JP2018104833A - 抗菌性複合繊維及び繊維集合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 環境問題がなく優れた抗菌性を有するとともに、抗菌性エチレン−ビニルアルコール系共重合体を含有する抗菌性複合繊維、及び、紡糸安定性に優れた抗菌性ポリエステル複合繊維の製造方法を提供する。【解決手段】 酸化亜鉛微粒子を0.2〜20質量%含有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A成分)と、非水溶性熱可塑性樹脂(B成分)とで構成された複合繊維であって、繊維断面において、A成分が芯となり、B成分がA成分の全周長の70%以上を被覆している、抗菌性複合繊維。【選択図】 なし
Description
本発明は、酸化亜鉛微粒子がエチレン−ビニルアルコール系共重合体中に分散されている抗菌性複合繊維および該抗菌性複合繊維からなる繊維集合体に関する。
21世紀は快適さが求められる時代と言われ、医療現場や福祉施設、また、食品加工会社や家庭において抗菌性へのニーズが高まっている。食品加工会社や家庭においては、病原性大腸菌やサルモネラ菌などによる食中毒の発生を防止するため調理器具や設備、建物、その他水回り台所用品などのあらゆる生活用品といった広い範囲において抗菌化が進んでおり、ポリエステル繊維は優れた力学特性、化学特性、加工性、イージーケアー性を有することから、衣料用、寝装具用、インテリア用、産業資材用等に広く使用されている。近年、これらの繊維用途において、快適性機能の一つとして抗菌性を付与した繊維に対する要望が高まってきている。
一般に、銀、銅、錫、亜鉛などの特定の金属のイオンが抗菌作用を有することは古くから知られており、洗濯耐久性を向上させる目的で、銀、亜鉛、銅イオンを担持させたゼオライト、リン酸ジルコニウムなどの無機系抗菌剤を繊維中に含有させた抗菌性ポリエステル繊維が知られている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1では無機系抗菌剤に含まれる抗菌作用を有する金属イオン量が少なく抗菌性能の低下が否めない。また、医療関係や食品、製薬、化粧品産業の作業では汚れ判別のため、清潔感のある白色の作業衣着が好まれるが、無機系抗菌剤として、ゼオライト、リン酸ジルコニウムなどの無機担体を用いた場合、繊維自体の白度が低下し、衣服の清潔感が損なわれる問題があった。
また、金属イオンを有するポリエステル繊維の製造方法としてカップリング剤で被覆した酸化亜鉛粒子を用いることで耐候性にも優れたポリエステル繊維がある(特許文献2)。酸化亜鉛微粒子は光触媒活性を有するために、該微粒子を樹脂中に含有させると光劣化が生じ、得られる繊維の物性が劣ったものになるが、前記欠点に対して、特許文献2では粒子の表面をカップリング剤で被覆処理し光触媒活性を抑制することで、物性劣化を低減している。しかし、カップリング剤の耐熱性や被覆処理によるコスト的に不利になる課題があった。
本発明の目的は、抗菌性複合繊維として持続的に使用可能であるだけでなく、高い白度を有する抗菌性複合繊維、および該抗菌性複合繊維を含む繊維集合体を提供するものである。
本発明者等は、鋭意検討した結果、エチレン−ビニルアルコール系共重合体に対して、酸化亜鉛微粒子を特定量を分散させて溶融紡糸すると、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の優れた吸水性能に起因するのか、内部に酸化亜鉛微粒子を分散した状態であっても、酸化亜鉛微粒子から亜鉛イオンを溶出させて抗菌作用を発揮させることが可能であること、また、白色の酸化亜鉛微粒子がエチレン−ビニルアルコール系共重合体中に分散しているため、繊維自体が高い白度を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、酸化亜鉛微粒子を0.2〜20質量%含有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A成分)と、非水溶性熱可塑性樹脂(B成分)とで構成された複合繊維であって、繊維断面において、A成分が芯となり、B成分がA成分の全周長の70%以上を被覆している、抗菌性複合繊維である。
また、前記複合繊維は、抗菌性複合繊維において、A成分中の酸化亜鉛微粒子の平均粒径が0.02μm〜10μmであることが好ましい。
前記複合繊維は、抗菌活性値が2.2以上であることが好ましく、白度が90以上であることが好ましい。さらに、前記複合繊維は、単繊維繊度が0.3〜50dtexであることが好ましい。
また、前記複合繊維は、A成分とB成分の複合比率(質量比)がA:B=90:10〜30:70であることが好ましい。さらに、該A成分が芯成分、該B成分が鞘成分である芯鞘構造を有することが好ましい。
さらに、本発明は上記抗菌性複合繊維からなる繊維集合体である。
なお、請求の範囲および/または明細書および/または図面に開示された少なくとも2つの構成要素のどのような組み合わせも、本発明に含まれる。特に、請求の範囲に記載された請求項の2つ以上のどのような組み合わせも本発明に含まれる。
本発明において、抗菌性とは、狭義の細菌(ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌、コレラ菌、赤痢菌、炭疽菌、結核菌、ボツリヌス菌、破傷風菌、レンサ球菌など)、真菌またはカビ(白癬菌、カンジダ、アスペルギルスなど)だけでなく、ウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIVなど)を含む有害微生物に対する防除作用(すなわち、有害微生物の生長の阻害および・または抑制作用)を示すことを意味する。
