JP2013204199A - 抗菌性を有するエチレン−ビニルアルコール系繊維および繊維集合体 - Google Patents

抗菌性を有するエチレン−ビニルアルコール系繊維および繊維集合体 Download PDF

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Abstract

【課題】抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体を含有する抗菌性繊維およびこの抗菌性繊維からなる繊維集合体を提供する。
【解決手段】前記抗菌性繊維は、無機系抗菌微粒子を内部に分散した状態で含有する抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、繊維表面の少なくとも一部に存在し、以下(1)〜(2)を満足する。
(1)該微粒子の平均粒径が0.01μm〜20μmであること。
(2)抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有率(E)が10〜70モル%であること。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機系抗菌剤微粒子がエチレン−ビニルアルコール系共重合体中に分散されている抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体を含有する抗菌性繊維およびこの抗菌性繊維からなる繊維集合体に関する。
21世紀は快適さが求められる時代と言われ、医療現場や福祉施設、また、食品加工会社や家庭において抗菌性へのニーズが高まっている。医療現場では、院内感染防止のため医療器具やユニフォーム、備品、内装材にまで抗菌処理が施され、医療設備全体の抗菌化が進んでいる。また、高齢化社会を迎え、急増する老人福祉施設においては医療現場に準じた微生物制御が厳しく要求され感染症や喘息などの予防のために施設全体の抗菌処理が施されている。食品加工会社や家庭においては、病原性大腸菌やサルモネラ菌などによる食中毒の発生を防止するため調理器具や設備、建物、その他水回り台所用品などのあらゆる生活用品といった広い範囲において抗菌化が進んでいる。以上の様な理由から、高温多湿の環境下で生活するすべての人にとって、消臭、抗菌性等の加工が施された繊維製品は快適な生活を送る上で必需品となっている。
一般的な抗菌剤を大別すると、有機系抗菌剤と、無機系抗菌剤に大別することが出来る。
有機系抗菌剤としては、フェノール、ハロゲンや硫黄を含有する有機系抗菌剤、およびそれ以外にも種々の抗菌剤が知られている(特許文献1参照)。しかし、有機系抗菌剤は、ハロー効果を示し、抗菌性には優れるものの、皮膚炎を引き起こすなど人体に有害な物質が多く、また無機系抗菌剤に比べて耐熱性、安定性に乏しいために、高分子材料に添加して繊維を製造する際や、有機系抗菌剤を用いた繊維製品を水分や油分と接触して使用した場合に、分解、変質、製品からの散逸などを生じて抗菌効力を失い易く、しかも臭気の発生や繊維物性の低下などを生ずる。かかる点から、有機系抗菌剤は加熱を伴う繊維や繊維製品の製造時にはあまり用いられていないのが実情である。
一方、無機系抗菌剤としては、銀、銅、錫、亜鉛などの特定の金属のイオンが抗菌作用を有することは古くから知られており、前記金属イオンをゼオライト、リン酸ジルコニウム、シリカゲル、酸化チタン、ヒドロキシアパタイトなどの各種の無機担体にイオン交換作用や吸着作用などによって担持させた無機系抗菌剤、前記金属イオンを含有する無機化合物自体からなる無機系抗菌剤などがある。無機系抗菌剤は、有機系抗菌剤と比較して安全性が高いうえ、揮発や分解などを起こしにくいため、抗菌効果の持続性、耐熱性に優れている。かかる点から、無機系抗菌剤をバインダーによって繊維表面に付着させた繊維(特許文献2,3,4,5,6参照)や、無機系抗菌剤を繊維製造時に樹脂中に練りこみ紡糸した繊維などが知られている(特許文献7,8,9参照)。
しかし、無機系抗菌剤をバインダー樹脂を介して繊維、あるいは繊維製品に付着させる方法は、磨耗や洗濯によってバインダー樹脂と共に抗菌剤が脱落して加工繊維の抗菌性能が早期に失われやすいだけでなく、バインダー樹脂を介して付着させるため、付着方法によっては付着斑などの問題も生じることもあるため、繊維や繊維製品の性能を損うといった欠点を有している。さらに、無機系抗菌剤をバインダー樹脂を介して繊維、あるいは繊維製品に付着させる方法を用いた場合、バインダー樹脂中に無機系抗菌剤を分散させる工程などの煩雑な加工工程が増えるため、コスト的にも環境への負荷の観点からも不利である 。
そのため、上記の問題点を解決するために、銀イオン等の抗菌性金属イオンを担持したゼオライト粒子を無機抗菌剤として繊維製造時に樹脂中に練りこみ、紡糸させる方法が提案されている。しかし、このような無機抗菌剤をポリエステルやポリオレフィン系などの疎水性ポリマーに練りこんだ場合、繊維内部に存在する無機抗菌剤は抗菌性能を発現させることが出来ないため、繊維表面上に抗菌剤を露出させるため多量の抗菌剤を添加させる必要があるだけでなく、均一に露出させることも困難なため、抗菌性能にバラツキを生じるという欠点を有していた。
そこで疎水性を改善し親水性を向上させることで抗菌性能を安定化させるため、抗菌性ゼオライトを含有するポリエチレングリコールやスルホイソフタル酸ソーダを共重合したポリエステル系成形体(特許文献10参照)、銀イオンを担持したゼオライト粒子をポリアミド中に練りこみ、紡糸させる方法(特許文献11参照)、銀イオンを担持したリン酸ジルコニウムセラミックスを含有する抗菌性ポリアミド繊維(特許文献12参照)が提案されている。
