、臭い成分の吸着力の向上と構造物中の無機系成分比
を増加させ、光触媒による分解を抑制する効果がある。
また、ゼオライトに、金、白金、銀、パラジウム等の貴
金属を0.01〜5重量%の範囲で担持したものも好ま
しく用いることもできる。これにより更に抗菌効果が向
上する。
【0056】本発明の繊維構造物は、コート、セータ
ー、ポロシャツ、Tシャツ、トレーニングパンツ、スラ
ックス、下着、パンスト、靴下、裏地、芯地などの衣料
用製品の部材として好適であり、ベッドカバー、枕カバ
ー、カーテン、椅子貼り等の生活資材用製品などにも利
用できる。
【0057】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明する。
【0058】なお、実施例および比較例における測定値
は、次の方法で得たものである。 <織物伸長率>JIS L 1096に示される伸長率
A法(定速伸長法)で測定を行った。 <収縮応力>カネボウエンジニアリング(株)社製熱応
力測定機で、昇温速度150℃/分で測定した。サンプルは
10cm×2のループとし、初期張力は繊度(デシテック
ス)×0.9×(1/30)gfとした。 <荷重下捲縮発現伸長率> 荷重下捲縮発現伸長率(%)=[(L0−L1)/L0]
×100 L0:繊維カセに0.9×10-3cN/dtexの荷重を吊した状態
で沸騰水処理を15分間行い、風乾し、さらに160℃乾熱
処理を15分間行った後、前記熱処理荷重を取り除き、18
0×10-3cN/dtexの荷重を吊した時のカセ長。
【0059】L1:L0を測定後、L0測定荷重を取り除
いて再び0.9×10-3cN/dtexの荷重を吊した時のカセ長。 <平均伸長率>伸長率の試験法はJIS L 1018
「メリヤス生地試験方法」の定速伸長法のグラブ法に準
じて行った。すなわち、10cm×15cmの試験片を
タテ、ヨコ方向にそれぞれ3枚ずつ採取した。自記記録
装置付定速伸長形引張試験機を用い、上下つかみとも表
側は2.54cm×2.54cm、裏側は2.54cm
×5.08cmのものを取り付け、つかみ間隔を7.6
cmとして試験片のたるみや、張力を除いてつかみに固
定した。
【0060】これを引張速度10cm/minで17.
7N(1.8Kg)荷重まで引伸ばし、その時のつかみ
間隔を測った。次に荷重を取り除く方向へ元のつかみ間
隔である7.6cmまで戻した。この荷重−除重による
挙動を自記記録計に荷重−伸長−回復曲線として描いた
(図1を参照)。
【0061】これを基に、次の式により伸長率LA
(%)を求め、3枚の平均値で表した。 伸長率LA(%)=[(L1−L)/L]×100 L :つかみ間隔(mm) L1:17.7Nまで伸ばした時のつかみ間隔(mm) 編地のタテ方向、ヨコ方向の各々についての伸長率を加
算し、さらにその加算値を1/2にして平均伸長率とし
た。 <平均伸長回復率>また、伸長回復率LB(%)は、前
記自記記録計で描いた荷重−伸長−回復曲線を基に、回
復曲線がゼロ荷重になった時点から残留歪み率L2
(%)を求め、次の式により伸長回復率LB(%)を算
出し、3枚の平均値で表した。伸長率回復率LB(%)
=(L3/L1)×100編地のタテ方向、ヨコ方向の
各々についての伸長回復率を加算し、さらにその加算値
を1/2にして平均伸長回復率とした。 <洗濯>自動反転渦巻き式電気洗濯機VH−3410
(東芝(株)製)を用い、市販洗剤0.2%、温度40
±2℃、浴比1:50で5分間強反転で洗濯し、その
後、排水、オーバーフローさせながらすすぎを2分間行
う操作を2回繰り返しこれを洗濯1回とした。 <検知管法による消臭性評価>試料を10g入れた50