本発明では、抗菌性を有する酸化亜鉛微粒子を特定量分散させたエチレン−ビニルアルコール系共重合体を用いて繊維または繊維集合体を形成しているため、酸化亜鉛微粒子が磨耗や洗濯によって繊維から脱落するという問題もなく、持続性に優れた抗菌性を発揮できる。
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の通湿性、透水性により、樹脂内部に埋没された酸化亜鉛微粒子からも効果的に金属イオンを放出することが出来るため、他の疎水性熱可塑性樹脂から成る抗菌繊維に対し、効果的に抗菌性能を発現させることが出来る。
さらに、白色の酸化亜鉛微粒子がエチレン−ビニルアルコール系共重合体内に分散しているため、高い白度を有する繊維を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の抗菌性繊維は、抗菌性を有する酸化亜鉛微粒子を内部に分散した状態で含有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体を含有している。
本発明の抗菌性繊維は、抗菌性を有する酸化亜鉛微粒子を内部に分散した状態で含有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体を含有している。
[エチレン−ビニルアルコール系共重合体]
本発明の抗菌性複合繊維では、A成分にエチレン−ビニルアルコール系共重合体を用いることが重要である。本発明の抗菌性複合繊維は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の優れた吸水性能に起因するのか、樹脂内部に酸化亜鉛微粒子が分散した状態であっても、酸化亜鉛微粒子から亜鉛イオンを溶出させて抗菌作用を発揮させることが可能であるため、A成分にエチレン−ビニルアルコール系共重合体を用いることが重要である。
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、分子内に2重結合などを有しないため、紫外線吸収剤などを繊維表面に付着させなくとも樹脂自体が耐候性に優れ、紫外線による黄変を起こさないだけでなく、エチレン−ビニルアルコール系共重合体はエステル結合やアミド結合など加水分解を引き起こす結合部をポリマー主鎖中に有してしないため、樹脂中に光触媒活性を有する酸化亜鉛を含有していても、光劣化を起こすことなく、耐候性に優れるとともに繊維強度に優れる繊維を提供することが出来る。
本発明の抗菌性複合繊維では、A成分にエチレン−ビニルアルコール系共重合体を用いることが重要である。本発明の抗菌性複合繊維は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の優れた吸水性能に起因するのか、樹脂内部に酸化亜鉛微粒子が分散した状態であっても、酸化亜鉛微粒子から亜鉛イオンを溶出させて抗菌作用を発揮させることが可能であるため、A成分にエチレン−ビニルアルコール系共重合体を用いることが重要である。
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、分子内に2重結合などを有しないため、紫外線吸収剤などを繊維表面に付着させなくとも樹脂自体が耐候性に優れ、紫外線による黄変を起こさないだけでなく、エチレン−ビニルアルコール系共重合体はエステル結合やアミド結合など加水分解を引き起こす結合部をポリマー主鎖中に有してしないため、樹脂中に光触媒活性を有する酸化亜鉛を含有していても、光劣化を起こすことなく、耐候性に優れるとともに繊維強度に優れる繊維を提供することが出来る。
本発明に用いられるエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、エチレン単位の割合(共重合割合)が、10〜70モル%であり、残余がビニルアルコール単位単独またはビニルアルコールとその他のビニル系モノマーの繰り返し単位からなるものである。エチレン単位の割合は、好ましくは20〜55モル%、さらに好ましくは30〜50モル%であってもよい。なお、ビニルアルコール単位とその他のビニル系モノマー単位が併用される場合、ビニルアルコール単位の割合は、その他のビニル系モノマー単位よりも通常多く、モル比で(ビニルアルコール単位):(その他のビニル系モノマー単位)=55:45〜99.9:0.1であってもよく、70:30〜99.9:0.1であってよく、または80:20〜99.9:0.1であってもよい。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体におけるエチレン単位の割合が10モル%よりも少ないと、繊維化する際の曳糸性が不良となって紡糸時の単糸切れ、断糸切れが多くなり、しかも柔軟性の欠けた繊維となる。更に、低温の水で膨潤化し形態が変化してしまう問題が発生するため、好ましくない。