特開2006−52205号公報 特開平5−057002号公報 特開平11―279952号公報 特開平10−325075号公報 特開平9−13279号公報 特開2000−7511号公報 特開平5−153874号公報 特開平8−325915号公報 特開2004−190197号公報 特公平06−094534号公報 特開平8−151515号公報 特開平7−324225号公報
しかしながら、特許文献10では、親水成分を共重合することによりポリエステル繊維の力学特性などの性能が著しく損なわれ、その結果、抗菌性繊維として持続して利用できない。また、特許文献11および12に記載の抗菌性ポリアミド繊維は黄変しやすく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などの添加剤を繊維表面上に付着させる必要があるが、このような添加剤を付着させても、長期使用における耐黄変性の低下は避けられない。
したがって、本発明の目的は、抗菌性繊維として持続的に使用可能であるだけでなく、耐黄変性を有する抗菌性繊維、およびこのような抗菌性繊維を含む繊維集合体を提供するものである。
本発明者等は、鋭意検討した結果、特定のエチレン含量のエチレン−ビニルアルコール系共重合体に対して、特定の粒径の無機系抗菌剤微粒子を組合わせて溶融紡糸すると、(i)エチレン−ビニルアルコール系共重合体の優れた吸水性能に起因するのか、内部に無機系抗菌剤微粒子を分散した状態であっても、無機系微粒子から金属イオンを溶出させて抗菌作用を発揮させることが可能であること、さらに(ii)このような抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、分子内に2重結合などを有しないため、紫外線吸収剤などを繊維表面に付着させなくとも、紫外線暴露時も繊維の黄変を抑制することが可能であること、を見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、無機系抗菌微粒子を内部に分散した状態で含有する抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、繊維表面の少なくとも一部に存在し、以下(1)〜(2)を満足する抗菌性繊維である。
(1)該微粒子の平均粒径が0.01μm〜20μmであること。
(2)抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有率(E)が10〜70モル%であること。
このような繊維では、抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、抗菌繊維の全周長の50%以上を被覆しているのが好ましい。また、無機系抗菌微粒子では、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン、および錫イオンからなる群から選択された少なくとも一種の金属イオンが、包接格子を有する無機担体内部に内包されているのが好ましい。
また、抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有率(E:モル%)と、抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体中の無機系抗菌微粒子の割合(W:重量%)とは、以下に示す式(1)の関係を有しているのが好ましい。
1 ≦ (100−E)× W ≦ 90
また、本発明は、前記抗菌性繊維を含有する繊維集合体についても包含する。
なお、本発明において、抗菌剤とは、狭義の細菌(ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌、コレラ菌、赤痢菌、炭疽菌、結核菌、ボツリヌス菌、破傷風菌、レンサ球菌など)、真菌またはカビ(白癬菌、カンジダ、アスペルギルスなど)だけでなく、ウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIVなど)を含む有害微生物に対する防除作用(すなわち、有害微生物の生長の阻害および・または抑制作用)を有する薬剤を意味する。
本発明では、特定のエチレン含有率を有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体内に、特定の粒子径を有する無機系抗菌微粒子を分散させた抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体を用いて繊維または繊維集合体を形成しているため、無機系抗菌微粒子が磨耗や洗濯によって繊維から脱落するという問題もなく、持続性に優れた抗菌性を発揮できる。
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の通湿性、透水性により、樹脂内部に埋没された無機系抗菌剤からも効果的に金属イオンを放出することが出来るため、他の疎水性熱可塑性樹脂から成る抗菌繊維に対し、効果的に抗菌性能を発現させることが出来る。
さらにエチレン−ビニルアルコール系共重合体は紫外線により黄変しないため、アミド系樹脂から成る抗菌繊維に対し、高品質な繊維を提供することが出来る。
さらにまた、本発明の抗菌性繊維は、高温多湿下において用いても、繊維性能を維持できるだけでなく、優れた抗菌性を発揮することが可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の抗菌性繊維は、無機系抗菌微粒子を内部に分散した状態で含有する抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体を含有している。