0mlの容器に初期濃度が200ppmになるようにア
ンモニアガスをいれて密閉し、1時間放置後、ガス検知
管で残留アンモニア濃度を測定した。そして下記の式に
従い消臭率(%)として算出した。
【0062】消臭率(%)=〔1−(ガス検知管測定濃
度)/(初期濃度)〕×100 同様な方法でアセトアルデヒド200ppm、1時間
後、メチルメルカプタン60ppm、3時間後の残留ガ
ス濃度を測定し、各気体の消臭率を算出した。 <タバコ臭に対する消臭性の臭覚評価>500mlのガ
ラス製三角フラスコを入り口を下にして、入り口の直下
に発煙している紙巻きタバコを5秒間置いた後、すばや
く三角フラスコを横にして試料3gを投入し、ガラス栓
で密閉した。1時間放置後、ガラス栓を開け、10人の
人に残臭を嗅いで官能評価した。その時の臭気を下記評
価点数で評価し、平均値を出した。
【0063】5:強烈な臭い 4:強い臭い 3:楽に感知できる 2:何の臭いかわかる弱い臭い 1:やっと感知できる臭い 0:無臭 <イソ吉草酸臭による着臭防止性の臭覚評価>0.01
%のイソ吉草酸水溶液をマイクロシリンジにて5μl秤
量し、これを10cm×10cmの大きさに切り取った布帛
中央部に5点滴下した。滴下の方法は布帛中央部に1
点、続いて中央部の1点を取り囲むようにちょうどサイ
コロの五の目を成すがごとく4点滴下した。この布帛を
蛍光灯下に3時間放置後、10人の人に布帛の臭いを嗅
いで官能評価した。その時の臭気を下記評価点数で評価
し、平均値を出した。
【0064】5:強烈な臭い 4:強い臭い 3:楽に感知できる 2:何の臭いかわかる弱い臭い 1:やっと感知できる臭い 0:無臭 <抗菌評価方法>評価方法は、統一試験法を採用し、試
験菌体は黄色ブドウ状球菌臨床分離株を用いた。試験方
法は、滅菌試験布に上記試験菌を注加し、18時間培養
後の生菌数を計測し、殖菌数に対する菌数を求め、次の
基準にしたがった。
【0065】log(B/A)>1.5の条件下、lo
g(B/C)を菌数増減値差とし、2.2以上を合格と
した。
【0066】ただし、Aは無加工品の接種直後分散回収
した菌数、Bは無加工品の18時間培養後分散回収した
菌数、Cは加工品の18時間培養後分散回収した菌数を
表す。 <吸水性(滴下法)>JIS L−1018 A法 滴
下法 で吸水時間を測定した。数値が小さいほど、吸水
性が良好なことを示す。 <防汚性評価方法> 手順1:ポリエチレン袋(20リットル)に100℃×
2時間乾燥させた表1に示す組成の汚染物0.2gとタ
テ10cm、ヨコ16cmのサンプルとICIピリング
用ゴム管を1本入れる。20℃×65%RHの空気で袋
を膨らませ(約10リットルにする)輪ゴムで止める。
【0067】
【表1】
【0068】手順2:手順1のポリエチレン袋をICI
試験器の箱の中にいれ、1時間回転させる。その後サン
プルを取り出す。 手順3:処理サンプルを標準洗濯条件で1回洗濯する。
手順1〜3をさらに2回繰り返す。 手順4:上記のとおり汚染剤付着・洗濯を3回繰り返し
たサンプルと未処理のサンプルのL値を測色計で測定
し、その差である△L値を計算する。 (実施例1)固有粘度(IV)が1.18のホモPTT
と固有粘度(IV)が0.60のホモPETをそれぞれ
別々に溶融し、紡糸温度280℃で24孔の複合紡糸口
金から複合比(重量%)50:50で吐出し、紡糸速度
1400m/分で引取り165デシテックス、24フィラメ
ントのサイドバイサイド型複合未延伸糸を得た。さらに
ホットロール−熱板系延伸機(接糸長:20cm、表面
粗度:3S)を用い、ホットロール温度85℃、熱板温
度145℃、延伸倍率3.0倍で延伸して55デシテッ