一方、エチレン単位の割合が70モル%を超えると、ビニルアルコール単位、すなわち水酸基の割合が必然的に少なくなるため、吸湿性が低下し、共重合体内部に保持された酸化亜鉛微粒子の抗菌性が十分に得られなくなるため好ましくない。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、エチレン/酢酸ビニル系共重合体の酢酸ビニル部分をケン化することにより得ることができ、エチレン−ビニルアルコール系共重合体におけるビニルアルコール単位のケン化度は、例えば、90〜99.99モル%程度であり、好ましくは95〜99.98モル%、さらに好ましくは96〜99.97モル%程度である。ケン化度が小さすぎると、強度等の物性が低下するだけでなく、熱安定性が低下し、熱分解やゲル化によって安定性が低下する。一方、ケン化度が大きすぎると、繊維自体の製造が困難となる。
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の数平均分子量は、例えば、5000〜25000程度、好ましくは8000〜20000程度であってもよい。ここで言う数平均分子量とは、GPC法により測定した値である。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、例えば(株)クラレより「エバール(商標登録)」の商品名で、また日本合成化学工業(株)より「ソアノール(商標登録)」の商品名で市販されており、容易に入手可能である。また、市販されているエチレンと酢酸ビニルからラジカル重合等によってエチレン/酢酸ビニル共重合体を製造し、それをケン化して使用してもよい。
(酸化亜鉛微粒子)
本発明の抗菌性複合繊維では、持続性に優れた抗菌性及び高い白度を得る観点から酸化亜鉛微粒子を用いることが重要である。
本発明の抗菌性複合繊維では、持続性に優れた抗菌性及び高い白度を得る観点から酸化亜鉛微粒子を用いることが重要である。
本発明に用いられるエチレン−ビニルアルコール系共重合体に含有させる酸化亜鉛微粒子の添加量は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の質量に基づいて0.2〜20質量%にすることが重要である。さらに、0.5〜10質量%であることが好ましく、1.0〜5.0質量%がより好ましい。酸化亜鉛微粒子の添加量が0.2質量%よりも少ないと繊維に充分な抗菌性を付与しにくく、特に持続的に抗菌性を発揮しにくくなる。一方、20質量%を超えると、抗菌性能は充分であるが、酸化亜鉛微粒子間の凝集が発生しやすくなりフィルターの目詰まりなどにより繊維化工程性が悪化するため好ましくない。本発明の抗菌性複合繊維においては、酸化亜鉛微粒子の添加量を、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の質量に基づいて0.2〜20質量%の範囲にすることで、抗菌活性値が2.2以上を示す繊維を得ることができる。
本発明に用いられるエチレン−ビニルアルコール系共重合体に含有させる酸化亜鉛微粒子の平均粒径は、0.02〜10μmであることが好ましく、さらに0.1〜6μmであることがより好ましく、0.3〜3μmであることが特に好ましい。酸化亜鉛微粒子の平均粒径が10μmよりも大きいと、紡糸する際に断糸、フィルター詰りが発生しやすく、また、繊維からの酸化亜鉛微粒子の脱落などが起き易くなるため好ましくない。一方、酸化亜鉛微粒子の平均粒径が0.02μmよりも小さいと、練り込みの際に酸化亜鉛微粒子間の凝集などが生じやすく、エチレン−ビニルアルコール系共重合体中に均一に分散しにくくなるため好ましくない。
(非水溶性熱可塑性樹脂)
本発明に用いる非水溶性熱可塑性樹脂は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と複合可能である限り特に限定されず、繊維の目的に応じて幅広い種類を利用することが可能である。例えば、非水溶性熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性エラストマー、などの非水溶性熱可塑性樹脂を例示することができる。上記の中でも、特に耐熱性、繊維形成性及び寸法安定性の点から、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
本発明に用いる非水溶性熱可塑性樹脂は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と複合可能である限り特に限定されず、繊維の目的に応じて幅広い種類を利用することが可能である。例えば、非水溶性熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性エラストマー、などの非水溶性熱可塑性樹脂を例示することができる。上記の中でも、特に耐熱性、繊維形成性及び寸法安定性の点から、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリC2−4アルキレンアリレート系樹脂などの芳香族ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、特に、PETなどのポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、エチレンテレフタレート単位の他に、他のジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、フタル酸、4,4′−ジフェニルカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など)やジオール(例えば、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)で構成された単位を20モル%以下程度の割合で含んでいてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド6−6、ポリアミド6−10、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド6−12などの脂肪族ポリアミドおよびその共重合体、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成された半芳香族ポリアミドなどが好ましい。これらのポリアミド系樹脂にも、共重合可能な他の単位が含まれていてもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが好ましく、これらのポリオレフィン系樹脂にも、共重合可能な他の単位が含まれていてもよい。