[抗菌性エチレン−ビニルアルコール共重合体]
本発明に用いられる抗菌性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン単位の割合(共重合割合)が、10〜70モル%であり、残余がビニルアルコール単位単独またはビニルアルコールとその他のビニル系モノマーの繰り返し単位からなるものである。エチレン単位の割合は、好ましくは20〜55モル%、さらに好ましくは30〜50モル%程度であってもよい。なお、ビニルアルコール単位とその他のビニル系モノマー単位が併用される場合、ビニルアルコール単位の割合は、その他のビニル系モノマー単位よりも通常多く、モル比で(ビニルアルコール単位):(その他のビニル系モノマー単位)=55:45〜99.9:0.1程度、70:30〜99.9:0.1程度、または80:20〜99.9:0.1程度であってもよい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体におけるエチレン単位の割合が10モル%よりも少ないと、繊維化する際の曳糸性が不良となって紡糸時の単糸切れ、断糸切れが多くなり、しかも柔軟性の欠けたものとなる。更に、低温の水で膨潤化し形態が変化してしまうという問題も発生する。
一方、エチレン単位の割合が70モル%を超えると、ビニルアルコール単位、すなわち水酸基の割合が必然的に少なくなるため、吸湿性が低下し、共重合体内部に保持された無機系抗菌剤微粒子の効果が十分に得られなくなるため好ましくない。
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン/酢酸ビニル系共重合体の酢酸ビニル部分をケン化することにより得ることができ、エチレン−ビニルアルコール共重合体におけるビニルアルコール単位のケン化度は、例えば、90〜99.99モル%程度であり、好ましくは95〜99.98モル%、さらに好ましくは96〜99.97モル%程度である。ケン化度が小さすぎると、強度等の物性が低下するだけでなく、熱安定性が低下し、熱分解やゲル化によって安定性が低下する。一方、ケン化度が大きすぎると、繊維自体の製造が困難となる。
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体の数平均分子量は、例えば、5000〜25000程度、好ましくは8000〜20000程度であってもよい。ここで言う数平均分子量とは、GPC法により測定した値である。
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、例えば(株)クラレよりエバールの商品名で、また日本合成化学工業(株)よりソアノールの商品名で市販されており、容易に入手可能である。また、市販されているエチレンと酢酸ビニルからラジカル重合等によってエチレン/酢酸ビニル共重合体を製造し、それをケン化して使用してもよい。
[無機系抗菌剤微粒子]
本発明で用いる無機系抗菌剤微粒子の種類は特に制限されず、繊維の溶融紡糸時の加熱などにより揮発、分解、変質などを生じず、かつ短期間で抗菌作用が低下しない無機系抗菌剤微粒子のいずれもが使用できる。
本発明で用い得る無機系抗菌剤微粒子の例としては、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン、錫イオンなどの抗菌作用を有する金属イオンを無機担体に内包させた無機系抗菌剤微粒子、酸化チタン系無機系抗菌剤微粒子などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
抗菌性を有する金属イオンを内包し、繊維の劣化作用を抑制できる限り、無機担体の種類は特に制限されないが、例えば、このような無機担体としては、包接格子を有する無機担体が好ましく用いられる。包接格子とは、原子や分子が入り込む程度の隙間で、この包接格子を有する無機粉体は微小な層状やかご状空洞を有する構造の部分に分子をとじ込める性質を持っている。
包接格子を有する無機担体としては、ゼオライト、層状リン酸塩(リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸カルシウムなど)、層状粘度鉱物、遷移金属カルコゲン化物、黒鉛、遷移金属酸化物、層状酸素酸塩などが挙げられる。これらの無機担体は、単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
そのなかでも高いイオン交換能を有するゼオライト、リン酸ジルコニウムが特に好ましい。上記した無機系抗菌剤微粒子のうちでも、本発明では、銀イオンを前記した無機担体に保持させた無機系抗菌剤微粒子が特に好ましく用いられる。
本発明に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体に含有させる無機系抗菌剤微粒子の平均粒径は、0.01〜20μmであり、0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜6μmであることがより好ましい。無機系抗菌剤微粒子の平均粒径が20μmよりも大きいと、紡糸する際に断糸、フィルター詰りが発生しやすく、また、繊維からの無機系抗菌剤微粒子の脱落などが起き易くなるため好ましくない。一方、無機系抗菌剤微粒子の平均粒径が0.01μmよりも小さいと、練り込みの際に無機系抗菌剤微粒子間の凝集などが生じやすく、エチレン−ビニルアルコール共重合体中に均一に分散されにくくなるため好ましくない。