クス、24フィラメント(単繊維繊度d:2.3デシテ
ックス)の延伸糸を得た。紡糸、延伸とも製糸性は良好
であり、糸切れは発生しなかった。
【0069】得られた高捲縮性ポリエステル複合繊維
は、 収縮応力の極大温度 :130℃ 収縮応力の極大値 :0.33cN/dtex 荷重下捲縮発現伸長率:20.5% と優れた捲縮発現能力を示した。
【0070】得られた高捲縮性ポリエステル複合繊維を
2本引き揃えて110デシテックスとし、引き続いて、
経糸と、緯糸の両方にこのマルチフィラメント糸を使用
し、2/2綾組織の織物をウォータージェットルームに
てタテ109×ヨコ73(本/2.54cm)の生機密
度で製織した。
【0071】次に得られた生機を液流バッチ方式により
110℃でリラックス熱処理し、乾熱ピンテンター方式
により190℃で中間セットし、減量率15%のアルカ
リ減量を行った後、分散染料を用いて120℃で染色し
た。
【0072】次に、平均一次粒子径が7nm、平均比表
面積が150m2 /gであるチタンとケイ素の複合酸化
物を水溶液の分散体にし、平均粒子径が0.3μmとし
たものを含む下記加工液を準備した。
【0073】 アルキルシリケート系樹脂(濃度20%) 共栄社化学(株)製 “CLG−520” 0.5重量% シリコーン系樹脂(濃度45%) 東レダウコーニングシリコーン(株)製 “BY22−826” 2.0重量% フッ素系樹脂(濃度20%) 明星化学工業(株)製 “AG−710” 5.0重量% チタンとケイ素の複合酸化物(濃度20%) 大京化学(株)製 “TR−T2” 0.8重量% これに染色後の織物を浸し、マングルロールでピックア
ップ80重量%で絞り、120℃で2分乾燥した後、1
80℃で1分間熱処理し、繊維表面に光触媒化合物を有
する織物を得た。仕上反の密度はタテ145×ヨコ94
(本/2.54cm)であった。この織物について、織
物伸長率、消臭性、抗菌性、防汚性を評価した。結果を
表2に示す。 (実施例2)実施例1において得られた高捲縮性ポリエ
ステル複合繊維を800t/m(撚係数K=8000に
相当)の撚数で2本合撚して110デシテックスとし
て、次いで、70℃で40分間真空スチームセットによ
り撚り止めセットを行った。引き続いて、経糸と、緯糸
の両方にこのマルチフィラメント糸を使用し、2/2綾
組織の織物をウォータージェットルームにてタテ98×
ヨコ76(本/2.54cm)の生機密度で製織した。
【0074】次に得られた生機を液流バッチ方式により
110℃でリラックス熱処理し、乾熱ピンテンター方式
により190℃で中間セットし、減量率15%のアルカ
リ減量を行った後、分散染料を用いて120℃で染色し
た。
【0075】染色後の織物を下記組成の加工液に浸し、
マングルロールでピックアップ80重量%で絞り、12
0℃で2分乾燥した後、180℃で1分間熱処理し、繊
維表面に光触媒化合物を有する織物を得た。仕上げ反の
密度はタテ134×ヨコ98(本/2.54cm)であ
った。
【0076】 アルキルシリケート系樹脂(濃度20%) 共栄社化学(株)製 “CLG−520” 2.0重量% チタンとケイ素の複合酸化物(濃度20%) 大京化学(株)製 “TR−T2” 0.8重量% この織物について、織物伸長率、消臭性、抗菌性、防汚
性を評価した。結果を表2に示す。(実施例3)28G
の両面丸編機にて、図2の編方図における構成糸イ、ロ
ともPPT/PETのサイドバイサイド型複合繊維(繊
維断面は図2のa)である83デシテックス36フィラ
メント糸を用い、編方図の給糸口F1、F2各々に給糸
し、PPT/PETサイドバイサイド型複合フィラメン