(複合繊維の製造方法)
本発明の抗菌性複合繊維は、A成分およびB成分の組み合わせさえ決定すれば、複合繊維の製造方法については従来公知の複合紡糸装置を用いて繊維化することが可能である。低速、中速で溶融紡糸した後に延伸する方法、高速による直接紡糸延神方法、紡糸後に延伸と仮撚を同時にまたは続いて行う方法などの任意の製糸方法で製造することができる。
本発明の抗菌性複合繊維は、A成分およびB成分の組み合わせさえ決定すれば、複合繊維の製造方法については従来公知の複合紡糸装置を用いて繊維化することが可能である。低速、中速で溶融紡糸した後に延伸する方法、高速による直接紡糸延神方法、紡糸後に延伸と仮撚を同時にまたは続いて行う方法などの任意の製糸方法で製造することができる。
本発明の抗菌性複合繊維の断面において、抗菌作用を発揮できる限り、B成分が繊維表面全体を覆う必要はないが、繊維化の巻取り工程性や、巻取り後の取扱性、製品作製の工程通過性を確保するために、繊維断面において、A成分が芯となり、B成分がA成分の全周長の70%以上を被覆していることが重要であり、80%以上被覆しているのがより好ましく、90%以上100%以下被覆しているのが特に好ましい。
本発明の抗菌性複合繊維は用途に応じて適宜設定することができるが、例えば、0.3〜50dtex、好ましくは0.3〜40dtexの範囲とすることができ、細繊度化する場合、0.3〜10dtex、好ましくは0.3〜5dtexもの細繊度繊維にすることが可能である。
本発明の抗菌性複合繊維において、A成分とB成分の複合比率は、A:Bが90:10〜30:70(質量比)であることが好ましく、さらに好ましくは85:15〜30:70(質量比)であり、繊維形状に応じて、両者の割合を調節するとよい。この範囲外であると、複合比率がアンバランスになるためノズル吐出後の放出糸が屈曲するなどの問題が生じ、紡糸性が不良になるため好ましく無い。
本発明の複合形態は、同芯型、偏芯型、多芯型でもよい。図1に示すようなA成分が芯成分、B成分が鞘成分である芯鞘型複合構造、図2に示すようなA成分を芯として、その周囲を断続的にB成分が被覆する複合構造、図3に示すような三角形状のA成分をB成分が被覆する複合構造であってもよい。なお、A成分の繊維断面形状は、円形断面形状であってもよく、三角形、偏平、多葉型などの異形断面形状であってもよい。さらにA成分の内部に中空部を設けることも可能であり、一孔中空、二孔中空以上の多孔中空等の中空形状など、各種の断面形状としても何ら差し支えない。これらのうち、複合繊維は、A成分が芯成分、B成分が鞘成分である芯鞘型複合構造を有するのが好ましい。
本発明の抗菌複合繊維、または該抗菌性複合繊維からなる繊維製品は、さらに、慣用の添加剤、例えば、安定剤(銅化合物などの熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、微粒子、着色剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、難燃剤、消臭剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、繊維中に含まれていてもよく、繊維集合体表面に担持されていてもよい。
以上のようにして得られる本発明の複合繊維は、各種繊維集合体(繊維構造物)として用いることができる。ここで繊維集合体とは、各種織編物、不織布などの布帛などが挙げられる。
本発明の複合繊維は、モノフィラメント等の長繊維、ステープル等の短繊維として利用することができ、このような繊維から、糸を含む各種繊維集合体(繊維構造物)を形成することができる。ここで繊維集合体としては、マルチフィラメント糸、紡績糸、本発明の繊維と天然繊維、半合成繊維、他の合成繊維との混繊糸や混紡糸、合撚糸などの糸類;各種織編物、不織布などの布帛;合成紙;樹脂成型物などが挙げられる。これらの繊維および繊維集合体には、必要に応じて、仮撚捲縮加工、交絡処理等の任意の処理を施してあってもよい。更に本発明の繊維製品は、それらの繊維や糸からなる編織物、不織布、最終的な衣類、タオル等の繊維製品等のいずれでもよい。
なお、本発明の繊維集合体は、本発明の複合繊維単独で形成されていてもよいが、本発明の複合繊維を一部に使用してなる織編物や不織布、例えば、天然繊維、化学繊維、合成繊維など他の繊維との交綴織布、あるいは混紡糸、混織糸として用いた織編物、混綿不織布などであってもよい。例えば、他の繊維と組み合わせて用いる場合、織編物や不織布に占める本発明の複合繊維の割合は、例えば、14質量%以上であってもよく、好ましくは15質量%以上、好ましくは18質量%以上、より好ましくは23質量%以上であってもよい。また、混紡糸、混織糸として用いる場合、その糸における本発明の複合繊維の割合は、例えば、14〜95質量%であってもよく、好ましくは20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であってもよい。