本発明に用いられる抗菌性エチレン−ビニルアルコール共重合体に含有させる無機系抗菌剤微粒子の添加量は、抗菌性エチレン−ビニルアルコール共重合体の重量に基づいて0.01〜10重量%にするのが好ましく、0.1〜5重量%がより好ましく、0.5〜1.5重量%が特に好ましい。無機微粒子における抗菌性金属イオンによるイオン交換容量または吸着量にもよるが、イオン交換容量または金属イオン吸着能の90%以上が抗菌性の金属イオンでイオン交換または吸着されている無機微粒子を使用する場合であっても、抗菌性金属イオン保持無機微粒子の添加量が0.01重量%よりも少ないと繊維に充分な抗菌性を付与しにくく、特に耐久性のある抗菌性が得られにくくなる。一方、10重量%を超えると、抗菌性能は充分であるが、無機系抗菌剤微粒子間の凝集が発生しやすくなりフィルターの目詰まりなどにより繊維化工程性が悪化するため好ましくない。
また、本発明に用いられる抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有率(E:モル%)と、抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体中の無機系抗菌微粒子の割合(W:重量%)とは、以下に示す式の関係を有してもよい。
例えば、1 ≦ (100−E)× W ≦ 90、
好ましくは5 ≦ (100−E)× W ≦ 80。
本発明の抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維は、無機系抗菌微粒子を内部に分散した状態で含有する抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体を、少なくとも外表面に有している限り特に限定されず、抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体単独からなる繊維であってもよいし、他の熱可塑性重合体との複合繊維であってもよい。
本発明に用いる他の熱可塑性重合体は、抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体と複合可能である限り特に限定されず、繊維の目的に応じて幅広い種類を利用することが可能である。例えば、他の熱可塑性重合体としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性エラストマー、などの熱可塑性重合体を例示することができる。なお、抗菌性を有さないエチレン−ビニルアルコール共重合体を他の熱可塑性重合体として用いても良い。上記の中でも、特に耐熱性、繊維形成性及び寸法安定性の点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂を用いることが好ましい。
本発明の繊維が複合繊維である場合には、エチレン−ビニルアルコール共重合体:他の熱可塑性重合体の複合割合を、重合比率で、10:90〜90:10であることが望ましい。この範囲外であると、複合比率がアンバランスになるためノズル吐出後の放出糸が屈曲するなどの問題が生じ、紡糸性が不良になるため好ましく無い。より好ましくは、エチレン−ビニルアルコール共重合体:他の熱可塑性重合体の複合割合を、重合比率で、30:70〜70:30であることが望ましい
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが好ましく、これらのポリオレフィン系樹脂にも、共重合可能な他の単位が含まれていてもよい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリC2−4アルキレンアリレート系樹脂などの芳香族ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、特に、PETなどのポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、エチレンテレフタレート単位の他に、他のジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、フタル酸、4,4′−ジフェニルカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など)やジオール(例えば、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)で構成された単位を20モル%以下程度の割合で含んでいてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド6−12などの脂肪族ポリアミドおよびその共重合体、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成された半芳香族ポリアミドなどが好ましい。これらのポリアミド系樹脂にも、共重合可能な他の単位が含まれていてもよい。
本発明の複合繊維における複合形態としては、無機系抗菌微粒子を繊維内部に含有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体を、少なくとも外表面の一部に有している限り、芯鞘型、海島型、貼り合わせ型、それらの混在型等の任意の形態が挙げられる。芯鞘型の場合は、2層芯鞘型および3層以上の多層芯鞘型のいずれでもよい。また海島型の場合は、島の形状、数、分散状態を任意に選ぶことができ、島の一部が繊維表面に露出していてもよい。更に貼り合わせ型の場合は、繊維の長さ方向に直角な繊維断面において、貼り合わせ面が直線状、円弧状またはその他、任意のランダムな曲線状のいずれの状態になっていてもよく、更に複数の貼り合わせ部分が平行になっていても、放射状になっていても、その他、任意の形状であってもよい。