ト糸100%からなるインターロック組織編地を編成し
た。
【0077】次に得られた生機を110℃でリラックス
熱処理した後、分散染料を用いて120℃で染色した。
染色後の編物を下記組成の加工液に浸し、マングルロー
ルでピックアップ100重量%で絞り、120℃で2分
乾燥した後、170℃で1分間熱処理し、繊維表面に光
触媒化合物を有する織物を得た。
【0078】 シリコーン系樹脂(濃度45%) 東レダウコーニングシリコーン(株)製 “BY22−826” 2.0重量% フッ素系樹脂(濃度20%) 明星化学工業(株)製 “AG−710” 5.0重量% チタンとケイ素の複合酸化物(濃度20%) 大京化学(株)製 “TR−T2” 0.8重量% この編物について、平均伸長率、平均伸長回復率、消臭
性、抗菌性、防汚性を評価した。結果を表3に示す。表
3に示すように、ストレッチ特性に優れているととも
に、消臭性、抗菌性、防汚性をも有する編地であった。 (実施例4)28Gのシングルトリコット機にて、図3
の編方図のBack側構成糸ハにPPT/PETのサイ
ドバイサイド型複合繊維(繊維断面は図2のa)である
44デシテックス24フィラメントを配し、Front
側構成糸ニに通常糸であるポリエステルフィラメント糸
(東レ(株)製“テトロン”)44デシテックス36フ
ィラメントを配し、ハーフ組織編地を編成した。この編
地設計における糸混率は、PPT/PETサイドバイサ
イド複合糸が18%、通常糸が82%であった。
【0079】次に得られた生機を110℃でリラックス
熱処理した後、分散染料を用いて120℃で染色した。
染色後の編物を下記組成の加工液に浸し、マングルロー
ルでピックアップ100重量%で絞り、120℃で2分
乾燥した後、170℃で1分間熱処理し、繊維表面に光
触媒化合物を有する織物を得た。
【0080】 アルキルシリケート系樹脂(濃度20%) 共栄社化学(株)製 “CLG−520” 1.0重量% シリコーン系樹脂(濃度45%) 東レダウコーニングシリコーン(株)製 “BY22−826” 2.0重量% チタンとケイ素の複合酸化物(濃度20%) 大京化学(株)製 “TR−T2” 0.8重量% この編物について、平均伸長率、平均伸長回復率、消臭
性、抗菌性、防汚性を評価した。結果を表3に示す。表
3に示すように、ストレッチ特性に優れているととも
に、消臭性、抗菌性、防汚性をも有する編地であった。 (比較例1)経糸と緯糸の両方に84デシテックス72
フィラメントの交絡を有するポリエチレンテレフタレー
トの仮撚加工糸を用い、2/1綾組織の織物をウォータ
ージェットルームにてタテ110×ヨコ80(本/2.
54cm)の生機密度で製織した。
【0081】得られた生機を実施例1と同様の処理を行
った。この時の仕上げ反の密度はタテ155×ヨコ90
(本/2.54cm)であった。
【0082】表2に示すように、ストレッチ性に劣るも
のであった。 (比較例2)実施例3と同じ丸編機を用い、図2の編方
図における構成糸イ、ロとも通常糸であるポリエチレン
テレフタレートフィラメントの仮撚加工糸83デシテッ
クス36フィラメント糸を用い、編方図の給糸口F1、
F2各々に給糸し、通常糸100%からなるインターロ
ック組織編地を編成した。
【0083】次に得られた生機について、実施例3と同
一の染色仕上げ加工を行った。
【0084】表3に示すように、ストレッチ性に劣るも
のであった。 (比較例3)経糸と緯糸の両方に84デシテックス72
フィラメントの交絡を有するポリエチレンテレフタレー
トの仮撚加工糸を用い、2/1綾組織の織物をウォータ
ージェットルームにてタテ110×ヨコ80(本/2.