本発明の繊維集合体、特に抗菌性繊維からなる布帛に対しては、布帛化工程を経た後に、必要に応じて針布起毛等による起毛処理やその他の仕上げ加工を施してもよい。
本発明の複合繊維は、長繊維としても使用可能であるし、適宜切断して短繊維としても使用可能である。そして、織地、編地、不織布などの布帛を製造することができることから、各種繊維製品に好適に使用される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は何等これらに限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%は断りのない限り質量に関するものである。
[繊度]
JIS L1013「化学繊維フィラメント糸試験方法(8.3.1)」に準じて評価した。
JIS L1013「化学繊維フィラメント糸試験方法(8.3.1)」に準じて評価した。
[紡糸性]
以下の基準に従って紡糸性評価を行った。
◎ : 24 時間 の連続紡糸を行い、紡糸時の断糸が何ら発生しない状況。
○ : 24 時間 の連続紡糸を行い、紡糸時の断糸回数が1 回以上3 回未満の範囲で発生する状況。
× : 24 時間 の連続紡糸を行い、紡糸時の断糸が3 回以上発生する状況。
以下の基準に従って紡糸性評価を行った。
◎ : 24 時間 の連続紡糸を行い、紡糸時の断糸が何ら発生しない状況。
○ : 24 時間 の連続紡糸を行い、紡糸時の断糸回数が1 回以上3 回未満の範囲で発生する状況。
× : 24 時間 の連続紡糸を行い、紡糸時の断糸が3 回以上発生する状況。
[抗菌性]
実施例または比較例で得られた繊維10gを、JIS L 1902「繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果」に準拠して抗菌性を試験した。なお、試験菌として、黄色ブドウ球菌および肺炎桿菌を用い、無加工検体には綿布を用い、下記式より抗菌活性値を算出した。なお、抗菌活性値が2.2以上の場合、抗菌効果があるとした。
抗菌活性値=(LogCt−LogC0)−(LogTt−LogT0)
LogCt:綿布18時間培養の生菌数
LogC0:綿布接種直後の生菌数
LogTt:抗菌加工布18時間培養の生菌数
LogT0:抗菌加工布接種直後の生菌数
実施例または比較例で得られた繊維10gを、JIS L 1902「繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果」に準拠して抗菌性を試験した。なお、試験菌として、黄色ブドウ球菌および肺炎桿菌を用い、無加工検体には綿布を用い、下記式より抗菌活性値を算出した。なお、抗菌活性値が2.2以上の場合、抗菌効果があるとした。
抗菌活性値=(LogCt−LogC0)−(LogTt−LogT0)
LogCt:綿布18時間培養の生菌数
LogC0:綿布接種直後の生菌数
LogTt:抗菌加工布18時間培養の生菌数
LogT0:抗菌加工布接種直後の生菌数
[白度(L*値)の評価方法]
得られた複合繊維糸条の筒編地を作製し、L*値を測定した。分光光度計コニカミノルタ社製「CM-3700A」を用いて、正反射処理:SCE、測定径:LAV(25.4mm)、UV条件:100%Full、視野:2°、主光源:D65光源の条件で測定した。L*値が90以上を合格点とした。
得られた複合繊維糸条の筒編地を作製し、L*値を測定した。分光光度計コニカミノルタ社製「CM-3700A」を用いて、正反射処理:SCE、測定径:LAV(25.4mm)、UV条件:100%Full、視野:2°、主光源:D65光源の条件で測定した。L*値が90以上を合格点とした。
[繊維断面におけるB成分の被覆率]
繊維断面写真から、ランダムに選択したフィラメント10本について、各フィラメントの繊維被覆部の長さを測定して繊維断面周長に対する抗菌性の重合体部位長の百分率(被覆率)を出し、各フィラメントの被覆率の平均値を求めた。
繊維断面写真から、ランダムに選択したフィラメント10本について、各フィラメントの繊維被覆部の長さを測定して繊維断面周長に対する抗菌性の重合体部位長の百分率(被覆率)を出し、各フィラメントの被覆率の平均値を求めた。
(実施例1)
(1)エチレン含有量44モル%から成るエチレン−ビニルアルコール系共重合体97.5量部に、酸化亜鉛微粒子(堺化学社製「酸化亜鉛II種」、平均粒径0.6μm)2.5
質量部を配合した共重合体をA成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体をB成分として、A成分とB成分との複合比を50:50の質量比とし、それぞれを別々の押出し機で溶融させ、図1に示す横断面で示す複合繊維を複合紡糸ノズルより吐出させた。
(2)ついで紡糸口金より吐出された糸条を、長さ1.0mの横吹付け型冷却風装置により冷却した後、連続して紡糸口金直下から1.3mの位置に設置した長さ1.0m、内径30mmのチューブヒーター(内壁温度:180℃)に導入してチューブヒーター内で延伸した後、チューブヒーターから出てきた繊維に油剤を付与し、引き続いてローラーを介して4000m/分の引取り速度で巻き取って、84dtex/24フィラメントの複合繊維を製造した。
得られた複合繊維から、丸編機(28ゲージ)をもちいて丸編地を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(1)エチレン含有量44モル%から成るエチレン−ビニルアルコール系共重合体97.5量部に、酸化亜鉛微粒子(堺化学社製「酸化亜鉛II種」、平均粒径0.6μm)2.5