抗菌作用を発揮できる限り、抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体は繊維表面の一部に存在していればよいが、抗菌作用を高めるため、抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、繊維全周長の50%以上を被覆しているのが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは100%被覆しているのが好ましい。
本発明の繊維の断面形状はどのようなものであってもよく、円形または異形の形状とすることができる。異形断面の場合は、例えば偏平形、楕円形、三角形〜八角形等の角形、T字形、H字状、V字状、ドッグボーン(I字状)、3〜8葉形等の多葉形等の任意の形状とすることができ、それらの中空断面状などであってもよい。
本発明の繊維および糸は、モノフィラメント等の長繊維、ステープル等の短繊維、フィラメント糸、紡績糸、本発明の繊維と天然繊維、半合成繊維、他の合成繊維との混繊糸や混紡糸、合撚糸等のいずれでもよい。更に本発明の繊維製品は、それらの繊維や糸からなる編織物、不織布、最終的な衣類、タオル等の繊維製品等のいずれでもよい。
本発明の抗菌性繊維の繊度は、用途に応じて、例えば、0.01〜100dtex程度の範囲から選択でき、好ましくは0.5〜30dtex、更に好ましくは1.0〜10dtexである。繊度が0.01dtex未満の場合、繊維からの無機系抗菌剤微粒子の脱落が起き易くなるため好ましくない。また、繊度が100dtexを超える場合、樹脂内部に存在する抗菌剤の性能が十分に発揮されなくなるため好ましくない。
本発明の繊維、または繊維製品は、さらに、慣用の添加剤、例えば、安定剤(銅化合物などの熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、微粒子、着色剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、難燃剤、消臭剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、繊維中に含まれていてもよく、繊維集合体表面に担持されていてもよい。
本発明の抗菌性繊維は、モノフィラメント等の長繊維、ステープル等の短繊維として利用することができ、このような繊維から、糸を含む各種繊維集合体(繊維構造物)を形成することができる。ここで繊維集合体としては、マルチフィラメント糸、紡績糸、本発明の繊維と天然繊維、半合成繊維、他の合成繊維との混繊糸や混紡糸、合撚糸などの糸類;各種織編物、不織布などの布帛;合成紙;樹脂成型物などが挙げられる。これらの繊維および繊維集合体には、必要に応じて、仮撚捲縮加工、交絡処理等の任意の処理を施してあってもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は何等これらに限定されるものではない。
<繊度>
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.5.1)」に準じて評価した。
<強度>
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.7.1)」に準じて評価した。
<伸度>
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.7.1)」に準じて評価した。
[繊維断面におけるB成分の被覆率]
繊維断面写真から、ランダムに選択したフィラメント10本について、各フィラメントの繊維被覆部の長さを測定して繊維断面周長に対する抗菌性の重合体部位長の百分率(被覆率)を出し、各フィラメントの被覆率の平均値を求めた。
<原綿の抗菌性試験>
実施例または比較例で得られた繊維150gを、温度60℃の水20リットルを入れたバケツに投入して、30分間精練処理した後、すすぎを30分間行い、脱水後乾燥した。精練処理済の原綿をJIS L 1902「繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果」に準拠して抗菌性を試験した。なお、試験菌として、黄色ブドウ球菌および肺炎桿菌を用い(菌液濃度1/20NB,菌液滴下量0.2ml)、無加工検体には綿布を用い、下記式より殺菌活性値を算出した。なお、殺菌活性値が0以上の場合、制菌効果があると認められる。
・静菌活性値:作用時間前後の生菌数の差を対数で表した値
静菌活性値=Log(A/B)
A=無加工検体の接種直後に分散回収した菌数
B=加工検体の18時間培養後に分散回収した菌数
(実施例1:単独繊維)
(1)エチレン含有量44モル%から成るエチレン−ビニルアルコール共重合体99質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径2.5μm、略立方体形)1質量部を配合して溶融押出機にて、紡糸温度240℃で紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、スタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて捲縮処理を行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで下記、表1に示す繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。上記した方法で、繊度、強度、伸度、黄変性、抗菌性を評価した結果を表1に示す。
(実施例2:複合繊維)