54cm)の生機密度で製織した。
【0085】次に得られた生機を液流バッチ方式により
110℃でリラックス熱処理し、乾熱ピンテンター方式
により190℃で中間セットし、減量率15%のアルカ
リ減量を行った後、分散染料を用いて120℃で染色し
た。
【0086】次いで、120℃で2分乾燥した後、18
0℃で1分間熱処理した。仕上反の密度はタテ145×
ヨコ94(本/2.54cm)であった。この織物につ
いて、織物伸長率、消臭性、抗菌性、防汚性を評価し
た。結果を表2に示す。
【0087】表2に示すように、ストレッチ性、消臭
性、抗菌性、防汚性に劣るものであった。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、優れたストレッチ性と
耐久性に優れた消臭、抗菌、防汚性能を有する繊維構造
物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の伸長−伸長回復曲線の説明図である。
【図2】本発明実施例3の編地の編み方図の一例であ
る。
【図3】本発明実施例4の編地の編み方図の一例であ
る。
【符号の説明】
F1:編機の給糸口NO F2:編機の給糸口NO イ:編地構成糸 ロ:編地構成糸 ハ:編地構成糸 ニ:編地構成糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D03D 15/00 D04B 1/16 4L041 D04B 1/16 21/00 B 4L048 21/00 D06M 15/643 D06M 11/46 11/12 15/643 Fターム(参考) 4L002 AA07 AB05 AC01 CA01 CB01 DA03 DA04 DA05 EA06 FA01 4L031 AB09 AB32 AB33 BA09 BA11 BA19 CA01 DA12 DA13 DA19 4L033 AA07 AB01 AB02 AB03 AB05 AB06 AB09 AC04 AC10 AC15 CA59 DA06 DA07 4L035 CC20 EE11 EE20 4L036 MA05 MA17 MA24 MA33 PA05 PA21 4L041 AA07 AA20 BA02 BA05 BA09 BA59 BC05 BD14 CA06 CA08 DD01 DD04 DD15 4L048 AA21 AA22 AA30 AA50 AA55 AA56 AB07 AB12 AB14 AB16 BA01 BA02 CA00 CA04 DA01 DA03 EA01 EB00 EB04 EB05

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリトリメチレンテレフタレートを主体と
    するポリエステル系繊維構造物であって、少なくとも繊
    維表面上に、チタンとケイ素を含む複合酸化物と、アル
    キルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素
    系樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂とを有するこ
    とを特徴とするポリエステル系繊維構造物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のポリエステル系繊維が、
    一方がポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポ
    リエステルである2種類のポリエステル系重合体が繊維
    長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた
    複合繊維であることを特徴とするポリエステル系繊維構
    造物。
  3. 【請求項3】ポリエステル系繊維が、その収縮応力の極
    大を示す温度が110℃以上であり、かつその収縮応力
    の極大値が0.25cN/dtex以上であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル系繊維構
    造物。
  4. 【請求項4】ポリエステル系繊維の荷重下捲縮発現伸張
    率が、15%以上であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物。
  5. 【請求項5】ポリエチレンテレフタレートを主体とする
    ポリエステル系繊維のマルチフィラメント糸を経糸およ
    び緯糸の少なくとも一方に使用した織物であることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル
    系繊維構造物。
  6. 【請求項6】該マルチフィラメント糸が、下記式で示す
    撚係数Kを3000〜15000として加撚した糸条で
    あることを特徴とする請求項5に記載のポリエステル系
    繊維構造物。 T=K×[1/D1/2 ] T:1m当たりの撚数、D:糸条の繊度(dtex)×
    0.9
  7. 【請求項7】該マルチフィラメント糸が無撚であること
    を特徴とする請求項5に記載のポリエステル系繊維構造
    物。
  8. 【請求項8】該マルチフィラメント糸の糸方向の織物伸
    長率が15%以上であることを特徴とする請求項5〜7
    のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物。
  9. 【請求項9】ポリエチレンテレフタレートを主体とする
    ポリエステル系繊維を構成糸の全体重量の10%以上含
    む編地であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載のポリエステル系繊維構造物。
  10. 【請求項10】該編地のタテ・ヨコ方向における平均伸
    長率が55%以上、平均伸長回復率が60%以上である
    請求項9に記載のポリエステル系繊維構造物。
  11. 【請求項11】該複合酸化物の重量割合が、繊維構造物
    に対して0.05〜30重量%であることを特徴とする
    請求項1〜10のいずれかに記載のポリエステル系繊維
    構造物。
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