質量部を配合した共重合体をA成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体をB成分として、A成分とB成分との複合比を50:50の質量比とし、それぞれを別々の押出し機で溶融させ、図1に示す横断面で示す複合繊維を複合紡糸ノズルより吐出させた。
(2)ついで紡糸口金より吐出された糸条を、長さ1.0mの横吹付け型冷却風装置により冷却した後、連続して紡糸口金直下から1.3mの位置に設置した長さ1.0m、内径30mmのチューブヒーター(内壁温度:180℃)に導入してチューブヒーター内で延伸した後、チューブヒーターから出てきた繊維に油剤を付与し、引き続いてローラーを介して4000m/分の引取り速度で巻き取って、84dtex/24フィラメントの複合繊維を製造した。
得られた複合繊維から、丸編機(28ゲージ)をもちいて丸編地を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(実施例2)
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体90質量部に、酸化亜鉛微粒子10質量部を配合させた共重合体を用いた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体90質量部に、酸化亜鉛微粒子10質量部を配合させた共重合体を用いた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(実施例3)
A成分として酸化亜鉛微粒子(堺化学社製「微粒子酸化亜鉛」、平均粒径0.3μm)に変更した以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
A成分として酸化亜鉛微粒子(堺化学社製「微粒子酸化亜鉛」、平均粒径0.3μm)に変更した以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(実施例4)
A成分として酸化亜鉛微粒子(堺化学社製「FINEX−50W」、平均粒径0.02μm)に変更した以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
A成分として酸化亜鉛微粒子(堺化学社製「FINEX−50W」、平均粒径0.02μm)に変更した以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(実施例5)
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体98.5質量部に、酸化亜鉛微粒子1.5質量部を配合させた共重合体を用いたことと、A成分とB成分との複合比を30:70の質量比とした以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体98.5質量部に、酸化亜鉛微粒子1.5質量部を配合させた共重合体を用いたことと、A成分とB成分との複合比を30:70の質量比とした以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(実施例6)
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体95.5質量部に、酸化亜鉛微粒子4.5質量部を配合させた共重合体を用いたことと、A成分とB成分との複合比を90:10の質量比とした以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体95.5質量部に、酸化亜鉛微粒子4.5質量部を配合させた共重合体を用いたことと、A成分とB成分との複合比を90:10の質量比とした以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(実施例7)
繊維断面形状として、図2に示す横断面で示す複合繊維を複合紡糸ノズルより吐出させた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
繊維断面形状として、図2に示す横断面で示す複合繊維を複合紡糸ノズルより吐出させた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(実施例8)
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体98.5質量部に、酸化亜鉛微粒子1.5質量部を配合させた共重合体を用いたことと、繊維断面形状として、図3に示す横断面で示す複合繊維を複合紡糸ノズルより吐出させた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体98.5質量部に、酸化亜鉛微粒子1.5質量部を配合させた共重合体を用いたことと、繊維断面形状として、図3に示す横断面で示す複合繊維を複合紡糸ノズルより吐出させた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(実施例9)
B成分としてポリアミド6(宇部興産(株)製「1013BK」)を用いた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