(1)エチレン含有量44モル%から成るエチレン−ビニルアルコール共重合体99質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径2.5μm、略立方体形)1質量部を配合させた共重合体を鞘成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体を芯成分として、溶融押出機から成る複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、スタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて捲縮処理を行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで下記、表1に示す繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。上記した方法で、繊度、強度、伸度、黄変性、抗菌性を評価した結果を表1に示す。
(実施例3:複合繊維)
(1)エチレン含有量20モル%から成るエチレン−ビニルアルコール共重合体99質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径2.5μm、略立方体形)1質量部を配合させた共重合体を鞘成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体を芯成分として、溶融押出機から成る複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、スタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて捲縮処理を行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで下記、表1に示す繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。上記した方法で、繊度、強度、伸度、黄変性、抗菌性を評価した結果を表1に示す。
(実施例4:複合繊維)
(1)エチレン含有量65モル%から成るエチレン−ビニルアルコール共重合体99質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径2.5μm、略立方体形)1質量部を配合させた共重合体を鞘成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体を芯成分として、溶融押出機から成る複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、スタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて捲縮処理を行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで下記、表1に示す繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。上記した方法で、繊度、強度、伸度、黄変性、抗菌性を評価した結果を表1に示す。
(実施例5:複合繊維)
(1)エチレン含有量44モル%から成るエチレン−ビニルアルコール共重合体99質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径0.02μm、略立方体形)1質量部を配合させた共重合体を鞘成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体を芯成分として、溶融押出機から成る複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、スタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて捲縮処理を行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで下記、表1に示す繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。上記した方法で、繊度、強度、伸度、黄変性、抗菌性を評価した結果を表1に示す。
(実施例6:複合繊維)
(1)エチレン含有量44モル%から成るエチレン−ビニルアルコール共重合体99質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径15μm、略立方体形)1質量部を配合させた共重合体を鞘成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体を芯成分として、溶融押出機から成る複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、スタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて捲縮処理を行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで下記、表1に示す繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。上記した方法で、繊度、強度、伸度、黄変性、抗菌性を評価した結果を表1に示す。
(比較例1:複合繊維)
(1)エチレン含有量44モル%から成るエチレン−ビニルアルコール共重合体を鞘成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体を芯成分として、溶融押出機から成る複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、スタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて捲縮処理を行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで下記、表2に示す繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。上記した方法で、繊度、強度、伸度、黄変性、抗菌性を評価した結果を表2に示す。
(比較例2:複合繊維)
(1)エチレン含有量6モル%から成るエチレン−ビニルアルコール共重合体99質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径2.5μm、略立方体形)1質量部を配合させた共重合体を鞘成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体を芯成分として、溶融押出機から成る複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取ったが、紡糸の際に曳糸性が不良であったため、断糸回数が多くなった。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、スタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて捲縮処理を行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで下記、表2に示す繊維を得た。上記した方法で、繊度、強度、伸度、黄変性、抗菌性を評価した結果を表2に示す。
(比較例3:複合繊維)
(1)エチレン含有量75モル%から成るエチレン−ビニルアルコール共重合体99質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径2.5μm、略立方体形)1質量部を配合させた共重合体を鞘成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体を芯成分として、溶融押出機から成る複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、スタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて捲縮処理を行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで下記、表2に示す繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。上記した方法で、繊度、強度、伸度、黄変性、抗菌性を評価した結果を表2に示す。
(比較例4:複合繊維)
(1)エチレン含有量44モル%から成るエチレン−ビニルアルコール共重合体99質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径0.005μm、略立方体形)1質量部を配合させた共重合体を鞘成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体を芯成分として、溶融押出機から成る複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取ったが、紡糸の際に抗菌剤が凝集しフィルターが目詰まりしたため、断糸回数が多くなった。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、スタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて捲縮処理を行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで下記、表2に示す繊維を得た。上記した方法で、繊度、強度、伸度、黄変性、抗菌性を評価した結果を表2に示す。
(比較例5:複合繊維)
(1)エチレン含有量44モル%から成るエチレン−ビニルアルコール共重合体99質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径25μm、略立方体形)1質量部を配合させた共重合体を鞘成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体を芯成分として、溶融押出機から成る複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取ったが、紡糸の際にフィルターが目詰まりしたため、断糸回数が多くなった。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、スタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて捲縮処理を行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで下記、表2に示す繊維を得た。上記した方法で、繊度、強度、伸度、黄変性、抗菌性を評価した結果を表2に示す。
(比較例6:単独繊維PP)
(1)ポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y2005GP」)99質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径2.5μm、略立方体形)1質量部を配合して溶融押出機にて、紡糸温度240℃で紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、スタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて捲縮処理を行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで下記、表2に示す繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。上記した方法で、繊度、強度、伸度、黄変性、抗菌性を評価した結果を表2に示す。