B成分としてポリアミド6(宇部興産(株)製「1013BK」)を用いた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(実施例10)
B成分としてポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y2005GP」)を用いた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
B成分としてポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y2005GP」)を用いた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(実施例11)
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有量を20モル%に変更した以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有量を20モル%に変更した以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(実施例12)
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有量を65モル%に変更した以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有量を65モル%に変更した以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(比較例1)
(1)エチレン含有量44モル%から成るエチレン−ビニルアルコール系共重合体99.0質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径2.5μm、略立方体形)1.0質量部を配合させた共重合体をA成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体をB成分として、溶融押出機から成る複合紡糸装置を用いて、A成分とB成分との複合比を50:50の質量比とし、それぞれを別々の押出し機で溶融させ、図1に示す横断面で示す複合繊維を複合紡糸ノズルより吐出させた。
(2)ついで紡糸口金より吐出された糸条を、長さ1.0mの横吹付け型冷却風装置により冷却した後、連続して紡糸口金直下から1.3mの位置に設置した長さ1.0m、内径30mmのチューブヒーター(内壁温度:180℃)に導入してチューブヒーター内で延伸した後、チューブヒーターから出てきた繊維に油剤を付与し、引き続いてローラーを介して4000m/分の引取り速度で巻き取って、84dtex/24フィラメントの複合繊維を製造した。
得られた複合繊維から、丸編機(28ゲージ)をもちいて丸編地を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(1)エチレン含有量44モル%から成るエチレン−ビニルアルコール系共重合体99.0質量部に、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(シナネンゼオミック社製「AV10D」、平均粒径2.5μm、略立方体形)1.0質量部を配合させた共重合体をA成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体をB成分として、溶融押出機から成る複合紡糸装置を用いて、A成分とB成分との複合比を50:50の質量比とし、それぞれを別々の押出し機で溶融させ、図1に示す横断面で示す複合繊維を複合紡糸ノズルより吐出させた。
(2)ついで紡糸口金より吐出された糸条を、長さ1.0mの横吹付け型冷却風装置により冷却した後、連続して紡糸口金直下から1.3mの位置に設置した長さ1.0m、内径30mmのチューブヒーター(内壁温度:180℃)に導入してチューブヒーター内で延伸した後、チューブヒーターから出てきた繊維に油剤を付与し、引き続いてローラーを介して4000m/分の引取り速度で巻き取って、84dtex/24フィラメントの複合繊維を製造した。
得られた複合繊維から、丸編機(28ゲージ)をもちいて丸編地を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(比較例2)
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体75質量部に、酸化亜鉛微粒子25質量部を配合させた共重合体を用いた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体75質量部に、酸化亜鉛微粒子25質量部を配合させた共重合体を用いた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(比較例3)
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体99.9質量部に、酸化亜鉛微粒子0.1質量部を配合させた共重合体を用いた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
A成分としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体99.9質量部に、酸化亜鉛微粒子0.1質量部を配合させた共重合体を用いた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
(比較例4)