(比較例7:単独繊維PA)
(1)ポリアミド6(宇部興産(株)製「1013BK」)99質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径2.5μm、略立方体形)1質量部を配合して溶融押出機にて、紡糸温度240℃で紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、スタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて捲縮処理を行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで下記、表2に示す繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。上記した方法で、繊度、強度、伸度、黄変性、抗菌性を評価した結果を表2に示す。
Figure 2013204199
Figure 2013204199
表1に示すように、実施例1〜6の繊維では、紡糸性に優れるとともに、抗菌性と耐黄変性を示していた。エチレン含有量20〜44モル%から成るエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いた場合、高い殺菌活性を示し、特に、実施例3のエチレン含有量20モル%から成るエチレン−ビニルアルコール共重合体では、高い殺菌活性を示していた。
一方、表2に示すように、比較例2では、エチレン含有量が低すぎるため紡糸性に劣っており、比較例3では、エチレン含有量が高すぎるため、殺菌活性に劣っていた。
比較例4は、無機抗菌微粒子の平均粒径が低いことに起因して、紡糸性が悪く、さらにエチレン−ビニルアルコール共重合体内部に無機抗菌微粒子が埋没しているのか、殺菌活性も劣っていた。
比較例5は、無機抗菌微粒子の平均粒径が高すぎるためことに起因して、紡糸性が悪く、さらにエチレン−ビニルアルコール共重合体から無機抗菌微粒子が脱落しているため、殺菌活性も劣っていた。
比較例6では、無機抗菌微粒子が疎水性のポリプロピレン繊維に内包されているため、殺菌活性に劣っていた。
比較例7では、殺菌活性は優れているものの、ポリアミドを利用しているため耐黄変性に劣っていた。
本発明の抗菌性繊維は、持続性のある抗菌性を要求される場面におけるあらゆる用途の繊維製品として利用可能であり、例えば具体的な例として、上着、肌着、ユニフォーム、手術衣、病衣、白衣、作業服、エプロン、帽子、腹巻、靴下、手袋、マフラーなどの衣類;靴中敷、フトン、フトンカバー、マクラカバー、ベッド、ベッドカバー、毛布、シーツ、バスマット、タオル、フェイスタオル、ボディタオル、キャビネットタオル、テーブルクロス、おむつカバー、スリッパ、歯ブラシなどの生活用品;ティッシュペーパー、ペーパータオル、紙おむつなどの消耗品;テーブルふきん、モップ用糸、ローリングワイパー、ウエットティッシュなどの清掃用品;手術用縫糸、包帯、貼付剤基布、ガーゼ、マスク、床擦れ防止マット、カルテ用紙などの医療用品;カーテン、シャワーカーテン、ネット、ドアノブカバー、カーペット、食品用容器などの種々のリビング資材、エアコンフィルターや空気清浄器および浄水フィルター等のフィルター用素材;加湿器の蒸散板、壁紙などの産業資材に使用することができる。
以上のとおり、本発明の好適な実施態様を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。

Claims (5)

  1. 無機系抗菌微粒子を内部に分散した状態で含有する抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、繊維表面の少なくとも一部に存在し、以下(1)〜(2)を満足する抗菌性繊維。
    (1)該微粒子の平均粒径が0.01μm〜20μmであること。
    (2)抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有率(E)が10〜70モル%であること。
  2. 請求項1において、抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、抗菌繊維の全周長の50%以上を被覆している抗菌性繊維。
  3. 請求項1または2において、無機系抗菌微粒子では、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン、および錫イオンからなる群から選択された少なくとも一種の金属イオンが、包接格子を有する無機担体内部に内包されている抗菌性繊維。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有率(E:モル%)と、抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体中の無機系抗菌微粒子の割合(W:重量%)とが、以下に示す式(1)の関係を有する抗菌性繊維。
    1 ≦ (100−E)× W ≦ 90
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載された抗菌性繊維を含有する繊維集合体。
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