繊維断面形状として、サイドバイサイド横断面を有する複合繊維を複合紡糸ノズルより吐出させた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
繊維断面形状として、サイドバイサイド横断面を有する複合繊維を複合紡糸ノズルより吐出させた以外は実施例1と同様の方法で繊維化を実施し、同様の方法で編物を作製した。各評価結果は表1に示す通りである。
ここで、表1中のEVOHはエチレン−ビニルアルコール系共重合体、PETはポリエチレンテレフタレート、Ny6はナイロン6、PPはポリプロピレンを意味する。
表1に示すように、実施例1〜12の繊維では、紡糸性及び抗菌性に優れるとともに、高い白度を有していた。比較例1では、抗菌性を有する無機微粒子として、無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子を使用したため、抗菌性は示したが、十分な白度は得られなかった。比較例2では、酸化亜鉛微粒子の添加量が25質量%であるため、酸化亜鉛粒子の分散が悪く、紡糸できなかった。また、比較例3では酸化亜鉛微粒子の添加量が0.1質量%であるため、十分な抗菌性と白度が得られなかった。比較例4では、A成分の被覆率が50%であるため、紡糸工程で断糸は多発し、紡糸性が悪かった。
本発明の抗菌性繊維は、持続性のある抗菌性を要求される場面におけるあらゆる用途の繊維製品として利用可能であり、例えば具体的な例として、上着、肌着、ユニフォーム、手術衣、病衣、白衣、作業服、エプロン、帽子、腹巻、靴下、手袋、マフラーなどの衣類;靴中敷、フトン、フトンカバー、マクラカバー、ベッド、ベッドカバー、毛布、シーツ、バスマット、タオル、フェイスタオル、ボディタオル、キャビネットタオル、テーブルクロス、おむつカバー、スリッパ、歯ブラシなどの生活用品;ティッシュペーパー、ペーパータオル、紙おむつなどの消耗品;テーブルふきん、モップ用糸、ローリングワイパー、ウエットティッシュなどの清掃用品;手術用縫糸、包帯、貼付剤基布、ガーゼ、マスク、床擦れ防止マット、カルテ用紙などの医療用品;カーテン、シャワーカーテン、ネット、ドアノブカバー、カーペット、食品用容器などの種々のリビング資材、エアコンフィルターや空気清浄器および浄水フィルター等のフィルター用素材;加湿器の蒸散板、壁紙などの産業資材に使用することができる。
以上のとおり、本発明の好適な実施態様を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
1:複合繊維のA成分
2:複合繊維のB成分
2:複合繊維のB成分
Claims (8)
- 酸化亜鉛微粒子を0.2〜20質量%含有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A成分)と、非水溶性熱可塑性樹脂(B成分)とで構成された複合繊維であって、繊維断面において、A成分が芯となり、B成分がA成分の全周長の70%以上を被覆している、抗菌性複合繊維。
- 抗菌性複合繊維において、A成分中の酸化亜鉛微粒子の平均粒径が0.02μm〜10μmである請求項1に記載の抗菌性複合繊維。
- 抗菌活性値が2.2以上、であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗菌性複合繊維。
- 白度が90以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗菌性複合繊維。
- 単繊維繊度が0.3〜50dtexである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗菌性複合繊維。
- A成分とB成分の複合比率(質量比)がA:B=90:10〜30:70である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗菌性複合繊維。
- A成分が芯成分、B成分が鞘成分である芯鞘構造を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗菌性複合繊維。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗菌性複合繊維からなる繊維集合体。
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JP2016250707A JP2018104833A (ja) | 2016-12-26 | 2016-12-26 | 抗菌性複合繊維及び繊維集合体 |
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WO2022080468A1 (ja) * | 2020-10-15 | 2022-04-21 | 裕子 山本 | 衛生マスク及びその活性化方法 |
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2016
- 2016-12-26 JP JP2016250707A patent/JP2018104833A/ja active Pending
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JP7437616B2 (ja) | 2020-10-15 | 2024-02-26 | 裕子 山本 | 衛生マスク及びその活性化方法 |
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